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特許7192240移動端末装置、移動端末装置の制御プログラム、及び移動端末装置の制御方法
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  • 特許-移動端末装置、移動端末装置の制御プログラム、及び移動端末装置の制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】移動端末装置、移動端末装置の制御プログラム、及び移動端末装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20221213BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20221213BHJP
【FI】
G06K7/10 176
H04W84/10 110
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018087306
(22)【出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2019192143
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】堀本 岳志
(72)【発明者】
【氏名】松戸 堅治
【審査官】河合 弘明
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-116712(JP,A)
【文献】特開2006-330891(JP,A)
【文献】特開2012-194904(JP,A)
【文献】特開2013-210992(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0205869(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
H04W 84/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
NFC(Near Field Communication)規格の近距離無線通信を介して、非接触IC媒体から送信されるFWT(Frame Waiting Time)値の受信、前記非接触IC媒体から送信されるFWT値延長要求の受信、及び前記FWT値延長要求を送信した前記非接触IC媒体へのFWT延長応答の送信を行うNFCコントローラと、
前記NFCコントローラによる前記近距離無線通信を介して、前記非接触IC媒体にコマンドを送信するコマンド送信部と、
送信したコマンドへのレスポンスを、前記NFCコントローラによる前記近距離無線通信を介して、前記非接触IC媒体から受信するレスポンス受信部と、
コマンドの送信時点から、前記非接触IC媒体との間でコマンド及びレスポンスのやり取りを行わない不活性状態とするタイムアウト処理が実行されるまでの時間であるタイムアウト時間以内に当該コマンドへのレスポンスが受信されなかった場合に、前記非接触IC媒体が無応答であると判定して、前記タイムアウト処理を実行する無応答判定部と、
予め定められた複数のコマンドのそれぞれに対応付けて、対応するコマンドを前記非接触IC媒体に処理させた場合にかかると予測される処理時間よりも長い時間を示す情報を、前記タイムアウト時間の候補を示す情報である候補情報として記憶している記憶装置と、
前記NFCコントローラにおける前記FWT値の受信、前記FWT値延長要求の受信、及び前記FWT延長応答の送信とは関係なく、移動端末装置と前記非接触IC媒体との通信路が設定された後の、毎回のコマンドの送信直前に、前記記憶装置から、送信されるコマンドに対応付けられている前記候補情報を読み出し、読み出した前記候補情報に基づき、前記無応答判定部で用いられる前記タイムアウト時間を設定するタイムアウト時間設定部とを備えることを特徴とする移動端末装置。
【請求項2】
前記タイムアウト時間設定部は、前記記憶装置が記憶している前記候補情報のうちに、前記送信されるコマンドに対応付けられた前記候補情報がないと判定した場合には、前記記憶装置から、前記記憶装置が記憶している最長の前記タイムアウト時間の候補を示す前記候補情報を読み出し、読み出した前記候補情報に基づき、前記無応答判定部で用いられる前記タイムアウト時間を設定することを特徴とする請求項1に記載の移動端末装置。
【請求項3】
NFC(Near Field Communication)規格の近距離無線通信を介して、非接触IC媒体から送信されるFWT(Frame Waiting Time)値の受信、前記非接触IC媒体から送信されるFWT値延長要求の受信、及び前記FWT値延長要求を送信した前記非接触IC媒体へのFWT延長応答の送信を行うNFCコントローラと、
前記NFCコントローラによる前記近距離無線通信を介して、前記非接触IC媒体にコマンドを送信するコマンド送信部と、
送信したコマンドへのレスポンスを、前記NFCコントローラによる前記近距離無線通信を介して、前記非接触IC媒体から受信するレスポンス受信部と、
コマンドの送信時点から、前記非接触IC媒体との間でコマンド及びレスポンスのやり取りを行わない不活性状態とするタイムアウト処理が実行されるまでの時間であるタイムアウト時間以内に当該コマンドへのレスポンスが受信されなかった場合に、前記非接触IC媒体が無応答であると判定して、前記タイムアウト処理を実行する無応答判定部と、
前記非接触IC媒体に処理させた場合に最も長い処理時間が予測されるコマンドの当該最も長い処理時間よりも長い時間を示す情報を、前記タイムアウト時間の候補を示す情報である候補情報として記憶している記憶装置と、
前記NFCコントローラにおける前記FWT値の受信、前記FWT値延長要求の受信、及び前記FWT延長応答の送信とは関係なく、移動端末装置と前記非接触IC媒体の通信路が設定された後の、最初のコマンドの送信直前に、前記記憶装置から前記候補情報を読み出し、読み出した前記候補情報に基づき、前記無応答判定部で用いられる前記タイムアウト時間を設定するタイムアウト時間設定部とを備えることを特徴とする移動端末装置。
