(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/52 20220101AFI20221212BHJP
G06F 3/048 20220101ALI20221212BHJP
G06Q 50/00 20120101ALI20221212BHJP
【FI】
H04L67/52
G06F3/048
G06Q50/00 300
(21)【出願番号】P 2021533086
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(86)【国際出願番号】 JP2020027521
(87)【国際公開番号】W WO2021010420
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2021-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2019133011
(32)【優先日】2019-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519124431
【氏名又は名称】山本 圭史
(73)【特許権者】
【識別番号】519263084
【氏名又は名称】宮原 広志
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】山本 圭史
(72)【発明者】
【氏名】宮原 広志
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0350144(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0149949(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 67/52
G06F 3/048
G06Q 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの実世界の存在位置に対応する位置を包含する所定範囲の閉領域を、前記ユーザによる情報の読み書き可能な領域として設定する設定手段と、
第1ユーザに対して前記設定手段により設定された前記読み書き可能な領域内の所定領域を第1種領域として、当該第1ユーザにより入力された情報を
第1ユーザ情報として、当該第1種領域と対応付けて格納する制御を実行する情報格納制御手段と、
第2ユーザより情報の提示が要求された場合、当該要求が行われたときの当該第2ユーザに対して前記設定手段により設定された前記読み書き可能な領域を第2種領域として、当該第2種領域
と前記第1種領域のうち少なくとも一部が重複するときには、当該第1種領域と対応付けられて格納されている
前記第1ユーザ情報を、前記第2ユーザに提示する制御を実行する情報提示制御手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
実世界の3次元空間から所定の規則に従って区分された、少なくとも2次元の方向に存在する複数の単位領域の夫々に対して、情報の格納及び提示が可能な「電子的な器」の夫々を対応付けて管理する管理手段をさらに備え、
前記設定手段は、ユーザの実世界の存在位置に対応する位置を包含する前記単位領域及びその周辺の1以上の前記単位領域から形成される閉領域を、前記読み書き可能な領域として設定し、
前記情報格納制御手段は、前記第1ユーザに対して前記設定手段により設定された前記読み書き可能な領域内の所定の1つの前記単位領域を前記第1種領域として、当該第1ユーザにより入力された前記
第1ユーザ情報を、当該第1種領域に対応付けられた前記「電子的な器」に格納する制御を実行し、
前記情報提示制御手段は、前記第2ユーザにより情報の提示が要求された場合、前記第2種領域
と前記第1種領域のうち少なくとも一部が重複するときには、当該第1種領域としての前記単位領域に対応付けられた前記「電子的な器」に格納された
前記第1ユーザ情報を、前記第2ユーザに提示する制御を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記単位領域は、
実世界で特定される位置に対応する仮想空間上の位置に配置される領域として規定される、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報格納制御手段は、前記第1ユーザにより入力された
前記第1ユーザ情報を、さらに、当該第1ユーザ又はその実世界の前記存在位置に関するメタ情報と対応付けて、前記第1種領域に対応付けられた前記「電子的な器」に格納する制御を実行する、
請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
1以上の前記「電子的な器」を単位として、前記第1ユーザにより入力された前記
第1ユーザ情報及び前記メタ情報に基づく所定の解析を実行する解析手段、
をさらに備える請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記解析手段の解析結果に基づき、所定の形態の地図を作成する地図作成手段、
をさらに備える請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記「電子的な器」を配置する前記単位領域に対し、前記単位領域の固有の識別情報を付与する付与手段、
をさらに備える請求項2乃至6のうち何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置が実行する情報処理方法において、
ユーザの実世界の存在位置に対応する位置を包含する所定範囲の閉領域を、前記ユーザによる情報の読み書き可能な領域として設定する設定ステップと、
第1ユーザに対して前記設定ステップの処理により設定された前記読み書き可能な領域内の所定領域を第1種領域として、当該第1ユーザにより入力された情報を
第1ユーザ情報として、当該第1種領域と対応付けて格納する制御を実行する情報格納制御ステップと、
第2ユーザより情報の提示が要求された場合、当該要求が行われたときの当該第2ユーザに対して前記設定
ステップの処理により設定された前記読み書き可能な領域を第2種領域として、当該第2種領域
と前記第1種領域のうち少なくとも一部が重複するときには、当該第1種領域と対応付けられて格納されている
前記第1ユーザ情報を、前記第2ユーザに提示する制御を実行する情報提示制御ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項9】
コンピュータに、
ユーザの実世界の存在位置に対応する位置を包含する所定範囲の閉領域を、前記ユーザによる情報の読み書き可能な領域として設定する設定ステップと、
第1ユーザに対して前記設定ステップの処理により設定された前記読み書き可能な領域内の所定領域を第1種領域として、当該第1ユーザにより入力された情報を
第1ユーザ情報として、当該第1種領域と対応付けて格納する制御を実行する情報格納制御ステップと、
第2ユーザより情報の提示が要求された場合、当該要求が行われたときの当該第2ユーザに対して前記設定
ステップの処理により設定された前記読み書き可能な領域を第2種領域として、当該第2種領域
と前記第1種領域のうち少なくとも一部が重複するときには、当該第1種領域と対応付けられて格納されている
前記第1ユーザ情報を、前記第2ユーザに提示する制御を実行する情報提示制御ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のインターネットの急激な普及により、人類はいままでにない多量の情報を取り扱うことができるようになっている。とりわけ、SNS(Social Networking Service)等により、人類は、その場に存在しなくても、世界中の各種各様な情報を取り扱うことができるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、情報の取り扱い方の新たな手法が要求されているが、特許文献1を含め従来の技術では、このような要求に応えられない状況である。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、情報の取り扱い方の新たな手法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の情報処理装置は、
第1ユーザにより入力された情報を、当該第1ユーザの実世界の存在位置に基づいて決定される第1種領域と対応付けて格納する制御を実行する情報格納制御手段と、
第2ユーザより情報の提示が要求された場合、当該第2ユーザの実世界の存在位置に基づいて決定される第2種領域に対して、少なくとも一部が含まれる前記第1種領域と対応付けられて格納されている情報を、前記第2ユーザに提示する制御を実行する情報提示制御手段と、
を備える。
【0007】
実世界の3次元空間から他の一部と重複しないように所定の規則に従って区分された、少なくとも2次元の方向に存在する複数の単位領域の夫々に対して、情報の格納及び提示が可能な「電子的な器」の夫々を対応付けて管理する管理手段をさらに備え、
前記情報格納制御手段は、情報が入力されたときの前記第1ユーザの実世界の存在位置に基づいて決定される前記単位領域を前記第1種領域として、当該第1ユーザにより入力された当該情報を、当該第1種領域に対応付けられた前記「電子的な器」に格納する制御を実行し、
前記情報提示制御手段は、前記第2ユーザにより情報の提示が要求された場合、当該第2ユーザの実世界の存在位置に基づいて決定される前記第2種領域に対して、少なくとも一部が含まれる前記第1種領域としての前記単位領域に対応付けられた前記「電子的な器」に格納された情報を、前記第2ユーザに提示する制御を実行する、
ようにすることができる。
【0008】
緯度方向及び経度方向の夫々のグリッドにより所定間隔で地球表面が区分された場合における、隣接する前記グリッドで形成される1つの閉領域が、前記単位領域として規定されている、
ようにすることができる。
【0009】
前記情報格納制御手段は、前記第1ユーザにより入力された前記情報を、さらに、当該第1ユーザ又はその実世界の前記存在位置に関するメタ情報と対応付けて、当該第1ユーザの実世界の存在位置により決定される前記単位領域に対応付けられた前記「電子的な器」に格納する制御を実行する、
ようにすることができる。
【0010】
