(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】無人移送車による多層ピッキングシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
B65G1/137 A
(21)【出願番号】P 2021157094
(22)【出願日】2021-09-27
【審査請求日】2022-01-27
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110559
【氏名又は名称】友野 英三
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-113291(JP,A)
【文献】特表2018-516173(JP,A)
【文献】特表2020-504665(JP,A)
【文献】特表2021-507860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無人移送車により物品を目的に従って仕分けして、順立出庫させるピッキングシステムであって、
無人移送車と物品を前記無人移送車に引き渡すための引渡し手段と前記無人移送車に引き渡された物品を仕分けするための仕分け手段がそれぞれ多層に設けられており、
中央制御システムコンピュータによる制御と、
無人移送車による自律的な制御と、に役割分担されており、
前記仕分け手段として複数の階層に物品の投入部を有し、商品および/または商品パッケージの特性を考慮した制御を特徴とする無人移送車によるピッキングシステム。
【請求項2】
前記ピッキングシステムは、下階層では高頻度品の商品を仕分けさせる制御を特徴とする請求項1に記載の無人移送車による多層ピッキングシステム。
【請求項3】
前記ピッキングシステムは、上階層では中程度・低頻度品の商品を仕分けさせる制御を特徴とする請求項1または請求項2に記載の無人移送車によるピッキングシステム。
【請求項4】
前記ピッキングシステムは、下階層では重量の大きいおよび/または壊れやすい商品や商品を収納したパッケージの変形および/または破損しやすい商品を無人移送車に移載し、前記投入部に投入させる請求項1に記載の無人移送車によるピッキングシステム。
【請求項5】
前記ピッキングシステムは、上階層では重量の小さいおよび/または壊れにくい商品や商品を収納したパッケージの変形および/または破損しにくい商品を無人移送車に移載し、前記投入部に投入させる請求項1に記載の無人移送車によるピッキングシステム。
【請求項6】
前記無人移送車は、荷台に前記引渡し手段から物品を引渡しおよび/または前記仕分け手段に移載するための移載手段を備えた請求項1に記載の無人移送車によるピッキングシステム。
【請求項7】
前記引渡し手段は、物品を前記無人移送車に引き渡すために仮置きするための仮置部と、前記無人移送車に引き渡すための引渡し部とを備えた請求項1に記載の無人移送車によるピッキングシステム。
【請求項8】
前記仕分け手段は、前記無人移送車の荷台に置かれた物品を仕分けするために投入される投入部と、前記投入部に投入された物品を集品容器で集品するための集品部とを備える請求項1に記載の無人移送車によるピッキングシステム。
【請求項9】
前記投入部は一つの集品容器に対し1以上複数のダクトを備えた投入口を有し、前記無人移送車から各投入口に投入された物品は、ダクトを通して下方に集約され、集品容器に集品される請求項8に記載の無人移送車によるピッキングシステム。
【請求項10】
前記中央制御システムコンピュータは、商品や商品を収納したパッケージの種類に応じて、下階層と上階層との無人移送車による集品容器への投入の順位を決める請求項8に記載の無人移送車によるピッキングシステム。
【請求項11】
前記投入部は、各階層に複数個設けて投入ゾーンを構成する請求項1に記載の無人移送車によるピッキングシステム。
【請求項12】
前記
投入部は一つの集品容器に対し1以上複数のダクトを備えた投入部を有し、前記ダクトはゾーンごとに1つに集約され、前記無人移送車から各投入部に投入された物品は、ダクトを通して下方に集約され、集品容器に集品される請求項8に記載の無人移送車によるピッキングシステム。
【請求項13】
前記中央制御システムコンピュータは、前記各投入部のダクト下方で集品容器を移動させ、前記無人移送車と物品投入タイミングを取って、集品容器に物品を集品する請求項8に記載の無人移送車によるピッキングシステム。
【請求項14】
前記集品容器はコンベヤで移動可能とする請求項
8~10、12~13のうちのいずれか1項に記載の無人移送車によるピッキングシステム。
【請求項15】
前記集品容器は無人移送車で移動可能とする請求項
8~10、12~13のうちのいずれか1項に記載の無人移送車によるピッキングシステム。
【請求項16】
前記投入部は、出庫部に対して垂直並びと並行並びとに複数配置されている請求項1に記載の無人移送車によるピッキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人移送車(AGV/AМR)がピックアップした商品を投入するときの投入構造を有する空港、物流センターなどの施設の仕分け作業に利用可能な無人移送車による多層ピッキングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流センター等の広い作業スペースにおいて、出荷先ごとに定められた品種及び数量の商品の注文を出荷先別に仕分けるピッキングシステムを利用した作業(庫内作業)が知られている。 庫内作業は、作業に従事する者(以下、作業者と呼ぶ。)が広いスペース内を移動したり、商品の上げ下ろしを行ったりする。
【0003】
