(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】位置検出装置
(51)【国際特許分類】
G01D 5/12 20060101AFI20221213BHJP
G01D 5/16 20060101ALI20221213BHJP
G01B 7/00 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G01D5/12 N
G01D5/16 G
G01B7/00 101H
(21)【出願番号】P 2018095208
(22)【出願日】2018-05-17
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】半田 晶寛
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/012272(WO,A1)
【文献】特開2013-177072(JP,A)
【文献】特開2014-65366(JP,A)
【文献】特開平3-74255(JP,A)
【文献】特開2010-208564(JP,A)
【文献】特開2009-139253(JP,A)
【文献】特開2004-219333(JP,A)
【文献】特開2009-162329(JP,A)
【文献】米国特許第6351699(US,B1)
【文献】特開2002-120587(JP,A)
【文献】特開2007-33270(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/12-5/252
G01B 7/00-7/34
G01R 33/00-33/18
B60K 20/00-20/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置検出対象(3)の位置を検出するように構成された、位置検出装置(1)であって、
前記位置に対応する電気信号であるセンサ信号を出力するように構成された、センサ素子部(2)と、
前記センサ信号に基づいて、前記位置の検出結果に対応する検出値を出力するように構成された、検出値出力部(6)と、
を備え、
前記検出値出力部は、
前記センサ信号を処理することで、前記位置の仮検出結果に対応する仮検出値を取得するように設けられた、仮検出値取得部(63)と、
前記位置検出対象の
システム起動時における前記位置である初期位置に対応して前記仮検出値取得部により取得された前記仮検出値である初期仮検出値と、前記初期位置に対応する前記検出値の標準値として予め設定された初期標準値とに基づいて演算処理することで、前記仮検出値に対する経時補正の要否を判定するように設けられた、演算処理部(65)と、
前記仮検出値に対する前記経時補正が必要であると前記演算処理部が判定した場合に、前記仮検出値に対する前記経時補正を実行することで、前記検出値を生成するように設けられた、経時補正部(66)と、
を備え、
前記仮検出値取得部は、前記センサ信号を処理することで取得された補正前仮検出値に対して、前記経時補正とは異なる補正である非経時補正を実行することで、前記経時補正がされていない前記仮検出値を取得するように構成された、
位置検出装置。
【請求項2】
前記演算処理部は、前記演算処理の結果に基づいて、前記経時補正のパラメータを設定するように構成された、
請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記センサ素子部は、複数の磁気検出素子(20)がブリッジ接続した構成を有する、
請求項1または2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記位置検出対象は、車両に設けられた変速用のシフトレバー(4)の操作状態に対応して、前記磁気検出素子に対して相対移動するように設けられた、
請求項3に記載の位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、例えば、特許文献1に記載のものが知られている。特許文献1に記載の装置においては、磁石の移動に伴う磁界の変化を検出するための磁気センサが設けられている。この装置は、磁気センサの出力電圧を演算するとともに、演算結果に基づいて磁石の位置すなわちシフト位置を検出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の装置において、検出結果が経時変化すなわち耐久変動し得る。一般に、耐久変動を制御するためには、基準となる値が必要となる。しかしながら、例えば、車両に搭載される位置検出装置においては、用いられるセンサ素子の出力それ自体が、位置検出に用いられる物理量の基準となる。このため、耐久変動を制御することが困難であった。
【0005】