1以上の前記「電子的な器」を単位として、前記第1ユーザにより入力された前記情報及び前記メタ情報に基づく所定の解析を実行する解析手段、
をさらに備えるようにすることができる。
【0011】
前記解析手段の解析結果に基づき、所定の形態の地図を作成する地図作成手段、
をさらに備えるようにすることができる。
【0012】
本発明の一態様の情報処理方法及びプログラムの夫々は、上述の本発明の一態様の情報処理装置に対応する情報処理方法及びプログラムの夫々である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、情報の取り扱い方の新たな手法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの適用により実現される本サービスの概要を説明する図である。
【
図2】
図1の本サービスが適用される情報処理システム、即ち本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成の例を示す図である。
【
図3】
図2の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図3のサーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図2のユーザ端末に表示される画面のうち、ノート配置画像の一例を示す図である。
【
図6】
図2のユーザ端末に表示される画面のうち、ノート画像の一例を示す図である。
【
図8】
図7の例と同一縮尺であるが、視点を異ならせたノート配置画像を示す図である。
【
図9】
図7の例のノート配置画像に対して、視点は同一であるが、その縮尺を異ならせたノート配置画像を示す図である。
【
図10】
図7及び
図9の各例のノート配置画像に対して、視点は同一であるが、その縮尺を異ならせたノート配置画像を示す図である。
【
図11】
図2のユーザ端末に表示される画面のうち、ノート配置画像の一例を示す図であって、
図5や
図7乃至
図10とは異なる例を示す図である。
【
図12】区画を異なる形状や大きさのマス目で不均等に区分する一例を示す図である。
【
図13】異なるシステムのエリアが重複する際のノートへの読み書きの制御例を示す図である。
【
図14】グリッドをランダムに引いて形成される区画の一例を示す図である。
【
図15】独立したエリアで形成される区画の一例を示す図である。
【
図16】サービス側がエリアの幅を可変したり移動可能とする一例を示す図である。
【
図17】ユーザがエリアの幅を可変したり移動可能とする一例を示す図である。
【
図18】地球上の一部の空間を模した複合現実の世界を区画のベースにした一例を示す図である。
【
図19】地球の場所とは異なる世界観の仮想現実の立体世界を区画のベースにした一例を示す図である。
【
図20】地球の場所とは異なる世界観の平面的な世界を区画のベースにした一例を示す図である。
【
図21】ベース自体をユーザが新たに創造してゆくことができるゲームの世界を区画のベースにした一例を示す図である。
【
図22】地球以外の天体を区画のベースにした一例を示す図である。
【
図23】ユーザが実店舗に入店したときに入室できる仮想店舗の一例を示す図である。
【
図24】通常の縮尺で、個々のノートのアイコンが分離して表示される様子を示す図である。
【
図25】
図24の状態からマップを縮小表示したときにアイコンどうしが接近する様子を示す図である。
【
図26】
図25の状態からさらにマップを縮小表示したときに隣接する複数のアイコンを1つのノートの集合体として表示する様子を示す図である。
【
図29】マスに付与したIDを「電子的な器」が配置される場所を特定する住所とする様子を示す図である。
【
図30】キューブに付与したIDを「電子的な器」が配置される場所を特定する住所とする様子を示す図である。
【
図31】3D空間に創造されるビルの一角に配置されたキューブの位置をキューブIDで特定する様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明の一実施形態に係る情報処理システムを説明する前に、本サービスの概要について、
図1を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの適用により実現されるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要を説明する図である。
【0017】
本サービスは、世界中全ての場所において、その場所でしか開けないノートが夫々配置された、新しいWEBサービスである。
【0018】
本サービスでは、例えば
図1に示すように、実世界の3次元空間のあらゆる場所において、所定間隔毎に引かれる緯度方向のグリッドIGと経度方向のグリッドKGとにより、30m×30mの区画(同図では例えば区画GA1、区画GAn等)が形成される。
なお、
図1の例では、区画GA1、区画GAn等は、高さを有していない2次元平面として、地面上に形成されている。この
図1に示す区画GA1、区画GAn等は、理解を容易なものとするための例示である。即ち、後述するように、本サービスで採用される区画は、高さを有してもよく、さらに、その高さの範囲は地平面(地上0m)を含む必要は特になく、任意の範囲(例えば地上100m付近の範囲等)でよい。
即ち、この区画は、地球の地平面上のありとあらゆる場所に存在することは勿論のこと、所定の高さの空間(場合によっては、ビル等の建造物や山等が存在するかもしれない)にも存在し得る。
【0019】
本サービスでは、このような区画毎に、1冊のノートが置かれている。例えば
図1の例では、内部に「SN」の文字が記載されている長方形状のノートが、区画毎に1冊ずつ置かれている様子が描画されている。具体的には例えば、区画GA1にはノートSN1が1冊のみ配置され、区画GAnにはノートSNnが1冊のみ配置されている。
ここで、当然ながら、実空間に紙媒体の現物が置かれているわけではない。即ち、WEB上において「電子的なノート」が所定の区画(位置情報)と対応付けられて管理されることによって、世界中のあらゆる場所に存在する区画毎に、1冊の「電子的なノート」が置かれている状態が実現されているのである。
「電子的なノート」とは、WEB上の所定の場所に存在する記憶デバイスの一領域に存在するものであって、入力された各種情報(例えば、テキスト、画像、音声等の情報)を記憶すると共に、閲覧の請求(アクセス)があった情報を読みだして提示することが可能なものである。
なお、「電子的なノート」の「閲覧」とは、「電子的なノート」に記憶された情報を、ユーザが五感のうち少なくとも1つにより利用することを意味する。従って、「電子的なノート」に音声情報が記憶されている場合、その音声情報に対応する音声をユーザが聴くことも、「閲覧」の一種である。
【0020】
本サービスでは、所定区画に存在するノートは、当該所定空間に存在するユーザのみに対して読み書きが許される。ここでいう読み書きの「読み」は「閲覧」を意味し、「書き」は「記憶」を意味する。従って、入力情報が画像の類であれば、「書き」は「描き」も含み、出力情報が映像(動画像)の類であれば、「読み」は「鑑賞」も含む。
例えば、
図1の例では、ユーザは、スマートフォン等の情報処理端末1(以下、「ユーザ端末1」と呼ぶ)を携帯している。このユーザ端末1には、「電子的なノート」に対して任意の情報を入力して記憶(書き込み)させたり、当該ノートに記憶(書き込み)された情報を読みだして表示(提示)させる機能等を有する専用のアプリケーションソフトウェア(以下、「専用アプリ」と呼ぶ)がインストールされている。
ユーザは、この専用アプリを通じて、自身が存在する場所(区画)に置かれたノートに対して読み書きをすることができる。
例えば
図1の例では、図示せぬユーザは、実世界において区画GA1の中に存在する(より正確には、後述するように区画GA1を含む一定範囲内に存在する)ものとする。この場合、ユーザ端末1(専用アプリ)において、その位置情報が、例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)、より具体的には例えばGPS(Global positioning System)等により検出されると、その位置情報に基づいて、ユーザが「電子的なノート」を読み書き可能な範囲として、区画GA1を含む範囲が特定される。その結果、区画GA1に置かれた「電子的なノート」SN1が専用アプリにおいて自在に読み書き可能な状態になる。そこで、ユーザは、自身が存在する区画GA1に置かれた「電子的なノート」SN1に対して、自在に読み書きすることができる。
一方、ユーザは、自身の存在位置から一定範囲以上離間した区画に置かれた「電子的なノート」、例えば区画GAnに置かれた「電子的なノート」SNnに対しては読み書きをすることはできない。
【0021】
このように、本サービスによれば、道端や公園、お店や観光スポット、富士山の山頂から太平洋のど真ん中まで、さらには、今これを読んでいる読み手の足元にも、「電子的なノート」が必ず存在する。ユーザは、任意の場所に実際に行くと、その場所に置かれた(その場所の位置情報と対応付けられた)「電子的なノート」を開くことができ、その「電子的なノート」に記憶された情報(例えば誰かの書き込み)を見たり、そのノートに対して情報を入力して記憶させること(自分で書き込みをすること)が自在にできる。その書き込む内容は、自由である。ユーザは、そこでの思い出、その時の気持ちや考え、感動した出来事から些細な一言まで、各種各様な情報を「電子的なノート」に入力して記憶させることが可能である。これにより、ユーザは、その場所に自身がいたことを、その場所に残すことができるようになる。
【0022】
さらに、以下、本サービスについて説明する。
まず、本サービスの発想の基礎となった、リアルノートについて説明する。
リアルノートとは、飲食店や観光地や宿泊施設や無人駅等の場所に人為的に設置されている紙体等の従来からあるノートであって、その場所に訪れた人ならば誰もが、読み書きを自在にすることが可能なノートである。
即ち、リアルノートは、来店や来館や来訪や再訪に寄与した、サービスの一環として置かれているものである。
