(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】検知装置、検知方法、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G01S 13/931 20200101AFI20221213BHJP
G01S 13/87 20060101ALI20221213BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G01S13/931
G01S13/87
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2018057794
(22)【出願日】2018-03-26
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横井 祐輔
【審査官】佐藤 宙子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-006123(JP,A)
【文献】特開2008-128946(JP,A)
【文献】特開2016-003873(JP,A)
【文献】特開2015-078926(JP,A)
【文献】特開2013-145205(JP,A)
【文献】特開2009-210337(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0192665(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00- 7/64
G01S 13/00-17/95
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)の周囲に存在する検知対象を検知する単一種類のセンサとして単一のセンサ(21)を有する前記車両に搭載されて用いられる検知装置(10)であって、
前記センサを用いた互いに異なる複数の検知方式により、前記検知対象の有無を検知する複数の検知部(11、12)と、
前記複数の検知部の検知結果に基づき、前記検知対象の存在確率を算出する存在確率算出部(13)と、
を備え
、
前記存在確率算出部は、
予め定められた周期で前記存在確率を算出し、
今回の周期において、前記複数の検知部のうちのすべての検知部により前記検知対象が有ると検知された場合に、前回の周期において算出された前記存在確率を増加させて今回の周期の前記存在確率として算出し、
今回の周期において、前記複数の検知部のうちのすべての検知部により前記検知対象が無いと検知された場合に、前回の周期において算出された前記存在確率を減少させて今回の周期の前記存在確率として算出し、
今回の周期において、前記複数の検知部のうちの一部の検知部により前記検知対象が有ると検知された場合に、前回の周期において算出された前記存在確率を維持して今回の周期の前記存在確率として算出する、
検知装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の検知装置において、
前記センサは、前記複数の検知方式により前記検知対象の位置をさらに検知し、
前記存在確率算出部は、前記複数の検知部のうちの2以上の検知部により前記検知対象が有ると判定された場合に、該2以上の検知方式により検知された前記検知対象の位置のバラツキが小さいほど、前記存在確率を高く算出する、検知装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の検知装置において、
前記存在確率算出部は、前記複数の検知部のうちの2以上の検知部により前記検知対象が有ると判定された場合に、該2以上の検知方式により検知された前記検知対象の位置間の平均距離が小さいほど、前記存在確率を高く算出する、検知装置。
【請求項4】
請求項1から請求項
3までのいずれか一項に記載の検知装置において、
前記複数の検知部は、各検知方式により、前記車両を基準とする前記検知対象の相対速度をさらに検知し、
前記存在確率算出部は、前記複数の検知部のうちの2以上の検知部により前記検知対象が有ると判定された場合に、該2以上の検知部により検知された前記相対速度のバラツキが小さいほど、前記存在確率を高く算出する、検知装置。
【請求項5】
請求項
4に記載の検知装置において、
前記存在確率算出部は、前前記複数の検知部のうちの2以上の検知部により前記検知対象が有ると判定された場合に、該2以上の検知部により検知された前記相対速度の差の平均値が小さいほど、前記存在確率を高く算出する、検知装置。
【請求項6】
車両の周囲に存在する検知対象を検知する検知方法であって、
車両の周囲に存在する検知対象を検知する単一種類のセンサとして単一のセンサを用いた複数の検知方式により、前記検知対象の有無を検知する工程と、
前記複数の検知方式による検知結果に基づき、前記検知対象の存在確率を算出する工程と、
を備え
、
前記存在確率を算出する工程は、予め定められた周期で前記存在確率を算出する工程であって、
今回の周期において、前記複数の検知部のうちのすべての検知部により前記検知対象が有ると検知された場合に、前回の周期において算出された前記存在確率を増加させて今回の周期の前記存在確率として算出し、
今回の周期において、前記複数の検知部のうちのすべての検知部により前記検知対象が無いと検知された場合に、前回の周期において算出された前記存在確率を減少させて今回の周期の前記存在確率として算出し、
