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特許7192323二次電池の再利用方法、管理装置、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】二次電池の再利用方法、管理装置、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/48 20060101AFI20221213BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221213BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H02J7/00 P
H02J7/00 Q
H01M10/44 P
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018166218
(22)【出願日】2018-09-05
(65)【公開番号】P2020038812
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】岡部 一弥
(72)【発明者】
【氏名】相馬 正典
(72)【発明者】
【氏名】向井 寛
(72)【発明者】
【氏名】瀬山 幸隆
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/162014(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/049852(WO,A1)
【文献】特開2003-282156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/48
H02J 7/00
H01M 10/44
G01R 31/36
B60L 50/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに電気的に接続された複数の二次電池セルを含む蓄電装置を放電して、個々のセルの電圧を取得し、
前記放電の条件、満充電容量が最も小さいセルの前記電圧の推移と、他のセルの前記電圧とに基づいて、他のセルの満充電容量を推定し、
それらセルの満充電容量に基づいて前記複数のセル及び/又は蓄電装置の再利用可能性を評価する、二次電池の再利用方法。
【請求項2】
互いに電気的に接続された複数の二次電池セルを含む蓄電装置を放電して、個々のセルの電圧を取得し、
前記放電の放電電気量と、満充電容量が最も小さいセルの前記電圧の推移と、他のセルの前記電圧とに基づいて、他のセルの満充電容量を推定し、
それらセルの満充電容量に基づいて前記複数のセル及び/又は蓄電装置の再利用可能性を評価する、二次電池の再利用方法。
【請求項3】
前記電圧に基づいて、個々のセルの直流内部抵抗を取得し、
取得した直流内部抵抗に基づいて、再利用可能性を評価する、請求項1又は2に記載の二次電池の再利用方法。
【請求項4】
前記蓄電装置が有するバランサを動作させながら前記蓄電装置を充電した後、前記蓄電装置を放電して個々のセルの電圧を取得する、請求項1から3までのいずれか1項に記載の二次電池の再利用方法。
【請求項5】
互いに電気的に接続された複数の二次電池セルを含む蓄電装置を放電して、個々のセルの電圧を取得する取得部と、
前記放電の条件、満充電容量が最も小さいセルの前記電圧の推移と、他のセルの前記電圧とに基づいて、他のセルの満充電容量を推定する推定部と、
それらセルの満充電容量に基づいて前記複数のセル及び/又は蓄電装置の再利用可能性を評価する評価部と
を備える管理装置。
【請求項6】
互いに電気的に接続された複数の二次電池セルの再利用可能性を評価するコンピュータに、
前記セルを含む蓄電装置を放電して、個々のセルの電圧を取得し、
前記放電の条件、満充電容量が最も小さいセルの前記電圧の推移と、他のセルの前記電圧とに基づいて、他のセルの満充電容量を推定し、
それらセルの満充電容量に基づいて前記複数のセル及び/又は蓄電装置の再利用可能性を評価する
処理を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のセルを有する二次電池の再利用方法、管理装置、及びコンピュータプログラムに関する。本明細書では、複数回数の充放電が可能な蓄電池を「二次電池」と総称し、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池に加え、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(コンデンサ)型の蓄電素子も二次電池に含むものとする。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)に搭載される電池パックは、例えば8~20個の電池セル(以下、セルという)を含む電池モジュール(組電池)を、パックケースの中に複数収容している。
