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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】光トランシーバ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/42 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
G02B6/42
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018176474
(22)【出願日】2018-09-20
(65)【公開番号】P2020046584
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】沖 和重
【審査官】林 祥恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-155863(JP,A)
【文献】特開2009-016682(JP,A)
【文献】特開2014-119712(JP,A)
【文献】特開2012-083429(JP,A)
【文献】特開2009-036843(JP,A)
【文献】特開2013-054214(JP,A)
【文献】特開2012-064936(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0254831(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107608039(CN,A)
【文献】特開2012-145617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/26-6/27
G02B 6/30-6/34
G02B 6/42-6/43
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間と、前記内部空間を画成し、互いに対向する第1の面及び第2の面を有する筐体と、
パッケージと、前記パッケージに取り付けられたスリーブと、を有し、前記スリーブが前記筐体に固定されると共に、前記パッケージが前記内部空間に収容される光モジュールと、
可塑性または可撓性を有し、前記パッケージと前記第1の面との間に介在する放熱部材と、
前記光モジュールと前記第2の面との間に介在し、前記第2の面に接触すると共に前記筐体の前記第2の面に着脱可能に固定される補助部材と、
前記パッケージ及び前記補助部材の間に介在する樹脂部材と、
を備える光トランシーバ。
【請求項2】
前記放熱部材は、放熱ゲルである、
請求項1に記載の光トランシーバ。
【請求項3】
前記補助部材は、前記筐体の外側から挿入されるネジによって前記第2の面に着脱可能に固定され
前記補助部材は、前記パッケージが載置される載置部と、前記ネジが挿入されるネジ穴を有する固定部と、を有する
請求項1又は2に記載の光トランシーバ。
【請求項4】
前記樹脂部材と前記パッケージとの間に介在するテープを更に備え
前記テープは、前記パッケージに接触する第1面と、前記樹脂部材に接触する第2面と、を有し、
前記第1面は粘着性を有し、
前記第2面は粘着性を有さない、
請求項1~3のいずれか一項に記載の光トランシーバ。
【請求項5】
前記樹脂部材は、前記補助部材と前記パッケージとの間に充填されるときには液状であって充填された後に硬化する材料によって構成される、
請求項に記載の光トランシーバ。
【請求項6】
前記スリーブが所定の位置から変位して前記パッケージに取り付けられたときに、前記補助部材の厚さが前記スリーブの変位量に応じて調整され
前記樹脂部材の厚さは、0.3mm以下に設定されている
請求項1~5のいずれか一項に記載の光トランシーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光トランシーバに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、発光素子が実装される光サブアセンブリと、ICが実装される回路基板とを備えた光トランシーバが記載されている。光サブアセンブリと回路基板は放熱カバーによって覆われている。光サブアセンブリはセラミックパッケージによって構成されており、セラミックパッケージの回路基板側の背面には放熱面が設けられている。放熱面は、放熱カバーの放熱接触面に直交するように配置され、放熱面には放熱ブロックが熱結合される。放熱ブロックは、放熱カバーの放熱接触面にスライド可能に密接するように固定されている。
【0003】
特許文献2には、スリーブ部及びボックス部を有するバタフライ型の光モジュールと、光モジュールを収容するハウジングとを備えた光トランシーバの放熱構造が記載されている。スリーブ部はハウジングの内面に直接固定されており、ボックス部は補助部材を介してハウジングの内面に固定されている。ボックス部と補助部材との間には熱伝導性グリス及び弾性部材が介在している。
【0004】