今回の周期において、前記複数の検知部のうちの一部の検知部により前記検知対象が有ると検知された場合に、前回の周期において算出された前記存在確率を維持して今回の周期の前記存在確率として算出する工程を含む、
検知方法。
【請求項7】
車両の周囲に存在する検知対象を検知するためのコンピュータプログラムであって、
車両の周囲に存在する検知対象を検知する単一種類のセンサとして単一のセンサを用いた複数の検知方式により、前記検知対象の有無を検知する工程と、
前記複数の検知方式による検知結果に基づき、前記検知対象の存在確率を算出する機能と、
をコンピュータに実現させ
、
前記存在確率を算出する機能は、予め定められた周期で前記存在確率を算出する機能であって、
今回の周期において、前記複数の検知部のうちのすべての検知部により前記検知対象が有ると検知された場合に、前回の周期において算出された前記存在確率を増加させて今回の周期の前記存在確率として算出し、
今回の周期において、前記複数の検知部のうちのすべての検知部により前記検知対象が無いと検知された場合に、前回の周期において算出された前記存在確率を減少させて今回の周期の前記存在確率として算出し、
今回の周期において、前記複数の検知部のうちの一部の検知部により前記検知対象が有ると検知された場合に、前回の周期において算出された前記存在確率を維持して今回の周期の前記存在確率として算出する機能を含む、
コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両における物体や人等の検知対象の検知に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の自動運転を実現するための要素の一つとして、先行車両や歩行者等の検知対象を検知するための検知装置が種々提案されている。例えば、特許文献1には、ミリ波センサを用いたFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式により受信される受信信号のスペクトルを解析し、スペクトルのピークにより特定される物標に基づき検知対象を検知する検知装置が提案されている。こうした単一のセンサを用いた検知方式以外にも、検知精度の向上を目的として、複数のセンサ、例えば、ミリ波センサと画像認識センサとを組み合わせて、検知対象を検知するフュージョンセンサによる検知方法も種々提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、搭載スペースや重量等の搭載上の制約やコスト面の制約から、車両に単一のセンサのみが搭載される場合がある。また、単一のセンサが搭載された場合、例えば、ミリ波センサのみが搭載されて特許文献1の検知装置を用いた場合でも、トンネル、歩道橋、看板等の走路の上方の構造物や、マンホールの蓋、道路を補強するために一時的に置かれた鉄板等の走路上の構造物といった通過可能な物体と、先行車両や歩行者等の通過できない物体とを区別することは容易ではなく、検知精度の向上には、なお一層の改善の余地がある。そこで、単一のセンサを搭載した車両における検知対象の検知精度の向上が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
本発明の一形態によれば、検知装置(10)が提供される。この検知装置は、車両(100)の周囲に存在する検知対象を検知する単一種類のセンサとして単一のセンサ(21)を有する前記車両に搭載されて用いられ;前記センサを用いた互いに異なる複数の検知方式により、前記検知対象の有無を検知する複数の検知部(11、12)と;前記複数の検知部の検知結果に基づき、前記検知対象の存在確率を算出する存在確率算出部(13)と;を備え、前記存在確率算出部は、予め定められた周期で前記存在確率を算出し、今回の周期において、前記複数の検知部のうちのすべての検知部により前記検知対象が有ると検知された場合に、前回の周期において算出された前記存在確率を増加させて今回の周期の前記存在確率として算出し、今回の周期において、前記複数の検知部のうちのすべての検知部により前記検知対象が無いと検知された場合に、前回の周期において算出された前記存在確率を減少させて今回の周期の前記存在確率として算出し、今回の周期において、前記複数の検知部のうちの一部の検知部により前記検知対象が有ると検知された場合に、前回の周期において算出された前記存在確率を維持して今回の周期の前記存在確率として算出する。この形態の検知装置によれば、センサを用いた互いに異なる複数の検知方式による検知結果に基づき検知対象の存在確率が算出されるので、単一のセンサを搭載した車両における検知対象の検知精度を、単一の方式による検知結果に基づき検知する場合に比べて向上できる。
【0007】
本開示は、検知装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、検知装置を搭載した車両、検知方法、運転支援方法、これらの方法を実現するためのコンピュータプログラム、かかるコンピュータプログラムを記憶した記憶媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態としての検知装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】第1実施形態における検知処理の手順を示すフローチャートである。
