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特許7192148燃料電池プレート、バイポーラプレートおよび燃料電池装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-09
(45)【発行日】2022-12-19
(54)【発明の名称】燃料電池プレート、バイポーラプレートおよび燃料電池装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/0215 20160101AFI20221212BHJP
   H01M 8/0206 20160101ALI20221212BHJP
   H01M 8/0213 20160101ALI20221212BHJP
   H01M 8/0223 20160101ALI20221212BHJP
   H01M 8/0226 20160101ALI20221212BHJP
   H01M 8/0267 20160101ALI20221212BHJP
【FI】
H01M8/0215
H01M8/0206
H01M8/0213
H01M8/0223
H01M8/0226
H01M8/0267
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021559418
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-13
(86)【国際出願番号】 EP2020066012
(87)【国際公開番号】W WO2021001122
(87)【国際公開日】2021-01-07
【審査請求日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】102019209766.9
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591006586
【氏名又は名称】アウディ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】AUDI AG
(73)【特許権者】
【識別番号】591037096
【氏名又は名称】フオルクスワーゲン・アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】VOLKSWAGEN AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シュテイク,ルネ
【審査官】山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-522642(JP,A)
【文献】特表2002-520775(JP,A)
【文献】特表2005-531905(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02763223(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00- 8/0297
H01M 8/08- 8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのチャネル(7)を有した少なくとも1つの流れ場(6)が組み込まれたプレートボディ(5)を備え、燃料電池の電極またはガス拡散層に反応物を分配する燃料電池プレート(1)であって、前記プレートボディ(5)は吸湿特性および導電特性を有し、前記プレートボディ(5)はケイ酸カルシウムから形成され、グラファイトが前記ケイ酸カルシウムと混合されることを特徴とする燃料電池プレート(1)。
【請求項2】
前記プレートボディ(5)は、少なくとも1つの吸湿性材料および少なくとも1つの導電性材料を有した複合材料から構成されることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池プレート(1)。
【請求項3】
前記流れ場(6)は、少なくとも断面で、冷媒が浸透することができない導電性コーティング(9)を有することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池プレート(1)。
【請求項4】
前記流れ場(6)は、導電性分離構成要素(10)に割り当てられ、該導電性分離構成要素(10)は、冷媒が浸透することができないとともに、前記流れ場(6)において前記流れ場(6)を流れる冷媒を維持するように構成されていることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載の燃料電池プレート(1)。