本発明は、上記に例示した事情等に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、検出結果の経時変化すなわち耐久変動を、良好に抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の位置検出装置(1)は、位置検出対象(3)の位置を検出するように構成されている。
この位置検出装置は、
前記位置に対応する電気信号であるセンサ信号を出力するように構成された、センサ素子部(2)と、
前記センサ信号に基づいて、前記位置の検出結果に対応する検出値を出力するように構成された、検出値出力部(6)と、
を備え、
前記検出値出力部は、
前記センサ信号を処理することで、前記位置の仮検出結果に対応する仮検出値を取得するように設けられた、仮検出値取得部(63)と、
前記位置検出対象のシステム起動時における前記位置である初期位置に対応して前記仮検出値取得部により取得された前記仮検出値である初期仮検出値と、前記初期位置に対応する前記検出値の標準値として予め設定された初期標準値とに基づいて演算処理することで、前記仮検出値に対する経時補正の要否を判定するように設けられた、演算処理部(65)と、
前記仮検出値に対する前記経時補正が必要であると前記演算処理部が判定した場合に、前記仮検出値に対する前記経時補正を実行することで、前記検出値を生成するように設けられた、経時補正部(66)と、
を備え、
前記仮検出値取得部は、前記センサ信号を処理することで取得された補正前仮検出値に対して、前記経時補正とは異なる補正である非経時補正を実行することで、前記経時補正がされていない前記仮検出値を取得するように構成されている。
【0012】
なお、出願書類中の各欄において、各要素に括弧付きの参照符号が付されている場合、かかる参照符号は、単に、同要素と後述する実施形態に記載の具体的構成との対応関係の一例を示すものである。よって、本発明は、かかる参照符号の記載によって、何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る位置検出装置の概略構成を示す模式図である。
【
図2】
図1に示された位置検出装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2に示された位置検出装置の動作概要を示すグラフである。
【
図4】
図2に示された位置検出装置の動作概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると当該実施形態の理解が妨げられるおそれがあるため、当該実施形態の説明の後にまとめて記載する。
【0015】
(構成)
まず、
図1を参照しつつ、実施形態に係る位置検出装置1の概略構成について説明する。なお、説明の便宜上、
図1において、図示の通りに右手系XYZ直交座標を設定する。本実施形態に係る位置検出装置1は、センサ素子部2と位置検出対象3との、図中X軸方向の相対位置を検出するように構成されている。説明の簡略化のため、センサ素子部2と位置検出対象3との、図中X軸方向の相対位置を、以下単に「位置検出対象3の位置」と称する。位置検出対象3には、可動磁石が設けられている。
【0016】
本実施形態においては、位置検出装置1は、オートマチックトランスミッション車に搭載されるシフト位置検出装置であって、シフト位置に対応する検出出力を発生するように構成されている。具体的には、位置検出対象3は、車両に設けられた変速用のシフトレバー4と、連結機構5を介して連結されている。位置検出対象3は、シフトレバー4の操作状態に対応して、センサ素子部2に対して図中X軸方向に相対移動するように設けられている。
【0017】
センサ素子部2は、複数の磁気検出素子20を有している。本実施形態においては、磁気検出素子20は、半導体式センサ素子であるTMR素子であって、外部磁界による自由層の磁化方向の変化に応じて電気抵抗値が変化するように構成されている。TMRはTunnel Magneto-Resistanceの略である。
【0018】
図2を参照すると、センサ素子部2は、複数の磁気検出素子20がブリッジ接続した構成を有している。具体的には、センサ素子部2は、第一ブリッジ回路21と第二ブリッジ回路22とを有している。
【0019】
第一ブリッジ回路21および第二ブリッジ回路22は、複数の磁気検出素子20によるハーフブリッジ回路であって、位置検出対象3の位置に対応する電気信号であるセンサ信号を出力するように構成されている。第一ブリッジ回路21は、位置検出対象3が図中X軸方向に一定速度で連続的に移動した場合に、正弦波状の出力を発生するように設けられている。第二ブリッジ回路22は、位置検出対象3が図中X軸方向に一定速度で連続的に移動した場合に、余弦波状の出力を発生するように設けられている。
【0020】
