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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】道路橋伸縮装置用止水装置
(51)【国際特許分類】
   E01D 19/06 20060101AFI20221213BHJP
   E01C 11/02 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
E01D19/06
E01C11/02 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018094252
(22)【出願日】2018-05-16
(65)【公開番号】P2019199731
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】礒野 雅幸
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-004404(JP,U)
【文献】特開2015-218437(JP,A)
【文献】特開2010-150849(JP,A)
【文献】特公昭46-019984(JP,B1)
【文献】特開昭52-124727(JP,A)
【文献】特開昭59-199905(JP,A)
【文献】特開昭63-138006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 19/06
E01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路橋を構成する要素の互いに対向する端部と共に前記道路橋の継ぎ目部を構成し前記互いに対向する端部の端面間に前記道路橋の橋軸方向と直交する方向に延在形成される遊間の伸縮を吸収する道路橋伸縮装置の下方に配置される道路橋伸縮装置用止水装置であって、
前記道路橋伸縮装置用止水装置は、前記道路橋の橋軸方向に延在する幅と前記橋軸方向と直交する方向に延在する長さとを有するゴムシート構造体を備え、
前記ゴムシート構造体は、
前記幅方向の両端に設けられ前記互いに対向する端部の端面にそれぞれ接触可能でそれらの間は上方に開放されている両側の側板部と、
前記橋軸方向と直交する方向における前記道路橋伸縮装置の長手方向の全長にわたって延在すると共に前記幅方向に延在して前記両側の側板部の下端を接続する下板部と、
前記両側の側板部と一体的に設けられ前記下板部の上方で前記幅方向に延在して前記両側の側板部の上下方向の中間部を接続し、前記ゴムシート構造体に外力が掛かっていない状態で平面上を延在する第1の形状となり、前記両側の側板部が前記互いに対向する端部の端面に接触した状態で前記第1の形状から湾曲変形され前記第1の形状に戻ろうとする弾性力により前記両側の側板部を前記互いに対向する端部の端面に圧接させ圧接に基づく摩擦力により前記互いに対向する端部間に前記ゴムシート構造体を固定して設置する反力板部とを備え、
平面視した場合、前記橋軸方向と直交する方向において前記下板部の両端は前記反力板部および前記道路橋伸縮装置の両端よりも外側に突出し、
前記下板部の橋軸方向と直交する方向の両端に前記両側の側板部を接続する起立壁が起立され、
前記下板部の橋軸方向と直交する方向の両端寄りの箇所に、前記下板部上に溜まった雨水排出用の排水管部が下方に突設され
前記反力板部が接続する前記両側の側板部の箇所に、前記ゴムシート構造体に外力が掛かっていない状態で、前記ゴムシート構造体の幅方向の中央に向けて凸状の湾曲形状を呈し、前記両側の側板部が道路橋を構成する要素の互いに対向する端部の端面に圧接された状態で前記反力板部の弾性力により前記端部の端面に平行する平板状となり前記両側の側板部の上下部を前記互いに対向する端部の端面に圧接するばね鋼板が埋め込まれている、
ことを特徴とする道路橋伸縮装置用止水装置。
【請求項2】
道路橋を構成する要素の互いに対向する端部と共に前記道路橋の継ぎ目部を構成し前記互いに対向する端部の端面間に前記道路橋の橋軸方向と直交する方向に延在形成される遊間の伸縮を吸収する道路橋伸縮装置の下方に配置される道路橋伸縮装置用止水装置であって、
前記道路橋伸縮装置用止水装置は、前記道路橋の橋軸方向に延在する幅と前記橋軸方向と直交する方向に延在する長さとを有するゴムシート構造体を備え、
前記ゴムシート構造体は、
前記幅方向の両端に設けられ前記互いに対向する端部の端面にそれぞれ接触可能でそれらの間は上方に開放されている両側の側板部と、
前記両側の側板部と一体的に設けられ前記橋軸方向と直交する方向における前記道路橋伸縮装置の長手方向の全長にわたって延在すると共に前記幅方向に延在して前記両側の側板部の上下方向の中間部を接続し、前記ゴムシート構造体に外力が掛かっていない状態で平面上を延在する第3の形状となり、前記両側の側板部が前記互いに対向する端部の端面に接触した状態で前記第3の形状から湾曲変形され前記第3の形状に戻ろうとする弾性力により前記両側の側板部を前記互いに対向する端部の端面に圧接させ圧接に基づく摩擦力により前記互いに対向する端部間に前記ゴムシート構造体を固定して設置する反力板部とを備え、
平面視した場合、前記橋軸方向と直交する方向において前記反力板部の両端は前記道路橋伸縮装置の両端よりも外側に突出し、
前記反力板部の橋軸方向と直交する方向の両端に前記両側の側板部を接続する起立壁が起立され、
前記反力板部の橋軸方向と直交する方向の両端寄りの箇所に、前記反力板部上に溜まった雨水排出用の排水管部が下方に突設され
前記反力板部が接続する前記両側の側板部の箇所に、前記ゴムシート構造体に外力が掛かっていない状態で、前記ゴムシート構造体の幅方向の中央に向けて凸状の湾曲形状を呈し、前記両側の側板部が道路橋を構成する要素の互いに対向する端部の端面に圧接された状態で前記反力板部の弾性力により前記端部の端面に平行する平板状となり前記両側の側板部の上下部を前記互いに対向する端部の端面に圧接するばね鋼板が埋め込まれている、
ことを特徴とする道路橋伸縮装置用止水装置。
【請求項3】
前記反力板部は、前記ゴムシート構造体の前記長さ方向の全長にわたって設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の道路橋伸縮装置用止水装置。