【
図3】第1実施形態における確率増減マップの設定内容の一例を示す説明図である。
【
図4】第2実施形態における確率増減マップの設定内容の一例を示す説明図である。
【
図5】第2実施形態における検知処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】第3実施形態における確率増減マップの設定内容の一例を示す説明図である。
【
図7】第3実施形態における検知処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
A.第1実施形態:
A1.装置構成:
図1に示す本実施形態の検知装置10は、車両100に搭載されて用いられる。検知装置10は、車両100の周囲に存在する検知対象、例えば、先行車両や後続車両や歩行者などを検知する。検知装置10は、ミリ波センサ21と、運転支援ECU(Electronic Control Unit)200とにそれぞれ電気的に接続されている。検知装置10は、ミリ波センサ21から出力される信号と、検知対象からの反射波から受信する信号とを利用して検知対象を検知し、また、運転支援ECU200に対して検知結果、より具体的には、検知対象の存在確率を通知する。
【0010】
ミリ波センサ21は、印加する電圧により発振周波数が変化する発振器であるVCO(Voltage Control Oscillator)や、送信用アンテナや、受信用アンテナや、送信用アンテナから送信された信号と、受信アンテナにより受信された信号との合成信号であるビート信号を生成するミキサーなどを備える。ミリ波センサ21から送信する信号の態様は、後述する第1検知部11および第2検知部12により制御される。
【0011】
運転支援ECU200は、検知装置10から通知される検知結果、および後述する各種センサ22~26による検知結果に基づき、動作制御ECU300を制御して車両100の運転動作を支援する。動作制御ECU300は、車両100の動作を制御するためのECUであり、エンジン制御用ECU、ブレーキ制御用ECU、操舵制御用ECUなど、複数のECU群からなる。エンジンECUは、図示しない各種アクチュエータを制御することにより、スロットルバルブの開閉動作や、イグナイタの点火動作や、吸気弁の開閉動作等を制御する。ブレーキECUは、センサ、モータ、バルブおよびポンプ等のブレーキ制御に関わる装置群(アクチュエータ)を制御する。ブレーキECUは、ブレーキを掛けるタイミングおよびブレーキ量(制動量)を決定し、決定されたタイミングで決定されたブレーキ量が得られるように、ブレーキ機構を制御する。操舵ECUは、パワーステアリングモータ等操舵に関わる装置群(アクチュエータ)を制御する。操舵ECUは、後述するヨーレートセンサ25および操舵角センサ26から得られる測定値に基づき操舵量(操舵角)を決定し、決定された操舵量となるように操舵機構を制御する。
【0012】
運転支援ECU200には、車速センサ22、加速度センサ23、GNSSセンサ24、ヨーレートセンサ25、操舵角センサ26が電気的に接続されており、これらセンサ22~26による検知結果が通知される。車速センサ22は、車両100の速度を検出する。加速度センサ23は、車両100の加速度を検出する。GNSSセンサ24は、例えば、GPS(Global Positioning System)センサにより構成され、GPSを構成する人工衛星から受信する電波に基づき、自車両の現在位置を検出する。ヨーレートセンサ25は、自車両のヨーレート(回転角速度)を検出する。操舵角センサ26は、自車両のステアリングホイール舵角を検出する。
【0013】
検知装置10は、本実施形態では、ECUにより構成されている。検知装置10は、第1検知部11、第2検知部12、および存在確率算出部13を備える。第1検知部11、第2検知部12、および存在確率算出部13は、いずれもECUが備えるCPUが、メモリ14に予め記憶されている制御プログラムを実行することにより実現される機能部である。
【0014】
第1検知部11は、ミリ波センサ21を用いた第1検知方式により、検知対象の有無を検知する。本実施形態において、第1検知方式とは、公知のFMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式を意味する。FMCW方式では、徐々に周波数を増加させる上り区間と、その後、所定のインターバルを置いた後に徐々に周波数を低下させた下り区間とを有するチャープ信号を出力し、かかるチャープ信号の反射波を検知対象から受信する。そして、送信した信号と受信した信号との合成信号であるビート信号の周波数に基づき、検知対象までの距離と、車両100を基準とした検知対象の相対速度とを検知する。
【0015】
第2検知部12は、ミリ波センサ21を用いた第2検知方式により、検知対象の有無を検知する。本実施形態において、第2検知方式とは、公知のFCM(Fast-Chirp Modulation)方式を意味する。FCM方式では、周波数の増加率が非常に高く急峻なチャープ信号を連続的に出力する。そして、出力信号と受信信号との合成信号であるビート信号の周波数に基づき検知対象までの距離を検知し、また、ビート信号の位相に基づき車両100を基準とした検知対象の相対速度を検知する。
【0016】