リアルノートは、本明細書での呼称であって、特に決まった呼称(一般名称)が存在しないものの、本発明者らによって現在把握されているだけで日本全国に約2200冊存在している。さらにいえば、リアルノートは、推測すると15000冊以上存在していると考えられ、実際に本発明者らによって実際に確認されたものが248冊存在している。また、昔は置いていたという証拠があるノート(昔のその時点ではリアルノートであったもの)も110冊存在していたことも本発明者らによって確認されている。
つまり、本発明者らは、リアルノートとは、世の中でまだ電子化されていないアナログの貴重な「資源」であることを発見した。
【0023】
そこで、本発明者は、このような発見に基づき、リアルノートを「電子的なノート」に置き換える、いわばアナログの行為をデジタルな行為に置き換えるということを思想した。
具体的には例えば、ユーザ端末1には、GNSS機能が備えられている。本発明者は、このGNSS機能を用いることで、これまでは設置、管理、及び保存が困難であった屋外や海上等、さらには屋内でも物理的に「水平床面」が存在しない場所に、「電子的なノート」を置く(当該「電子的なノート」と、緯度経度に基づく位置情報とを対応付けることによって、正確な位置を特定可能という意)という行為を、プログラムによって実現することができると思想した。
ここで、例えば所定の店舗が存在する場所にも、所定の「電子的なノート」が存在し、その所定の店舗を訪れた顧客(本サービスのユーザ)は、その所定の「電子的なノート」に対して書き込みをすることができる。この場合、その所定の店舗の店員(本サービスの別ユーザ)は、当該所定の店舗にて、その所定の「電子的なノート」の書き込みを見ることで、顧客の要望や意見を知り、それらを店舗のサービスに反映することができる。また、顧客は、その所定の「電子的なノート」を書くために店舗に来訪や再訪することもできる。
【0024】
さらに、本発明者は、全世界の3次元空間を、緯度又は経度で特定可能な複数のグリッドにより、30m×30mの区画を単位として区分するということを思想した。なお、グリッドの間隔は、一例であり、任意の間隔を採用することができる。
このような隣接するグリッドで形成されるマス目が区画である。この区画は、地球上に約5700億個生成される。
そこで、本発明者は、約5700億個の区画の夫々に対して、その場でしか読み書きができない「電子的なノート」を配置させること、即ち、1つの区画(マス目)に1体1対応の「電子的なノート」を配置させることを思想した。
ユーザ端末1は、GNSS機能を用いて自身の位置(ユーザの位置)を緯度経度で割り出し、その位置がどの区画(マス目)に内包されているかを判別し、その区画(マス目)と周囲の8区画(マス目)の3×3の総計9区画の夫々に配置された9個の「電子的なノート」のみを開くことができる。即ち、ユーザは、これら9個の「電子的なノート」に対してのみ読み書きをすることができる。
なお、「電子的なノート」に対してユーザにより書き込まれた(入力された)情報は、その書き込まれた日時やその時点の天気等のメタ情報と共に記憶される。
【0025】
以上の内容を換言すると、本サービスで用いられる「電子的なノート」とは、上述したように、WEB上の所定の場所に存在する記憶デバイスの一領域に存在するものであって、入力された各種情報を記憶すると共に、閲覧の請求(アクセス)があった情報を読みだして提示することが可能なものである。即ち、「電子的なノート」とは、いわば「電子的な器」の一種と把握することができる。換言すると、「電子的な器」とは、デジタルで情報を書き留めたり引き出す(読み書き)ことが自在に可能なオブジェクトであって、上述の「電子的なノート」の他、Webページ(例えば、電子的な掲示板)や石碑等の各種各様な形態を取ることができる。
【0026】
本サービスでは、実世界の3次元空間から他の一部と重複しないように所定の規則に従って区分された、少なくとも2次元の方向に存在する複数の単位領域の夫々に対して、情報の格納及び提示が可能な「電子的な器」の夫々が対応付けて管理される。
ここで、「重複しない」とは、厳密に重複しない場合のみならず、誤差等を考慮して境界部分等が少量だけ一部重複している場合も含む広義な概念である。
より具体的には例えば、実世界の3次元の空間がグリッド等のモジュール化された繰り返し単位によって生成された区画(マス目)が、単位領域の一例である。このような区画等の単位領域に対して1対1で「電子的な器」が対応付けられる(配置される)。
【0027】
この場合、第1ユーザにより入力された情報は、当該第1ユーザの実世界の存在位置に基づいて決定される単位領域に対応付けられた「電子的な器」に格納される。
ここで、第1ユーザの実世界の存在位置に基づいて決定される単位領域とは、書き込み対象の「電子的な器」が配置(対応付けられた)されているものであり、典型的には、第1ユーザの実世界の存在位置を包含する単位領域(区画)である。
ただし、誤差等を考慮して、実際には、第1ユーザの実世界の存在位置を包含する単位領域(区画)のみならず、その周囲の複数の単位領域(区画)、例えば第1ユーザの実世界の存在位置を包含する単位領域(区画)を中心とする3×3個の単位領域群が書き込み対象とされて、その書き込み対象内の任意の区画に対応付けられた「電子的な器」に、第1ユーザにより入力された情報が格納されてもよい。
【0028】
また、第2ユーザにより情報の提示が要求された場合、当該第2ユーザの実世界の存在位置に基づいて決定される単位領域に対応付けられた「電子的な器」に格納された情報が、当該第2ユーザに提示される。
ここで、第2ユーザの実世界の存在位置に基づいて決定される単位領域とは、提示(読み出し)対象の「電子的な器」が配置(対応付けられた)されているものであり、典型的には、第2ユーザの実世界の存在位置を包含する単位領域(区画)である。
ただし、誤差等を考慮して、実際には、第2ユーザの実世界の存在位置を包含する単位領域(区画)のみならず、その周囲の複数の単位領域(区画)、例えば第2ユーザの実世界の存在位置を包含する単位領域(区画)を中心とする3×3個の単位領域群の中の任意の1つが読み込み対象(提示対象)とされて、その読み込み対象(提示対象)に対応付けられた「電子的な器」から、情報が読みだされて第2ユーザに提示されてもよい。
【0029】
なお、書き込み対象となる1以上の単位領域と、読み込み対象(提示対象)となる1以上の単位領域とは、それぞれ独立して設定が可能であり夫々別々に設定されてもよいが、以下の例では、同一の3×3個の単位領域群であるものとする。
【0030】
以下、このような本サービスに適用可能な情報処理システム、即ち本発明の一実施形態に係る情報処理システムについて、
図2以降の図面を参照して説明していく。
【0031】
図2は、
図1の本サービスが適用される情報処理システム、即ち本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成の例を示す図である。
図2に示す情報処理システムは、n人(nは任意の整数値)の夫々により携帯されて操作されるユーザ端末1-1乃至1-nと、サーバ2とが、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に接続されることで構成される。
なお、以下、ユーザ端末1-1乃至1-nを個々に区別する必要がない場合、これらをまとめて「ユーザ端末1」と呼ぶ。
【0032】
ここで、本実施形態では、サーバ2は、本サービスの提供者により管理される。即ち、本サービスの提供者は、当該本サービスを提供する事業主体である。ただし、ここでいう管理は、本サービスの提供者自身が直接的に管理していることの他、サーバの運営会社等別の者に管理を委託する等間接的に管理していることも含むものとする。
【0033】
図3は、
図2の情報処理システムのうちサーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0034】
サーバ2は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0035】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0036】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0037】
出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。
入力部17は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。
【0038】
記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNを介して他の装置(
図1の例ではユーザ端末1)との間で通信を行う。
【0039】
ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。
また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0040】
なお、図示はしないが、
図2の情報処理システムのユーザ端末1も、GNSS機能の他は、
図3に示すサーバ2のハードウェア構成と基本的に同様の構成を有している。従って、ユーザ端末1のハードウェア構成の説明については省略する。
【0041】
このような
図3のサーバ2の各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、上述の
図1の本サービスの提供に必要な処理の実行が可能になる。
以下、このような処理を実行するためのサーバ2の機能的構成の一例について説明する。
図4は、
図3のサーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0042】
図4に示すように、サーバ2のCPU11においては、ノート書込制御部51と、ノート閲覧制御部52と、ノート管理部53と、解析部54と、新マップ生成部55とが機能する。
【0043】
記憶部18の一領域には、ノートDB81が設けられている。
ノートDB81は、ノート管理部53の管理のもと、各区画の夫々に対応付けられた「電子的なノート」を格納している。
即ち、本例では、実世界の3次元空間から他の一部と重複しないように所定の規則に従って区分された、少なくとも2次元の方向に存在する複数の単位領域の夫々として、上述の「区画」が採用されている。「区画」とは、上述したように、緯度方向及び経度方向の夫々のグリッドにより所定間隔で地球表面が区分された場合における、隣接するグリッドで形成される1つの閉領域である。具体的には例えば本例では、上述のように、30m×30mの「区画」が採用されている。このため、地球の地平面上に約5700億個の「区画」が存在することになり、これら約5700億個の「区画」の夫々に対して、1対1対応で「電子的なノート」が対応付けられている。
