(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】ワイヤロープ点検装置およびクレーン
(51)【国際特許分類】
B66C 13/00 20060101AFI20221213BHJP
B66D 1/54 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B66C13/00 D
B66D1/54 Z
(21)【出願番号】P 2018149185
(22)【出願日】2018-08-08
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145229
【氏名又は名称】秋山 雅則
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 晃
(72)【発明者】
【氏名】足立 純也
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03323765(EP,A1)
【文献】特開平02-056397(JP,A)
【文献】特開平10-203787(JP,A)
【文献】実開昭60-003795(JP,U)
【文献】実開昭57-013589(JP,U)
【文献】実開昭58-123886(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/00
B66D 1/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインチのドラムに巻かれるワイヤロープの、前記ワイヤロープが掛け回されて前記ワイヤロープをガイドすると同時に、前記ワイヤロープの前記ドラムへの巻き取り位置の移動にしたがって前記ドラムの軸方向に移動するスライドシーブと前記ドラムとの間の、前記ワイヤロープの少なくとも一部を撮影するカメラと、
前記ワイヤロープの前記ドラムへの巻き取り位置の移動にしたがって、前記ドラムの軸方向に前記カメラを移動させる移動機構と、
前記カメラの撮影した画像から、前記ワイヤロープの直径を算出する算出手段と、
を備え、
前記移動機構は、前記スライドシーブに連結して、前記スライドシーブと共に前記軸方向に移動する支持部を含み、
前記カメラは、前記支持部に結合されており、
前記カメラは、前記巻き取り位置の移動にしたがう前記カメラの移動範囲の全ての位置で前記ドラムの軸方向全長を画角に含む、
ワイヤロープ点検装置。
【請求項2】
ウインチのドラムに巻かれるワイヤロープの、前記ワイヤロープが掛け回されて前記ワイヤロープをガイドすると同時に、前記ワイヤロープの前記ドラムへの巻き取り位置の移動にしたがって前記ドラムの軸方向に移動するスライドシーブと前記ドラムとの間の、前記ワイヤロープの少なくとも一部を撮影するカメラと、
前記ワイヤロープの前記ドラムへの巻き取り位置の移動にしたがって、前記ドラムの軸方向に前記カメラを移動させる移動機構と、
前記カメラの撮影した画像から、前記ワイヤロープの直径を算出する算出手段と、
を備え、
前記移動機構は、
前記カメラを前記軸方向に移動可能に支持するガイドレールと、
前記スライドシーブと前記巻き取り位置との間の前記ワイヤロープに摺動可能に係合し、前記巻き取り位置の移動にともなう前記ワイヤロープの通過する経路の移動にしたがって前記ドラムの軸方向に移動するロープガイドと、
を備え、
前記カメラは、前記ロープガイドに連結されて
おり、
前記カメラは、前記巻き取り位置の移動にしたがう前記カメラの移動範囲の全ての位置で前記ドラムの軸方向全長を画角に含む、
ワイヤロープ点検装置。
【請求項3】
前記ワイヤロープの前記ドラムに巻かれた層数を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記層数に基づいて前記カメラから前記ワイヤロープまでの距離を算出する距離計算部を備え、
前記算出手段は、前記カメラの撮影した画像に占める前記ワイヤロープの幅、および、前記カメラから前記ワイヤロープまでの距離に基づいて、前記ワイヤロープの直径を算出する、
請求項1
または2に記載のワイヤロープ点検装置。
【請求項4】
荷を吊り下げ可能なフックと、
前記フックを吊持するワイヤロープと、
前記フックの上方に位置し、前記ワイヤロープが掛け回されるトップシーブと、
前記トップシーブに掛け回された前記ワイヤロープを巻き取るウインチのドラムと、
前記ワイヤロープが掛け回されて前記ワイヤロープをガイドすると同時に、前記ワイヤロープの前記ドラムへの巻き取り位置の移動にしたがって前記ドラムの軸方向に移動するスライドシーブと、
請求項1から
3のいずれか1項に記載のワイヤロープ点検装置と、
を備えるクレーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインチのドラムに巻かれるワイヤロープをカメラの画像で点検するワイヤロープ点検装置、および、ワイヤロープ点検装置を備えるクレーンに関する。
【背景技術】
【0002】