図2を参照すると、位置検出装置1は、検出値出力部6をさらに備えている。検出値出力部6は、第一ブリッジ回路21および第二ブリッジ回路22により出力されたセンサ信号に基づいて、位置検出対象3の位置の検出結果に対応する検出値を出力するように構成されている。具体的には、本実施形態においては、検出値出力部6は、インタフェース61と、ADコンバータ62と、仮検出値取得部63と、メモリ64と、演算処理部65と、経時補正部66と、選択部67と、出力端子68とを備えている。
【0021】
インタフェース61には、第一ブリッジ回路21と第二ブリッジ回路22とが並列に電気接続されている。インタフェース61は、第一ブリッジ回路21のセンサ出力と、第二ブリッジ回路22のセンサ出力とを、交互に時分割で取得して、ADコンバータ62に入力するように設けられている。ADコンバータ62は、入力されたセンサ出力をアナログ/デジタル変換して、変換結果を仮検出値取得部63に入力するように設けられている。
【0022】
仮検出値取得部63は、入力された信号、すなわち、ADコンバータ62によってアナログ/デジタル変換したセンサ信号を処理することで、位置検出対象3の位置の仮検出結果に対応する仮検出値を取得するように設けられている。具体的には、仮検出値取得部63は、コーデック631と非経時補正部632とを有している。
【0023】
コーデック631は、ADコンバータ62によってアナログ/デジタル変換したセンサ信号を処理することで、補正前仮検出値を取得するように設けられている。補正前仮検出値は、センサ信号に対して各種の補正を行う前の検出値に対応する。コーデック631により実行される処理には、フィルタ処理、逆正接演算処理、等が含まれる。逆正接演算処理は、正弦波に対応する第一ブリッジ回路21のセンサ出力と、余弦波に対応する第二ブリッジ回路22のセンサ出力とに基づいて、逆正接(すなわちアークタンジェント)演算を実行する処理である。
【0024】
非経時補正部632は、センサ信号に対して非経時補正を行うことで、仮検出値を取得するように設けられている。非経時補正とは、磁気検出素子20の特性に起因する補正であって、経時補正とは異なる補正である。経時補正とは、センサ出力の経時変化に起因する補正、すなわち、経時変化を補償するための補正である。
【0025】
メモリ64には、位置検出装置1の動作のために必要な各種データ、例えば、初期値、テーブル、パラメータ、等が格納されている。演算処理部65は、検出値出力部6の各部を制御するように設けられている。すなわち、演算処理部65は、インタフェース61を制御して、第一ブリッジ回路21のセンサ出力と第二ブリッジ回路22のセンサ出力とを交互に時分割で取得するようになっている。また、演算処理部65は、仮検出値取得部63により取得された仮検出値と、メモリ64に格納された各種データとに基づいて、経時補正部66および選択部67の動作を制御するようになっている。
【0026】
具体的には、演算処理部65は、初期仮検出値と初期標準値とに基づいて演算処理することで、仮検出値に対する経時補正の要否を判定するように設けられている。初期仮検出値は、位置検出対象3の初期位置に対応して仮検出値取得部63により取得された仮検出値である。「初期位置」とは、本実施形態においては、位置検出装置1を搭載した車両のイグニッションスイッチがオンされた時点における位置検出対象3の位置である。初期標準値は、初期位置に対応する検出値の標準値として予め設定された値であって、メモリ64に予め格納されている。初期仮検出値と初期標準値とに基づく演算処理は、例えば、両者の差の算出である。
【0027】
また、演算処理部65は、経時補正が必要である場合の、経時補正のパラメータを、演算処理の結果に基づいて設定するように設けられている。すなわち、演算処理部65は、初期仮検出値と初期標準値との差と、メモリ64に格納されたテーブルとに基づいて、経時補正のパラメータをメモリ64から読み出すようになっている。
【0028】
経時補正部66は、経時補正が必要であると演算処理部65が判定した場合に、演算処理部65により設定されたパラメータに基づいて仮検出値に対する経時補正を実行することで、検出値を生成するように設けられている。一方、検出値出力部6は、経時補正が不要であると演算処理部65が判定した場合に、経時補正部66による経時補正を実行せずに、検出値を生成するように構成されている。
【0029】
具体的には、本実施形態においては、演算処理部65と経時補正部66の間には、選択部67が設けられている。選択部67は、経時補正が必要であると演算処理部65が判定した場合には、仮検出値取得部63の出力結果を経時補正部66に入力するようになっている。経時補正部66は、経時補正結果を出力端子68に出力するようになっている。一方、選択部67は、経時補正が不要であると演算処理部65が判定した場合には、仮検出値取得部63の出力結果を経時補正部66に入力せずに出力端子68に出力するようになっている。
【0030】
(効果)