即ち、これら約5700億冊分の「電子的なノート」(電子的な器としてのデータ)が、約5700億個の「区画」の夫々と対応付けられてノートDB81に格納されている。
【0044】
ノート書込制御部51は、ユーザUK(Kは、1乃至nのうち任意の整数値)によりユーザ端末1-Kに入力された情報を、通信部19を介して取得して、当該ユーザUKの実世界の存在位置に基づいて決定される「区画」に対応付けられた「電子的なノート」に書き込み制御を実行する。
ここで、ユーザUKの実世界の存在位置に基づいて決定される「区画」とは、上述のように任意でよいが、本例では、ユーザUKの存在位置(ユーザ端末1-Kの位置)を包含する区画とその周囲の8区画の3×3の総計9区画のうち何れか1つであるものとする。なお、以下、ユーザUKの実世界の存在位置に基づいて決定される「区画」を、即ち書込み対象の「電子的なノート」が配置された(対応付けられた)「区画」を、以下、「書込み対象区画」と呼ぶ。
【0045】
ノート書込制御部51には、入力情報取得部61と、位置情報取得部62と、書込ノート特定部63と、情報格納制御部64と、メタ情報取得部65と、書込ノート提示制御部66とが設けられている。
【0046】
ユーザUKは、ユーザ端末1-Kを操作して、「書込み対象区画」に配置された「電子的なノート」に対して、書込みを所望する情報(以下、「書込み用情報」と呼ぶ)を入力する。ユーザ端末1-Kは、書込み用情報をネットワークNを介してサーバ2に送信する。
そこで、入力情報取得部61は、その入力情報を通信部19を介して取得して、情報格納制御部64に提供する。
【0047】
位置情報取得部62は、ユーザUKの存在位置(ユーザ端末1-Kの存在位置を緯度、経度で示す情報)をユーザ端末1-Kから通信部19から取得して、書込ノート特定部63に供給する。
書込ノート特定部63は、位置情報取得部62により取得された位置情報に基づいて上述の「書込み対象区画」を決定する。
より具体的には例えば、書込ノート特定部63は、位置情報取得部62により取得された位置情報に基づいて、3×3の総計9個の「区画」を「書込み対象区画」の候補(後述の
図5の枠AMで囲まれる9個の「区画GA1」乃至「区画GA9」)として決定する。そして、書込ノート特定部63は、これら9個の候補のうちユーザUKにより指定された1つを、「書込み対象区画」として決定する。
そして、書込ノート特定部63は、その「書込み対象区画」に置かれた(対応付けられた)「電子的なノート」を、書込み対象として特定する。
【0048】
情報格納制御部64は、入力情報取得部61により取得された入力情報(ユーザUKにより入力された情報)を、書込ノート特定部63により書込み対象として特定された「電子的なノート」に対して書き込む(記憶する)制御を実行する。情報格納制御部64は、その入力情報が記憶された「電子的なノート」を、「書込み対象区画」と対応付けてノートDB81に格納(上書き)して管理する制御を実行する。
【0049】
メタ情報取得部65は、メタ情報を、ユーザ端末1-Kやその他図示せぬ各種装置から通信部19を介して取得する。
ここで、メタ情報としては、任意のものを採用することができるが、例えばユーザUKの属性(年齢や性別等)の他、そのユーザUKのコンテクスト情報を採用することができる。コンテクスト(context)とは、ユーザUKの内的状態及び外的状態の全てを指す。ユーザUKの内的状態とは、ユーザUKの身体や脳の働きに起因する状態、例えばユーザUKの、行動、体調、情動(気分や心理状態)等を指す。また、ユーザUKの外的状態とは、ユーザUKの空間的又は時間的な配置位置(時間的な配置位置とは、例えば、現在時刻を指す)の他、ユーザUKの周囲の空間方向もしくは時間方向又は全方向に分布する所定の状態(周囲環境の状態)も指す。例えば、天気、GNSSによる緯度や経度、高度等はコンテクスト情報のうち外的状態を指す情報の一例である。
この場合、情報格納制御部64は、メタデータを、入力情報が記憶された「電子的なノート」と共に、「書込み対象区画」と対応付けてノートDB81に格納(上書き)して管理する制御を実行する。
【0050】
書込ノート提示制御部66は、書込ノート特定部63によって特定された書込み対象の「電子的なノート」を、ユーザUKに提示する。
具体的には例えば、書込ノート提示制御部66は、ユーザ端末1-Kの位置(ユーザUKの位置)を含む地図の画像であって、複数の区画及び夫々に配置された「電子的なノート」のアイコンを含む画像(以下、「ノート配置画像」と呼ぶ)を、ユーザ端末1-Kに表示させることで、ユーザUKに提示する。
ノート配置画像は、その具体例については
図5を用いて後述するが、ユーザUKの位置(ユーザ端末1-Kの位置)を中心とする3×3の総計9個の「区画」を、「書込み対象区画」の候補として含んでいる。具体的には例えば、後述の
図5のノート配置画像maは、枠AMで囲まれる9個の「区画GA1」乃至「区画GA9」を、「書込み対象区画」の候補として含んでいる。
ユーザUKは、ユーザ端末1-Kを操作して、この「書込み対象区画」の候補の中から所望の1つを、「書込み対象区画」として決定する。或いは、ユーザUKは、ユーザ端末1-Kを操作して、この「書込み対象区画」の候補の中から所望の1つに配置された「電子的なノート」を、書込み対象として決定する。
すると、書込ノート提示制御部66は、書込み対象の「電子的なノート」を示す画像(以下、「ノート画像」と呼ぶ)を、ユーザ端末1-Kに表示させることで、ユーザUKに提示する。なお、ノート画像の具体例については、
図6を参照して後述する。
ユーザUKは、ユーザ端末1-Kを操作して、このノート画像に対して、任意の情報を入力情報として書込むことができる。
【0051】
このようなノート書込制御部51に対して、ノート閲覧制御部52は、ユーザUH(Hは、1乃至nのうちKとは独立した任意の整数値。ただし、H=Kの場合もある)によりユーザ端末1-Hを介して情報の提示が要求された場合、次のような制御を実行する。即ち、ノート閲覧制御部52は、当該ユーザUHの実世界の存在位置に基づいて決定される「区画」に対応付けられた「電子的なノート」に格納された情報を、ユーザUHに提示する(ユーザ端末1-Hに表示させる)制御を実行する。
ここで、ユーザUHの実世界の存在位置に基づいて決定される「区画」とは、上述のように任意でよいが、本例では、ユーザUHの存在位置(ユーザ端末1-Hの位置)を包含する区画とその周囲の8区画の3×3の総計9区画のうち何れか1つであるものとする。なお、以下、ユーザUHの実世界の存在位置に基づいて決定される「区画」を、即ち閲覧対象の「電子的なノート」が配置された(対応付けられた)「区画」を、以下、「閲覧対象区画」と呼ぶ。
【0052】
ノート閲覧制御部52には、閲覧要求取得部71と、位置情報取得部72と、閲覧ノート特定部73と、閲覧ノート提示制御部74とが設けられている。
【0053】
ユーザUHは、ユーザ端末1-Hを操作して、「閲覧対象区画」に配置された「電子的なノート」に対して、閲覧を所望する旨の要求(以下、「ノート閲覧要求」と呼ぶ)を入力する。ユーザ端末1-Hは、ノート閲覧要求をネットワークNを介してサーバ2に送信する。
そこで、閲覧要求取得部71は、そのノート閲覧要求を通信部19を介して取得して、閲覧ノート提示制御部74に提供する。
【0054】
位置情報取得部72は、ユーザUHの存在位置(ユーザ端末1-Hの存在位置を緯度、経度で示す情報)をユーザ端末1-Hから通信部19から取得して、閲覧ノート特定部73に供給する。
閲覧ノート特定部73は、位置情報取得部72により取得された位置情報に基づいて上述の「閲覧対象区画」を決定する。
より具体的には例えば、閲覧ノート特定部73は、位置情報取得部72により取得された位置情報に基づいて、3×3の総計9個の「区画」を「閲覧対象区画」の候補(後述の
図5の枠AMで囲まれる9個の「区画GA1」乃至「区画GA9」)として決定する。そして、閲覧ノート特定部73は、これら9個の候補のうちユーザUHにより指定された1つを、「閲覧対象区画」として決定する。
そして、閲覧ノート特定部73は、その「閲覧対象区画」に置かれた(対応付けられた)「電子的なノート」を、閲覧対象として特定する。
【0055】
なお、本例では、ユーザUKとユーザUHとが同一位置に存在する場合、書込み対象区画と、閲覧対象区画とは、同一の領域となる。ただし、これは例示であって、書込み対象区画と、閲覧対象区画とは、相互に独立したものとして、ユーザUKとユーザUHとが同一位置に存在する場合であっても必ずしも同一の領域とする必要はない。
【0056】
閲覧ノート提示制御部74は、閲覧ノート特定部73によって特定された閲覧対象の「電子的なノート」を、ユーザUHに提示する。
具体的には例えば、閲覧ノート提示制御部74は、ユーザ端末1-Hの位置(ユーザUHの位置)を含むノート配置画像を、ユーザ端末1-Hに表示させることで、ユーザUHに提示する。
ノート配置画像は、その具体例については
図5を用いて後述するが、ユーザUHの位置(ユーザ端末1-H)の位置を中心とする3×3の総計9個の「区画」を、「閲覧対象区画」の候補として含んでいる。具体的には例えば、ユーザUKとユーザUHとが同一位置に存在する場合、後述の
図5のノート配置画像maは、枠AMで囲まれる9個の「区画GA1」乃至「区画GA9」を、「閲覧対象区画」の候補として含んでいる。
ユーザUHは、ユーザ端末1-Hを操作して、この「閲覧対象区画」の候補の中から所望の1つを、「閲覧対象区画」として決定する。或いは、ユーザUHは、ユーザ端末1-Hを操作して、この「閲覧対象区画」の候補の中から所望の1つに配置された「電子的なノート」を、閲覧対象として決定する。
すると、閲覧ノート提示制御部74は、閲覧対象のノート画像を、ユーザ端末1-Hに表示させることで、ユーザUHに提示する。
ユーザUHは、ユーザ端末1-Hを操作して、このノート画像に書き込まれた(記憶された)各種情報を閲覧することができる。
【0057】
上述したように、このようなノート書込制御部51やノート閲覧制御部52と共に、さらに、ノート管理部53と、解析部54と、新マップ生成部55とがサーバ2において機能する。
【0058】