【請求項4】
NFC(Near Field Communication)規格の近距離無線通信を介して、非接触IC媒体から送信されるFWT(Frame Waiting Time)値の受信、前記非接触IC媒体から送信されるFWT値延長要求の受信、及び前記FWT値延長要求を送信した前記非接触IC媒体へのFWT延長応答の送信を行うNFCコントローラを有し、前記NFCコントローラによる前記近距離無線通信が可能な移動端末装置のプロセッサに、
前記NFCコントローラによる前記近距離無線通信を介して、前記非接触IC媒体にコマンドを送信する送信機能、
送信したコマンドへのレスポンスを、前記NFCコントローラによる前記近距離無線通信を介して、前記非接触IC媒体から受信する受信機能、
コマンドの送信時点から、前記非接触IC媒体との間でコマンド及びレスポンスのやり取りを行わない不活性状態とするタイムアウト処理が実行されるまでの時間であるタイムアウト時間以内に当該コマンドへのレスポンスが受信されなかった場合に、前記非接触IC媒体が無応答であると判定して、前記タイムアウト処理を実行する無応答判定機能、及び
前記NFCコントローラにおける前記FWT値の受信、前記FWT値延長要求の受信、及び前記FWT延長応答の送信とは関係なく、移動端末装置と前記非接触IC媒体との通信路が設定された後の、毎回のコマンドの送信直前に、予め定められた複数のコマンドのそれぞれに対応付けて、対応するコマンドを前記非接触IC媒体に処理させた場合にかかると予測される処理時間よりも長い時間を示す情報を、前記タイムアウト時間の候補を示す情報である候補情報として記憶している記憶装置から、送信されるコマンドに対応付けられている前記候補情報を読み出し、読み出した前記候補情報に基づき、前記無応答判定機能で用いられる前記タイムアウト時間を設定するタイムアウト時間設定機能を実現させることを特徴とする移動端末装置の制御プログラム。
【請求項5】
NFC(Near Field Communication)規格の近距離無線通信を介して、非接触IC媒体から送信されるFWT(Frame Waiting Time)値の受信、前記非接触IC媒体から送信されるFWT値延長要求の受信、及び前記FWT値延長要求を送信した前記非接触IC媒体へのFWT延長応答の送信を行うNFCコントローラを有し、前記NFCコントローラによる前記近距離無線通信が可能な移動端末装置のプロセッサに、
前記NFCコントローラによる前記近距離無線通信を介して、前記非接触IC媒体にコマンドを送信する送信機能、
送信したコマンドへのレスポンスを、前記NFCコントローラによる前記近距離無線通信を介して、前記非接触IC媒体から受信する受信機能、
コマンドの送信時点から、前記非接触IC媒体との間でコマンド及びレスポンスのやり取りを行わない不活性状態とするタイムアウト処理が実行されるまでの時間であるタイムアウト時間以内に当該コマンドへのレスポンスが受信されなかった場合に、前記非接触IC媒体が無応答であると判定して、前記タイムアウト処理を実行する無応答判定機能、及び
前記NFCコントローラにおける前記FWT値の受信、前記FWT値延長要求の受信、及び前記FWT延長応答の送信とは関係なく、移動端末装置と前記非接触IC媒体との通信路が設定された後の、最初の前記コマンドの送信直前に、前記非接触IC媒体に処理させた場合に最も長い処理時間が予測されるコマンドの当該最も長い処理時間よりも長い時間を示す情報を、前記タイムアウト時間の候補を示す情報である候補情報として記憶している記憶装置から、前記候補情報を読み出し、読み出した前記候補情報に基づき、前記無応答判定機能で用いられる前記タイムアウト時間を設定するタイムアウト時間設定機能を実現させることを特徴とする移動端末装置の制御プログラム。
【請求項6】
NFC(Near Field Communication)規格の近距離無線通信を介して、非接触IC媒体から送信されるFWT(Frame Waiting Time)値の受信、前記非接触IC媒体から送信されるFWT値延長要求の受信、及び前記FWT値延長要求を送信した前記非接触IC媒体へのFWT延長応答の送信を行うNFCコントローラを有し、前記NFCコントローラによる前記近距離無線通信が可能な移動端末装置の制御方法であって、
前記NFCコントローラによる前記近距離無線通信を介して、前記非接触IC媒体にコマンドを送信するステップと、
送信したコマンドへのレスポンスを、前記NFCコントローラによる前記近距離無線通信を介して、前記非接触IC媒体から受信するステップと、
コマンドの送信時点から、前記非接触IC媒体との間でコマンド及びレスポンスのやり取りを行わない不活性状態とするタイムアウト処理が実行されるまでの時間であるタイムアウト時間以内に当該コマンドへのレスポンスが受信されなかった場合に、前記非接触IC媒体が無応答であると判定して、前記タイムアウト処理を実行するステップと、
前記NFCコントローラにおける前記FWT値の受信、前記FWT値延長要求の受信、及び前記FWT延長応答の送信とは関係なく、移動端末装置と前記非接触IC媒体との通信路が設定された後の、毎回のコマンドの送信直前に、予め定められた複数のコマンドのそれぞれに対応付けて、対応するコマンドを前記非接触IC媒体に処理させた場合にかかると予測される処理時間よりも長い時間を示す情報を、前記タイムアウト時間の候補を示す情報である候補情報として記憶している記憶装置から、送信されるコマンドに対応づけられている前記候補情報を読み出し、読み出した前記候補情報に基づき、前記タイムアウト処理を実行するステップで用いられる前記タイムアウト時間を設定するステップとを含むことを特徴とする移動端末装置の制御方法。
【請求項7】
NFC(Near Field Communication)規格の近距離無線通信を介して、非接触IC媒体から送信されるFWT(Frame Waiting Time)値の受信、前記非接触IC媒体から送信されるFWT値延長要求の受信、及び前記FWT値延長要求を送信した前記非接触IC媒体へのFWT延長応答の送信を行うNFCコントローラを有し、前記NFCコントローラによる前記近距離無線通信が可能な移動端末装置の制御方法であって、
