(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】給湯システムおよびサーバ
(51)【国際特許分類】
F24H 15/40 20220101AFI20221213BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
F24H15/40
H04Q9/00 301D
(21)【出願番号】P 2018159791
(22)【出願日】2018-08-28
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】山下 道広
(72)【発明者】
【氏名】山上 薫
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-049586(JP,A)
【文献】特開2017-204872(JP,A)
【文献】特開2018-032917(JP,A)
【文献】特開2016-039575(JP,A)
【文献】特開2015-043664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/40
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部通信網と接続可能な給湯装置を、サーバを介して、携帯端末装置により遠隔制御する給湯システムにおいて、
前記サーバの制御部は、
前記遠隔制御を行うための前記携帯端末装置と前記遠隔制御の対象とされる前記給湯装置とを対応付けるペアリング処理において、
前記携帯端末装置と前記給湯装置とを対応付けるペアリング要求を前記携帯端末装置から受信し、
前記ペアリング要求に対する応答として前記携帯端末装置と前記給湯装置とを対応付けたペアリング結果を前記携帯端末装置に送信し、さらに、対応付けられた前記給湯装置に前記ペアリング結果を送信し、
前記ペアリング結果に対する応答を前記給湯装置から受信する、
ことを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
外部通信網と接続可能な給湯装置を携帯端末装置により遠隔制御するためのサーバにおいて、
前記遠隔制御を行うための前記携帯端末装置と前記遠隔制御の対象とされる前記給湯装置とを対応付けるペアリング処理
を実行する制御部を備え、
前記制御部は、前記ペアリング処理において、
前記携帯端末装置と前記給湯装置とを対応付けるペアリング要求を前記携帯端末装置から受信し、
前記ペアリング要求に対する応答として前記携帯端末装置と前記給湯装置とを対応付けたペアリング結果を前記携帯端末装置に送信し、さらに、対応付けられた前記給湯装置に前記ペアリング結果を送信し、
前記ペアリング結果に対する応答を前記給湯装置から受信する、
ことを特徴とするサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部通信網と接続可能な給湯装置を携帯端末装置によって遠隔制御する給湯システム、および、当該給湯システムにおいて遠隔制御を管理するサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯装置では、浴室やリビング、台所に設置されたリモートコントローラによって各種設定がなされていた。これに対し、最近では、携帯電話機等の携帯端末装置を用いて給湯装置に対する遠隔制御を行うシステムが検討されている。たとえば、以下の特許文献1には、携帯電話機を用いて給湯暖房機を遠隔制御するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような給湯システムでは、遠隔制御を行うための携帯端末装置と、遠隔制御の対象とされる給湯装置とを、互いに対応付ける必要がある。この場合、携帯端末装置と給湯装置との対応付けは、なるべく迅速かつ円滑に行われることが好ましい。
【0005】
かかる課題に鑑み、本発明は、遠隔制御を行うための携帯端末装置と制御対象の給湯装置との対応付けを迅速かつ円滑に行うことが可能な給湯システムおよびサーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、外部通信網と接続可能な給湯装置を、サーバを介して、携帯端末装置により遠隔制御する給湯システムに関する。この態様に係る給湯システムにおいて、前記サーバの制御部は、前記遠隔制御を行うための前記携帯端末装置と前記遠隔制御の対象とされる前記給湯装置とを対応付けるペアリング処理において、前記携帯端末装置と前記給湯装置とを対応付けるペアリング要求を前記携帯端末装置から受信し、前記ペアリング要求に対する応答として前記携帯端末装置と前記給湯装置とを対応付けたペアリング結果を前記携帯端末装置に送信し、さらに、対応付けられた前記給湯装置に前記ペアリング結果を送信し、前記ペアリング結果に対する応答を前記給湯装置から受信する。
