(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】シート搬送装置及び画像記録装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/06 20060101AFI20221213BHJP
B65H 5/38 20060101ALI20221213BHJP
B41J 13/02 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B65H5/06 P
B65H5/38
B41J13/02
(21)【出願番号】P 2018163881
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】山口 真誠
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-256642(JP,A)
【文献】特開2011-157173(JP,A)
【文献】特開2016-193782(JP,A)
【文献】特開2011-251787(JP,A)
【文献】特開2015-084072(JP,A)
【文献】特開平05-254691(JP,A)
【文献】特開2008-247554(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0329303(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/06
B65H 5/38
B41J 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが通過する搬送路を有する本体と、
上記搬送路に位置する第1ローラと、
上記第1ローラと対向した第2ローラと、
上記第2ローラを回転可能に支持しており、上記第2ローラが上記第1ローラに当接した第1位置と、上記第2ローラが上記第1ローラから離間した第2位置に回動可能なローラホルダと、
一端が上記ローラホルダに接続され、かつ、他端が上記本体に接続されており、上記ローラホルダを上記第1位置へ付勢する付勢部材と、
上記第2ローラに対する上記第1ローラの反対側において、上記本体によって上記ローラホルダとは独立して回動可能に支持されており、上記本体に対して閉じて上記搬送路を構成する閉位置、及び上記本体に対して開いて上記搬送路及び上記ローラホルダを外部に露出する開位置に回動可能な第1ガイド部材と、を備え、
上記ローラホルダは、上記第2ローラよりシートの搬送向きの下流に、上記搬送路を構成するガイド部を備えるシート搬送装置。
【請求項2】
上記ガイド部は、上記第1ローラより上記搬送向きの下流まで延びている請求項1に記載のシート搬送装置。
【請求項3】
上記第1ローラより上記搬送向きの下流に位置する第3ガイド部材を更に備えており、
上記第1ガイド部材は、上記ローラホルダの回動軸より上記搬送向きの下流に位置
しており、上記閉位置において上記第3ガイド部材との間で上記搬送路を形成する請求項1または2に記載のシート搬送装置。
【請求項4】
シートを支持する支持面を有するトレイと、
上記支持面に支持されたシートを給送向きに給送する給送部と、
上記トレイより上記給送向きの下流に設けられており、上記給送向きの下流へ向かうにしたがって上方へ向かって上記支持面に対して傾斜したガイド面を有する第2ガイド部材と、を備え、
上記第1ローラ及び上記第2ローラは、上記ガイド面より上方に位置しており、
上記ガイド面は、上記給送部によって給送されたシートと当接して、当該シートを上記搬送路の上記第1ローラ及び上記第2ローラの間の位置へ向けて案内するものであり、
上記ローラホルダの回動軸は、上記ガイド面の上端より下方に位置する請求項1から3のいずれかに記載のシート搬送装置。
【請求項5】
上記ローラホルダは、上記搬送向きと直交する幅方向において間隔を空けて複数配置されている請求項1から4のいずれかに記載のシート搬送装置。
【請求項6】
上記第1ガイド部材は、上記搬送向きと直交する幅方向において間隔を空けて複数配置されており、それぞれが上記搬送向きへ延びており、上記閉位置においてシートを案内可能なリブを備え、
上記ローラホルダの上記搬送向きの下流端は、上記リブの上記搬送向きの上流端より上記搬送向きの下流に位置する請求項1から5のいずれかに記載のシート搬送装置。
【請求項7】
上記ローラホルダの回動軸に対する軸受は、周方向の一部が開放された開放部を備え、
上記ローラホルダの回動軸は、上記開放部を介して上記軸受に嵌合可能である請求項1から6のいずれかに記載のシート搬送装置。
【請求項8】
上記閉位置の上記第1ガイド部材は、上記本体の外壁の一部を構成している請求項1から7のいずれかに記載のシート搬送装置。
【請求項9】
シートが通過する搬送路を有する本体と、
上記搬送路に位置する第1ローラと、
上記第1ローラと対向した第2ローラと、
上記第2ローラを回転可能に支持しており、上記第2ローラが上記第1ローラに当接した第1位置と、上記第2ローラが上記第1ローラから離間した第2位置に回動可能なローラホルダと、
一端が上記ローラホルダに接続され、かつ、他端が上記本体に接続されており、上記ローラホルダを上記第1位置へ付勢する付勢部材と、
上記第2ローラに対する上記第1ローラの反対側において、上記本体によって上記ローラホルダとは独立して回動可能に支持されており、上記本体に対して閉じて上記搬送路を構成する閉位置、及び上記本体に対して開いて上記搬送路及び上記ローラホルダを外部に露出する開位置に回動可能な第1ガイド部材と、
上記搬送路にあるシートに画像を記録する記録部と、を備え、
