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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】高不透明度紙
(51)【国際特許分類】
   D21H 21/14 20060101AFI20221213BHJP
   D21H 17/67 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
D21H21/14 Z
D21H17/67
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018216660
(22)【出願日】2018-11-19
(65)【公開番号】P2020084343
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 慶一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 史博
(72)【発明者】
【氏名】金子 智
(72)【発明者】
【氏名】高山 誠司
【審査官】藤原 敬士
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-110138(JP,A)
【文献】特開2009-228184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21H 11/00 - 27/42
D21B 1/00 - 1/38
D21C 1/00 - 11/14
D21D 1/00 - 99/00
D21F 1/00 - 13/12
D21G 1/00 - 9/00
D21J 1/00 - 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
JIS P 8149:2000に準じて測定した不透明度が97%以上である高不透明度紙であって、
紙基材に二酸化チタンと、低摩擦剤と、を含有し、
JIS P 8147:2010の水平法に準じて測定した前記高不透明度紙の表面と裏面との間の動摩擦係数(ただし、おもりの質量が3kg)が0.45以下であることを特徴とする高不透明度紙。
【請求項2】
前記紙基材の片面にのみ黒色層を設けたことを特徴とする請求項1に記載の高不透明度紙。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の高不透明度紙を使用したことを特徴とする封筒用紙。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高不透明度紙に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、届出書、申込書、請求書、機密文書といった個人情報や企業情報の保護・漏えい防止のために、内容物が透けないような不透明度の高い封筒用紙、印刷用紙が求められている。封筒用紙の不透明度を向上させる方法としては、例えば、特許文献1に記載されているように、封筒用紙の封筒の内側になる面に地紋印刷等の透け防止印刷を行ったり、封筒を二重化したりすることがあった。しかし、上記の方法は、製造工程や資材の加増による製造コストが掛かっていた。
【0003】
一方、不透明度を向上させた封筒用紙や印刷用紙として、酸化チタンや炭酸カルシウム等の不透明度の高い填料を原紙に配合したものが知られている。例えば、特許文献2には、紙支持体上に少なくとも1層のインクジェット記録層を有し、該記録層表面が鏡面仕上げされた光沢インクジェット記録用紙において、紙支持体のJIS P8251に基づく灰分が1~12%であり、填料として酸化チタン及び炭酸カルシウムが併用してなり、且つ光沢インクジェット記録用紙のJIS P8149に基づく不透明度が98%以上である光沢インクジェット記録用紙が開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、顔料塗工層を有することなく、原紙に酸化チタンを5質量%から20質量%の範囲で含有し、表裏に黒着色剤を均一に含有し、JIS P 8148に準じて測定した白色度が75%以上かつJIS P 8149に準じて測定した不透明度が98%以上で、坪量が70g/m~120g/mである高不透明度紙が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-062357号公報
【文献】特開2006-015510号公報
【文献】特開2013-256730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、炭酸カルシウムの配合率が高い高不透明度紙は、紙の強度(紙力)の低下が問題となっていた。また、高硬度である酸化チタンの配合率が高い高不透明度紙は、裁断応力が高くなっていた。そのため、裁断刃の摩耗により、裁断不良(未切断)が発生しやすかったり、適切なサイズに仕上がりにくく寸法精度に劣ったりする場合があった。
【0007】
したがって、本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、紙力の低下が少ないながらも、裁断刃の摩耗が低減され、裁断応力を低く維持できる高不透明度紙を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者は、上記課題に鑑み、鋭意研究を行った。その結果、酸化チタンを配合した不透明度紙において、更に、低摩擦剤を配合することにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
