(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】現像装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
G03G15/08 390B
G03G15/08 231
(21)【出願番号】P 2018180689
(22)【出願日】2018-09-26
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】山岸 一成
(72)【発明者】
【氏名】若井 孝文
【審査官】小池 俊次
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-203303(JP,A)
【文献】特開2006-113095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像用開口部と現像剤が収容される収容部を有する筐体と、
前記筐体の収容部内の現像剤を保持して前記現像用開口部を通過するよう回転する現像剤保持手段と、
前記筐体のうち前記現像用開口部の前記現像剤保持手段の回転方向下流側になる下流側縁部を含む部分に存在して、当該現像剤保持手段の回転で生じる気流の一部を取り込んで流す、入口、出口、および入口と出口をつなぐ通路からなる貫通部と、
前記筐体のうち前記貫通部の前記入口を挟んで前記現像用開口部とは反対側の部分から前記現像剤保持手段に近づく状態で存在して、前記気流の一部を当該入口に誘導する誘導手段と、
を備え、
前記貫通部は、前記入口のうち前記現像剤保持手段の軸方向の中央領域に存在する部分の開口面積が前記軸方向の両端領域に存在する部分の開口面積よりも大きくなるよう設けられている
とともに、前記両端領域にそれぞれ存在する複数の部分の開口面積どうしが前記中央領域に近づくにつれて大きくなるよう設けられている現像装置。
【請求項2】
現像用開口部と現像剤が収容される収容部を有する筐体と、
前記筐体の収容部内の現像剤を保持して前記現像用開口部を通過するよう回転する現像剤保持手段と、
前記筐体のうち前記現像用開口部の前記現像剤保持手段の回転方向下流側になる下流側縁部を含む部分に存在して、当該現像剤保持手段の回転で生じる気流の一部を取り込んで流す、入口、出口、および前記入口と出口をつなぐ通路からなる貫通部と、
前記筐体のうち前記貫通部の前記入口を挟んで前記現像用開口部とは反対側の部分から前記現像剤保持手段に近づく状態で存在して、前記気流の一部を当該入口に誘導する誘導手段と、
を備え、
前記貫通部は、前記通路の前記現像剤保持手段の軸方向における両端の側面に側面開口部がそれぞれ設けられているとともに、前記側面開口部から前記通路の前記軸方向における中央にむけて空気をそれぞれ供給する給気手段が設けられている現像装置。
【請求項3】
前記貫通部は、前記通路の前記軸方向における両端の側面に側面開口部がそれぞれ設けられているとともに、前記側面開口部から前記通路の軸方向における中央にむけて空気をそれぞれ供給する給気手段が設けられている請求項1に記載の現像装置。
【請求項4】
前記入口の前記軸方向と交差する方向の縦寸法が、前記誘導手段の前記現像剤保持手段との間隙の寸法よりも大きい請求項1乃至3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
前記給気手段は、前記空気を、前記通路の前記軸方向における中央にむかうにつれて前記出口に近づくよう斜め方向に進むよう供給する請求項2又は3に記載の現像装置。
【請求項6】
前記貫通部は、前記入口のうち
前記中央領域に存在する部分の開口面積が当該中央領域の前記軸方向の中心位置にむかうにつれて大きくなるよう設けられている請求項
1に記載の現像装置。
【請求項7】
前記貫通部は、
前記入口のうち前記両端領域に存在する部分の開口面積が前記中央領域に近づくにつれて大きくなるとともに、前記中央領域に存在する部分の開口面積が当該中央領域の前記軸方向の中心位置にむかうにつれて大きくなるよう設けられている請求項
3乃至5のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項8】
前記貫通部は、
前記通路が前記入口から前記出口までの間で前記筐体に接近する側に曲がる底面部を有する形状で形成されている請求項1乃至7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
前記貫通部は、前記出口に網目状部材が設けられている請求項1乃至8のいずれかに記載の現像装置。
【請求項10】
用紙が搬送される用紙搬送路の上方の位置に配置されて使用される請求項1乃至9のいずれかに記載の現像装置。
【請求項11】
静電潜像が形成される像保持手段と、
前記像保持手段の静電潜像を現像剤で現像する請求項1乃至10のいずれかに記載の現像装置と、
を備えている画像形成装置。
【請求項12】
前記現像装置は、用紙が搬送される用紙搬送路の上方の位置に配置されている請求項11に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、現像装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浮遊トナー(トナークラウド)による不具合の発生を抑制するための現像装置、画像形成装置等の技術としては、以下に例示するものが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、現像ロールからの落下現像剤をシールするシール手段を備えた現像装置において、そのシール手段が、現像ロールの下部であって現像ロールの軸方向全域に配置するシール部材よりなり、現像ロールが現像位置にあるときに感光体の表面との距離が一定になるよう構成された現像装置が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、感光体ドラムと、その感光体ドラムに最近接した部分で感光体ドラムと同じ方向に移動するよう回転してトナー像を形成する現像ロールと、その感光体ドラム上のトナー像を被転写材に転写する転写ロールとを備えた画像形成装置において、その現像ロールと転写ロールとの間に感光体ドラムに近接して上方を向いた感光体ドラムの軸方向に長尺の開口を有し、下方もしくは斜め下方に延びるトナークラウド排出ダクトを備え、そのトナークラウド排出ダクトの開口の感光体ドラム回転方向における幅が、その開口の転写ロール側の端部と感光体ドラム表面との間の距離よりも大きい寸法に形成されている画像形成装置が記載されている。
【0005】
また、特許文献3には、回転する像保持体に形成された静電潜像を現像する現像部材と、現像部材から見て像保持体の移動方向下流側にて像保持体に対向する端部を有し、現像部材を収容する収容部材と、その収容部材から見て像保持体に移動方向下流側にて前記端部に対向し、記録材を像保持体に向けて案内する案内部材とを備え、その収容部材の前記端部と案内部材との間には、像保持体の回転により生じる気流を像保持体から離れる方向に導く流路が形成されている画像形成ユニットが記載されている。
【0006】
さらに、特許文献4には、現像用開口が開設された現像ハウジング内に少なくともトナーが含まれる現像剤を収容してなる現像装置の近傍に配設され、前記現像用開口から流出するトナークラウドを回収するトナークラウド回収装置が記載されている。
特許文献4には、上記トナークラウド回収装置は、クラウド回収用開口が開設されたダクト状のクラウド回収ハウジングと、前記クラウド回収用開口からクラウド回収ハウジング内に向かって前記トナークラウドに対する吸引力が付与される吸引力付与手段と、前記クラウド回収用開口のうち予め設定された基準サイズの転写媒体の通過領域外に対応した部位のトナークラウドに対する吸引力が他の部位よりも大きく設定される吸引力分布設定手段とを備え、前記クラウド回収ハウジングとしてのダクト内若しくは当該ダクトの連通部に吸引力付与手段としてのブロワ手段を配設する一方、前記クラウド回収ハウジングとしてのダクトのクラウド回収用開口の近傍には吸引力分布設定手段としての風量調節部材を設け、この風量調整部材にて通過風量調整のための間隙を複数形成し、かつ、少なくとも基準サイズの転写媒体の通過領域外に対応した箇所の間隙を他の間隙より大きく設定するようにしたものであることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平09-54494号公報
【文献】特開平08-190265号公報
【文献】特開2015-79134号公報
【文献】特許第3467943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、現像剤保持手段の回転で生じる気流のうち筐体の内部に流入しない一部を、その気流に含まれて浮遊する現像剤の一部と一緒に、筐体の現像用開口の下流側縁部を含む部分に設ける貫通部に取り込んで通過させるとき、その貫通部内の現像剤保持手段の軸方向における両端領域に相対的に多くの現像剤が通過又は存在することを抑制できる現像装置を提供するとともに、その現像装置を用いた画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、
現像用開口部と現像剤が収容される収容部を有する筐体と、
前記筐体の収容部内の現像剤を保持して前記現像用開口部を通過するよう回転する現像剤保持手段と、
前記筐体のうち前記現像用開口部の前記現像剤保持手段の回転方向下流側になる下流側縁部を含む部分に存在して、当該現像剤保持手段の回転で生じる気流の一部を取り込んで流す、入口、出口、および入口と出口をつなぐ通路からなる貫通部と、
前記筐体のうち前記貫通部の前記入口を挟んで前記現像用開口部とは反対側の部分から前記現像剤保持手段に近づく状態で存在して、前記気流の一部を当該入口に誘導する誘導手段と、
を備え、
前記貫通部は、前記入口のうち前記現像剤保持手段の軸方向の中央領域に存在する部分の開口面積が前記軸方向の両端領域に存在する部分の開口面積よりも大きくなるよう設けられているとともに、前記両端領域にそれぞれ存在する複数の部分の開口面積どうしが前記中央領域に近づくにつれて大きくなるよう設けられている現像装置である。
【0010】
また上記課題を解決するための請求項2に記載の発明は、
現像用開口部と現像剤が収容される収容部を有する筐体と、前記筐体の収容部内の現像剤を保持して前記現像用開口部を通過するよう回転する現像剤保持手段と、前記筐体のうち前記現像用開口部の前記現像剤保持手段の回転方向下流側になる下流側縁部を含む部分に存在して、当該現像剤保持手段の回転で生じる気流の一部を取り込んで流す、入口、出口、および前記入口と出口をつなぐ通路からなる貫通部と、前記筐体のうち前記貫通部の前記入口を挟んで前記現像用開口部とは反対側の部分から前記現像剤保持手段に近づく状態で存在して、前記気流の一部を当該入口に誘導する誘導手段と、を備え、