【0003】
近年、EVやPHEVで数年間使用された車両駆動用の電池パック、電池モジュール、又はセルを、再利用(リサイクル)するための検討が活発化している(例えば特許文献1参照)。極端な環境(例えば過度の高温環境、度重なる過度のハイレート放電)で使われたものを除けば、車両駆動用に電池パックを10年使用しても、満充電容量は新品時の70%程度維持されていると期待される。このような電池パック又は電池モジュールを、再利用のために車両から取り外して、工場に輸送することが考えられる。工場では、例えば電池モジュールにおいてリユースできるセルを選別し、リユースできるセルを用いて、電池モジュールをリビルド(再構成)する。電池パックにおいてリユースできる電池モジュールを選別し、リユースできる電池モジュールを用いて、電池パックをリビルドしてもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-152110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、使用履歴のある電池パックを解体して得られる複数のセルの残容量を測定し、残容量が、0よりも大きく電池パックが搭載されていた車両での制御範囲の下限値未満の範囲内に設定された残容量下限値以上である電池モジュールを選別する。選別された電池モジュールを用いて、電池パックを組み立てる。
【0006】
車両駆動用の電池パックや電池モジュールは、体積及び重量が大きく、かつ注意深く取り扱う必要があり、エンドユーザによってユーザ対応窓口(例えばカーディラー)に持ち込まれた車両から取り外して輸送するには労力及びコストがかかる。車両から取外されて工場に輸送された電池パックや電池モジュールが、極端に劣化していて結局再利用できないという状況を避けることが、コスト抑制のために望まれる。
【0007】
本発明の目的は、再利用に適さない電池を、取り外し前又は輸送前に、検出(選別)することを可能にする二次電池の再利用方法、管理装置、及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る二次電池の再利用方法は、互いに電気的に接続された複数の二次電池セルを含む蓄電装置を放電して、個々のセルの電圧の推移を取得し、前記放電の情報と前記電圧の推移とに基づいて前記複数のセル及び/又は蓄電装置の再利用可能性を評価する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、再利用に適さないセルを、取り外し前又は輸送前に、検出(選別)することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る車両及び管理装置の構成を示すブロック図である。
図2】BMUの構成を示すブロック図である。
図3】電池モジュールの斜視図である。
図4】電池モジュール又はセルの再利用の過程を示すフローチャートである。
図5】管理装置の制御部による電池モジュールのセルの再利用可能性の評価処理の手順を示すフローチャートである。
図6】最小容量のセル及び他のセルの満充電容量の求め方を説明するための説明図である。
図7】管理装置の制御部による電池モジュール又はセルの再利用可能性の評価処理の手順を示すフローチャートである。
図8】電池パックの電池モジュールのうち、電池モジュール(a)、(b)、(c)の各セルの満充電容量を示すグラフである。
図9】電池パックの電池モジュールのうち、電池モジュール(a)、(b)、(c)の各セルの内部抵抗を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態の概要)
実施形態に係る二次電池の再利用方法は、互いに電気的に接続された複数の二次電池セルを含む蓄電装置を放電して、個々のセルの電圧の推移を取得し、前記放電の情報と前記電圧の推移とに基づいて前記複数のセル及び/又は蓄電装置の再利用可能性を評価する。
【0012】
「蓄電装置」は、電池パックであってもよいし、電池モジュールであってもよい。蓄電装置は、通常の電池パックまたは電池モジュールが備える、個々のセルの電圧を測定する電圧センサ(例えば電圧測定回路、セル監視IC)が、取り外されていないことが好ましい。
「放電の情報」は、放電レート(例えばCレート)、放電時の環境温度等を含んでもよい。「放電の情報」は、少なくともその一部が、一定値に設定されてもよい。
放電は、評価用の負荷に対して行ってもよいし、車両に搭載されている負荷に対して行ってもよい。実質的に一定の条件で放電を行えることから、評価用の負荷に蓄電装置を接続してそれに対して放電を行うことが好ましい。