特許文献3には、光通信用モジュールが記載されている。光通信用モジュールは、発光素子及びTECを有する光送信部と、受光素子を有する光受信部と、光送信部及び光受信部を収容する筐体とを備える。光送信部と筐体の内面との間には、光送信部に接触する第1接続材と、筐体の内面に接触する第2接続材と、第1接続材及び第2接続材の間に介在する金属板とが設けられる。第1接続材の熱伝導率、及び第2接続材の熱伝導率は、共に金属板の熱伝導率よりも小さい。このように、光送信部と筐体とは、第1接続材、金属板及び第2接続材を介して熱的に接続されている。
【0005】
特許文献4には、筐体と、光送信素子と、複数の放熱シートと、回路基板と、グラファイトシート部材とを備えた光通信モジュールが記載されている。筐体は、光送信素子、グラファイトシート部材、複数の放熱シート、及び回路基板を収容する。グラファイトシート部材は、光送信素子と筐体の底壁に載せられた放熱シートとの間から、他の放熱シートと筐体の底壁との間に延び出している。このように、光送信素子は、筐体の底壁に載せられた放熱シート及びグラファイトシート部材を介して当該底壁と熱的に接続されている。
【0006】
特許文献5には、キャビネットと、カバーとを備えた光モジュールが記載されている。キャビネットの内部には、電気基板と、光トランシーバ部と、固定部材と、熱伝導性シートとが収容されている。固定部材はカバーの内面に接触しており、固定部材と光トランシーバ部との間に熱伝導性シートが介在している。これにより、光トランシーバ部の熱は、熱伝導性シート及び固定部材を介してカバーに伝達される。
【0007】
特許文献6には、回路基板と、光サブアセンブリと、熱伝導材と、ハウジングとを備えた光トランシーバが記載されている。回路基板、光サブアセンブリ及び熱伝導材はハウジングに収容されている。熱伝導材は光サブアセンブリと回路基板との間に配置され、熱伝導材の一部はハウジングの外部に延び出している。熱伝導材は、光サブアセンブリにおいて生じた熱を、熱伝導材を介してハウジングの外部に放熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2012-64936号公報
【文献】特開2007-155863号公報
【文献】特開2011-215620号公報
【文献】特開2014-119712号公報
【文献】米国特許第8040675号公報
【文献】欧州特許第1557704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、光トランシーバは、光サブアセンブリ等の光モジュールと、外部のホストシステムに電気的に接続される電気プラグに接続される回路基板と、光モジュール及び回路基板を収容する筐体とを備える。筐体の一端には光コネクタが挿入される光レセプタクルが一体化されており、筐体の他端には電気プラグが露出している。光モジュールはパッケージとパッケージから延び出すスリーブとを有し、スリーブはパッケージにYAG溶接によって固定される。
【0010】
光モジュールは発熱部品となりうるため、光モジュールからの熱を放熱させることが求められる。例えば、光モジュールは、光信号と電気信号との相互変換を行うために電力を消費してジュール熱を発生する。特に、電気信号から光信号を生成して送信する場合、光パワーの大きな光信号を生成するために、それだけ大きい電力を必要とする。ジュール熱の放熱が不十分な場合、光モジュールの温度が過度に上昇して安定した動作が得られなくなる虞がある。そこで、例えば、パッケージ上面から放熱を行う場合に、光モジュールのパッケージの下面と筐体の内面との間に空間を形成すると共に、パッケージの上面と筐体の内面との間に放熱シートを介在させることが考えられる。この場合、パッケージの下面と筐体の内面との間に空間が形成されると共に、パッケージの上面は放熱シートから下方向への反力を受ける。従って、筐体への衝撃作用時等に、パッケージの上面に対する下方向への反力により、パッケージとスリーブとの間のYAG溶接がなされた部分に高い応力がかかる懸念がある。
【0011】
また、放熱シートに代えて、パッケージの上面と筐体の内面との間に放熱ゲルを介在させることが考えられる。放熱ゲルは、放熱シートと比較して薄くすることが可能であるため、熱抵抗を小さくすることは可能である。しかしながら、放熱ゲルを介在させた場合であっても、パッケージの上面に対する下方向への反力により、パッケージとスリーブとの間のYAG溶接がなされた部分に高い応力がかかる可能性がある。
【0012】
更に、放熱シート及び放熱ゲルに代えて、パッケージの上面と筐体の内面との間に放熱接着剤を介在させることが考えられる。放熱接着剤は、放熱ゲルと同様、薄くすることが可能であるため熱抵抗を小さくすることが可能である。更に、放熱接着剤は、パッケージを筐体に接着固定し、パッケージの上面に対する反力が生じないため、パッケージとスリーブの間にかかる応力は低減される。しかしながら、一度放熱接着剤でパッケージを筐体の内面に固定させると、パッケージを筐体から外すことが困難であるため、部品のメンテナンスが難しいという問題がある。
【0013】