【請求項4】
前記反力板部は、前記ゴムシート構造体の前記長さ方向に間隔をおいて複数設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の道路橋伸縮装置用止水装置。
【請求項5】
前記反力板部に、前記反力板部の橋軸方向である幅方向に延在するばね鋼板が埋め込まれ、
前記ばね鋼板は、前記ゴムシート構造体に外力が掛かっていない状態で前記第1の形状に沿って延在する第2の形状となり、前記両側の側板部が前記互いに対向する端部の端面に接触した状態で前記第2の形状から湾曲変形され前記第2の形状に戻ろうとする弾性力により前記反力板部と協働して前記両側の側板部を前記互いに対向する端部の端面に圧接させる、
ことを特徴とする請求項1、3、4の何れか1項記載の道路橋伸縮装置用止水装置。
【請求項6】
前記反力板部が接続する前記両側の側板部の箇所に、前記両側の側板部が、道路橋を構成する要素の互いに対向する端部の端面に圧接された状態で前記端部の端面に平行する剛性を有する平板が埋め込まれている、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の道路橋伸縮装置用止水装置。
【請求項7】
前記両側の側板部が互いに近づく方向に変位する際に、前記反力板部に、他の箇所に比べて率先して変形し前記湾曲変形する方向を定める変形促進部が設けられている、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の道路橋伸縮装置用止水装置。
【請求項8】
前記端部の端面に圧接される前記両側の側板部の外面に、上方に至るにつれて前記端面から次第に離れる傾斜面が形成されている、
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項記載の道路橋伸縮装置用止水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は道路橋伸縮装置用止水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路橋は、道路橋を構成する要素として、例えば、橋軸方向の両端に配置された橋台と、橋台の間に橋軸方向に並べられた1つ以上の床版とを含んで構成されている。
橋台と床版との継ぎ目部、および、床版同士の継ぎ目部は、道路橋伸縮装置を含んで構成されている。
道路橋伸縮装置は、一般に、道路橋を構成する要素の互いに対向する端部、すなわち、互いに対向する橋台の端部と床版の端部、あるいは、互いに対向する床版の端部にそれぞれ取着された一対の継手部材を含んで構成されている。
互いに対向する一対の継手部材の端部には、橋軸方向と直交する方向に凹凸状の隙間が延在形成され、この凹凸状の隙間は、床版の橋軸方向の伸縮に応じ増減し、床版の伸縮を吸収している。
道路橋伸縮装置用止水装置は、このような一対の継手部材の下方に配置され、橋軸方向と直交する方向に弾性変形可能で、一対の継手部材の凹凸状の隙間から侵入した雨水の道路橋の下方への流下を防止するものである。
【0003】
道路橋伸縮装置用止水装置はゴムシート構造体を含んで構成され、ゴムシート構造体は、道路橋を構成する要素の互いに対向する端部に配置される両側の側板部と、両側の側板部の下端を接続する下板部とを有し、ゴムシート構造体の両側の側板部の取り付けは、次のようになされている。
すなわち、道路橋を構成する要素の互いに対向する端部には、継手部材を取着するための後打ちコンクリート充填用の凹部が設けられており、この凹部の底面からは複数の鉄筋が突出している。
まず、ゴムシート構造体の両側の側板部を、それら複数の鉄筋を介して道路橋を構成する要素の互いに対向する端部に取着するための取り付け金物を組み立てる。
そして、それら複数の鉄筋に溶接してコンクリート充填用の凹部の底面に取り付け金物を取着し、この取り付け金物にゴムシート構造体の両側の側板部を、橋軸方向と直交する方向に間隔をおいた複数箇所においてボルトを用いて取り付けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-3315
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そのため、道路橋伸縮装置用止水装置の設置には、取り付け金物の組み立て作業、取り付け金物の鉄筋への溶接作業、ゴムシート構造体の両側の側板部を複数箇所においてボルトを用いて取り付け金物に取り付ける取り付け作業を要し、道路橋伸縮装置用止水装置の設置に手間取り、何らかの改善が求められていた。
本発明は前記事情に鑑み案出されたものであって、本発明の目的は、短期間で道路橋伸縮装置用止水装置の設置を行なえ、道路橋伸縮装置用止水装置の設置の工期の短縮化を図り、コストダウンを図る上で有利となり、また、道路橋伸縮装置や道路橋の設計の自由度を高める上で有利な道路橋伸縮装置用止水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため本発明は、道路橋を構成する要素の互いに対向する端部と共に前記道路橋の継ぎ目部を構成し前記互いに対向する端部の端面間に前記道路橋の橋軸方向と直交する方向に延在形成される遊間の伸縮を吸収する道路橋伸縮装置の下方に配置される道路橋伸縮装置用止水装置であって、前記道路橋伸縮装置用止水装置は、前記道路橋の橋軸方向に延在する幅と前記橋軸方向と直交する方向に延在する長さとを有するゴムシート構造体を備え、前記ゴムシート構造体は、前記幅方向の両端に設けられ前記互いに対向する端部の端面にそれぞれ接触可能でそれらの間は上方に開放されている両側の側板部と、前記橋軸方向と直交する方向における前記道路橋伸縮装置の長手方向の全長にわたって延在すると共に前記幅方向に延在して前記両側の側板部の下端を接続する下板部と、前記両側の側板部と一体的に設けられ前記下板部の上方で前記幅方向に延在して前記両側の側板部の上下方向の中間部を接続し、前記ゴムシート構造体に外力が掛かっていない状態で平面上を延在する第1の形状となり、前記両側の側板部が前記互いに対向する端部の端面に接触した状態で前記第1の形状から湾曲変