存在確率算出部13は、第1検知部11の検知結果と、第2検知部12の検知結果とに基づき、検知対象の存在確率を算出する。後述のように、存在確率算出部13による存在確率の算出は、周期的に行われる。存在確率の算出方法の詳細については、後述する。存在確率算出部13による算出結果、すなわち、存在確率は、運転支援ECU200に出力される。また、本実施形態では、第1検知部11による検知結果、および第2検知部12による検知結果も併せて運転支援ECU200に出力される。運転支援ECU200では、検知装置10から受信した存在確率や検知結果に応じて、動作制御ECU300を制御して、安全動作を実行させる。
【0017】
本実施形態では、安全動作として、以下の(a)~(f)のうちの少なくとも一つが実行される。いずれの動作が実行されるかは、検知対象の存在確率の大きさや、検知対象までの距離や相対速度等に応じて予め定められている。したがって、例えば、運転支援ECU200は、検知装置10から受信した検知対象の存在確率が所定の閾値以上の場合には、(a)~(f)のすべての動作を実行させる。所定の閾値としては、例えば、90%が設定される。なお、90%に限らず、任意の値に設定されてもよい。
(a)アクセルペダルの踏み込み量に関わらず、スロットルバルブを閉じる動作。
(b)ブレーキ機構のアシスト油圧を高くしてブレーキペダルの操作に対するブレーキ機構の応答特性を向上させる動作。
(c)ブレーキペダルの踏み込み量に関わらず、自動的にブレーキ機構を作動させて車両100を減速(停止)させる動作。
(d)車両100の進行方向が他車両との衝突を回避する方向に変更されるように操舵機構によって自動操舵する動作。
(e)運転者への警告のためにステアリングホイールを振動させる動作。
(f)シートベルトを自動的に巻き取って衝突時における乗員の移動を抑制する動作。
【0018】
メモリ14には、上述の制御プログラムに加えて、確率増減マップ15が予め設定されている。確率増減マップ15の設定内容の詳細については、後述する。
【0019】
上記構成を有する検知装置10は、後述の検知処理を実行することにより、検知対象を検知するためのセンサとして単一のセンサであるミリ波センサ21を用いた場合であっても、検知対象の検知精度を向上させることができる。
【0020】
A2.検知処理:
車両100のイグニッションがオンすると、検知装置10において検知処理が実行される。本実施形態において、検知処理は、検知対象の存在確率を周期的に特定するための処理を意味する。なお、存在確率の初期値として「0%」が予め設定されている。なお、0%に限らず、任意の値が初期値として設定されてもよい。
【0021】
検知装置10は、次の周期が到来したか否かを判定し(ステップS105)、次の周期が到来しないと判定された場合(ステップS105:NO)、ステップS105を再び実行する。次の周期とは、周期的に検知対象を検知するための次の周期(タイミング)を意味する。
【0022】
次の周期が到来したと判定された場合(ステップS105:YES)、第1検知部11は、第1検知方式により検知対象の検知を実行する(ステップS110)。第2検知部12は、第2検知方式により検知対象の検知を実行する(ステップS115)。なお、ステップS110とS115の実行順序は、同時であっても、ステップS115が先であってもよい。
【0023】
存在確率算出部13は、2つの検知方式による検知結果に応じて存在確率を算出する(ステップS120)。具体的には、存在確率算出部13は、ステップS110において検知対象(物標)を検知したか否か、また、ステップS120において検知対象を検知したか否かの検知結果に基づき、確率増減マップ15を参照して、存在確率の増減または維持を特定し、前回の周期において算出された存在確率に適用することにより今回の周期における存在確率を算出する。
【0024】
図3に示すように、確率増減マップ15には、2つの検知方式における検知結果と、存在確率の変化とが、5つのケースごとに予め設定されている。確率増減マップ15において、検知結果における「○」は、検知対象(物標)を検知したこと、すなわち、検知対象が有ると検知されたことを意味する。また、検知結果における「×」は、検知対象(物標)を検知しないこと、すなわち、検知対象が無いと検知されたことを意味する。また、検知結果における「△」は、上り区間と下り区間とのうちのいずれか一方の区間のみでピークを検出したことを意味する。
【0025】
ケース1では、第1検知方式(FMCW)と第2検知方式(FCM)とのうちのすべての方式により検知対象が有ると検知されている。このケース1では、存在確率変化として「+」が設定されている。本実施形態において、「+」とは、所定の大きさの確率だけ増加させることを意味し、本実施形態では、10%増加させることを意味する。なお、10%に限らず任意の大きさの確率だけ増加させてもよい。したがって、このケース1では、前回の周期において算出された存在確率に対して10%が加算された値が、今回の周期における存在確率として算出される。
【0026】
ケース2では、第1検知方式により検知対象が有ると検知され、第2検知方式により検知対象が無いと検知されている。このケース2では、存在確率変化として「0」が設定されている。本実施形態において、「0」とは、存在確率を維持することを意味する。したがって、このケース2では、前回の周期において算出された存在確率がそのまま、今回の周期における存在確率として算出される。
【0027】