物流における各種商品の配送センター或いは倉庫等においては、商品の仕分け作業が行われている。例えば、配送センターでは、ユーザー(仕分け先)の注文に応じた商品をピッキングして複数の集品容器に仕分ける、いわゆるピッキング作業が行われている。このようなピッキング作業においては、例えば、集品容器を搬送するベルトコンベヤの移動方向に沿って複数の作業ゾーンが区画されており、作業ゾーン毎に専属の作業者が配置されている。この作業者は、各集品容器に割り付けられたユーザーの注文に基づいて、商品が保管されている収納棚から注文された数量の商品をピッキングし、当該商品をベルトコンベヤにより搬送されてくる集品容器のうち当該商品を注文しているユーザー向けの集品容器へ投入する。
【0004】
従来では、特許文献1に開示されているように、作業者が複数の商品を容器に投入するためのシステムであって、容器を格納可能な棚と、作業者により容器へ商品が投入される投入ステーションと、前記商品が投入されていない空容器を供給するための空容器供給装置と、前記空容器供給装置、前記投入ステーション及び前記棚の間で前記容器を搬送可能な搬送装置と、前記投入ステーションにおいて前記空容器が必要となった際に、前記搬送装置に、前記空容器供給装置から前記投入ステーションへと前記空容器を直接搬送させるコントローラとを備える投入ステーションシステムに関する技術思想が存在する。
【0005】
また、例えば、特許文献2に開示されているように、保管されている複数の商品の中から必要な商品を収集して出庫するピッキングシステムであって、上下方向の高さが異なる複数段の間口を有し、前記商品を前記複数段の前記間口のいずれかに仕分けして排出する複数段仕分け装置と、前記複数段の前記間口のそれぞれに対応して設けられた複数の第1搬送装置と、前記第1搬送装置から前記商品を受け取って搬送する第2搬送装置と、を備え、複数の前記第1搬送装置のそれぞれは、第1搬送面を有し、前記間口から排出される前記商品を前記第1搬送面により受け取ると共に、前記商品を前記第1搬送面に載せた状態で前記間口から離間させる離間方向に搬送し、前記第2搬送装置は、昇降可能に構成された第2搬送面を有し、複数の前記第1搬送装置のいずれかの前記第1搬送面の終端部に対応する高さに前記第2搬送面を位置させた状態で、前記第1搬送面の終端部から排出される前記商品を前記第2搬送面により受け取って搬送する、ピッキングシステムに関する技術思想が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2020-111422号公報
【文献】特開2021-95269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した特許文献1においては、投入ステーションでは、投入する必要人数の作業者を配列させて作業するため、顧客要求に起因する需要変動、季節変動、時間変動などに柔軟に(即座に)対応させたくても、物流倉庫の人材の採用難があり、あるいは欠勤時の増員対応が難しい状況下では、閑散期にもかかわらず、余剰人員を抱えてしまう。しかも、受注のない商品をピッキングしたり、受注のない仕向け先に商品をソーティングしたりする仕分けミスが発生する虞がある。
【0008】
また、上記した特許文献2においては、複数段仕分け装置によって複数段の前記第1搬送装置のそれぞれから商品を第2搬送装置に移送し、昇降可能な第2搬送装置を最下段まで下降して搬出装置に引き渡すため、物流施設全体を稼働停止させることなく、故障やレイアウト変更に対応できない。また、第2搬送装置の上下方向への移動に伴う経過時間の変動によって、ピッキングシステムのスループットが上がらなくなる虞がある。
【0009】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、顧客要求に起因する需要変動、季節変動、時間変動などに柔軟に(即座に)対応可能で、仕分け作業を行う空港や物流倉庫などの施設の人材の採用難と欠勤時の増員対応の課題を解決し、施設全体を稼働停止させることなく故障やレイアウト変更に対応でき、しかも商品の仕分けミスが無く、商品やパッケージの特性や、商品毎のピッキング頻度に配慮しながら仕分け作業のスループットを上げることのできる無人移送車による多層ピッキングシステムを提供する、ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を念頭に、本発明者は、まず、自動的な移動を行うと共に、作業者による作業の少なくとも一部を代替して行うロボットであって、自身の最適制御に加えて必要に応じ全体の最適制御に基づいた動作を行うことができる無人移送車(以下に、ANR(Autonomous Navigation Robot)とも称することとする。)との技術思想を創出し、顧客要求に起因する需要変動、季節変動、時間変動などに柔軟に(即座に)対応可能で、物流倉庫の人材の採用難と欠勤時の増員対応の課題を解決した。
【0011】
従来の物流センターでは、商品については1本の搬送ライン上に多くのピッキング作業者を配置させる所謂ライン型ピッキングシステムであったため、人手に頼った集品作業になっていたが、本発明は、ピッキング作業員に替わって、無人移送車を使用した順立出庫を可能とし、ピッキングミスの無い、時間あたりの物量の変化に対して、設備を停止することなく、無人移送車の稼働台数を変化させて融通性を担保しながら、仕分け作業のスループットを向上させるピッキングシステムである。
【0012】
すなわち、本発明は、上下2層(複数階層)の床面を無人移送車が走行し、商品の重量の大きいものや、パッケージのしっかりした商品を集品容器との高さ方向の距離の短い下層から最初に投入することで壊れやすいい商品やパッケージにダメージを与えないことを配慮し、どの階層の無人移送車にどの特性の商品を搬送させるのかを判断し、仕分け作業させるものである。