荷をワイヤロープでつり下げるクレーンでは、ワイヤロープの直径が規定の値以下になった場合に、ワイヤロープを交換しなければならない。作業者がワイヤロープの全長にわたって目視と計測器を用いて直径を計測することは困難である。そこで、クレーンにワイヤロープを取り付けた状態で、ワイヤロープを繰り出しまたは巻き取りしながら連続してワイヤロープを点検する装置が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1のワイヤロープ点検装置では、両側の減速機の間に固定されたガイドレールと、減速機に連動するネジ軸とに係合して水平移動し、かつ直交するワイヤロープを貫通させた撮像手段であるイメージセンサが設けられている。イメージセンサはワイヤロープの表面を撮影する複数台のTVカメラと照明装置から構成されている。特許文献1のワイヤロープ点検装置では、イメージセンサを貫通するワイヤロープとイメージセンサの中に設けられたTVカメラの距離が一定に保たれるので、イメージセンサに対してワイヤロープを摺動させて連続して直径を計測することができる。
【0004】
クレーンでは、作業者が正確かつ安全に作業を行えるように、クレーンの各所にカメラが取り付けられ、カメラで撮影した画像を運転台の表示装置に表示している。例えば、特許文献2の画像表示システムは、クレーン車に設けられた8つのカメラでそれぞれ撮影された画像を表示するカメラ画像表示領域を有する画像表示部と、カメラ画像表示領域に表示する画像を切り替える操作を受け付ける受付部と、受付部が操作を受け付けたとき、カメラ画像表示領域に表示する画像を切り替える表示制御部と、を備え、受付部は、カメラ画像表示領域の略全面にタッチパネル方式で設定されている。
【0005】
クレーンに取り付けられたカメラには、ワイヤロープに関係するカメラとして、ウインチのドラムを撮影するカメラがある。例えば特許文献3の表示システムは、複数の作業機であるウインチと、それぞれのウインチのドラムを撮影する複数のカメラと、撮影された作業機の画像を表示する表示モニタを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平2-56397号公報
【文献】特開2018-39476号公報
【文献】特開2011-1163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のワイヤロープ点検装置では、TVカメラはワイヤロープの点検専用のカメラであり、イメージセンサの内部でワイヤロープのみを撮影する。このワイヤロープ点検装置では、ワイヤロープ点検のために、専用のカメラを設ける必要がある。
【0008】
特許文献2または特許文献3のウインチのドラムを監視するためのカメラは、ドラムの全体を撮影するために、ウインチに対して固定されている。ドラム監視カメラはワイヤロープの巻き取り位置の変動には追随せず、カメラに対するワイヤロープの方向と距離が変化するので、ドラム監視カメラで撮影した画像からワイヤロープの直径を計測することは困難である。
【0009】
本発明は、上述の状況に鑑みてなされたもので、クレーンにおけるワイヤロープ点検装置のワイヤロープを撮影するカメラと、ドラム監視カメラを共用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の観点にかかるワイヤロープ点検装置は、ウインチのドラムに巻かれるワイヤロープの、ワイヤロープが掛け回されてワイヤロープをガイドすると同時に、ワイヤロープのドラムへの巻き取り位置の移動にしたがってドラムの軸方向に移動するスライドシーブとドラムとの間の、ワイヤロープの少なくとも一部を撮影するカメラと、ワイヤロープのドラムへの巻き取り位置の移動にしたがって、ドラムの軸方向にカメラを移動させる移動機構と、カメラの撮影した画像から、ワイヤロープの直径を算出する算出手段と、を備える。移動機構は、スライドシーブに連結して、スライドシーブと共に軸方向に移動する支持部を含み、カメラは、支持部に結合されている。カメラは、巻き取り位置の移動にしたがうカメラの移動範囲の全ての位置でドラムの軸方向全長を画角に含む。
【0012】
本発明の第2の観点にかかるワイヤロープ点検装置は、ウインチのドラムに巻かれるワイヤロープの、ワイヤロープが掛け回されてワイヤロープをガイドすると同時に、ワイヤロープのドラムへの巻き取り位置の移動にしたがってドラムの軸方向に移動するスライドシーブとドラムとの間の、ワイヤロープの少なくとも一部を撮影するカメラと、ワイヤロープのドラムへの巻き取り位置の移動にしたがって、ドラムの軸方向にカメラを移動させる移動機構と、カメラの撮影した画像から、ワイヤロープの直径を算出する算出手段と、を備える。移動機構は、カメラを軸方向に移動可能に支持するガイドレールと、スライドシーブと巻き取り位置との間のワイヤロープに摺動可能に係合し、巻き取り位置の移動にともなうワイヤロープの通過する経路の移動にしたがってドラムの軸方向に移動するロープガイドと、を備え、カメラは、ロープガイドに連結されている。カメラは、巻き取り位置の移動にしたがうカメラの移動範囲の全ての位置でドラムの軸方向全長を画角に含む。
【0013】
