(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】携帯端末用ケース
(51)【国際特許分類】
G02B 30/56 20200101AFI20221213BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20221213BHJP
H04M 1/11 20060101ALI20221213BHJP
H04M 1/21 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G02B30/56
G09F9/00 361
G09F9/00 351
H04M1/11 Z
H04M1/21 M
(21)【出願番号】P 2018031842
(22)【出願日】2018-02-26
【審査請求日】2021-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】513294770
【氏名又は名称】羽澤 学
(73)【特許権者】
【識別番号】518065968
【氏名又は名称】長野 稔樹
(73)【特許権者】
【識別番号】518065979
【氏名又は名称】信濃 裕馬
(73)【特許権者】
【識別番号】518065980
【氏名又は名称】▲高▼畑 理
(73)【特許権者】
【識別番号】518065212
【氏名又は名称】中村 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】羽澤 学
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-160793(JP,A)
【文献】国際公開第2013/160782(WO,A1)
【文献】特開平08-122696(JP,A)
【文献】特開2013-064900(JP,A)
【文献】登録実用新案第3203294(JP,U)
【文献】特表2018-501499(JP,A)
【文献】特開2017-182069(JP,A)
【文献】国際公開第2012/169422(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0133026(US,A1)
【文献】登録実用新案第3199574(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 30/00 - 30/60
G09F 9/00
H04M 1/11 - 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末装置が組み付けられる携帯端末用ケース本体と、
前記携帯端末装置を覆うことができ前記携帯端末用ケース本体に接続されたケース蓋と、
前記携帯端末用ケース
本体と第1の接合部を介して接合される第1の一端を有し、携帯端末装置の表示器上に展開可能であり、前記ケース蓋の裏側に折り畳むことができる第1の透明薄板と、
前記第1の透明薄板における前記第1の一端と対向する第1の他端と接合された第2の一端と、前記第1の透明薄板が前記展開された状態において前記
携帯端末用ケース本体に配置された支持部受けと嵌め合って前記表示器との成す角が略45度になるように前記
第1の透明薄板を支持する第2の他端とを有し、前記ケース蓋の裏側に折り畳むことができる第2の透明薄板と
を備え、
前記第1の透明薄板が前記展開され前記第2の透明薄板が前記支持部受けと嵌め合った状態において、前記表示器に表示される画像及び/もしくは映像が前記第1の透明薄板及び/もしくは前記第2の透明薄板に反射された反射像が前記表示器上に疑似立体映像を展開できることを特徴とする携帯端末用ケース。
【請求項2】
前記第2の透明薄板の中央が中空であることを特徴とする請求項1記載の携帯端末用ケース。
【請求項3】
前記ケース蓋は、前記第1の透明薄板の後方に背景として
機能することを特徴とする請求項1記載の携帯端末用ケース。
【請求項4】
前記第1の透明薄板と前
記第2の透明薄板とが、前記表示器に対して共に略45度をなすように設置されることを特徴とする請求項1記載の携帯端末用ケース。
【請求項5】
さらに互いに対向する2枚の透明薄板を備えることにより、4枚の透明薄板から構成され、前記各透明薄板が前記表示器とそれぞれ略45度を成すよう展開できることを特徴とする請求項1記載の携帯端末用ケース。
【請求項6】