前記貫通部は、前記通路の前記現像剤保持手段の軸方向における両端の側面に側面開口部がそれぞれ設けられているとともに、前記側面開口部から前記通路の前記軸方向における中央にむけて空気をそれぞれ供給する給気手段が設けられている現像装置である。
【0011】
さらに上記課題を解決するための請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の現像装置において、前記貫通部は、前記通路の前記軸方向における両端の側面に側面開口部がそれぞれ設けられているとともに、前記側面開口部から前記通路の軸方向における中央にむけて空気をそれぞれ供給する給気手段が設けられているものである。
【0012】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像装置において、前記入口の前記軸方向と交差する方向の縦寸法が、前記誘導手段の前記現像剤保持手段との間隙の寸法よりも大きいものである。
請求項5に記載の発明は、請求項2又は3に記載の現像装置において、前記給気手段は、前記空気を、前記通路の前記軸方向における中央にむかうにつれて前記出口に近づくよう斜め方向に進むよう供給するものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の現像装置において、前記貫通部は、前記入口のうち前記中央領域に存在する部分の開口面積が当該中央領域の前記軸方向の中心位置にむかうにつれて大きくなるよう設けられているものである。
請求項7に記載の発明は、上記請求項3乃至5のいずれか1項に記載の現像装置において、前記貫通部は、前記入口のうち前記両端領域に存在する部分の開口面積が前記中央領域に近づくにつれて大きくなるとともに、前記中央領域に存在する部分の開口面積が当該中央領域の前記軸方向の中心位置にむかうにつれて大きくなるよう設けられているものである。
請求項8に記載の発明は、上記請求項1乃至7のいずれか1項に記載の現像装置において、前記貫通部は、前記通路が前記入口から前記出口までの間で前記筐体に接近する側に曲がる底面部を有する形状で形成されている。
請求項9に記載の発明は、上記請求項1乃至8のいずれか1項に記載の現像装置において、前記貫通部は、前記出口に網目状部材が設けられているものである。
請求項10に記載の発明は、上記請求項1乃至9のいずれか1項に記載の現像装置において、用紙が搬送される用紙搬送路の上方の位置に配置されて使用されるものである。
【0013】
請求項11に記載の発明は、静電潜像が形成される像保持手段と、前記像保持手段の静電潜像を現像剤で現像する請求項1乃至10のいずれかに記載の現像装置と、を備えている画像形成装置である。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の画像形成装置において、前記現像装置は、用紙が搬送される用紙搬送路の上方の位置に存在するよう配置されているものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、現像剤保持手段の回転で生じる気流のうち筐体の内部に流入しない一部を、その気流に含まれて浮遊する現像剤の一部と一緒に、筐体の現像用開口の下流側縁部を含む部分に設ける貫通部に取り込んで通過させるとき、その貫通部内の現像剤保持手段の軸方向における両端領域に相対的に多くの現像剤が通過又は存在することを抑制でき、しかも、その貫通部の通路内における両端領域を通過する又は残留して存在する現像剤のトナー量の差を段差が少なく滑らかに小さくすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、現像剤保持手段の回転で生じる気流のうち筐体の内部に流入しない一部を、その気流に含まれて浮遊する現像剤の一部と一緒に、筐体の現像用開口の下流側縁部を含む部分に設ける貫通部に取り込んで通過させるとき、その貫通部内の現像剤保持手段の軸方向における両端領域に相対的に多くの現像剤が通過又は存在することを抑制できる。
請求項3に記載の発明によれば、貫通部における入口側の開口の開口面積について上記大小関係にする構成と貫通部に上記給気手段を設ける構成の一方の構成のみを採用する場合に比べて、貫通部内の現像剤保持手段の軸方向における両端領域に相対的に多くの現像剤が通過又は存在することをより確実に抑制できる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、貫通部における入口側の開口の縦寸法が誘導手段の現像剤保持手段との間隙の寸法と同じ又はその寸法よりも小さい場合に比べて、現像剤保持手段と誘導手段の間を通過した気流のうち筐体の内部に流入しない気流が貫通部に導入されやすくなる。
請求項5に記載の発明によれば、給気手段が空気を出口に近づくよう斜め方向に進むよう供給しない場合に比べて、給気手段から供給される空気が貫通部の入口からの空気の導入を阻害することを回避することができる。
請求項6に記載の発明によれば、貫通部の中央領域に存在する部分の開口面積が当該中央領域の前記軸方向の中心位置にむかうにつれて大きくなるよう設けていない場合に比べて、貫通部内の現像剤保持手段の軸方向における中央領域と両端領域に通過又は存在する現像剤の量の差を段差が少なく滑らかに小さくすることができる。
請求項7に記載の発明によれば、貫通部における入口のうち両端領域に存在する部分の開口面積が中央領域に近づくにつれて大きくなるとともにその中央領域に存在する部分の開口面積が当該中央領域の前記軸方向の中心位置にむかうにつれて大きくなるよう設けていない場合に比べて、貫通部内の現像剤保持手段の軸方向における中央領域と両端領域に通過又は存在する現像剤の量の差を段差が少なく滑らかに小さくすることができる。
請求項8に記載の発明によれば、貫通部における通路が筐体に接近する側に途中で曲がる底面部を有する形状で形成されていない場合に比べて、貫通部内に存在する現像剤が出口から排出される量を減らすことができる。
請求項9に記載の発明によれば、貫通部における出口に網目状部材が設けられていない場合に比べて、貫通部内に存在する現像剤が出口から排出されるときの状態を調整して均すことができる。
請求項10に記載の発明によれば、用紙搬送路を幅の比較的狭い用紙が連続して搬送された後に幅の広い用紙が搬送されたときに、貫通部における出口から現像剤が排出されて落下しても、その幅の広い用紙の幅方向における現像剤の付着量の差を小さくすることができる。
【0016】
請求項11に記載の発明によれば、現像装置における現像剤保持手段の回転で生じる気流のうち筐体の内部に流入しない一部を、その気流に含まれて浮遊する現像剤の一部と一緒に、筐体の現像用開口の下流側縁部を含む部分に設ける貫通部に取り込んで通過させるとき、その貫通部内の現像剤保持手段の軸方向における両端領域に相対的に多くの現像剤が通過又は存在することを抑制できる。
請求項12に記載の発明によれば、用紙搬送路を幅の比較的狭い用紙が連続して搬送された後に幅の広い用紙が搬送されたときに、現像装置の貫通部における出口から現像剤が排出されて落下しても、その幅の広い用紙の幅方向における現像剤の付着量の差を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態1に係る画像形成装置の全体を示す概要図である。
【
図2】
図1の画像形成装置における一部(現像装置を含む作像装置)を拡大して示す概要図である。
【
図3】
図1の画像形成装置に用いる現像装置を示す断面概略図である。
【
図4】
図3の現像装置の一部(誘導手段なし)を示す概要図である。
【
図5】
図3の現像装置における貫通部の入口の構成を示す概要図である。
【
図6】現像装置の一部の構成を拡大して示す概略断面図である。
【
図7】(a)は現像装置の動作の一状態を示す概略断面図、(b)は現像装置の動作の次の状態を示す概略断面図である。
【
図8】(a)は
図3の現像装置の動作の一状態を示す概略断面図、(b)はその現像装置の動作の次の状態を示す概略断面図である。
【
図9】貫通部の展開した状態と通過する用紙との関係を示す概念図である。
【
図10】実施の形態2に係る現像装置を示し、(a)はその現像装置の構成を示す概略断面図、(b)はその現像装置の動作の一状態を示す概略断面図である。
【
図11】実施の形態3に係る現像装置の構成を示す概略断面図である。
【
図12】
図11の現像装置の一部(誘導手段なし)を示す概要図である。
【
図13】
図11の現像装置の貫通部の構成およびその動作状態を、貫通部を展開した状態で示す概念図である。
【
図14】実施の形態4に係る現像装置の貫通部の構成およびその動作状態を、貫通部を展開した状態で示す概念図である。
【
図15】貫通部の入口の他の構成例を示す概要図である。
【
図16】貫通部の入口の別の構成例を示す概要図である。
【
図17】貫通部の入口の更に別の構成例を示す概要図である。
【
図18】貫通部の入口の異なる構成を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
[実施の形態1]
図1から
図3は、この発明の実施の形態1を示すものである。
図1は実施の形態1に係る現像装置を備えた画像形成装置1の構成を示し、
図2はその画像形成装置1における一部(現像装置を含む作像装置)を拡大して示し、
図3はその画像形成装置1に用いる現像装置の構成を拡大して示している。
【0020】
<画像形成装置の全体の構成>
画像形成装置1は、画像形成装置の一例であるプリンタとして構成されたものであり、外部から入力される文字、写真、図形等からなる画像の情報に基づいて現像剤(トナー)で構成される画像を用紙9に形成するものである。
また、画像形成装置1は、
図1に示されるように、装置本体である筐体10の内部に、現像剤としてのトナーからなるトナー像を電子写真方式等により形成して用紙9に転写する作像装置2、所要の用紙9を収容するとともに作像装置2の転写位置に供給する給紙装置3、用紙9に転写されたトナー像を定着する定着装置4等を備えている。
【0021】
筐体10は、構造部材、外装材等の各種部材で構成されている。また、この筐体10は、その上部に、画像が形成されて排出される用紙9を収容する排出収容部11が設けられている。この排出収容部11は、筐体10に設けられる排出口12の下方に設けられた傾斜面を含む収容面から構成されており、その排出口12から排出される用紙9を収容するようになっている。
【0022】
作像装置2は、
図1や
図2に示されるように、矢印Aで示す方向に回転するよう駆動する感光ドラム21の周囲に、帯電装置22、露光装置23、現像装置5、転写装置25、清掃装置26等をこの順に配置して構成されている。