【請求項5】
請求項1~のいずれかに記載の燃料電池プレート(1)を有したバイポーラプレート(3)であって、
前記バイポーラプレート(3)の第1側で第1反応物を分配する第1流れ場(6)と、
前記バイポーラプレート(3)の第2側で第2反応物を分配する第2流れ場(6)と、
前記燃料電池プレート(1)と他の単極プレート(13)との間に形成された冷媒流れ場(8)と、
を備えたバイポーラプレート(3)。
【請求項6】
前記単極プレート(13)は、金属またはグラファイトから形成されることを特徴とする請求項に記載のバイポーラプレート(3)。
【請求項7】
前記単極プレート(13)は、請求項1~のいずれかに記載の燃料電池プレート(1)として形成されることを特徴とする請求項に記載のバイポーラプレート(3)。
【請求項8】
膜電極配置(2)と、請求項の1つに従う2つのバイポーラプレート(3)であって、この2つのバイポーラプレート(3)の間に前記膜電極配置(2)を密閉する前記2つのバイポーラプレート(3)と、を備えた燃料電池装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのチャネルを有した少なくとも1つの流れ場が組み込まれたプレートボディを備え、燃料電池の電極またはガス拡散層に反応物を分配する燃料電池プレートに関する。また、本発明は、少なくとも1つの上記燃料電池プレートを有したバイポーラプレートと、上記バイポーラプレートを有した燃料電池装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池の効率的な反応のために、膜電極配置の膜が、プロトンの輸送を促進するのに十分に湿ったままとされなければならない。また、他方では、燃料の反応は、燃料電池から取り除くべき水を生成する。燃料電池の低い電力レベルでは、水が、燃料電池プレートの流れ場の細い流れチャネルに蓄積することができ、反応ガスの低い流速に起因して常に押し出されるわけではない。燃料電池の停止時には、水は、低い周囲温度で凍結し得る。凝縮または凍結している水は、燃料電池へのプロセスガスの均一な供給にとって問題であるだけでなく、燃料電池プレートまたはこれを取り囲むバイポーラプレートの腐食を促進する。この問題を扱う周知の概念は、燃料電池プレートに親水性コーティングを適用することであり、これにより、コーティング上の水の接触角が大いに減少され、このため、水滴が大きな領域にわたって平滑にされるとともに分配され、薄い水フィルムがチャネルに形成され、このチャネルは、もはや、プロセスガスのための当該チャネルを塞ぐことはない。例えば、文献である米国特許出願公開第2011/0014548A1号明細書は、炭素基バイポーラプレートが親水基との共有結合によって官能化される方法を記載している。例えば、文献である米国特許出願公開第2009/0214927A1号明細書では、バイポーラプレートが、原子層堆積によるコーティングを有しており、これにより、40度よりも小さい、テーティング上の水の接触角が生じ、このため、バイポーラプレートが親水特性を得る。また、文献である米国特許出願公開第2007/0298309A1は、コーティングがバイポーラプレートに塗布され、このバイポーラプレートは、該プレートに親水特性を生じさせることを開示している。また、上述の3つの文献全てでは、コーティングは、電子を伝導する、即ち導電性であるように設計される。文献である独国特許出願公開第10 2008 034 545 A1号明細書は、チャネルの閉塞を防止する他の概念を提供しており、この明細書では、チャネルが、架橋された三次元構造を有しており、この構造は、自身がそれぞれの多孔性を有するとともに、親水特性を有する。
【0003】
燃料電池装置または燃料電池の作動のモードが存在し得るものであり、このモードでは、液体水の不十分な生成があり、このため、燃料電池が過度に乾燥する。これにより、性能および耐用年数の制限が生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、燃料電池内のより均一または均質の加湿を確実にする燃料電池プレート、バイポーラプレートおよび燃料電池装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴部を有した燃料電池プレート、請求項7の特徴部を有したバイポーラプレートおよび請求項10の特徴部を有した燃料電池装置によって達成される。本発明の便宜的な更なる発展を有した有利な実施形態は、従属請求項において規定される。
