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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】球面滑りベアリング
(51)【国際特許分類】
   F16C 17/10 20060101AFI20221212BHJP
   F16C 33/62 20060101ALI20221212BHJP
   F16C 23/04 20060101ALI20221212BHJP
   C23C 14/06 20060101ALI20221212BHJP
【FI】
F16C17/10 Z
F16C33/62
F16C23/04 E
C23C14/06 N
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021532080
(86)(22)【出願日】2019-09-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 DE2019100800
(87)【国際公開番号】W WO2020114538
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2021-06-04
(31)【優先権主張番号】102018131021.8
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】セルジュ クルザヴェ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ヴァイトカンプ
(72)【発明者】
【氏名】フランク ボルテ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ケーニヒ
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ ポドガイニ
【審査官】稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-012624(JP,U)
【文献】特開2005-030492(JP,A)
【文献】特表2012-500365(JP,A)
【文献】特開2006-162068(JP,A)
【文献】特開2005-291495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 17/00-33/00
C23C 14/00-16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球面滑りベアリング(1)であって、
鋼製の金属質の第1のベアリング要素(2)であって、コーティング(5)によって少なくとも部分的にコートされている、金属質の第1のベアリング要素(2)と、
鋼製の金属質の第2のベアリング要素(3)であって、PTFE含有摺動ライニング(6)でコートされている、金属質の第2のベアリング要素(3)と、を備え、
前記コーティング(5)および前記摺動ライニング(6)が、摺動接触し、前記コーティング(5)が、PVD、CVD、またはPECVDの方法によって、前記第1のベアリング要素(2)上に蒸着した少なくとも1つの第1の層(9)を含み
前記コーティング(5)が、前記少なくとも1つ第1の層(9)に隣接して配置され、前記第1のベアリング要素(2)から離れる方向に面する、第2の層(10)をさらに含み、前記第2の層(10)が、その組成の点で前記隣接する第1の層(9)とは異なり、PVD、CVD、もしくはPECVDのいずれかによって形成され、
(a)前記第1の層(9)が、窒化モリブデンから形成され、前記第2の層(10)が、銅から形成されている、または
(b)前記第1の層(9)が、クロムから形成され、前記第2の層(10)が、窒化クロムから形成されている、または
(c)第1の層(9)が、クロム製であり、さらなる第1の層(9)が、炭化タングステン製であり、前記第2の層(10)が、a-C:H:Wタイプの水素含有タングステンドープアモルファスカーボン層である、または
(d)前記第1の層(9)が、a-C:H:Siタイプのケイ素ドープアモルファスカーボン層であり、前記第2の層(10)が、a-C:Hのタイプのアモルファスカーボン層、または異なるケイ素をドープしたa-C:H:Siのタイプのアモルファスカーボン層である、球面滑りベアリング(1)。
【請求項2】
前記コーティング(5)が、厳密に1つの第1の層(9)と、厳密に1つのさらなる層と、を含む、請求項1に記載の球面滑りベアリング。
【請求項3】