このうち、帯電装置22は、感光ドラム21の周面(像形成領域となる外周面部分)を所要の極性および電位に帯電させる接触帯電方式等の装置である。露光装置23は、感光ドラム21の帯電後の周面に、画像形成装置1に種々の方式で入力される画像情報(信号)に対応させた光を照射することにより静電潜像を形成する装置である。現像装置5は、現像剤としてのトナーを供給することにより感光ドラム21上の静電潜像を現像してトナー像にする装置である。転写装置25は、感光ドラム21上のトナー像を用紙9に静電的に転写させる接触転写方式等の装置である。清掃装置26は、感光ドラム21の周面に付着して残留するトナー等の不要物を除去して清掃する装置である。
現像装置5の詳細については後述する。
【0023】
給紙装置3は、作像装置2から重力方向下方側の離れた位置に配置されている。この給紙装置3は、画像の形成に使用する所要のサイズ、種類等からなる複数枚の用紙9を積載板32上に積み重ねた状態で収容する用紙収容体31と、その用紙収容体31に収容される用紙9を1枚ずつ送り出す送出装置33等で構成されている。
用紙収容体31は、筐体10に対して引き出した状態にできるよう取り付けられており、その利用する態様に応じて複数装備される。用紙9としては、筐体10内での搬送とトナー像の転写および定着とが可能な被記録材であればよく、例えば、所定のサイズに裁断された普通紙、コート紙、厚紙、はがき等や、封筒等が使用される。
【0024】
定着装置4は、作像装置2からほぼ水平方向(座標軸Xとほぼ平行する方向)に離れた位置に配置されている。この定着装置4は、導入口および排出口が設けられた筐体40の内部に、接触して回転する加熱用回転体41および加圧用回転体42等を配置して構成されている。
加熱用回転体41は、
図1に示されるように、矢印で示す方向に回転駆動するとともに、図示しない加熱手段により加熱されて周面温度が所要の温度に保持されるロール形態、ベルト形態等からなる加熱用の定着部材である。加圧用回転体42は、加熱用回転体41の軸方向にほぼ沿うように所要の圧力で接触して従動回転するロール形態、ベルト形態等からなる加圧用の定着部材である。また、定着装置4は、加熱用回転体41と加圧用回転体42とが接触する部分を、未定着のトナー像が転写された用紙9を通過させて所要の定着処理(加熱、加圧など)を行う定着処理部FNとしている。
【0025】
また、画像形成装置1においては、
図1に二点鎖線Rtで示されるように、筐体10内における用紙9の主な用紙搬送路が設けられている。
その主な用紙搬送路としては、給紙装置3の送出装置33と作像装置2の転写位置TP(感光ドラム21の転写装置25と向き合う位置)との間に設けられる供給搬送路Rt1、作像装置2の転写位置TPと定着装置4の定着処理部FNとの間に設けられる中継搬送路Rt2、定着装置4の定着処理部と筐体10の排出収容部11との間に設けられる排出搬送路Rt3、排出搬送路Rt3の終端(分岐部)と供給搬送路Rt1の途中(合流部)との間に設けられる両面用搬送路Rt4等である。
【0026】
このうち、供給搬送路Rt1は、複数の搬送ロール対34a,34b,34cや図示しない複数の搬送案内部材等を用いて、全体としてUの字をほぼ横にした状態の経路になるよう形成されている。搬送ロール対34cは、転写タイミングに合わせて回転を始動させることにより用紙9を作像装置2の転写位置TPにむけて送り出す所謂レジロール対として構成されている。
また、この供給搬送路Rt1は、作像装置2の転写位置TPに至る前において現像装置5の重力方向下方側になる位置を通過するよう配置されている。このときの供給搬送路Rt1は、
図2に例示するように現像装置5の重力方向下方側に用紙9の非転写面(下面)を案内する搬送案内部材13を配置する場合がある。
【0027】
中継搬送路Rt2は、図示しない複数の搬送案内部材を用いて、全体がほぼ水平の方向に延びる状態の経路になるよう形成されている。
排出搬送路Rt3は、複数の搬送ロール対35a,35b,36や図示しない複数の搬送案内部材を用いて、全体が湾曲して立ち上がる状態の経路になるよう形成されている。搬送ロール対36は、排出口12の手前に設けられ、定着後の用紙9を排出収容部11に送り出す排出ロールとして構成されている。
両面用搬送路Rt4は、排出搬送路Rt3の終端を構成する正逆回転可能な排出ロール対としての搬送ロール対36、複数の搬送ロール対37a,37b,37c,37d、用紙9の進路先を切り替える図示しない進路切替部材、図示しない複数の搬送案内部材等で構成されている。
【0028】
<画像形成装置による画像形成動作>
この画像形成装置1による画像形成は、次のようにして行われる。ここでは、用紙9の片面に画像を形成するときの基本的な画像形成動作を例にして説明する。
【0029】
画像形成装置1は、例えば種々の通信手段で接続される外部情報端末等から図示しない制御部が画像形成動作の要求指令(信号)を受けると、作像装置2、給紙装置3、定着装置4等が始動する。
【0030】
まず、作像装置2では、像を形成する動作が行われる。はじめに、感光ドラム21が回転始動し、帯電装置22が感光ドラム21の周面を所定の極性および電位(本例ではマイナス極性)に帯電させた後、露光装置23が感光ドラム21の帯電した周面に画像情報に基づく露光を行って所要のパターンからなる静電潜像を形成する。しかる後、現像装置5が、感光ドラム21の周面に形成された静電潜像にむけて所要の極性(本例ではマイナス極性)に帯電された現像剤であるトナーを供給して現像を行い、その静電潜像をトナーで構成されるトナー像として顕像化する。これにより、感光ドラム21上にトナー像が形成される。
【0031】
続いて、作像装置2では、回転する感光ドラム21がトナー像を転写装置25と対向する転写位置TPまで搬送する。一方、給紙装置3では、この転写タイミングに合わせて用紙9を供給搬送路Rt1に送り出して作像装置2の転写位置TPまで供給する動作が行われる。そして、作像装置2の転写位置TPにおいては、転写装置25が転写電界を形成して、感光ドラム21上のトナー像を用紙9の片面に静電的に転写させる。また、作像装置2においては、この転写後等を含む時期に、清掃装置26が感光ドラム21の周面を清掃し続ける。
【0032】
続いて、トナー像が転写された用紙9は、回転駆動する感光ドラム21と転写装置25の間に挟まれた状態で搬送力を受けながら中継搬送路Rt2に送り出されて定着装置4まで搬送される。定着装置4では、矢印で示す方向に回転するよう駆動する加熱用回転体41と追従して回転する加圧用回転体42との間の定着処理部FNに用紙9を導入して通過させる。この定着処理部FNを通過する際、その用紙9の片面にあるトナー像のトナーが加圧下で加熱されて溶融されることにより用紙9に定着される。
【0033】
最後に、定着が終了した用紙9は、定着装置4の定着処理部FNから排出搬送路Rt3に送り出されて搬送された後、搬送ロール対36により筐体10の排出口12から排出されることにより、最終的に排出収容部11に収容される。
【0034】
以上により、1枚の用紙9の片面に対して1色のトナーで構成される単色画像が形成され、片面の画像形成動作が終了する。複数枚の画像形成動作を実行する指令が出された場合には、上記した一連の動作がその枚数分だけ同様に繰り返されることになる。
【0035】
また、用紙9の表裏両面に画像を形成する両面の画像形成動作は、上記片面の画像形成動作が同様に行われた後、片面(第1面:表面)に転写されたトナー像の定着が終了した用紙9が両面用搬送路Rt4に送り込まれる。
【0036】
この際、片面に対するトナー像の定着が終了した後の用紙9は、その搬送時の先方側部分が搬送ロール対36に挟まれた状態で排出口12から一時的に排出された状態で停止させられた後、進路切替部材の進路切り替えのための変位動作と排出ロール対36の逆回転の動作が行われることにより、その搬送時の後方側端部から両面用搬送路Rt4に送り込まれる。
続いて、両面用搬送路Rt4に送り込まれた用紙9は、両面用搬送路Rt4を経由して搬送された後、供給搬送路Rt1における搬送ロール対34bの手前位置に合流するよう搬送される。これにより、用紙9は、その表裏面が反転した状態で供給搬送路Rt1に送り込まれる。
最後に、供給搬送路Rt1に再送された用紙9は、上記片面の画像形成動作の場合と同様に、転写のタイミングで作像装置2の転写位置TPに送り込まれてその他面(第2面:裏面)にトナー像が転写され、しかる後、定着装置4に搬送されてトナー像の定着がなされる。最後に、表裏両面に画像が形成された用紙9は、前述した場合と同様に排出搬送路Rt3を通して搬送された後、排出収容部11に排出されるようにして収容される。
【0037】
以上により、1枚の用紙9の表裏両面に対して1色のトナーで構成される単色画像がそれぞれ形成され、両面の画像形成動作が終了する。
【0038】
<現像装置の構成>
次に、現像装置5について説明する。
【0039】
現像装置5は、
図2、
図3等に示されるように、各構成部材をそれぞれ配置して収容する筐体50を有しており、筐体50内には主に現像ロール53、層厚規制部材54、2つの撹拌搬送部材55,56等の構成部品が配置されている。
【0040】
筐体50は、その全体が一方向に長い外観形状を有する構造物であり、
図3等に示されるように、現像剤15が収容される収容部51と、その収容部51のうち感光ドラム21と向き合う部分を開放する現像用開口部52等の部分が形成されている。
この筐体50は、例えば、筐体50の下部側の構造部を構成する本体部(筐体下部)とその本体部の上部を塞ぐとともに筐体50の上部側の構造部を構成する蓋部(筐体上部)とに分割される構造になっている。また、現像剤15としては、所望の色(黒など)に着色された微粉末からなる非磁性のトナーと、磁性を有する粒子からなる磁性のキャリアとを含む現像剤、いわゆる二成分現像剤が使用される。
【0041】
筐体50の収容部51は、現像ロール53の軸方向と平行する2列の搬送路51a,51b(第1搬送路51aと第2搬送路51b)を有する形状に形成されている。
2列の搬送路51a,51bは、筐体50の長手方向に沿って並行して直線状に延びる搬送路であり、上下方向に少しずれた位置関係で存在する搬送路である。また、2列の搬送路51a,51bは、その隣り合う中央部が仕切り壁で仕切られている一方で、その搬送方向の上流側端部および下流側端部において仕切り壁が存在しない接続部で互いがつなげられており、全体として循環する形式の通路構造になっている。さらに、2列の搬送路51a,51bは、現像ロール53に近い側の第1搬送路51aが主に現像剤を現像ロール53に供給するための供給用搬送路として使用され、現像ロール53から遠い側の第2搬送路51bが主に収容中の現像剤と新たに補給されるトナー等とを混合するための混合用搬送路として使用される。
【0042】