好ましくは、ワイヤロープ点検装置は、ワイヤロープのドラムに巻かれた層数を検出する検出部と、検出部が検出した層数に基づいてカメラからワイヤロープまでの距離を算出する距離計算部を備える。算出手段は、カメラの撮影した画像に占めるワイヤロープの幅、および、カメラからワイヤロープまでの距離に基づいて、ワイヤロープの直径を算出する。
【0014】
本発明の第3の観点に係るクレーンは、荷を吊り下げ可能なフックと、フックを吊持するワイヤロープと、フックの上方に位置し、ワイヤロープが掛け回されるトップシーブと、トップシーブに掛け回されたワイヤロープを巻き取るウインチのドラムと、ワイヤロープが掛け回されてワイヤロープをガイドすると同時に、ワイヤロープのドラムへの巻き取り位置の移動にしたがってドラムの軸方向に移動するスライドシーブと、第1の観点または第2の観点に係るワイヤロープ点検装置と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明のワイヤロープ点検装置によれば、ワイヤロープのドラムへの巻き取り位置の移動にしたがって、ドラムの軸方向にカメラを移動させ、カメラは、巻き取り位置の移動にしたがうカメラの移動範囲の全ての位置でドラムの軸方向全長を画角に含むので、ワイヤロープを撮影するカメラとドラム監視カメラを共用化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施の形態に係るワイヤロープ点検装置を備えるクレーンの一例を示す外観図
【
図2】本発明の実施の形態1に係るワイヤロープ点検装置の配置を示す正面図
【
図5A】実施の形態1に係るカメラが移動範囲の左端にある場合の画像の例を示す図
【
図5B】実施の形態1に係るカメラが移動範囲の右端にある場合の画像の例を示す図
【
図6】実施の形態1に係るワイヤロープ点検装置の制御部の構成例を示すブロック図
【
図7】実施の形態1に係るワイヤロープ点検装置の変形例を示す正面図
【
図9】本発明の実施の形態2に係るワイヤロープ点検装置の配置を示す正面図
【
図11】実施の形態2に係るロープガイドの例を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0018】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態に係るワイヤロープ点検装置を備えるクレーンの一例を示す外観図である。
図1に示すクレーン1は、ラフテレーンクレーンである。クレーン1の下部走行体2は、下部フレーム4の後部に配置されたエンジンルーム3に収容されるエンジンを備える。下部走行体2は、操舵可能な車輪7、およびエンジンで駆動可能な車輪8を備え、地上を走行することができる。下部走行体2は、下部フレーム4の前後それぞれにアウトリガ5,6を備えている。アウトリガ5,6を下部走行体2の左右に張り出し、下に伸ばして接地し、下部フレーム4をアウトリガ5,6で支えることができる。
【0019】
下部フレーム4の中央部に、旋回ベアリング9を介して旋回フレーム10が旋回自在に搭載されている。旋回フレーム10のベースプレート11には左右一対のブーム支持ブラケット12が立設されている。ブーム支持ブラケット12の上部に伸縮ブーム20の基端部25が、ブーム支点ピン15を中心に起伏自在に支持されている。旋回フレーム10と伸縮ブーム20との間に介装された起伏シリンダ21は、伸縮ブーム20を起伏駆動する。
図1は、アウトリガ5,6がたたみ込まれ、伸縮ブーム20が縮められて伏せられた状態を示す。クレーン1には、伸縮ブーム20の右側で旋回フレーム10の上に、走行およびクレーン操作兼用の運転室22が配置されている。
【0020】
クレーン1は、荷を吊り下げ可能な第1フックおよび第2フック28を備える。第1フックは図示されていない。
図1では、第2フック28が下部フレーム4に納められた状態を示す。伸縮ブーム20を起立して伸ばし、第1フックおよび第2フック28を下部フレーム4からはずして、伸縮ブーム20のブーム先端20aに取り付けられた2つのトップシーブにワイヤロープ41,42でそれぞれ吊り下げると、第1フックおよび第2フック28で荷を吊り下げることができる。荷を吊り下げる状態では、トップシーブは第1フックおよび第2フック28の上方に位置する。
【0021】
ブーム支持ブラケット12の後方に、ワイヤロープ41,42をそれぞれ巻き取る第1ウインチ26および第2ウインチ27が備えられている。第1フックおよび第2フック28をそれぞれ吊持するワイヤロープ41,42は、トップシーブにそれぞれ掛け回され、基端部25の後方に配置された第1スライドシーブ39および第2スライドシーブ40にそれぞれ掛け回されて、第1ウインチ26および第2ウインチ27のドラム16,17にそれぞれ巻き取られる。
【0022】
図2は、本発明の実施の形態1に係るワイヤロープ点検装置の配置を示す正面図である。
図2は、
図1のクレーン1を後方から見た図である。ワイヤロープ点検装置は、カメラの画像からワイヤロープ41,42の直径を算出するが、直径を算出する制御部およびカメラから制御部への配線は図示されていない。
図3は、