前記コーティング(5)が、2つまたは3つの第1の層(9)と、厳密に1つのさらなる層と、を含む、請求項1に記載の球面滑りベアリング。
【請求項4】
前記コーティング(5)が、前記少なくとも1つ第1の層(9)と、前記第2の層(10)と、それらの上の層シーケンスと、を含み、前記層シーケンスが、互い違いになる第3の層(11)および第4の層(12)を有し、前記第3の層(11)の組成が、前記第2の層(10)に隣接する前記第1の層(9)の組成に対応し、前記第4の層(12)の組成が、前記第2の層(10)の組成に対応する、請求項1~3のいずれか一項に記載の球面滑りベアリング(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球面滑りベアリングであって、鋼製の金属質の第1のベアリング要素であって、コーティングによって少なくとも部分的にコートされている、金属質の第1のベアリング要素と、鋼製の金属質の第2のベアリング要素であって、PTFE含有摺動ライニングで少なくとも部分的にコートされている、金属質の第2のベアリング要素と、を備える、球面滑りベアリングに関する。
【背景技術】
【0002】
上述の構造を備える球面滑りベアリングの形態の摺動ベアリングが周知である。多くの場合、内側リングと外側リングとの間の摺動接触面積の摩耗保護を増加させるため、および腐食保護を提供するために、球状表面を備える内側リングへのコーティングとして硬質クロム層が塗布されている。かかる硬質クロム層を生産するために、通常、クロム(VI)含有電解浴が使用されており、これは、現在では、環境上の観点から問題があるものとして分類され、その使用は、立法上の制限の対象となりつつある。
【0003】
したがって、硬質クロム層を、より環境にやさしい方法で生産することができるコーティングに置き換える必要性がある。
【0004】
DE10 2013 225 860(A1)では既に、硬質クロム層が、100Cr6などの鋼製の内側リングを炭窒化することによって置き換えられる、摺動ベアリング、特に、球面滑りベアリングを開示している。したがって、炭窒化された表面が第1の摺動面を形成する。
【0005】
DE10 2014 107 036(A1)は、コートされたチタンボールを有する球面滑りベアリングを開示している。球面滑りベアリングは、内側リングを備え、内側リングは、ブッシング内に回転可能に配置され、DLCコーティングを施すことができる。内側リングとブッシングとの間に、膜の形態の潤滑剤を配置することができる。
【0006】
DE69 330 10Uにより、中にスリーブが浮動状に取り付けられる、外側リングを有する球面滑りベアリングが知られている。このスリーブは、片側、つまり、外側リングから離れる方向に面する内側が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)でコートされている。
【0007】
US2007/0 223 850(A1)は、ベアリング要素がTiN製のPVDコーティングを有するチタン合金から形成されている、球面滑りベアリングを記載している。他のベアリング要素は、PTFEを含有する潤滑コーティングを有する。
【0008】
DE10 2015 105 520(A1)は、トランスミッション、およびトランスミッションを生産または操作するための方法を開示している。コートされたスラストワッシャが提供され、コーティングには、アモルファスカーボン層、例えば、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)層、クロム層、PVDコーティングによって塗布される層、結晶性カーボン層、および/またはダイヤモンドコーティングが含まれ得る。PVDコーティングによって塗布される層には、TiN、CrN、TiAlN、TiCN、TiSiN、ZrN、および/またはAlTiNが含まれ得る。
【0009】
AT412 284(B)は、鍛錬アルミニウム合金製のベアリング要素のためのキャリア層を記載している。さらに、サポートシェル、走行層、およびそれらの間に配置されたキャリア層を備える、ベアリング要素、特に、摺動ベアリングまたはスラストリングが記載されている。走行層は、鉛、スズ、ビスマス、インジウム、または銅基合金として、特に、固形潤滑剤を含有するプラスチック層として、または潤滑ワニスとして構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、合理的で環境にやさしい製造オプションを備える、前述の先行技術に関してさらに開発された球面滑りベアリングを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の特徴を有する球面滑りベアリングによって達成される。球面滑りベアリングは、鋼製の金属質の第1のベアリング要素であって、コーティングによって少なくとも部分的にコートされている、金属質の第1のベアリング要素と、鋼製の金属質の第2のベアリング要素であって、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を含有する摺動ライニングで少なくとも部分的にコートされている、金属質の第2のベアリング要素と、を備え、コーティングおよび摺動ライニングは、摺動接触し、コーティングは、PVD、CVD、またはPECVDのプロセスによって、第1のベアリング要素上に蒸着した少なくとも1つの第1の層を含む。