【0013】
「複数のセル及び/又は蓄電装置の再利用可能性の評価」とは、電池モジュールの個々のセルの再利用可能性の評価、複数のセルを有する電池モジュールの再利用可能性の評価、又は複数の電池モジュールを有する電池パックの再利用可能性の評価をいう。
【0014】
車両に搭載されている蓄電装置は、使用履歴(電流履歴、電圧履歴、温度履歴等)が記録されていることが多い。記録された使用履歴に基づいて、セルの健全度(SOH:State Of Health)をおおまかに推定することができる。しかし、このような使用履歴に基づく推定の精度は十分には高くないことがある。そこで、使用履歴に基づくSOH推定によって再利用可能性のプレ評価(一次選別)を行い、更なる評価(二次選別)のために上述の方法を用いてもよい。
【0015】
上述の方法によれば、蓄電装置に組まれた状態で個々のセルの電圧挙動を測定することで、より高い精度でSOHを推定できる。
従来、セルのSOHを評価する場合、セルを電池パックや電池モジュールから取り外して(蓄電装置を解体して)、個別のセルについて評価を行うことが一般的である。この従来の評価方法は、労力及びコストの負担が大きい。
本発明者らは、低コストでの再利用可能性の評価という目的に照らして、蓄電装置を解体する前に各セルのSOHを放電の情報と電圧の推移とを用いて検出できる上述の方法を考案した。上述の方法により、再利用に適さないセル及び/又は蓄電装置を、コストが高くかかる解体及び工場への輸送の前に、簡便に検出できる。
【0016】
上述の二次電池の再利用方法において、前記放電の情報と、満充電容量が最も小さいセルの電圧の推移とに基づいて、他のセルの満充電容量を推定し、それらセルの満充電容量に基づいて、再利用可能性を評価してもよい。
【0017】
二次電池セルは、劣化に伴い、満充電容量が低下する。互いに電気的に接続された複数のセルを含む蓄電装置を放電する場合、満充電容量が最も小さいセル(以下、最小容量セルともいう)が最初に放電下限電圧(更に放電を継続すると過放電に至ることを示す下限電圧)に達する。この最小容量セルについては、この放電プロセスを通じて満充電容量を直接測定できる。他の二次電池セルは未だ放電下限電圧に達していないため満充電容量を直接測定することはできないが、上述の放電プロセスにおける最小容量セルの電圧挙動に基づいて、他の二次電池セルの満充電容量を推定することができる。複数のセル(最小容量セルと、他のセル)の満充電容量に基づいて、再利用可能性を評価することで、セル及び/又は蓄電装置の再利用可能性の評価の精度を高めることができる。
【0018】
上述の二次電池の再利用方法において、前記電圧の推移に基づいて、個々のセルの直流内部抵抗を取得し、取得した直流内部抵抗に基づいて、再利用可能性を評価してもよい。
【0019】
放電プロセスにおける蓄電装置に流れる電流値と、個々のセルの電圧とから、個々のセルの直流内部抵抗を求めることができる。直流内部抵抗も考慮して再利用可能性を評価することで、評価の精度を高めることができる。
【0020】
上述の二次電池の再利用方法において、前記蓄電装置が有するバランサを動作させながら前記蓄電装置を充電した後、前記蓄電装置を放電して個々のセルの電圧の推移を取得してもよい。
【0021】
再利用可能性の評価対象である蓄電装置は、通常の電池パックまたは電池モジュールが備える、個々のセルに並列接続されたバランサが、取り外されていないことが好ましい。バランサを動作させながら蓄電装置を充電することで、充電終了時の個々のセルの電圧を実質的に揃えることができる。その状態から蓄電装置を放電して、個々のセルの電圧の推移を取得することで、再利用可能性の評価の精度を高めることができる。
【0022】
実施形態に係る管理装置は、互いに電気的に接続された複数の二次電池セルを含む蓄電装置を放電して、個々のセルの電圧の推移を取得する取得部と、前記放電の情報と前記電圧の推移とに基づいて前記複数のセル及び/又は蓄電装置の再利用可能性を評価する評価部とを備える。
【0023】
上記構成によれば、蓄電装置を解体する前に、各セルのSOHを放電の情報と電圧の推移とを用いて検出でき、再利用に適さないセル及び/又は蓄電装置を、労力及びコストがかかる解体及び工場への輸送の前に、簡便に選別できる。
【0024】
実施形態に係るコンピュータプログラムは、互いに電気的に接続された複数の二次電池セルの再利用可能性を評価するコンピュータに、前記セルを含む蓄電装置を放電して、個々のセルの電圧の推移を取得し、前記放電の情報と前記電圧の推移とに基づいて前記複数のセル及び/又は蓄電装置の再利用可能性を評価する処理を実行させる。
【0025】
(実施形態1)
車両に搭載される蓄電装置(リチウムイオン二次電池)を例に、再利用方法を説明する。
図1は、車両1(本実施形態では、自動車等の四輪車両)及び管理装置13の構成を示すブロック図である。