ケース3では、第1検知方式において、上り区間と下り区間とのうちのいずれか一方の区間のみで検知対象が有ると検知され、第2検知方式において、検知対象が有ると検知されている。このケース3では、存在確率変化として「+」が設定されている。したがって、このケース3では、ケース1と同様に、前回の周期において算出された存在確率に対して10%が加算された値が、今回の周期における存在確率として算出される。
【0028】
ケース4では、第1検知方式により検知対象が無いと検知され、第2検知方式により検知対象が有ると検知されている。このケース4では、存在確率変化として「0」が設定されている。したがって、このケース4では、ケース2と同様に、前回の周期において算出された存在確率がそのまま、今回の周期における存在確率として算出される。
【0029】
ケース5では、第1検知方式において、上り区間と下り区間とのうちの少なくとも一方の区間で検知対象が無いと検知され、第2検知方式により検知対象が無いと検知されている。なお、
図3のケース5では、上り区間と下り区間とのうちの一方においてのみ検知対象が有ると検知された場合、すなわち、ピークが検出された場合を「△」として表し、両区間において検知対象が有ると検知された場合(ピークが検出された場合)を「×」として表している。ケース5では、存在確率変化として「-」が設定されている。本実施形態において、「-」とは、所定の大きさの確率だけ減少させることを意味し、本実施形態では、10%減少させることを意味する。なお、10%に限らず任意の大きさの確率だけ減少させてもよい。したがって、このケース5では、前回の周期において算出された存在確率に対して10%減算された値が、今回の周期における存在確率として算出される。
【0030】
上記ケース1~5の設定内容からも理解できるように、本実施形態では、2つの検知部11、12のうちのすべての検知部により検知対象が有ると検知された場合には、前回の周期において算出された存在確率を10%増加させた値が今回の周期の存在確率として算出される。すべての検知部11、12により検知対象が有ると検知された場合には、検知対象が存在する可能性が高いためである。また、本実施形態では、2つの検知部11、12のうちのすべての検知部により検知対象が無いと検知された場合、或いは、第1方式において一方の区間でのみ検知対象が有ると検知され、且つ、第2検知部12により検知対象が無いと検知された場合には、前回の周期において算出された存在確率を10%減少させた値が今回の周期の存在確率として算出される。このような場合には、検知対象が存在する可能性は低いためである。また、本実施形態では、2つの検知部11、12のうちの一部(一方)の検知部により検知対象が有ると判定された場合に、前回の周期において算出された前記存在確率が、そのまま今回の周期の存在確率として算出される。一部の検知部により検知対象が有ると判定され、その一方で他方の検知部により検知対象が無いと判定されている場合には、車両100および先行車両が完全に真っ直ぐに走行していないことや、車両100および先行車両のピッチングによる揺れなどの影響に起因して反射点がばらついたために、一方の検知部において偶然的に検知できなかった状況や、一方の検知部の故障により実際には存在しない検知対象を検知してしまった状況などが想定される。このように実際の状況が不明確な場合には、存在確率の増減を行わないようにして、検知対象の誤検知が生じることを抑制している。
【0031】
図2に示すように、ステップS120の実行後、ステップS105に戻る。したがって、次の周期が到来すると、上述のステップS110~S130が再度実行され、存在確率が改めて算出されることとなる。例えば、第1回目の周期で2つの検知方式のすべてにより検知対象が有ると検知された場合、存在確率は、初期値の0%から10%に増加する。そして、かかる10%が運転支援ECU200に通知される。上述のように、安全動作の閾値が90%の場合、この段階では安全動作は実行されない。しかし、その後、第9回目の周期まで連続して2つの検知方式のすべてにより検知対象が有ると検知された場合、存在確率は90%となる。この場合、かかる存在確率「90%」の通知を受けた運転支援ECU200は、存在確率が閾値に達するため、安全動作を実行することになる。
【0032】
以上説明した第1実施形態の検知装置10によれば、ミリ波センサ21を用いた互いに異なる複数の検知方式(第1検知方式および第2検知方式)による検知結果に基づき、検知対象の存在確率を算出するので、検知対象を検知するためのセンサとして単一のミリ波センサ21を搭載した車両100における検知対象の検知精度を、単一の方式による検知結果に基づき検知する場合に比べて向上できる。
【0033】
また、2つの検知部11、12のうちのすべての検知部により検知対象が有ると検知された場合に、前回の周期において算出された存在確率を増加させて今回の周期の存在確率として算出するので、検知対象が存在する可能性が高い場合に存在確率を増加させることができ、検知対象の検知精度を向上できる。また、2つの検知部11、12のうちのすべての検知部により検知対象が無いと検知された場合に、前回の周期において算出された存在確率を減少させて今回の周期の存在確率として算出するので、検知対象が存在する可能性が低い場合に存在確率を減少させることができ、検知対象の検知精度を向上できる。また、2つの検知部11、12のうちの一部の検知部により検知対象が有ると検知された場合に、前回の周期において算出された存在確率を維持して今回の周期の存在確率として算出するので、検知対象が存在するか否かが不確かな場合に存在確率を変化させないで済み、検知対象の検知精度を向上できる。
