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  • 特許-排気浄化装置および車両 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】排気浄化装置および車両
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
F01N3/28 301W
F01N3/28 301U
F01N3/28 ZAB
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018125056
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020002912
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大原 功
(72)【発明者】
【氏名】水上 直
【審査官】長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/080441(WO,A1)
【文献】特開2010-71208(JP,A)
【文献】特開2013-15099(JP,A)
【文献】特開2015-117623(JP,A)
【文献】特開2011-241705(JP,A)
【文献】特開2012-193719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排ガスを第1方向から筐体内に流入させる流入口、および、前記筐体内に流入した排ガスを前記第1方向と異なる第2方向から前記筐体外へ流出させる流出口が前記筐体に形成され、前記筐体内に排ガス浄化体が設けられた排気浄化装置であって、
前記筐体内に流入した排ガスを前記流出口へ導く誘導流路が形成されるように前記筐体内の空間を区画する板状の仕切部材を有し、
前記筐体は、前記筐体の外部方向に向かって膨出した曲面部と、前記曲面部に対して直交するように設けられた、対向する2つの側壁面部と、を有し、
前記流出口は、前記2つの側壁面部のいずれかにおいて、前記曲面部との境界付近に形成されており、
前記仕切部材は、前記曲面部の延在方向に沿って設けられており、
前記仕切部材における対向する2つの端部は、前記筐体の内壁面に固定され、前記2つの端部以外の端部は、前記流出口が設けられた前記側壁面部に近接または接触しており、
前記仕切部材における前記曲面部に対向する部分が前記曲面部の湾曲方向とは逆方向に湾曲することにより、前記誘導流路が略円筒形状に形成されている、
排気浄化装置。
【請求項2】
前記筐体は、
前記流入口を有し、前記排ガス浄化体が設けられた第1筐体と、
前記流出口、前記曲面部、および前記側壁面部を有し、前記仕切部材が設けられた、前記第1筐体に対して着脱可能である第2筐体と、を有する、
請求項に記載の排気浄化装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の排気浄化装置を備えた車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排気浄化装置および車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関から排出される排ガスを浄化する触媒を筐体内に設けた排気浄化装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-213289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した筐体の形状によっては、筐体内に流入した排ガスに渦が発生し、この渦が原因となって異音が発生するおそれがある。
【0005】
本開示の目的は、異音の発生を抑制することができる排気浄化装置および車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る排気浄化装置は、排ガスを第1方向から筐体内に流入させる流入口、および、前記筐体内に流入した排ガスを前記第1方向と異なる第2方向から前記筐体外へ流出させる流出口が前記筐体に形成され、前記筐体内に排ガス浄化体が設けられた排気浄化装置であって、前記筐体内に流入した排ガスを前記流出口へ導く誘導流路が形成されるように前記筐体内の空間を区画する板状の仕切部材を有し、前記筐体は、前記筐体の外部方向に向かって膨出した曲面部と、前記曲面部に対して直交するように設けられた、対向する2つの側壁面部と、を有し、前記流出口は、前記2つの側壁面部のいずれかにおいて、前記曲面部との境界付近に形成されており、前記仕切部材は、前記曲面部の延在方向に沿って設けられており、前記仕切部材における対向する2つの端部は、前記筐体の内壁面に固定され、前記2つの端部以外の端部は、前記流出口が設けられた前記側壁面部に近接または接触しており、前記仕切部材における前記曲面部に対向する部分が前記曲面部の湾曲方向とは逆方向に湾曲することにより、前記誘導流路が略円筒形状に形成されている。


【0007】
本開示の一態様に係る車両は、上記排気浄化装置を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、異音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施の形態に係る排気浄化装置の構成の一例を示す模式図
図2】本開示の実施の形態に係る第2筐体の構成の一例を示す斜視図
図3】本開示の実施の形態に係る第2筐体の構成の一例を示す斜視図
図4】本開示の実施の形態に係る第2筐体の構成の一例を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
まず、本開示の実施の形態に係る排気浄化装置2の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態の排気浄化装置2の構成の一例を示す模式図である。
【0012】
図1に示す排気浄化装置2は、内燃機関(図示略)から排出される排ガスを浄化する装置である。排気浄化装置2は、例えば、車両、作業機械、または発電装置などに搭載される。
【0013】