【0007】
本態様に係る給湯システムによれば、携帯端末装置と給湯装置とを対応付けたペアリング結果が、互いに対応付けられた携帯端末装置および給湯装置にそれぞれ送信される。これにより、ペアリング結果を携帯端末装置および給湯装置において迅速かつ円滑に受信して処理でき、結果、携帯端末装置と給湯装置とを対応付けるためのペアリング処理を、迅速かつ円滑に完了させることができる。
【0008】
たとえば、ペアリング結果が携帯端末装置および給湯装置の何れか一方に送信される場合、さらに、ペアリング結果を受信した一方の装置から他方の装置にペアリング結果を転送する工程と、その応答を一方の装置が他方の装置から受信する工程とが必要となる。このように、複数の工程が一連の処理として行われる場合、各装置は、他の装置における処理が完了した後、他の装置から転送や応答を待つ必要があるため、処理全体に要する時間が長くなってしまう。
【0009】
これに対し、第1の態様に係る給湯システムによれば、ペアリング結果が、互いに対応付けられた携帯端末装置および給湯装置にそれぞれ送信されるため、携帯端末装置および給湯装置は、他方の装置における処理を待つことなく、自身において単独で、ペアリング結果の受信に関する処理を行えばよい。よって、ペアリング結果の受信に関する処理を迅速かつ円滑に行うことができる。結果、第1の態様に係る給湯システムによれば、携帯端末装置と給湯装置とを対応付けるためのペアリング処理を、迅速かつ円滑に完了させることができる。
【0011】
また、携帯端末装置と給湯装置との対応付けを管理するサーバの制御部によって直接的にペアリング結果の送信処理が実行されることにより、他の装置の制御部がペアリング結果の送信を仲介する場合に比べ、携帯端末装置および給湯装置に対するペアリング結果の送信処理を、より迅速かつ円滑に行うことができる。
【0013】
また、制御部は、携帯端末装置と給湯装置とを対応付けるペアリング要求を携帯端末装置から受信するため、新たに給湯装置に対応付けられる携帯端末装置と制御部との間におけるペアリング結果の通信を円滑に進めることができる。
【0015】
また、制御部は、ペアリング要求に対する応答としてペアリング結果を携帯端末装置に送信し、さらに、ペアリング結果を給湯装置に送信するため、ペアリング要求に対する応答がペアリング結果の送信に兼用される。このため、特に、携帯端末装置と制御部との間でペアリング結果の通知のための処理シーケンスを設定する必要がない。よって、携帯端末装置と制御部との間のペアリング結果の通知処理を迅速かつ円滑に行うことができる。
【0017】
また、制御部は、ペアリング結果に対する応答を給湯装置から受信するため、ペアリング結果が給湯装置に届いたことを制御部において確認することができる。よって、制御部において、携帯端末装置と給湯装置との対応付けのための処理を適切に終了させることができる。
【0018】
本発明の第2の態様は、外部通信網と接続可能な給湯装置を携帯端末装置により遠隔制御するためのサーバに関する。この態様に係るサーバは、前記遠隔制御を行うための前記携帯端末装置と前記遠隔制御の対象とされる前記給湯装置とを対応付けるペアリング処理を実行する制御部を備える。前記制御部は、前記ペアリング処理において、前記携帯端末装置と前記給湯装置とを対応付けるペアリング要求を前記携帯端末装置から受信し、前記ペアリング要求に対する応答として前記携帯端末装置と前記給湯装置とを対応付けたペアリング結果を前記携帯端末装置に送信し、さらに、対応付けられた前記給湯装置に前記ペアリング結果を送信し、前記ペアリング結果に対する応答を前記給湯装置から受信する。
【0019】
この態様に係るサーバによれば、上記第1の態様と同様の効果が奏され得る。
【発明の効果】
【0024】
以上のとおり、本発明によれば、遠隔制御を行うための携帯端末装置と制御対象の給湯装置との対応付けを迅速かつ円滑に行うことが可能な給湯システムおよびサーバを提供することができる。
【0025】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、実施形態に係る給湯システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る給湯システムを構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
【
図3】
図3(a)、(b)は、それぞれ、実施形態に係る、給湯装置と携帯端末装置とをペアリングするための、台所リモコンと携帯端末装置における処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図4(a)は、実施形態に係る、給湯装置と携帯端末装置とをペアリングするための、サーバにおける処理を示すフローチャートである。