以下、本実施形態の構成により奏される効果について、同構成の動作概要とともに説明する。
【0031】
上記構成においては、センサ素子部2は、位置検出対象3の位置に対応するセンサ信号を出力する。仮検出値取得部63は、センサ信号を処理することで、位置検出対象3の位置の仮検出結果に対応する仮検出値を取得する。検出値出力部6は、センサ信号すなわち仮検出値に基づいて、位置検出対象3の位置の検出結果に対応する検出値を出力する。
【0032】
図3のグラフは、位置検出対象3の位置を横軸Pとし、仮検出値取得部63の出力を縦軸Vとして、両者の対応関係を示す。
図3における縦軸Vは電圧に相当する。
【0033】
図3にて一点鎖線で示したように、位置と出力電圧との理想的な対応関係は、ほぼ直線関係となる。しかしながら、実際には、
図3にて実線で示したように、経時的あるいは非経時的な要因により、理想的な直線関係からの誤差が生じる。かかる誤差は、時間経過とともに、
図3にて破線で示したように大きくなる。仮に、
図3にて二点鎖線で示したように、耐久変動を見込んだ規格を設けると、位置検出の高精度化が困難となる。
【0034】
この点、位置検出対象3の初期位置が、高い蓋然性で推定される場合があり得る。具体的には、例えば、本実施形態においては、位置検出装置1は、車載のシフト位置検出装置である。この場合、初期位置は、高い蓋然性で「P」レンジである。
【0035】
そこで、演算処理部65は、初期仮検出値と初期標準値とに基づいて演算処理することで、仮検出値に対する経時補正の要否を判定する。初期仮検出値は、位置検出対象3の初期位置に対応して仮検出値取得部63により取得された仮検出値である。初期標準値は、初期位置に対応する検出値の標準値として予め設定された値である。
【0036】
経時補正部66は、仮検出値に対する経時補正が必要であると演算処理部65が判定した場合には、仮検出値に対する経時補正を実行することで、検出値を生成する。一方、仮検出値に対する経時補正が不要であると演算処理部65が判定した場合には、仮検出値に対する経時補正が実行されずに、検出値が生成される。
【0037】
図4は、
図2に示された検出値出力部6の動作概要を示す。なお、
図4のフローチャートにおいて、「S」は「ステップ」の略である。
【0038】
図4に示されたルーチンは、車両のイグニッションスイッチがオンされた時点で起動される。かかるルーチンが起動すると、まず、ステップ401にて、ADコンバータ62は、位置検出対象3の初期位置に対応するセンサ信号を取得する。
【0039】
次に、ステップ402にて、コーデック631は、取得したセンサ信号を処理することで、位置検出対象3の初期位置に対応する補正前仮検出値を取得する。また、非経時補正部632は、コーデック631の出力に対して非経時補正を行うことで、初期仮検出値を取得する。
【0040】
続いて、ステップ403にて、演算処理部65は、メモリ64から初期標準値を読み出すことで、初期標準値を取得する。さらに、ステップ404にて、演算処理部65は、初期仮検出値と初期標準値とを対比演算する。具体的には、演算処理部65は、初期仮検出値と初期標準値との差Δdを演算する。その後、処理がステップ405に進行する。
【0041】
ステップ405にて、演算処理部65は、Δdが所定の規格値Δd1とΔd2との間にあるか否かを判定する。Δd1≦Δd≦Δd2である場合(すなわちステップ405=YES)、処理がステップ406に進行する。すなわち、演算処理部65は、経時補正が不要であると判定する。これに対し、Δdが所定の規格値Δd1とΔd2との間にはない場合(すなわちステップ405=NO)、処理がステップ407に進行する。すなわち、演算処理部65は、経時補正が必要であると判定する。
【0042】
経時補正が必要である場合(すなわちステップ407)、演算処理部65は、Δdの値に基づいて、下記の補正式における補正パラメータα,β,γをメモリ64から読み出す。なお、下記の補正式中、xは仮検出値である。また、Δdと補正パラメータα,β,γとの関係を規定する、メモリ64に格納されたテーブルは、実験および/または計算機シミュレーションによって得ることが可能である。
f(x)=α・x2+β・x+γ
【0043】
経時補正が必要である場合(すなわちステップ407)、続いて、処理がステップ408に進行する。ステップ408にて、経時補正部66は、演算処理部65により設定された補正パラメータα,β,γに基づいて、仮検出値に対する経時補正を実行することで、検出値を生成する。
【0044】
経時補正が不要である場合(すなわちステップ405=YES)、処理がステップ406からステップ409に進行する。ステップ409にて、検出値出力部6は、仮検出値取得部63の出力を出力端子68に出力する。すなわち、検出値出力部6は、初期仮検出値を、経時補正を実行することなく、検出値の初期値として出力する。
【0045】