【0009】
(1)本発明の第1の態様は、JIS P 8149:2000に準じて測定した不透明度が97%以上である高不透明度紙であって、紙基材に二酸化チタンと、低摩擦剤とを含有する高不透明度紙である。
【0010】
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載の高不透明度紙であって、上記紙基材の片面にのみ黒色層を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載の高不透明度紙であって、JIS P 8147:2010の水平法に準じて測定した上記高不透明度紙の表面と裏面との間の動摩擦係数(ただし、おもりの質量が3kg)が0.45以下であることを特徴とするものである。
【0012】
(4)本発明の第4の態様は、(1)から(3)のいずれかに記載の高不透明度紙を使用した封筒用紙である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、紙力の低下が少ないながらも、裁断刃の摩耗が低減され、裁断応力を低く維持できる高不透明度紙を提供することができる。
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。
【0015】
(紙基材)
本実施形態に係る高不透明度紙に用いる紙基材としては、原料パルプの他に、二酸化チタン及び低摩擦剤を含有する。
【0016】
(二酸化チタン)
二酸化チタンは、高屈折率による不透明性と、白色向上性を有する白色顔料である。本実施形態に係る二酸化チタンとしては、特に限定はなく、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれの結晶系であってもよい。また、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、シリカ、酸化ジルコニウム等による公知の表面処理を施したものであっても、未処理であってもよい。さらに、球状、針状、鱗片状等、任意の粒子形状のものを使用することができる。二酸化チタンの平均一次粒径は、0.1μm以上1μm以下であるものが好ましい。酸化チタンの平均一次粒径が0.1μm以上であることで光を散乱させ易くなり、不透明度を高くしやすい。また、酸化チタンの平均一次粒径が1μm以下であることで、不透明度が高くなるよう紙基材に多量に配合した場合であっても、二酸化チタンの原料パルプへの分散性が安定化する。
【0017】
二酸化チタンの含有量としては、固形分換算で原料パルプ100質量部に対して、5質量部以上20質量部以下が好ましい。5質量部未満であると、不透明度の向上効果が得られにくく、一方、20質量部を超えると、紙力が低下する。
【0018】
二酸化チタンを紙基材に含有させる方法としては、原料パルプを含有するパルプスラリー中に添加して抄造する内添法や、抄紙後に塗布・含浸させる外添法が挙げられるが、いずれの方法でもよく、あるいは両方を組み合わせてもよい。
【0019】
外添法で使用することができる塗布装置としては、特に限定はなく、例えば、2ロールサイズプレス、ブレードメタリングサイズプレス、ロットメタリングサイズプレス、グラビアコーター、エアーナイフコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、リップコーター、カーテンコーター、ダイコーター等が挙げられる。外添法による二酸化チタンの塗布は、オンラインでもオフラインでもよい。
【0020】
(低摩擦剤)
低摩擦剤は、紙基材に含有させることで、高不透明度紙の表面と裏面の間の滑り性が向上する。これにより、複数枚積み重ねた高不透明度紙を裁断刃を用いて裁断すると、1枚の高不透明度紙が切断されるたびに位置がわずかにずれ、切断される瞬間に複数枚を一度に押し切ることがなくなり、裁断刃の先端に応力が集中しなくなる。その結果、高不透明度紙の裁断応力が減少するものである。このため、低摩擦剤を含有しない不透明度紙と比較して、裁断時の裁断刃の摩耗が低減され、刃切れが発生し難くなる。本実施形態に係る低摩擦剤としては、液体、固体、あるいは粉末等の各種潤滑作用を有する材料であればよく、例えば、シリコーンオイル、フッ素オイル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素含有樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、シリコーンワックス、シリコーングリース、フッ素グリース、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩、タルク、黒鉛、二硫化モリブデン等が挙げられる。これらの中でも、動摩擦係数の低減効果及びコストの点から、パラフィンワックス及びポリエチレンワックスが好ましい。
【0021】
低摩擦剤を紙基材に含有させる方法としては、原料パルプを含有するパルプスラリー中に添加して抄造する内添法や、抄紙後に塗布・含浸させる外添法が挙げられるが、いずれの方法でもよく、あるいは両方を組み合わせてもよい。また、外添法で使用することができる塗布装置としては、特に限定はなく、上記の装置を適宜使用すればよい。外添法による低摩擦剤の塗布は、オンラインでもオフラインでもよい。これらの中でも、低摩擦剤は、固形分濃度0.005質量%以上10質量%以下の水分散液とし、紙基材の片面あるいは両面にグラビアコーター、エアーナイフコーター等で塗工することが好ましい。
【0022】