現像用開口部52は、現像ロール53の一部を外部に露出させて現像工程を実行させる部位である。このため、現像用開口部52は、例えば感光ドラム21の回転軸の方向における像形成有効領域よりも少し広い寸法の長方形状の開口として形成されている。
図3における符号57は、現像装置5と感光ドラム21との間の隙間や筐体50の現像用開口部52と現像ロール53との間の隙間から現像剤(主にトナー)が漏れ出ることを防止するための漏れ防止部材、所謂シール部材である。
【0043】
現像ロール53は、その外周面に収容部51内の現像剤を磁力により保持し、その保持した現像剤を感光ドラム21の外周面と所要の間隔をあけて向き合う現像実行領域となる表面部分DEまで搬送して通過させるものである。現像実行領域は、現像ロール53の回転中心点01と感光ドラム21の回転中心点02とを結ぶ直線CL(
図2)を中心にした所定の幅の領域であるか、あるいは、現像ロール53の後述する磁石ロール(532)に配置される現像用磁極の磁力が有効に発揮される領域である。
この現像ロール53は、
図3に示されるように、筐体50の内部において現像用開口部52から一部露出した状態で回転するように設けられる円筒状部材の一例であるスリーブ531と、このスリーブ531の円筒空間内に固定された状態で設けられる磁石部材の一例である磁石ロール532とで構成されている。
【0044】
スリーブ531は、ステンレス、アルミニウム等の非磁性材料からなる円筒状部材である。このスリーブ531は、例えば、
図4に示されるように、その両端にある軸部531a,531bが筐体50の側壁にある装着部50cに軸受535等を介して回転自在に取り付けられている。また、スリーブ531は、その一方の軸部531aに例えばギヤ537が取り付けられており、そのギヤ537が図示しない回転駆動装置からギヤ列等を介して伝達される回転動力を受けることにより矢印Cで示す方向に回転するようになっている。さらに、スリーブ531には、感光ドラム21との間に図示しない電源装置から現像用電圧が供給される。
【0045】
一方、磁石ロール532は、
図6に示されるように、スリーブ531の外周面に現像剤の磁性キャリアを磁力線に沿って鎖状に連ねた磁気ブラシが形成されるように付着させる磁力を発生する複数の磁極(S極およびN極)を所定の位置に配置した構造のものである。
図6における符号S1は現像用磁極、N1は剥離用磁極、N2は吸着用磁極、S2は層厚調整用磁極、N3は搬送用磁極を示している。
この磁石ロール532は、例えば、その両端部からそれぞれ突出するよう形成された軸部がスリーブ531の軸部531a,531bの内部空間をそれぞれ通過して筐体50の側壁における装着部50cに固定された状態で取り付けられている。
【0046】
層厚規制部材54は、現像ロール53のスリーブ531に保持される現像剤(磁気ブラシ)の層厚をほぼ一定に保つよう規制するものである。
この層厚規制部材54は、現像ロール53のスリーブ531の外周面と現像剤の必要とする層厚に対応した所要の隙間(規制間隔)をあけた状態でかつスリーブ531の回転軸(軸部)の軸方向Dに沿って向き合う状態に保たれるよう、筐体50に形成される装着部に固定した状態で取り付けられている。また、層厚規制部材54としては、例えば、現像ロール53(スリーブ531)の軸方向における有効現像領域の長さと同等の長さ又はそれを超える長さからなる円柱状の部材が適用され、より具体的には例えばステンレス等の非磁性材料で製作される部材が適用される。さらに、層厚規制部材54は、現像ロール53の回転中心(スリーブ531の軸部531a等の回転中心)よりも重力方向の上流側(上方)になる位置に配置されている。
【0047】
2つの撹拌搬送部材55,56は、
図2、
図3等に示されるように、筐体50の第1搬送路51aと第2搬送路51bとに分けて配置され、その各搬送路51a,51bに収容される現像剤15を撹拌しながら所要の方向(各搬送路51a,51bの搬送方向)にそれぞれ搬送するものである。
この撹拌搬送部材55,56としてはいずれも、回転軸55a,56aの周面に板状の搬送部55b,56bを螺旋状に巻きつけたように設けた構造のもの(所謂スクリューオーガー)が適用されている。また、撹拌搬送部材55,56は、その各回転軸55a,56aの両端部が筐体50の側壁面に設けられる図示しない軸受に対してそれぞれ回転自在に取り付けられている。さらに、撹拌搬送部材55,56は、その各回転軸55a,56aの一方の端部に図示しないギヤが取り付けられて現像ロール53(スリーブ531)から分配される回転動力を受けて所要の方向に回転するようになっている。
【0048】
<現像装置の基本的な動作>
以上の構成からなる現像装置5は、画像形成装置1による画像形成動作時等の動作時期になると、現像ロール53のスリーブ531や撹拌搬送部材55,56が回転し始めるとともに、現像ロール53のスリーブ531に現像用電圧が供給される。
【0049】
これにより、筐体50の収容部51に収容されている二成分の現像剤15が、回転する撹拌搬送部材55,56によって撹拌されながら収容部51における第1搬送路51aと第2搬送路51b内を所定の搬送方向にそれぞれ搬送されるとともに、各搬送路51a,51bの搬送先の端部で図示しない接続部を通して互いに他方の搬送路51b,51aに移動するように搬送される。これにより現像剤15は、収容部51の全体として見ると一方向に循環するような状態で搬送される。またこの際、現像剤(15)は、その非磁性のトナーが磁性のキャリアと十分に撹拌されて摩擦帯電されるとともに磁性のキャリアの表面に静電的に付着した状態となる。
【0050】
続いて、現像ロール53に近い側に配置された撹拌搬送部材55によって搬送される現像剤15の一部が、磁石ロール532の磁極で発生する磁力により現像ロール53のスリーブ531の外周面に吸着されて保持される。この際、現像剤は、矢印Cで示す方向に回転するスリーブ531の外周面に穂立ち状の磁気ブラシを形成した状態で保持される。また、この保持された現像剤は、そのスリーブ531の回転に伴って搬送される途中で層厚規制部材54との間に形成される所要の隙間(規制隙間)を通過する際に、その通過の一部が規制されてほぼ一定の層厚(磁気ブラシの高さ)にされる。
【0051】
続いて、層厚規制部材54を通過した現像剤(15)は、スリーブ531の回転により現像用開口部52を通過した後に感光ドラム21と対向する現像実行領域DEまで搬送され、その現像実行領域DEにおいて磁気ブラシの先端部を感光ドラム21の外周面に接触させた状態で通過させられる。この通過の際、現像剤(15)は、スリーブ531に供給される交流電流を含む現像用電圧にて現像ロール53と感光ドラム21の間に形成される現像(交番)電界により、そのトナーのみが現像ロール53と感光ドラム21の間で往復移動しつつ感光ドラム21上の静電潜像の部分に静電的に付着される。これにより、現像装置5による静電潜像の現像が行われる。
【0052】
また、この現像工程に寄与せずに現像実行領域DEを通過した現像ロール53上の現像剤(15)は、スリーブ531の外周面に磁力により保持された状態で現像用開口部52を通過して筐体50の内部に搬送された後、原則、磁石ロール532における反発磁極の作用を受けてスリーブ531から剥離されて収容部51の内部(実際には第1搬送路51a)に戻される。この剥離されて戻された現像剤は、第1搬送路51a内で撹拌搬送部材55によって再び撹拌されながら搬送された後、第2搬送路51bを経て再度第1搬送路51aに戻されるようにして循環搬送されて、再利用されることになる。
【0053】
この他、現像装置5では、以上の現像動作を行うことにより、収容部51内の現像剤(15)におけるトナーが現像ロール53から感光ドラム21に供給されて消費されることで減少する。このため、その減少分を補うため新たなトナーが着脱交換式のトナー収納容器18から図示しない補給手段および経路を通して収容部51(第2搬送路51b)に補給される。
【0054】
<現像装置の詳細な構成>
ところで、この現像装置5においては、現像ロール53(スリーブ531)が矢印Cで示す方向に回転したときに、例えば、
図8(a)に実線の矢印で例示されるように、その現像ロール53(スリーブ531)の表面付近にその回転方向Cとほぼ同じ方向に進むよう流れる気流Eが生じる。
このときの気流Eは、現像ロール53の回転に伴い、筐体50における現像用開口部52の下流側縁部52bと現像ロール53との間の隙間を通過して筐体50の内部(収容部51内)に流入するものもある。
【0055】
しかし、この動作中の現像装置5にあっては、筐体50の内部で現像ロール53や撹拌搬送部材55,56が回転していることから、筐体50の内部の圧力(内圧)が筐体50の外部の大気圧よりも大きくなっている。このため、その気流Eの一部(以下、これを気流E1と称す。)は、その圧力差が障害になり、
図8(b)に実線の矢印で例示されるように筐体50の内部に流入することができず折り返すように向きを変えて流れるようになる。
【0056】
この結果、現像装置5では、その折り返すように流れる気流E1の影響を受けることにより現像剤(トナー)の一部が浮遊し、その浮遊した現像剤(所謂トナークラウド)が気流E1に乗って筐体50の外部に散乱するように飛散してしまうことが多い。
【0057】
ここで、気流E1の影響を受けることにより浮遊する現像剤の一部とは、例えば、筐体50の内部に入る直前の現像ロール53のスリーブ531部分に保持されている現像剤の一部(本例では磁気ブラシのキャリアに付着しているトナー)が離脱して浮遊するものや、筐体50の内部(収容部51)に戻されず現像用開口部52の下流側縁部52b等に残留付着している現像剤(本例ではトナー)などである。
また、飛散する筐体50の外部とは、例えば、現像装置5が向き合う感光ドラム21との間に存在する隙間空間をはじめとし、更には現像装置5と露光装置23との間に存在する隙間空間や、現像装置5から感光ドラム21に沿って転写装置25に至るまでに存在する隙間空間などである。
【0058】
そこで、この現像装置5においては、
図2から
図4等に示されるように、その筐体50の所定の部位に、現像ロール53の回転で生じる気流のうち筐体50の内部に流入しない一部である気流E1を取り込んで流す入口61、出口62および通路63からなる貫通部6と、その気流E1を貫通部6の入口61に誘導する誘導手段の一例である誘導部材7とを設けている。
【0059】
このうち、貫通部6は、
図3等に示されるように、筐体50のうち現像用開口部52の現像ロール53の回転方向C下流側になる下流側縁部52bを含む部分50bに存在するよう設けられている。
上記現像用開口部52の下流側縁部52bを含む部分50bは、その下流側縁部52bを基準にして現像ロール53から離れる側に突出して存在するよう形成される部分である。
図3等における符号52aは、現像用開口部52のうち現像ロール53の回転方向Cの上流側になる上流側縁部を示している。