また、パッケージの上面と筐体の内面との間、及びパッケージの下面と筐体の内面との間、の両方に放熱シートを介在させることが考えられる。この場合、パッケージの上面に放熱シートからの下方向への反力がかかると共に、パッケージの下面に放熱シートからの上方向への反力がかかる。よって、筐体への衝撃作用時等にパッケージに上下両方向からの反力がかかるため、パッケージとスリーブとの間に高い応力がかかることが想定される。
【0014】
本発明は、光モジュールの放熱性を高めてパッケージとスリーブの間にかかる応力を低減させることができると共に、部品のメンテナンスを容易に行うことができる光トランシーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述した問題を解決するため、本発明の一側面に係る光トランシーバは、内部空間と、内部空間を画成し、互いに対向する第1の面及び第2の面を有する筐体と、パッケージと、パッケージに取り付けられたスリーブと、を有し、スリーブが筐体に固定されると共に、パッケージが内部空間に収容される光モジュールと、可塑性または可撓性を有し、パッケージと第1の面との間に介在する放熱部材と、第2の面に接触すると共に筐体に着脱可能に固定される補助部材と、パッケージ及び補助部材の間に介在する樹脂部材と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光モジュールの放熱性を高めてパッケージとスリーブの間にかかる応力を低減させることができると共に、部品のメンテナンスを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る光トランシーバを示す斜視図である。
図2図2は、図1の光トランシーバの内部構造を示す斜視図である。
図3図3は、図1の光トランシーバの光モジュール及び補助部材を拡大した斜視図である。
図4図4は、図3の補助部材を示す斜視図である。
図5図5は、図1の光トランシーバの縦断面図である。
図6図6は、図1の光トランシーバの光モジュールが僅かに偏芯した状態を示す縦断面図である。
図7図7は、図1の光トランシーバの光モジュールが偏芯していない状態を示す縦断面図である。
図8図8は、図1の光トランシーバの光モジュールが図6の逆側に偏芯した状態を示す縦断面図である。
図9図9は、図1の光トランシーバの内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図10図10は、第2実施形態に係る光トランシーバの内部構造を模式的に示す縦断面図である。
図11図11は、第3実施形態に係る光トランシーバの光モジュールが僅かに偏芯した状態を示す縦断面図である。
図12図12は、図11の光トランシーバの光モジュールが偏芯していない状態を示す縦断面図である。
図13図13は、図11の光トランシーバの光モジュールが図11の逆側に偏芯した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に、本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。本願発明の一実施形態に係る光トランシーバは、内部空間と、内部空間を画成し、互いに対向する第1の面及び第2の面を有する筐体と、パッケージと、パッケージに取り付けられたスリーブと、を有し、スリーブが筐体に固定されると共に、パッケージが内部空間に収容される光モジュールと、可塑性または可撓性を有し、パッケージと第1の面との間に介在する放熱部材と、第2の面に接触すると共に筐体に着脱可能に固定される補助部材と、パッケージ及び補助部材の間に介在する樹脂部材と、を備える。
【0019】
この光トランシーバは、内部空間と、当該内部空間を画成すると共に互いに対向する第1の面及び第2の面とを有する。すなわち、この光トランシーバでは、第1の面及び第2の面を有する筐体と、筐体の内部に設けられる光モジュールとを備える。光モジュールは、パッケージと、パッケージに取り付けられると共に筐体に固定されるスリーブとを有する。パッケージと筐体の第1の面との間には、可塑性または可撓性を有する放熱部材が介在する。従って、パッケージから生じた熱は放熱部材を介して筐体の第1の面に伝達されるので、光モジュールの放熱性を高めることができる。また、筐体の第2の面には補助部材が接触し、パッケージと補助部材の間には樹脂部材が介在する。従って、パッケージは、樹脂部材及び補助部材を介して筐体の第2の面に固定されることにより、パッケージにかかる反力を抑えてパッケージとスリーブの間にかかる応力を低減させることができる。更に、補助部材は第2の面に接触すると共に筐体に着脱可能に固定されるため、補助部材を筐体から外すことによって光モジュールの部品のメンテナンスを容易に行うことができる。従って、リワークを容易に行うことができる。
【0020】
また、放熱部材は、放熱ゲルであってもよい。この場合、筐体の第1の面とパッケージとの間の放熱ゲルの厚さを調整することにより、筐体に対するパッケージの位置ずれ(偏芯)を抑制することができる。また、放熱ゲルは他の放熱部材と比較して変形しやすいため、筐体の第1の面とパッケージとの間に放熱ゲルを介在させることによってパッケージに対する反力を抑えることができる。
【0021】
また、補助部材は、筐体の外側から挿入されるネジによって第2の面に着脱可能に固定されてもよい。この場合、ネジによって筐体に対して補助部材を容易に着脱することができるため、部品のメンテナンスを一層容易に行うことができる。