【0013】
また、上下2層(複数階層)で棚から出庫される商品をコンベヤまたは、作業者、あるいは無人移送車により、無人移送車に、商品を移載し該商品を目的の集品容器に投入する場合、投入ゾーンを各階層に複数設けることにより、同時の投入が可能となり、スループットを上げることができる。
【0014】
また、上層は集品容器との高度差があるので、投入によるダメージを考慮した商品重量の軽いものを対象とし、下層は集品容器との距離が近いので重量の大きい、上層からの商品の落下に対し壊れにくい商品や商品を収納したパッケージの変形および/または破損しない商品を対象とする。これにより、商品やパッケージの特性に配慮し、仕分け作業のスループットを上げることができる。
【0015】
投入部を上下2層(複数階層)に設ける以外に、シュータの投入部を同一平面に複数個設け、シュータをエキゾーストマニホールドパイプのように1カ所に合流させる。この方式は、長さが異なれば投入時間がずれるので同時に投入される確率が減る。
【0016】
また、上下2層(複数階層)において、下階層では高頻度品専用の商品とし、上階層では中程度・低頻度品の商品を取り扱うようにする。これにより、商品やパッケージの特性に配慮しながら、仕分け作業のスループットを上げることができる。
【0017】
上述した課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るシステムは、無人移送車により物品を目的に従って仕分けして、順立出庫させるピッキングシステムであって、
無人移送車と物品を前記無人移送車に引き渡すための引渡し手段と前記無人移送車に引き渡された物品を仕分けするための仕分け手段がそれぞれ多層に設けられており、
中央制御システムコンピュータによる制御と、
無人移送車による自律的な制御と、に役割分担されており、
前記仕分け手段として複数の階層に物品の投入部を有し、商品および/または商品パッケージの特性を考慮した制御を特徴とする。
【0018】
無人移送車の走行は、床面上および/または軌道上を特徴としてもよい。
【0019】
本発明の第2の態様として、第1の態様において、前記ピッキングシステムは、下階層では高頻度品の商品を仕分けさせる制御を特徴とする。
【0020】
本発明の第3の態様として、第1または第2の態様において、前記ピッキングシステムは、上階層では中程度・低頻度品の商品を仕分けさせる制御を特徴とする。
【0021】
本発明の第4の態様として、第1の態様において、前記ピッキングシステムは、下階層では重量の大きいおよび/または壊れやすい商品や商品を収納したパッケージの変形および/または破損しやすい商品を無人移送車に移載し、前記投入部に投入させるものとしても良い。
【0022】
本発明の第5の態様として、第1の態様において、前記ピッキングシステムは、上階層では重量の小さいおよび/または壊れにくい商品や商品を収納したパッケージの変形および/または破損しにくい商品を無人移送車に移載し、前記投入部に投入させるものとしても良い。
【0023】
本発明の第6の態様として、第1の態様において、前記無人移送車は、荷台に前記引渡し手段から物品を引渡しおよび/または前記仕分け手段に移載するための移載手段を備えたものとしても良い。
【0024】
本発明の第7の態様として、第1の態様において、前記引渡し手段は、物品を前記無人移送車に引き渡すために仮置きするための仮置部と、前記無人移送車に引き渡すための引渡し部とを備えたものとしても良い。
【0025】
本発明の第8の態様として、第1の態様において、前記仕分け手段は、前記無人移送車の荷台に置かれた物品を仕分けするために投入される投入部と、前記投入部に投入された物品を集品容器で集品するための集品部とを備えるものとしても良い。
【0026】
本発明の第9の態様として、第8の態様において、前記投入部は一つの集品容器に対し1以上複数のダクトを備えた投入口を有し、前記無人移送車から各投入口に投入された物品は、ダクトを通して下方に集約され、集品容器に集品されるものとしても良い。
【0027】
本発明の第10の態様として、第8の態様において、前記中央制御システムコンピュータは、商品や商品を収納したパッケージの種類に応じて、下階層と上階層との無人移送車による集品容器への投入の順位を決めるものとしても良い。
【0028】
本発明の第11の態様として、第1の態様において、前記投入部は、各階層に複数個設けて投入ゾーンを構成するものとしても良い。
【0029】
本発明の第12の態様として、第8の態様において、前記投入ゾーンは一つの集品容器に対し1以上複数のダクトを備えた投入部を有し、前記ダクトはゾーンごとに1つに集約され、前記無人移送車から各投入部に投入された物品は、ダクトを通して下方に集約され、集品容器に集品されるものとしても良い。
【0030】
本発明の第13の態様として、第8の態様において、前記中央制御システムコンピュータは、前記各投入部のダクト下方で集品容器を移動させ、前記無人移送車と物品投入タイミングを取って、集品容器に物品を集品するものとしても良い。
【0031】
本発明の第14の態様として、第8乃至第13の態様において、前記集品容器はコンベヤで移動可能とするものとしても良い。
【0032】
本発明の第15の態様として、第8乃至第13の態様において、前記集品容器は無人移送車で移動可能とするものとしても良い。
【0033】
本発明の第16の態様として、第1の態様において、前記投入部は、出庫部に対して垂直並びと並行並びとに複数配置されているものとしても良い。
【発明の効果】
【0034】