上記ローラホルダは、上記第2ローラよりシートの搬送向きの下流に、上記搬送路を構成するガイド部を備える画像記録装置。
【請求項10】
上記第1ローラより上記搬送向きの下流に位置する第3ガイド部材を更に備えており、
上記第1ガイド部材は、上記ローラホルダの回動軸より上記搬送向きの下流に位置しており、上記閉位置において上記第3ガイド部材との間で上記搬送路を形成する請求項9に記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置、及び当該シート搬送装置を備えておりシートに画像を記録する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シート搬送装置は、搬送路に沿ってシートを搬送するためのローラ対を備えている。ローラ対を構成するローラの一方は、バネなどの付勢部材によってローラ対を構成するローラの他方へ付勢されている。ローラ対は、シートを挟持して搬送する。
【0003】
また、シート搬送装置は、搬送路を構成するガイド部材を備えている。ガイド部材は、搬送路にあるシートを案内する。ガイド部材には、搬送路を構成する閉位置と、搬送路を外部に露出する開位置に回動可能なものがある。シートがシート搬送装置の内部で詰まった場合、ガイド部材が開位置にされることで、詰まったシートを取り出すことができる。このとき、ローラ対を構成するローラが互いに離間すると、詰まったシートを取り出し易くなる。
【0004】
特許文献1には、ガイド部材の閉位置から開位置への回動に連動して、ローラ対を構成するローラが互いに離間するように移動する構造を有するシート搬送装置が開示されている。また、特許文献2には、ガイド部材を閉位置から開位置へ回動させた後で、ユーザが手動でローラ対を構成するローラを互いに離間させる構造を有するシート搬送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-125868号公報
【文献】特許第5633151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されたシート搬送装置の場合、ガイド部材が開位置へ回動すると、ローラ対を構成するローラの離間が必要か否かにかかわらず、ローラは必ず離間する。ここで、ローラ対を構成するローラが互いに離間するように移動する度に、ローラの一方を他方へ付勢する付勢部材には付勢力に抗する力が作用する。そのため、特許文献1に開示されたシート搬送装置では、付勢部材にへたりが生じ易い。
【0007】
また、特許文献2に開示されたシート搬送装置の場合、手動でローラ対を構成するローラを互いに離間させる必要があるため、手間がかかる。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ローラ対を構成するローラの一方を他方へ付勢する付勢部材のへたりを低減しつつ、詰まったシートを簡単に取り出すことができるシート搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係るシート搬送装置は、シートが通過する搬送路を有する本体と、上記搬送路に位置する第1ローラと、上記第1ローラと対向した第2ローラと、上記第2ローラを回転可能に支持しており、上記第2ローラが上記第1ローラに当接した第1位置と、上記第2ローラが上記第1ローラから離間した第2位置に回動可能なローラホルダと、上記ローラホルダを上記第1位置へ付勢する付勢部材と、上記第2ローラに対する上記第1ローラの反対側において、上記本体によって上記ローラホルダとは独立して回動可能に支持されており、上記本体に対して閉じて上記搬送路を構成する閉位置、及び上記本体に対して開いて上記搬送路及び上記ローラホルダを外部に露出する開位置に回動可能な第1ガイド部材と、を備える。上記ローラホルダは、上記第2ローラよりシートの搬送向きの下流に、上記搬送路を構成するガイド部を備える。
【0010】
本構成によれば、第1ガイド部材が閉位置から開位置に回動されることによって、ローラホルダが外部に露出される。ここで、本構成によれば、第1ガイド部材の回動と、ローラホルダの回動とが個別に実施可能である。そのため、第1ガイド部材が回動されても、ローラホルダは回動しない。これにより、ローラホルダの不必要な回動が防止できるため、付勢部材のへたりを低減することができる。
【0011】
また、本構成によれば、シートが第1ローラ及び第2ローラに挟持された状態で本体の内部において詰まった場合に、第1ガイド部材が閉位置から開位置に回動されることによって、シートを外部に露出させることができる。そして、この状態において、シートが引っ張られると、シートからガイド部へ第1位置から第2位置の向きの力が作用されるため、ローラホルダが第1位置から第2位置へ向けて回動する。これにより、第2ローラが第1ローラから離間するため、詰まったシートを簡単に取り出すことができるようになる。
【0012】
(2) 上記ガイド部は、上記第1ローラより上記搬送向きの下流まで延びていてもよい。
【0013】
本構成によれば、シートが第1ローラ及び第2ローラに挟持された状態で本体の内部において詰まった場合に、第1ガイド部材が閉位置から開位置に回動されることによって、シートを外部に露出させることができる。そして、この状態において、シートが引っ張られると、シートからガイド部へ第1位置から第2位置の向きの力が作用される。ここで、仮に、ガイド部が第1ローラより搬送向きの下流まで延びていない場合、シートからガイド部へ作用する力が小さくなってしまい、ローラホルダが第1位置から第2位置へ回動することができないおそれがある。本構成によれば、ガイド部が第1ローラより搬送向きの下流まで延びているため、シートからガイド部へ作用する力を大きくすることができる。これにより、シートが引っ張られたときにローラホルダが第1位置から第2位置へ回動しない可能性を低くすることができる。