車両1は、リチウムイオン二次電池セル2と、CMU(Cell Monitoring Unit)5と、BMU(Battery Management Unit)6と、統括ECU(Electronic Control Unit)7と、通信部8と、負荷9と、電流センサ10と、温度センサ11とを備える。電池パック4は、複数のリチウムイオン二次電池セル2が直列及び/又は並列に接続された電池モジュール3を、複数含む。本実施形態では、複数のリチウムイオン二次電池セル2が直列に接続された電池モジュール3が、複数直列に接続されている。
【0026】
統括ECU7は、車両1の電源装置全体を制御する。統括ECU7は車両1がHEV車又はガソリン車である場合、エンジンも制御する。統括ECU7とBMU6とは、例えばCAN通信によりデータの送受信を行う。
【0027】
管理装置13は、制御部14、記憶部15、入力部16、インタフェース部17を備える。これらのコンポーネントは、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
入力部16は、電流センサ10、温度センサ11の検出結果、後述するSOC-OCVデータ63及び使用履歴64の入力を受け付ける。インタフェース部17は、例えば、LANインタフェース等により構成され、有線又は無線により、例えばLAN等のネットワーク12及び通信部8を介し、統合ECU7との通信を行う。ネットワーク12はインターネットでもよい。インタフェース部17は、LANインタフェースに限定はされない。
代替的に、管理装置13は、通信部8及び統合ECU7を介さずに、BMU6と通信してもよい。
【0028】
記憶部15は、例えばハードディスクドライブ(HDD)等により構成され、各種のプログラム及びデータを記憶する。記憶部15には、二次電池の再利用可能性を評価するための評価プログラム151が格納されている。評価プログラム151は、例えば、CD-ROMやDVD-ROM、USBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体18に格納された状態で提供され、管理装置13にインストールすることにより記憶部15に格納される。代替的に、ネットワーク12に接続されている図示しない外部コンピュータから評価プログラム151を取得し、記憶部15に記憶させてもよい。
【0029】
制御部14は、例えばCPUやROM、RAM等により構成され、記憶部15から評価プログラム151を読み出して実行することにより、二次電池の再利用可能性の評価処理を実行する処理部として機能する。
【0030】
以下、管理装置13が二次電池の再利用可能性の評価を行う場合につき説明する。(代替的に、BMU6又は統括ECU7が、管理装置として機能してもよい。BMU6又は統括ECU7が管理装置として機能する場合、車両1に管理装置13を接続する必要はない。)本実施形態では、CMU5を含む電池モジュール3が、「蓄電装置」として機能する。
BMU6は、電池ECUであってもよい。
【0031】
CMU5には、電圧ばらつきを解消するためのバランサ(回路)と、各セル2の電圧を検出する電圧センサとが設けられている(不図示)。バランサは、各セル2に対して並列に接続された放電回路であり、スイッチ及び抵抗器を有してもよい。スイッチは、CMU5に含まれる制御回路からの制御信号によってオン/オフされる。電圧センサは、検出したセル2の電圧をBMU6へ伝達する。
【0032】
CMU5は、各セル2の状態を監視する電子制御装置(監視基板)である。
CMU5は、セル2間に電圧ばらつきがある場合に、電圧の高いセル2と、他のセル2とが同等の電圧になるように、電圧の高いセル2を放電させるバランシングを実施する。即ち、放電させるセル2のバランサのスイッチをオンして、該セルの電圧を下げ、他のセルの電圧に一致させる。
【0033】
図2は、BMU6の構成を示すブロック図である。BMU6は、制御部61と、記憶部62と、入力部66と、インタフェース部67とを備える。これらのコンポーネントは、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0034】
入力部66は、電流センサ10、温度センサ11、CMU5の電圧センサの検出結果の入力を受け付ける。インタフェース部67は、例えば、CANインタフェース等により構成され、有線又は無線により統合ECU7等の他の装置との通信を行う。インタフェース部67は、LANインタフェース及び/又はUSBインタフェースであってもよい。
【0035】
記憶部62は、ハードディスクドライブ(HDD)等により構成され、各種のプログラム及びデータを記憶する。
【0036】