前記NFCコントローラによる前記近距離無線通信を介して、前記非接触IC媒体にコマンドを送信するステップと、
送信したコマンドへのレスポンスを、前記NFCコントローラによる前記近距離無線通信を介して、前記非接触IC媒体から受信するステップと、
コマンドの送信時点から、前記非接触IC媒体との間でコマンド及びレスポンスのやり取りを行わない不活性状態とするタイムアウト処理が実行されるまでの時間であるタイムアウト時間以内に当該コマンドへのレスポンスが受信されなかった場合に、前記非接触IC媒体が無応答であると判定して、前記タイムアウト処理を実行するステップと、
前記NFCコントローラにおける前記FWT値の受信、前記FWT値延長要求の受信、及び前記FWT延長応答の送信とは関係なく、移動端末装置と前記非接触IC媒体との通信路が設定された後の、最初のコマンドの送信直前に、前記非接触IC媒体に処理させた場合に最も長い処理時間が予測されるコマンドの当該最も長い処理時間よりも長い時間を示す情報を、前記タイムアウト時間の候補を示す情報である候補情報として記憶している記憶装置から、前記候補情報を読み出し、読み出した前記候補情報に基づき、前記タイムアウト処理を実行するステップで用いられる前記タイムアウト時間を設定するステップとを含むことを特徴とする移動端末装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動端末装置、移動端末装置の制御プログラム、及び移動端末装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リーダライタと非接触ICカードとの間のデータ等の送受信時には、リーダライタが、コマンドの送信時点からFWT(Frame Waiting Time)以内に非接触ICカードからレスポンスが受信されなかった場合に、非接触ICカードが無応答であると判定する。
また、非接触ICカードは、コマンドが指定する処理をFWT以内で完了できるかを判定し、完了できないと判定した場合には、S(WTX)をリーダライタに送信し、リーダライタにFWTを延長させる(例えば、非特許文献1、2、3参照。)。これにより、時間のかかるコマンドの処理中に、非接触ICカードが無応答であると判定されることを防止できる。
【0003】
ところで、リーダライタに代えて、近距離無線通信が可能な移動端末装置を用い、移動端末装置と非接触ICカードとの間でデータ等の送受信を行わせることも考えられる。この場合、移動端末装置が、上記したFWTの判定に加え、コマンドの送信時点からタイムアウト時間以内に非接触ICカードからレスポンスの送信があったかの判定も行う。そして、タイムアウト時間以内に非接触ICカードからレスポンスの送信がなかったと判定した場合に、非接触ICカードが無応答であると判定する。ここで、タイムアウト時間は、一般に、電子マネーカードの残高の確認等、瞬時に処理が完了する用途を想定して短い時間に設定されている場合がある。それゆえ、例えば、非接触ICカードへのカード情報の書き込みコマンド等、時間のかかるコマンドの処理が行われ、非接触ICカードからのレスポンスの送信が遅くなると、非接触ICカードが無応答であると誤判定される可能性があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】日本電信電話株式会社、“技術基礎講座 非接触ICカード技術”、[online]、[平成30年3月24日検索]、インターネット(URL:http://www.ntt.co.jp/journal/0801/files/jn200801071.pdf)
【文献】国際標準化機構/国際電気標準会議、ISO/IEC 14443-3「Identification cards - Contactless integrated circuit(s) cards - Proximity cards -Part 3:Initialization and anticollision」
【文献】日本工業規格、JIS X6322-3「識別カード-非接触(外部端子なし)ICカード-近接型-第3部:初期化及び衝突防止」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような点に着目し、非接触IC媒体が無応答であるかをより適切に判定可能な移動端末装置、移動端末装置の制御プログラム、及び移動端末装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、(a)近距離無線通信を介して、非接触IC媒体にコマンドを送信するコマンド送信部と、(b)送信したコマンドへのレスポンスを、近距離無線通信を介して、非接触IC媒体から受信するレスポンス受信部と、(c)コマンドの送信時点からタイムアウト時間以内にコマンドへのレスポンスが受信されなかった場合に、非接触IC媒体が無応答であると判定する無応答判定部と、(d)予め定められた複数のコマンドのそれぞれに対応付けて、対応するコマンドを非接触IC媒体に処理させた場合にかかると予測される処理時間よりも長い時間を示す情報を、タイムアウト時間の候補を示す情報として記憶している記憶装置と、(e)移動端末装置と非接触IC媒体との通信路が設定された後の、毎回のコマンドの送信直前に、記憶装置から、送信されるコマンドに対応付けられている候補を示す情報を読み出し、読み出した情報に基づき、タイムアウト時間を設定するタイムアウト時間設定部とを備える移動端末装置であることを要旨とする。
【0007】
本発明の他の態様は、(a)近距離無線通信を介して、非接触IC媒体にコマンドを送信するコマンド送信部と、(b)送信したコマンドへのレスポンスを、近距離無線通信を介して、非接触IC媒体から受信するレスポンス受信部と、(c)コマンドの送信時点からタイムアウト時間以内にコマンドへのレスポンスが受信されなかった場合に、非接触IC媒体が無応答であると判定する無応答判定部と、(d)非接触IC媒体に処理させた場合に最も長い処理時間が予測されるコマンドの最も長い処理時間よりも長い時間を示す情報を、タイムアウト時間の候補を示す情報として記憶している記憶装置と、(e)移動端末装置と非接触IC媒体の通信路が設定された後の、最初のコマンドの送信直前に、記憶装置から候補を示す情報を読み出し、読み出した情報に基づき、タイムアウト時間を設定するタイムアウト時間設定部とを備える移動端末装置であることを要旨とする。