【0060】
また、貫通部6は、現像ロール53の回転で生じる気流Eの一部である気流E1を取り込んで筐体50の外面に沿った状態で流すようにしており、このため筐体50の下部側の外面にほぼ沿う形状で貫通した部位として設けられている。
【0061】
ちなみに、実施の形態1に係る画像形成装置1では、貫通部6が設けられる現像装置5が、
図2や
図3に示されるように、作像装置2の転写位置TPに至る前の供給搬送路Rt1の上方(重力方向上流側)の位置に接近した状態で存在するよう配置されている。つまり、画像形成装置1は、現像装置5と供給搬送路Rt1との間の隙間が比較的狭い状態になっている。
このため、貫通部6は、現像装置5の筐体50のうち現像用開口部52の下流側縁部52bから供給搬送路Rt1に近づくよう斜め下方に延びる外面50fの最下部(給搬送路Rt1との最接近部)50fsを通過させて現像用開口部52から離れる方向に延ばした状態で設けることが、供給搬送路Rt1における用紙9の搬送空間等を十分に確保するという観点から難しい。
この事情から、貫通部6は、
図3に示されるように、筐体50の外面50fの最下部
50fsよりも手前側の位置で止める状態で設けられている。換言すれば、貫通部6は、外面50fの最下部
50fsよりも供給搬送路Rt1の側に突出しない状態で設けられている。
【0062】
この貫通部6を構成する入口61は、筐体50のうち現像用開口部52の下流側縁部52bに接近するとともに現像ロール53の軸方向Dに沿って存在するよう設けられる開口である。この入口61は、
図5等に示されるように、現像ロール53の軸方向Dに分割された複数(本例では7つ)の開口61A1,61A2,61A3,61B1,61B1,61B2,61B2で構成されている。各開口はいずれも、その開口形状が長方形で形成されている。
【0063】
また、貫通部6を構成する出口62は、筐体50のうち現像用開口部52の下流側縁部52bから下方の外面50fに沿って下方に所要の距離だけ離れた部位に存在するとともに現像ロール53の軸方向Dに沿って存在するよう設けられる開口である。この出口62は、現像ロール53の軸方向Dに沿う細長い長方形の開口形状で形成されている。
【0064】
さらに、貫通部6を構成する通路63は、入口61と出口62をつなぐよう下方の外面50fに沿って存在するよう設けられる貫通する空間である。この通路63は、その天井面(上面)が筐体50の外面50fに形状に沿う面で形成され、その底面(下面)がほぼ平面で形成されている。また、この通路63は、現像ロール53の軸方向Dに沿う面で切断したときの断面が細長い長方形になるよう形成されている。
【0065】
また、この貫通部6における入口61、出口62および通路63は、
図4に示されるように、現像ロール53の軸方向Dに沿って存在するとともに筐体50における現像用開口部52(の下流側縁部52b)の幅の少なくとも内側に存在する状態で形成されている。現像ロール53の軸方向Dは、
図4に示されるように、現像ロール53の回転軸に相当する軸部531a,531bにおける回転中心を結ぶ直線に沿う方向になる。
【0066】
そして、現像装置5における貫通部6は、
図4や
図5に示されるように、入口61のうち現像ロール53の軸方向Dの中央領域601に存在する部分の開口面積(S1)がその軸方向Dの両端領域602,603に存在する部分の開口面積(S2)よりも大きくなるよう設けられている。つまり、貫通部6の入口61は、開口面積(S1)>開口面積(S2)との大小関係になるよう形成されている。
【0067】
ここで、現像ロール53の軸方向Dの両端領域602,603とは、
図5に示されるように、現像用開口部52の下流側縁部52bの幅方向における左右両端寄りに存在する領域であり、例えば下流側縁部52bの全幅に対して1/3~1/4の幅寸法からなる領域である。一方、中央領域601は、
図5に示されるように、現像用開口部52の下流側縁部52bの幅方向において両端領域602,603を除く中央側に存在する領域であり、例えば下流側縁部52bの全幅に対して1/2~1/3の幅寸法からなる領域である。
【0068】
また、中央領域601に存在する部分の開口面積(S1)は、中央領域601に存在する入口部分の開口面積を合計した開口面積である。本例の入口61の場合、中央領域601に3つの同じ開口61A1,61A2,61A3が存在するので、その各開口面積Sa2,Sa2,Sa2を合計したもの(Sa2+Sa2+Sa2)が開口面積(S1)になる
一方の両端領域602,603に存在する部分の開口面積(S2)は、両端領域602,603にそれぞれ存在する入口部分の開口面積を合計した開口面積である。本例の入口61の場合、両端領域602,603に2つの同じ開口61B1,61B2がそれぞれ同様に存在するので、その各開口面積Sb1,Sb2,Sb1,Sb2を合計したもの(Sb1+Sb2+Sb1+Sb2)が開口面積(S2)になる
【0069】
さらに、貫通部6における入口61は、両端領域602,603に存在する2つの同じ開口61B1,61B2についてその各開口面積Sb1,Sb2が「Sb1<Sb2」との大小関係になるよう構成されている。一方、入口61は、中央領域601に存在する3つの開口61A1,61A2,61A3についてその各開口面積Sa2,Sa2,Sa2が「Sa2=Sa2=Sa2」という大小関係(同じ関係)になるよう構成されている。
【0070】
実施の形態1における入口61を構成する7つの開口61A1,61A2,61A3,61B1,61B1,61B2,61B2は、その現像ロール53の軸方向Dに沿う方向の幅寸法wを互いに同じ寸法とし、かつ、その現像ロール53の軸方向Dにほぼ直交する方向の高さ寸法hを3つの異なる寸法に設定している。
より具体的に説明すると、両端領域602,603の外側にそれぞれ配置する開口61B1の高さ寸法h(h1)を最も小さい寸法とし、中央領域601に存在する3つの開口61A1,61A2,61A3の高さ寸法h(h3)を最も大きい寸法とし、両端領域602,603の内側にそれぞれ配置する開口61B2の高さ寸法h(h2)を中間的な寸法としている(h1<h2<h3)。
なお、入口61を構成する複数の開口の高さ寸法hはいずれも、上記した気流E1を貫通部6の入口61から取り込むことを確保する等の観点から、後述す誘導部材7の現像ロール53との間隙L1(
図6)の寸法よりも大きい値に設定している。
【0071】
しかも、実施の形態1における入口61を構成する7つの開口61A1,61A2,61A3,61B1,61B1,61B2,61B2は、その各高さ寸法hの中心が、現像ロール53の軸方向Dに沿う直線(高さ方向における中心線)上に位置するよう配置されている。また、7つの開口61A1,61A2,61A3,61B1,61B1,61B2,61B2は、互いに同じ微小な間隔(例えば8~20mm程度)をあけて横一例に並ぶような状態で配置されている。
【0072】
一方、誘導部材7は、
図3、
図6等に示されるように、筐体50における貫通部6の入口61を挟んで現像用開口部52とは反対側の部分50dから現像ロール53に近づく状態で存在するように設けられるものである。
【0073】
この場合、筐体50の入口61を挟んで現像用開口部52とは反対側の部分50dは、入口61のうち現像用開口部52の下流側縁部52bから遠い側の端部61bから現像ロール53の軸方向Dにわたって存在するとともに、その端部61bから反対側に延びるほぼ平滑な面で形成されている。実施の形態1における筐体50の上記部分50dは、ほぼ平板状の形状からなる誘導部材7の取付角度に適合させた角度を有する面で形成されている。
【0074】
実施の形態1における誘導部材7は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂フィルム(シート)を用いて細長い長方形に成形した平板状のフィルム部材70を用いて構成されている。このフィルム部材70で構成される誘導部材7は、そのフィルム部材70の自由端である端部7aを含む部分が、現像ロール53の回転等で発生する気流が接触しても殆ど揺れ動くことがないよう構成されている。また、このフィルム部材70で構成される誘導部材7の場合は、例えば、その現像ロール53から遠い側の端部7b(基端部)側の部分を、筐体50の上記部分50dに対して接着剤等の固定手段により取り付けて固定される。
【0075】
また、誘導部材7は、
図6に示されるように、現像ロール53に近い側の端部(自由端)7aが、現像ロール53(スリーブ531)の表面に保持されている現像剤15(磁気ブラシ)と接触しない状態で設けられる。
図6における符号15aは、現像剤15が現像ロール53の表面で形成する穂立ち状の磁気ブラシにおける表層(最表)部分を示している。
【0076】
この他、実施の形態1における貫通部6の入口61は、
図7(a)に示されるように、その開口(開口面)が現像ロール53(スリーブ531)の表面においてその回転方向Cに延びる無数にある接線TLの一部の接線(TL1,TL2など)と交差した状態で設けられている。このような構成を採用することにより、現像ロール53の回転により発生する気流Eが貫通部6の入口61に取り込まれやすくなり、浮遊する現像剤が筐体50の外部に飛散することも抑制されやすくなる。
【0077】
図7(a)に例示する接線TL1は、現像ロール53(スリーブ531)の接点P1を通過する接線であって、入口61のうち現像用開口部52の下流側縁部52bに近い側の端部61a付近で交差して通過する接線である。また、
図7(a)に例示する接線TL2は、現像ロール53(スリーブ531)の接点P2を通過する接線であって、入口61のうち現像用開口部52の下流側縁部52bから遠い側の端部61b付近で交差して通過する接線である。特に
図7(a)に例示する接線TL2は、誘導部材7の現像ロール53に近い側の端部7aと接する関係にある接線でもある。
このため、入口61は、少なくとも上記2つの接線TL1,TL2の間に存在する多数の接線TLや、2つの接線TL1,TL2よりも外側に存在する複数の接線とも交差した状態になる。
【0078】
また、入口61は、
図7(b)に示されるように、その入口61の開口を覆う仮想の平面VPに対して多数ある垂線PLの一部の垂線(PL1,PL2など)が、現像ロール53(スリーブ531)の現像実行領域となる表面部分DE又はその表面部分DEよりも現像ロール53の内部(スリーブ531や磁石ロール532)を通過して延びる状態になるようにも設けられている。
このような構成を採用していることにより、上記気流Eの他の一部(以下、これを気流E3と称す。)は、その貫通部6の入口61に直接入りやすくなり、また後述するように誘導部材7に誘導されて流れる気流もその入口61に入りやすくなる。
【0079】