記憶部62には、予め実験により複数の条件別に求めた、SOC(State Of Charge)とOCV(Open Circuit Voltage)との関係を示すSOC-OCVデータ63が記憶されている。記憶部62には、使用履歴(電流履歴、電圧履歴、温度履歴等)64も記憶されている。
【0037】
制御部61は、例えばCPUやROM、RAM等により構成され、記憶部62から読み出したコンピュータプログラムを実行することにより、BMU6の動作を制御する。
【0038】
図3は、電池モジュール3の斜視図である。
電池モジュール3は、複数のセル2を保持する保持部材31(例えば、直方体状のモジュールケース、セル2を圧迫した状態で拘束する拘束部材)と、複数のセル2と、CMU5とを備える。
【0039】
セル2は、直方体状のケース本体21と、蓋板22と、蓋板22に設けられた、極性が異なる一対の端子23,23と、ケース本体21に収容された電極体24とを備える。電極体24は正極板、セパレータ、及び負極板を積層してなる。
電極体24は、長尺帯状の正極板と負極板とをセパレータを介して積層し扁平状に巻回して得られる巻回タイプであってもよいし、長方形板状の正極板と負極板とをセパレータを介して積層したスタックタイプであってもよい。
セル2は、角形セル(prismatic cell)に限らず、円筒形セルやパウチセルであってもよい。再利用の観点からは、堅牢な金属製のケース本外を有して長期寿命を期待できる、角形セルや円筒形セルが好ましい。特に、エネルギー密度を下げることなく(セル間にデッドスペースを生じることなく)個々のセルの容量を大きくできる角形セルが好ましい。角形セルのケース本体の材質としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス等を採用できる。再利用の観点からは、電池膨れを生じにくい、ステンレス製のケース本体21及び蓋板22を有する角形セルが好ましい。
【0040】
正極板は、アルミニウムやアルミニウム合金等からなる板状(シート状)又は長尺帯状の金属箔である正極基材上に活物質層が形成されたものである。負極板は、銅及び銅合金等からなる板状(シート状)又は長尺帯状の金属箔である負極基材上に活物質層が形成されたものである。セパレータは、合成樹脂からなる微多孔性のシートである。セパレータは、正極板及び負極板とは別個の部材であってもよいし、正極板又は負極板に一体化されていてもよい。
【0041】
正極板に含まれる正極活物質、又は負極板に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な正極活物質又は負極活物質であれば、適宜の公知の材料を使用できる。
正極活物質としては、例えば、LiMPO4 、LiMSiO4 、LiMBO3 (MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種以上の遷移金属元素)等のポリアニオン化合物、チタン酸リチウム、マンガン酸リチウム等のスピネル化合物、LiMO2 (MはFe、Ni、Mn、Co等から選択される1種以上の遷移金属元素)等のリチウム遷移金属酸化物等を用いることができる。
【0042】
負極活物質としては、ハードカーボン、Si、Sn、Cd、Zn、Al、Bi、Pb、Ge、Ag等の金属若しくは合金、又はこれらを含むカルコゲン化物等が挙げられる。カルコゲン化物の一例として、SiOが挙げられる。
【0043】
電池モジュール3の隣り合うセル2の隣り合う端子23は極性が異なり、これら端子23同士がバスバー32により電気的に接続されることで、複数のセル2が直列に接続されている。
電池モジュール3の両端のセル2の、互いに極性が異なる端子23,23には、隣接する電池モジュール3に電気的に接続するためのリード(外部接続部材)33,33が設けられている。
【0044】
以下、電池パック4、電池モジュール3又はセル2の再利用について詳述する。
図4は、電池モジュール3又はセル2の再利用の過程を示すフローチャートである。
管理装置13により、統合ECU7から取得した車両の走行距離、BMU6から取得した各電池モジュール3の使用履歴64等に基づいて、一次選別を行う(S1)。管理装置13は例えば電池モジュール3の使用履歴64に基づいて、セル2のSOHを推定し、SOHが閾値以上である電池モジュール3を再利用可能性の評価を行う電池モジュール3として選別する。
【0045】
管理装置13により、再利用可能性の評価を行う(S2)。管理装置13は、電池モジュール3がリユース可能であるか否か、又は、電池モジュール3に含まれるセル2がリユース可能であるか否かを評価する。
【0046】