前記第1の透明薄板に反射される携帯端末表示器の表示において、表示すべき映像以外の背景を黒色あるいは暗色にすることを特徴とする請求項1乃至5のうちの何れか1項記載の携帯端末用ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はたとえば携帯端末用ケースに係り、特にスマートフォンやタブレットのような携帯端末のケースに、同端末表示器用疑似三次元表示装置を組み合わせた携帯端末用ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、スマートフォンやタブレットのような携帯端末が広く普及しているが、その表示画面は平面状である。平面状であるために、一部の画像や動画像の表示は臨場感に乏しい場合がある。特に歌手が歌っていたり、アイドルがダンスをしたりする動画については、より臨場感がある表示方法が望まれる。
【0003】
携帯端末の平面状表示器を用いた新しい表示技術が特許文献1に開示されている。より詳しくは、平面状表示器の画像を透明薄板に反射させて、その反射像と透明薄板を透過して見える背景オブジェクトとを組み合わせた新しい表示技術が開示されている。
【0004】
上記表示技術は、一部のゲーム応用には適しているが、反射させる画像の全面が明るいと背景オブジェクトが見えなくなってしまったり、逆に背景オブジェクトが明るすぎると反射像が目立たなくなったりしてしまう。また、使用するためには背景オブジェクトのユニットを持ち歩かなくてはならないため、何時でも使うことができるわけではなく、使用場面が限定されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した問題点の解決を企図したものであり、携帯端末用機器の平面状表示器を用いて、より臨場感のある疑似立体表示ができ、表示用別ユニットを持ち歩かなくとも、必要なときに手軽に使えることが可能な携帯端末用ケースを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような各課題を解決するために、本発明においては、疑似立体映像装置を携帯端末用ケースに組み込む。現在使われているほとんどの携帯端末装置は、損傷防止のためケースに入れて使用されている点に着眼し、本願においては、このケースにスマートフォンのような携帯端末の平面状画面が疑似立体的に見える装置を折り畳んで収納した携帯端末用ケースを提供する。
【0008】
本発明の第1の実施態様としては、スマートフォンやタブレット型の携帯端末装置の表示器上に、透明薄板からなる反射部と、該反射部を携帯端末表示器との為す角が略45度となる様に支持する支持部を備えて構成され、上記携帯端末装置表示器上の展開できる疑似立体表示装置を収納した携帯端末用ケースである。
【0009】
また、上記第1の態様においては、上記支持部を透明薄板としてもよく、同支持部を中空の枠体としてもよい。更に、上記反射部の後方に携帯端末用ケースの蓋を、背景として設置できるようにしてもよい。
【0010】
本発明の第2の実施態様としては、上記反射部及び透明薄板とを備えて成る支持部が、携帯端末表示器に対して共に略45度となるように設置できるよう配置可能なる疑似立体表示装置を折り畳んで収納した携帯端末用ケースである。
【0011】
本発明の第3の実施態様は、上記反射部が透明薄板4枚を備えて構成され、各透明薄板が携帯端末表示器とそれぞれ略45度を成すよう展開できる疑似立体表示装置を折り畳んで収納した携帯端末用ケースである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る装置によれば、スマートフォンやタブレット型の携帯端末装置の平面状表示器の上部に疑似立体映像を表示することができ、より臨場感を醸し出すことができる。
【0013】
また、上記の疑似立体表示を利用して、携帯端末装置を用いた新しいアプリケーションを考案することが期待される。
【0014】
更に、工業製品のサンプル表示や立体図がより分かり易くなり、エンタテイメント以外にも広い活用の場を広げることが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る携帯端末用ケースの概略図である。
【
図2A】本発明の一実施形態に係る携帯端末用ケースに携帯端末装置を収容した概略図である。
【
図2B】本発明の一実施形態に係る携帯端末用ケースの立体表示装置を携帯端末表示器上に展開した概略図である。
【
図2C】本発明の一実施形態に係る携帯端末用ケースを水平に設置し、水平方向から疑似立体表示装置を覗いた図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る携帯端末用ケースの蓋を背景とした概略図である。