図2のIII-III線断面図である。旋回フレーム10のベースプレート11から立設された一対のブーム支持ブラケット12の後部には、左右のブーム支持ブラケット12を連絡するボックス形状のウインチ用サポート30が設けられている。ウインチ用サポート30の側面33と側面36の間に、第1ウインチ26のドラム16と第2ウインチ27のドラム17とが同軸に配置されている。第1ウインチ26の減速機31と油圧モータ32はウインチ用サポート30の側面33より左側に突出して配置されており、第2ウインチ27の減速機34と油圧モータ35はウインチ用サポート30の側面36より右側に突出して配置されている。第1ウインチ26と第2ウインチ27は、それぞれ独立に作動する。ドラム16とドラム17は、油圧モータ32と油圧モータ35によってそれぞれ独立に駆動される。
【0023】
図3に示すように、伸縮ブーム20の基端部25はブーム支持ブラケット12の上端部でブーム支点ピン15を中心に起伏自在に支持されている。ブーム支持ブラケット12の上端部にスライドシーブ用ブラケット37が左右一対で固設されている。
図2に示すように左右のスライドシーブ用ブラケット37を連絡して、ドラム16およびドラム17の軸に平行にスライドシーブピン38が取り付けられている。スライドシーブピン38には、第1スライドシーブ39と第2スライドシーブ40とがスライドシーブピン38に対して軸方向に摺動可能かつ軸の周りに回転自在に取り付けられている。第1スライドシーブ39および第2スライドシーブ40のスライドシーブピン38に接する内周面に滑り軸受が設けられ、それぞれ滑らかに摺動かつ回転する。
【0024】
第1フックを吊持するワイヤロープ41は、第1ウインチ26のドラム16に巻き取られ、第2フック28を吊持するワイヤロープ42は、第2ウインチ27のドラム17に巻き取られる。
図2では、ドラム16およびドラム17に巻き取られたワイヤロープ41,42が省略されている。ドラム16から繰り出されるワイヤロープ41は第1スライドシーブ39に掛けまわされ、伸縮ブーム20の上面にそってブーム先端20aへ導かれる。同様に、第2ウインチ27のドラム17から繰り出されるワイヤロープ42は第2スライドシーブ40に掛けまわされ、伸縮ブーム20の上面にそってブーム先端20aへ導かれる。
【0025】
一般に、ドラムに巻き取られるワイヤロープには張力がかかっているので、ワイヤロープは既に巻かれている最外層の端のワイヤロープに接しながら下層のワイヤロープの上に巻き取られていく。そのため、ワイヤロープのドラムへの巻き取り位置は、ドラムの軸方向に移動する。ワイヤロープの張力のために、ワイヤロープはドラムの巻き取り位置とトップシーブの間の最短経路になろうとするので、巻き取り位置の移動にしたがってスライドシーブは軸方向に移動する。
【0026】
ワイヤロープがドラムから繰り出される場合にも、ワイヤロープに張力がかかっているために、ワイヤロープはドラムの繰り出し位置とトップシーブの間の最短経路になろうとするので、繰り出し位置の移動にしたがってスライドシーブは軸方向に移動する。繰り出し位置は、その時点でドラムを逆転して巻き取る場合の巻き取り位置であるから、スライドシーブは、ワイヤロープを巻き取る場合も繰り出す場合も、巻き取り位置にしたがって軸方向に移動すると言える。
【0027】
図2に示すように、第1スライドシーブ39に連結する第1支持部51が、軸方向に摺動可能にスライドシーブピン38に取り付けられている。また、第2スライドシーブ40に連結する第2支持部52が、軸方向に摺動可能に、スライドシーブピン38に取り付けられている。
【0028】
図4は、実施の形態1に係る支持部の平面図である。
図4は、
図3の第2支持部52およびスライドシーブ40を上から見た図である。第1支持部51および第2支持部52は、第1スライドシーブ39および第2スライドシーブ40をそれぞれ軸方向の両側から挟むように構成されている。第1支持部51および第2支持部52のスライドシーブピン38に接する内周面と、第1スライドシーブ39および第2スライドシーブ40に接する面に、それぞれ滑り軸受が設けられている。第1支持部51および第2支持部52はそれぞれ、第1スライドシーブ39および第2スライドシーブ40と共に、それらの回転を妨げることなくスライドシーブピン38の上を軸方向に摺動する。
【0029】
図2に示されるように、ウインチ用サポート30の側面33と側面36の間に、ドラム16およびドラム17の軸に平行に回り止め53が設けられている。回り止め53は、第1支持部51および第2支持部52のそれぞれに、摺動可能に係合する。第1支持部51および第2支持部52はそれぞれ、回り止め53に係合しているので、スライドシーブピン38の周りに回転することなく、軸方向に平行に移動する。第1支持部51および第2支持部52それぞれの先端に、第1カメラ54および第2カメラ55が結合されている。第1カメラ54および第2カメラ55はそれぞれ、第1支持部51および第2支持部52の軸方向への移動にしたがって、軸方向に移動する。
【0030】