【0014】
(3) 上記第1ガイド部材は、上記ローラホルダの回動軸より上記搬送向きの下流に位置していてもよい。
【0015】
本構成によれば、第1ガイド部材を小型化することができる。
【0016】
(4) 本発明に係るシート搬送装置は、シートを支持する支持面を有するトレイと、上記支持面に支持されたシートを給送向きに給送する給送部と、上記トレイより上記給送向きの下流に設けられており、上記給送向きの下流へ向かうにしたがって上方へ向かって上記支持面に対して傾斜したガイド面を有する第2ガイド部材と、を備え、上記第1ローラ及び上記第2ローラは、上記ガイド面より上方に位置し、上記ガイド面は、上記給送部によって給送されたシートと当接して、当該シートを上記搬送路の上記第1ローラ及び上記第2ローラの間の位置へ向けて案内するものであり、上記ローラホルダの回動軸は、上記ガイド面の上端より下方に位置していてもよい。
【0017】
本構成によれば、ローラホルダの回動軸をガイド部から遠くに位置させることができる。そのため、ローラホルダを第1位置から第2位置へ向けて回動させるために必要な、ガイド部に作用する力を小さくすることができる。つまり、小さな力でローラホルダを回動させることができる。
【0018】
(5) 上記ローラホルダは、上記搬送向きと直交する幅方向において間隔を空けて複数配置されていてもよい。
【0019】
本構成によれば、幅方向に延びた一つのローラホルダが配置された構成よりも、各ローラホルダの重量を軽くすることができる。そのため、小さな力で各ローラホルダを回動させることができる。
【0020】
(6) 上記第1ガイド部材は、上記搬送向きと直交する幅方向において間隔を空けて複数配置されており、それぞれが上記搬送向きへ延びており、上記閉位置においてシートを案内可能なリブを備え、上記ローラホルダの上記搬送向きの下流端は、上記リブの上記搬送向きの上流端より上記搬送向きの下流に位置していてもよい。
【0021】
本構成によれば、搬送向きにおけるローラホルダとリブとの間にシートが引っ掛かる可能性を低くすることができる。
【0022】
(7) 上記ローラホルダの回動軸に対する軸受は、周方向の一部が開放された開放部を備え、上記ローラホルダの回動軸は、上記開放部を介して上記軸受に嵌合可能であってもよい。
【0023】
本構成によれば、ローラホルダの本体への取付が容易である。また、回動軸が軸受に嵌合されるため、ローラホルダを位置決めできる。これにより、第2ローラの第1ローラに対するニップ精度を良好に維持することができる。
【0024】
(8) 例えば、上記閉位置の上記第1ガイド部材は、上記本体の外壁の一部を構成していてもよい。
【0025】
(9) 本発明は、シートが通過する搬送路を有する本体と、上記搬送路に位置する第1ローラと、上記第1ローラと対向した第2ローラと、上記第2ローラを回転可能に支持しており、上記第2ローラが上記第1ローラに当接した第1位置と、上記第2ローラが上記第1ローラから離間した第2位置に回動可能なローラホルダと、上記ローラホルダを上記第1位置へ付勢する付勢部材と、上記第2ローラに対する上記第1ローラの反対側において、上記本体によって上記ローラホルダとは独立して回動可能に支持されており、上記本体に対して閉じて上記搬送路を構成する閉位置、及び上記本体に対して開いて上記搬送路及び上記ローラホルダを外部に露出する開位置に回動可能な第1ガイド部材と、上記搬送路にあるシートに画像を記録する記録部と、を備え、上記ローラホルダは、上記第2ローラよりシートの搬送向きの下流に、上記搬送路を構成するガイド部を備える画像記録装置として捉えることもできる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ローラ対を構成するローラの一方を他方へ付勢する付勢部材のへたりを低減しつつ、詰まったシートを簡単に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、ガイド部材85が閉位置の複合機10の斜視図である。
【
図3】
図3は、ガイド部材85が開位置の複合機10の斜視図である。
【
図5】
図5は、
図3のC-C断面を示す断面図であり、ローラホルダ87が第1位置の状態を示す。
【
図6】
図6は、
図3のC-C断面を示す断面図であり、ローラホルダ87が第2位置の状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、ガイド部材85が設けられている面を後面として前後方向8が定義され、複合機10を前方から後方へ視て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8、及び左右方向9は、互いに直交する。本実施形態では、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。
【0029】
[複合機10の全体構造]
図1に示されるように、複合機10(画像記録装置の一例)は、概ね直方体に形成されている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。複合機10は、プリント機能として、用紙などのシートに画像を記録する機能を有している。
【0030】