【
図4】本発明の別の実現形態による携帯端末用ケースの概略図である。
【
図5】本発明の更に別の実現形態による携帯端末用ケースの概略図である。
【
図6A】本発明の異なる実現形態による携帯端末用ケース60の概略図である。
【
図6B】
図6Aの立体表示装置を携帯端末用ケースの蓋に折り畳んだ概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下では本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0017】
図1は本発明の一実施形態に係る携帯端末用ケース1とスマートフォンのような携帯端末装置6とを示す概略図である。本発明の一実施形態に係る携帯端末用ケース1は、
図1に示す如く、携帯端末装置6がピッタリ組み付けられるケース本体2と、ケースの蓋3に組み込まれた立体表示装置4とを備えて構成される。なお、ケース本体には後述する支持部受け5が配置されている。なお、ケース本体2は、携帯端末装置6がピッタリ収容される場合に限られるものではなく、携帯端末装置6を何らかの形で覆うもの、被さるもの、或いは携帯端末装置6に何らかの形で装着するものであってもよく、本願ではこれら全てを包摂する概念として、携帯端末装置6がケース本体2に組み付けられる、と定義する。
【0018】
図2Aは本発明の携帯端末用ケース1に携帯端末装置6を収容した概略図であり、
図2Bは立体表示装置4を携帯端末表示器7上に展開した概略図である。同図に示されるように、立体表示装置4は、反射部41と支持部42とを備えて構成され、反射部41はケース本体2と、ケース蓋3の基部の接合部A43で接合されている。同様に、反射部41は支持部42と接合部B44によって接合されている。
【0019】
上記接合部A43における接合並びに接合部B44における接合は、好適には、それぞれの被接合対象を微小丁番あるいは柔軟性のある素材で柔軟接合するものである。ケース蓋3と反射部41と支持部42とは互いに密着してケース蓋3の裏側に折り畳むことができる。反射部41は透明薄板であり、支持部42は透明薄板あるいは
図7のような構造体で構成されている。
【0020】
図7は、支持部42の構造体例の概略図である。中央部が中空の枠体で、AとBは窓枠形状とし窓枠を通して後ろの疑似立体映像が観測できる。同様にCは鳥居形状とした例であり、Dは単なる金属線枠である。もちろん透明薄板に枠を印刷したものでもよい。
【0021】
図2Cは携帯端末用ケース1を水平に設置し、水平方向から覗いた図である。携帯端末の平面状画面が見えず、画面の並行方向から反射部の全体が見えるためには、反射部41と携帯端末表示器7の画面とのなす角が略45度とすることが好適である。同図に示されるように、携帯端末表示器7に表示された画像或いは動画像が反射部41に反射され、その反射像が支持部42の透明薄板を通して、あたかも携帯端末表示器7の上に立ち上がった立体画像のように見える。
【0022】
携帯端末表示器7に表示する画像或いは動画像の背景が、黒色或いは暗色の場合は特に浮き上がって見えるため臨場感が強まる。また、本発明の携帯端末用ケース1を設置する背景が暗い場合は、空間に三次元立体もどきの映像が出現し、歌手が歌ったり、アイドルがダンスをしたりする場面は平面状表示器とは違った臨場感を楽しむことができる。さらに、かわいい我が子や恋人の映像を携帯端末表示器7に表示して水平視線位置に本発明の携帯端末用ケース1を設置すれば、あたかも我が子や恋人が見てくれているような雰囲気を醸し出すことができる。
【0023】
図3は、本発明の一実施形態に係る携帯端末用ケースの蓋を背景とした概略図である。本発明の携帯端末用ケース1を設置する場所の背景が明るい場合に、反射部41を通して見えてしまう背景が邪魔にならないよう、携帯端末用ケース1の蓋3の裏側を黒色とし、反射部41と支持部42との接合部44から出た支え部47で反射部41の背景としてケースの蓋3を支持し、疑似立体映像をよりくっきりと表示させることができる。上記支え部47は透明薄板或いは針金等でもよい。
【0024】
図4は、本発明の別の実現形態に係る携帯端末用ケース30の概略図である。同図から分かる様に、携帯端末表示器7が長方形の場合は、表示器画面の短辺あるいは長辺に合わせた形で本発明を実現することができる。
図2Bと同様に、ケースに組み込まれる立体表示装置は反射部31と支持部32とを備えて構成され、ケースの蓋33に組み込まれる方法も同様である。
【0025】
図5は、本発明の更に別の実現形態に係る携帯端末用ケース50の概略図である。ケースの形態としては