図7(b)に例示する垂線PL1は、現像ロール53(スリーブ531)の現像実行領域となる表面部分DEを通過して延びる垂線の一例である。特に
図7(b)に例示する垂線PL1は、誘導部材7の現像ロール53に近い側の端部7aとも接して延びる関係にある垂線でもある。
また、
図7(b)に例示する垂線PL2は、現像ロール53(スリーブ531)の現像実行領域となる表面部分DEよりも現像ロール53の内部を通過して延びる垂線の一例である。この垂線PL2は、入口61(平面VP)のうち現像用開口部52の下流側縁部52bに近い側の端部61a付近から延びる垂線でもある。
したがって、入口61は、特に現像ロール53の現像実行領域となる表面部分DEよりも現像ロール53の内部を通過して延びる垂線(PL2)の方がその現像実行領域となる表面部分DEを通過して延びる垂線(PL1)よりも多くなる関係になっているので、感光ドラム21よりも現像ロール53の方に多くの割合で向き合う状態の入口(開口)になっている。
【0080】
一方、実施の形態1における誘導部材7は、
図6に示されるように、現像ロール53に近い側の端部7aが、現像ロール53よりも現像対象の静電潜像を保持する像保持体の一例である感光ドラム21に接近した状態になるよう設けられている。
つまり、このときの誘導部材7は、その端部(自由端)7aと現像ロール53との最短の間隙L1が、その端部7aと感光ドラム21との最短の離間距離L2よりも長くなるという大小関係(L1>L2)を満たすように設けられている。
【0081】
また、実施の形態1における誘導部材7は、
図6に示されるように、現像ロール53に近い側の端部7aが、筐体50の現像ロール53(スリーブ531)の周面に沿う形状の顎部分50eよりも現像ロール53に接近した状態になるよう設けられている。
つまり、このときの誘導部材7は、その端部(自由端)7aと現像ロール53との最短の間隙L1が、筐体50の上記顎部分50eと現像ロール53との最短の離間距離L3よりも短くなるという大小関係(L1<L3)を満たすように設けている。
筐体50の上記顎部分50eは、円筒状のスリーブ531の円筒周面(の曲率)にほぼ沿った円弧状の断面形状からなるとともにスリーブ531の軸方向Dに沿って帯状に延びる形状からなる部分である。
【0082】
さらに、この現像装置5では、
図6に示されるように、現像ロール53の磁石ロール532において、現像用磁極S1からスリーブ531の回転方向Cの最初の位置に存在する磁極N1を、筐体50における円筒状のスリーブ531の周面に沿う形状の顎部分50eよりもスリーブ531の回転方向Cの下流側にずれた位置に配置している。
実施の形態1では、上記最初の位置に存在する磁極N1が剥離用磁極になる。また、その剥離用磁極N1は、磁石ロール532において筐体50の上記顎部分50eのスリーブ531の回転方向C下流側になる端部と向き合う位置から回転方向C下流側にむけて所定の距離だけ離れた位置に存在するよう配置されている。このときの剥離用磁極N1の配置位置は、その剥離用磁極N1により発生する法線方向の磁力線パターンのピーク位置が筐体50の上記顎部分50eを過ぎて収容部51(第1搬送路51a)内に存在するように配置すればよい。
このような構成を採用することにより、現像ロール53に保持されている現像剤(15)は、筐体50の顎部分50eよりも内部(収容部51)側において磁石ロール532の剥離用磁極N1による磁力作用を受けることで剥がされて浮遊することになり、その浮遊した現像剤(トナー)が顎部分50eよりもスリーブ531の回転方向Cの上流側で発生する上記折り返して流れる気流E1に乗って筐体50の外部に運ばれるというおそれがない。
【0083】
<現像装置の詳細な動作>
この現像装置5は、その予め定められた動作時期になると、前述したように回転する現像ロール53(スリーブ531)の表面付近にその回転方向Cとほぼ同じ方向に進むよう流れる気流Eが生じる(
図8(a))。
この際、気流Eの一部である気流E2が、
図8(a)に点線の矢印で例示するように、筐体50における現像用開口部52の下流側縁部52bの近くに存在して開口している貫通部6の入口61に流れ込むことがある。
この気流E2のような貫通部6の入口61に直接流れる込む気流が存在すると、筐体50の内部に流れ込まず折り返すように流れる後述する気流E1の影響を受けて発生する浮遊トナーが、その気流E2に乗って貫通部6の入口61に運ばれるようになる。
【0084】
しかし、上記気流Eの多くのもの(気流E1)は、前述したように、筐体50の内部に流入せず折り返すような向きになって流れるようになり(
図8(b))、その折り返すように流れる気流E1に浮遊する現像剤(実際にはトナー)が乗せられて筐体50の外部に放出されるおそれがある。
【0085】
これに対し、現像装置5では、貫通部6に加えて誘導部材7も併設していることにより、筐体50の内部に流入せず折り返すような向きになって流れる気流E1が、
図8(b)に点線の矢印で例示するように、誘導部材7に接触して貫通部6の入口61に導入されるように誘導される。つまり、この現像装置5においては、折り返すような向きになって流れる気流E1が、誘導部材7の誘導により貫通部6の入口61に取り込まれる気流E3になる。
またこのとき、誘導部材7、現像ロール53および貫通部6の入口61で囲まれる領域には、
図8(a)に点線の矢印で例示するように、前述した入口61に直接入るように進む気流E2も存在する。これにより、気流E1は、誘導部材7と現像ロール53との間の隙間を通過して筐体50の外部の一例である現像装置5と感光ドラム21の間の隙間空間に流れることが抑制される。
ちなみに、誘導部材7は、現像ロール53の回転で発生する気流Eや折り返す向きになって流れる気流E1が接触しても、その自由端の端部7aを含む部分が揺れ動くことがない。
【0086】
これにより、現像装置5によれば、筐体50の内部に流入せず折り返すような向きになって流れる気流E1により現像剤の一部が浮遊しても、その浮遊する現像剤(実際にはトナー)が気流E1に乗って筐体50の外部(現像装置5と感光ドラム21との間の隙間空間や転写部など)に放出されるよう飛散することが抑制される。
【0087】
また、誘導部材7の誘導により貫通部6の入口61から取り込まれた気流E3は、
図8(b)に例示されるように通路63を通過して貫通部6の出口62から排出される。
この際、気流E3に含まれる現像剤のトナーも、その多くが貫通部6の出口62から気流E3に乗って排出される一方で、その一部が通路63に付着して残留する。
またこの際、貫通部6の出口62から排出されたトナーは、微量ではあるものの、現像装置5の筐体50の外部に(一時的に外面50fに沿って移動するよう)放出されるとともに、重力を受けて下方に落下する。
【0088】
さらにこの際、貫通部6の出口62から排出されたトナーは、現像装置5の下方の位置に存在するよう配置されている供給搬送路Rt1を通して用紙9が搬送されると、その一部が当該用紙9の上面9aに落下して付着する。
これにより、用紙9の上面9aには肉眼での確認が難しいほどの微量なトナーによるかぶりが発生するが、このときの貫通部6の出口62から排出されたトナーは、用紙9により回収されて最終的に画像形成装置1の筐体10の外部に自然に搬出されるようになり、筐体10内に残留することがない。
一方、供給搬送路Rt1を通して用紙9が搬送されない時期は、貫通部6の出口62から排出されたトナーは、供給搬送路Rt1上の搬送案内部材13(
図2)に一時的に付着する。
【0089】
そして、この現像装置5においては、現像ロール53の回転で発生する気流Eのうち筐体50の内部に流入しない気流E1は、貫通部6の入口61から取り込まれる際、
図9に示されるように、入口61のうち現像ロール53の軸方向Dにおける両端領域602,603にそれぞれ存在する開口面積(S2)が相対的に小さい開口61B1,61B2から流入するよりも、その軸方向Dにおける中央領域601に存在する開口面積(S1)が相対的に大きい開口61A1,61A2,61A3からより多く(の量で)流入するように取り込まれる。
【0090】
つまり、上記気流E1は、
図9に矢付き二点鎖線E1a,E1bで例示するように、開口面積(S2)が相対的に小さく通過断面積も小さくなる入口61の開口61B1,61B2が存在する両端領域602,603から、開口面積(S1)が相対的に大きく通過断面積も大きくなる入口61の開口61A1,61A2,61A3が存在する中央領域601の側に移動した状態で流れるようになる。
この結果、貫通部6の入口61のうち中央領域601に存在する開口61A1,61A2,61A3から流入する気流E3aの風量が、両端領域602,603にそれぞれ存在する開口61B1,61B2から流入する気流E3c,E3bの風量よりも多くなる。ちなみに、両端領域602,603に存在する開口61B2から流入する気流E3bの風量は、両端領域602,603に存在する開口61B1から流入する気流E3cの風量よりも多くなる。
【0091】
したがって、この現像装置5では、貫通部6の入口61から気流(E2,E3)が取り込まれた際、その貫通部6の通路63内における両端領域602,603に(その中央領域601に比べて)相対的に多くの現像剤(トナー)が通過することや又は残留して存在してしまうことが抑制される。
【0092】
また、この現像装置5を備えた画像形成装置1にあっては、
図9に模式的に示されるように、現像装置5における貫通部6の通路63を通過して出口62から排出されるトナーの量が、その両端領域602,603における量よりも中央領域601における量の方が多くなる。
【0093】
これにより、例えば、搬送時の用紙幅が相対的に狭い用紙9Aに連続して画像形成が行われる場合でも、現像装置5における貫通部6の入口61から気流E1に乗って取り込まれたトナーは、その通路63の中央領域601を相対的に多く通過して出口62から排出されるとともに、その排出された後に用紙幅が相対的に狭い用紙9Aに落下して回収されるようになる。しかも、このとき貫通部6に取り込まれたトナーは、通路63の両端領域602,603に残留して存在することが抑制される。
【0094】
また、用紙幅が相対的に狭い用紙9Aの連続した画像形成後に、用紙幅が相対的に広い用紙9Bの画像形成が行われる場合でも、現像装置5における貫通部6に取り込まれたトナーは、その出口62から排出された後にその用紙幅が相対的に広い用紙9Bの中央寄りに多く落下して、より確実に回収される。
しかも、この場合は、用紙幅が相対的に狭い用紙9Aの連続した画像形成時に貫通部6の通路63における両端領域602,603に残留していたトナーが、用紙幅が相対的に広い用紙9Bの両端部分(用紙9Aよりも幅方向に広く出っ張る部分)に落下して付着することで汚してしまうおそれもない。
【0095】
[実施の形態2]
図10は、実施の形態2に係る現像装置を示している。