【0006】
燃料電池プレートは、そのプレートボディが吸湿特性および導電特性の双方を有するという事実によって特に特徴づけられる。
【0007】
このようにして、親水特性を有したコーティングがあるだけでなく、その代わりに燃料電池プレートプレートボディ自体が吸湿性であり、従って、水を吸収し、一時的に貯蔵し、この水を、乾燥したプロセスガスに再び均質に解放する。大抵は、十分な水が、燃料電池スタックのスタック出口に存在しているのみであり、そして、水がプレートボディの材料によって吸い込まれることができ、また、適切な輸送力が普及していれば、スタックの入口側の領域に輸送される。プレートボディは、例えば水鉢から水を均等に輸送し、特に燃料電池プレートまたはバイポーラプレートの湿った出口から該プレートの乾いた入口へ導くために、毛細管作用を有することが好ましい。
【0008】
このようにして、プレートボディが、少なくとも1つの吸湿性材料および少なくとも1つの導電性材料を有する複合材料から構成される場合に有利であることが証明された。これにより、燃料電池が燃料電池スタックに配置されているときに一般に必要である、燃料電池またはバイポーラプレートの十分に良い電気的接続があるという利点が提供される。
【0009】
これは、プレートボディが、複合物、つまりプラスチック製構成要素との複合材料から構成されるという選択肢を広げる。この複合物は、発泡または焼結された形式で存在することができ、また、複合物は、プレートボディの吸湿特性に加えて、プレートボディに導電性を与えるためにカーボンブラックを有している。適切なプラスチックの例は、カーボンブラックが付加されたポリエチレンまたはポリプロピレンである。カーボンブラックを有する、上記発泡または焼結された複合物は、非常に軽量という利点も提供する。
【0010】
しかし、プレートボディが、多孔質発泡金属または焼結金属から形成された吸湿性および導電性材料から構成されるという点で、プレートボディに吸湿特性および導電特性を与えることもできる。ここで、例えば、ステンレス鋼の使用が考慮されることができる。これは、燃料電池プレートが、使用される発泡金属または焼結金属に起因する非常に高い強度および従って安定性を有するという利点を有し、燃料電池プレートが燃料電池スタックにおいて高いクランプ力でプレスされる場合に特に有利である。
【0011】
ケイ酸カルシウムが、形作るのに特に容易であることが証明され、吸湿特性を有する。この材料に付加的な導電性を与えるために、プレートボディがプレスされる、または形作られるときに、グラファイトが付加される。これにより、少なくとも1つの吸湿性材料および少なくとも1つの導電性材料を有する複合材料から構成されてなる有利なプレートボディが生じる。
【0012】
吸湿特性および導電特性を有したバイポーラプレートのプレートボディのために、冷媒がともすればプレートボディの材料を通して燃料電池の膜電極配置へ到達し得るので、少なくとも最初は、冷媒の伝導に関してバイポーラプレートの上記燃料電池プレートを使用することができない。しかし、燃料電池を冷却する脱イオン化水を用いるという選択肢があり、これにより、膜の能動的な加湿が促進され、同時に、作用する張力に起因する損傷が防止される。
【0013】
しかし、燃料電池を冷却する非脱イオン化水を使用することができるために、導電性であるが冷媒が浸透することができないコーティングを用いて、少なくとも断面で、特にチャネルで流れ場が設けられる場合に役立つことが証明された。特に、流れ場の少なくとも1つ以上のチャネルが、上記コーティングに起因する水バリアを有する。
【0014】
コーティングの代替として、またはコーティングに付加されるものとして、流れ場が、例えば分離プレートの形式で、冷媒が浸透することができない導電性分離構成要素に割り当てられることもでき、上記分離プレートは、上記流れ場において流れ場を流れる冷媒を維持するように設計される。この分離構成要素は、例えばグラファイトまたは金属から形成されることができ、流れ場のチャネルの望ましい流れ断面に基づいて異なる型づくりを受ける。他の選択肢は、バイポーラプレートの燃料電池プレートを用いる際に、第1冷媒、例えば水がバイポーラプレートの第1小区分を流れ、脱イオン化水となり得る第2冷媒が流れ燃料電池プレートの第2部分を流れることができるように当該分離構成要素を使用することである。このような冷媒流れの分割により、燃料電池装置が燃料電池車両に用いられる場合に、例えば、冷却回路でより小型の脱イオン化フィルタを用いることもでき、これにより、例えば、複雑さが減少する。