第1スライドシーブ39および第2スライドシーブ40と、第1支持部51および第2支持部52と、回り止め53とは、ワイヤロープ41,42のドラム16,17への巻き取り位置56,57の移動にしたがって、軸方向に第1カメラ54および第2カメラ55を移動させる移動機構である。第1スライドシーブ39、ワイヤロープ41、第1支持部51、ドラム16および第1カメラ54は、第2スライドシーブ40、ワイヤロープ42、第2支持部52、ドラム17および第2カメラ55と同じ構造であり、同様に作用するので、以下、第2カメラ55について説明する。
【0031】
第2カメラ55は、第2スライドシーブ40とドラム17の間のワイヤロープ42に向かっている。第2カメラ55は、第2スライドシーブ40とドラム17との間の、ワイヤロープ42の少なくとも一部を撮影する。第2カメラ55は、ワイヤロープ42のドラム17への巻き取り位置57の移動にともなう第2スライドシーブ40の移動にしたがって、軸方向に平行移動するので、第2カメラ55の正面には、常に、第2スライドシーブ40とドラム17の間のワイヤロープ42がある。第2カメラ55は、巻き取り位置57の移動にしたがう移動範囲の全ての位置で、ドラム17の軸方向全長を画角に含む。
【0032】
図5Aは、実施の形態1に係るカメラが移動範囲の左端にある場合の画像の例を示す図である。
図5Bは、実施の形態1に係るカメラが移動範囲の右端にある場合の画像の例を示す図である。
図5Aと
図5Bは、第2カメラ55の画像を示す。
【0033】
図5Aは、第2カメラ55が移動範囲の左端、すなわち、ドラム16に近い方のドラム17の端に巻き取り位置57がある場合の画像である。
図5Aの画面の中央には、第2スライドシーブ40とドラム17の間のワイヤロープ42が写っている。画面の右側にはドラム17の軸方向全長が写っている。画面の左には、ドラム16が写っている。ドラム16のワイヤロープ41の巻き取り位置56は、
図5Aでは左端になっているが、ワイヤロープ41の巻き取り状態によって変化する。
【0034】
図5Bは、第2カメラ55が移動範囲の右端、すなわち、ウインチ用サポート30の側面36に近い方のドラム17の端に巻き取り位置57がある場合の画像である。
図5Bでも画面の中央に、第2スライドシーブ40とドラム17の間のワイヤロープ42が写っている。画面の左側にドラム17の軸方向全長が写っている。画面の右側にはウインチ用サポート30の側面36が写っているが、第2カメラ55に近くてピントが合わないので判別できない。
【0035】
図5Aおよび
図5Bに示されるように、第2スライドシーブ40とドラム17の間のワイヤロープ42は常に第2カメラ55の正面にあり、画像の同じ位置に写っている。第2スライドシーブ40とドラム17の間のワイヤロープ42は、ドラム17に巻き取られているワイヤロープ42から第2カメラ55の方に離れているので、画像からワイヤロープ42の輪郭を抽出しやすい。第2カメラ55に対するワイヤロープ42の方向は変わらない。そして、機械的な位置関係からワイヤロープ42までの距離は分かっているので、第2カメラ55の光学的特性を用いて、ワイヤロープ42の直径を算出することができる。
【0036】
前述のとおり第2カメラ55は、巻き取り位置57の移動にしたがう移動範囲の全ての位置で、ドラム17の軸方向全長を画角に含む。
図5Aおよび
図5Bに示されるように、ドラム17の軸方向全長が画面に含まれている。第2カメラ55の画像から、ドラム17を監視することができる。すなわち、第2カメラ55はドラム17の監視カメラとしても機能する。
【0037】
ワイヤロープ41およびドラム16に関する第1カメラ54の画像は、ワイヤロープ42およびドラム17に関する第2カメラ55の画像と同様であって、第1カメラ54の画像からワイヤロープ41の直径を算出することができる。また、第1カメラ54はドラム16の監視カメラとしても機能する。
【0038】
図3からわかるように、厳密には、ドラム17に巻き取られているワイヤロープ42の層数の変化にしたがって、第2カメラ55とワイヤロープ42の距離が変化する。そこで、層数の変化による距離の変化が、直径を算出する誤差の許容限度を超える場合には、ドラム17に巻き取られたワイヤロープ42の層数を検出して、幾何学的な関係からワイヤロープ42までの距離を算出する。そして、撮影した画像に占めるワイヤロープ42の幅、および、第2カメラ55からワイヤロープ42までの距離に基づいて、ワイヤロープ42の直径を算出することができる。
【0039】
図6は、実施の形態1に係るワイヤロープ点検装置の制御部の構成例を示すブロック図である。制御部60は、第1カメラ54および第2カメラ55の画像から、ワイヤロープ41,42の直径を算出する、算出手段の例である。制御部60は、第1カメラ54および第2カメラ55に接続し、それらの画像信号を受信する。制御部60は、画像取得部61、抽出部62、層数検出部63、距離計算部64、直径算出部65および報知部66を含む。
【0040】