本発明の各態様によれば、顧客要求に起因する需要変動、季節変動、時間変動などに柔軟に(即座に)対応可能で、仕分け作業を行う空港や物流倉庫などの施設の人材の採用難と欠勤時の増員対応の課題を解決し、施設全体を稼働停止させることなく、故障やレイアウト変更に対応で、しかも商品の仕分けミスが無く、商品やパッケージの特性に配慮しながら仕分け作業のスループットを上げることのできる無人移送車による多層ピッキングシステムを構築可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステムの全体構成図である。
【
図2】無人移送車と中央制御システムコンピュータとの機能ブロック図を示すものである。
【
図3】各階層の順立出庫に用いられる無人移送車を示す一実施例としての模式図である。
【
図4】各階層の投入部のダクトの構成を示す正面から視た断面図である。
【
図5】他例における各階層の投入部のダクトの構成を示す正面から視た断面図である。
【
図6】各階層の投入部のダクトを一か所に合流させた構成を示す側面から視た断面図である。
【
図7】無人移送車と中央制御システムコンピュータの制御を説明するフローチャートである。
【
図8】他の例を示す無人移送車と中央制御システムコンピュータの制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係るピッキングシステムについて詳細に説明する。
【0037】
本実施形態のシステムは、
図4、
図5、
図6に示すように、ANR20と、物品を前記ANR20に引き渡すための引渡し手段と、前記ANR20に引き渡された物品を仕分けするための仕分け手段とを備えている。この仕分け手段は、それぞれ多層に設けられている。商品Gを入庫した棚を有する複数階層の出庫部Pの床面をANR20が走行し、商品Gの重量の大きいものを最初に投入することで壊れやすい商品Gやパッケージにダメージを与えないことを配慮しながら、どの階層のANR20にどの特性の商品Gを搬送させるのかを判断しながら投入部へ集荷させることで、商品やパッケージの特性に配慮しながら、仕分け作業のスループットを上げている。
【0038】
すなわち、床面上に前記ANR20を走行対応させ、各階層で棚から商品GをコンベヤVまたは、作業者により、出庫される商品GをANR20により搬送し、該商品Gを目的の集品容器32に投入させ、商品Gおよび/または商品パッケージの特性を考慮した集品手段Qを備える。つまり、上下2層(複数階層)の床面をANR20が走行し、商品の重量の大きいものや、パッケージのしっかりした商品を集品容器との高さ方向の距離の短い下層から最初に投入することで壊れやすいい商品やパッケージにダメージを与えないことを配慮し、どの階層のANR20にどの特性の商品を搬送させるのかを判断し、仕分け作業させる。なお、本実施形態では、簡略のために複数の階層を上下2層として説明するが、これに限定せずに3層以上としてもスループットを上げることができる。
【0039】
図2に示すように、施設全体を管理する中央制御システムコンピュータ10による各階層の倉庫部Pの在庫管理とANR20の制御を行う中央制御部11と、出庫部P内を移動可能なANR20による制御部28とを備えて構成されている。
【0040】
前記中央制御システムコンピュータ10は、各階層にある前記ANR20の稼働状態、現在位置、積載位置及び投入部30位置を管理・制御する。また、後述する選出手段Bは、出庫品目情報及び出庫数量情報を少なくとも有する出庫情報に基づき1つ以上の前記ANR20を選出する指示を与える。また、ANR20に、出庫情報に紐付けされた積載位置と投入部30位置の位置情報、つまり移動先(番地情報)の指示を与えている。前記ANR20は、現在位置から積載位置まで、および積載位置から投入部30位置までを自律的に移動し、中央制御システムコンピュータ10と、ANR20とは施設全体の停止を防ぎ、物量の変化に対し、ANRの台数を変化させ、融通性を担保するための制御を行う。
【0041】
ANR20は、出庫部P内を移動可能であり、商品Gを保持する機能を有する自律移動手段である。
図2に示すように、ANR20は駆動輪22と、フラッパー可動手段23と、フラッパー24と、バッテリー25と、通信部26と、センサ27と、制御部28と、位置センサ29を備えて構成されている。
【0042】
フラッパー可動手段23は、商品Gを載置するトレイ状の部材であるフラッパー24を傾斜させる手段であり、
図6に示すように、投入部30に商品Gをすべり込ませる。尚、フラッパー可動手段23は、コンベヤVであって、投入部30に商品Gを送り出すものであっても良い。
【0043】
バッテリー25は、駆動輪22、フラッパー可動手段23、通信部26、 センサ27、制御部28、位置センサ29に動力を供給する、充電可能な二次電池である 。バッテリー25の充電は、例えば順立出庫内の偶所に設けられた充電設備(不図示)にANR20が接近して行われる。この充電設備にANR20を待機させることで、出庫部P内を移動するANR20の個数を削減し、充電設備からANR20を出庫部P内に引き出すことで、出庫部P内を移動するANR20の個数を増加させる。
【0044】
通信部26は、中央制御システムコンピュータ10や他のANR20と無線通信を行うための機構であり、任意の通信手段を採用することができる。
【0045】
センサ27は、ANR20の周辺状況を検知する手段であり、例えばANR20の移動経路上において所定の距離内に障害物がある場合にこれを検知することができる。
【0046】
制御部28は、ANR20の全体、すなわち例えば、ANR20の停止及び移動、移載及び投入のフラッパーの動作等を制御するCPU(Central Processing Unit)と、CPU上で動作する制御プログラム等を格納したROM(Read-only Memory)と、各種データを一時的に格納するためのRAM(Random Access Memory)(何れも不図示)を備えて構成されている。
