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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/116 20130101AFI20221213BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20221213BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20221213BHJP
   H04B 10/60 20130101ALI20221213BHJP
【FI】
H04B10/116
B41J29/00 S
G03G21/16 133
B41J29/00 E
H04B10/60
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2016240030
(22)【出願日】2016-12-12
(65)【公開番号】P2018098594
(43)【公開日】2018-06-21
【審査請求日】2019-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宇土 修
(72)【発明者】
【氏名】黒田 光昭
(72)【発明者】
【氏名】原田 明
(72)【発明者】
【氏名】早川 裕二
(72)【発明者】
【氏名】染宮 勉
(72)【発明者】
【氏名】岡本 哲二
(72)【発明者】
【氏名】吉原 道明
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-252564(JP,A)
【文献】特開2002-314101(JP,A)
【文献】特開2010-171708(JP,A)
【文献】特開2008-098777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/00-10/90
H04J 14/00-14/08
B41J 29/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光通信の送信側から発光する可視光を受光する受光部と、
装置の前面から後ろ側に窪んだ窪みが形成された外装部材と、を備え、
前記受光部は前記装置の画像形成部と画像読取部との間に形成される排紙トレイ部よりも上方に設けられ、
前記窪みは、装置前方へ向かって下側に末広に形成され、
前記窪みの装置前方における下端部の下側は装置下方へ延びる平面になっており、
装置前方の可視光通信情報を送信する操作者の手の可動範囲のうち前記受光部に対し下側から照射された前記可視光を受光するように、前記受光部が前記窪みの奥側に配置されている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記窪みは、装置前方へ向かって上側に末広形状で、前記末広形状を前記装置前方へ延長した角度範囲を超えて入射する可視光を遮るように形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記窪みは、内面が表面処理されて前記可視光を反射しない無反射面が形成されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記受光部は、前記窪みの奥側の第1の受光位置と前記第1の受光位置から前記装置の後ろ側に後退した第2の受光位置に進退可能に設けられている、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記受光部は、前記受光部の受光状態に応じて前記第1の受光位置で前記可視光を受光した後、前記第2の受光位置に後退して前記可視光を受光する、
ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
指向性を有する発光素子及び受光素子が一体となった少なくとも2個の光通信素子を有し、光通信素子のそれぞれが互いに異なる外部方向を向いている光通信手段を有する電子機器装置が知られている(特許文献1)。
【0003】
他の機器から出射される光信号を受光可能な光通信用の受光部と、光通信用の受光部の近傍に配置されるとともに、表示用の光を出射する発光素子部と、光通信用の受光部と表示用の発光素子部との間に配置された遮光リブとを備えた、画像形成装置も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-247097号公報
【文献】特開2008-132678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、外光の影響による通信障害を抑制することができる可視光通信可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の画像形成装置は、
可視光通信の送信側から発光する可視光を受光する受光部と、
装置の前面から後ろ側に窪んだ窪みが形成された外装部材と、を備え、
前記受光部は前記装置の画像形成部と画像読取部との間に形成される排紙トレイ部よりも上方に設けられ、
前記窪みは、装置前方へ向かって下側に末広に形成され、
前記窪みの装置前方における下端部の下側は装置下方へ延びる平面になっており、
装置前方の可視光通信情報を送信する操作者の手の可動範囲のうち前記受光部に対し下側から照射された前記可視光を受光するように、前記受光部が前記窪みの奥側に配置されている、
ことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において
前記窪みは、装置前方へ向かって上側に末広形状で、前記末広形状を前記装置前方へ延長した角度範囲を超えて入射する可視光を遮るように形成されている、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