図2Bに示される場合と同様であるが、反射部51と支持部52とを、共に携帯端末表示器7との為す角を略45度で接合している。反射部51と支持部52とを共に透明薄板で構成すれば、
図5に示すA,B両側から疑似立体映像を見ることができる。表示画像は
図5に示すようにどちらの側から見ても同じ画像としてもよく、それぞれ異なった画像を表示してもよい。
【0026】
図6Aは、
図2B、
図4、
図5に各々示される形態とは異なる実現形態に係る携帯端末用ケース60の概略図である。上記立体表示装置においては透明薄板による反射部を61~64の4枚と、天井板65とし、各反射部が
図6Aに示すように携帯端末表示器と略45度の角度を成すよう組み合わせて設置される。
図6Aの本発明の態様が適用される携帯端末装置としては、その表示画面が比較的大きいタブレット型が適している。本発明によれば
図6Aのようにイ、ロ、ハ、ニの4方向から疑似立体画像を観測することができ、それぞれ空中に疑似立体画像を観測できる。
【0027】
図6Bは
図6Aに示す立体表示装置を携帯端末用ケースの蓋に折り畳んだ例としての概略平面図を示している。
図6Bの例では、反射部61の下部はケース60の蓋下部に柔軟結合されており、反射部61の上部は天井板65と柔軟結合されている。天井板65は反射部63の上部と柔軟接合されている。反射部64及び
天井板65は
共に反射部61とのみ柔軟接合されており、反射部64及び
天井板65は反射部63と食い違い構造で接合されている。反射部61~64と天井部65とを備えて成る立体表示装置67は、
図6Bのごとく携帯端末ケース60の蓋66に折り畳んで収容することができる。
【0028】
図6Aに示す立体表示装置を携帯端末表示器上に逆さまに設置するような構成にした場合は、反射部に反射した映像を直に見ることができるため、より立体感を強調することができる。
【0029】
なお、折り畳んだ後の固定は蓋66に抑えバンドやポケットを付けてもよい。また、ケース蓋との結合を外せるようにして置き、取り外して携帯端末表示器の上に設置しても同様な疑似立体像を観測することができる。さらに折り畳み方法や収納方法は、
図6A,
図6B以外にもいろいろ考えられるがそれ等は全て本発明の技術思想に含まれるものである。
【0030】
以上説明してきた本発明の実現例では、反射部と支持部を透明薄板で構成した例を示したが、金属細線で枠を作り薄膜透明フィルムを張った形状としてもよい。この場合は、立体表示装置をケース中に収容する方法は更に種々考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
現在スマートフォンを使った新しいアプリケーションが色々発表されているが、本発明の携帯端末用ケースを用いれば、疑似立体映像を利用した新しいアプリケーションの実現が期待できる。現在一般に用いられているスマートフォンには傾斜計や加速度計やGPS装置が組み込まれており、これらを用いて、例えばスマートフォンを傾けると人物の立体像がよろけるような表示ができる。本発明の携帯端末用ケースに収容されている疑似立体表示装置とスマートフォンの機能を組み合わせることにより、全く新しいアプリケーションが発展する可能性がある。
【0032】
さらに、最近急速に普及が進んでいる人工知能(AI)スピーカーとネットワークを介して連接することにより、本発明をAIスピーカーの表示装置として活用することもでき、音響機器と組み合わせる表示器としての利用も期待できる。
【0033】
また、従来は現実の光景と仮想現実の映像を重ねて見る、いわゆる拡張現実表示機器としてはゴーグルを用いていたが、本発明によればゴーグルを用いることなく、裸眼で見える実際の光景に透明薄板反射部に表示される疑似立体映像を重ねて見ることができる。例えば、このような拡張現実(AR)によって、遺跡の元の姿や、建築予想光景を現実の光景に重ね合わせてみることもでき、いわば、現実と仮想現実とを自由に組み合わされることができる。よって、観光や教育や土木建築分野などにたいへん広い発展応用が期待できる。更に、平面状表示器を備える各種機器のケースに組み込んで疑似立体表示をすることができ、新しい応用分野を広げることができる。
【符号の説明】
【0034】
1…携帯端末用ケース、2…ケース本体、3…蓋、4…立体表示装置、14…ケース、5…支持部受け、6…携帯端末装置、7…携帯端末表示器、30、50、60…携帯端末用ケース、31,41…反射部、32,42…支持部、A43…接合部、B44…接合部、47…支え部、51…反射部、52…支持部、61~64…反射部、65…天井板