図2に示されるように、複合機10は、シート搬送装置と、記録部24とを備えている。シート搬送装置は、筐体14(本体の一例)、給送トレイ131、132、133、排出トレイ21、給送部141(
図4参照)、ガイド部材71(第2ガイド部材の一例、
図5参照)、搬送ローラ対57、排出ローラ対58、中間ローラ対86(
図5参照)、ねじりコイルばね88(付勢部材の一例、
図5参照)、ローラホルダ87(
図5参照)、及びガイド部材85(第1ガイド部材の一例)を備えている。給送トレイ131は、トレイの一例である。
【0031】
図1に示される筐体14は、複合機10の外観を構成するものである。
図2に示されるように、筐体14の前面に開口13が形成されている。記録部24、給送部141、ガイド部材71、搬送ローラ対57、排出ローラ対58、中間ローラ対86、ねじりコイルばね88、及びローラホルダ87は、筐体14の内部に配置されている。筐体14の内部には、用紙が搬送される搬送路65が形成されている。搬送路65は、
図2において一点鎖線で示されている。
【0032】
給送トレイ131、132、133は、筐体14に対して開口13を通じて後方へ挿入されることで筐体14に装着され、筐体14に対して開口13を通じて前方へ脱抜される。排出トレイ21は、給送トレイ133に支持されている。ガイド部材85は、筐体14によって回動可能に支持されている(
図1及び
図3参照)。
【0033】
給送トレイ131、132、133は、上方が開放された概ね直方体の箱状に形成されている。給送トレイ131、132、133は、複数の用紙が重ねられた状態で支持される底板76を備えている。
【0034】
給送トレイ131、132、133が筐体14に装着された状態において、給送トレイ133は給送トレイ132の上方に位置しており、給送トレイ132は給送トレイ131の上方に位置している。
【0035】
図4に示される給送部141は、各給送トレイ131、132、133に対応して設けられている。
図4に示されている給送部141は、給送トレイ133に対応するものである。各給送部141は、各給送トレイ131、132、133の底板76の上方に位置している。各給送部141は、各給送トレイ131、132、133の底板76の上面に支持された用紙を後方に位置する搬送路65へ給送する。つまり、各給送部141は、底板76の上面に支持された用紙を、後向き(給送向きの一例)に給送する。底板76の上面は、支持面の一例である。
【0036】
各給送トレイ131、132、133に対応する各給送部141の構造は同一のため、以下では、
図4に示される給送部141(給送トレイ133に対応する給送部141)の構成が説明される。
図4に示されるように、給送部141は、給送ローラ25と、アーム26と、軸(不図示)とを備える。
【0037】
給送ローラ25は、アーム26の先端部に回転可能に支持されている。給送ローラ25は、モータ(不図示)から駆動力を付与されて回転する。アーム26の基端部は、軸に回動可能に支持されている。軸は、複合機10のフレーム23に支持されている。アーム26は、自重またはばね等による弾性力によって底板76へ向けて回動付勢されている。給送ローラ25は、底板76に支持された用紙に当接した状態で回転することによって、底板76に支持された用紙のうち最上のものをピックアップして搬送路65へ給送する。
【0038】
搬送路65へ給送された用紙は、搬送路65を
図2に一点鎖線の矢印で示される搬送向き16へ搬送される。搬送路65を搬送される用紙の搬送向き16の下流端が搬送ローラ対57に到達すると、当該用紙は搬送ローラ対57によって搬送路65を記録部24へ向けて搬送向き16へ搬送される。記録部24の直下へ到達した用紙は、記録部24によって画像記録される。
【0039】
図5に示されるように、ガイド部材71は、筐体14に装着された状態の各給送トレイ131、132、133の後端部よりも後方に位置している。つまり、ガイド部材71は、各給送トレイ131、132、133より給送向きの下流に設けられている。各給送トレイ131、132、133に対応する各ガイド部材71の構成は同一であるため、以下では、給送トレイ131に対応するガイド部材71の構成が説明される。
【0040】
ガイド部材71は、前方を向いた傾斜面73(ガイド面の一例)を備えている。傾斜面73は、底板76の上面に対して傾斜している。傾斜面73は、後方へ向かうにしたがって上方へ向かって傾斜している。傾斜面73の下端部は、筐体14に装着された状態の給送トレイ131の後端部と近接している。傾斜面73は、給送ローラ25によって後方へ送られた用紙に当接される。これにより、用紙は、傾斜面73に案内されて後方から上方へ向きを変えつつ、搬送路65へ(詳細には、搬送路65上の中間ローラ対86の第1ローラ91及び第2ローラ92の間の位置へ)送られる。
【0041】
図2に示されるように、搬送路65は、給送トレイ131の後端部から概ね上方へ延びており、給送トレイ132に対応するガイド部材71の後面を経て、給送トレイ133に対応するガイド部材71の後面へ達する。搬送路65は、給送トレイ133に対応するガイド部材71の後面より上方において、前方へ向けて湾曲している。搬送路65は、湾曲位置から搬送ローラ対57、記録部24、及び排出ローラ対58を経て、排出トレイ21の上方まで概ね前方へ延びている。つまり、搬送路65は、概ね上方へ向けて延びる部分と、当該部分より搬送向き16の下流に位置しており概ね前方へ延びる部分とで構成されている。
【0042】
搬送ローラ対57は、互いに対向する搬送ローラ60及びピンチローラ(不図示)を備える。搬送ローラ60は、モータ(不図示)から駆動伝達されて回転する。なお、モータは、給送ローラ25を回転させるモータと同一でもよいし異なっていてもよい。ピンチローラは、搬送ローラ60の回転に伴って連れ回る。搬送ローラ対57は、用紙を挟持して搬送向き16へ搬送する。