形され前記第1の形状に戻ろうとする弾性力により前記両側の側板部を前記互いに対向する端部の端面に圧接させ圧接に基づく摩擦力により前記互いに対向する端部間に前記ゴムシート構造体を固定して設置する反力板部とを備え、平面視した場合、前記橋軸方向と直交する方向において前記下板部の両端は前記反力板部および前記道路橋伸縮装置の両端よりも外側に突出し、前記下板部の橋軸方向と直交する方向の両端に前記両側の側板部を接続する起立壁が起立され、前記下板部の橋軸方向と直交する方向の両端寄りの箇所に、前記下板部上に溜まった雨水排出用の排水管部が下方に突設され、前記反力板部が接続する前記両側の側板部の箇所に、前記ゴムシート構造体に外力が掛かっていない状態で、前記ゴムシート構造体の幅方向の中央に向けて凸状の湾曲形状を呈し、前記両側の側板部が道路橋を構成する要素の互いに対向する端部の端面に圧接された状態で前記反力板部の弾性力により前記端部の端面に平行する平板状となり前記両側の側板部の上下部を前記互いに対向する端部の端面に圧接するばね鋼板が埋め込まれている、ことを特徴とする。
また、本発明は、道路橋を構成する要素の互いに対向する端部と共に前記道路橋の継ぎ目部を構成し前記互いに対向する端部の端面間に前記道路橋の橋軸方向と直交する方向に延在形成される遊間の伸縮を吸収する道路橋伸縮装置の下方に配置される道路橋伸縮装置用止水装置であって、前記道路橋伸縮装置用止水装置は、前記道路橋の橋軸方向に延在する幅と前記橋軸方向と直交する方向に延在する長さとを有するゴムシート構造体を備え、前記ゴムシート構造体は、前記幅方向の両端に設けられ前記互いに対向する端部の端面にそれぞれ接触可能でそれらの間は上方に開放されている両側の側板部と、前記両側の側板部と一体的に設けられ前記橋軸方向と直交する方向における前記道路橋伸縮装置の長手方向の全長にわたって延在すると共に前記幅方向に延在して前記両側の側板部の上下方向の中間部を接続し、前記ゴムシート構造体に外力が掛かっていない状態で平面上を延在する第3の形状となり、前記両側の側板部が前記互いに対向する端部の端面に接触した状態で前記第3の形状から湾曲変形され前記第3の形状に戻ろうとする弾性力により前記両側の側板部を前記互いに対向する端部の端面に圧接させ圧接に基づく摩擦力により前記互いに対向する端部間に前記ゴムシート構造体を固定して設置する反力板部とを備え、平面視した場合、前記橋軸方向と直交する方向において前記反力板部の両端は前記道路橋伸縮装置の両端よりも外側に突出し、前記反力板部の橋軸方向と直交する方向の両端に前記両側の側板部を接続する起立壁が起立され、前記反力板部の橋軸方向と直交する方向の両端寄りの箇所に、前記反力板部上に溜まった雨水排出用の排水管部が下方に突設され、前記反力板部が接続する前記両側の側板部の箇所に、前記ゴムシート構造体に外力が掛かっていない状態で、前記ゴムシート構造体の幅方向の中央に向けて凸状の湾曲形状を呈し、前記両側の側板部が道路橋を構成する要素の互いに対向する端部の端面に圧接された状態で前記反力板部の弾性力により前記端部の端面に平行する平板状となり前記両側の側板部の上下部を前記互いに対向する端部の端面に圧接するばね鋼板が埋め込まれていることを特徴とする。
また、本発明は、前記反力板部は、前記ゴムシート構造体の前記長さ方向の全長にわたって設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記反力板部は、前記ゴムシート構造体の前記長さ方向に間隔をおいて複数設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記反力板部に、前記反力板部の橋軸方向である幅方向に延在するばね鋼板が埋め込まれ、前記ばね鋼板は、前記ゴムシート構造体に外力が掛かっていない状態で前記第1の形状に沿って延在する第2の形状となり、前記両側の側板部が前記互いに対向する端部の端面に接触した状態で前記第2の形状から湾曲変形され前記第2の形状に戻ろうとする弾性力により前記反力板部と協働して前記両側の側板部を前記互いに対向する端部の端面に圧接させることを特徴とする。
また、本発明は、前記反力板部が接続する前記両側の側板部の箇所に、前記両側の側板部が、道路橋を構成する要素の互いに対向する端部の端面に圧接された状態で前記端部の端面に平行する剛性を有する平板が埋め込まれていることを特徴とする。
た、本発明は、前記両側の側板部が互いに近づく方向に変位する際に、前記反力板部に、他の箇所に比べて率先して変形し前記湾曲変形する方向を定める変形促進部が設けられていることを特徴とする。
また、本発明は、前記端部の端面に圧接される前記両側の側板部の外面に、上方に至るにつれて前記端面から次第に離れる傾斜面が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、圧接部が両側の側板部を、道路橋を構成する要素の互いに対向する端部に圧接することで、両側の側板部が圧接に基づく摩擦力により道路橋を構成する要素の互いに対向する端部に固定され、ゴムシート構造体が設置される。
そのため、従来のように、取り付け金物の組み立て作業や、取り付け金物の鉄筋への溶接作業、ゴムシート構造体の両側の側板部を複数箇所においてボルトを用いて取り付け金物に取り付ける取り付け作業を省略でき、道路橋伸縮装置用止水装置の設置を簡単に確実に行なう上で有利となる。
また、道路橋を構成する要素の互いに対向する端部に対して、あるいは、道路橋伸縮装置に対して、ボルトなどを用いた結合構造が不要となるので、互いに対向する端部の間で上下方向におけるゴムシート構造体の設置箇所を自由に選択でき、道路橋伸縮装置や道路橋の設計の自由度を高める上で有利となる。
また、両側の側板部と、反力板部とを備え、下板部を備えていない本発明によれば、ゴムシート構造体の構造の簡単化、軽量化を図りつつ、道路橋伸縮装置用止水装置の設置を簡単に確実に行なう上で有利となる。
また、反力板部を有する本発明によれば、止水装置の部品点数を削減し、設置作業の簡単化を図る上で有利となる。
また、反力板部は、ゴムシート構造体の長さ方向の全長にわたって設けられていてもよく、ゴムシート構造体の長さ方向に間隔をおいて複数設けられていてもよく、どちらにするかは、要求される圧接力に応じて適宜決定される。すなわち、反力板部の長さにより、要求される圧接力を得ることが可能となる。