【0022】
また、樹脂部材とパッケージとの間に介在するテープを更に備えてもよい。この場合、テープが樹脂部材とパッケージの間に介在することによって樹脂部材のパッケージへの付着を抑えることができる。従って、パッケージから樹脂部材及び補助部材を外しやすくすることができるので、部品のメンテナンスを更に容易に行うことができる。
【0023】
また、樹脂部材は、補助部材とパッケージとの間に充填されるときには液状であって充填された後に硬化する材料によって構成されてもよい。この場合、補助部材とパッケージとの間に充填される樹脂部材の厚さを容易に調整することができると共に、樹脂部材の硬化後には樹脂部材によってパッケージを強固に保持することができる。従って、パッケージとスリーブの間にかかる応力を一層確実に低減させることができる。
【0024】
また、スリーブが所定の位置から変位してパッケージに取り付けられたときに、補助部材の厚さがスリーブの変位量に応じて調整されてもよい。この場合、スリーブの変位量に応じて補助部材の厚さを調整することが可能となる。
【0025】
[本願発明の実施形態の詳細]
本願発明の実施形態に係る光トランシーバの具体例を、以下で図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以降の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の範囲内における全ての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解を容易にするため、一部を簡略化又は誇張している場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る光トランシーバ1を示す斜視図である。図2は、光トランシーバ1の内部構造を示す斜視図である。図1及び図2に示されるように、光トランシーバ1は、例えば、QSFP28規格に準拠しており、全二重双方向光通信を行う。光トランシーバ1は、その長手方向である方向D1に沿って、ホストシステムに設けられたケージに挿抜(挿入及び抜出)される。光トランシーバ1は筐体3及びプルタブ4を備えており、筐体3及びプルタブ4は共に方向D1に沿って延びる形状とされる。筐体3は金属製である。方向D1に垂直な筐体3の断面形状は、例えば長方形状である。筐体3は、方向D1に延びる一対の側面3aを有する。
【0027】
プルタブ4は、例えば、樹脂製であり、可撓性を有する材料によって構成されている。プルタブ4は、筐体3の方向D1の端部から延び出す一対のアーム部4aと、一対のアーム部4aの先端同士を接続する接続部4bとを有する。プルタブ4を持ってプルタブ4を方向D1に引くことにより、ホストシステムに対する光トランシーバ1の係合が解除されてホストシステムから光トランシーバ1を引き抜くことが可能となる。
【0028】
筐体3は、光ファイバケーブルの先端に設けられた光コネクタが係合するレセプタクル5を備える。レセプタクル5は、筐体3の方向D1の一端に設けられる。筐体3は、更に、ホストシステムのケージの内部に設けられた電気コネクタに接続される電気プラグ6を、方向D1の他端に備える。なお、以下の説明では、筐体3の一端側(レセプタクル5側)を前方と称し、筐体3の他端側(電気プラグ6側)を後方と称することがある。
【0029】
筐体3は、下筐体7と上筐体8とを含んでいる。下筐体7及び上筐体8は、ガスケットGが介在した状態で複数のネジN1によって互いに接合される。筐体3の内部には、TOSA(Transmitter Optical Sub-Assembly)9、ROSA(Receiver Optical Sus-Assembly)10及びリテーナ11が収容される。TOSA9及びROSA10は、光トランシーバ1の幅方向である方向D2に沿って並置される光モジュールである。リテーナ11は、例えば、導電性材料によって構成されている。
【0030】
TOSA9は、パッケージ9aと、パッケージ9aから延び出すスリーブ9bとを備える。パッケージ9aは直方体状を呈し、スリーブ9bはパッケージ9aの側面(前面)から円筒状に突出する。ROSA10は、パッケージ9a及びスリーブ9bと同様、パッケージ10a及びスリーブ10bを備える。スリーブ9b及びスリーブ10bはリテーナ11によって上筐体8に固定される。
【0031】