【0043】
排出ローラ対58は、搬送路65における搬送ローラ対57よりも搬送向き16の下流に位置している。排出ローラ対58は、互いに対向する排出ローラ62及び拍車(不図示)を備える。排出ローラ62は、モータ(不図示)から駆動伝達されて回転する。なお、モータは、給送ローラ25を回転させるモータや、搬送ローラ60を回転させるモータと同一でもよいし異なっていてもよい。拍車は、排出ローラ62の回転に伴って連れ回る。排出ローラ対58は、用紙を挟持して搬送向き16へ搬送する。排出ローラ対58によって搬送向き16へ搬送された用紙は、排出トレイ21へ排出される。
【0044】
記録部24は、搬送路65における搬送ローラ対57及び排出ローラ対58の間に位置している。本実施形態において、記録部24は、インクジェット方式によって、搬送路65を搬送される用紙に画像を記録する。なお、記録部24が用紙に画像を記録する方式は、インクジェット方式に限らず、電子写真方式などの他の方式であってもよい。
【0045】
[中間ローラ対86]
図5に示されるように、中間ローラ対86は、搬送路65において、給送トレイ131に対応するガイド部材71の上端より上方であって、給送トレイ132に対応するガイド部材71の上端より下方に位置している。中間ローラ対86は、用紙を挟持して搬送向き16へ搬送する。
【0046】
中間ローラ対86は、互いに対向する第1ローラ91及び第2ローラ92を備える。第1ローラ91及び第2ローラ92は、ガイド部材71の傾斜面73より上方に位置している。
【0047】
図4に示されるように、第1ローラ91は、軸911と、ローラ部912とを備える。軸911は、左右方向9に延びている。ローラ部912は、軸911の外周を覆っている。本実施形態において、ローラ部912は、左右方向9に間隔を空けて4つ設けられている。なお、ローラ部912の数は、3つ以下でもよいし5つ以上でもよい。第1ローラ91は、モータ(不図示)から駆動伝達されて回転する。なお、モータは、給送ローラ25を回転させるモータや、搬送ローラ60を回転させるモータや、排出ローラ62と同一でもよいし異なっていてもよい。
【0048】
第2ローラ92は、第1ローラ91のローラ部912に対応して設けられている。つまり、本実施形態において、第2ローラ92は、左右方向9に間隔を空けて4つ設けられており、第2ローラ92の各々は、ローラ部912の各々と対向している。なお、第2ローラ92の数は、第1ローラ91のローラ部912の数に応じて、3つ以下でもよいし5つ以上でもよい。
【0049】
第2ローラ92は、後述するローラホルダ87に回転可能に支持されている。第2ローラ92は、ローラホルダ87の回動によって移動する。第2ローラ92は、当該移動によって、第1ローラ91に対して接離可能である。第2ローラ92は、第1ローラ91に当接した状態、または第1ローラ91との間に用紙を挟持した状態において、第1ローラ91の回転に伴って連れ回る。
【0050】
[ローラホルダ87]
図5に示されるように、ローラホルダ87は、給送トレイ131に対応するガイド部材71の上端より上方であって、給送トレイ132に対応するガイド部材71の上端より下方に位置している。
【0051】
ローラホルダ87は、搬送路65の一部を構成するガイド面871を備える。ガイド面871は、給送トレイ131に対応するガイド部材71の傾斜面73の上端から、後方へ向かうにしたがって上方へ向かって延びている。ガイド面871は、傾斜面73を通過した用紙を搬送向き16へ案内する。
【0052】
ローラホルダ87は、搬送向き16と直交する左右方向9(幅方向の一例)に並んで3つ設けられている。なお、ローラホルダ87の数は3つに限らない。
【0053】
各ローラホルダ87は、その上部において第2ローラ92を回転可能に支持している。本実施形態において、4つのローラホルダ87の各々は、1つの第2ローラ92を支持している。
【0054】
なお、各ローラホルダ87の第2ローラ92を支持する態様は、上記に限らない。例えば、ローラホルダ87が3つ設けられており、3つのローラホルダ87のうち左右方向9の真ん中に配置されたローラホルダ87が、4つの第2ローラ92のうち左右方向9の真ん中に配置された2つの第2ローラ92を支持しており、3つのローラホルダ87のうち最も右に配置されたローラホルダ87が、4つの第2ローラ92のうち最も右に配置された第2ローラ92を支持しており、3つのローラホルダ87のうち最も左に配置されたローラホルダ87が、4つの第2ローラ92のうち最も左に配置された第2ローラ92を支持していてもよい。また、例えば、ローラホルダ87が1つ設けられており、1つのローラホルダ87が4つの第2ローラ92を支持していてもよい。
【0055】
ローラホルダ87に支持された第2ローラ92の一部は、ガイド面871から搬送路65へ突出している。ガイド面871は、第2ローラ92より搬送向き16の上流から下流に亘って延びている。つまり、ローラホルダ87は、第2ローラ92より搬送向き16の下流まで延びている。ガイド面871のうち、第2ローラ92より搬送向き16の下流に位置する部分である下流ガイド面874は、ガイド部の一例である。下流ガイド面874の搬送向き16の下流端は、第1ローラ91より上方に位置する。つまり、下流ガイド面874は、第1ローラ91より搬送向き16の下流まで延びている。
【0056】