ノート管理部53は、実世界の3次元空間から他の一部と重複しないように所定の規則に従って区分された、少なくとも2次元の方向に存在する複数の「区画」の夫々に対して、「電子的なノート」の夫々を対応付けてノートDB81に格納して管理する。
【0059】
解析部54は、ノート管理部53により管理される「電子的なノート」から得られる、その配置場所固有の書き込み内容やメタ情報を解析することで、リアルタイムのGIS(Geographic Information System)データを取得することができる。
【0060】
ここで、このようなGISデータの取得の技術だけは従来から存在した。しかしながら、従来のGISデータは、人の動きや年齢性別等の表層データのみをであった。
これに対して、解析部54が存在するため、本サービスでは人の気持ちや記憶を含んだデータがGISデータとして収録可能である。
また、解析部54は、所定の区画の「電子的なノート」に記憶された写真等を解析することで、その所定の区画の風景や建築物等のアーカイブの変遷をユーザに提示することが容易にできる。
【0061】
以上まとめると、ノート管理部53の管理により、全世界のあらゆる場所(各区画)毎に「電子的なノート」が配置され(そのように管理され)、その場所を訪れたユーザUKにより各種情報が入力されて記憶されるので、次のような各種各様なことが可能になる。
即ち、解析部54の解析結果に基づいて、全世界のあらゆる場所(各区画)毎にリアルタイムのGISデータの取得が可能になる。
解析部54は、全世界のあらゆる場所(各区画)毎に配置された「電子的なノート」の夫々を対象として、人(ユーザUK)による書き込みの内容の解析や、メタ情報(年齢や性別の属性情報の他、時間、天気、GNSS情報、高度情報等のコンテクスト情報)の解析をすることが可能になる。これらの解析の結果に基づいて、各種各様なアクティビティの提供が可能になる。
また例えば、解析部54の解析の結果に基づいて、吉本隆明により提言されている「幹の言葉」、即ち、未だ世に出回っていない言葉達のデータの収集が可能になる。
また例えば、解析部54の解析の結果に基づいて、災害対策(リアルタイム)や、津波緊急誘導の一助となることも可能である。
また例えば、専用アプリを介して、「電子的なノート」が各区画毎に配置された様子を示す地図の画像(ノート配置画像)や、ユーザの存在位置に応じて読み書き可能な「電子的なノート」の画像(ノート画像)がユーザ端末1に表示される(後述する
図5や
図6参照)。このような地図や「電子的なノート」に対して、解析部54の解析の結果に基づいて、その場所限定の適切な広告を掲載させることが可能になる。
【0062】
さらにまた、解析部54は、全世界のあらゆる場所(各区画)毎に配置された「電子的なノート」の夫々の書き込みの内容を解析することができる。
新マップ生成部55は、このような解析部54の解析の結果に基づいて、人類のための新たな地図(データ)を作成することが可能になる。
具体的には例えば、新マップ生成部55は、緯度経度、陸と海の境界情報、高度、交通、人口分布等からリアルタイムの地図のデータを生成することが可能になる。また例えば、新マップ生成部55は、いわば集合知のような地図のデータ、Wikipedia(登録商標)の地図版のようなデータ、全地球人で作っていく人々の記憶が盛り込まれた4次元の地図(縦×横×高さの空間方向の3次元に加えて時間方向の1次元を加えた4次元の地図)のデータ等、各種各様な新たな地図のデータを生成することが可能になる。
【0063】
次に、
図5乃至
図10を参照して、このような
図4の機能的構成を有するサーバ2の制御に基づいて、ユーザ端末1に表示される各種画面の具体例について説明する。
【0064】
図5は、
図2のユーザ端末に表示される画面のうち、ノート配置画像の一例を示す図である。
図5に示すように、ノート配置画像maは、ユーザ端末1の位置(ユーザUの位置)を含む地図に対して、緯度方向及び経度方向の夫々のグリッドが所定間隔(本例では30m)毎に重畳して描画された画像である。即ち、隣接するグリッドで形成される1つの閉領域が、1つの「区画」を示している。
1つの「区画」内には、そこに配置された1つの「電子的なノート」のアイコンが描画されている。
ノート配置画像maは、枠AMで囲まれる9個の「区画GA1」乃至「区画GA9」を、「書込み対象区画」又は「閲覧対象区画」の候補として含んでいる。即ち、「区画GA5」が、ユーザの位置(ユーザ端末1の位置)を含む区画である。その「区画GA5」を中心として、それらの周囲の3×3の総計9個の「区画GA1」乃至「区画GA9」が、「書込み対象区画」又は「閲覧対象区画」の候補であることを示す枠AMで囲まれている。
これにより、ユーザは、枠AMをみるだけで、その中心の「区画GA5」内に自分自身が位置すること、そして、その「区画GA5」を含む「区画GA1」乃至「区画GA9」が「書込み対象区画」又は「閲覧対象区画」の候補であることを容易かつ即座に視認することができる。
そこで、ユーザは、「区画GA1」乃至「区画GA9」の夫々に配置された「電子的なノートSN1」乃至「電子的なノートSN9」のうち所望のものを、ユーザは書込み対象又は閲覧対象として選択することが容易かつ即座にできる。
【0065】
ここで注目すべき点は、各区画内に配置される「電子的なノート」のアイコンは、その状態に応じた表示形態(例えば状態に応じた色)で表示される点である。
ここで、「電子的なノート」の状態としては、例えば、書込み又は閲覧をしようとするユーザにより書込みが既になされている第1状態と、何かしらの書き込みが1以上なされている第2状態と、書込みが1つもされていない第3状態とを採用することができる。
この第1状態乃至第3状態の夫々に応じた異なる夫々の色(
図5の例では濃淡)により、「電子的なノート」の状態の表現が可能になる。
例えば
図5の例では、区画GA5に配置された「電子的なノートSN5」のアイコン、及び区画GA8に配置された「電子的なノートSN8」のアイコンが、一番濃い色で表示されている。これは、「電子的なノートSN5」及び「電子的なノートSB8」が、書込み又は閲覧をしようとするユーザにより書込みが既になされている第1状態であることを意味する。
また例えば
図5の例では、区画GA4に配置された「電子的なノートSN4」のアイコン、及び区画GA7に配置された「電子的なノートSN7」のアイコンが、中間色で表示されている。これは、「電子的なノートSN4」及び「電子的なノートSB7」が、何かしらの書込みが既になされている第2状態であることを意味する。
また例えば
図5の例では、区画GA1に配置された「電子的なノートSN1」のアイコン、区画GA2に配置された「電子的なノートSN2」のアイコン、区画GA3に配置された「電子的なノートSN3」のアイコン、区画GA6に配置された「電子的なノートSN6」のアイコン、及び区画GA9に配置された「電子的なノートSN9」のアイコンが、白色で表示されている。これは、「電子的なノートSN1」、「電子的なノートSN2」、「電子的なノートSN3」、「電子的なノートSN6」、及び「電子的なノートSN9」が、書込みが1つもされていない第3状態であることを意味する。
このように、「電子的なノート」の状態に応じて、そのアイコンが異なる形態で表示されるので、ユーザは、各場所(区画)に置かれた夫々の「電子的なノート」の状態を容易かつ即座に視認することができる。これにより、例えば、現在の自分が存在する位置に対してこれだけ離れた位置に、何かしらの書き込みがなされた「電子的なノート」があるので、これを閲覧しにその位置に行ってみよう、といったことを容易かつ即座にユーザは判断することができて便宜である。
【0066】
このような
図5のノート配置画像maにおいて、書込み対象又は閲覧対象の「電子的なノート」がユーザにより選択されると、その「電子的なノート」を示すノート画像がユーザ端末1に表示される。
図6は、
図2のユーザ端末に表示される画面のうち、ノート画像の一例を示す図である。
図6に示すように、「電子的なノート」を構成する複数のページ毎に、所定ページに書込まれた(記憶された)内容を示す画像(以下、「ページ画像」と呼ぶ)が対応付けられている。例えば、
図6には、1ページ目を示すページ画像SNK1、及び2ページ目を示すページ画像SNK2が示されている。
ユーザは、ユーザ端末1を操作することで、紙媒体のノートのページを送るのと同様に、「電子的なノート」のページを送ることが自在にできる。そして、ユーザは、ユーザ端末1を操作することで、現在見開かれたページを示すページ画像に書き込まれた各種情報を閲覧したり、当該ページ画像の余白部分に各種情報を書込みすることが容易にできる。
【0067】
図7は、
図2のユーザ端末に表示される画面のうち、ノート配置画像の一例を示す図であって、
図5とは異なる例を示す図である。
図7の例の配置画像は、
図5のものと同一である。
図8の例のノート配置画像は、
図7の例のノート配置画像と同一縮尺であるが、視点を異ならせたものである。
図9の例のノート配置画像は、
図7の例のノート配置画像に対して、視点は同一であるが、その縮尺を異ならせたものである。
図9に示すように、縮尺が一定以下になると、30m×30mの「区画」を表示させること(他とは重複させないこと)は困難になるため、「区画」の表示は消える。また、「電子的なノート」のアイコンも重なって見にくくなるため、所定の状態(同図の例では、何かしらの書込みがなされている第2状態)の「電子的なノート」のアイコンのみを表示させることが可能である。
図10の例のノート配置画像は、
図7及び
図9の各例のノート配置画像に対して、視点は同一であるが、その縮尺を異ならせたものである。
【0068】
図11は、
図2のユーザ端末に表示される画面のうち、ノート配置画像の一例を示す図であって、
図5や
図7とは異なる例を示す図である。
図11の例のノート配置画像は、その縮尺が縮小されているため、表示可能な1つの領域の単位が、非常に多くの「区画」を含むものとなっている。
このため、この1つの領域の単位毎に、所定の状態(例えば、何かしらの書込みがなされている第2状態)の「電子的なノート」の配置数SNG(所定の状態の「電子的なノート」が置かれている「区画」の総数SNG)を示すアイコンが表示される。所定の状態の「電子的なノート」の配置数SNGが多ければ多いほど、そのアイコンの高さは高くなっていく。
【0069】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものとみなす。