図4(b)は、実施形態に係る、サーバにおいて管理される給湯装置と携帯端末装置とを対応付けた情報の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る、給湯装置と携帯端末装置とをペアリングする際に各装置間で行われる情報の送受信の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0028】
図1は、実施形態に係る給湯システム1の構成を示す図である。
【0029】
図1に示すように、給湯システム1は、給湯装置10と、ルータ20と、携帯端末装置30と、外部通信網40と、サーバ50とを備える。
【0030】
給湯装置10は、給湯器11と、リモートコントローラ12、13を備えている。給湯器11は、ガスを燃料として湯を供給するガス給湯器である。給湯器11により生成された湯は、給湯口11aにそれぞれ接続された配管を介して、台所の蛇口や、浴槽、カラン等に供給される。給湯器11が、床暖房機能や、浴室暖房機能およびパネルヒータによる暖房機能を備える場合、これら機能を実現する機器に対して、給湯器11から湯が供給される。
【0031】
リモートコントローラ12、13は、給湯器11に接続され、給湯装置10の各機能について種々の設定を行うために用いられる。リモートコントローラ12、13は、それぞれ、表示部121、131と、入力部122、132とを備える。操作者は、表示部121、131に表示された画面に従って入力部122、132を操作することにより、湯張りや給湯温度調節等について、任意の設定を行うことができる。リモートコントローラ12は、浴室に設置され、リモートコントローラ13は、キッチン等に設置される。
【0032】
以下、浴室に設置されるリモートコントローラ12を、「浴室リモコン12」と称し、キッチン等に設置されるリモートコントローラ13を、「台所リモコン13」と称する。
【0033】
ルータ20は、建物内(ここでは、宅内H10)に存在する各機器を、外部通信網40を介してサーバ50に接続するための無線ルータである。ルータ20には、ルータごとに個別に割り振られる識別子として、固有のBSSID(Basic Service Set Identifier)が割り振られている。
【0034】
台所リモコン13は、無線通信により、ルータ20に接続される。また、携帯端末装置30が宅内H10に存在する場合、携帯端末装置30は、無線通信によりルータ20に接続されて、サーバ50と通信可能である。携帯端末装置30は、たとえば、携帯電話機である。この他、携帯端末装置30が、携帯型のタブレット端末等の他の携帯可能な端末装置であってもよい。外部通信網40は、たとえば、インターネットである。
【0035】
外部通信網40には、給湯装置10に対する遠隔制御(遠隔操作および遠隔監視)を管理するためのサーバ50が接続されている。台所リモコン13は、ルータ20および外部通信網40を介して、サーバ50と通信を行う。携帯端末装置30が宅内H10に存在する場合、携帯端末装置30は、ルータ20および外部通信網40を介してサーバ50と通信を行う。また、携帯端末装置30が宅外にある場合、携帯端末装置30は、外部に設置されたルータ60または基地局70を介して外部通信網40に接続され、サーバ50と通信を行う。
【0036】
台所リモコン13と携帯端末装置30には、給湯システム1のアプリケーションプログラムが、サーバ50からダウンロードされ、インストールされている。このアプリケーションプログラムに、サーバ50にアクセスするためのアドレス情報(IPアドレス)が含まれている。台所リモコン13と携帯端末装置30は、このアドレス情報に基づいて、サーバ50にアクセスし、通信を行う。台所リモコン13のアドレス情報は、初期設定の際に、サーバ50に送信され保持される。また、携帯端末装置30のアドレス情報は、後述のペアリング処理の際に、携帯端末装置30からサーバ50に送信され保持される。
【0037】
本実施形態では、台所リモコン13および携帯端末装置30のアドレス情報として、後述の台所リモコン13の無線通信部136および携帯端末装置30の無線通信部305(
図2参照)に保持されたMAC(Media Access Control)アドレスが用いられる。台所リモコン13および携帯端末装置30のアドレス情報として、台所リモコン13の無線通信部136および携帯端末装置30の無線通信部305のグローバルIPアドレスが用いられてもよい。
【0038】
図1の構成において、操作者は、宅内H10と宅外の何れにおいても、携帯端末装置30を用いて、給湯装置10に対する遠隔制御(遠隔操作および遠隔監視)を行うことができる。