また、スリーブ9bの前側、及びスリーブ10bの前側は、後方からレセプタクル5の内部に向かって突出するように配置される。スリーブ9b及びスリーブ10bのそれぞれには光ファイバが挿入されており、当該光ファイバとTOSA9及びROSA10のそれぞれに搭載されている半導体デバイス(LD,PD等)とは光学調芯によって光学的に結合されている。この光学調芯では、スリーブ9b及びスリーブ10bのそれぞれを当該光ファイバの光軸に直交する方向(XY方向)に移動させながらTOSA9及びROSA10の外部で当該光ファイバを通る光信号の検知を行い、検知した光信号がピークとなる位置でスリーブ9b及びスリーブ10bのそれぞれがパッケージ9a及びパッケージ10aのそれぞれに固定される。検知した光信号がピークとなるのは、例えばスリーブ9bの光軸とパッケージ9aの光軸がほぼ一致した状態にあることを表し、光学調芯を行うことによって最適な結合効率を得ることができる(スリーブ10bの光軸とパッケージ10aの光軸についても同様)。TOSA9の光学系は、それを構成する部品の寸法やそれら部品の組立位置に公差や誤差があるために光軸の位置が設計値を中心にしてばらつく。光学調芯は、そのような光軸の位置ずれによる結合効率の低下を補償するために行われる。より詳細には、光学調芯によってスリーブ9bとパッケージ9aとの相対的な位置は個体によって変化する。この相対的な位置の変化が後述する偏芯量に相当する。スリーブ9b及びスリーブ10bは、例えば、SUS製であり、パッケージ9a及びパッケージ10aのそれぞれにYAG溶接によって固定される。
【0032】
筐体3の内部には、更に、2枚のFPC基板12,13及び回路基板14が収容される。FPC基板12はTOSA9と回路基板14とを電気的に接続し、FPC基板13はROSA10と回路基板14とを電気的に接続する。ROSA10は、光トランシーバ1の外部から受信した光信号を電気信号に変換し、当該電気信号はFPC基板13を介して回路基板14に伝送される。
【0033】
回路基板14が搭載する回路は、当該電気信号に信号処理を施し、当該電気信号は電気プラグ6を介してホストシステムに出力される。一方、ホストシステムから回路基板14には電気プラグ6を介して送信用の電気信号が入力する。当該電気信号は、回路基板14が搭載する回路によって処理された後、FPC基板12を介してTOSA9に伝送される。TOSA9は、この電気信号を光信号に変換した後、当該光信号を光トランシーバ1の外部に出力する。
【0034】
図3は、光トランシーバ1の内部のTOSA9及びROSA10を拡大した斜視図である。図2及び図3に示されるように、光トランシーバ1は、TOSA9と下筐体7との間に介在する補助部材20を備える。補助部材20は、例えば、金属製であり、具体的にはアルミニウム、亜鉛、又はSUSによって構成される。補助部材20の線膨張率は、筐体3の線膨張率と同一であってもよく、この場合、温度変化による補助部材20の位置ずれ等を抑制することができる。
【0035】
図4は、補助部材20を示す斜視図である。図4に示されるように、補助部材20は、TOSA9のパッケージ9aに載せられる載置部21と、ネジ穴22aを有すると共に下筐体7に固定される固定部22と、固定部22の載置部21との反対側に延び出す延在部23とを備える。載置部21は平板状とされており、載置部21の厚さは固定部22の厚さよりも薄い。固定部22は、補助部材20の長手方向における載置部21の端部において載置部21の面外方向に突出する段差部24を介して載置部21に連続している。
【0036】
固定部22は、補助部材20の幅方向に長く延びる長方形状とされている。ネジ穴22aは補助部材20の幅方向に沿って一対に設けられており、一対のネジ穴22aは、例えば、補助部材20の幅方向の中心に対して互いに対称となる位置に形成されている。固定部22と延在部23との間には延在部23から固定部22に向かって突出する段差部25が形成されており、段差部25は段差部24の反対側の面に形成される。延在部23の段差部25との反対側の面は、補助部材20の長手方向の端部に向かうに従って薄くなるように傾斜する傾斜面23aとされている。
【0037】
図5は、TOSA9、補助部材20、下筐体7及び上筐体8を示す断面図である。図5に示されるように、下筐体7と上筐体8の間には光トランシーバ1の内部空間Sが形成されており、内部空間Sに補助部材20、樹脂部材26、銘板27、TOSA9及び放熱ゲル28が収容される。補助部材20の載置部21は、例えば、樹脂部材26及び銘板27を介してTOSA9のパッケージ9aの底面9cに載せられる。
【0038】
底面9cは、パッケージ9aの下筐体7側を向く面であり、例えば、平坦状とされている。樹脂部材26は、例えば、補助部材20を銘板27に固定する部材であり、載置部21の対向面21aと銘板27の間に介在する。樹脂部材26は、対向面21aと銘板27との間において平板状に延びている。例えば、銘板27にはTOSA9を識別するシリアル番号が記載されている。銘板27は、パッケージ9aに固定されている。なお、シリアル番号がパッケージ9aの表面に記載されている場合は、銘板27は省略されてもよい。その場合は、樹脂部材26は、載置部21の対向面21aとパッケージ9aの底面9cとの間に介在し、平板状に延びている。また、補助部材20の載置部21は、樹脂部材26を介してTOSA9のパッケージ9aの底面9cに載せられる。
【0039】
樹脂部材26は、補助部材20とパッケージ9aとの間に充填されるときには液状である。例えば、樹脂部材26は、充填されるときには、液状等、変形しやすい材料によって構成されている。樹脂部材26は、充填された後に時間の経過と共に硬化する。硬化を促進するために、必要に応じて樹脂部材26を加熱したり紫外線を照射してもよい。よって、樹脂部材26は、液状であるときに補助部材20とパッケージ9aとの間に所望の量だけ充填することが可能である。具体的には、図6図8に示されるように、パッケージ9aの偏芯量に応じて互いに厚さが異なるように樹脂部材26を充填することが可能である。なお、偏芯とは、筐体3に対するパッケージ9aの上下方向(長手方向D1と幅方向D2の両方に垂直な方向)の位置(例えば下筐体7とパッケージ9aとの間隔)の誤差(ずれ)を示しており、偏芯量とは当該誤差(ずれ)の量を示している。偏芯量は、TOSA9またはROSA10の組み立てにおいて上述した光学調芯を行うことによって生じる。