【0047】
ANR20を制御する制御部28は、CPUがROMに格納されている制御プログラムをRAMに展開して実行することにより、不図示の、ANR20の周りの状況情報抽出部、動力残量算出部、フラッパー動作部、駆動輪動作部として機能する。
【0048】
中央制御システムコンピュータ10の中央制御部11は、倉庫部の在庫管理と共に、後述のコンベヤの待機手段A、ANR20の選出手段B、コンベヤのコンベヤ駆動手段C、ANR20に対する送信手段Dの指示を制御する。中央制御システムコンピュータ10は、CPU(Central Processing Unit)と、CPU上で動作する制御プログラム等を格納したROM(Read-nly Memory)と、各種データを一時的に格納するためのRAM(Random Access Memory)(何れも不図示)を備えて構成されている。
【0049】
ANR20の現在位置を示す現在位置情報と、中央制御システムコンピュータ10から送信される積載位置を示す積載位置情報及び投入部30を示す目的地情報とに基づき、移動距離を算出する。現在位置情報は、本実施形態においてはANR20が図示しないSLAМ方式(図示せず、Simultaneоus Lоcalizatiоn and Мapping)や、床面に設置されたグリッド等を用いて自律的に判断することを想定しているが、本発明においてはこれに限らず、任意の位置特定手段を用いて自律的に判断する他、中央制御システムコンピュータ10が図示しないレーダ等を用いて各ANR20の位置情報を把握、管理し、中央制御システムコンピュータ10から各ANR20にそれぞれの位置情報を通知する態様を採用することができる。ただし、これに限定されるのもではない。位置の推定やマップ作成にはレーザーレンジスキャナー(測域センサ、LIDAR)、カメラ、エンコーダ、マイクロフォンアレイなど公知の技術が利用される。
【0050】
前記ANR20は、荷台に前記引渡し手段から物品を引渡しおよび/または前記仕分け手段に移載するための移載手段を備える。すなわち中央制御システムコンピュータ10の指示で、各階層の商品Gを入庫した棚からコンベヤVに当該商品Gを移載手段により移載する。このとき、上下2層の床面をANR20が走行し、商品の重量の大きいものを最初に投入することで壊れやすいい商品Gやパッケージにダメージを与えないことを配慮しながら、どの階層のANR20にどの特性の商品Gを搬送させるのかを判断する。なお、コンベヤVを使わずに作業者が商品GをANR20に移載しても良い。
【0051】
なお、前記移載手段は、コンベヤVのほかに、ダンプベッセル、テレスコープ、ロボットアーム、などを備えていても良い。
【0052】
前記引渡し手段は、物品を前記ANR20に引き渡すために仮置きするための仮置部と、前記ANR20に引き渡すための引渡し部とを備え、前記仕分け手段は、前記ANR20の荷台に置かれた物品を仕分けするために投入される投入部30と、前記投入部30に投入された物品を集品容器32で集品するための集品部とを備える。前記投入部30は一つの集品容器32に対し1以上複数のダクト31を備えた投入口を有する。
【0053】
そして、ANR20は、候補となる経路毎の目的地までの移動距離、経路毎の状況情報、経路毎の予測情報及び自機の動力残量に基づき現在位置から積載位置までおよび積載位置から投入部30まで自律的に移動する。
【0054】
図2および
図3に示すように、中央制御システムコンピュータ10は、CPUがROMに 格納されている制御プログラムをRAMに展開して実行することにより、コンベヤVで運ばれる商品Gを定位置、すなわち当該コンベヤV先端側で待機させるよう中央制御システムコンピュータ10の中央制御部11によって制御する待機手段Aを備える。
【0055】
中央制御システムコンピュータ10の中央制御部11は、所定の作業を行っておらず、出荷作業に従事可能なANR20を選出する選出手段Bを備える。
【0056】
選出手段Bによって選出されたANR20はコンベヤV先端側に移動してゆき、このとき前記待機させた商品Gを、コンベヤVを駆動させることで、ANR20のフラッパー24上に商品Gを載せる(ピッキング)コンベヤ駆動手段Cを有する
【0057】
この時のANR20の荷重によって自律的に投入部30へ移動させるよう中央制御システムコンピュータ10の中央制御部11によって制御信号をANR20に送信する送信手段Dを備える。
【0058】
待機手段Aは、立体倉庫を使用してANR20で棚からコンベヤVに商品Gを搬送する作業を行うこと、倉庫からフローティングラック+人により商品GをコンベヤVに移載手段により移載する作業を行うこと等により運ばれる商品Gをピッキング作業側のコンベヤV先端側で待機させるよう中央制御システムコンピュータ10の中央制御部11はコンベヤVの駆動部(不図示)に送信させる。
【0059】
選出手段Bは、各ANR20の現在位置情報、稼働状態情報をANR20より取得し、中央制御システムコンピュータ10は、出庫情報に基づき積載位置情報、投入部位置情報をANR20に対し送信し、商品Gの出庫作業に加わるANR20を選出する。また、選出手段Bは、状況情報及び予測情報に基づき、出荷作業に加わるANR20の台数を調整する。尚、コンベヤVは、出庫部Pに対して縦方向に複数配置されている。
【0060】
選出手段Bによって選出されたANR20がコンベヤV先端側に移動し、コンベヤ側の指定の積載位置で停止し、中央制御システムコンピュータ10に指定の積載位置で停止したという情報を送信後、中央制御システムコンピュータ10は、ANR20がコンベヤ先端側に移動し指定位置に停止した情報を受信し確認し、コンベヤ駆動手段Cは、コンベヤVを駆動させて前記待機させた商品GをANR20のフラッパー4上に送る(ピッキング)。