【0039】
すなわち、携帯端末装置30が宅内H10と宅外の何れにある場合も、操作者から携帯端末装置30に入力された設定要求は、外部通信網40を介して、一旦、サーバ50に送信される。これを受けて、サーバ50は、設定要求を受信した携帯端末装置30に予め対応付けられている給湯装置10に対して、受信した設定要求を送信する。これにより、設定要求が、外部通信網40およびルータ20を介して、対応する給湯装置10の台所リモコン13に送信される。こうして、操作者が要求する内容の設定が、遠隔操作により、給湯装置10に適用される。
【0040】
また、給湯装置10の状態情報は、所定周期で随時、台所リモコン13からルータ20を介してサーバ50に送信される。サーバ50は、受信した状態情報を、給湯装置10ごとに管理する。操作者から携帯端末装置30に入力された遠隔監視の閲覧要求は、外部通信網40を介して、一旦、サーバ50に送信される。これを受けて、サーバ50は、閲覧要求を受信した携帯端末装置30に予め対応付けられている給湯装置10のうち、閲覧要求により指定された給湯装置10の状態情報を、当該携帯端末装置30に送信する。これにより、給湯装置10の状態が、携帯端末装置30において出力される。こうして、操作者は、給湯装置10の状態を、宅内および宅外の両方において確認できる。
【0041】
図2は、給湯システム1を構成する各機器の回路ブロックを示す図である。
【0042】
給湯器11は、制御部111と、記憶部112と、通信部113と、水位センサ114とを備える。制御部111は、CPU(Central Processing Unit)を備え、記憶部112に記憶されたプログラムに従って、給湯器11内の各部の制御を行う。記憶部112は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部113は、制御部111からの制御に従って、浴室リモコン12および台所リモコン13と通信を行う。
【0043】
水位センサ114は、給湯装置10が接続された浴槽の水位を検出する。水位センサ114は、たとえば、浴槽に接続された配管内の水圧によって浴槽の水位を検出する。制御部111は、水位センサ114により検出される水位の変化によって、浴槽に対し人が入浴および退出したことを検出する。
【0044】
浴室リモコン12は、上述の表示部121および入力部122の他、制御部123と、記憶部124と、通信部125と、入室センサ126とを備える。表示部121は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部122は、温度設定ボタン等の各種操作ボタンを備える。表示部121が、タッチパネルであってもよい。制御部123は、CPUを備え、記憶部124に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部124は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部125は、制御部123からの制御に従って、給湯器11と通信を行う。入室センサ126は、浴室に対する人の出入りを検出する。入室センサ126は、たとえば、赤外線を用いた人感センサである。制御部123は、入室センサ126の出力に基づいて、浴室に人が入ったことを検出する。
【0045】
台所リモコン13は、上述の表示部131および入力部132の他、制御部133と、記憶部134と、通信部135を備える。表示部131は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部132は、各種操作ボタンを備える。表示部131が、タッチパネルであってもよい。制御部133は、CPUを備え、記憶部134に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部134は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。通信部135は、制御部133からの制御に従って、給湯器11と通信を行う。
【0046】
さらに、台所リモコン13は、無線通信部136を備える。ここで、無線通信部136は、ルータ20との間で無線通信が可能な無線通信モジュールである。無線通信部136(無線通信モジュール)には、宅内H10に設定されたLAN(Local Area Network)上の機器を特定するためのIPアドレスが割り振られている。また、無線通信部136は、上述のMACアドレスを保持している。この他、台所リモコン13は、音声を出力するためのスピーカを備えている。
【0047】