【0008】
本発明の他の態様は、(a)近距離無線通信が可能な移動端末装置のプロセッサに、(b)近距離無線通信を介して、非接触IC媒体にコマンドを送信する送信機能、(c)送信したコマンドへのレスポンスを、近距離無線通信を介して、非接触IC媒体から受信する受信機能、(d)コマンドの送信時点からタイムアウト時間以内にコマンドへのレスポンスが受信されなかった場合に、非接触IC媒体が無応答であると判定する無応答判定機能、及び(e)移動端末装置と非接触IC媒体との通信路が設定された後の、毎回のコマンドの送信直前に、予め定められた複数のコマンドのそれぞれに対応付けて、対応するコマンドを非接触IC媒体に処理させた場合にかかると予測される処理時間よりも長い時間を示す情報を、タイムアウト時間の候補を示す情報として記憶している記憶装置から、送信されるコマンドに対応付けられている候補を示す情報を読み出し、読み出した情報に基づき、タイムアウト時間を設定するタイムアウト時間設定機能を実現させる移動端末装置の制御プログラムであることを要旨とする。
【0009】
本発明の他の態様は、(a)近距離無線通信が可能な移動端末装置のプロセッサに、(b)近距離無線通信を介して、非接触IC媒体にコマンドを送信する送信機能、(c)送信したコマンドへのレスポンスを、近距離無線通信を介して、非接触IC媒体から受信する受信機能、(d)コマンドの送信時点からタイムアウト時間以内にコマンドへのレスポンスが受信されなかった場合に、非接触IC媒体が無応答であると判定する無応答判定機能、及び(e)移動端末装置と非接触IC媒体との通信路が設定された後の、最初のコマンドの送信直前に、非接触IC媒体に処理させた場合に最も長い処理時間が予測されるコマンドの最も長い処理時間よりも長い時間を示す情報を、タイムアウト時間の候補を示す情報として記憶している記憶装置から、候補を示す情報を読み出し、読み出した情報に基づき、タイムアウト時間を設定するタイムアウト時間設定機能を実現させる移動端末装置の制御プログラムであることを要旨とする。
【0010】
本発明の他の態様は、(a)近距離無線通信を介して、非接触IC媒体にコマンドを送信するステップと、(b)送信したコマンドへのレスポンスを、近距離無線通信を介して、非接触IC媒体から受信するステップと、(c)コマンドの送信時点からタイムアウト時間以内にコマンドへのレスポンスが受信されなかった場合に、非接触IC媒体が無応答であると判定するステップと、(d)移動端末装置と非接触IC媒体との通信路が設定された後の、毎回のコマンドの送信直前に、予め定められた複数のコマンドのそれぞれに対応付けて、対応するコマンドを非接触IC媒体に処理させた場合にかかると予測される処理時間よりも長い時間を示す情報を、タイムアウト時間の候補を示す情報として記憶している記憶装置から、送信されるコマンドに対応づけられている候補を示す情報を読み出し、読み出した情報に基づき、タイムアウト時間を設定するステップとを含む移動端末装置の制御方法であることを要旨とする。
【0011】
本発明の他の態様は、(a)近距離無線通信を介して、非接触IC媒体にコマンドを送信するステップと、(b)送信したコマンドへのレスポンスを、近距離無線通信を介して、非接触IC媒体から受信するステップと、(c)コマンドの送信時点からタイムアウト時間以内にコマンドへのレスポンスが受信されなかった場合に、非接触IC媒体が無応答であると判定するステップと、(d)移動端末装置と非接触IC媒体との通信路が設定された後の、最初のコマンドの送信直前に、非接触IC媒体に処理させた場合に最も長い処理時間が予測されるコマンドの最も長い処理時間よりも長い時間を示す情報を、タイムアウト時間の候補を示す情報として記憶している記憶装置から、候補を示す情報を読み出し、読み出した情報に基づき、タイムアウト時間を設定するステップとを含む移動端末装置の制御方法であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、例えば、処理に時間がかかるコマンドを送信する際に、タイムアウト時間を長くすることができ、非接触IC媒体からのレスポンスの送信が遅くなっても、非接触IC媒体が無応答であると誤判定されずに済む。そのため、非接触IC媒体が無応答であるかをより適切に判定可能な移動端末装置、移動端末装置の制御プログラム、及び移動端末装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るICカード発行システムを示す概念図である。
図2】タイムアウト時間を説明するための説明図である。
図3】コマンドと重み付け係数とを対応付けるテーブルを示す図である。
図4】ICカード発行処理を示すフローチャートである。
図5】ICカード発行システムの動作を示すシーケンス図である。
図6】変形例に係るテーブルを示す図である。
図7】変形例に係るICカード発行システムの動作を示すシーケンス図である。
図8】変形例に係るICカード発行処理を示すフローチャートである。
図9】変形例に係るテーブルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る移動端末装置、移動端末装置の制御プログラム、及び移動端末装置の制御方法について図面を参照しつつ説明する。後述するように、本発明の実施形態に係る移動端末装置は、SP(Service Provider)サーバからカード情報を取得し、取得したカード情報を非接触ICカード(広義には、「非接触IC媒体」)に書き込むICカード発行システムを構成する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法や装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内で、種々の変更を加えることができる。
【0015】
(構成)