低摩擦剤の含有量としては、固形分換算で原料パルプ100質量部に対して、0.003質量部以上3質量部以下が好ましい。0.003質量部未満であると、裁断応力の減少効果が乏しく、一方、3質量部を超えると、紙どうしが滑りやすくなり、重ね置きした高不透明度紙が荷崩れを起こしやすくなる。
【0023】
(原料パルプ)
原料パルプとしては、例えば、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプ、合成繊維パルプ等を挙げることができる。木材パルプとしては、例えば、針葉樹や広葉樹の化学パルプや機械パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、例えば、ケナフパルプ、バガスパルプ、ラグパルプ、リネンパルプ、麻パルプ、楮パルプ、三椏パルプ、雁皮パルプ、藁パルプ、竹パルプ等が挙げられる。古紙パルプとしては、例えば、雑誌古紙、チラシ古紙、色上古紙、新聞古紙、ケント古紙、上白古紙、コート古紙、複写古紙、損紙古紙等が挙げられる。合成繊維パルプとしては、例えば、レーヨン樹脂、ビニロン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリバラフェニレン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
【0024】
これらの中でも、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)等の化学パルプを含有することが好ましい。また、白色度を高めるため、白色度の高い晒パルプを使用することが好ましい。
【0025】
紙基材には、発明の所望の効果を損なわれない範囲で、慣用の添加剤、例えば、サイズ剤(アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン-アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系、ロジン系等)、紙力増強剤(澱粉、ポリアクリルアミド、ポリアミドアミンエピクロロヒドリン等)、歩留まり向上剤、濾水性向上剤、硫酸バンド、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等を必要に応じて適宜選択して使用することができる。これらの中でも、二酸化チタン及び低摩擦剤の塗工安定性の点から、澱粉を含有することが好ましい。また、白色度をさらに高めるために、蛍光増白剤を使用することが好ましい。
【0026】
紙基材の製造方法は、公知の方法を用いればよい。例えば、針葉樹パルプと広葉樹パルプを所定の質量比で水に分散し、これを叩解機で所定の叩解度に叩解したパルプスラリーを得る。次いで、得られたパルプスラリーに、所望により添加剤等を添加する。調整したスラリーを長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の公知の抄紙機を使用して抄紙し、紙基材を得ることができる。また、抄紙方式は、特に限定されず、酸性抄紙又は中性抄紙のいずれも選択できる。
【0027】
紙基材の坪量は、50g/m以上160g/m以下が好ましく、80g/m以上130g/m以下がより好ましい。50g/mより少ないと不透明度と紙力のバランスが崩れやすくなり、160g/mを超えると裁断適性が悪くなる場合がある。また、紙基材の厚さは、50μm以上160μm以下が好ましい。
【0028】
(不透明度)
本実施形態に係る不透明度とは、JIS P8149:2000に基づいて測定した数値であり、本実施形態に係る高不透明度紙の不透明度は97%以上である。情報の保護・隠蔽性を高める点から、高不透明度紙の不透明度が高いほうが好ましい。本実施形態に係る高不透明度紙のより好ましい不透明度は98%以上であり、特に好ましい不透明度は99%以上である。本実施形態に係る高不透明度紙の不透明度の上限に定めはなく、100%であるが、製造上の問題や価格の観点より、99.8%を上限とすることが好ましい。
【0029】
(動摩擦係数)
本実施形態に係る動摩擦係数は、JIS P 8147:2010の水平法に準じて測定した数値である。ただし、7.2.3項目に記載のおもりは、底辺に係る加圧力を1.64kPaから4.92kPaに変更(すなわち、おもりの質量を1kgから3kgに変更)している。高不透明度紙の表面と裏面との間の動摩擦係数が0.45以下であることが好ましい。動摩擦係数が0.45以下であることにより、刃切れの維持が改善される。なお、上記測定方法による動摩擦係数の下限は、作業性の点から0.25以上であることが好ましい。なお、高不透明度紙の表面及び裏面とは、抄紙により得られる紙の両面であってワイヤーパートに接していた面及びその反対面をいう。
【0030】
紙基材の片面には、不透明度を向上させるために、黒色層を備えることが好ましい。また、片面にのみ黒色層を備えることで、黒色層とは反対側を印刷層とし、高不透明度紙のカラーバリエーションを増やすことができる。黒色層の形成方法としては、例えば、黒色層形成用塗工液を調製し、紙基材の片面にグラビアコーター、エアーナイフコーター等で塗工することが好ましい。黒色層には、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、チタンブラック、黒鉛、黒色酸化鉄等の黒色顔料、C.I. Direct Black 166、C.I. Direct Black 168、C.I. Direct Black 19、C.I. Direct Black 22等の黒色染料等の着色剤の他に、所望により、二酸化チタン、低摩擦剤及び上述の添加剤を配合することができる。着色剤の中でも、少量で不透明度に優れることから、黒色顔料がより好ましく、耐水性、耐光性の点でカーボンブラックが更に好ましい。カーボンブラックとしては、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック等があるが、いずれも用いることができる。