これに対し、経時補正が必要である場合(すなわちステップ405=NO)、処理がステップ407からステップ408を経てステップ409に進行する。ステップ409にて、検出値出力部6は、経時補正部66の出力を出力端子68に出力する。すなわち、検出値出力部6は、仮検出値取得部63の出力である初期仮検出値に対して経時補正を実行した結果を、検出値の初期値として出力する。
【0046】
上記構成によれば、位置検出対象3の初期位置に対応して仮検出値取得部63により取得された仮検出値である初期仮検出値と、位置検出対象3の初期位置に対応する検出値の標準値として予め設定された初期標準値とに基づいて、経時補正の要否を良好に判定することが可能となる。したがって、検出結果の経時変化すなわち耐久変動を、良好に抑制することが可能となる。
【0047】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態と異なる部分についてのみ説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
【0048】
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な装置構成に限定されない。例えば、位置検出装置1は、シフト位置検出装置に限定されない。すなわち、例えば、位置検出装置1は、回転体である位置検出対象3の回転位置検出装置であってもよい。
【0049】
センサ素子部2の構成についても、本発明の課題が良好に解決され、効果が良好に奏される限り、特段の限定はない。具体的には、例えば、磁気検出素子20は、いわゆるGMR素子であってもよい。GMRはGiant Magneto Resistanceの略である。また、センサ素子部2は、複数の磁気検出素子20がブリッジ接続した構成に限定されない。
【0050】
検出値出力部6は、ASICを含んだロジック構成を有していてもよい。ASICはApplication Specific Integrated Circuitの略である。あるいは、検出値出力部6は、CPU、ROM、RAM、および不揮発性RAM等を備えた車載マイクロコンピュータとして構成されていてもよい。不揮発性RAMは、例えば、フラッシュROM等である。
【0051】
本発明において、非経時補正部632は、必須ではない。すなわち、非経時補正部632は、省略され得る。あるいは、経時補正部66は、経時補正と非経時補正とをともに実行するように構成され得る。
【0052】
経時補正部66と選択部67とは、一体の処理あるいはロジックとして構成され得る。
【0053】
本発明は、上記実施形態にて示された具体的な処理態様に限定されない。例えば、ステップ404にて、演算処理部65は、初期仮検出値と初期標準値との比を算出してもよい。
【0054】
位置検出装置1がマニュアルトランスミッション車に搭載されるシフト位置検出装置である場合、初期位置および初期標準値は、ニュートラルポジションに対応するものであってもよい。
【0055】
上記の通り、位置検出装置1がシフト位置検出装置である場合等のように、起動時に位置が一意に決まるようなシステム構成において、本発明は好適に適用され得る。しかしながら、本発明は、かかるシステム構成に限定されない。
【0056】
すなわち、例えば、初期位置は、前回のシステム遮断時の位置検出対象3の位置をメモリ64に格納することによって得ることが可能である。この場合、初期標準値は、今回のシステム起動時にメモリ64から読み出した初期位置に対応する標準値であってもよい。
【0057】
上記実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に本発明が限定されることはない。
【0058】
同様に、構成要素等の形状、方向、位置関係等が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に特定の形状、方向、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、方向、位置関係等に本発明が限定されることはない。各部を構成する材料についても、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の材料に限定される場合等を除き、特段の限定はない。
【0059】
変形例も、上記の例示に限定されない。また、複数の実施形態が、互いに組み合わされ得る。同様に、複数の変形例が、互いに組み合わされ得る。さらに、複数の実施形態のうちの少なくとも1つと、複数の変形例のうちの少なくとも1つとが、互いに組み合わされ得る。
【符号の説明】
【0060】
1 位置検出装置
2 センサ素子部
3 位置検出対象
20 磁気検出素子
21 第一ブリッジ回路
22 第二ブリッジ回路
6 検出値出力部
63 仮検出値取得部
65 演算処理部
66 経時補正部