図1に示すように、ICカード発行システム1は、移動端末装置2と、非接触ICカード3と、SPサーバ4とを備えている。移動端末装置2及びSPサーバ4は、携帯電話通信網、インターネット等を用いて、互いに情報を送受信可能な通信路を確立している。
【0016】
(移動端末装置)
移動端末装置2は、非接触ICカード3の発行を行うカード発行者が所有している端末装置である。移動端末装置2としては、例えば、アプリの実行や移動体通信、NFC(Near Field Communication)規格の近距離無線通信等が可能なスマートフォンを採用できる。移動端末装置2は、NFCアンテナ5、NFCコントローラ6、記憶装置7及びプロセッサ8等のハードウェア資源を備えている。
NFCアンテナ5は、非接触ICカード3が出力する電磁界から電流を発生し、発生した電流、つまりデータ等が変調された電流をNFCコントローラ6に出力する。また、NFCアンテナ5は、NFCコントローラ6が出力する電流、つまりデータ等が変調された電流から電磁界を発生し、発生した電磁界で非接触ICカード3にデータ等を送信する。
【0017】
NFCコントローラ6は、NFCアンテナ5が出力する電流に変調されたデータ等をプロセッサ8に送信する。またNFCコントローラ6は、プロセッサ8が出力するデータ等を変調した電流をNFCアンテナ5に出力する。これにより、電磁界による近距離無線通信を介して、コマンドやレスポンス等を非接触ICカード3と送受信可能となっている。
また、NFCコントローラ6は、NFCアンテナ5が出力する電流にFWT延長要求が変調されているかを判定し、FWT延長要求が変調されていると判定した場合には、FWT延長応答を変調した電流をNFCアンテナ5に出力する。これにより、電磁界による近距離無線通信を介して、FWT延長応答を非接触ICカード3に送信可能となっている。
【0018】
記憶装置7は、プロセッサ8が書き込んだデータ等を記憶するようになっている。また、記憶装置7は、予め定められたタイムアウト時間Toutの規定値(デフォルト値)を記憶している。タイムアウト時間Toutとは、図2に示すように、コマンドの送信後に、コマンドへのレスポンスが返されるのを待つ最大時間である。これにより、コマンドの送信時点から、タイムアウト時間Tout以内に、非接触ICカード3からのレスポンスが受信されなかった場合に、非接触ICカード3が無応答であると判定可能となっている。タイムアウト時間Toutの規定値としては、例えば、300msを用いることができる。
【0019】
さらに、記憶装置7は、図3に示すように、予め定められた複数のコマンドと、それら複数のコマンドそれぞれに対応づけられたタイムアウト時間Toutの候補を示す情報とを登録したテーブル9を記憶している。タイムアウト時間Toutの候補を示す情報としては、対応するコマンドを非接触ICカード3に処理させた場合にかかると予測される処理時間よりも長い時間を示す情報を用いることができる。例えば、下記(1)式に示すように、タイムアウト時間Toutの規定値(300ms)に乗算することでタイムアウト時間Toutを算出することが可能な重み付け係数(0.5、1、2、3等)を採用できる。
タイムアウト時間Tout=タイムアウト時間Toutの規定値×重み付け係数 …(1)
【0020】
図3のテーブル9では、「READ BINARY」「READ RECORD(S)」「GET CHALLENGE」等のREAD系のコマンドの重み付け係数を「1」とした。また、「INTERNAL AUTHENTICATE」「EXTERNAL AUTHENTICATE」等の認証系のコマンドの重み付け係数を「2」とした。また、「WRITE BINARY」「UPDATE BINARY」「WRITE RECORD」「APPEND RECORD」「UPDATE RECORD」等のWRITE系のコマンドの重み付け係数を「3」とした。また、「SELECT FILE」「VERIFY」等のSELECT系のコマンドの重み付け係数を「0.5」とした。すなわち、非接触ICカード3に処理させた場合に最も長い処理時間が予測されるコマンドとして、WRITE系のコマンドに最大の重み付け係数「3」を対応付けている。また非接触ICカード3に処理させた場合に最も短い処理時間が予測されるコマンドとして、SELECT系のコマンドに「1」よりも小さい最小の重み付け係数「0.5」を対応付けている。
【0021】
さらに、記憶装置7は、プロセッサ8が実行する移動端末装置2の制御プログラムを記憶している。また、記憶装置7は制御プログラムの実行に必要な各種データを記憶する。
プロセッサ8は、カード発行者による移動端末装置2へのカード発行用UIアプリの起動操作が検出されると、カード発行用UIアプリ用の制御プログラムを、記憶装置7から読み出して実行し、カード情報取得部10、リクエスト送信部11、FWT値取得部12、タイムアウト時間設定部13、コマンド送信部14、レスポンス受信部15、無応答判定部16、コマンド判定部17等を実現する。カード情報取得部10、リクエスト送信部11、FWT値取得部12、タイムアウト時間設定部13、コマンド送信部14、レスポンス受信部15、無応答判定部16、コマンド判定部17等は、ICカード発行処理を実行して、NFCアンテナ5、NFCコントローラ6及び記憶装置7等のハードウェア資源を制御する。ICカード発行処理の詳細については後述する。
【0022】
(非接触ICカード)
非接触ICカード3は、発行対象となるICカードである。例えば、電磁界による近距離無線通信が可能なICカードを採用できる。非接触ICカード3は、NFCアンテナ18と、NFCコントローラ19と、記憶装置20と、プロセッサ21とを備えている。
NFCアンテナ18は、移動端末装置2が出力する電磁界から電流を発生し、発生した電流、つまりデータ等が変調された電流をNFCコントローラ19に出力する。また、NFCアンテナ18は、NFCコントローラ19が出力する電流、つまりデータ等が変調された電流から電磁界を発生し、発生した電磁界で移動端末装置2にデータ等を送信する。
【0023】
NFCコントローラ19は、NFCアンテナ18が出力する電流に変調されたデータ等をプロセッサ21に出力する。また、NFCコントローラ19は、プロセッサ21が出力するデータ等を変調した電流をNFCアンテナ18に出力する。これにより、近距離無線通信を介して、コマンドやレスポンス等を移動端末装置2と送受信可能となっている。