また、反力板部の内部にばね鋼板を設けた本発明によれば、両側の側板部を、道路橋を構成する要素の互いに対向する端部に圧接する際に大きな圧接力を得る上で有利となる。
また、両側の側板部に平板が埋め込まれた本発明と、両側の側板部に、外力が掛かっていない状態で記ゴムシート構造体の幅方向の中央に向けて凸状の湾曲形状を呈するばね鋼板が埋め込まれた発明によれば、道路橋を構成する要素の互いに対向する端部に対する両側の側板部の密着性を高め、道路橋を構成する要素の互いに対向する端部の間にゴムシート構造体を強固に固定する上で有利となる。
また、変形促進部を備える本発明によれば、反力板部が湾曲変形する方向を定めることができるので、ゴムシート構造体の設置を簡単に行なう上で有利となり、道路橋伸縮装置用止水装置の外観性を簡単に確実に高める上で有利となる。
また、傾斜面を備える本発明によれば、道路橋を構成する要素の互いに対向する端部の端面に凹凸があった場合であっても、雨水の下方への落下を阻止する上でより有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態のゴムシート構造体が、道路橋を構成する要素の互いに対向する端部間に設置された状態の断面図である。
図2】外力が掛かっていない状態の第1の実施の形態のゴムシート構造体の断面図である。
図3】第1の実施の形態のゴムシート構造体の長手方向の中間部の斜視図である。
図4】第1の実施の形態のゴムシート構造体の長手方向の端部の斜視図である。
図5】第2の実施の形態のゴムシート構造体の長手方向の中間部の斜視図である。
図6】(A)は外力が掛かっていない状態の第3の実施の形態のゴムシート構造体の断面図、(B)は第3の実施の形態のゴムシート構造体が、道路橋を構成する要素の互いに対向する端部間に設置された状態の断面図である。
図7】(A)は外力が掛かっていない状態の第4の実施の形態のゴムシート構造体の断面図、(B)は第4の実施の形態のゴムシート構造体が、道路橋を構成する要素の互いに対向する端部間に設置された状態の断面図である。
図8】(A)は外力が掛かっていない状態の第5の実施の形態のゴムシート構造体の断面図、(B)は第5の実施の形態のゴムシート構造体が、道路橋を構成する要素の互いに対向する端部間に設置された状態の断面図である。
図9】(A)~(D)は外力が掛かっていない状態の第6の実施の形態のゴムシート構造体の断面図である。
図10】(A)~(D)は外力が掛かっていない状態の第6の実施の形態のゴムシート構造体の断面図である。
図11】(A)は第7の実施の形態のゴムシート構造体が、道路橋を構成する要素の互いに対向する端部間に設置された状態の断面図である。
図12】(A)は外力が掛かっていない状態の第8の実施の形態のゴムシート構造体の断面図、(B)は第8の実施の形態のゴムシート構造体が、道路橋を構成する要素の互いに対向する端部間に設置された状態の断面図である。
図13】第8の実施の形態のゴムシート構造体の長手方向の端部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面を参照して本実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1に示すように、道路橋伸縮装置10は、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14、すなわち、橋軸方向において互いに対向する橋台の端部14と床版16の端部、あるいは、互いに対向する床版16の端部14にそれぞれ取着された一対の継手部材18を含んで構成されている。
図1では、道路橋伸縮装置10が互いに対向する床版16の端部14間に設けられている場合を示している。
互いに対向する床版16の端部14には、継手部材18を取着するための後打ちコンクリート充填用の凹部14Aが設けられており、この凹部14Aの底面からは複数の鉄筋20が突出している。
一対の継手部材18は鋼材製で、橋軸方向と直交する方向に延在する長さを有し、凹部14Aの底面に載置される側板部22と、側板部22の上端から突設された上板部24とを備えている。
【0010】
側板部22の背面から突設された複数のアンカー部材26は、凹部14Aの底面から突設された複数の鉄筋20に結合された状態で、後打ちコンクリート28中に埋設されている。
一対の継手部材18の側板部22の互いに対向する表面は、互いに対向する床版16の端部14の端面1402と同一面上に配置されている。
一対の継手部材18の各上板部24が対向する箇所に、平面視した場合に、橋軸方向と直交する方向に凹凸状の隙間Sが延在形成され、この凹凸状の隙間Sは、床版16の橋軸方向の伸縮に応じ増減し、床版16の伸縮を吸収する。
なお、図1において符号30は、床版16の上面に形成された橋面舗装を示している。
【0011】
道路橋伸縮装置用止水装置32は、一対の継手部材18の下方に配置され、一対の継手部材18の凹凸状の隙間Sから侵入した雨水の道路橋12の下方への流下を防止するものである。
道路橋伸縮装置用止水装置32は、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の端面1402間の遊間を閉塞するゴムシート構造体34を含んで構成され、ゴムシート構造体34は、道路橋12の橋軸方向に延在する幅と橋軸方向と直交する方向に延在する長さとを有している。
図2に示すように、ゴムシート構造体34は、両側の側板部36と、下板部38と、圧接部40とを備えている。
両側の側板部36は、ゴムシート構造体34の幅方向の両端に設けられ、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の端面1402にそれぞれ接触可能な板状に形成されている。すなわち、両側の側板部36は、橋軸方向において互いに対向する床版16の端部の端面1602に、あるいは、互いに対向する床版16の端部の端面1602から一対の継手部材18の側板部22の表面にわたって、あるいは、一対の継手部材18の側板部22の表面に、あるいは、床版16の端部の端面1602と同一面上に形成された後打ちコンクリート28の面にそれぞれ接触可能な板状に形成されている。