【0015】
本発明に従うバイポーラプレートは、本発明に従う燃料電池プレートを有しており、バイポーラプレートの第1側で第1反応物を分配する第1流れ場と、バイポーラプレートの第2側で第2反応物を分配する第2流れ場と、燃料電池プレートと他の単極プレートとの間に形成された冷媒流れ場と、を備えている。
【0016】
燃料電池プレートについて説明された利点および有利な構成は、上記の燃料電池プレートを有したバイポーラプレートに均等に適用される。プレートボディが吸湿性および導電性材料から形成されるので、バイポーラプレートは、プレートボディが燃料電池の端部において水(液滴)を吸収することができ、従って燃料電池または個々のチャネルのフラッディングを防止する。吸湿性材料部分のために、次に、水がバイポーラプレート内に貯蔵されることができ、例えばチャネルに沿って均等に分配されることができる。そして、貯蔵された液体は、例えば燃料電池装置がそれぞれの負荷点で動作される場合に、乾燥したガス流れへ解放され得る。
【0017】
特に簡潔な構造は、単極プレート自体が金属またはグラファイトから形成され、このため、単極プレートが燃料電池プレートの吸湿特性を有する必要がないという点で達成されることができる。複合構造、つまり、吸湿特性および導電特性を有したプレートボディを備えてなる燃料電池プレートと、吸湿特性無しの単極プレートとを用いた複合構造が本発明の目的を達成するのに十分であり得ることが示された。
【0018】
しかし、バイポーラプレートにわたる液体のより一層均一な分配を達成するために、単極プレートが燃料電池プレートとして形成され、該燃料電池プレートのプレートボディが吸湿特性および導電特性を有する場合に役立つことが証明された。
【0019】
本発明に従う燃料電池装置は、上述したように、間に膜電極アッセンブリを密閉する2つのバイポーラプレートを有した膜電極配置を備えている。また、燃料電池プレートおよびバイポーラプレートについて説明された利点および有利な構成は、本発明に従う燃料電池装置に適用される。
【0020】
上述の特徴部および特徴部の組み合わせ、並びに、図面の説明で以下に説明されるおよび/または図面に単に示される特徴部および特徴部の組み合わせは、規定された個別の組み合わせで用いられ得るだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組み合わせまたは特徴部単独でも用いられ得る。従って、実施形態は、図面に明確に示されていない、または図面で説明されていない本発明に組み込まれるとともに、該本発明によって開示されるものと考えられるが、結果が、特徴部の個別の組み合わせによって説明される実施形態から生産可能である。
【0021】
本発明の更なる利点、特徴部および詳細部は、請求項、好ましい実施形態の以下の説明から、および図面に基づいて生じる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】2つのバイポーラプレートと、吸湿性かつ導電性の材料から形成されたプレートボディを有してそれぞれ形成された個々の半プレートとを備える燃料電池装置を通した概略的な断面図である。
図2】分離構成要素を有する図1に対応した図である。
図3】分離構成要素の異なる設計を有する図2に対応した図である。
図4】異なる燃料電池および単極プレートを有する図2に対応した図である。
図5図1の図に従う他の実施形態である。
図6】燃料電池装置の他の実施形態である。
図7】複数のバイポーラプレートおよび膜電極アッセンブリの燃料電池スタックを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
燃料電池は、燃料と酸素とを水にする化学的な変換を用いて電気エネルギを生成する。この目的のために、燃料電池は、核となる構成要素として所謂膜電極アッセンブリ(MEA)2を有しており、膜電極アッセンブリ2は、イオン伝導、特にプロトン伝導膜と、この膜の両側に配置された電極(アノードおよびカソード)との複合物である。燃料電池の作動時には、燃料、特に水素H2または水素含有ガス混合物がアノードに供給され、該アノードでは、電気化学的な酸化が、電子の解放を伴って生じる(H2→2H++2e-)。アノードコンパートメントからカソードコンパートメントへのH+プロトンの(水締めした、または水無しの)輸送が、膜を介して生じ、該膜は、気密な態様で反応コンパートメントを分離し、該反応コンパートメントを電気的に絶縁する。アノードで提供された電子e-は、電気線によってカソードに供給される。酸素または酸素含有ガス混合物がカソードに供給され、このため、酸素が還元され、一方、電子が吸収される(1/2O2+2e-→O-2)。同時に、この酸素アニオンは、カソードコンパートメントにおいて、膜を横切って輸送されたプロトンと反応し、水を形成する(2H++O2-→H2O)。