管理装置13が、再利用可能性を満足すると評価した場合、電池パック4又は電池モジュール3が工場へ輸送される(S3)。ここで、電池モジュール3がリユース可能であるセル2を含むと評価された場合、電池モジュール3を輸送してもよいし、リユース可能であるセル2のみを輸送してもよい。電池パック4がリユース可能である電池モジュール3を含むと評価された場合、電池パック4を輸送してもよいし、リユース可能である電池モジュール3のみを輸送してもよい。
【0047】
工場では、リビルド可能性が評価される(S4)。リユース可能であると評価されたセル2を、リビルト電池モジュールに用いることが可能であるか否かが判定される。セル2に対し回復操作が実施され、容量チェック及び短絡検査等の所定の試験が行われる。
又は、リユース可能であると評価された電池モジュール3を、リビルト電池パックに用いることが可能であるか否かが判定される。電池モジュール3に対し回復操作が実施され、所定の試験が行われる。
【0048】
こうして、リユース可能であると評価されたセル2を用いて、例えば初期の用途とは異なる用途の電池モジュールがリビルドされる。又はリユース可能であると評価された電池モジュール3を用いて、例えば初期の用途とは異なる用途の電池パックがリビルドされる(S5)。
【0049】
電池パック4は、多数(例えば8個~20個)のセル2を含む電池モジュール3を、複数個(例えば10個)有しており、新品の電池パック4の価格は比較的高い。車両に搭載された電池パック4において、空冷の影響等により、個々の電池モジュールの劣化の度合いが異なる。例えば、車両1の前側の電池モジュール3は、後ろ側の電池モジュール3より加温され易く、劣化し易い場合がある。電池パック4全体として満充電容量の維持率が、新品時の70%である場合に、車両前側の電池モジュールの容量維持率は60%で、後ろ側の電池モジュールの容量維持率は75~80%であることもある。
使用済みの電池パック4全体を材料のリサイクルのために回収し、又は廃棄するのは、経済的に合理的でなく、資源保護の観点からも改善の余地がある。電池モジュール3がリユース可能であるか否かを評価することで、電池パック4全体をリユースしたり、リユースできる電池モジュール3を用いて電池パック4をリビルドできる。電池モジュール3をリユースできない場合、リユース可能と評価されたセル2を用いて電池モジュール3をリビルドできる。リビルト品は新品と比較して低価格にすることができる。
【0050】
図5は、管理装置13の制御部14による、電池モジュール3のセル2の再利用可能性の評価処理の手順を示すフローチャートである。
制御部14は、各CMU5によりバランシング制御を行いながら各電池モジュール3の各セル2の充電を行う(S11)。CMU5(バランサ)を用いながら評価のための充電を行うことで、充電終了時の各セル2の電圧が実質的に揃えられる。
制御部14は、各電池モジュール3を放電して、各セル2の放電電圧の推移をCMU5(電圧センサ)を用いて取得するとともに、放電の条件を取得する(S12)。放電の条件は、入力部16により入力されてもよい。放電の条件としては、放電レート(Cレート)、及び温度センサ11から取得した温度等が挙げられる。放電時の負荷9は、上述したように、評価用の負荷であることが好ましい。
【0051】
制御部14は、各セル2の内部抵抗を算出する(S13)。
制御部14は、電流積算法によりセル2のSOCを算出する。制御部14は、BMU6の記憶部62からSOC-OCVデータ63を読み出し、SOCに対応するOCVを取得する。制御部14は、電流センサ10により検出した電流I、及び電圧センサにより検出したセルの電圧Vに基づき、下記の式(1)により内部抵抗Rを算出する。
R=(V-OCV)/I…(1)
内部抵抗の算出方法は、これに限定はされず、他の公知の手法を採用してもよい。
【0052】
制御部14は、最小容量セルの満充電容量を取得する(S14)。
制御部14は、他のセルの満充電容量を算出する(S15)。
【0053】
図6は、最小容量のセル2及び他のセル2の満充電容量の求め方を説明するための説明図である。
ここでは、電池モジュール3が(a)、(b) 、(c)の3つのセル2を含む場合を説明する。
【0054】
セル2が直列に接続された電池モジュール3においては、最小容量のセル(a)が放電下限電圧(ここでは2.8V)に達した場合、他のセル(b)、(c)が下限電圧に達していなくても、それ以上放電を行うことはできない。セル(a)が過放電となってしまうためである。
電池モジュール3で、実際に測定できるのは、個々のセル2の放電電圧の推移と、電池モジュール3全体の放電電気量(Ah)である。3つのセル2を有する電池モジュール3について、セル(a)が放電下限電圧に達するまでに電池モジュール3が87Ahの電気量を放電した場合、一つのセル2は29Ah放電したことになる。
【0055】
本発明者らは、セル(b)、(c)の放電曲線は、最小容量セルの放電曲線とほぼ相似な形状(数学的に厳密な相似を意味するものではなく、放電末期の曲線の傾きが各セルでほぼ等しく、最小容量セルの放電曲線をX軸方向に延長した形状)を持つと仮定し、次の算出法を用いることを着想した。