両側の側板部36は、本実施の形態では、橋軸方向と直交する方向における道路橋伸縮装置10の長手方向の全長にわたって延在しているが、道路橋伸縮装置10の長手方向に間隔をおき複数設けられていてもよい。
下板部38は、一対の継手部材18の凹凸状の隙間Sから下方に落下する雨水を受ける箇所であり、橋軸方向と直交する方向における道路橋伸縮装置10の長手方向の全長にわたって延在している。
下板部38は、両側の側板部36の下端を接続し、下板部38の幅方向の中央部は平坦に形成され、幅方向の両側部は湾曲状に形成され、下板部38の幅方向の両端を除いて下板部38は均一の厚さで形成されている。
【0012】
圧接部40は、両側の側板部36を、道路橋12を構成する要素互いに対向する端部14の端面1402に圧接させる箇所である。
本実施の形態では、圧接部40は、ゴムシート構造体34に一体に形成され、下板部38の上方でゴムシート構造体34の幅方向に延在して両側の側板部36を接続する反力板部42で構成されている。
反力板部42は、図2に示すように、両側の側板部36が道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の端面1402に接触していない状態、すなわち、ゴムシート構造体34に外力が掛かっていない状態で第1の形状となる。本実施の形態では、第1の形状は、両側の側板部36の間で平面上を延在する形状であり、言い換えると平板状の形状である。
そして、両側の側板部36が互いに対向する端部14の端面1402に接触した状態で、反力板部42は、図1に示すように、第1の形状から下方に凸状に湾曲変形され、第1の形状に戻ろうとする反力板部42の弾性力により両側の側板部36を、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の端面1402に圧接させる。
反力板部42の幅方向の両端が両側の側板部36に接続される箇所は、側板部36の上端でもよく、あるいは、側板部36の下端でもよいが、本実施の形態では、反力板部42の幅方向の両端は、両側の側板部36の上下方向(高さ方向)の中間部に接続され、第1の形状に戻ろうとする反力板部42の弾性力を両側の側板部36に効率良く伝達できるように図られている。
【0013】
なお、両側の側板部36を互いに平行させた状態で両側の側板部36を互いに近づけると、反力板部42は上方に湾曲変形するか、下方に湾曲変形するか不明であるが、ゴムシート構造体34を互いに対向する端部14の間に挿入する際に、両側の側板部36の上端を互いに近づけるように変形すると、反力板部42は下方に湾曲変形される。
この場合、反力板部42を上方に湾曲変形させてもよいが、反力板部42を下方に湾曲変形させた場合の方が道路橋伸縮装置用止水装置32の外観性を高める上で有利となる。
なお、第1の形状として、予め僅かに下方に凸状となった湾曲形状とすると、両側の側板部36を互いに近づけた際に、反力板部42を確実に下方に湾曲変形させることができる。第1の形状をこのような形状としてもよいが、上記のように第1の形状を平板状の形状とすると、両側の側板部36を互いに対向する端部14の端面1402に面に圧接させる大きな圧接力を得る上で有利となる。
【0014】
図3に示すように、反力板部42は、本実施の形態では、一対の継手部材18の下方で一対の継手部材18の橋軸方向と直交する方向のほぼ全長にわたって設けられ、反力板部42の幅方向の両端を除いて反力板部42は均一の厚さで形成されている。
平面視した場合、橋軸方向と直交する方向において下板部38の両端は一対の継手部材18の両端および反力板部42の両端よりも外側に突出しており、下板部38の橋軸方向と直交する方向の両端には、図4に示すように、両側の側板部36を接続する起立壁3802が起立され、また、下板部38の両端寄りの箇所に、下板部38上に溜まった雨水排出用の排水管部3804が突設され、排水管部3804には不図示の排水管が接続される。
【0015】
本実施の形態では道路橋伸縮装置用止水装置32を設置する場合、まず、ゴムシート構造体34を、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の間に挿入する際に、両側の側板部36の上端を互いに近づけるように外力を掛け、反力板部42を第1の形状から下方に凸状に湾曲するように変形させ、次に、この変形状態でゴムシート構造体34を互いに対向する床版16の端部14間に挿入し、外力を解放する。
このゴムシート構造体34の挿入作業により、両側の側板部36は、互いに対向する端部14の端面1402に接触し、両側の側板部36は、湾曲変形された反力板部42の弾性力により互いに対向する端部14の端面1402に圧接され、ゴムシート構造体34は、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の間に固定されることになる。
そのため、従来のように、取り付け金物の組み立て作業や、取り付け金物の鉄筋への溶接作業、ゴムシート構造体34の両側の側板部36を複数箇所においてボルトを用いて取り付け金物に取り付ける取り付け作業を省略でき、道路橋伸縮装置用止水装置32の設置を簡単に確実に行なう上で有利となる。
したがって、道路橋伸縮装置用止水装置32の設置の工期の短縮化を図り、道路橋伸縮装置用止水装置32を含む道路橋伸縮装置10のコストダウンを図る上で有利となる。
また、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14に対して、あるいは、道路橋伸縮装置10に対して、ボルトなどを用いた結合構造が不要となるので、互いに対向する端部14の間で上下方向におけるゴムシート構造体34の設置箇所を自由に選択でき、道路橋伸縮装置10や道路橋12の設計の自由度を高める上で有利となる。
なお、圧接部40として、ゴムシート構造体34とは別体のコイルスプリングなどの別部材を設け、両側の側板部36を互いに対向する端部14の端面1402に圧接するようにしてもよい。
あるいは、ゴムシート構造体34とは別体の反力板部42を設け、橋軸方向である反力板部42の幅方向の両端を両側の側板部36にボルトなどの取り付け部材により、あるいは、接着剤により取り付けるようにしてもよく、あるいは、両側の側板部36の凹溝にはめ込むことで取り付けるようにしてもよい。