【0040】
図6はパッケージ9aの偏芯量が-0.3mmである状態、図7はパッケージ9aの偏芯量が0mmである状態、図8はパッケージ9aの偏芯量が0.3mmである状態、をそれぞれ示している。すなわち、図6のパッケージ9aの位置は、図7のパッケージ9aの位置よりも下筐体3に近くなっており、図8のパッケージ9aの位置は、図7のパッケージ9aの位置よりも下筐体3から遠ざかっている。偏芯は、光軸に対して垂直な方向について生じるため、例えば、長手方向(D1)を光軸方向としたときに、偏芯は横方向(D2)と上下方向とに生じる。図6図8の偏芯量は、上下方向の値のみ表している。図6図8に示されるように、樹脂部材26の厚さは、樹脂部材26が液状であるときにパッケージ9aの偏芯量に応じて調整される。樹脂部材26の厚さは、パッケージ9aの偏芯量が大きいとき(下筐体7とパッケージ9aとの間の隙間が広いとき)には厚くなり、パッケージ9aの偏芯量が小さいとき(下筐体7とパッケージ9aとの間の隙間が狭いとき)には薄くなる。本実施形態に係る光トランシーバ1では、例えば、パッケージ9aの偏芯量は-0.3mm以上且つ0.3mm以下である。
【0041】
具体例として、パッケージ9aの偏芯量が-0.3mmであるときには樹脂部材26の厚さは0.05mmであり、パッケージ9aの偏芯量が0mmであるときには樹脂部材26の厚さは0.35mmであり、パッケージ9aの偏芯量が0.3mmであるときには樹脂部材26の厚さは0.65mmである。このように、液状である樹脂部材26が厚さが調整されながら充填され、充填後に樹脂部材26が時間の経過に伴って硬化することにより、補助部材20とパッケージ9aとを互いに固定することが可能である。樹脂部材26は、例えば、接着材である。
【0042】
図5に示されるように、補助部材20の固定部22は、載置部21が底面9cに載せられるときに、ネジ穴22aが下筐体7のネジ孔7cに連通するように配置される。ネジ穴22aがネジ孔7cに連通する状態で下筐体7の外側からネジ孔7c及びネジ穴22aにネジN2が挿入されることにより、固定部22は下筐体7の内面7aに固定される。すなわち、ネジ孔7c及びネジ穴22aにネジN2が挿入され、ネジN2がネジ穴22aにねじ込まれることにより、下筐体7に補助部材20が機械的に固定される。また、下筐体7のネジ孔7cは下筐体7の外面において拡径されており、ネジ孔7cの拡径された部分にネジN2の頭部が載置される。すなわち、ネジ孔7cは、ネジN2の頭部が下筐体7から突出しないように座刳られている。
【0043】
延在部23の傾斜面23aは、光トランシーバ1の内側に向けられる。また、ネジN2によって下筐体7に補助部材20が固定されることにより、下筐体7に補助部材20は着脱可能に固定される。すなわち、ネジN2を固定手段として用いることにより、補助部材20、樹脂部材26、銘板27及びTOSA9又は放熱ゲル28の交換等、メンテナンスが必要なときにこれらの部品を筐体3から容易に外してリワークを簡単に行うことが可能である。
【0044】
本実施形態において、TOSA9は光電変換を行う発熱部品であり、TOSA9の放熱が必要である。TOSA9と上筐体8の内面8aとの間には放熱ゲル28が介在する。放熱ゲル28は、弾性且つ伝熱性を有するゲル状の放熱部材である。放熱ゲル28は、パッケージ9aの底面9cとの反対側を向く上面9dと内面8aとの間に充填され、パッケージ9a及び上筐体8に接触する。放熱ゲル28がパッケージ9a及び上筐体8に接触して充填されることによって、パッケージ9aの上面9dと上筐体8の内面8aとの間に熱伝導率の高い放熱経路が形成される。TOSA9のパッケージ9aの内部には、例えば、半導体発光素子と、半導体発光素子を駆動する回路(駆動回路)と、半導体発光素子とスリーブ9bとを光学的に結合する光学系などが実装されている。半導体光学素子や駆動回路が発生するTOSA9の熱は、放熱ゲル28を介して上筐体8に伝達すると共に、上筐体8から光トランシーバ1の外部に放熱される。なお、放熱ゲル28によって形成される放熱経路の熱伝導率は、より大きい値であることが好ましい。そのために、パッケージ9aの上面9dと放熱ゲル28との接触面積を大きくしたり、上筐体8の内面8aと放熱ゲル28との接触面積を大きくしたり、放熱ゲル28として熱伝導率の高い材料を使用するなどしてもよい。放熱ゲル28によって形成される放熱経路の熱伝導率を大きくすることで、パッケージ9aと上筐体8との間の熱抵抗を小さくすることができる。従って、TOSA9の熱が上筐体8に伝わり易くなり、放熱に適した状態となる。
【0045】