画像取得部61は、第1カメラ54および第2カメラ55それぞれの画像を取得する。抽出部62は、それぞれの画像から、第1スライドシーブ39および第2スライドシーブ40とドラム16,17の間のワイヤロープ41,42の輪郭を抽出する。第1カメラ54および第2カメラ55それぞれの画像は、運転室22の表示装置にも伝送される。運転室22では、第1カメラ54および第2カメラ55の画像から、ドラム16,17の状態を監視できる。
【0041】
層数検出部63は、ドラム16,17のそれぞれに巻き取られているワイヤロープ41,42の層数を検出する。層数は、例えば、ドラム16,17の回転数から計算する。ドラム16,17に巻き取られるワイヤロープ41,42の各層のターン数は予め分かっている。例えば、
図1に示されるような全て収容された状態、または、伸縮ブームを伸ばしてフックがトップシーブの近くの基準位置にある状態を基準として、そのときの層数および最外層のターン数から、ドラム16,17の回転数を加減して、層数を算出する。あるいは、ドラム16、17のフランジに各層の印をつけておいてワイヤロープ41,42で隠れていない印を画像から抽出して、層数を検出することができる。
【0042】
距離計算部64は、層数検出部63で検出された層数に基づいて、第1カメラ54および第2カメラ55からワイヤロープ41,42までの距離を計算する。距離は、
図3に示す幾何学的な関係と各層の厚さから、計算することができる。予め層数から距離を計算しておいて、または、層数と距離を実際に計測して、層数と距離の関係を記憶しておいてもよい。あるいは、第1カメラ54および第2カメラ55それぞれの上にレーザ距離計をつけて、ワイヤロープ41,42までの距離を計測する方法でもよい。
【0043】
直径算出部65は、それぞれの画像に占めるワイヤロープ41,42の幅、および、第1カメラ54および第2カメラ55からワイヤロープ41,42までの距離に基づいて、ワイヤロープ41,42の直径を算出する。第1カメラ54および第2カメラ55の光学的特性から、層数ごとのワイヤロープ41,42までの距離の位置の被写体の長さと画素数の関係が予めわかっているものとする。あるいは、層数ごとのワイヤロープ41,42までの距離に、長さのわかっている被写体をおいて撮影し、その画像における被写体の占める画素数を計測して、被写体の長さと画素数の関係を記憶しておいてもよい。この関係を用いて、抽出したワイヤロープ41,42の輪郭の幅と距離から、ワイヤロープ41,42の直径を計算することができる。
【0044】
ワイヤロープ41,42は、素線をより合わせた複数のストランドをさらに所定のピッチでより合わせて作られている。ワイヤロープ41,42の輪郭には、ストランドのピッチの間にワイヤロープ41,42を構成するストランドの数の山が現れる。ワイヤロープ41,42の直径は、ストランドの山になったところで計測するので、輪郭の幅の大きくなった部分で直径を算出する。直径算出部65は、算出した直径と、直径を算出した位置のドラム16,17の回転数を報知部66に送る。
【0045】
報知部66は、直径算出部65で算出された直径が規定の直径より小さければ、その直径を算出した位置のドラム16,17の回転数とともに、運転室22の表示装置に通知する。報知部66では、ドラム16,17の回転数をワイヤロープ41,42の基準位置からの長さに換算して、表示装置に通知してもよい。
【0046】
制御部60では、画像からワイヤロープ41,42の輪郭を抽出するので、直径以外にもワイヤロープ41,42の異常を検出することができる。例えば、輪郭線が基準の範囲からはみ出た場合に、ワイヤロープ41,42にキンクが生じている可能性が高いと判断できる。また、輪郭線の山の周期が基準の範囲より大きい場合に、素線の切断が発生している可能性が高いと判断できる。
【0047】
制御部60は、例えば、画像処理プロセッサを含むマイクロコンピュータ、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)、あるいはディジタルシグナルプロセッサ(DSP:Digital Signal Processor) などで構成することができる。
【0048】
以上説明したとおり、実施の形態1に係るワイヤロープ点検装置は、ワイヤロープ41,42のドラム16,17への巻き取り位置56,57が移動するのに合わせて第1カメラ54および第2カメラ55を軸方向に移動し、かつ、移動範囲の全ての位置で、ドラム16,17の軸方向全長を画角に含むので、第1カメラ54および第2カメラ55の画像からワイヤロープ41,42の直径を計測することができ、しかも、同じ第1カメラ54および第2カメラ55をドラム16,17の監視に用いることができる。その結果、ワイヤロープ点検用に新たな配線も不要になるため、軽量化かつ低コスト化となる。さらに、ウインチでワイヤロープを巻き取る通常の作業をしながら、ワイヤロープの直径を計測することができる。
【0049】
図7は、実施の形態1に係るワイヤロープ点検装置の変形例を示す正面図である。
図8は、
図7のVIII-VIII線断面図である。変形例では、スライドシーブピン38の断面が円形ではなく、第1支持部51および第2支持部52がスライドシーブピン38の軸の周りに回転し得ないので、回り止め53を必要としない。制御部60の構成は、