携帯端末装置30は、表示部301と、入力部302と、制御部303と、記憶部304と、無線通信部305とを備える。表示部301は、たとえば、液晶パネルにより構成される。入力部132は、各種操作ボタンと、表示部301に積層されたタッチパネルとを備える。
【0048】
制御部303は、CPUを備え、記憶部304に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部304は、メモリを備え、所定の制御プログラムを記憶する。無線通信部305は、制御部303からの制御に従って、ルータ20と通信を行う。無線通信部305は、ルータ20との間で無線通信が可能な無線通信モジュールである。無線通信部305にもIPアドレスが割り振られている。また、無線通信部305は、上述のMACアドレスを保持している。この他、携帯端末装置30は、音声を出力するためのスピーカを備えている。
【0049】
サーバ50は、制御部501と、記憶部502と、通信部503を備える。制御部501は、CPUを備え、記憶部502に記憶されたプログラムに従って所定の制御を行う。記憶部502は、メモリおよびハードディスクを備え、所定の制御プログラムおよびデータベースを記憶する。通信部503は、制御部501からの制御に従って、所定の制御を行う。
【0050】
本実施形態では、予め、給湯装置10に対して遠隔制御(遠隔操作および遠隔監視)を行うことが可能な携帯端末装置30が、給湯装置10に対応付けて、サーバ50に登録される。すなわち、予め、給湯装置10と携帯端末装置30とがペアリングされ、ペアリングを示す情報が、サーバ50において管理される。
【0051】
本実施形態では、このペアリングが、給湯装置10が設置された建物内において行われる。すなわち、携帯端末装置30の所持者は、原則、給湯装置10が設置された建物内に携帯端末装置30を所持して立ち入らなければ、自身の携帯端末装置30と給湯装置10とをペアリングできない。これにより、悪意の第三者によって不当に、携帯端末装置30と給湯装置10とがペアリングされる可能性が減少する。よって、不当に遠隔制御(遠隔制御および遠隔監視)が行われるリスクを抑制できる。
【0052】
図3(a)、(b)は、それぞれ、給湯装置10と携帯端末装置30とをペアリングするための、台所リモコン13と携帯端末装置30における処理を示すフローチャートである。
【0053】
操作者は、宅内H10において、携帯端末装置30にインストールされた給湯システムのアプリケーションプログラムを起動し、携帯端末装置30をペアリングモードに設定する。その後、操作者は、台所リモコン13の入力部132に対し、ペアリングのための操作を行う。
【0054】
図3(a)を参照して、台所リモコン13に対してペアリングのための操作が行われると(S11:YES)、台所リモコン13の制御部133は、ペアリングのためのアナウンスをUDPプロトコルによりブロードキャスト送信する(S12)。ブロードキャスト送信は複数回(たとえば3回)行われる。携帯端末装置30が宅内H10にある場合、このアナウンスは携帯端末装置30により受信される。
【0055】
図3(b)を参照して、携帯端末装置30の制御部303は、このアナウンスを受信すると(S21:YES)、表示部301に、ペアリング操作を受け付けるための受付画面を表示させる(S22)。操作者は、この受付画面にペアリングのための操作を行う。たとえば、受付画面には、ペアリングを了承するためのボタンが含まれている。操作者は、このボタンにタッチして、ペアリングを了承する。これにより、制御部303は、ペアリング要求をTCPプロトコルにより台所リモコン13にユニキャスト送信する(S23)。ペアリング要求には、携帯端末装置30のID情報と、アドレス情報(MACアドレス)とが含まれている。携帯端末装置30のID情報として、たとえば、無線通信部305のUUID(UniversallyUnique Identifier)またはGUID(Globally Unique Identifier)が用いられる。
【0056】
図3(a)を参照して、台所リモコン13の制御部133は、所定時間以内にペアリング要求を受信しなかった場合(S13:NO)、ペアリングの処理を終了する。他方、アナウンスの送信から所定時間以内に携帯端末装置30からペアリング要求を受信すると(S13:YES)、制御部133は、表示部131に、ペアリングの了承を受け付けるための受付画面を表示させる(S14)。
【0057】
操作者は、この受付画面にペアリングを了承するための操作を行う。これにより、制御部133は、ペアリング応答をTCPプロトコルにより携帯端末装置30に送信する(S15)。このペアリング応答には、台所リモコン13のID情報が含まれている。台所リモコン13のID情報として、たとえば、無線通信部136のUUIDまたはGUIDが用いられる。
【0058】