前記窪みは、内面が表面処理されて前記可視光を反射しない無反射面が形成されている、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記受光部は、前記窪みの奥側の第1の受光位置と前記第1の受光位置から前記装置の後ろ側に後退した第2の受光位置に進退可能に設けられている、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の発明は、請求項4に記載の画像形成装置において、
前記受光部は、前記受光部の受光状態に応じて前記第1の受光位置で前記可視光を受光した後、前記第2の受光位置に後退して前記可視光を受光する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外光の影響による通信障害を抑制することができる可視光通信可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す外観斜視図である。
図2】画像形成装置の画像形成部の内部構成を示す断面模式図である。
図3】(a)は受光部が取り付けられた外装部材を示す斜視図、(b)は断面模式図である。
図4】操作者の手の可動範囲と受光部の受光視野を示す図である。
図5】(a)は受光部が第1の位置に突出した状態を示す断面模式図、(b)は受光部が第2の位置に後退した状態を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に図面を参照しながら、以下に実施形態及び具体例を挙げ、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態及び具体例に限定されるものではない。
また、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
尚、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、左右方向をX軸方向、前後方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とする。
【0014】
「第1実施形態」
(1)画像形成装置の全体構成及び動作
図1は本実施形態に係る画像形成装置1の主要部を示す外観正面図、図2は画像形成装置1の画像形成部の内部構成を示す断面模式図である。
以下、図面を参照しながら、画像形成装置1の全体構成及び動作を説明する。
【0015】
(1.1)全体構成
画像形成装置1は、電子写真方式によって画像を形成する画像形成部2と、原稿等の読み取りを行う画像読取部3が支持部4によって画像形成部2の上方に支持されて構成されている。
画像形成部2と画像読取部3との間には胴内空間Sが形成され、第1排出ローラ対63及び第2排出ローラ対64(図2参照)から排出される用紙Pが積載される排紙トレイ部Tが形成されている。
【0016】
画像形成部2は、筐体F(不図示)が形成する内部空間に、制御装置10、給紙装置20、感光体ユニット30、現像装置40、転写装置50、定着装置60が配置され、分割された複数の外装部材5で覆われて構成されている。
画像形成部2は、画像読取部3が読み取った画像データや、他の外部機器との通信により取得した印刷データに基づいて、記録媒体に画像を印刷する。
【0017】
制御装置10は、画像形成装置1の動作を制御する画像形成装置制御部11と、印刷処理要求に応じた画像データを準備するコントローラ部12、電源装置13等を有する。
【0018】
画像形成部2の底部には、多数の記録媒体としての用紙Pが積載された給紙装置20が設けられ、規制板(不図示)で幅方向位置が決められた用紙Pは、上側から1枚ずつ用紙引き出し部22により左方(-X方向)に引き出された後、レジストローラ対23のニップ部まで搬送される。
【0019】
感光体ユニット30は、給紙装置20の上方(Z方向)に、それぞれが並列して設けられ、回転駆動する像保持体としての感光体ドラム31を備えている。それぞれの感光体ドラム31上にはそれぞれの現像装置40によってイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像が形成される。
【0020】
各感光体ユニット30の感光体ドラム31に形成された各色トナー像は、転写装置50の中間転写ベルト51上に順次静電転写(一次転写)され、各色トナーが重畳された重畳トナー像が形成される。中間転写ベルト51上の重畳トナー像は、レジストローラ対23から送り出され、搬送ガイドにより案内された用紙Pに二次転写ローラ52によって一括転写される。
【0021】
転写装置50においてトナー像が一括転写された用紙Pは、トナー像が未定着の状態で搬送ガイドを経由して定着装置60に搬送され、一対の定着ローラ61と加圧ローラ62により、圧着と加熱の作用でトナー像が定着される。
定着トナー像が形成された用紙Pは、搬送ガイドによってガイドされ、第1排出ローラ対63、第2排出ローラ対64から胴内空間S内の排紙トレイ部T上に排出される。
【0022】
画像読取部3の前面側には、ユーザーインターフェイスとしての操作表示部70が配置されている。操作表示部70は、液晶表示パネル、各種操作ボタン、タッチパネル等を組み合わせて構成され、画像形成装置1の使用者は、操作表示部70を介して各種の設定や指示の入力を行う。また、液晶表示パネルを介して画像形成装置1の使用者へ各種情報を表示する。
【0023】
支持部4には、外装部材5の内面側に光通信が可能な外部機器SPと可視光通信を行うための受光部100が配置されている。受光部100はCMOSイメージセンサやフォトダイオードからなる受光素子120を備え、送信側から送信される印刷データ等を可視光通信により受信し、画像形成装置制御部11に光信号に対応する電気信号を出力する。画像形成装置制御部11は、受光部100から出力された電気信号に基づいて送信側から送信された可視光通信情報を取得する。
【0024】
(2)受光部
図3(a)は受光部100が取り付けられた外装部材5を示す斜視図、(b)は受光部100の断面模式図、図4は操作者Hの手の可動範囲と受光部100の受光視野を示す図である。
以下図面を参照しながら、画像形成装置1における受光部100の構成と可視光R1の受光について説明する。
【0025】