【0070】
例えば、「電子的なノート」が置かれる「区画」は、上述の実施形態では、地球の地表面に存在する2次元平面とされたが、特にこれに限定されず、一定の高さを有する3次元空間とされてもよい。この場合、3次元空間(一定の高さを有するという意)の「区画」の配置位置は、任意の高さの範囲であってよい。即ち、緯度及び経度でいえば(2次元座標でいえば)同一の領域であったとしても、異なる高さ毎に別々の「区画」が設けられ、別々の「電子的なノート」が置かれることになる。
この場合、高さ方向は上空に向けたプラス方向であってもよいし、下方に向けたマイナス方向であってもよい。
【0071】
例えば、「区画」に置かれるものは、上述の実施形態では「電子的なノート」とされたが、特にこれに限定されず、「電子的な器」であれば足りる。即ち、「電子的なノート」は、「電子的な器」の例示に過ぎない。その他、電子的な掲示板や電子的な石碑等を、「電子的な器」の別の例として採用することができる。
【0072】
また例えば、上述の実施形態では、「電子的な器」(「電子的なノート」)が配置される(対応付けられる)単位は、緯度及び経度に夫々沿ったグリッドで囲まれるマス目としての「区画」であったが、特に限定されない。即ち、実世界の3次元空間から他の一部と重複しないように所定の規則に従って区分された、少なくとも2次元の方向に存在する複数の単位領域の夫々に対して、「電子的な器」が置かれる(対応付けられる)ようにすれば足りる。
【0073】
また例えば、上述の実施形態では、1つの単位領域に対して1つの「電子的な器」(1冊の「電子的なノート」)が配置された(対応付けられた)が、特にこれに限定されない。
例えば、1つの単位領域における情報の書き込みの量が非常に多い場合(1冊の「電子的なノート」の容量を超える場合)、2冊以上の「電子的なノート」がその単位領域に配置されてもよい(対応付けられてもよい)。
また例えば、テキストのみが記憶される「電子的なノート」、画像のみが記憶される「電子的なノート」等のように、複数種類の「電子的なノート」(つまり、異なる種類の複数冊の「電子的なノート」)が、1つの単位領域に対して配置される(対応付けられる)ようにしてもよい。
【0074】
また例えば、所定の単位領域に配置された「電子的な器」(「電子的なノート」)に対して情報の記憶や提示が可能になるか否かは、ユーザの位置に基づいて判断された。この場合、ユーザの位置は、上述の実施形態では、当該ユーザが保有するユーザ端末1のGNSS情報に基づいて特定されたが、特にこれに限定されず、例えばユーザ端末1のWifi(登録商標)機能を用いてユーザの位置が特定されてもよい。
【0075】
また例えば、解析部54の解析結果は、上述の実施形態では新マップの生成に用いられたが、特に限定されず、各種各様な任意のものに対して用いることが可能である。
具体的には例えば、解析部54の解析結果に基づいて書籍化することもできる。
例えば解析部54により「電子的な器」に記憶されたテキストについて、どのようなキーワードが含まれているのかの解析がなされた場合、その解析対象のキーワード(例えば「美味しい」というキーワード)の可視化、例えばキーワードランキング等の提示が可能になる。
また例えば、解析部54の解析結果に基づいて広告をユーザ端末1に提示等することもできる。
【0076】
また例えば、上述の実施形態では、所定の位置に存在する第1ユーザにより入力された情報(書き込まれた情報)は、その所定の位置を含む単位領域(その一例の「区画」)に置かれた「電子的な器」に集約された。そして、当該単位領域に存在する第2ユーザにより、その「電子的な器」が閲覧されることにより、第1ユーザにより入力された情報(書き込まれた情報)が第2ユーザに提示された。
しかしながら、情報の集約のタイミングや単位は、特にこれに限定されない。
【0077】
例えば、所定の位置に存在する第1ユーザにより入力された情報(書き込まれた情報)は、その時点では、当該所定の位置(1点)と対応付けられて記憶される。
その後、第2ユーザが情報の閲覧を求めた場合、その閲覧を求めたときに第2ユーザが存在する位置を基準として決定される所定の範囲(例えばその基準を中心とする半径30mの円の内部の範囲)内に存在する情報(1点と対応付けられて記憶された情報)を集約して、第2ユーザに提示されるようにしてもよい。
この場合、第1ユーザがかつて存在した「所定の位置」が、第2ユーザが情報の閲覧を求めた際に決定される「所定の範囲」の中に含まれていれば、第1ユーザにより入力された情報(書き込まれた情報)が第2ユーザに提示されることになる。
【0078】
つまり、情報処理装置(サーバ等)は、次に示すような情報格納制御機能と情報提示制御手段とを有すれば足りる。
情報格納制御機能とは、第1ユーザにより入力された情報を、当該第1ユーザの実世界の存在位置に基づいて決定される第1種領域と対応付けて格納する制御を実行する機能である。
情報提示制御機能とは、第2ユーザにより情報の提示が要求された場合、当該第2ユーザの実世界の存在位置に基づいて決定される第2種領域に対して、少なくとも一部が含まれる前記第1種領域と対応付けられて格納されている情報を、前記第2ユーザに提示する制御を実行する機能である。
【0079】
さらに例えば、単位領域に配置された「電子的な器」に対して、情報の記憶又は提示ができる範囲は、上述の実施形態では、当該単位領域に基づくものであったが、特にこれに限定されず、任意に設定することができる。
具体的には例えば、単位領域に配置された「電子的な器」に対して、任意の位置(例えば遠方の位置)から情報の記憶は可能であるが、情報の提示は当該単位領域に基づく範囲内でしかできないように設定してもよい。逆に、単位領域に配置された「電子的な器」に対して、情報の記憶は当該単位領域に基づく範囲内でしかできないが、情報の提示は任意の位置(例えば遠方の位置)から可能になるように設定してもよい。また例えば、上述の実施形態のように、情報の記憶も提示も、当該単位領域に基づく範囲内でしかできないように設定してもよい。逆に、情報の記憶も提示も任意の位置(例えば遠方の位置)から可能となるように設定することができる。
【0080】
(第2実施形態)
以下、
図12乃至
図31を参照して第2実施形態を説明する。
まず、
図12乃至
図23を参照して「電子的なノート」への書き込み及び閲覧の条件、区画(単位領域)の形状等の変更例を説明する。
上述した実施形態では、例えば
図5に示したように、「電子的なノート」への書き込み及び閲覧の条件、区画(単位領域)の形状等について、下記のように、
(1)条件として、その場でしか書き込めず、その場でしか閲覧できない、
(2)区画の区分や間隔について、単位領域を30x30のマス目で均等に区分、区画を重複しないように区分、
(3)区画の位置や形状について、ユーザ側もサービス運営側も変えることができない不可変と設定、
(4)区画のベースについて、ベースを、実世界の位置情報が記載されたマップ又は地球上の位置、
として規定(定義)したが、これ以外にも単位領域の形状や条件を規定してもよい。
【0081】
以下に「電子的なノート」への書き込み及び閲覧の条件、区画(単位領域)の形状や条件を規定する例を説明する。
(1)条件について、
「電子的なノート」へは、その場でしか書き込めないが、閲覧はどこからでも可能、どこからでも書き込めるが、その場でしか閲覧できない、どこからでも書き込めるし、閲覧もできる、等の条件にしてもよい。
【0082】
(2)区画の区分や間隔について、
図12に示すように、緯度方向のグリッドIGや経度方向のグリッドKGの幅を変え配置し、区画GA(単位領域)を異なる形状や大きさのマス目で不均等に区分してもよい。
【0083】
上記実施形態では、「電子的なノート」への読み込み及び閲覧を可能とするエリアを重複しないように配置したが、隣接するエリアを重複させてもよい。
この場合、
図13に示すように、エリア131、132毎にエリアの大きさや形状が異なる場合もあり、またエリア131とエリア132のようにエリアが重複する場合もある。
例えばエリアが重複する地点Aでは、夫々のエリア131、132の「電子的なノート」が複数配置されたアイコンが表示される。
ユーザは、複数のアイコンの中から所望のアイコンを選んで押下することで、当該「電子的なノート」への読み込み及び閲覧が可能になる。
また、「電子的なノート」への読み込み及び閲覧を一つのシステムで管理するのではなく、「電子的なノート」に情報を書き込みが可能なエリアを管理する第1システムと「電子的なノート」に情報の閲覧が可能なエリアを管理する第2システムとを分けてもよい。
この場合、
図13のエリアを例にすると、第1システムが管理するエリア131と第2システムが管理するエリア132とがあるものとする。
エリア131とエリア132とが重複する場所、例えば第1システムが管理するエリア131と第2システムが管理するエリア132が重複する地点Aでは、ユーザは、「電子的なノート」に情報を入力でき、かつ「電子的なノート」から情報を読み出して閲覧できるようになる。
閲覧側の第2システムに関しては、第1システムに管理されている情報を取得する必要があるため、情報取得パターンとしては、第1及び第2の2つの情報取得パターンがある。
第1情報取得パターンは、書込み時の1つ1つの投稿の緯度経度に分解し、閲覧時の新たな範囲に包含される投稿を取得するパターンである。
第2情報取得パターンは、書込み時に採用されたノートの投稿集約エリアを記憶したまま、閲覧時の新たなエリアに包含される書込み時のノートの投稿集約エリアが少しでも重複した場合は全て取得するパターンである。
【0084】
(3)区画の位置や形状の変更について、
上記実施形態では、区画について、30m四方のマス目であり、区画の位置や形状は不可変と説明したが、ユーザが範囲の「位置」や「形状」を自由に作れるようにしてもよく、また変化させられるようにしてもよい。さらに、サービス側が、書き込み数や、時間、場所等によって、エリアを変化させるようにしてもよい。
例えば
図14に示すように、グリッドGIを縦横斜めにランダムに引いて形成される台形141やその他の多角形の範囲を区画としてもよい。
また、
図15に示すように、独立したエリアで形成される区画としてもよい。具体的には、例えば手書きで描いた線の始点と終点を合わせて閉領域としたエリア151や孤立する三角形のエリア152等を区画としてもよい。
また、
図16に示すように、サービス側の設定として、一定のルールの基、又はサービス側の操作により、電子的な器の場所や器に触れられるエリアを、マップ上をランダムに動かせるようにしてもよい。