【0061】
ANR20は、商品Gの積載を荷重の変化を重量センサ等で感知した後、積載の完了情報を中央制御システムコンピュータ10へ送信し、中央制御システムコンピュータ10は、コンベヤ駆動手段Cにより、コンベヤVの駆動を停止させ、送信手段Dにより、ANR20を指定の投入部位置へ移動させるよう制御信号をANR20に送信し、ANR20は、自律的に投入部30へ移動させる。
【0062】
図1、
図3に示されているように、前記投入部30は顧客の要求に起因する複数の投入部30を有する投入ゾーンZを備えている。該投入ゾーンZの各投入部30は出庫部Pに沿って例えば5つが配置され、複数の投入ゾーンZが出庫部Pに沿って平行に配置されている。前記投入部30は一つの集品容器32に対し1以上複数のダクト31を備えた投入口を有する。ANR20が2台以上走行してきても互いに干渉し合わずに、各投入部30に商品Gを投入することができる。尚、図示はしないが、各投入ゾーンZは出庫部Pに沿って縦方向に配置されていても良い。
【0063】
図4に示すように、各階層の例えば5つの各投入部30から通じるシュータのダクト31は1つに集約させている。そして、
図6に示すように、上階層の集約させた1つのダクト31と、下階層の集約させた1つのダクト31とは互いに合流させている。すなわち、シュータをエキゾーストマニホールドパイプのように1カ所に合流させる。この方式は、長さが異なれば投入時間がずれるので同時に投入される確率が減る。各階層において、商品Gを積載した5台のANR20から各投入部30にそれぞれ投入して、合流した1つのダクト31の下方にある1つの集品容器32に収納する。投入後の各ANR20は中央制御システムコンピュータ10に投入完了を送信する。前記集品容器32はコンベヤVで移動可能とするか、または前記集品容器32はANR20で移動可能とするようにしても良い。
【0064】
また、
図5に示されているように、各階層の投入ゾーンZの投入部30から通じるシュータのダクト31は垂直に通じて、
図6に示すように、上階層のダクト31と、下階層のダクト31とは互いに合流させている。すなわち、各階層において、中央制御システムコンピュータ10による指示で、異なる商品Gを積載したANR20から所定のタイムラグで、各投入部30にそれぞれ投入する。すなわち、各階層の各ANR20は商品Gを投入ゾーンZの或る各投入部30の指定位置に停止した情報を中央制御システムコンピュータ10に送信すると、該中央制御システムコンピュータ10は該当するANR20のダクト31の真下に集品容器32を移動させる。このように、集品容器32は、投入される各ダクト31の所定のタイミングを取って移動させて商品Gを収納する。投入後の各ANR20は中央制御システムコンピュータ10に投入完了を送信する。前記集品容器32はコンベヤVで移動可能とするか、または前記集品容器32はANR20で移動可能とするようにしても良い。
【0065】
仕分け頻度別の商品の集品に対し、前記集品手段Qは、中央制御システムコンピュータ10の指示で、下階層では高頻度品専用の商品Gとし、層ごとに上の層では、頻度の少ないものを取り扱うようにする。高頻度品を下層で仕分けことにより、投入口からの高低差からくる距離を短くでき、集品スピードを上げることで、仕分け作業のスループットを上げることができる。
【0066】
また、商品および/またはパッケージによる商品特性による集品に対し、下階層では、重量の大きいおよび/または壊れやすい商品Gや商品Gを収納したパッケージの変形および/または破損しやすい商品GをANR20に移載手段により移載し、投入ゾーンZの投入部30に移動して投入する。
【0067】
前記集品手段Qは、中央制御システムコンピュータ10の指示で、上階層では重量の小さいおよび/または壊れにくい商品Gや商品Gを収納したパッケージの変形および/または破損しにくい商品GをANR20に移載手段により移載し、投入ゾーンZの投入部30に移動して投入する。
【0068】
商品特性として、食材が壊れやすい箱物に収容されている場合、また食材のサイズが大きいもの、また食材を収納するパッケージが大きく畳み込むことが必要なものなどは前記中央制御システムコンピュータの指示で下階層のANR20に移載する。
【0069】
商品特性として、壊れやすい食材、また、スムーズに上層から下層まで抵抗なく転がりやすいまたは円筒形の商品G、などは前記中央制御システムコンピュータの指示で上階層のANR20に移載する。
【0070】
前記集品手段Qは、中央制御システムコンピュータ10の指示で、商品Gや商品Gを収納したパッケージの種類に応じて、下階層と上階層とのANR20による集品容器32への投入の順位を決める。例えば、重量の大きいおよび/または壊れにくい商品Gや商品Gを収納したパッケージの変形および/または破損しにくい商品Gを集品容器32へ先に投入し、重量の小さいおよび/または壊れやすい商品Gや商品Gを収納したパッケージの変形および/または破損しやすい商品Gを集品容器32へ後から投入する。
【0071】
次に、以上のように構成された形態についての使用・動作の一例について、フローチャートを示す
図7及び
図8を参照して説明する。
【0072】
図7に示すように、所定の商品Gについての出荷オーダーがあった場合、すなわち、出荷する商品Gの種類、数量及び宛先を示す出荷指示情報を受け付けた場合、先ず、中央制御システムコンピュータ10は、各階層で出荷指示された商品GをコンベヤVで搬送し、コンベヤ駆動手段Cを制御して商品GをコンベヤVの先端側(移載位置)で待機させる。このときコンベヤVに配したセンサ等によりその停止が確認される。
【0073】
ステップ1で、中央制御システムコンピュータ10は、積載位置の指令をANR20に送信する。
【0074】