【0031】
カーボンブラックを含有する黒色層形成用塗工液は、固形分濃度0.01質量%以上10質量%以下の水分散液とし、固形分換算で、原料パルプ100質量部に対して1質量部以上5質量部以下配合することが好ましい。
【0032】
本実施形態に係る高不透明度紙は、不透明性が求められる封筒用紙、隠蔽ラベル用紙、印刷用紙、機密保護用紙、食品・飲料等の包装用紙等に使用することができる。これらの中でも、他の用途と比較して裁断工程数が多い傾向にあり、かつ、封入物の隠蔽性が求められる封筒用紙として使用することが好ましい。
【0033】
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明は、これらに何ら限定されるものではない。なお、%及び部は、特に断りのない限り、質量%及び質量部を表す。
【0034】
[実施例1]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)80質量%からなるパルプをショッパーリグラー法による叩解度が30°SRとなるように叩解処理し、パルプスラリーの濃度が約2.7質量%となるように水に分散してパルプスラリーを得た。このパルプスラリー中の原料パルプ100質量部に対して、二酸化チタン(石原産業株式会社製、商品名:タイペークR-930)を20質量部、ロジン系サイズ剤(荒川化学工業株式会社製、商品名:サイズパインE-50)を0.8質量部、硫酸アルミニウム(朝日化学工業株式会社製、商品名:液体硫酸バンド)4.0質量部、澱粉(日本コーンスターチ株式会社製、商品名:SK-20)を1.5質量部添加し、そこにpH5.5になるように苛性ソーダを添加し、長網多筒式抄紙機を用いて厚さ130μm及び坪量100g/mの紙を抄紙した。
【0035】
得られた紙基材の表面側に酸化澱粉(王子コーンスターチ株式会社製、商品名:エースA)を5質量部、低摩擦剤として固形パラフィンワックス(近代化学工業株式会社製 商品名:ペルトールRP907N)を3質量部、水を992質量部とした塗工液を作製して、サイズプレスにて塗布した。裏面側には、上記の表面側の塗工液にカーボンブラック(東海カーボン株式会社製、商品名:Aqua-Black 001)を0.27質量部追加して黒色層形成用塗工液とし、エアーナイフコーターにより塗布した。その後、紙の厚みが125μmとなるようにカレンダー処理を行い、サンプルを得た。
【0036】
[実施例2]
実施例1の固形パラフィンワックスを、高密度ポリエチレンワックス(keim additec社製 商品名:MD-2300/50)10質量部に変更した以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
【0037】
[比較例1]
実施例1の表面の塗工液中の低摩擦剤(固形パラフィンワックス)を含有しない以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
【0038】
[比較例2]
実施例1の二酸化チタン及び低摩擦剤(固形パラフィンワックス)を含有せず、かつ、紙の裏面側にカーボンブラックを塗布しない以外は、実施例1と同様にサンプルを作製した。
【0039】
得られた各高不透明度紙について、以下に示す方法により評価を行った。結果を表1に示す。
【0040】
(不透明度)
不透明度は、JIS 8149:2000に従って測定を行った。
【0041】
(動摩擦係数)
動摩擦係数は、JIS P 8147:2010の水平法に準じて測定を行った。すなわち、試験片となる高不透明度紙を2枚用意し、両者の接触面が表面と裏面の組み合わせになるよう一方の試験片をおもりの下面に、もう一方の試験片を水平板の上面に両面粘着シートで貼付け固定し、おもりを水平移動させて両者の間の動摩擦係数を測定した。ただし、7.2.3項目に記載のおもりは、底辺に係る加圧力を1.64kPaから4.92kPaに変更(おもりの質量を1kgから3kgに変更)した。
【0042】
(裁断荷重)
荷重計として、テクスチャーアナライザー(Stable Micro Systems社製、商品名:Texture Analysers TA.XT.Plus)に、トムソン刃(刃角30度)を装着し、台座は、ポリカーボネート板(ユーコウ商会社製、商品名:PC-1600)とした。テクスチャーアナライザーのサンプルステージ上に台座を置き、その台座上に幅10mm×長さ50mmの試験片を10枚積層した紙サンプルを置いて、裁断速度0.50mm/sにより裁断測定を行った。得られたグラフチャートから、紙が全て裁断されるまでに要した最大裁断荷重を裁断荷重の測定値とした。
【0043】
【表1】
【0044】
実施例1及び2は、低摩擦剤を含有していない比較例1よりも動摩擦係数及び裁断荷重の数値が小さかった。これにより、長時間裁断しても刃こぼれ等が生じにくく、裁断応力を低く維持していた。また、実施例1及び2は、二酸化チタン及び低摩擦剤を含有せず、黒色層も備えていない比較例2よりも不透明度が高かった。
【0045】
以上、本発明について、実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記の実施形態の範囲には限定されないことは言うまでもなく、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが特許請求の範囲の記載から明らかである。