支持部4の操作者側には、装置の前方方向に向かって拡径した筒体からなる窪み110が形成され、窪み110の奥側に受光部100が配置されている。
窪み110は、図3(b)に示すように、断面視で装置の前方方向に向かって拡径した円錐状の筒体として形成され、受光素子120は、円錐状となった窪み100の頂点側に配置されている。
【0026】
その結果、受光素子120には、窪み110の円錐を外装部材5の前方へ延長した角度範囲Aが送信側から発光された可視光R1(図3(b)中 矢印R1)の入射角度範囲となる。
一方、角度範囲Aを超えて入射する可視光R2(図3(b)中 矢印R2)は、窪み110で遮られて受光素子120に到達することがない。そのために、画像形成装置1の上方から入射する外光を窪み110で遮り、外光の影響による通信障害を抑制することができる
【0027】
図4に示すように、可視光通信の送信側として、操作者Hが光通信が可能な外部機器SP(例えばスマートフォン)を手でかざして可視光R1を発光させる場合には、操作者Hの手の可動範囲A1が可視光通信の入射角度範囲となる。
本実施形態に係る画像形成装置1は、可視光通信の受光部100は、支持部4の操作者側で、装置の前方方向に向かって拡径した窪み110の奥側に配置され、窪み110の円錐を外装部材5の前方へ延長した角度範囲Aで操作者Hの手の可動範囲から発光される可視光R1を受光することができる。
【0028】
一方、画像形成装置1の前方でかつ上方から外光が入光する場合には、外光の強度に拘わらず、角度範囲Aを超えて入射する可視光R2は、窪み110で遮られて受光素子120に到達することがない。
【0029】
窪み110の内面110aは、表面処理されて可視光R2を反射しない無反射面が形成されている。
具体的には、内面110aが光沢のない黒色に塗装され、窪み110の内面110aで外光としての可視光R2が反射されて受光素子120に入光するのを防止している。また、窪み110の内面110aを光沢のない黒色に塗装するかわりに、窪み110の内面110aをメッキ処理等の表面処理を施して、外光としての可視光R2を反射しない無反射面を形成しても良い。
【0030】
「第2実施形態」
(1)受光部の構成と動作
図5は受光部100Aの進退機構150を説明する断面模式図である。以下、図面を参照しながら、画像形成装置1Aにおける受光部100Aの構成と動作について説明する。尚、第1実施形態に係る画像形成装置1と共通の構成要素には、同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0031】
画像形成装置1Aは、その支持部4には、外装部材5の内面側に光通信が可能な外部機器SPと可視光通信を行うための受光部100Aが配置されている。支持部4の操作者側に、装置の前方方向に向かって拡径した筒体からなる窪み110が形成され、受光部100Aは窪み110の奥側に配置されている。
【0032】
受光部100Aは、図5に示すように、窪み110の奥側の第1の受光位置Y1と、第1の受光位置から装置の後ろ側に後退した第2の受光位置Y2に進退可能に設けられている。
【0033】
受光部100Aは、窪み110の奥側に設けられたガイド部130に水平方向(Y方向)に移動可能に支持され、進退機構150によって、ガイド部130に沿って進退可能に配置されている。
【0034】
進退機構150は、レバー部材151と、リンク部材152からなり、レバー部材151は、支持部4の操作者側の外装部材5に、上下方向(Z方向)にスライド移動可能に設けられている。
リンク部材152は、支持部4の筐体側に、回転支点152aで回転可能に支持され、リンク部材152の一方の腕部152Aは、レバー部材151とリンク係合され、他方の腕部152Bは、受光部100Aとリンク係合されている。
【0035】
このように構成される受光部100Aは、受光部100Aの受光状態に応じて第1の受光位置Y1で可視光R1を受光した後、第2の受光位置Y2に後退して操作者Hから照射された可視光R1を受光する。
具体的には、受光部100Aが第1の受光位置Y1で送信側の外部機器SPから可視光通信に係る可視光R1を受光した状態で、外光ノイズが多く、可視光通信に障害が発生する虞があると判断した場合には、送信側の操作者Hはレバー部材151を上下に操作して、受光部100Aを第1の受光位置Y1から装置の後ろ側に後退した第2の受光位置Y2に後退させることで、外光の影響による通信障害を抑制することができる。
【0036】
「変形例」
変形例に係る受光部100Bは、可視光R1の受光素子120に加えて、外光としての太陽光の照度を検出する昼光センサ120A(不図示)を備え、受光部100Bに入光する昼光の昼光量を検出する。
受光部100Bは、昼光センサ120Aの検出結果に基づいて、窪み110の奥側の第1の受光位置Y1と、第1の受光位置Y1から装置の後ろ側に後退した第2の受光位置Y2に進退する。
【0037】
進退機構150Aは、レバー部材151に代えて、リンク部材152の一方の腕部152Aを稼動させるソレノイド(不図示)を備えて、昼光センサ120Aの検出結果に基づいてリンク部材152を揺動させることにより、受光部100Bが窪み110に対して進退する。
【0038】
具体的には、受光部100Bが第1の受光位置Y1で可視光を受光したときに、昼光センサ120Aが予め定められた照度を越える外光を検出した場合、受光部100Bを第2の受光位置Y2に後退させて操作者Hから発光された可視光R1を受光する。
これにより、可視光通信における外光の影響による通信障害を抑制することができる。
【符号の説明】
【0039】
1、1A・・・画像形成装置
2・・・画像形成部
3・・・画像読取部
4・・・支持部
5・・・外装部材
10・・・制御装置
20・・・給紙装置
30・・・感光体ユニット
40・・・現像装置
50・・・転写装置
60・・・定着装置
70・・・操作表示部
100、100A、100B・・・受光部
110・・・窪み
120・・・受光素子
120A・・・昼光センサ
130・・・ガイド部材
150、150A・・・進退機構
151・・・レバー部材
152・・・リンク部材
図1
図2
図3
図4
図5