ステップ2で、ANR20は、自体の位置センサ29で移載位置に到着したことを確認し、停止し、中央制御システムコンピュータ10に、指定の移載位置に到着したことを送信する。指定の移載位置とは、所定の商品Gを、コンベヤVを介してANR20に載せる移載位置とする。
【0075】
ステップ3で、中央制御システムコンピュータ10により各階層で指示された商品Gを、コンベヤ駆動手段CによりコンベヤVを制御して移動させ、ステップ4で、ANR20は、フラッパー24上に商品Gを載せ(ピッキング)て、引き渡される。
【0076】
中央制御システムコンピュータ10により各階層で指示された商品Gを、コンベヤ駆動手段CによりコンベヤVを制御して移動させ、仮置き場でいったん仮置きされた商品Gを、ステップ4で、ANR20は、フラッパー24上に商品Gを載せ(ピッキング)て、引き渡されてもよい。
【0077】
ステップ5で、ANR20は、自体のフラッパー4上の重量変化を重量センサで確認し、中央制御システムコンピュータ10にピッキング完了情報を送信する。
【0078】
ステップ6で、中央制御システムコンピュータ10は、ANR20に投入ゾーンZの各投入部30の指定位置情報を送信する。すなわち、ピックアップした商品Gを投入する地点を投入部30として決定し、投入部30の位置情報として個々のANR20に送信する。
【0079】
ステップ7で、ANR20は、投入部30の指定位置に到着したことを確認し、停止し、中央制御システムコンピュータ10に、指定の移載位置に到着したことを送信する。
【0080】
ANR20は、商品Gを投入部30から投入する。この場合、各階層の例えば5つの各投入部から通じるダクト31は1つに集約させ、
図6に示すように、上階層の集約させた1つのダクト31と、下階層の集約させた1つのダクト31とは互いに合流させているため、ダクト31の下方にある1つの集品容器32に収納することができる。
【0081】
ステップ8で、ANR20は中央制御システムコンピュータ10に投入が完了した情報を送信して、本フローは終了する。
【0082】
また、
図8に示すように、各階層の投入ゾーンZの投入部30から通じるダクト31は垂直に通じて、
図6に示すように、上階層のダクト31と、下階層のダクト31とは互いに合流させている場合、先ず、ステップ10で、中央制御システムコンピュータ10はANR20に投入部30の指定位置情報を送信する。
【0083】
ステップ11で、ANR20は、投入部30の指定位置に到着したことを確認し、停止し、中央制御システムコンピュータ10に、指定の移載位置に到着したことを送信する。
【0084】
ステップ12で、中央制御システムコンピュータ10は、コンベヤを稼働させて、集品容器32を指定位置情報に合致した投入部30のダクト31の下方にタイミングをもって移動させる。
【0085】
ステップ13で、ANR20は指定位置情報に合致した投入部30に商品Gを投入する。商品Gはダクト31を介して集品容器32に集品される。
【0086】
ステップ14で、ANR20は中央制御システムコンピュータ10に投入完了の情報を送信し、本フローは終了する。
【0087】
このように、ANR20は、中央制御システムコンピュータ10の指示で所定のタイムラグで各投入部30にそれぞれ商品を投入する。そして、集品容器32は、各ダクト31下方で中央制御システムコンピュータ10の指示でタイミングを取って、集品容器32を移動させて商品Gを集品容器32に集品する。投入後の各ANR20は中央制御システムコンピュータ10に投入完了を送信する。
【0088】
このように、各ANR20は、所定のタイムラグで各投入部30に商品をそれぞれ投入する。そして、集品容器32を各ダクト31下方でタイミングを取って移動させて商品Gを集品容器32に集品する。
【0089】
そして、予定されていた全ての商品Gの集品が完了した集品容器32は、コンベヤVまたはANR20により搬送され、トラックに積み込まれる。集品容器32のトラックへの積み込みは、単独のANR20が行ってもよく、あるいは複数台のANR20が協働して行ってもよい。また 、集品容器32のトラックへの積み込みは、フォークリフト等の運搬手段を用いて作業員により行われてもよい。
【0090】
本発明に係る多層ピッキングシステムによると、物品Gは、上下2層(複数階層)における前記引渡し手段によりANR20に引き渡し、床面をANR20が走行し、商品の重量の大きいものを下層で引き渡され、最初に投入するなどの順序を配慮し、壊れやすい商品やパッケージにダメージを与えやすい商品は上層で引き渡され、仕分け頻度をさらに考慮し、どの階層のANR20にどの特性の商品を搬送させるのかを判断しながら仕分け作業をさせる。
【0091】
また、商品Gの重量の大きいものを最初に投入することで壊れやすい商品Gやパッケージにダメージを与えないことを配慮しながら、どの階層のANR20にどの特性の商品Gを搬送させるのかを判断しながら投入部へ集荷させることで、商品やパッケージの特性に配慮しながら、仕分け作業のスループットを上げている。
【0092】
また、上下2層(複数階層)で棚から出庫される商品をコンベヤまたは、作業者により、ANR20に、商品を移載手段により移載し該商品を目的の集品容器32に投入する場合、複数の投入部を有する投入ゾーンが1カ所の場合では同時に2台以上のANR20で商品を投入できないが、投入ゾーンを複数設けることにより、同時に投入が可能となり、投入ゾーンが1カ所の場合よりもスループットが上がる。
【0093】