セル(c)のカット電圧(最小容量セル(a)が放電下限電圧に達した時点の電圧)は3.52Vである。最小容量セル(a)において、電圧が3.52VのときのSOCは、91%であったとする。セル(c)の放電曲線はセル(a)の放電曲線と相似な形状を持つと仮定すると、セル(C)においては、29AhがSOC91%に相当するので、SOC100%のときの満充電容量は、29(Ah)/91(%)=31.9(Ah)と算出される。セル(c)の満充電容量を求めるとは、図6のグラフにおいて、セル(c)の放電曲線を放電下限電圧(2.8V)にまで仮想的に延長することを意味する。セル(b)の満充電容量も同様にして求められる。
複数セルの満充電容量の算出方法は、これに限定されない。カット電圧に基づいて、より簡易的に算出してもよい。
【0056】
制御部14は、電池モジュール3内に、上述のようにして求めた満充電容量がa1 (Ah)以上であるセル(以下、高容量セルという)2が存在するか否かを判定する(S16)。
制御部14は、高容量セルが存在しないと判定した場合(S16:NO)、セル2の材料をリサイクルすると判定し(S17)、処理を終了する。S17において、制御部14は、セル2を廃棄すると判定してもよい。
【0057】
制御部14は高容量セルが存在すると判定した場合(S16:YES)、該高容量セルの内部抵抗がc1 (Ω)以下であるか否かを判定する(S18)。制御部14は高容量セルの内部抵抗がc1 以下でないと判定した場合(S18:NO)、処理をS17へ進める。
制御部14は該高容量セルの内部抵抗がc1 以下であると判定した場合(S18:YES)、高容量セルはリユース可と評価し(S19)、処理を終了する。
【0058】
本実施形態によれば、電池モジュール3を解体しなくても、個々のセル2を放電させてその電圧の推移を測定することで、高い精度でSOHを推定できる。セル2を電池パック4や電池モジュール3から取り外し、個別のセル2について評価を行う場合、労力及びコストの負担が大きい。本実施形態によれば、再利用に適さないセル2を含む電池モジュール3を、コストが高くかかる解体及び工場への輸送の前に、簡便に選別できる。
【0059】
本実施形態においては、S11においてバランシングを行っているが、バランシングを行わずに充電してもよい。但し、バランシングを行い、充電終了時の各セル2の電圧を揃えた方が、再利用可能性の評価の精度が高くなる。S12で放電条件を取得しているが、放電レートが一定であり、温度が略一定である場合等は、放電条件を取得しなくてもよい。
満充電容量が高いと判定された場合(S16:YES)、内部抵抗はチェックせずにセルのリユース可能と判定してもよい。但し、高容量セルの内部抵抗がc1 以下であるか否かを判定することにより、セル2の評価の精度が向上する。
【0060】
(変形例)
変形例においては、電池モジュール3及びセル2の再利用可能性の評価を行う。
図7は、管理装置13の制御部14による電池モジュール3及びセル2の再利用可能性の評価処理の手順を示すフローチャートである。
制御部14は、各CMU5によりバランシング制御を行いながら各電池モジュール3のセル2の充電を行う(S21)。
制御部14は、電池モジュール3を放電して、セル2の放電電圧の推移、及び放電条件を取得する(S22)。
制御部14は、内部抵抗を算出する(S23)。
制御部14は、最小容量セルの満充電容量を取得する(S24)。
制御部14は、他のセルの満充電容量を算出する(S25)。
【0061】
制御部14は、最小容量のセル2及び他のセル2の容量に基づいて、電池モジュール3のセル2の容量のばらつき(σ)を算出する(S26)。
【0062】
制御部14は、最小容量セルの満充電容量がa1 (Ah)以上であるか否かを判定する(S27)。
制御部14は、最小容量セルの満充電容量がa1 以上であると判定した場合(S27:YES)、電池モジュール3のセル2の容量のばらつきがb1 以下であるか否かを判定する(S28)。制御部14は、電池モジュール3のセルの容量のばらつきがb1 以下でないと判定した場合(S28:NO)、処理をS33へ進める。
【0063】
制御部14は、電池モジュール3のセルの容量のばらつきがb1 以下であると判定した場合(S28:YES)、内部抵抗>c1 のセルがあるか否かを判定する(S29)。制御部14は、内部抵抗>c1 のセルがあると判定した場合(S29:YES)、処理をS33へ進める。
制御部14は、内部抵抗>c1 のセルがないと判定した場合(S29:NO)、電池モジュール3のリユースが可能と評価し(S30)、処理を終了する。
【0064】