実施の形態2に係る現像装置5Bは、貫通部として、通路63が入口61から出口62までの間で筐体50(の外面50f)に接近する側に曲がる底面部64を有する形状で形成されている貫通部6Bを適用して変更した以外は実施の形態1に係る現像装置5と同じ構成からなるものである。
【0096】
貫通部6Bは、
図10(a)に示されるように、通路63の内壁面のうち筐体50の外面50fと向き合う底面を有しているが、その底面の一部として、入口61から出口62に至るまでの途中で筐体50の外面50fに接近する側に曲がる底面部64を有しているものである。
この途中で曲がる底面部64は、出口62の縦方向の寸法を確保することを前提条件としたうえで、例えば入口61から最初に延びる底面部分となす角度が鈍角の範囲内で屈曲するように曲がる面である。なお、途中で曲がる底面部64は、湾曲するように曲がる面であってもよい。
【0097】
この現像装置5Bでは、
図10(b)に示されるように、貫通部6Bの入口61から取り込まれて流れる気流E3の少なくとも一部は、通路63を通過する際に途中で曲がる底面部64に接触した後に出口62から排出される。
これにより、気流E3に含まれる現像剤のトナーが貫通部6Bの通路63のうち底面部64に付着して残留しやすくなる。
【0098】
したがって、この現像装置5Bにおいては、貫通部が途中で曲がる底面部64を有しない場合に比べると、貫通部6Bの通路63の一部に残留して存在する現像剤のトナーが出口62から排出される量が減りやすくなる。
また、この現像装置5Bを備えた画像形成装置1では、現像装置5Bにおける貫通部6Bの出口62から排出されるトナーが画像形成の時期等において供給搬送路Rt1を通過する用紙9の上面9aに落下して付着するときの付着量も、貫通部が途中で曲がる底面部64を有しない現像装置を備えている場合に比べると、減少する。
【0099】
なお、この現像装置5Bは、
図10に二点鎖線で示すように、貫通部6Bの出口62に網目状部材65を設けるよう構成してもよい。
網目状部材65は、気流E3の空気とそれに含まれるトナーが凝集しない状態で通過し得る大きさの網目(通気孔)を有する部材であり、出口62を塞ぐ状態で設けられる。この網目状部材65としては、例えば、不織布等の部材が適用される。
【0100】
そして、このような網目状部材65を設けた貫通部6Bを有する現像装置5Bでは、貫通部6Bの通路63内に残留して存在する現像剤のトナーが、出口62から排出される際に網目状部材65の網目を通過することで調整されて均された状態で排出される。
このため、例えば、現像装置5B単独又は他の作像装置2の構成部品(装置)と共に画像形成装置1の筐体10に対して着脱される構成になっている場合には、その着脱作業時に現像装置5Bが接触や振動により外部から衝撃を受けることがあっても、その現像装置5Bにおける貫通部6Bの通路63内に残留して存在する現像剤のトナーが出口62から凝集して塊になった状態で排出されて落下すること(ぼた落ち等)が防止される。
【0101】
ちなみに、この網目状部材65は、実施の形態1に係る現像装置5における貫通部6の出口62に設けることも可能である。
このように網目状部材65を設けた現像装置5の場合においても、上述した現像装置5Bの場合と同様の作用効果が得られる。
【0102】
[実施の形態3]
図11から
図13は、実施の形態3に係る現像装置を示している。
実施の形態3に係る現像装置5Cは、貫通部として、入口61を同じ開口面積の複数の開口で構成したうえで、通路63の両端の側面に側面開口部67をそれぞれ設けるとともにその側面開口部67から通路63の中央にむけて空気をそれぞれ供給する給気手段68を設けるように構成した貫通部6Cを適用して変更した以外は実施の形態1に係る現像装置5と同じ構成からなるものである。
【0103】
現像装置5Cにおける貫通部6Cは、
図13に示されるように、その入口61が長方形の同じ開口形状からなる7つの開口61Xで構成されている。このため、入口61の軸方向Dにおける中央領域601に存在する部分の各開口61Xの開口面積Saxとその両端領域602,603に存在する各開口61Xの開口面積Sbxとは、同じ面積になっている。
したがって、貫通部6Cは、入口61のうち軸方向Dにおける中央領域601に存在する部分の開口面積(S1)とその両端領域602,603に存在する部分の開口面積(S2)は互いに同じ大きさ(広さ)で構成されている。
【0104】
また、この貫通部6Cは、
図11から
図13に示されるように、通路63のうち現像ロール53の軸方向Dにおける両端の側面(筐体50の側壁面)に側面開口部67A,67Bが設けられている。さらに、貫通部6Cは、
図12と
図13に示されるように、通路63における側面開口部67A,67Bから通路63の軸方向Dにおける中央にむけて流れる空気(Em)をそれぞれ供給する給気手段68が設けられている。
【0105】
側面開口部67A,67Bは、貫通した状態の孔であり、例えば、
図12に示されるように開口形状が縦長の長方形になる開口になっている。
実施の形態3における側面開口部67A,67Bは、例えば、
図13に示されるように、その貫通する通路が、空気(Em)を貫通部6の通路63の軸方向Dにおける中央にむかうにつれて出口62に近づくよう斜め方向に進むよう供給できるよう、筐体50の外部からその内部にむけて出口62側に進む斜めに貫通した通路として形成されている。
【0106】
給気手段68は、画像形成装置1の筐体10内で自然に発生しているか又は人工的に生成されている気流の一部を利用して貫通部6の通路63内に空気(Em)として導入するように配置する導入管にて構成されている。
なお、給気手段68については、これ以外の構成のものであってもよく、例えば、専門の送風装置と送風管とにより空気(Em)を積極的に供給するように構成した手段であってもよい。
【0107】
そして、このような貫通部6Cを有する現像装置5Cでは、現像ロール53の回転で発生する気流Eのうち筐体50の内部に流入しない気流E1は、貫通部6Cの入口61から取り込まれる際、
図13に示されるように、入口61を構成する同じ開口形状および面積からなる7つの開口61Xからほぼ同じ量で流入するように取り込まれる。
一方、貫通部6Cでは、
図13に示されるように、給気手段68からの空気Ema,Emb)が側面開口部67A,67Bを通して通路63内に供給される。このときの空気Ema,Embは、
図13に矢付き二点鎖線Ema,Embで例示するように、通路63の軸方向Dにおける中央にむかうにつれて出口62に近づくよう斜め方向に進むように供給される。
【0108】
これにより、貫通部6Cの入口61を構成する7つの開口61Xからそれぞれ取り込まれた空気の気流E3は、通路63において以下のような状態で流れる。
まず、通路63の両端領域602,603にそれぞれ2つずつ存在する各開口61Xから流入する気流E3a4,E3a5は、
図13に示されるように、側面開口部67A,67Bから供給される上記空気Ema,Embの流れる力(風力)を相対的に強く受けて通路63の中央領域601に向く方向に進路を曲げられた状態で進むように流れる。
一方、通路63の中央領域601に存在する3つの各開口61Xから流入する気流E3a1,E3a2,E3a3は、上記空気Ema,Embの流れる力(風力)を相対的に弱く受けるので進路をほとんど変えられず通路63の中央領域601をほぼそのまま直進するように流れる。このうち通路63の中央領域601における両端領域602,603寄りの位置に配置された各開口61Xから流入する気流E3a2,E3a3は、上記空気Ema,Embの流れる力(風力)を少し受けて進路を変えられることにより通路63の中央領域601に向く方向に少し曲げられた状態で流れる。
【0109】
つまり、貫通部6Cの入口61から取り込まれた上記気流E1は、
図13に矢付き二点鎖線E3a,E3bで例示するように、貫通部6Cの通路63を通過する際、上記空気Ema,Embの作用により、その通路63における両端領域602,603から中央領域601の側に寄せられる(集中させられる)ような状態で流れるようになる。
この結果、貫通部6Cの通路63を通過して出口62から排出されるときの風量は、通路63の中央領域601を通過して流れる気流の風量が、その両端領域602,603を通過して流れる気流の風量よりも多くなる。
【0110】
したがって、この現像装置5Cにおいても、貫通部6Cの入口61から気流(E2,E3)が取り込まれた際、その貫通部6Cの通路63内における両端領域602,603に(その中央領域601に比べて)相対的に多くの現像剤(トナー)が通過することや又は残留して存在してしまうことが抑制される。
【0111】
また、この現像装置5Cを備えた画像形成装置1にあっては、実施の形態1に係る現像装置5を備えた画像形成装置1の場合とほぼ同様に、現像装置5Cにおける貫通部6Cの通路63を通過して出口62から排出されるトナーの量が、その両端領域602,603における量よりも中央領域601における量の方が多くなる。
【0112】
これにより、実施の形態1に係る現像装置5を備えた画像形成装置1の場合(
図9参照)とほぼ同様に、例えば、搬送時の用紙幅が相対的に狭い用紙9Aに連続して画像形成が行われる場合でも、現像装置5Cにおける貫通部6Cの入口61から気流E1に乗って取り込まれたトナーは、その通路63の中央領域601を相対的に多く通過して出口62から排出されるとともに、その排出された後に用紙幅が相対的に狭い用紙9Aに落下して回収されるようになる。しかも、このとき貫通部6に取り込まれたトナーは、通路63の両端領域602,603に残留して存在することが抑制される。
【0113】
また、用紙幅が相対的に狭い用紙9Aの連続した画像形成後に、用紙幅が相対的に広い用紙9Bの画像形成が行われる場合でも、現像装置5Cにおける貫通部6Cに取り込まれたトナーは、その出口62から排出された後にその用紙幅が相対的に広い用紙9Bの中央寄りに多く落下して、より確実に回収される。
しかも、この場合は、用紙幅が相対的に狭い用紙9Aの連続した画像形成時に貫通部6Cの通路63における両端領域602,603に残留していたトナーが、用紙幅が相対的に広い用紙9Bの両端部分に落下して付着することで汚してしまうおそれもない。
【0114】
[実施の形態4]
図14は、実施の形態4に係る現像装置の一部を示している。
実施の形態4に係る現像装置5Dは、貫通部として、通路63の両端の側面に側面開口部67をそれぞれ設けるとともにその側面開口部67から通路63の中央にむけて空気をそれぞれ供給する給気手段68を設けるように構成した貫通部6Dを適用して変更した以外は実施の形態1に係る現像装置5と同じ構成からなるものである。
また、この現像装置4Dは、貫通部として、実施の形態1における入口61のような開口面積の関係にある構成を適用して変更した以外は実施の形態3に係る現像装置5Cと同じ構成からなるものであるともいえる。