ただし、実施の形態のように、ゴムシート構造体34に一体に設けられた反力板部42を設けると、部品点数を削減でき、道路橋伸縮装置用止水装置32の設置作業をより効率良く行なう上で有利となる。
【0016】
(第2の実施の形態)
次に、図5を参照して第2の実施の形態について説明する。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様な箇所、部材に同一の符号を付してその説明を省略し、第1の実施の形態と異なった箇所を重点的に説明する。
第2の実施の形態では、反力板部42が、ゴムシート構造体34の長さ方向に間隔をおいて複数設けられ、すなわち、反力板部42が、ゴムシート構造体34の長さ方向に切り離されて複数設けられている点が第1の実施の形態と異なっている。
なお、反力板部42を、ゴムシート構造体34の長さ方向の全長にわたって設けるか、あるいは、ゴムシート構造体34の長さ方向に間隔をおいて複数設けるかは、要求される圧接力に応じて適宜決定される。
このような第2の実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様に、湾曲変形された反力板部42の弾性力により、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の間にゴムシート構造体34を固定することが可能となり、第1の実施の形態と同様な効果が奏される。
【0017】
(第3の実施の形態)
次に、図6を参照して第3の実施の形態について説明する。
第3の実施の形態では、反力板部42に、反力板部42の橋軸方向である幅方向のほぼ全長にわたって延在するばね鋼板44が埋め込まれている点が第1の実施の形態と異なっている。
ばね鋼板44は、図6(A)に示すように、ゴムシート構造体34に外力が掛かっていない状態で反力板部42の内部で反力板部42に沿って延在する第2の形状となり、言い換えると、第1の形状に沿って延在する第2の形状となり、図6(B)に示すように、両側の側板部36が互いに対向する端部14の端面1402に接触した状態で第2の形状から湾曲変形され第2の形状に戻ろうとする弾性力により反力板部42と協働して両側の側板部36を互いに対向する端部14の端面1402に圧接させるものである。
したがって、第3の実施の形態では、圧接部40は、ばね鋼板44を含む反力板部42で構成されている。
第3の実施の形態によれば、両側の側板部36をより大きな圧接力で端部14の端面1402に圧接する上で有利となり、ゴムシート構造体34を、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の間により強固に固定する上で有利となる。
また、第3の実施の形態では、反力板部42の幅方向の端部が接続する両側の側板部36の外面の箇所に、反力板部42側に窪む凹部3602が形成されている点が第1の実施の形態と異なっている。
このような凹部3602を設けることで、ゴムシート構造体34を、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の間に設置した際に、端部14の端面1402に対する両側の側板部36の外面3604の密着性を高め、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の間にゴムシート構造体34を強固に固定する上で有利となる。
なお、ばね鋼板44は、反力板部42の長さ方向の全長にわたって埋設してもよく、あるいは、反力板部42の長さ方向に間隔をおいて埋設されていてもよい。
【0018】
なお、ゴムシート構造体34に、反力板部42を設けず、下板部38の上方で前記幅方向に延在して両側の側板部36を接続する上板部を設け、上板部にばね鋼板を埋め込み、両側の側板部36が互いに対向する端部14の端面1402に接触した状態で第2の形状から湾曲変形され第2の形状に戻ろうとするばね鋼板の弾性力のみにより両側の側板部36を互いに対向する端部14の端面1402に圧接させるようにしてもよい。
この場合には、両側の側板部36を、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の端面1402に圧接させる圧接部40が、上板部に埋め込まれたばね鋼板で構成されることになり、ばね鋼板が埋め込まれた上板部により反力板部42が構成されることになる。
この場合にも、第3の実施の形態と同様に、両側の側板部36の外面3604の箇所に凹部3602を形成し、端部14の端面1402に対する両側の側板部36の外面3604の密着性を高めるようにしてもよく、また、ばね鋼板が埋め込まれた上板部は、下板部38の長さ方向の全長にわたって埋設してもよく、あるいは、下板部38の長さ方向に間隔をおいて埋設されていてもよい。
【0019】
(第4の実施の形態)
次に、図7を参照して第4の実施の形態について説明する。
第4の実施の形態では、反力板部42が接続する両側の側板部36の箇所に、両側の側板部36が道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の端面1402に圧接された状態で、端部14の端面1402に平行する剛性を有する平板46が埋め込まれている点が第1の実施の形態と異なっている。
このような平板46を構成する材料として、鋼材や硬質な合成樹脂が使用可能である。
平板46は、側板部36の長手方向の全長にわたって埋め込まれていてもよく、あるいは、側板部36の長手方向に間隔をおいて複数埋め込まれていてもよい。
第4の実施の形態によれば、両側の側板部36が道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の端面1402に圧接された際に、両側の側板部36の平坦性を確保し、端部14の端面1402に対する両側の側板部36の外面3604の密着性を高め、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の間にゴムシート構造体34を強固に固定する上で有利となる。