ローラホルダ87は、左右方向9に延びる軸31(ローラホルダの回動軸の一例)を中心に回動可能に、筐体14によって支持されている。筐体14は、左右方向9に延びた軸31を備える。ローラホルダ87は、左右方向9に開口された軸受872を備える。軸受872の開口873には、軸31が挿入される。これにより、軸受872は、軸31を支持している。軸受872及び軸31は、ローラホルダ87の下部に位置している。また、軸受872及び軸31は、ガイド面871に対して搬送路65とは反対側に位置している。軸受872及び軸31は、第2ローラ92より下方、つまり第2ローラ92より搬送向き16の上流に位置している。
【0057】
上下方向7において、軸31の位置P1は、ガイド部材71の傾斜面73の上端の位置P2より下方に位置している。
【0058】
ローラホルダ87は、矢印102の向きへ回動することで、
図5に示される第1位置から
図6に示される第2位置へ移動する。また、ローラホルダ87は、矢印102とは逆向きの矢印103の向き(
図6参照)へ回動することで、第2位置から第1位置へ移動する。
【0059】
図5に示されるように、ローラホルダ87が第1位置のとき、ガイド面871は搬送路65の一部を構成している。また、ローラホルダ87が第1位置のとき、第2ローラ92は第1ローラ91に当接している。第2ローラ92が第1ローラ91に当接することにより、第1位置のローラホルダ87の矢印103の向きへの回動が規制される。
【0060】
図6に示されるように、ローラホルダ87が第2位置のとき、第2ローラ92は第1ローラ91から離間している。第2位置のローラホルダ87は、前方且つ上方からガイド部材85の後述する第2リブ98に当接している。これにより、第2位置のローラホルダ87の矢印102の向きへの回動、つまり第1位置から遠ざかる回動が規制される。
【0061】
軸受872は、周方向101の一部に隙間94(開放部の一例)を備えている。つまり、軸受872は、周方向101の一部が開放されている。隙間94は、軸31の直径よりも短い。軸31は、隙間94を介して軸受872に嵌合される。軸31が隙間94を通るとき、軸受872は軸31に押されて撓む。これにより、隙間94が大きくなり、軸31は隙間94を通ることができる。軸31が隙間94を通過して軸受872に嵌合されると、軸受872の撓みは解消される。そのため、軸31が隙間94を介して軸受872から抜けることが防止される。
【0062】
なお、軸31及び軸受872の構成は、上記に限らない。例えば、ローラホルダ87が軸31を備えており、筐体14が軸受872を備えていてもよい。また、例えば、軸受872は隙間94を備えていなくてもよい。この場合、軸31は左右方向9に沿って軸受872に挿入される。
【0063】
[ねじりコイルばね88]
図5に示されるねじりコイルばね88は、ローラホルダ87を矢印103の向き(
図6参照)へ付勢している。つまり、ねじりコイルばね88は、ローラホルダ87を第1位置へ向けて付勢している。
【0064】
ねじりコイルばね88には、軸31が貫通されている。ねじりコイルばね88の一方のアーム881は、ローラホルダ87に接続されている。ねじりコイルばね88の他方のアーム882は、筐体14に接続されている。
【0065】
なお、ローラホルダ87を付勢する付勢部材は、ねじりコイルばね88に限らず、例えば板ばねなどであってもよい。
【0066】
[ガイド部材85]
図2に示されるように、ガイド部材85は、給送トレイ132、133の後方に位置している。また、ガイド部材85は、軸31より上方、つまり軸31より搬送向き16の下流に位置する。
【0067】
図5に示されるように、ガイド部材85は、本体95と、軸受96と、第1リブ97(リブの一例)と、第2リブ98とを備える。
【0068】
本体95は、概ね板形状である。本体95は、
図5に示される状態において上方へ凹んだ凹部99を備えている。凹部99は、2つの面991、992によって区画されている。
図5に示される状態において、面991は、前方へ向かうにしたがって上方へ向かって延びている。また、面992は、後方へ向かうにしたがって上方へ向かって延びている。つまり、
図5に示される状態において、面991は軸32へ近づくにしたがって凹部99の底へ向かって延びており、面992は軸32から遠ざかるにしたがって凹部99の底へ向かって延びている。面991、992は、凹部99の底において連続している。
【0069】
図2に示されるように、軸受96は、本体95の下部に設けられており、左右方向9に開口されている。軸受96の開口961には、筐体14に設けられており左右方向9に延びた軸32が挿入される。これにより、軸受96は、軸32を支持している。つまり、ガイド部材85は、本体95によって回動可能に支持されている。
【0070】
図5及び
図9に示されるように、軸32及び軸受96は、第2ローラ92より後方に位置している。つまり、軸32及び軸受96は、第2ローラ92に対して第1ローラ91とは反対側に位置している。
【0071】
軸受96の開口961は、楕円形状である。これにより、軸32が挿入された軸受96は、軸32に対して相対移動可能である。つまり、ガイド部材85は、本体95に対してスライド可能に支持されている。すなわち、ガイド部材85は、本体95に対して回動可能であるとともにスライド可能である。
【0072】
第1リブ97は、
図9に示される状態において本体95の前面952から前方へ突出している。第1リブ97は、左右方向9に間隔を空けて複数設けられている。各第1リブ97は、搬送向き16に沿って、つまり概ね上方へ延びている。第1リブ97の先端は、搬送路65の一部を構成しており、用紙を案内可能である。第1リブ97の下流端部971の先端は、上方から前方へ向きを変えつつ湾曲している。これにより、上述したように、搬送路65は、給送トレイ133の後端部より上方において、前方へ向けて湾曲している。また、これにより、第1リブ97の搬送向き16の下流端部971は、その他の部分より前方へ突出している。