最小容量セルの満充電容量がa1 以上でないと判定した場合(S27:NO)、電池モジュール3内に、容量がa1 以上であるセル(高容量セル)が存在するか否かを判定する(S31)。制御部14は高容量セルが存在しないと判定した場合(S31:NO)、セル2の材料をリサイクルすると判定し(S32)、処理を終了する。制御部14はセル2を廃棄すると判定してもよい。
【0065】
制御部14は高容量セルが存在すると判定した場合(S31:YES)、該高容量セルの内部抵抗がc1 以下であるか否かを判定する(S33)。
制御部14は高容量セルの内部抵抗がc1 以下でないと判定した場合(S33:NO)、処理をS32へ進める。
制御部14は該高容量セルの内部抵抗がc1 以下であると判定した場合(S33:YES)、高容量セルはリユース可と評価し(S34)、処理を終了する。
【0066】
図8は、電池パック4における各電池モジュール3の各セル2の満充電容量を示すグラフである。各電池モジュール3が8個のセル2を有する場合を示す。図8においては、電池モジュール(a)、(b)、(c)の各セル2の満充電容量のみを示している。
図8に示すように、電池モジュール3内で、8つのセル2の容量にばらつきがあり、電池パック4内においても、電池モジュール3間で容量のばらつきがあることが分かる。
【0067】
図9は、電池パック4における各電池モジュール3の各セル2の内部抵抗(直流内部抵抗)を示すグラフである。図9においては、電池モジュール(a)、(b)、(c)の内部抵抗のみを示している。
図9に示すように、電池モジュール3内で、8つのセル2の内部抵抗にばらつきがあり、電池パック4内においても、電池モジュール3間で内部抵抗のばらつきがあることが分かる。
【0068】
本実施形態においては、S27で、最小容量のセル2の容量がa1 以上と判定された場合に、セル2の容量のばらつきがb1 より大きいときに、電池モジュール3をリユースせず、高容量のセル2のみをリユースする。電池モジュール3が、容量が平均値より大きく離れたセル2を含む場合、工場へ輸送した後、セル2の容量を揃えて電池モジュール3をリユースすることができず、電池パック4にリビルドできないためである。
【0069】
S28で、容量のばらつきがb1 以下であると判定された場合に、内部抵抗がc1 より大きいセル2を含むときに、電池モジュール3をリユースせず、高容量のセル2のみをリユースする。電池モジュール3が、内部抵抗が大きいセル2を含む場合、該セル2の劣化度が高く、リビルドした電池パック4の寿命が短くなるためである。
【0070】
上述したように、車両1の後ろ側の電池モジュール3は、前側の電池モジュール3より劣化し難いので、容量が高い。このような電池モジュール3を選び出し、リユースできる電池モジュール3を用いて電池パック4をリビルドしてもよい。
【0071】
本発明は上述した実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0072】
本発明に係る二次電池の再利用方法は、車載用に限定されず、鉄道用回生電力貯蔵装置、太陽光発電システム等の分散電源装置に用いられる二次電池にも適用できる。
管理装置も、車載用に限定はされない。管理装置は、ユーザ対応窓口(エンドユーザが蓄電装置を持ち込むサイト)に設置されるか持ち込まれて、そこで二次電池の再利用可能性の評価を行うことが好ましい。管理装置は、ユーザ対応窓口に設置された情報端末であってもよい。
管理装置は、可搬型の情報端末であってもよい。管理装置は、車両に接続するためのプローブ又はケーブルを有してもよい。管理装置は、可搬型の情報端末であって、車両と無線通信(例えば近距離無線通信)を行い、二次電池の再利用可能性を評価することが好ましい。
二次電池はリチウムイオン二次電池に限定はされず、ニッケル水素電池、電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(コンデンサ)型の蓄電素子等の他の二次電池であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、リチウムイオン二次電池等の二次電池セル及び/又はそのようなセルが複数組まれた蓄電装置の再利用可能性の評価に適用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 車両
2 セル
3 電池モジュール(蓄電装置)
4 電池パック(蓄電装置)
5 CMU
6 BMU
14 制御部(取得部、評価部)
61 制御部
15、62 記憶部
151 評価プログラム
63 SOC-OCVデータ
64 使用履歴
16、66 入力部
17、67 インタフェース部
7 統合ECU
8 通信部
10 電流センサ
11 温度センサ
13 管理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9