【0034】
B.第2実施形態:
B1.装置構成:
第2実施形態の検知装置10は、確率増減マップ15の設定内容において第1実施形態の検知装置10と異なる。第2実施形態の検知装置10におけるその他の構成は、第1実施形態の検知装置10と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0035】
図4に示すように、第2実施形態の確率増減マップ15には、対象位置間距離と、存在確率の変化とが、5つのケース1a~5aごとに予め設定されている。対象位置間距離とは、2つの検知部11、12によりそれぞれ検知された検知対象(物標)の位置(以下、「対象位置」と呼ぶ)同士の距離を意味する。
【0036】
ケース1aでは、対象位置間距離が0以上0.5m(メートル)未満であり、この場合、存在確率変化として「+10%」が設定されている。ケース2aでは、対象位置間距離が0.5m以上1.5m未満であり、この場合、存在確率変化として「+5%」が設定されている。ケース3aでは、対象位置間距離が1.5m以上2.0m未満であり、この場合、存在確率変化として「0」(現状維持)が設定されている。ケース4aでは、対象位置間距離が2.0m以上4.0m未満であり、この場合、存在確率変化として「-5%」が設定されている。ケース5aでは、対象位置間距離が4.0m以上であり、この場合、存在確率変化として「-10%」が設定されている。
【0037】
B2.検知処理:
図5に示す第2実施形態の検知処理は、ステップS110、S115、およびS120に代えてステップS110a、S115a、およびS120aを実行する点と、ステップS117を追加実行する点とにおいて、
図2に示す第1実施形態の検知処理と異なる。第2実施形態の検知処理のその他の手順は、第1実施形態の検知処理と同じであるので、同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0038】
次の周期が到来したと判定された場合(ステップS105:YES)、第1検知部11は、第1検知方式により対象位置を特定する(ステップS110a)。第2検知部12は、第2検知方式により対象位置を特定する(ステップS115a)。なお、第1実施形態のステップS110、S115においても検知対象の位置は特定していたので、本実施形態のステップS110a、S115aは、検知対象の相対速度を特定しない点で第1実施形態のステップS110、S115と異なるとも言える。
【0039】
存在確率算出部13は、2つの検知部11、12により特定された対象位置間の距離を算出する(ステップS117)。存在確率算出部13は、確率増減マップ15を参照して、ステップS117により算出された対象位置間距離に応じて存在確率を算出する(ステップS120a)。例えば、ステップS117で算出された対象位置間距離が0.4mであった場合、
図4に示すケース1aに該当する。このため、前回の周期において算出された存在確率に対して10%が加算された値が、今回の周期における存在確率として算出される。
【0040】
ステップS120aでは、確率増減マップ15を参照して存在確率が算出されるため、
図4に示すように、対象位置間距離が小さいほど、存在確率が高く算出されることとなる。対象位置間距離が小さいほど、2つの検知方式により、同様な位置で同じ検知対象を検知している可能性が高い。このため、確率増減マップ15では、対象位置間距離が小さいほど、存在確率が高く設定されている。
【0041】
以上説明した第2実施形態の検知装置10は、第1実施形態の検知装置10と同様な効果を有する。加えて、2つの検知部11、12により検知された対象位置間の距離が小さいほど、存在確率を高く算出するので、検知対象の検知精度を向上できる。2つの検知部11、12により検知された対象位置間の距離が小さいほど、2以上の検知部11、12により同一の検知対象を検知している可能性が高く、検知対象が存在する可能性が高いからである。
【0042】
C.第3実施形態:
C1.装置構成:
第3実施形態の検知装置10は、確率増減マップ15の設定内容において第1実施形態の検知装置10と異なる。第3実施形態の検知装置10におけるその他の構成は、第1実施形態の検知装置10と同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0043】
図6に示すように、第3実施形態の確率増減マップ15には、相対速度差と、存在確率の変化とが、5つのケース1b~5bごとに予め設定されている。相対速度差とは、2つの検知部11、12によりそれぞれ検知された検知対象(物標)の相対速度同士の差を意味する。
【0044】
ケース1bでは、相対速度差が0以上3.0km/h(時速)未満であり、この場合、存在確率変化として「+10%」が設定されている。ケース2bでは、相対速度差が3.0km/h以上3.5km/h未満であり、この場合、存在確率変化として「+5%」が設定されている。ケース3bでは、相対速度差が5.0km/h以上10km/h未満であり、この場合、存在確率変化として「0」(現状維持)が設定されている。ケース4bでは、相対速度差が10km/h以上15km/h未満であり、この場合、存在確率変化として「-5%」が設定されている。ケース5bでは、相対速度差が15km/h以上であり、この場合、存在確率変化として「-10%」が設定されている。