図3(b)を参照して、携帯端末装置30の制御部303は、台所リモコン13からペアリング応答を受信すると(S24:YES)、サーバ50に対し、ペアリング通知要求を送信する(S25)。ここでは、携帯端末装置30が宅内H10にあるため、ペアリング通知要求の送信は、ルータ20経由で行われる。
【0059】
上記ペアリング通知要求には、携帯端末装置30のID情報(UUID/GUID)およびアドレス情報(MACアドレス)と、ペアリング応答に含まれた台所リモコン13のID情報(UUID/GUID)が含まれる。なお、携帯端末装置30のID情報としてMACアドレスが用いられる場合、ペアリング通知要求には、携帯端末装置30のアドレス情報は含まれない。この場合、携帯端末装置30のID情報(MACアドレス)は、携帯端末装置30のアドレス情報として兼用される。
【0060】
その後、携帯端末装置30の制御部303は、サーバ50からペアリング通知要求に対する応答(ペアリング通知応答)を受信するのを待つ(S26)。後述のように、ペアリング通知要求に基づき、サーバ50において、給湯装置10(ここでは、台所リモコン13)と携帯端末装置30との対応付けがなされると、ペアリング通知応答(ペアリング結果)が、サーバ50からルータ20を介して携帯端末装置30の制御部303に送信される。こうして、ペアリング通知応答を受信すると(S26:YES)、携帯端末装置30の制御部303は、ペアリングがサーバ50に適正に登録されたとして処理を終了する。
【0061】
図3(a)を参照して、台所リモコン13の制御部133は、ステップS15でペアリング応答を携帯端末装置30に送信した後、サーバ50からペアリング結果の通知を受信するのを待つ(S16)。後述のように、サーバ50は、給湯装置10(ここでは、台所リモコン13)と携帯端末装置30との対応付け行うと、ペアリング結果の通知を台所リモコン13に送信する。こうして、ペアリング結果の通知を受信すると(S16:YES)、台所リモコン13の制御部133は、受信したペアリング結果に基づきペアリングがサーバ50に適正に登録されたことを確認し、ペアリング結果応答をサーバ50に送信する(S17)。これにより、台所リモコン13における処理が終了する。
【0062】
図4(a)は、給湯装置10(台所リモコン13)と携帯端末装置30とをペアリングするための、サーバ50における処理を示すフローチャートである。
【0063】
サーバ50の制御部501は、
図3(b)のステップS25において携帯端末装置30から送信されたペアリング通知要求を受信すると(S31:YES)、受信したペアリング通知要求に基づいて、給湯装置10と携帯端末装置30のペアリングを、記憶部502に保持されたデータベースに登録する(S32)。
【0064】
具体的には、制御部501は、受信したペアリング通知要求から、携帯端末装置30のID情報およびアドレス情報と、給湯装置10(ここでは、台所リモコン13)のID情報を抽出する。そして、制御部501は、抽出した給湯装置10(台所リモコン13)のID情報と、携帯端末装置30のID情報およびアドレス情報とを、互いに対応づけて、記憶部502に記憶させる。
【0065】
図4(b)は、サーバ50において管理される給湯装置10(ここでは、台所リモコン13)と携帯端末装置30とを対応付けた情報の構成を示す図である。
【0066】
図4(b)に示すように、サーバ50では、給湯装置10ごとに、当該給湯装置10にペアリングされた携帯端末装置30のID情報と、各携帯端末装置30のアドレス情報とが管理されている。具体的には、サーバ50の記憶部502に給湯システム1の制御に用いるデータベースが構築され、このデータベースにおいて、
図4(b)の情報が給湯装置10ごとに管理されている。なお、上記のように、携帯端末装置30のID情報がMACアドレスである場合、ID情報がアドレス情報として兼用されるため、
図4(b)の構成からアドレス情報が省略される。
【0067】
図4(a)に戻り、サーバ50の制御部501は、ステップS32においてペアリングの登録を行うと、ペアリング通知応答を携帯端末装置30に送信する(S33)。送信されたペアリング通知応答は、
図3(b)のステップS26において携帯端末装置30により受信される。
【0068】
さらに、サーバ50の制御部501は、ペアリングが行われたことを示すペアリング結果の通知を、ペアリングの対象とされている給湯装置10(ここでは、台所リモコン13)に送信する(S34)。送信されたペアリング結果は、
図3(a)のステップS16において、台所リモコン13により受信される。
【0069】
その後、サーバ50の制御部501は、給湯装置10(台所リモコン13)からペアリング結果応答を受信するのを待つ(S35)。ペアリング結果応答は、