また、この第4の実施の形態の両側の側板部36に平板46が埋め込まれる構成は、次に説明する第5の実施の形態を除き全ての実施の形態に適用可能である。
【0020】
(第5の実施の形態)
次に、図8を参照して第5の実施の形態について説明する。
第5の実施の形態は、両側の側板部36にばね鋼板48が埋め込まれている点が第1の実施の形態と異なっている。
ばね鋼板48は上下方向の幅と、側板部36の長手方向に沿った長さとを有し、反力板部42が接続する側板部36の箇所にばね鋼板48の幅方向の中間部が位置している。
ばね鋼板48は、図8(A)に示すように、ゴムシート構造体34に外力が掛かっていない状態で幅方向の中間部がゴムシート構造体34の幅方向の中央に凸状の湾曲形状に形成され、図8(B)に示すように、両側の側板部36が道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の端面1402に圧接された状態で、反力板部42の弾性力により端部14の端面1402に平行する平板状となり、両側の側板部36の上下部を、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の端面1402に圧接するものである。
なお、ばね鋼板48の湾曲形状の頂部と凹部3602との上下方向の位置はほぼ一致している。
第5の実施の形態によれば、両側の側板部36が道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の端面1402に圧接された際に、両側の側板部36の外面3604の密着性を高め、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の間にゴムシート構造体34を強固に固定する上で有利となる。
なお、ばね鋼板48は、両側の側板部36の長手方向の全長にわたって埋め込まれていてもよく、あるいは、両側の側板部36の長手方向に間隔をおいて複数埋め込まれていてもよい。
また、この第5の実施の形態の両側の側板部36にばね鋼板48が埋め込まれる構成は、第4の実施の形態を除き全ての実施の形態に適用可能である。
【0021】
(第6の実施の形態)
次に、図9図10を参照して第6の実施の形態について説明する。
第6の実施の形態では、道路橋伸縮装置用止水装置32の外観性を高めるため、ゴムシート構造体34を、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の間に挿入した際に、言い換えると、両側の側板部36が互いに近づく方向に変位する際に、反力板部42に、他の箇所に比べて率先して変形し反力板部42が湾曲変形する方向を定める、本実施の形態では反力板部42が湾曲する方向を下方に定める変形促進部50が設けられている。
すなわち、第1の実施の形態に変形促進部50を設けたものである。
変形促進部50は、反力板部42に欠部を設けることで、あるいは、反力板部42の肉厚を変えることで、あるいは反力板部42の上面部と下面部との材料を変えることなどで構成することができる。
図9(A)~(D)、図10(A)~(C)は外力が掛かっていない状態のゴムシート構造体34の断面図であり、反力板部42は、橋軸方向の両端、すなわち反力板部42の幅方向の両端を除き均一の厚さで形成されている。
【0022】
図9(A)に示す例では、反力板部42の上面の幅方向の中央部に円弧状の欠部4202を設けることで変形促進部50を構成している。
図9(B)に示す例では、反力板部42の上面の幅方向の中央部に角ばった欠部4204を設けることで変形促進部50を構成している。
図9(C)に示す例では、反力板部42の上面の幅方向の中央部にV字状の欠部4206を設けることで変形促進部50を構成している。
図9(D)に示す例では、反力板部42の上面を平坦面で形成し、反力板部42の下面の幅方向の中央部に膨出部4208を設け、反力板部42の幅方向の中央の肉厚を残りの箇所に比べて大きく形成したものである。
図10(A)に示す例では、反力板部42の上面の幅方向に間隔をおいて円弧状の欠部4202を複数設けることで変形促進部50を構成している。
図10(B)に示す例では、反力板部42の下面の幅方向に間隔をおいて円弧状の欠部4202を複数設けることで変形促進部50を構成している。
図10(C)に示す例では、反力板部42の上面の幅方向に間隔をおいて円弧状の欠部4202を複数設けると共に、下面の幅方向に間隔をおいて上面の隣り合う欠部4202の中間の箇所に円弧状の欠部4202を複数設けることで変形促進部50を構成している。
なお、欠部4202、4204,4206、膨出部4208は、橋軸方向と直交する方向である反力板部42の長手方向に連続状に設けられていてもよく、あるいは、反力板部42の長手方向に間隔をおいて設けられていてもよい。
第6の実施の形態によれば、変形促進部50により反力板部42が湾曲変形する方向を定めることができるので、ゴムシート構造体34の設置を簡単に行なう上で有利となり、道路橋伸縮装置用止水装置32の外観性を簡単に確実に高める上で有利となる。
この第6の実施の形態の構成は、全ての実施の形態に適用可能である。
【0023】
(第7の実施の形態)
次に、図11を参照して第7の実施の形態について説明する。
第7の実施の形態は、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の端面1402に圧接される両側の側板部36の外面3604の上部に、上方に至るにつれて端面1402から次第に離れる傾斜面3606が形成されている点が第1の実施の形態と異なっている。
第7の実施の形態では、ゴムシート構造体34を、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14に設置したのち、傾斜面3606と端部14の端面1402との間の隙間にシール材52を充填し、気密に閉塞する。
第7の実施の形態によれば、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の端面1402に凹凸があった場合であっても、雨水の下方への落下を阻止する上でより有利となる。
この第7の実施の形態の構成は、全ての実施の形態に適用可能である。
【0024】