【0012】
第1の実施形態では、少なくとも1つの第1の層は、酸化性、窒化性、酸窒化性、もしくは炭化性の硬質材料層として構成され、チタン、アルミニウム、クロム、タングステン、およびモリブデンといった元素のうちの少なくとも1つを含有する。硬質材料層は、好ましくは、TiN、TiCN、Al、TiAlN、CrN、AlCrN、MoN、WCを含む群からの少なくとも1つの材料から形成される。これらの材料を、任意選択でドーピングを伴って、混合した形態もまた、第1の層(複数可)として好適である。
【0013】
さらなる好ましい実施形態では、少なくとも1つの第1の層は、アモルファスカーボン層またはダイヤモンド層として構成される。アモルファスカーボン層(2012年6月のVDI2840による学名)は、水素を含まないアモルファスカーボンta-Cまたはa-Cから形成され得る。代替的に、アモルファスカーボン層は、水素含有アモルファスカーボンa-C:Hから形成され得る。金属質または非金属質のドーピングもまた本明細書に提供され得る。ドーピングのために使用される金属は、例えば、タングステン、チタン、ケイ素、またはタンタルである。水素含有タングステンドープアモルファスカーボン層(a-C:H:W)または水素含有ケイ素ドープアモルファスカーボン層(a-C:H:Si)が好ましい。非金属を含有するアモルファスカーボン層は、a-C:H:Xとして構成され、式中、Xは、窒素などの非金属を表す。
【0014】
さらなる好ましい実施形態では、少なくとも1つの第1の層は、金属質の層であり、金属質の層は、クロム、黄銅、青銅、ホワイトメタル、銅、亜鉛、もしくはスズを含む金属のうちの1つ以上から形成されている。
【0015】
第1の層のみ、または2つ、3つ、もしくはそれ以上の第1の層の組み合わせを、第1のベアリング要素上に配置することができる。
【0016】
したがって、球面滑りベアリングの部品には、特に複数の層でコートされた第1のベアリング要素と、PTFE含有摺動ライニングを有する第2のベアリング要素と、を含む。
【0017】
摺動ライニングは、特に、金属質の第2のベアリング要素に接着され、PTFE繊維で強化されている。織布、編布、かぎ針編み布などのようなテキスタイル材料は、概して、摺動ライニングを強化するための繊維として使用される。PTFE繊維に加えて、特に別のプラスチック、金属、ガラス、カーボン、またはセラミック製の支持繊維を提供することができ、これらは、単独で、または互いに任意の組み合わせで存在し得る。好ましい実施形態では、摺動ライニングは、樹脂マトリックス中にPTFE繊維を含有する。
【0018】
代替的に、摺動ライニングは、焼結青銅の層を有し、焼結青銅は、PTFE層を備え、その結果、摺動接触面積には金属ポリマー複合材料が存在する。
【0019】
第1のベアリング要素は、球面滑りベアリングの内側リングであっても、または外側リングであってもよい。したがって、内側リングは、好ましくは、コーティングを有し、外側リングは、摺動ライニングを有する。しかしながら、逆の配置も可能である。
【0020】
PVD(物理蒸着)プロセス、PECVD(プラズマ強化化学蒸着)プロセス、およびCVD(化学蒸着)プロセスなどの使用される蒸着プロセスは、優先権主張時に大多数によって使用された硬質クロムめっきとは対照的に、本明細書では、ベアリング要素へのクロム(VI)含有物質の使用が回避されるという共通点を有する。
【0021】
本発明によれば、コーティングは、少なくとも1つの第1の層上に配置され、第1のベアリング要素から離れる方向に面する、少なくとも1つのさらなる層をさらに含む。少なくとも1つのさらなる層は、すぐ隣接する第1の層の組成とは異なる組成を有する。
【0022】
これは、コーティングが厳密に1つの第1の層と厳密に1つのさらなる層とを含む場合に有用であることが証明されている。しかしながら、コーティングはまた、有利には、2つもしくは3つの第1の層と、厳密に1つのさらなる層と、を含み得る。
【0023】