また、一つの集品容器32に投入する投入部として、上下2層(複数階層)に投入部を備える。商品の重量の大きいものを最初に投入することで壊れやすいい商品やパッケージにダメージを与えないことを配慮しながら、例えば上層は集品容器32との距離が遠いので商品の重量を軽いものとし、下層は集品容器32との距離が近いので重量の大きい、壊れにくい商品や商品を収納したパッケージが変形および/または破損しない商品とする。これにより、商品やパッケージの特性と、に配慮しながら、仕分け作業のスループットを上げることができる。
【0094】
また、仕分け頻度別の商品の集品に対し、前記集品手段Qは、中央制御システムコンピュータ10の指示で、下階層では高頻度品専用の商品Gとし、層ごとに上の層では、頻度の少ないものを取り扱うようにする。高頻度品を下層で仕分けことにより、投入口からの高低差からくる距離を短くでき、集品スピードを上げることで、仕分け作業のスループットを上げることができる。
【0095】
また、集荷頻度が高い場合には下層で取り扱い、集荷頻度が低い場合には上層で取り扱うようにする。たとえば、食品を取り扱う物流センターでは、高頻度品として毎日の使用する頻度の高い牛乳、バナナ、などは下層にして、低頻度品として、注文がそれほどの頻度で発生しない、チューブに入ったワサビ、50枚セットの焼き海苔、などは、上層にする。
【0096】
投入部を上下2層(複数階層)に設ける以外に、シュータの投入部を同一平面に複数個設け、シュータをエキゾーストマニホールドパイプのように1カ所に合流させる。この方式は、長さが異なれば投入時間がずれるので同時に投入される確率が減る。
【0097】
施設全体を稼働停止させることなく、故障やレイアウト変更、あるいは顧客要求に起因する需要変動、季節変動、時間変動などに柔軟かつダイナミックに対応することができ、しかも施設の人材の採用難と欠勤時の増員対応の課題を容易に解決する。また、施設全体を稼働停止させることなく、故障やレイアウト変更に対応で、しかも商品の仕分け手段による仕分けミスが無く、商品やパッケージの特性と、仕分け頻度とを配慮しながら仕分け作業のスループットを上げることができる。
【0098】
すなわち、ANR20の移動制御に際しては、ANR20と中央制御システムコンピュータ10との間で役割分担が行われる。中央制御システムコンピュータ10はANR20の現在位置と稼働状態を知ることができ、かつ商品Gを積載する積載位置と商品Gを投入する投入部30位置を管理する。中央制御システムコンピュータ10は、商品Gを積載しておらず、かつ積載予約のないANR20を選択し、選択されたANR20に対して積載位置、投入部30位置と共に稼働指令を発する。
【0099】
選択されたANR20は受けた指令を基に、現在位置から積載位置に自律的に移動する。その後商品が積載されたら、投入部30に自律的に移動する。この間、ANR20は中央制御システムコンピュータ10からの制御を受けない。
【0100】
すなわち、中央制御システムコンピュータ10は、最低限、非稼働ANR20の現在位置、積載位置 、投入部30と、ANR20の空き状態のみを管理すればよい。一方、ANR20は移動経路を自律的に決定し、その移動を制御することのみを行えばよい。
【0101】
このような役割分担を持たせることにより、新たなANR20が追加された場合には、中央制御システムコンピュータ10はそれに対する上記制御を追加するだけでよく、プログラムの変更は必要ない。一方、閑期に稼働するANR20の台数を減じる場合には、ANR20を中央制御システムコンピュータ10の制御対象から外すだけで良い。この変更にもプログラムの変更は不要である。このように中央制御システムコンピュータ10とANR20の制御を分担させることにより、 ANR20の台数をダイナミックに増減させることが可能となる。
【0102】
そして、ANR20の増減を容易に行うことができるため、物流施設の短期間での構築、レイアウト変更の短期間での実現、及び容易な維持管理に対応する脆弱性の改善を行うことが可能となる。
【0103】
更に、ANR20は、移動経路を、候補となる経路毎の目的地までの移動距離、経路毎の周辺状況、他のANR20の稼働状況及び自機の動力残量に基づき判断するため、状況毎に最適な移動経路を選択することができる。
【0104】
なお、本発明は上述した実施形態に限らず、種々の変更を加えることができる。例えば、ANR20は、自機が保有する状況情報を他のANR20に送信することで、状況情報を共有することが可能であってもよい。これにより、ANR20同士が状況情報を共有し他機が検知した状況を自機のものとして活用し、より適切な移動経路を選択することができる。
【0105】
なお、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0106】
A 待機手段
B 選出手段
C コンベヤ駆動手段
D 送信手段
G 商品
P 出庫部
Q 集品手段
V コンベヤ
Z 投入ゾーン
10 中央制御システムコンピュータ
11 中央制御部
20 ANR
22 駆動輪
23 フラッパー可動手段
24 フラッパー
25 バッテリー
26 通信部
27 センサ
28 制御部
29 位置センサ
30 投入部
31 ダクト
32 集品容器
【要約】
【課題】顧客要求に起因する需要変動、季節変動、時間変動などに柔軟に(即座に)対応可能で、仕分け作業を行う空港や物流倉庫などの施設の人材の採用難と欠勤時の増員対応の課題を解決し、施設全体を稼働停止させることなく、故障やレイアウト変更に対応で、しかも商品の仕分けミスが無く、商品やパッケージの特性に配慮しながらGTPステーションのスループットを上げる。
【解決手段】商品Gを入庫した棚を有する出庫部Pを複数の階層に設けた床面上にANR20を走行対応させ、各階層で棚から商品をコンベヤVまたは、作業者により、出庫される商品GをANR20により搬送し、該商品Gを目的の集品容器32に投入させ、商品Gおよび/または商品パッケージの特性を考慮した集品手段によりスループットの改善を行う。
【選択図】
図1