図1に示すように、排気浄化装置2は、第1筐体2aおよび第2筐体2bを有する。第2筐体2bは、第1筐体2aに対して着脱可能である。
【0014】
第1筐体2aの内部には、排ガス浄化体3が設けられている。排ガス浄化体3は、例えば、排ガス中の有害物質を除去する触媒またはフィルタなどである。
【0015】
第1筐体2aには、貫通孔4a、4bが形成されている。
【0016】
貫通孔4aには、上流側排気管1が接続されている。貫通孔4aは、上流側排気管1を流れる排ガスを、X方向から第1筐体2a内に流入させる。なお、貫通孔4aは「流入口」の一例に相当し、X方向は「第1方向」の一例に相当する。
【0017】
第1筐体2a内に流入した排ガスは、排ガス浄化体3を通過した後、貫通孔4bを介して、第2筐体2bへ流入する。
【0018】
第2筐体2bには、貫通孔5が形成されている。貫通孔5は、第2筐体2bへ流入した排ガスを、Z方向から第2筐体2b外(例えば、図4に示す下流側排気管13)へ流出させる。なお、貫通孔5は「流出口」の一例に相当し、Z方向は「第2方向」の一例に相当する。
【0019】
次に、第2筐体2bの構成について、図2図4を用いて説明する。図2図4は、第2筐体2bの構成の一例を示す斜視図である。
【0020】
第2筐体2bは、一面が開口しており、側壁面部6、7、曲面部9、および立壁面部10を有する。第2筐体2bは、第2筐体2bの開口面と第1筐体2aの貫通孔4bとが連通するように、第1筐体2aに取り付けられる。
【0021】
曲面部9は、第2筐体2bの外部方向に向かって膨出している。側壁面部6、7は、互いに対向しており、曲面部9に対して直交するように設けられている。立壁面部10は、曲面部9の一部分である。
【0022】
側壁面部6には、曲面部9との境界付近に貫通孔5が形成されている。この貫通孔5には、図4に示すように、下流側排気管13が接続されている。
【0023】
第2筐体2bの内部には、誘導流路8が形成されるように第2筐体2b内の空間を区画する仕切部材11が設けられる。誘導流路8は、第2筐体2b内に流入した排ガスを貫通孔5へ導く流路である。
【0024】
仕切部材11は、板状部材である。仕切部材11は、曲面部9の延在方向に沿って設けられている。
【0025】
仕切部材11において、曲面部9に対向する部分は湾曲している。湾曲部分の曲率は、誘導流路8の流路面積が、圧力損失が生じない大きさとなるように決定される。
【0026】
仕切部材11の端部14aは、第2筐体2bの内壁面に直接固定されている。また、端部14aに対向する端部14bは、繋ぎ部材12を介して第2筐体2bの内壁面に固定されている。
【0027】
具体的には、端部14aは、曲面部9の内壁面に溶着されている。また、端部14bは、繋ぎ部材12に溶着されており、繋ぎ部材12は、立壁面部10の内壁面に溶着されている。
【0028】
また、仕切部材11の端部14cは、側壁面部6に近接している。なお、端部14cは、側壁面部6に接触してもよい。
【0029】
次に、本実施の形態の排気浄化装置2の作用効果について説明する。
【0030】
仮に、図2図4に示した第2筐体2bにおいて、仕切部材11が設けられておらず、誘導流路8が形成されていない場合、以下の問題がある。すなわち、第2筐体2b内に流入した排ガスは、第2筐体2b内の隅部に当たった後、曲面部9の内壁面に沿って貫通孔5に向かって流れる。このとき、排ガスが渦状となることで、異音が発生するという問題がある。
【0031】
これに対し、本実施の形態の排気浄化装置2は、誘導流路8が形成されるように第2筐体2b内の空間を区画する仕切部材11を有することを特徴とする。これにより、第2筐体2bに流入した排ガスは、第2筐体2b内の隅部に当たった後、誘導流路8を流れる。このとき、排ガスの流れ方向が規制されるので、排ガスの渦の発生を抑制できる。その結果、異音の発生を抑制することができる。
【0032】
以上、本開示の実施の形態について詳述したが、本開示は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。以下、各変形例について説明する。
【0033】
[変形例1]
実施の形態では、第1筐体2aと第2筐体2bとが別体である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、第1筐体2aと第2筐体2bとは、一体的に形成されてもよい。なお、第1筐体2aと第2筐体2bとを別体とした場合、仕切部材11を設置し易いという利点がある。
【0034】
[変形例2]
実施の形態では、第2筐体2bが曲面部9を有する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、第2筐体2bは、曲面部9の代わりに、曲折部を有してもよい。その場合、第2筐体2bの全体形状は、例えば、立方体状や直方体状であってもよい。
【0035】
[変形例3]
実施の形態では、仕切部材11が湾曲した形状である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、仕切部材11は、曲折した形状でもよいし、湾曲も曲折もしていない平面状であってもよい。なお、仕切部材11が湾曲した形状である場合、熱応力の点で耐久性に優れるという利点がある。
【0036】
[変形例4]
実施の形態では、仕切部材11が繋ぎ部材12を介して第2筐体2bの内壁面に固定される場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、仕切部材11の端部14bは、直接、立壁面部10の内壁面に固定(例えば溶着)されてもよい。
【0037】
以上、各変形例について説明した。なお、各変形例は、適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本開示の排気浄化装置および車両は、内燃機関から排出される排ガスを浄化する技術全般に有用である。
【符号の説明】
【0039】
1 上流側排気管
2 排気浄化装置
2a 第1筐体
2b 第2筐体
3 排ガス浄化体
4a、4b、5 貫通孔
6、7 側壁面部
8 誘導流路
9 曲面部
10 立壁面部
11 仕切部材
12 繋ぎ部材
13 下流側排気管
14a、14b、14c 端部
図1
図2
図3
図4