図6に示す実施の形態1と同じである。
【0050】
図8に示されるように、スライドシーブピン38の断面は四角形である。第1支持部51および第2支持部52には、スライドシーブピン38が嵌合する四角形の穴が形成されている。第1支持部51および第2支持部52のスライドシーブピン38に接触する内周面には、すべり軸受が備えられる。第1スライドシーブ39および第2スライドシーブ40は、第1支持部51および第2支持部52にそれぞれ回転自在に支持される。例えば、第1支持部51および第2支持部52のスライドシーブピン38に嵌まる部分の外周にそれぞれ転がり軸受を嵌合し、転がり軸受の外輪に第1スライドシーブ39および第2スライドシーブ40をそれぞれ嵌合する。
【0051】
第1スライドシーブ39および第2スライドシーブ40は、第1支持部51および第2支持部52に回転自在に嵌合し、第1支持部51および第2支持部52は、スライドシーブピン38に摺動可能であるから、第1スライドシーブ39および第2スライドシーブ40は、スライドシーブピン38に対して軸方向に摺動可能かつ軸の周りに回転自在である。
【0052】
第1支持部51および第2支持部52はそれぞれ、スライドシーブピン38から第1カメラ54および第2カメラ55の設置位置に延びている。第1支持部51および第2支持部52の先端に、第1カメラ54および第2カメラ55がそれぞれ結合される。第1スライドシーブ39および第2スライドシーブ40と、ドラム16、17と、第1カメラ54および第2カメラ55との位置関係は、
図2および
図3に示す実施の形態1と同じである。
【0053】
第1カメラ54および第2カメラ55はそれぞれ、第1支持部51および第2支持部52の軸方向への移動にしたがって、軸方向に移動する。スライドシーブピン38、第1スライドシーブ39および第2スライドシーブ40と、第1支持部51および第2支持部52とは、ワイヤロープ41,42のドラム16,17への巻き取り位置56,57の移動にしたがって、軸方向に第1カメラ54および第2カメラ55を移動させる移動機構である。
【0054】
変形例においても、第1カメラ54および第2カメラ55それぞれの正面には、常に、第1スライドシーブ39および第2スライドシーブ40とドラム16,17の間のワイヤロープ41,42がある。第1カメラ54および第2カメラ55はそれぞれ、巻き取り位置56,57の移動にしたがう移動範囲の全ての位置で、ドラム16およびドラム17の軸方向全長を画角に含む。変形例においても、第1カメラ54および第2カメラ55の画像からワイヤロープ41,42の直径を計測することができ、しかも、同じカメラをドラム監視に用いることができる。
【0055】
変形例では、スライドシーブピン38の断面は、四角形に限らない。例えば、どのような凸多角形であってもよいし、凸多角形でなく180°以上の内角を有する多角形でもよい。スライドシーブピン38は、スプライン軸のように軸方向に延びる溝を有する軸でもよい。スライドシーブピン38は、平行に支持された2本の円柱形の軸でもよい。
【0056】
実施の形態2.
図9は、本発明の実施の形態2に係るワイヤロープ点検装置の配置を示す正面図である。
図9は、
図2と同じく、
図1のクレーン1を後方から見た図である。実施の形態2では、第1カメラ54および第2カメラ55をドラム16,17の軸方向に移動可能に支持するガイドレール70を備える。また、ワイヤロープ41,42に摺動可能に係合し、ワイヤロープ41,42の通過する経路の移動にしたがってドラム16,17の軸方向に移動するロープガイドを備え、第1カメラ54および第2カメラ55は、ロープガイドに連結されている。第1カメラ54および第2カメラ55の移動機構以外の構成は、実施の形態1と同様である。
【0057】
図10は、
図9のX-X線断面図である。
図9および
図10に示すように、ウインチ用サポート30の側面33および側面36を連絡して、ドラム16およびドラム17の軸に平行にガイドレール70が取り付けられている。実施の形態2では、ガイドレール70は2本の円柱形の軸である。ガイドレール70には、それぞれ軸方向に摺動可能に第1スライダ71および第2スライダ72が支持されている。第1スライダ71および第2スライダ72はそれぞれ、例えば、ガイドレール70が嵌合する面にすべり軸受を備える。第1スライダ71および第2スライダ72はそれぞれ、平行な2本のガイドレール70に嵌合するので、軸の回りに回転することなく平行に移動する。
【0058】
第1スライダ71および第2スライダ72の上にそれぞれ、第1カメラ54および第2カメラ55と、第1ロープガイド73および第2ロープガイド74が固定されている。したがって、第1カメラ54および第2カメラ55は、ドラム16,17の軸方向に移動可能にガイドレール70に支持されている。第1ロープガイド73および第2ロープガイド74は、第1スライドシーブ39および第2スライドシーブ40それぞれと巻き取り位置56,57との間のワイヤロープ41,42にそれぞれ摺動可能に係合している。
【0059】