【0073】
第2リブ98は、
図9に示される状態において本体95の前面952から前方へ突出している。つまり、第2リブ98は、本体95から第1リブ97と同じ側へ突出している。第2リブ98は、左右方向9に間隔を空けて複数設けられている。
図6に示されるように、各第2リブ98は、第2位置のローラホルダ87に下方から当接して、第2位置のローラホルダ87を支持するとともに、第2位置のローラホルダ87の矢印102の向きへの回動を規制する。
【0074】
ガイド部材85は、
図1に示される閉位置及び
図3に示される開位置へ回動可能である。閉位置のガイド部材85は、
図1の他に、
図7及び
図9に示されている。開位置のガイド部材85は、
図3の他に
図5、
図6、及び
図8に示されている。ガイド部材85は、矢印104の向き(
図7参照)へ回動することで、閉位置から開位置へ移動する。また、ガイド部材85は、矢印105の向き(
図8参照)へ回動することで、開位置から閉位置へ移動する。
【0075】
図1、
図7、及び
図9に示されるように、ガイド部材85が閉位置のとき、ガイド部材85の各部分は、以下の状態である。
【0076】
図1に示されるように、本体95は概ね上下方向7及び左右方向9に拡がっている。また、本体95の後面951は、筐体14の後面の一部を構成している。つまり、本体95は、筐体14の後壁の一部を構成している。また、
図9に示されるように、第1リブ97は、第2ローラ92より搬送向き16の下流に位置する。また、第1リブ97の下端は、ローラホルダ87の上端よりも下方に位置する。つまり、第1リブ97の搬送向き16の上流端は、ローラホルダ87の搬送向き16の下流端よりも搬送向き16の上流に位置する。また、第1リブ97の先端は、搬送路65の一部を構成しており、用紙を案内可能である。また、第2リブ98は、第1リブ97より下方に位置する。また、第2リブ98は、ローラホルダ87より後方に位置する。
【0077】
図7に示されるように、ガイド部材85が閉位置のとき、軸32は、軸受96の開口961の一端部(
図7では下端部)に位置する。ガイド部材85が閉位置から開位置へ回動する過程において、軸32は、軸受96の開口961の一端部から他端部へ(下端部から上端部へ)相対移動する。つまり、軸受96は、軸32に対して下方へ相対移動する。これにより、ガイド部材85は下方へスライドする。その結果、ガイド部材85の回動時に、第1リブ97の搬送向き16の下流端部971が、その上方に位置する部材(例えば搬送路65の一部を構成するガイド部材33)に当接することを回避できる。そのため、ガイド部材85の回動がガイド部材33によって阻害されることを防止できる。
【0078】
ガイド部材85が矢印104の向きに回動して開位置へ到達した状態において、
図5に示されるように、凹部99の底(面991と面992との境界部)に、筐体14の凸部34が下方から当接する。凸部34は、筐体14の下部を構成するベース部分151から上方へ突出している。これにより、ガイド部材85の矢印104の向き(閉位置から遠ざかる向き、
図7参照)への回動は、凸部34によって規制される。また、軸受96が軸32に対して相対移動することによるガイド部材85のスライドも、凸部34によって規制される。
【0079】
図3、
図5、
図6、及び
図8に示されるように、ガイド部材85が開位置のとき、ガイド部材85の各部分は、以下の状態である。
【0080】
図3及び
図5に示されるように、搬送路65及びローラホルダ87が外部に露出されている。また、上述したように、凸部34は、下方からガイド部材85に当接している。また、
図6に示されるように、ガイド部材85の第2リブ98は、第2位置のローラホルダ87に下方から当接可能である。
【0081】
[用紙詰まりに対するガイド部材85及びローラホルダ87の動作]
中間ローラ対86付近で用紙が詰まった場合、ユーザによってガイド部材85が閉位置(
図1参照)から開位置(
図3参照)へ回動される。これにより、用紙が詰まった搬送路65が外部に露出される。
【0082】
用紙が中間ローラ対86に挟持された状態でない場合、ユーザによって用紙は取り出される。
【0083】
用紙が中間ローラ対86に挟持された状態である場合、ユーザによって用紙が後方(または後方斜め上方)へ向けて引っ張られる。このとき、用紙からローラホルダ87の下流ガイド面874へ矢印102の向き(
図5参照)の力が作用する。これにより、ローラホルダ87は、ねじりコイルばね88の付勢力に抗して、第1位置から第2位置へ回動する。その結果、第2ローラ92が第1ローラ91が離間するため、用紙の取り出しが容易となる。
【0084】
また、用紙が中間ローラ対86に挟持された状態である場合、ユーザによってローラホルダ87が把持されて第1位置(
図5参照)から第2位置(
図6参照)へ回動されてもよい。詳細には、ローラホルダ87の下流ガイド面874がユーザによって押圧されることで、ローラホルダ87は第1位置から第2位置へ回動される。これにより、第2ローラ92が第1ローラ91が離間するため、用紙の取り出しが容易となる。
【0085】
用紙が取り出され、且つ、ユーザがローラホルダ87に触れていない状態となると、ローラホルダ87はねじりコイルばね88の付勢力によって、第2位置から第1位置へ回動する。
【0086】