さらに、
図17に示すように、ユーザの操作設定として、地点Aで電子的な器をドラッグ操作等で拾い、移動後、地点Bに置く等の操作により、器の場所や器に触れられるエリアを動かせるようにしてもよい。
これによりユーザは、「電子的なノート」を好きな位置に自由に移動したり、エリアを変えることができるので、過去に「電子的なノート」が配置された仮想空間の場所と、現在の場所が区画整理等によって変化してしまい、ずれた場合にそのずれを修正することができる。
【0085】
(4)区画のベースについて、
上記実施形態では、区画のベースを、実世界の位置情報が記載されたマップ又は地球上の位置としたが、マップや地球上の位置の他に、
図18に示すように、地球上の一部の空間を模した仮想現実の立体世界181を区画のベースにしてもよい。
また、
図19に示すように、地球の場所とは異なる世界観の仮想現実の立体世界191、
図20に示すように、地球の場所とは異なる世界観の平面的な世界201を区画のベースにしてもよい。
さらに、
図21に示すように、ベース自体をシミュレーションによりユーザが新たに創造してゆくことができるゲームの世界211を区画のベースにしてもよい。
また、
図22に示すように、例えば太陽、月、火星、木星、土星等の太陽系の星々のように、地球以外の天体221を地球同様に区画のベースとしてもよい。
即ち、位置情報と関連付けて情報を入力したり閲覧可能な世界であれば、様々なベースを本発明に適用することができる。
【0086】
上記実施形態では、ユーザが店舗に訪れたときに、その場所において、「電子的なノート」を読み書きできるものとしたが、この他、例えば
図23に示すように、ある店舗231にユーザが入店している時、又はある店舗231の近くにユーザがいる時にユーザ端末1のアプリが、入室できる仮想店舗232を設けた画面を表示し、その仮想店舗232自体を「電子的な器」とし、仮想店舗232でユーザが行った行為や入店履歴の少なくとも一部を記録として残すものとする。
なお、仮想店舗232に「電子的なノート」233を配置してもよい。この場合の「電子的なノート」233は、単なる落書き帳としての機能だけではなく、例えばカフェ等ではメニューの役目を担うものとする。
即ち、この例では、現実の店舗の所在地と「電子的な器」である仮想店舗の空間とをほぼ1対1に対応させている。
この場合の店舗の特定方法は、例えばGPS、Wi-Fi、携帯キャリアの無線基地局、ビーコン等を利用する。
例えば屋外等では、GPSにより特定される現在のユーザ端末の位置が仮想店舗のエリア内に入ったことが検出されると、ユーザ端末の画面に仮想店舗をポップアップ表示するようにしてもよい。
また、実店舗の店内だけに届くような強度でビーコン信号を発信しておき、ユーザが実店舗の店内に入ったときにユーザ端末のアプリが、ビーコン信号を検出し、ユーザ端末の画面に仮想店舗をポップアップ表示するようにしてもよい。
店舗を特定するための住所としては、後述する、立体的な空間において単位領域として「電子的な器」を用いるものとする。具体的には、例えば緯度、経度、高度から、ある1つのキューブが特定されるキューブ住所を用いる。ここで示したキューブ住所は一例であり、単位領域の立体的な住所の示し方は他の示した方であってもよい。
【0087】
以下、具体的な動作を説明する。
例えば、全世界に飲食店は、多数存在するが、ユーザが、多数の飲食店の中の一つの飲食店に入った時又は近くに来た時に、本サービスのエリアに入ると、ユーザにより携行されるユーザ端末のアプリが、画面を立ち上げるか、又はアプリが仮想店舗のエリ3を入ったことを画面に通知する。ユーザ端末のオペレーティングシステム(OS)がエリアへの侵入を監視し、OSがエリアへのユーザ端末の侵入を検知した際にアプリを立ち上げるようにしてもよい。
【0088】
ユーザ端末の画面が立ち上がるか通知が入ることで、ユーザは、サービスが利用可能になったことがわかる。
ユーザ端末の画面には、GPS等の位置情報取得手段により、その店の仮想店舗/ミラー空間(これを「電子的な器」とする)に自動的又はユーザの選択によって仮想店舗/ミラー空間に入ることができるようにする。
【0089】
仮想店舗/ミラー空間では、メニュー表(現実世界の居酒屋にあるタッチパネルによるオーダーシステム)や店主が客に伝えたいメッセージの表示、誰もが書き込めるノートとしての機能が利用可能である。この他、ミラー空間では、ユーザが飲食した代金を電子決済で支払うことができる。
【0090】
ユーザが実際の店舗に入ったときに利用可能になる仮想店舗/ミラー空間のサービスと、どこからでもアクセスできる食べログやお店のHPとでは、取得できる情報が当然ながら異なる。
【0091】
仮想店舗/ミラー空間では、その店への最寄駅等のアクセス情報は必要ないので、その店に入った人を対象に最適化された情報が取得できる。
これは、「電子的な器」を用いる基本サービスと同様に、その場でしかアクセスできない仮想店舗/ミラー空間の情報は、一見不便にも思えるが、サーバ上の利用可能な機能を敢えて制限することで有効なサービスを実現することができる。
【0092】
お店に訪れるまでに必要な情報が載っているHPや食べログ等の情報提供サービスがあるが、これらの情報提供サービスは、ユーザがお店の中に入った瞬間に必要なくなる情報となる。
ユーザがお店の中に入った後に必要な情報は、その日の旬のメニューであったり、トイレの場所であったり、ドリンクシステムであったり、その時点の飲食代の金額等である。
【0093】
実は、ユーザが店舗の中に入ってから出るまでに必要な情報を得られるサービスは、世の中にあまり存在しておらず、ユーザが実際に訪れた場所という制限をかけることで、必要な情報を最適化したり、お店と客との一体感、没頭感、独占感及び特別感等を得ることができる。
【0094】
これまで「電子的な器」は、ノート等の文字を書くためのモチーフを想定していたが、「電子的な器」をバーチャルルームにまで概念を広げると、ユニークなサービスとして成り立つことがわかる。
【0095】
なお、飲食店に限らず、美術館や球場等の施設から学校の教室迄、あらゆる実空間を対象としてそのミラー空間を実現することができる。
この場合の仮想店舗の店主の権限を、実際の店舗の店主や店員に付与することで、店主が仮想店舗の模様替え等の編集やデコレーションを自分の好みのものにすることができる。この例では、仮想店舗の店主の権限を、実際の店舗の店主や店員に付与したが、これ以外の人に与えてもよい。
【0096】
上述した
図7乃至
図10の例では、ノートの配置例とマップの縮尺の違いによる表示例をいくつか説明したが、他の応用例が考えられる。
以下、
図24乃至
図26を参照してノートの配置やマップの縮尺の違いによる表示の応用例を説明する。
図24に示すように、通常の縮尺でユーザ端末1にマップを表示した状態では、個々のノートのアイコン241が分離して1つ1つ表示される。
図24の状態からマップを縮小表示(画面に表示される範囲を広く)すると、
図25に示すように、区画が狭くなるため各アイコン241どうしが接近する。
さらにマップを縮小表示すると、一般的には、
図26の上部に示すように隣接する複数のアイコン241どうしが重なり、ユーザとしては、ノートが置かれている位置を確認し難くなる。
そこで、本実施形態では、マップの縮小によりアイコンどうしが重なった場合、
図26の矢印の下部のアイコン261のように、隣接する複数のアイコンをノートの集合体として表示する。ノートの集合体のアイコンについては他のアイコンと識別するためにアイコンの形状や色等を変えてもよい。
この際、ノートの中身(書き込み内容)は、合わさるのではなく、別々に保持され、あくまでもマップ上のアイコンが一つに集約されて表示される。
【0097】
次に、
図27乃至
図31を参照して「電子的な器」を配置するエリアの定義について説明する。
上記実施形態では、「電子的な器」を配置する単位領域(エリア)を平面的な場所として説明したが、エリアは、立体的な空間の中に存在していてもよい。
この場合、サーバ2の情報格納制御部64は、「電子的な器」を配置する単位領域(エリア)に対し、その領域固有の識別情報(マスID又はキューブID)を付与する付与手段として機能する。
具体的には、
図4の情報格納制御部64は、「電子的なノート」を配置する「区画」に対し、「区画」固有の識別情報(マスID又はキューブID等)を付与することで「電子的なノート」夫々を配置する位置を管理する。IDはidentificationの略称である。
情報格納制御部64は、実世界の測地系で表現される場所に対応する区画(単位領域)の夫々に付与したマスID又はキューブID等の領域識別情報を住所として管理する。
地球上で位置を特定する測地の主な方式としては、例えば
図27に示す世界測地系と、
図28に示す極座標系がある。
図27に示す世界測地系は、地球を準拠楕円体と定義して、地球上の位置を経緯度(経度、緯度)および標高を用いる座標によって表すシステムである。
一方、
図28に示す極座標系は、英文字のrは、中心からの距離を表し、θ,φは、原点からの方向を表す。この極座標系は、地球の表面上の緯度、経度を連想してθが北緯(南緯)、φが東経(西経)と考えて測地する方式である。なお、角度の取り方は、世界測地系の緯度、経度と異なる。
【0098】
本実施形態の情報処理システムでは、均等又は不均等、可変又は不可変にかかわらず、情報格納制御部64は、「電子的な器」を配置するエリアに対し、任意の文字列、数列、記号、及びそれらの組合せの何れかにより生成した固有のIDを付与する。
本実施形態における「電子的な器」のエリアについて、地球上全ての場所に対して同じ基準で単位領域の形を決めて単位領域毎にIDを付与して夫々のIDを住所(「電子的な器」の所在地)として管理するのに対して、既存の住所は、敷地境界線に対し住所が割り振られる、という点で互いは全く異なると言える。
つまり、均等で不可変(交差するグリッドで形成されるマス目の区画やハニカム構造等の正多角形)のエリアに対して、住所のIDを付けることは、既存の住所システムとは全く異なる。
【0099】
具体的には、情報格納制御部64は、GNSS、WiFi、携帯キャリアの無線基地局等によって特定される世界測地系による緯度、経度、標高、又は極座標系により特定される位置を内包するマス(エリア)を特定する。
【0100】
例えば