記憶装置20は、プロセッサ21が書き込んだデータ等を記憶するようになっている。
プロセッサ21は、FWT値送信部22、コマンド処理部23等のハードウェア資源を物理的に備えている。図1では、FWT値送信部22、コマンド処理部23等は、論理的な機能に着目したハードウェア資源を形式的に表現している。図1の表現は、必ずしも半導体チップ上に物理的な領域として存在する機能ブロックを意味するものではない。
【0024】
FWT値送信部22は、移動端末装置2からリクエストが送信されると、送信されてきたリクエストを受信し、移動端末装置2に予め定められたFWT値の規定値を送信する。
コマンド処理部23は、移動端末装置2からコマンドが送信されると、送信されてきたコマンドを受信し、受信したコマンドが示すコマンド処理を、FWT値の規定値内で完了できるかを判定する。そして、FWT値の規定値内で完了できると判定した場合には、コマンド処理を実行する。一方、FWT値の規定値内で完了できないと判定した場合には、FWT延長要求を移動端末装置2に送信し、送信したFWT延長要求に対して、移動端末装置2からFWT延長応答が返されると、コマンド処理を実行する。コマンド処理が完了すると、コマンド処理部23は、移動端末装置2にレスポンスを送信する。
【0025】
(SPサーバ)
SPサーバ4は、サービスプロバイダ(SP)が運営するサーバである。SPサーバ4は、カード情報記憶装置24と、プロセッサ25とを備えている。
カード情報記憶装置24は、カード情報を記憶している。カード情報としては、カード所持者に割り当てるID等、非接触ICカード3の発行に必要な各種情報を採用できる。
プロセッサ25は、移動端末装置2からカード情報の送信要求が送信されると、カード情報記憶装置24が記憶しているカード情報(ID等)を移動端末装置2に送信する。
【0026】
(ICカード発行処理)
次に、カード情報取得部10、リクエスト送信部11、FWT値取得部12、タイムアウト時間設定部13、コマンド送信部14、無応答判定部16、コマンド判定部17等が実行するICカード発行処理について説明する。ICカード発行処理は、カード発行者が移動端末装置2を操作して、カード発行用UIアプリが起動されると実行される。
図4に示すようにステップS101では、カード情報取得部10が、カード情報の送信要求をSPサーバ4に送信する。これにより、SPサーバ4にカード情報を送信させる。
【0027】
続いてステップS102に移行して、カード情報取得部10が、SPサーバ4が送信してきたカード情報を受信し、受信したカード情報を記憶装置7に書き込む。
続いてステップS103に移行して、リクエスト送信部11が、NFCアンテナ5及びNFCコントローラ6を介して、近距離無線通信により、非接触ICカード3にリクエストコマンドを送信する。リクエストコマンドは、移動端末装置2と非接触ICカード3との通信路を設定する初期応答のコマンドである。これにより、初期応答を開始する。
続いてステップS104に移行して、FWT値取得部12が、NFCアンテナ5及びNFCコントローラ6を介して、近距離無線通信により、非接触ICカード3から送信されてくるデフォルトのFWT値を受信し、受信したFWT値を記憶装置7に書き込む。
【0028】
続いてステップS105に移行して、タイムアウト時間設定部13が、記憶装置7からタイムアウト時間Toutの規定値を読み出す。続いて、ISO14443-3準拠の初期応答処理の残りの処理を行う。初期応答処理の完了により、自装置(移動端末装置2)と非接触ICカード3との通信路が設定され、初期応答処理を終了して、移動端末装置2と非接触ICカード3との間でコマンドやレスポンスをやり取りする活性状態を開始する。
続いてステップS106に移行して、タイムアウト時間設定部13が、記憶装置7が記憶している図3に示したテーブル9から、次に送信するコマンドに対応付けられている重み付け係数を読み出す。続いて、上記(1)式に従って、読み出した重み付け係数を、ステップS105で読み出したタイムアウト時間Toutの規定値に乗算し、乗算結果をタイムアウト時間Toutとして記憶装置7に書き込む。すなわち、ICカード発行処理のステップS106がプロセッサ8にタイムアウト時間設定機能を実現させる。ICカード発行処理の開始後、タイムアウト時間Toutの設定が1回以上行われている場合には、既に書き込まれているタイムアウト時間Toutに新しいタイムアウト時間Toutを上書きする。
【0029】
なお、タイムアウト時間設定部13において、記憶装置7が記憶している図3に示したテーブル9のうちに、次に送信されるコマンドに対応付けられた重み付け係数がないと判定した場合には、記憶装置7が記憶している最長のタイムアウト時間Toutの候補を示す情報、つまり、重み付け係数「3」に基づき、タイムアウト時間Toutを設定する。
続いてステップS107に移行して、コマンド送信部14が、NFCアンテナ5及びNFCコントローラ6を介して、近距離無線通信により、NFCアンテナ5の通信範囲内に存在する非接触ICカード3にコマンドを送信する。すなわち、ICカード発行処理のステップS107が、プロセッサ8に送信機能を実現させる。これにより、非接触ICカード3にコマンドが指定する処理を行わせ、非接触ICカード3にレスポンスを返させる。
このステップS107は、ICカード発行処理中に繰り返し実行され、ステップS102で記憶装置7に書き込んだカード情報を非接触ICカード3の記憶装置20に書き込んで非接触ICカード3を発行するための各種コマンドを順次出力するようになっている。
【0030】
続いてステップS108に移行して、レスポンス受信部15が、非接触ICカード3が送信してきたレスポンスを受信する。このステップS108の実行中、無応答判定部16が、コマンド送信部14によるコマンドの送信時点から、ステップS106で記憶装置7に書き込んだタイムアウト時間以内に、レスポンスが受信されたかを判定する。そして、タイムアウト時間以内にレスポンスが受信されなかったと判定した場合には、非接触ICカード3が無応答であると判定し、タイムアウト処理を行う。タイムアウト処理としては、例えば、移動端末装置2と非接触ICカード3との間でコマンドやレスポンスのやり取りを行わない不活性状態とするための処理を採用できる。すなわち、ICカード発行処理のステップS108が、プロセッサ8に受信機能と無応答判定機能とを実現させる。