【0024】
原則として、燃料電池は、スタックに配置された多くの膜電極配置によって形成されており、この膜電極配置の電力は合計される。バイポーラプレート3が、燃料電池スタックの2つの膜電極配置2の間に配置され、このプレートは、隣接した膜電極配置のアノードまたはカソードへプロセスガスを供給し、熱を分散させるように機能する。また、バイポーラプレート3は、電気的接続を確立するために、導電性材料から構成される。従って、バイポーラプレート3は、膜電極ユニットにプロセスガスを供給すること、冷却および電気的接続からなる三重の機能を有している。製造上の理由のために、パイポーラプレート3は、大抵は、2つの個々のプレートから形成され、このプレートは、互いにプレスされ、必要であれば接続され、大抵は、互いに結合または接着される。
【0025】
図1には、燃料電池装置1が断面図として示されており、この場合には、膜電極配置2が、2つの個々のバイポーラプレート3の間に密閉されている。バイポーラプレート3は、膜電極配置2の膜の1つに反応物を分配する少なくとも1つの燃料電池プレート4をそれぞれ有している。少なくとも1つのチャネル7または複数のチャネル7を有した流れ場6が、そのプレートボディ5へと組み込まれている。プレートボディ5自体は、吸湿特性および導電特性を有している。この場合には、プレートボディ5は、少なくとも1つの吸湿性材料および少なくとも1つの導電性材料を有した複合材料から構成されている。導電性を確実にするために、グラファイトが付加される、吸湿性材料としてのケイ酸カルシウムの使用が有利であると証明された。従って、プレートボディ5は、吸湿性および導電性であり、好ましくは、液体水を吸収するために毛細管作用もある。プレートボディ5は、該プレートボディ5において、均質および均等に液体水を分配し、このため、液体水は、一方で燃料電池のフラッディングを防止し、他方で膜電極配置2の膜のより均等な加湿をもたらすように、乾燥したプロセスガス流れへと均質および均等に再び解放されることもできる。個々の燃料電池プレート4のプレートボディ5の吸湿特性および導電特性のために、基本的に、2つの燃料電池プレート4の間に形成された冷媒流れ場8が、膜電極配置2に到達し得る冷媒を運ぶという選択肢がある。これを防止するために、図1に従う実施形態では、流れ場6は、冷媒が浸透することができない導電性コーティング9を完全に備えている。この目的のために、コーティング9は、グラファイトから構成されても良く、またはグラファイトを有しても良い。また、金属性のコーティング9が考慮され得る。コーティング9は、電荷が冷媒を通して燃料電池の電極へと行かないことを確実にし、これにより、そこで、望ましくない電圧の変化が生じ得る。図1に示したバイポーラプレート3は、2つの個々の燃料電池プレート4から構成され、該燃料電池プレート4では、そのウェブが、料電池プレート4の間に冷媒チャネルを形成するように互いに整列している。次に、冷媒チャネルから見て外方の2つの燃料電池プレート4の側において、他の流れ場6は、それぞれの隣接した膜電極配置2の電極に反応物を供給および分配するように作用する。それぞれのバイポーラプレート3の個々の燃料電池プレート4は、適切な接点15によって互いに電気的に結合されている。
【0026】
更なるバイポーラプレート3が図2から理解されることができ、このバイポーラプレート3も、吸湿性および導電性材料からなるプレートボディ5を有した2つの燃料電池プレート4から形成されている。しかし、この場合には、2つの個々の燃料電池プレート4の1つのみが、冷媒が浸透することができない導電性コーティング9を備えている。対照的に、バイポーラプレート3の第2の燃料電池プレート4が、コーティング無しで設計されている。コーティング無しの燃料電池プレートの吸湿性特性および導電性特性を有したプレートボディ5のために、イオンが膜電極配置2へ到達しないことが確実にされなければならない。この場合には、結果として、冷媒チャネルが分離構成要素10によって分割または分離されており、この分離構成要素10は、冷媒が浸透することができないものであり、また、上記流れ場のコーティング9を有した燃料電池プレート4の冷媒流れ場8を流れる冷媒を維持するように設計される。