(第8の実施の形態)
次に、図12図13を参照して第8の実施の形態について説明する。
第8の実施の形態は、ゴムシート構造体34Aが、両側の側板部36と、反力板部42Aとで構成され、下板部38を有していない点が第1の実施の形態と異なっている。
第8の実施の形態の道路橋伸縮装置用止水装置32は、第1の実施の形態と同様に、道路橋12の橋軸方向に延在する幅と橋軸方向と直交する方向に延在する長さとを有し互いに対向する端部14の端面1402間の遊間を閉塞するゴムシート構造体34Aを備えている。
ゴムシート構造体34Aは、幅方向の両端に設けられ互いに対向する端部14の端面1402にそれぞれ接触可能な両側の側板部36と、幅方向に延在して両側の側板部36を接続する反力板部42Aとを有している。
反力板部42Aは、図12(A)に示すように、ゴムシート構造体34Aに外力が掛かっていない状態で第3の形状となる。本実施の形態では、第3の形状は、両側の側板部36の間で平面上を延在する形状であり、言い換えると平板状の形状である。
【0025】
そして、両側の側板部36が互いに対向する端部14の端面1402に接触した状態で、反力板部42Aは、図12(B)に示すように、第3の形状から下方に凸状に湾曲変形され、第3の形状に戻ろうとする反力板部42Aの弾性力により両側の側板部36を、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の端面1402に圧接させる。
したがって、圧接部40が反力板部42Aで構成されている。
反力板部42Aの幅方向の両端が両側の側板部36に接続される箇所は、側板部36の上端でもよく、あるいは、側板部36の下端でもよいが、本実施の形態では、反力板部42Aの幅方向の両端は、両側の側板部36の上下方向(高さ方向)の中間部に接続され、第3の形状に戻ろうとする反力板部42Aの弾性力を両側の側板部36に効率良く伝達できるように図られている。
【0026】
また、反力板部42Aは、一対の継手部材18の凹凸状の隙間Sから下方に落下する雨水を受ける箇所としても機能する。言い換えると、反力板部42Aは第1の実施の形態の下板部38としても機能し、したがって、反力板部42Aは、橋軸方向と直交する方向における道路橋伸縮装置10の長手方向の全長にわたって延在している。
反力板部42Aの長さ方向の両端は、橋軸方向と直交する方向において、平面視した場合、一対の継手部材18の両端よりも外側に突出しており、反力板部42Aの両端には、図13に示すように、両側の側板部36を接続する起立壁4210が起立され、また、反力板部42Aの両端寄りの箇所に、反力板部42A上に溜まった雨水排出用の排水管部4212が突設され、排水管部4212には不図示の排水管が接続される。
【0027】
第8の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様に、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の間にゴムシート構造体34Aを挿入することで、ゴムシート構造体34Aは互いに対向する端部14の間に固定されるので、従来のように、取り付け金物の組み立て作業や、取り付け金物の鉄筋20への溶接作業、ゴムシート構造体34Aの両側の側板部36を複数箇所においてボルトを用いて取り付け金物に取り付ける取り付け作業を省略でき、道路橋伸縮装置用止水装置32の設置を簡単に確実に行なう上で有利となる。
したがって、道路橋伸縮装置用止水装置32の設置の工期の短縮化を図り、道路橋伸縮装置用止水装置32を含む道路橋伸縮装置10のコストダウンを図る上で有利となる。
また、道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14に対して、あるいは、道路橋伸縮装置10に対して、ボルトなどを用いた結合構造が不要となるので、互いに対向する端部14の間で上下方向におけるゴムシート構造体34の設置箇所を自由に選択でき、道路橋伸縮装置10や道路橋12の設計の自由度を高める上で有利となる。
また、第1の実施の形態に比べ下板部38を備えていないので、ゴムシート構造体34Aの構造の簡単化、軽量化を図れ、道路橋伸縮装置用止水装置32のコストダウンを図る上で有利となる。
【0028】
なお、この第8の実施の形態には、上述した第3~第7の実施の形態が適用可能である。
また、ゴムシート構造体34Aに反力板部42Aを設けず、両側の側板部36の上下方向の中間部を接続する反力板部42Aと同形状の接続板部を設け、この接続板部にばね鋼板を埋め込み、両側の側板部36が互いに対向する端部14の端面1402に接触した状態で第3の形状から湾曲変形され第3の形状に戻ろうとするばね鋼板の弾性力のみにより両側の側板部36を互いに対向する端部14の端面1402に圧接させるようにしてもよい。
この場合には、ばね鋼板が埋め込まれた接続板部により反力板部42Aが構成されることになる。
【0029】
なお、本実施の形態では、両側の側板部36が道路橋12を構成する要素の互いに対向する端部14の端面1402に接触していない状態、すなわち、ゴムシート構造体34に外力が掛かっていない状態の反力板部42、42Aの第1、第3の形状、ばね鋼板44の第2の形状が平板状を呈している場合について説明したが、第1~第3の形状は湾曲した形状であってもよく、第1~第3の形状は実施の形態の形状に限定されない。
また、両側の側板部36が互いに対向する端部14の端面1402に接触した状態で反力板部42は、下方に凸状の湾曲形状になった場合について説明したが、橋軸方向に反力板部42が圧縮された形状は、上方に凸状の湾曲部と下方に凸状の湾曲部とが橋軸方向に交互に並べられた形状であってもよく、実施の形態の形状に限定されない。
【符号の説明】
【0030】
10 道路橋伸縮装置
12 道路橋
14 端部
1402 端面
32 道路橋伸縮装置用止水装置
34、34A ゴムシート構造体
36 側板部
3604 外面
3606 傾斜面
38 下板部
40 圧接部
42、42A 反力板部
44 ばね鋼板
46 平板
48 ばね鋼板
50 変形促進部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13