一例として、パッケージ9aの高さH1(光トランシーバ1の厚さ方向(上下方向)の長さ)は5.2mmであり、樹脂部材26の厚さT1は0.05mm以上且つ0.25mm以下である。例えば、樹脂部材26の厚さT1の最小値、放熱ゲル28の厚さT2の最小値、及び銘板27の厚さT3の最小値は、共に0.05mmである。これらの値を基に光トランシーバ1の内部空間Sの高さ(内面7aと内面8aとの距離)が適宜定められる。
【0046】
図9は、光トランシーバ1の内部空間Sにおける各部品の配置を模式的に示す断面図である。図9の上下方向(下筐体7及び上筐体8の上下位置)は図5の上下位置の逆となっている。前述したように、筐体3は光ファイバケーブルの先端に設けられた光コネクタCが係合するレセプタクル5を備え、TOSA9のレセプタクル5との反対側には回路基板14が設けられる。TOSA9のパッケージ9aは放熱ゲル28及び樹脂部材26に上下から挟み込まれている。放熱ゲル28は上筐体8の内面8aとパッケージ9aの上面9dとの間に介在し、樹脂部材26は補助部材20とパッケージ9aの底面9cとの間に介在する。なお、図9において銘板27の図示を省略している。
【0047】
補助部材20は、下筐体7の内面7aと樹脂部材26との間に介在すると共に、ネジN2によって内面7aに固定されている。前述したように、パッケージ9aからはスリーブ9bが延び出しており、スリーブ9bはパッケージ9aにYAG溶接によって固定されている。すなわち、スリーブ9bとパッケージ9aとの間にはYAG溶接部9eが形成されている。
【0048】
次に、光トランシーバ1から得られる作用効果について詳細に説明する。光トランシーバ1は、内部空間Sと、内部空間Sを画成すると共に互いに対向する内面8a(第1の面)と内面7a(第2の面)とを有する。すなわち、光トランシーバ1では、内面8a及び内面7aを有する筐体3と、筐体3の内部(内部空間S)に設けられるTOSA9とを備える。TOSA9は、パッケージ9aと、パッケージ9aに取り付けられると共に筐体3に固定されるスリーブ9bとを有する。パッケージ9aと内面8aとの間には可塑性または可塑性を有する放熱ゲル28が介在する。従って、パッケージ9aから生じた熱は放熱ゲル28を介して筐体3の内面8aに伝導されるので、TOSA9の放熱性を高めることができる。
【0049】
また、筐体3の内面7aには補助部材20が接触し、パッケージ9aと補助部材20の間には樹脂部材26が介在する。従って、パッケージ9aは、樹脂部材26及び補助部材20を介して筐体3の内面7aに固定されることにより、パッケージ9aにかかる反力を抑えてパッケージ9aとスリーブ9bの間にかかる応力を低減させることができる。すなわち、スリーブ9bとパッケージ9aとの間に位置するYAG溶接部9eにかかる応力を抑えることができる。更に、補助部材20は内面7aに接触すると共に筐体3(下筐体7)に着脱可能に固定されるため、補助部材20を筐体3から外すことによってTOSA9等の部品のメンテナンスを容易に行うことができる。従って、リワークを容易に行うことができる。
【0050】
また、前述したように、パッケージ9aと内面8aとの間には放熱ゲル28が介在する。よって、上筐体8の内面8aとパッケージ9aとの間の放熱ゲル28の厚さを調整することにより、筐体3に対するパッケージ9aの偏芯による放熱性の低下を抑制することができる。また、放熱ゲル28は他の放熱部材と比較して変形しやすいため、筐体3の内面8aとパッケージ9aとの間に放熱ゲル28を介在させることによってパッケージ9aに対する反力を抑えることができる。
【0051】
また、補助部材20は、筐体3の外側から挿入されるネジN2によって内面7aに着脱可能に固定される。従って、ネジN2によって筐体3に対して補助部材20を容易に着脱することができるため、部品のメンテナンスを一層容易に行うことができる。
【0052】
また、樹脂部材26は、補助部材20とパッケージ9aとの間に充填されるときには液状であって充填された後に硬化する材料によって構成される。よって、補助部材20とパッケージ9aとの間に充填される樹脂部材26の厚さを容易に調整することができると共に、樹脂部材26の硬化後には樹脂部材26によってパッケージ9aを強固に保持することができる。従って、パッケージ9aとスリーブ9bの間のYAG溶接部9eにかかる応力を一層確実に低減させることができる。
【0053】
また、スリーブ9bが所定の位置から変位してパッケージ9aに取り付けられたときに、補助部材20の厚さがスリーブ9bの変位量に応じて調整されてもよい。この場合、スリーブ9bの変位量に応じて補助部材20の厚さを調整することが可能となる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る光トランシーバ31について図10を参照しながら説明する。図10に示されるように、光トランシーバ31は、銘板27に代えてテープ37を用いた点が第1実施形態の光トランシーバ1と異なっている。以下の説明では、重複を回避するため、前述した第1実施形態と重複する説明を適宜省略する。テープ37は、パッケージ9aに接触する第1面37aと、第1面37aの反対側を向くと共に樹脂部材26に接触する第2面37bとを有する。例えば、テープ37は、第1面37aに粘着性を有すると共に第2面37bに粘着性を有しない。また、テープ37は、前述した銘板27と同様、TOSA9を識別するシリアル番号が記載されていてもよい。