この場合には、分離構成要素10は、グラファイトまたは金属を有する、もしくはグラファイトまたは金属から構成される分離シートとして形成される。しかし、冷媒チャネルの他の部分では、例えば脱イオン化水の形態の冷媒が、適切な冷却を生じさせるために、依然として流れることができる。しかし、2つの異なる冷媒回路、つまり、通常の、必ずしも脱イオン化されている必要はない冷媒用の第1冷却回路11と、脱イオン化冷媒用の第2冷却回路12とがあることを確実にしなければならない。しかし、回路の双方が互いに接続されることもでき、この場合には、適切な膜を有した適切な脱イオン化フィルタまたは脱イオン化装置が、イオンを濾過するように用いられる。
【0027】
図3から、分離構成要素10が異なる型づくりにさらされることもでき、このため、脱イオン化冷媒の流れ断面および非脱イオン化冷媒の流れ断面が分離構成要素10の型づくりによって調整されることができることを理解できる。
【0028】
図4は、燃料電池装置1の他の実施形態を示しており、該燃料電池装置1は、一方で、吸湿性および導電性の材料から形成されたプレートボディを有した燃料電池プレート4と、導電特性のみを有するが吸湿特性を有していないプレートボディから形成された第2の単極プレート13と、を備えている。この単極プレート13は、例えば金属またはグラファイトから形成されるか、もしくは金属またはグラファイトを少なくとも有する。この単極プレートにも分離構成要素12が存在し、これは、冷媒用のチャネルを、通常の非脱イオン化冷媒が流れる第1部分と、脱イオン化冷媒が用いられる第2部分とにさらに分割するためである。
【0029】
図5は、他の燃料電池装置1を示しており、該燃料電池装置1は、吸湿性および導電性の材料からなるプレートボディ5を有した2つの燃料電池プレート4から形成されてなるバイポーラプレート3を再び備えている。しかし、この場合には、個別のチャネルのみが、冷媒が浸透することができない導電性材料から形成されたコーティング9を有している。従って、特に脱イオン化される必要がない冷媒が、この流れチャネルを流れることができる。そして、脱イオン化冷媒、例えば脱イオン化水が、膜の冷却および付加的な加湿を生じさせるために、コーティングされていない他の流れチャネルを再び流れることができる。非脱イオン化冷媒が吸湿性および導電性のプレートボディ5の材料に接触しないことをさらに確実にするために、適切なシール構成要素14、例えばパイポーラプレート3の2つの半プレートの間の接続点のチャネル側に接着された接着剤によって気密性を達成することもできる。図示した例示的な実施形態では、冷媒流れ場は、コーティング9有りの流れチャネルがコーティング無しの流れチャネルと交互になるように設計されている。さらに、コーティング有りのチャネル7およびコーティング無しのチャネル7は、膜電極配置2の他方側に配置されたバイポーラプレート3のコーティング有りのチャネルおよびコーティング無しのチャネルと互いに整列している。
【0030】
図6では他の構成を見ることができ、上側のバイポーラプレート3のコーティングされた流れチャネルが、下側のバイポーラプレート3のコーティングされていない流れチャネルと整列しており、この逆も成立する。本実施形態でも、コーティングされた流れチャネルおよびコーティングされていない流れチャネルの交互の配置を見ることができる。
【0031】
最後に、図7は、複数の膜電極配置2を有した燃料電池装置1を示しており、該燃料電池装置1では、この膜電極配置2が、該膜の第1の側のコーティングされていない流れ場6を有したバイポーラプレート3と、膜の第2の側のコーティングされた流れ場6を有したバイポーラプレート3と、を備えている。コーティング9は、該コーティング9が冷媒ガイドの流れチャネルをシールするように設計されている。
【0032】
結果として、本発明は、吸湿特性および導電特性を有したプレートボディ5の使用に起因する燃料電池装置1のための向上した水管理によって特徴づけられる。
【符号の説明】
【0033】
1.燃料電池装置
2.膜電極配置
3.バイポーラプレート
4.燃料電池プレート
5.プレートボディ
6.流れ場
7.チャネル
8.冷媒流れ場
9.コーティング
10.分離構成要素
11.冷却回路(必ずしも脱イオン化されている必要はない冷媒)
12.冷却回路(脱イオン化冷媒)
13.単極プレート
14.シール構成要素
15.接点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7