ステップS109では、コマンド判定部17が、次に送信するコマンドがあるかを判定する。そして、コマンドがあると判定した場合には(Yes)、ステップS106に戻る。一方、コマンドがないと判定した場合には(No)、ICカード発行処理を終了する。
【0031】
(動作その他)
次に、本実施形態のICカード発行システム1の動作を説明する。
まず、カード発行者が、移動端末装置2を操作し、図5に示すように、移動端末装置2が、カード情報の送信要求をSPサーバ4に送信したとする(ステップS201)。すると、SPサーバ4が、送信されてきた送信要求を受信し(ステップS202)、送信元の移動端末装置2に、非接触ICカード3の発行手続きにおいて、非接触ICカード3に記憶させるカード情報を送信する(ステップS203)。続いて、移動端末装置2が、送信されてきたカード情報を受信して、記憶装置7に記憶させる(ステップS204)。
【0032】
続いて、移動端末装置2が、近距離無線通信を介して、移動端末装置2のNFCアンテナ5の通信範囲内の非接触ICカード3に、リクエストコマンドを送信する(ステップS205)。これにより、ISO14443-3準拠の初期応答を開始する。続いて、非接触ICカード3が、送信されてきたリクエストを受信し(ステップS206)、送信元の移動端末装置2にFWT規定値を送信する(ステップS207)。続いて、移動端末装置2が、送信されてきたFWT規定値を受信し(ステップS208)、記憶装置7からタイムアウト時間Toutの規定値を読み出す(ステップS209)。続いて、初期応答処理の残りを完了し、移動端末装置2と非接触ICカード3との通信路を設定した後、移動端末装置2と非接触ICカード3との間でコマンド等をやり取りする活性状態を開始する。
【0033】
続いて、移動端末装置2が、記憶装置7が記憶している図3に示したテーブル9から、次に送信するコマンドに対応付けられている重み付け係数を読み出し、上記(1)式に従い、読み出した重み付け係数をタイムアウト時間Toutの規定値に乗算し、乗算結果をタイムアウト時間Toutとして記憶装置7に記憶させる(ステップS210)。タイムアウト時間Toutの記憶が完了すると、移動端末装置2が、近距離無線通信を介して非接触ICカード3にコマンドを送信する(ステップS211)。続いて、非接触ICカード3が、送信されてきたコマンドを受信し(ステップS212)、受信したコマンドが指定する処理、つまりコマンド処理を実行する(ステップS213)。コマンド処理が完了すると、移動端末装置2が、移動端末装置2にレスポンスを送信し(ステップS214)、移動端末装置2が、送信されてきたレスポンスを受信する(ステップS215)。タイムアウト時間Toutが適切な値となるため、コマンドの送信時点からタイムアウト時間Tout以内にレスポンスが受信され、非接触ICカード3が無応答であると誤判定されずに済む。
【0034】
続いて、移動端末装置2が、図3に示したテーブル9から、次に送信するコマンドに対応付けられている重み付け係数を読み出し、読み出した重み付け係数を規定値に乗算し、乗算結果をタイムアウト時間Toutとして記憶装置7に上書きさせる(ステップS216)。ここで、次に送信するコマンドが、非接触ICカード3に処理させた場合に最も長い処理時間が予測されるWRITE系のコマンドであったとする。すると、記憶装置7には、最長のタイムアウト時間Toutである900msが記憶される。タイムアウト時間Toutの記憶が完了すると、移動端末装置2が、近距離無線通信を介して、非接触ICカード3にコマンドを送信する(ステップS217)。続いて、非接触ICカード3が、送信されてきたコマンドを受信し(ステップS218)、受信したコマンドが示すコマンド処理の実行に要する時間がFWT規定値よりも長いと判定すると、移動端末装置2にFWT延長要求を送信する(ステップS219)。続いて、移動端末装置2が、送信されたFWT延長要求送信を受信し(ステップS220)、非接触ICカード3にFWT延長応答を送信する(ステップS221)。続いて、非接触ICカード3が、受信したコマンドが指定する処理、つまり、コマンド処理を実行する(ステップS222)。コマンド処理が完了すると、移動端末装置2が、移動端末装置2にレスポンスを送信し(ステップS223)、移動端末装置2が、送信されてきたレスポンスを受信する(ステップS224)。タイムアウト時間Toutが最長の値である900msとなるため、非接触ICカード3からのレスポンスの送信が遅くなっても、コマンドの送信時点からタイムアウト時間Tout以内にレスポンスが受信され、非接触ICカード3が無応答であると誤判定されずに済む。
【0035】
このようなフローを繰り返し、移動端末装置2と非接触ICカード3との間で、コマンドやレスポンス等の送受信を繰り返すことで、移動端末装置2が受信したカード情報を非接触ICカード3の記憶装置20に書き込み、非接触ICカード3の発行が行われる。
【0036】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る移動端末装置2は、近距離無線通信を介して、非接触ICカード3にコマンドを送信するコマンド送信部14と、送信したコマンドへのレスポンスを、近距離無線通信を介して、非接触ICカード3から受信するレスポンス受信部15と、コマンドの送信時点からタイムアウト時間以内にそのコマンドへのレスポンスが受信されなかった場合に、非接触ICカード3が無応答であると判定する無応答判定部16とを備えるようにした。また、予め定められた複数のコマンドのそれぞれに対応付けて、対応するコマンドを非接触ICカード3に処理させた場合にかかると予測される処理時間よりも長い時間を示す情報を、タイムアウト時間Toutの候補を示す情報として記憶している記憶装置7を備えるようにした。さらに、移動端末装置2と非接触ICカード3との通信路が設定された後の、毎回のコマンドの送信直前に、記憶装置7から、送信されるコマンドに対応付けられている候補を示す情報を読み出し、読み出した情報に基づき、タイムアウト時間Toutを設定するタイムアウト時間設定部13とを備えるようにした。それゆえ、例えば、処理に時間がかかるコマンドを送信する際に、タイムアウト時間Toutを長くすることができ、非接触ICカード3からのレスポンスの送信が遅くなっても、非接触ICカード3が無応答であると誤判定されずに済む。そのため、非接触ICカード3が無応答であるかをより適切に判定可能な移動端末装置2を提供することができる。