【0045】
C2.検知処理:
図7に示す第3実施形態の検知処理は、ステップS110、S115、およびS120に代えてステップS110b、S115b、およびS120bを実行する点と、ステップS118を追加実行する点とにおいて、
図2に示す第1実施形態の検知処理と異なる。第3実施形態の検知処理のその他の手順は、第1実施形態の検知処理と同じであるので、同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0046】
次の周期が到来したと判定された場合(ステップS105:YES)、第1検知部11は、第1検知方式により相対速度を特定する(ステップS110b)。第2検知部12は、第2検知方式により相対速度を特定する(ステップS115b)。なお、第1実施形態のステップS110、S115においても相対速度は特定していたので、本実施形態のステップS110b、S115bは、検知対象の検知対象の位置を特定しない点で第1実施形態のステップS110、S115と異なるとも言える。
【0047】
存在確率算出部13は、2つの検知部11、12により特定された相対速度の差を算出する(ステップS118)。存在確率算出部13は、確率増減マップ15を参照して、ステップS118により算出された相対速度差に応じて存在確率を算出する(ステップS120b)。例えば、ステップS118で算出された相対速度差が2.0km/hであった場合、
図4に示すケース1bに該当する。このため、前回の周期において算出された存在確率に対して10%が加算された値が、今回の周期における存在確率として算出される。
【0048】
ステップS120bでは、確率増減マップ15を参照して存在確率が算出されるため、
図6に示すように、相対速度差が小さいほど、存在確率が高く算出されることとなる。相対速度差が小さいほど、2つの検知方式により、同じ検知対象を検知している可能性が高い。このため、確率増減マップ15では、相対速度差が小さいほど、存在確率が高く設定されている。
【0049】
以上説明した第3実施形態の検知装置10は、第1実施形態の検知装置10と同様な効果を有する。加えて、2つの検知部11、12により検知された相対速度の差が小さいほど、存在確率を高く算出するので、検知対象の検知精度を向上できる。2つの検知部11、12により検知された相対速度の差が小さいほど、2つの検知部11、12により同一の検知対象を検知している可能性が高く、検知対象が存在する可能性が高いからである。
【0050】
D.他の実施形態:
D1.他の実施形態1:
各実施形態では、検知対象を検知するための単一のセンサとしてミリ波センサ21を用いていたが、本開示はこれに限定されない。例えば、かかるセンサとして、画像認識センサ(撮像カメラ)を用いてもよい。この構成においては、第1検知方式として、得られた撮像画像において、所定のパターンと比較して検知対象を検知するパターン認識方式を採用し、第2検知方式として、機械学習により検知対象を検知してもよい。機械学習による検知対象の検知としては、想定される検知対象を人工知能により予め機械学習しておき、かかる人工知能により検知対象を検知する公知の方法が該当する。このように、複数の検知方式により検知対象を検知可能な任意の種類のセンサを、本開示の検知装置10において利用することができる。
【0051】
D2.他の実施形態2:
各実施形態では、単一のセンサであるミリ波センサ21を用いた検知対象の検知方式は、FMCW方式およびFCM方式であったが、他の任意の2つの方式であってもよい。例えば、FCM方式と、FMSK(Frequency Modulated Shift Keying)とであってもよい。また、FMCW方式と、2周波CW(Continuous Wave)方式であってもよい。
【0052】
D3.他の実施形態3:
各実施形態では、単一のセンサであるミリ波センサ21を用いた検知対象の検知方式の数は、2つであったが、2つに限らず、複数の任意の数であってもよい。例えば、単一のミリ波センサ21を用いた検知方式として、上述のFMCW方式およびFCM方式に加えて、FMSK(Frequency Modulated Shift Keying)の3つの検知方式を用いてもよい。かかる3つの検知方式を用いた構成を第1実施形態に適用した場合、確率増減マップ15を、例えば、以下の(i)~(iii)のように設定してもよい。
(i)3つの検知方式のうち、すべての検知方式により検知対象が有ると検知された場合に対して、「存在確率を20%増加させる」が対応付けられる。
(ii)3つの検知方式のうち、2つの検知方式でのみ検知対象が有ると検知された場合に対して、「存在確率を10%増加させる」が対応付けられる。
(iii)3つの検知方式のうち、すべての検知方式により検知対象が無いと検知された場合に対して、「存在確率を20%減少させる」が対応付けられる。
なお、上述の(ii)の「検知対象が有る」には、FMCW方式における「上り区間」と「下り区間」とのうち少なくとも一方においてピークが検出されたことが含まれてもよい。
【0053】