【0055】
以上、第2実施形態に係る光トランシーバ31は、樹脂部材26とパッケージ9aとの間に介在するテープ37を備える。テープ37が樹脂部材26とパッケージ9aの間に介在することによって樹脂部材26のパッケージ9aへの付着を抑えることができる。従って、樹脂部材26が硬化した状態になってもパッケージ9aから樹脂部材26及び補助部材20を外しやすくすることができるため、部品のメンテナンスを一層容易に行うことができる。
【0056】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態に係る光トランシーバ41について図11図13を参照しながら説明する。前述したように、第1実施形態ではパッケージ9aの偏芯量に応じて樹脂部材26の厚さが調整される。これに対し、第3実施形態ではパッケージ9aの偏芯量に応じて複数の補助部材51,52,53を使い分ける。補助部材51,52,53は、前述した補助部材20の載置部21と同様の載置部51a,52a,53aをそれぞれ有する。載置部51aの厚さ、載置部52aの厚さ、及び載置部53aの厚さは互いに異なっており、載置部53aが最も厚く、載置部52aが次に厚く、載置部51aが最も薄い。一方、パッケージ9aの偏芯量の値にかかわらず樹脂部材26の厚さは例えば0.05mm以上且つ0.25mm以下である。従って、第1実施形態の説明において、具体例として、パッケージ9aの偏芯量-0.3mm~+0.3mmに対して樹脂部材26の厚さは0.05mmから0.65mmの範囲になると述べたが、厚さの変化量を1/3に抑えることができる。樹脂部材26と補助部材51,52,53との接触面積及び樹脂部材26とパッケージ9aとの接触面積を変えないと想定すると、厚さの変化量を1/3も抑えることによって、パッケージ9aと補助部材51,52,53との間に充填される樹脂部材26の容積の変化量も1/3に抑えることができる。樹脂部材26の容積が変化すると、例えば、樹脂部材26を硬化させるのに必要な時間や、加熱する温度や照射する紫外線量の範囲が大きくなる。従って、樹脂部材26の容積の変化量を抑えることによって、硬化のための製造条件の範囲を狭めることができ、光トランシーバ41の製造性を向上することができる。
【0057】
以上、第3実施形態では、互いに厚さが異なる複数の補助部材51,52,53を備えることにより、下筐体7とパッケージ9aの間の隙間を容易に埋めることができる。よって、樹脂部材26が変形しやすい材料によって構成されていない場合であっても、互いに厚さが異なる補助部材51,52,53を使い分けることによってパッケージ9aの偏芯量を吸収することができる。従って、下筐体7の内面7aとパッケージ9aとの間に補助部材51,52,53及び樹脂部材26が介在することによってパッケージ9aを強固に保持することができる。その結果、パッケージ9aとスリーブ9bの間のYAG溶接部にかかる応力を一層低減させることができる。
【0058】
以上、本発明に係る光トランシーバの実施形態について説明したが、本発明は前述した各実施形態に限定されない。すなわち、本発明が特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において種々の変形及び変更が可能であることは、当業者によって容易に認識される。例えば、補助部材20,51,52,53の形状、大きさ、材料、数及び配置態様は適宜変更可能である。
【0059】
例えば、前述の実施形態では、光トランシーバ1の内部空間Sに補助部材20、樹脂部材26、銘板27、TOSA9及び放熱ゲル28が収容される例について説明した。しかしながら、この例に限られず、例えば、放熱ゲル28に代えて放熱シートを用いてもよいし、銘板27を省略してもよい。また、前述の実施形態では、QSFP28規格に準拠しており全二重双方向光通信を行う光トランシーバ1について説明した。しかしながら、本発明に係る光トランシーバは、例えばSFP規格等、QSFP28規格以外の規格に準拠した光トランシーバであってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1,31,41…光トランシーバ、3…筐体、3a…側面、4…プルタブ、4a…アーム部、4b…接続部、5…レセプタクル、6…電気プラグ、7…下筐体、7a…内面(第2面)、8…上筐体、8a…内面(第2面)、9…TOSA(光モジュール)、9a…パッケージ、9b…スリーブ、9c…底面、9d…上面、9e…YAG溶接部、10…ROSA、10a…パッケージ、10b…スリーブ、11…リテーナ、12,13…FPC基板、14…回路基板、20,51,52,53…補助部材、21,51a,52a,53a…載置部、21a…対向面、22…固定部、22a…ネジ穴、23…延在部、23a…傾斜面、24,25…段差部、26…樹脂部材、27…銘板、28…放熱ゲル(放熱部材)、37…テープ、37a…第1面、37b…第2面、C…光コネクタ、D1,D2…方向、G…ガスケット、N1,N2…ネジ、S…内部空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13