【0037】
また同様に、非接触ICカード3が無応答であるかをより適切に判定可能な移動端末装置2の制御プログラム、及び移動端末装置2の制御方法を提供することができる。
また、本発明の実施形態に係る移動端末装置2によれば、例えば、処理にかかる時間が短いコマンドを送信する際に、タイムアウト時間Toutを短くすることができ、非接触ICカード3が無応答である場合にその旨を表す判定結果を直ぐに得ることができる。
また、タイムアウト時間Toutの規定値は維持されるため、タイムアウト時間Toutを用いた他のアプリ(例えば、非接触ICカード3が電子マネーカードである場合には、電子マネーカードの残高の確認をするためのアプリ)の挙動に影響を与えずに済む。
【0038】
また、本発明の実施形態に係る移動端末装置2は、タイムアウト時間設定部13が、記憶装置7が記憶しているタイムアウト時間Toutの候補を示す情報のうちに、送信されるコマンドに対応付けられたタイムアウト時間Toutの候補を示す情報がないと判定した場合には、記憶装置7から、記憶装置7が記憶している最長のタイムアウト時間Toutの候補を示す情報を読み出し、読み出した情報に基づき、タイムアウト時間Toutを設定するようにした。それゆえ、テーブル9に登録されていない想定外のコマンドにも対処することができ、非接触ICカード3が無応答であるかをより適切に判定することができる。
【0039】
(変形例)
(1)なお、上記実施形態では、タイムアウト時間設定部13が、記憶装置7から、送信されるコマンドに対応付けられているタイムアウト時間Toutの候補を示す情報を読み出し、読み出した情報に基づき、タイムアウト時間Toutを設定する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、コマンドを送信する際に、非接触ICカード3に処理させた場合に最も長い処理時間(例えば、700ms)が予測されるコマンドにおける、その最も長い処理時間よりも長い時間(例えば、900ms)を、タイムアウト時間Toutとして設定するようにしてもよい。具体的には、図6に示すように、テーブル9として、全てのコマンドに対応付けて重み付け係数「3」を記憶しているものを用いる。それゆえ、記憶装置7が、非接触ICカード3に処理させた場合に最も長い処理時間が予測されるコマンドのその最も長い処理時間よりも長い時間を示す情報(重み付け係数「3」)を、タイムアウト時間の候補を示す情報として記憶していることになる。これにより、タイムアウト時間設定部13が、重み付け係数「3」と、タイムアウト時間Toutの規定値「300ms」とを乗算した乗算結果「900ms」をタイムアウト時間Toutとする。
【0040】
この場合、タイムアウト時間Toutの設定は、図7に示すように、活性状態となってから最初のコマンドを送信する直前にだけ行えばよい。具体的には、図8に示すように、ステップS109において、次に送信するコマンドがあると判定した場合には(Yes)ステップS107に戻るようにする。これにより、タイムアウト時間設定部13が、移動端末装置2と非接触ICカード3の通信路が設定された後の、最初のコマンドの送信直前に、記憶装置7から重み付け係数「3」をタイムアウト時間Toutの候補を示す情報として読み出し、読み出した重み付け係数「3」(タイムアウト時間Toutの候補を示す情報)に基づき、タイムアウト時間Tout(900ms)を設定することになる。そのため、移動端末装置2と非接触ICカード3の通信路が設定された後の、毎回のコマンドの送信直前にタイムアウト時間Toutを設定するものに比べ、タイムアウト時間Toutの設定に要する時間の合計を短縮できる。図7のシーケンス図では、図5のステップS216が省略されている。
【0041】
(2)また、上記実施形態では、非接触IC媒体として、非接触ICカード3を用いる例を示したが、他の構成を採用することもでき、近距離無線通信でデータ等の送受信や各種処理を行う機能を有する媒体であればよい。例えば、移動端末装置2から近距離無線通信でデータを受信し、受信したデータを記憶性表示体に書き込む電子ペーパを用いてもよい。また、例えば、移動端末装置2から近距離無線通信でコマンドを受信し、記憶しているデータに関する情報を移動端末装置2に送信する非接触メモリカードを用いてもよい。
【0042】
(3)また、上記実施形態では、タイムアウト時間Toutの候補を示す情報として、重み付け係数を用いる例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、図9に示すように、重み付け係数とタイムアウト時間Toutの規定値との乗算結果を用いてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…ICカード発行システム、2…移動端末装置、3…非接触ICカード、4…SPサーバ、5…NFCアンテナ、6…NFCコントローラ、7…記憶装置、8…プロセッサ、9…テーブル、10…カード情報取得部、11…リクエスト送信部、12…FWT値取得部、13…タイムアウト時間設定部、14…コマンド送信部、15…レスポンス受信部、16…無応答判定部、17…コマンド判定部、18…NFCアンテナ、19…NFCコントローラ、20…記憶装置、21…プロセッサ、22…FWT値送信部、23…コマンド処理部、24…カード情報記憶装置、25…プロセッサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9