図3(a)のステップS17において、台所リモコン13から送信される。サーバ50の制御部501は、台所リモコン13からペアリング結果応答を受信すると(S35:YES)。ペアリングの処理を終了する。
【0070】
図5は、給湯装置10と携帯端末装置30とをペアリングする際に、台所リモコン13、携帯端末装置30およびサーバ50の間で行われる情報の送受信の流れを示すシーケンス図である。このシーケンスは、
図3(a)~
図4(a)に示したフローチャートに従って行われる。
【0071】
台所リモコン13に対してペアリングのための操作がなされると、シーケンス(1)において、台所リモコン13からペアリングのためのアナウンスがブロードキャストで送信される。このアナウンスが携帯端末装置30において受け付けられると、シーケンス(2)において、携帯端末装置30から台所リモコン13にペアリング要求が送信される。このペアリング要求が台所リモコン13において受け付けられると、シーケンス(3)において、台所リモコン13から携帯端末装置30にペアリング応答が送信される。これにより、台所リモコン13と携帯端末装置30との間でペアリングのための手順が終了する(フェーズ1)。
【0072】
次に、シーケンス(4)において、携帯端末装置30からサーバ50に対し、ペアリングの登録を要求するためのペアリング通知要求が送信される。ペアリング通知要求がサーバ50に受信されると、上記のように、サーバ50において、給湯装置10と携帯端末装置30との対応付け(ペアリング)がデータベースに登録される。これに伴い、シーケンス(5)において、ペアリング通知応答(ペアリング結果)がサーバ50から携帯端末装置30に送信される。こうして、サーバ50と携帯端末装置30との間で行われる手順が終了する(フェーズ2)。
【0073】
さらに、シーケンス(6)において、サーバ50から台所リモコン13に対し、ペアリングが登録されたことを示すペアリング結果の通知が送信される。この通知が台所リモコン13において受信されると、上記のように、ペアリング結果に基づき台所リモコン13においてペアリングが適正になされたことが確認され、シーケンス(7)において、ペアリング結果応答が台所リモコン13からサーバ50に送信される。こうして、サーバ50と台所リモコン13との間で行われる手順が終了する(フェーズ3)。これにより、ペアリングのための全てのシーケンスが終了する。
【0074】
<実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果が奏され得る。
【0075】
図4(a)および
図5を参照して説明したとおり、携帯端末装置30と給湯装置10とを対応付けたペアリング結果が、互いに対応付けられた携帯端末装置30および給湯装置10にそれぞれ送信される。これにより、ペアリング結果を携帯端末装置30および給湯装置10において迅速かつ円滑に受信して処理でき、結果、携帯端末装置30と給湯装置10とを対応付けるためのペアリング処理を、迅速かつ円滑に完了させることができる。
【0076】
たとえば、ペアリング結果が携帯端末装置30および給湯装置10の何れか一方に送信される場合、さらに、ペアリング結果を受信した一方の装置から他方の装置にペアリング結果を転送する工程と、その応答を一方の装置が他方の装置から受信する工程とが必要となる。このように、複数の工程が一連の処理として行われる場合、各装置は、他の装置における処理が完了した後、他の装置から転送や応答を待つ必要があるため、処理全体に要する時間が長くなってしまう。
【0077】
これに対し、本実施形態に係る給湯システム1によれば、ペアリング結果が、互いに対応付けられた携帯端末装置30および給湯装置10にそれぞれ送信されるため、携帯端末装置30および給湯装置10は、他方の装置における処理を待つことなく、自身において単独で、ペアリング結果の受信に関する処理を行えばよい。よって、ペアリング結果の受信に関する処理を迅速かつ円滑に行うことができる。結果、本実施形態に係る給湯システム1によれば、携帯端末装置30と給湯装置10とを対応付けるためのペアリング処理を、迅速かつ円滑に完了させることができる。
【0078】
本実施形態では、ペアリング結果の送信が、サーバ50の制御部501によって行われる。このように、携帯端末装置30と給湯装置10との対応付けを管理するサーバ50の制御部501によって直接的にペアリング結果の送信処理が実行されることにより、他の装置の制御部がペアリング結果の送信を仲介する場合に比べ、携帯端末装置30および給湯装置10に対するペアリング結果の送信処理をより迅速かつ円滑に行うことができる。
【0079】
図4(a)および