これは、第1のベアリング要素から離れる方向に面して配置される、少なくとも1つ第1の層に隣接する少なくとも1つのさらなる層が、第2の層を形成し、第2の層が、その組成の点で隣接する第1の層とは異なり、PVD、CVD、もしくはPACVDのいずれかのプロセスによって形成され、かつ/またはPTFEを含む潤滑ワニスから形成されている場合に、有利であることが証明されている。
【0024】
少なくとも1つのさらなる層は、好ましくは、PVD、CVD、またはPACVDプロセスによって形成され、かつ
-酸化性、窒化性、酸窒化性、もしくは炭化性の硬質材料層、または
-アモルファスカーボン層もしくはダイヤモンド層、または
-クロム、黄銅、青銅、ホワイトメタル、銅、亜鉛、もしくはスズ製の金属質の層のいずれかとして構成される。
【0025】
酸化性、窒化性、酸窒化性、もしくは炭化性の硬質材料層の形態のさらなる層は、特に、チタン、アルミニウム、クロム、タングステン、およびモリブデンといった元素のうちの少なくとも1つを含有する。硬質材料層は、好ましくは、TiN、TiCN、Al、TiAlN、CrN、AlCrN、MoN、WCを含む群からの少なくとも1つの材料から形成される。これらの材料を、任意選択でドーピングを伴って、混合した形態もまた、さらなる層(複数可)として好適である。
【0026】
アモルファスカーボン層(2012年6月のVDI2840による学名)の形態の別の層は、特に、水素を含まないアモルファスカーボンta-Cまたはa-Cから形成される。代替的に、アモルファスカーボン層は、水素含有アモルファスカーボンa-C:Hから形成され得る。金属質または非金属質のドーピングもまた本明細書に提供され得る。ドーピングのために使用される金属は、例えば、タングステン、チタン、ケイ素、またはタンタルである。水素含有タングステンドープアモルファスカーボン層(a-C:H:W)または水素含有ケイ素ドープアモルファスカーボン層(a-C:H:Si)が好ましい。非金属を含有するアモルファスカーボン層は、a-C:H:Xとして構成され、式中、Xは、窒素などの非金属を表す。
【0027】
コーティングは、好ましくは、少なくとも1つ第1の層と、第2の層と、それらの上の層シーケンスと、を有し、層シーケンスは、互い違いになる第3の層および第4の層を有し、第3の層の組成は、第2の層に隣接する第1の層の組成に対応し、第4の層の組成は、第2の層の組成に対応する。したがって、良好な潤滑特性と良好な耐摩耗性とを組み合わせた、特に耐久性のあるコーティングを形成することができる。
【0028】
特に、第2の層に隣接する第1の層が窒化モリブデン製であり、第2の層が銅製である、球面滑りベアリングが有用であることが証明されている。特に、窒化モリブデン製のいくつかの第3の層、および銅製のいくつかの第4の層も提供され、これらは、互い違いの方法で配置され、層シーケンスを形成する。銅が潤滑膜を形成する一方、窒化モリブデンはアブレシブ摩耗を低減する。
【0029】
さらに、第1の層がクロムから形成され、第2の層が窒化クロムから形成されている、球面滑りベアリングが好成績であることが証明されている。
【0030】
第1の層がクロム製であり、さらなる第1の層が炭化タングステン製であり、第2の層がa-C:H:Wタイプの水素含有タングステンドープアモルファスカーボン層で作製されている、球面滑りベアリングもまた、非常に耐摩耗性であることが証明されている。
【0031】
さらに、第1の層がa-C:H:Siタイプのケイ素ドープアモルファスカーボン層であり、第2の層がa-C:Hタイプのアモルファスカーボン層である、球面滑りベアリングが好ましい。特に、a-C:H:Siタイプのいくつかの第3の層、およびa-C:Hタイプのいくつかの第4の層も提供され、これらは、互い違いの方法で配置され、層シーケンスを形成する。
【0032】
さらに、第1の層がa-C:H:Siタイプのケイ素ドープアモルファスカーボン層であり、第2の層が、異なるケイ素をドープしたa-C:H:Siタイプのアモルファスカーボン層である、球面滑りベアリングが好ましい。
【0033】
特にPTFE含浸層の形態の潤滑ワニスを、第2の層として少なくとも1つの第1の層の上に配置することもできる。PTFE含浸層は、排他的に、または少なくとも98%、特に、少なくとも99%、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)から形成される層である。PTFE含浸層への個々の損傷の可能性にもかかわらず、PTFEによって形成された摺動面は、球面滑りベアリングの操作中、ほとんど無傷のままであり、自己修復効果が、PTFE含浸層内にも提供される。PTFE含浸層は、摺動ベアリングの操作中に発生する粒子、特に、摩砕から生じる粒子を吸収する可能性を提供する。