図29に示すように、マス291固有のIDを、「電子的な器」が配置されるエリア(場所)を特定する住所とする。IDの一例としては、マス291のIDを、例えば「2591746¥jidwq-joqwras」等とする。
【0101】
次に、エリアを立体的な場所で管理する例を説明する。
上記
図29では、実際の地表面に対応する仮想空間においてグリッドで区分したマス291にIDを付与して住所として管理することを説明したが、
図30の例では、単位領域を、標高方向のパラメータを含むマス、つまりキューブ301(立方体)とする。
この場合、キューブ301固有のIDを、「電子的な器」が配置されるエリア(場所)を特定する住所とする。IDの一例としては、キューブ301のIDを、例えば「2591746¥jidwq-joqwras」等とする。
なお、
図30は、説明を分かり易くするために、キューブの配置を敢えて階段状にしたが、本来は全ての地表面から大気圏に至る迄、キューブが満遍なく積みあがった状態である。
【0102】
利用が想定されるシーンとしては、飛行機やドローン等の空中を飛び交う物体や空中に浮遊するバーチャルオブジェクト等を配置した3D空間において、世界測地系の緯度、経度、標高(高度)や極座標系の角度等から導き出される点(位置)が内包される仮想空間のある1つのキューブのIDにて3D空間上の場所(住所)を特定するのに利用する。
具体的な3D空間の例で説明すると、
図31に示すように、3D空間に創造されるビルの一角の位置に配置されたキューブ311の位置をキューブIDで特定し管理する。
【0103】
現在の社会では、地表面に対して住所を与えているが、「電子的な器」を配置するキューブに対してIDを付与することで、地球上全ての空間に対して住所を与えることができ、特に地表から離れた空中に住所を与えることで、様々な用途に利用可能になる。今後、新たに実用化される空間の利用サービスへの適用が見込まれる。
また、現実世界(リアル)と仮想世界(バーチャル)夫々の世界の境界を繋ぐ位置変換サービスの利用も見込まれる。
なお、上記実施形態では、3D空間における単位領域をキューブ(立方体)とする例を示したが、この他、例えば直方体や多面体、球体等であってもよい。
また、単位領域は、マスの面を高さ方向に積み上げた角柱等の形状であってもよい。このときのマスの形状は、正方形の他に、正三角形や正六角形等の正多角形であってもよい。
【0104】
このように各国の住所割り付けの制限を受けない地球規模の住所システムは、地球以外に、地球上を模した複合現実世界(現実の世界と重畳させた仮想世界で怪獣を探して取得するゲームの世界等)、現実の地球とは違った仮想現実の世界(仮想人間がどうぶつ達と新たな生活環境を作って過ごすゲームの世界や、仮想世界そのものをシミュレーションして創造してゆくゲームの世界等)、地球のデジタルツインであるミラーワールド、地球以外の天体(太陽系の惑星(月や火星、木星、土星等))等に適用できる。
【0105】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、
図4の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。
即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が情報処理システムに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図4の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、
図4に特に限定されず、任意でよい。
即ち、上述の処理の実行に必要となる機能ブロックは、サーバ2側が備える構成となっているが、これは例示に過ぎない。例えば、
図4の例において、上述の各種処理はサーバ2側で行われる構成となっているが、これに限定されず、ユーザ端末1側で上述の処理の少なくとも一部が行われてもよい。
また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0106】
換言すると、上述の実施形態では、ユーザに関連する処理は専用アプリにより実行されるものとしたが、特にこれに限定されず、ユーザ端末1側ではWEBブラウザが開き、各種情報やコマンド等はサーバ2に送られてサーバ2側で処理が実行され、その処理の結果がサーバ2からユーザ端末1に送られてWEBブラウザでユーザに提示されるようにしてもよい。
【0107】
また例えば、一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであっても良い。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他、スマートフォンやパーソナルコンピュータ、又はVRゴーグルやスマートウォッチ等の各種デバイス等であってもよい。
上記実施形態では、ユーザの位置を特定する手法として、Wifiを例示したが、これ以外に、例えば携帯電話キャリアの無線基地局やビーコン等を利用してもよい。
上記実施形態では、実世界の位置を計測する技術として、世界測地系と極座標系を例示したが、地球上での位置を平面的または立体的に特定する技術であれば、これ以外の測量技術や測地技術を利用してもよい。
【0108】
また例えば、このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。
【0109】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0110】
以上まとめると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置(例えば
図4等のサーバ2)は、
第1ユーザ(例えば
図4のユーザUK)により入力された情報を、当該第1ユーザの実世界の存在位置に基づいて決定される第1種領域と対応付けて格納する制御を実行する情報格納制御手段(例えば
図4のノート書込制御部51)と、
第2ユーザ(例えば
図4のユーザUH)より情報の提示が要求された場合、当該第2ユーザの実世界の存在位置に基づいて決定される第2種領域に対して、少なくとも一部が含まれる前記第1種領域と対応付けられて格納されている情報を、前記第2ユーザに提示する制御を実行する情報提示制御手段(例えば
図4のノート閲覧制御部52)と、
を備えれば足りる。
【0111】
具体的には例えば、情報処理装置は、実世界の空間を所定規則に従って立体的又は平面的に区分した結果形成される複数の単位領域(例えば上述の「区画」)の夫々に対して、情報の格納及び提示が可能な「電子的な器」(例えば上述の「電子的なノート」)の夫々を対応付けて管理する管理手段(例えば
図4のノート管理部53)をさらに備え、
前記情報格納制御手段は、情報が入力されたときの前記第1ユーザの実世界の存在位置に基づいて決定される前記単位領域を前記第1種領域として、当該第1ユーザにより入力された当該情報を、当該第1種領域に対応付けられた前記「電子的な器」に格納する制御を実行し、
前記情報提示制御手段は、前記第2ユーザにより情報の提示が要求された場合、当該第2ユーザの実世界の存在位置に基づいて決定される前記第2種領域に対して、少なくとも一部が含まれる前記第1種領域としての前記単位領域に対応付けられた前記「電子的な器」に格納された情報を、前記第2ユーザに提示する制御を実行する、
ことができる。
なお、複数の単位領域は、実世界の3次元空間から所定の規則に従って区分された、少なくとも2次元の方向に存在する。
【0112】
さらに、前記単位領域は、実世界で特定される第1の位置(世界測地系でいうところの緯度、経度、標高(高度)等)に対応する仮想空間上の第2の位置(例えば3次元では、「2591746¥jidwq-joqwras」等のキューブID)に配置される領域(例えば上述の「区画」(マス目やキューブ))として規定される。
仮想空間とは、実世界の位置をデバイス上で表現する電子地図やゲームにおけるキャラクタの存在空間等の概念を含む。また、仮想空間は、電子的に作成される2次元の面及び3次元の空間を含む。
例えば2次元では、緯度方向及び経度方向の夫々のグリッドにより所定間隔で地球表面が区分された場合における、隣接する前記グリッドで形成される1つの領域(例えば上述の「区画」(マス目))が、前記単位領域として規定されている、
ようにすることができる。
【0113】
また、前記情報格納制御手段は、前記第1ユーザにより入力された前記情報を、さらに、当該第1ユーザ又はその実世界の前記存在位置に関するメタ情報(例えば
図4のメタ情報取得部65により取得されたメタ情報)と対応付けて、当該第1ユーザの実世界の存在位置により決定される前記単位領域に対応付けられた前記「電子的な器」に格納する制御を実行する、
ことができる。
【0114】
また、情報処理装置は、
1以上の前記「電子的な器」を単位として、前記第1ユーザにより入力された前記情報及び前記メタ情報に基づく所定の解析を実行する解析手段(例えば
図4の解析部54)、
をさらに備えることができる。
【0115】
また、情報処理装置は、
前記解析手段の解析結果に基づき、所定の形態の地図を作成する地図作成手段(例えば
図4の新マップ生成部55)、
をさらに備えることができる。
前記「電子的な器」を配置する前記単位領域に対し、前記単位領域の固有の識別情報を付与する付与手段(例えば
図4の情報格納制御部64等)、
をさらに備える。
このように単位領域に固有の識別情報を付与することにより、単位領域を住所として管理することができる。単位領域を住所として管理することで、例えば一般的な地図を用いることなく、単位領域又は「電子的な器」の配置場所を特定することができる。住所は、現状各国独自の割り当て方をしているが、単位領域を識別情報で管理することで、全世界共通の住所(識別子)を付与した地図を作成することができる。
【符号の説明】
【0116】
1、1-1乃至1-n、1-K、1-H・・・ユーザ端末、2・・・サーバ、11・・・CPU、12・・・ROM、18・・・記憶部、20・・・ドライブ、51・・・ノート書込制御部、52・・・ノート閲覧制御部、53・・・ノート管理部、54・・・解析部、55・・・新マップ生成部、61・・・入力情報取得部、62・・・位置情報取得部、63・・・書込ノート特定部、64・・・情報格納制御部、65・・・メタ情報取得部、66・・・書込ノート提示制御部、71・・・閲覧要求取得部、72・・・位置情報取得部、73・・・閲覧ノート特定部、74・・・閲覧ノート提示制御部、81・・・ノートDB