図5に示したように、サーバ50の制御部501は、携帯端末装置30と給湯装置10とを対応付けるペアリング要求(ペアリング通知要求)を携帯端末装置30から受信するよう構成されている。これにより、新たに給湯装置10に対応付けられる携帯端末装置30とサーバ50の制御部501との間におけるペアリング結果(ペアリング通知応答)の通信を円滑に進めることができる。
【0080】
ここで、サーバ50の制御部501は、ペアリング要求(ペアリング通知要求)に対する応答(ペアリング通知応答)としてペアリング結果を携帯端末装置30に送信し、さらに、ペアリング結果を給湯装置10に送信するよう構成されている。この構成によれば、ペアリング要求(ペアリング通知要求)に対する応答(ペアリング通知応答)がペアリング結果の送信に兼用されるため、特に、携帯端末装置30とサーバ50の制御部501との間でペアリング結果の通知のための処理シーケンスを設定する必要がない。よって、携帯端末装置30と制御部501との間のペアリング結果の通知処理を迅速かつ円滑に行うことができる。
【0081】
また、
図4(a)および
図5に示したように、サーバ50の制御部501は、ペアリング結果に対する応答(ペアリング結果応答)を給湯装置10から受信するよう構成されている。これにより、ペアリング結果が給湯装置10に届いたことを、サーバ50の制御部501において確認することができる。よって、サーバ50の制御部501において、携帯端末装置30と給湯装置10との対応付けのための処理を適切に終了させることができる。
【0082】
<変更例>
上記実施形態では、給湯装置10を構成する台所リモコン13に無線通信部136が設けられたが、無線通信部が給湯器11に設けられて給湯器11がルータ20に接続されてもよい。この場合、上記実施形態における台所リモコン13による制御は、給湯器11の制御部111によって行われる。あるいは、給湯器11、浴室リモコン12および台所リモコン13以外に無線通信部を備えた制御ユニットが給湯装置10に配置され、この制御ユニットがルータ20に接続されてもよい。この場合、上記実施形態における台所リモコン13による制御は、制御ユニットの制御部によって行われる。
【0083】
なお、台所リモコン13および携帯端末装置30に対するペアリング結果の送信処理は、外部通信網40に接続された、サーバ50以外の他の制御装置によって行われてもよい。この場合、他の制御装置は、たとえば、ペアリング処理において、台所リモコン13および携帯端末装置30と、サーバ50との間の通信を仲介し、サーバ50からペアリング結果を受信すると、受信したペアリング結果を、台所リモコン13および携帯端末装置30にそれぞれ送信する。
【0084】
ただし、この構成では、他の制御装置における仲介処理に時間を要するため、上記実施形態に比べて、ペアリングのための処理に要する時間が長くなってしまう。よって、より迅速かつ円滑にペアリングのための処理を行うためには、上記実施形態のように、サーバ50の制御部501が、直接、台所リモコン13および携帯端末装置30と通信を行って、ペアリングのための処理を行うことが望ましい。
【0085】
また、ペアリングの際に台所リモコン13および携帯端末装置30において行われる処理は、必ずしも、
図3(a)、(b)に示した処理に限られるものではなく、適宜変更され得る。
【0086】
たとえば、
図3(a)のステップS16および
図3(b)のステップS26において、ペアリング結果が台所リモコン13および携帯端末装置30により受信された場合に、その旨の報知出力が、台所リモコン13および携帯端末装置30において行われてもよい。たとえば、ペアリング結果の受信に応じて、ペアリングが完了したことを報知する画像が、台所リモコン13の表示部131および携帯端末装置30の表示部301に表示されてもよい。これにより、ペアリングを行った操作者は、ペアリングが適正に完了したことを把握することができる。ペアリングが完了したことの報知出力は、台所リモコン13および携帯端末装置30の双方において行われずともよく、台所リモコン13および携帯端末装置30の何れか一方のみにおいて行われてもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、ペアリング通知要求が携帯端末装置30の制御部303からサーバ50に送信されたが、ペアリング通知要求が給湯装置10(上記実施形態では台所リモコン13の制御部133)からサーバ50に送信されてもよい。
【0088】
なお、給湯装置10を遠隔操作する端末装置に、携帯性がなく所定の場所に設置される据え置き型の端末装置が含まれてもよい。
【0089】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 給湯システム
10 給湯装置
11 給湯器
13 台所リモコン
30 携帯端末装置
40 外部通信網
50 サーバ
501 制御部