【0034】
全ての場合において、少なくとも1つの第1の層の硬度は、使用される測定方法にかかわらず、金属質の第2のベアリング要素上に配置される摺動ライニングの硬度よりもはるかに高い。
【0035】
鋼製の金属質の第1のベアリング要素をコーティングするためのいくつかの好ましい例示的な実施形態を以下に列挙する。第1のベアリング要素、または鋼製の基材上の層シーケンスは、指定されたシーケンスで実装される。
実施例1:
鋼基材
第1の層:クロム
第2の層:窒化クロム
実施例2:
鋼基材
第1の層:クロム
さらなる第1の層:炭化タングステン(WC)
第2の層:a-C:H:W
実施例3:
鋼基材
第1の層:a-C:H:Si
第2の層:a-C:H
実施例4:
鋼基材
第1の層:TiNまたはTiAlNまたはCrAlN
第2の層:PTFE含有潤滑ワニス
実施例5:
鋼基材
第1の層:クロムモリブデン
さらなる第1の層:窒化モリブデン(MoN)
第2の層:銅
第3の層:窒化モリブデン(MoN)
第4の層:銅
実施例6:
鋼基材
第1の層:a-C:H:Si
第2の層:a-C:H:Si、第2の層中のケイ素含有量は、第1の層中のケイ素ドーピングのわずか20~25%に対応する
以下では、本発明の例示的な実施形態を、図面によってより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】概略断面図にて、本発明による球面滑りベアリングを示す。
図2図1の摺動接触面積の拡大図を示す。
図3】異なるコーティングを有する、図2に類似した拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
全ての図において、相互に対応する部品または基本的に同じ効果を有する部品には同じ参照符号が付されている。
【0038】
全体として参照記号1で識別される、図1の断面図に示される球面滑りベアリングは、鋼製の金属質の第1のベアリング要素2、ここでは内側リング、および鋼製の金属質の第2のベアリング要素3、ここでは外側リング、から形成されている。第1のベアリング要素2は、接続部品(図示せず)への接続のための中央開口部4を有する。コーティング5は、第1のベアリング要素2の凸状の外側面7に塗布されている。PTFE繊維強化摺動ライニング6は、第2のベアリング要素3の凹状の内側面7に接着されている。第1のベアリング要素2のコーティング5は、摺動ライニング6と摺動接触する。
【0039】
図2は、図1の摺動接触面積の拡大図を示す。TiNまたはTiAlNまたはCrAlN製の第1の層9で作製されたコーティング5は、気相蒸着(PVD、CVD、PECVD)によって、鋼製の第1のベアリング要素2の金属質のベース材料上に蒸着される。第1の層9は、本質的に均一の厚さを有する。したがって、第1の層9の表面は、所与の凸状の外側面7に適応する。さらに、PTFE含浸層の形態の潤滑ワニス(別々には示されない)が、第2の層10として第1の層9上に塗布されている。存在し得る、第1の層9内の任意の不均一性は、PTFE含浸層によって平準化され、その結果、滑らかな、この場合では、球状の、第1のベアリング要素2の外側面をもたらす。
【0040】
図3は、第1のベアリング要素2上に異なるタイプのコーティング5を有する、図2に類似した図を示す。第1の層9は、鋼製の第1のベアリング要素2の凸状の外側面7に直接塗布されており、窒化モリブデンから形成されている。代替的に、特にクロムおよび/またはモリブデン製の少なくとも1つのさらなる第1の層を、第1のベアリング要素2と第1の層9との間に配置することができる。銅から形成された第2の層10が提供されている。窒化モリブデン製の第3の層11および銅製の第4の層12が、第2の層10に隣接している。互い違いに配置された第3の層11および第4の層12の上には、層シーケンス(本明細書では詳細には図示せず)が提供されている。
【0041】
本明細書では、第2のベアリング要素3の凹状の内側面7も、摺動ライニング6と接着されている。摺動ライニング6は、樹脂マトリックス中に埋め込まれたPTFE繊維によって形成されているか、または焼結青銅およびPTFEを含有する金属ポリマー複合材料を有する。第1のベアリング要素2の多層コーティング5は、摺動ライニング6と摺動接触する。
【符号の説明】
【0042】
1 球面滑りベアリング
2 ベアリング要素
3 ベアリング要素
4 開口部
5 コーティング
6 摺動ライニング
7 凹状の内側面
8 凸状の外側面
9 第1の層
10 第2の層
11 第3の層
12 第4の層
図1
図2
図3