最後に、ユーザによってガイド部材85が開位置から閉位置へ回動される。
【0087】
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、ガイド部材85が閉位置から開位置に回動されることによって、ローラホルダ87が外部に露出される。ここで、本実施形態によれば、ガイド部材85の回動と、ローラホルダ87の回動とが個別に実施可能である。そのため、ガイド部材85が回動されても、ローラホルダ87は回動しない。これにより、ローラホルダ87の不必要な回動が防止できるため、ねじりコイルばね88のへたりを低減することができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、用紙が第1ローラ91及び第2ローラ92に挟持された状態で筐体14の内部において詰まった場合に、ガイド部材85が閉位置から開位置に回動されることによって、用紙を外部に露出させることができる。そして、この状態において、用紙が引っ張られると、用紙から下流ガイド面874へ第1位置から第2位置の向きの力が作用されるため、ローラホルダ87が第1位置から第2位置へ向けて回動する。これにより、第2ローラ92が第1ローラ91から離間するため、詰まった用紙を簡単に取り出すことができるようになる。
【0089】
また、本実施形態によれば、用紙が第1ローラ91及び第2ローラ92に挟持された状態で筐体14の内部において詰まった場合に、ガイド部材85が閉位置から開位置に回動されることによって、用紙を外部に露出させることができる。そして、この状態において、用紙が引っ張られると、用紙から下流ガイド面874へ第1位置から第2位置の向きの力が作用される。ここで、仮に、下流ガイド面874が第1ローラ91より搬送向き16の下流まで延びていない場合、用紙から下流ガイド面874へ作用する力が小さくなってしまい、ローラホルダ87が第1位置から第2位置へ回動することができないおそれがある。本実施形態によれば、下流ガイド面874が第1ローラ91より搬送向き16の下流まで延びているため、用紙から下流ガイド面874へ作用する力を大きくすることができる。これにより、用紙が引っ張られたときにローラホルダ87が第1位置から第2位置へ回動しない可能性を低くすることができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、ガイド部材85が軸31より搬送向き16の下流に位置するため、ガイド部材85が軸31より搬送向き16の上流にまで延びている構成よりも、ガイド部材85を上下方向7に小型化することができる。
【0091】
また、本実施形態によれば、軸31が傾斜面73の上端より下方に位置しているため、軸31が傾斜面73の上端より上方に位置している構成よりも、軸31を下流ガイド面874から遠くに位置させることができる。そのため、ローラホルダ87を第1位置から第2位置へ向けて回動させるために必要な、下流ガイド面874に作用する力を小さくすることができる。つまり、小さな力でローラホルダ87を回動させることができる。
【0092】
また、本実施形態によれば、ローラホルダ87が左右方向9において間隔を空けて複数配置されているため、左右方向9に延びた一つのローラホルダ87が配置された構成よりも、各ローラホルダ87の重量を軽くすることができる。そのため、小さな力で各ローラホルダ87を回動させることができる。
【0093】
また、本実施形態によれば、ローラホルダ87の搬送向き16の下流端は、第1リブ97の搬送向き16の上流端より搬送向き16の下流に位置する。そのため、搬送向き16におけるローラホルダ87と第1リブ97との間に用紙が引っ掛かる可能性を低くすることができる。
【0094】
また、本実施形態によれば、軸31は、隙間94を介して軸受872に嵌合可能である。そのため、ローラホルダ87の筐体14への取付が容易である。また、軸31が軸受872に嵌合されるため、ローラホルダ87を位置決めできる。これにより、第2ローラ92の第1ローラ91に対するニップ精度を良好に維持することができる。
【0095】
[変形例]
上記実施形態では、軸受96の開口961は楕円形状であったが、円形であってもよい。つまり、ガイド部材85は、回動可能且つスライド可能に支持されていたが、スライド可能でなく回動のみ可能に本体95によって支持されていてもよい。
【0096】
上記実施形態では、ガイド部材85が第1リブ97を備えており、第1リブ97の先端が搬送路65の一部を構成していたが、ガイド部材85は第1リブ97を備えていなくてもよい。この場合、例えば、ガイド部材85の本体95における搬送路65を向く面が搬送路65の一部を構成する。
【0097】
上記実施形態では、複合機10は、3つの給送トレイ131、132、133を備えていたが、3つに限らない。例えば、複合機10は、1つの給送トレイ131を備えていてもよい。
【0098】
上記実施形態では、シート搬送装置は、画像記録装置の一例である複合機10においてプリント機能によって画像を記録する用紙を搬送するための装置であった。しかし、シート搬送装置は、上記のような装置に限らない。例えば、シート搬送装置は、スキャナに設けられていてもよい。この場合、シート搬送装置は、スキャナによって画像を読み取られる原稿用紙を搬送する装置である。
【符号の説明】
【0099】
10・・・複合機(画像記録装置)
14・・・筐体(本体)
16・・・搬送向き
65・・・搬送路
85・・・ガイド部材(第1ガイド部材)
87・・・ローラホルダ
88・・・ねじりコイルばね(付勢部材)
91・・・第1ローラ
92・・・第2ローラ
874・・・下流ガイド面