また、上記3つの検知方式を用いた構成を第2実施形態に適用した場合には、各検知方式により算出された対象位置間の距離をそれぞれ求め、求められた3つの対象位置間の距離の平均値が小さいほど、存在確率を高く算出するようにしてもよい。また、この構成においては、3つの検知方式で検知された対象位置のうち、最も離れた対象位置間の距離が小さいほど、存在確率を高く算出するようにしてもよい。すなわち、一般には、複数の検知部のうちの2以上の検知部により検知対象が有ると判定された場合に、該2以上の検知方式により検知された検知対象の位置のバラツキが小さいほど、存在確率を高く算出してもよい。
【0054】
また、上記3つの検知方式を用いた構成を第3実施形態に適用した場合には、各検知方式により算出された相対速度の差をそれぞれ求め、求められた3つの相対速度の差の平均値が小さいほど、存在確率を高く算出するようにしてもよい。また、この構成においては、3つの検知方式で検知された相対速度の差のうち、最も離れた相対速度の差が小さいほど、存在確率を高く算出するようにしてもよい。すなわち、一般には、複数の検知部のうちの2以上の検知部により検知対象が有ると判定された場合に、該2以上の検知方式により検知された相対速度のバラツキが小さいほど、存在確率を高く算出してもよい。
【0055】
以上説明した他の実施形態3および各実施形態からも理解できるように、複数の検知部の検知結果に基づき、検知対象の存在確率を算出する存在確率算出部を、本開示の検知装置に適用してもよい。
【0056】
D4.他の実施形態4:
第1実施形態では、2つの検知方式(2つの検知部11、12)による検知結果に応じて前回の周期で算出された存在確率を増減させることにより、今回の周期の存在確率を算出していたが、本開示はこれに限定されない。例えば、各周期において、前の周期の存在確率に基づかずに存在確率を算出してもよい。例えば、2つの検知方式(2つの検知部11、12)のうちのすべての検知方式により検知対象が有ると検知された場合には、存在確率を90%と算出し、いずれか1つのみの検知方式により検知対象が有ると検知された場合には、存在確率を50%とし、すべての検知方式により検知対象が有ると検知された場合には、存在確率を0%と算出してもよい。すなわち、一般には、2つの検知部11、12の検知結果に基づき、任意の方法にて検知対象の存在確率を算出する存在確率算出部を、本開示の検知装置に適用してもよい。
【0057】
D5.他の実施形態5:
各実施形態では、存在確率の算出は周期的に実行されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、車両100が所定の距離だけ走行する度に存在確率を算出してもよい。
【0058】
D6.他の実施形態6:
第1実施形態では、2つの検知部11、12のうちのすべての検知部により検知対象が無いと検知された場合に、前回の周期において算出された前記存在確率を減少させて今回の周期の存在確率として算出していたが、本開示はこれに限定されない。かかる場合に、前回の周期において算出された前記存在確率を維持して今回の周期の存在確率として算出してもよい。また、かかる場合に、検知対象が有ると検知された場合に比べて小さな確率を増加させてもよい。
【0059】
D7.他の実施形態7:
第1実施形態では、今回の周期において、2つの検知部11、12のうちの一部の検知部により検知対象が有ると検知された場合に、前回の周期において算出された存在確率を維持して今回の周期の存在確率として算出していたが、本開示はこれに限定されない。かかる場合に、前回の周期において算出された前記存在確率を増加または減少させて今回の周期の存在確率として算出してもよい。
【0060】
D8.他の実施形態8:
第2実施形態の確率増減マップ15では、対象位置間距離は5段階に分けられていたが、任意の数の段階に分けられていてもよい。同様に、第3実施形態の確率増減マップ15では、相対速度差は5段階に分けられていたが、任意の数の段階に分けられていてもよい。また、第2および第3実施形態においては、確率増減マップ15を用いずに、対象位置間距離または相対速度差を変数とする予め定められた演算式を用いた演算によって、存在確率変化を算出してもよい。
【0061】
D9.他の実施形態9:
各実施形態において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、第1検知部11、第2検知部12、および存在確率算出部13のうちの少なくとも1つの機能部を、集積回路、ディスクリート回路、またはそれらの回路を組み合わせたモジュールにより実現してもよい。また、本開示の機能の一部または全部がソフトウェアで実現される場合には、そのソフトウェア(コンピュータプログラム)は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納された形で提供することができる。「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスクやCD-ROMのような携帯型の記録媒体に限らず、各種のRAMやROM等のコンピュータ内の内部記憶装置や、ハードディスク等のコンピュータに固定されている外部記憶装置も含んでいる。すなわち、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、データパケットを一時的ではなく固定可能な任意の記録媒体を含む広い意味を有している。
【0062】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
100 車両、21 ミリ波センサ、10 検知装置、11 第1検知部、12 第2検知部、13 存在確率算出部