図11は、実施の形態2に係るロープガイドの例を示す平面図である。第1ロープガイド73および第2ロープガイド74はそれぞれ、左右2つのローラ支持部77,78と、ローラ支持部77,78のそれぞれに回転可能に支持されるローラ75,76から構成されている。ローラ支持部77,78は第1スライダ71または第2スライダ72に固定され、先端がボルト79aとナット79bで相互に締結される。2本のローラ75,76の間隙Dにワイヤロープ41またはワイヤロープ42が挟まれる。2本のローラ75,76の間隔Dの幅は、ワイヤロープ41またはワイヤロープ42がちょうど通る寸法に保持されている。
【0060】
ワイヤロープ41,42はそれぞれ、ローラ75,76にガイドされて、
図11の紙面に直交する方向に自在に摺動可能である。第1ロープガイド73および第2ロープガイド74はそれぞれ、巻き取り位置56,57の移動にともなうワイヤロープ41,42の通過する経路の移動にしたがってドラム16,17の軸方向に移動する。
【0061】
ローラ75,76の一方、例えば、ローラ75を他方のローラ76に向けて移動可能に支持し、ローラ75をローラ76に向かってばねで付勢してもよい。また、ローラ75,76のワイヤロープ41,42に接する表面を弾性体で形成してもよい。
【0062】
第1ロープガイド73および第2ロープガイド74はそれぞれ、第1スライダ71および第2スライダ72に固定されているから、第1カメラ54および第2カメラ55はそれぞれ、第1ロープガイド73および第2ロープガイド74の軸方向への移動にしたがって、軸方向に移動する。ガイドレール70、第1スライダ71および第2スライダ72と、第1ロープガイド73および第2ロープガイド74とは、ワイヤロープ41,42のドラム16,17への巻き取り位置56,57の移動にしたがって、軸方向に第1カメラ54および第2カメラ55を移動させる移動機構である。
【0063】
実施の形態2においても、第1カメラ54および第2カメラ55それぞれの正面には、常に、第1スライドシーブ39および第2スライドシーブ40とドラム16,17の間のワイヤロープ41,42がある。第1カメラ54および第2カメラ55はそれぞれ、巻き取り位置56,57の移動にしたがう移動範囲の全ての位置で、ドラム16およびドラム17の軸方向全長を画角に含む。実施の形態2においても、第1カメラ54および第2カメラ55の画像からワイヤロープ41,42の直径を計測することができ、しかも、同じカメラをドラム監視に用いることができる。
【0064】
ガイドレール70は、2本の円柱軸に限らない。例えば、実施の形態2の変形例におけるスライドシーブピン38のように、断面が多角形の柱状の1本の軸でもよい。また、スプライン軸のように軸方向に延びる溝を有する軸でもよい。
【0065】
1台のクレーンが有するウインチのドラムすべてに、実施の形態のワイヤロープ点検装置を備える必要はない。クレーンが有する一部のウインチのドラムに、例えば、主巻きフックのウインチのみに実施の形態のワイヤロープ点検装置を備えてもよい。また、実施の形態1、その変形例、および実施の形態2のワイヤロープ点検装置を混合して、1台のクレーンに用いてもよい。
【0066】
実施の形態のワイヤロープ点検装置を備えるのは、ラフテレーンクレーンに限らない。荷を吊り下げ可能なフック、フックを吊持するワイヤロープ、フックの上方に位置し、ワイヤロープが掛け回されるトップシーブ、トップシーブに掛け回されたワイヤロープを巻き取るウインチのドラム、ならびに、ワイヤロープのドラムへの巻き取り位置の移動にしたがってドラムの軸方向に移動するスライドシーブを備えるすべてのクレーンに、実施の形態に係るワイヤロープ点検装置を用いることができる。例えば、ラフテレーンクレーン以外に、オールテレーンクレーン、クローラクレーン、クレーン船などの移動式クレーン、天井クレーンまたはジブクレーンなどに、実施の形態のワイヤロープ点検装置を用いることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 クレーン
2 下部走行体
3 エンジンルーム
4 下部フレーム
5,6 アウトリガ
7,8 車輪
9 旋回ベアリング
10 旋回フレーム
11 ベースプレート
12 ブーム支持ブラケット
15 ブーム支点ピン
16,17 ドラム
20 伸縮ブーム
20a 先端
21 起伏シリンダ
22 運転室
25 基端部
26 第1ウインチ
27 第2ウインチ
28 第2フック
30 ウインチ用サポート
31,34 減速機
32,35 油圧モータ
33,36 側面
37 スライドシーブ用ブラケット
38 スライドシーブピン
39 第1スライドシーブ
40 第2スライドシーブ
41,42 ワイヤロープ
51 第1支持部
52 第2支持部
53 回り止め
54 第1カメラ
55 第2カメラ
56,57 巻き取り位置
60 制御部
61 画像取得部
62 抽出部
63 層数検出部
64 距離計算部
65 直径算出部
66 報知部
70 ガイドレール
71 第1スライダ
72 第2スライダ
73 第1ロープガイド
74 第2ロープガイド
75,76 ローラ
77,78 ローラ支持部
79a ボルト
79b ナット