【0115】
貫通部6Dにおける入口61は、実施の形態1における入口61の構成(
図5)と同じ構成になっている。
また、貫通部6Dにおける側面開口部67A,67Bおよび給気手段68は、実施の形態3における側面開口部67A,67Bおよび給気手段68の構成(
図11から
図13)と同じ構成になっている。
【0116】
そして、このような貫通部6Dを有する現像装置5Dでは、現像ロール53の回転で発生する気流Eのうち筐体50の内部に流入しない気流E1は、貫通部6Cの入口61から取り込まれる際、入口61のうち現像ロール53の軸方向Dにおける両端領域602,603にそれぞれ存在する開口面積(S2)が相対的に小さい開口61B1,61B2から流入するよりも、その軸方向Dにおける中央領域601に存在する開口面積(S1)が相対的に大きい開口61A1,61A2,61A3からより多く(の量で)流入するように取り込まれる(
図9参照)。
一方、このときの貫通部6Cにおいては、
図14に示されるように、給気手段68からの空気Ema,Emb)が側面開口部67A,67Bを通して通路63内に供給される。このときの空気Ema,Embは、
図14に矢付き二点鎖線Ema,Embで例示するように、通路63の軸方向Dにおける中央にむかうにつれて出口62に近づくよう斜め方向に進むように供給される。
【0117】
これにより、貫通部6Dの入口61を構成する7つの開口61A1,61A2,61A3,61B1,61B2,61B1,61B2からそれぞれ取り込まれた空気の気流E3は、通路63において以下のような状態で流れる。
まず、通路63の両端領域602,603にそれぞれ2つずつ存在する各開口61B1,61B2から流入する相対的に風量の少なめの気流E3c1,E3b1は、
図14に示されるように、側面開口部67A,67Bから供給される上記空気Ema,Embの流れる力(風力)を相対的に強く受けて通路63の中央領域601に向く方向に進路を曲げられた状態で進むように流される。
一方、通路63の中央領域601に存在する3つの各開口61A1,61A2,61A3から流入する気流E3a1,E3a2,E3a3は、上記空気Ema,Embの流れる力を相対的に弱く受けるので進路をほとんど変えられず通路63の中央領域601をほぼそのまま直進するように流れる。このうち通路63の中央領域601における両端領域602,603寄りの位置に配置された各開口61A2,61A3から流入する気流E3a2,E3a3は、上記空気Ema,Embの流れる力を少し受けて進路を変えられることにより通路63の中央領域601に向く方向に少し曲げられた状態で流れる。
【0118】
つまり、貫通部6Dの入口61から取り込まれる上記気流E1は、
図14に矢付き二点鎖線E1a,E1bで例示するように、開口面積(S2)が相対的に小さく通過断面積も小さくなる入口61の開口61B1,61B2が存在する両端領域602,603から、開口面積(S1)が相対的に大きく通過断面積も大きくなる入口61の開口61A1,61A2,61A3が存在する中央領域601の側に移動した状態で流れるようになる。
しかも、この貫通部6Dの入口61から取り込まれた後の気流E1は、
図14に矢付き二点鎖線E3a,E3bで例示するように、貫通部6Dの通路63を通過する際、上記空気Ema,Embの作用により、その通路63における両端領域602,603から中央領域601の側に寄せられるような状態で流れるようにもなる。
この結果、貫通部6の入口61のうち中央領域601に存在する開口61A1,61A2,61A3から流入する気流E3aの風量が、両端領域602,603にそれぞれ存在する開口61B1,61B2から流入する気流E3c,E3bの風量よりも多くなる。また、貫通部6Dの通路63を通過して出口62から排出されるときの風量は、通路63の中央領域601を通過して流れる気流の風量が、その両端領域602,603を通過して流れる気流の風量よりも多くなる。
【0119】
したがって、この現像装置5Dにおいては、貫通部6Cの入口61から気流(E2,E3)が取り込まれた際、その貫通部6Cの通路63内における両端領域602,603に(その中央領域601に比べて)相対的に多くの現像剤(トナー)が通過することや又は残留して存在してしまうことが、現像装置5,5Cに比べると、より確実に抑制される。
【0120】
また、この現像装置5Dを備えた画像形成装置1にあっては、実施の形態1,3に係る現像装置5,5Cを備えた画像形成装置1の場合とほぼ同様に、現像装置5Cにおける貫通部6Cの通路63を通過して出口62から排出されるトナーの量が、その両端領域602,603における量よりも中央領域601における量の方がより確実に多くなる。
【0121】
[変形例]
実施の形態1,2,4では、現像装置5,5B,5Dにおける貫通部6,6B,6D(の入口61)に代えて、例えば、以下に示す変形した構成の入口を有する貫通部6E,6F,6G,6Hを適用することも可能である。
【0122】
図15に例示する貫通部6Eは、入口61が、両端領域602,603にそれぞれ存在する高さ寸法hが互いに同一でかつ開口形状が矩形からなる6つの開口61B4,61B5,61B6,61B7,61B8,61B9と、中央領域601に存在する高さ寸法hが上記6つの開口の高さ寸法と同一でかつ開口形状が同じ長方形からなる3つの開口61A1,61A2,61A3とに分割された計15個の開口で構成されている貫通部である。
このうち両端領域602,603に存在する6つの開口61B4,61B5,61B6,61B7,61B8,61B9は、その幅寸法wがこの順に次第に広くなる関係になっている。また、この6つの開口の開口面積Sb4,Sb5,Sb6,Sb6,Sb7,Sb8,Sb9は、高さ寸法hが同一であるため、この順に大きくなる関係になっている。
【0123】
そして、この貫通部6Eにおける入口61は、中央領域601に存在する3つの同じ開口61A1,61A2,61A3の各開口面積Sa2,Sa2,Sa2を合計したもの(Sa2+Sa2+Sa2)からなる開口面積(S1)が、両端領域602,603にそれぞれ存在する6つの開口61B4,61B5,61B6,61B7,61B8,61B9の各開口面積Sb4,Sb5,Sb6,Sb6,Sb7,Sb8,Sb9を合計して2倍にしたもの「(Sb4+Sb5+Sb6+Sb7+Sb8+Sb9)×2」からなる開口面積(S2)よりも大きい関係になっている。
【0124】
図16に例示する貫通部6Fは、入口61が、両端領域602,603にそれぞれ存在する開口形状が横に倒した台形からなる4つの開口61C1,61C2,61C3,61C4と、中央領域601に存在する高さ寸法hが互いに同一でかつ開口形状が同じ長方形からなる3つの開口61A1,61A2,61A3とに分割された計11個の開口で構成されている貫通部である。
このうち両端領域602,603に存在する4つの開口61C1,61C2,61C3,61C4は、その幅寸法wがこの順に次第に広くなる関係になっている。また、この4つの開口61C1,61C2,61C3,61C4は、左右の高さ寸法h1,h2が互いに異なるとともに、同一であるため、その左右の高さ寸法h1,h2がこの順に次第に大きくなる関係になっている。この4つの開口61C1,61C2,61C3,61C4は、その下辺が中央領域601に存在する3つの同じ開口61A1,61A2,61A3の下辺と軸方向Dに沿って延びる直線上に並んで同じ高さになっている一方で、その上辺が左右両端から中央領域601に向かうにつれて次第に高くなるよう傾斜する斜辺になっている。
【0125】
そして、この貫通部6Fにおける入口61は、中央領域601に存在する3つの同じ開口61A1,61A2,61A3の各開口面積Sa2,Sa2,Sa2を合計したもの(Sa2+Sa2+Sa2)からなる開口面積(S1)が、両端領域602,603にそれぞれ存在する4つの開口61C1,61C2,61C3,61C4の開口面積Sc1,Sc2,Sc3,Sc4を合計して2倍にしたもの「(Sc1+Sc2+Sc3+Sc4)×2」からなる開口面積(S2)よりも大きい関係になっている。
【0126】
特に貫通部6Fでは、その入口61のうち両端領域602,603に存在する部分である4つの開口61C1,61C2,61C3,61C4について、その各開口面積Sc1,Sc2,Sc3,Sc4が中央領域601に近づくにつれて大きくなるよう設けている。これにより、貫通部6Fの通路63内における両端領域602,603を通過する又は残留して存在する現像剤のトナー量の差を段差が少なく滑らかに小さくすることができる。
また貫通部6Fでは、その入口61のうち中央領域601に存在する部分である3つの同じ開口61A1,61A2,61A3についても、その各開口面積Sa2,Sa2,Sa2が中央領域601の軸方向Dにおける中心位置にむかうにつれて大きくなるように設けることもできる。このように構成した貫通部6Fの場合は、貫通部6Fの通路63内における両端領域602,603に加えて、その通路63内における中央領域601を通過する又は残留して存在する現像剤のトナー量の差を段差が少なく滑らかに小さくすることができる。
【0127】
図17に例示する貫通部6Gは、入口61が、両端領域602,603にそれぞれ存在する開口形状が直角三角形からなる4つの開口61D1,61D2,61D3,61D4と、中央領域601に存在する開口形状が長方形からなる1つの開口61A4とに分割された計9個の開口で構成されている貫通部である。
このうち両端領域602,603に存在する4つの開口61D1,61D2,61D3,61D4は、その幅寸法wがこの順に次第に広くなる関係になっている。また、この4つの開口61D1,61D2,61D3,61D4は、その高さ寸法hもこの順に次第に大きくなる関係になっている。さらに、この4つの開口61D1,61D2,61D3,61D4についても、その下辺が中央領域601に存在する1の開口61A4の下辺と軸方向Dに沿って延びる直線上に並んで同じ高さになっている一方で、その斜辺が左右両端から中央領域601に向かうにつれて次第に長くなる斜辺になっている。
【0128】
そして、この貫通部6Gにおける入口61は、中央領域601に存在する1つの開口61A4の開口面積Sa4からなる開口面積(S1)が、両端領域602,603にそれぞれ存在する4つの開口61D1,61D2,61D3,61D4の開口面積Sd1,Sd2,Sd3,Sd4を合計して2倍にしたもの「(Sd1+Sd2+Sd3+Sd4)×2」からなる開口面積(S2)よりも大きい関係になっている。
【0129】
図18に例示する貫通部6Hは、入口61が、両端領域602,603から中央領域601にむけて開口形状(面積)が次第に大きくなる連続した1つの開口で構成されている貫通部である。
つまり、この連続した1つの開口からなる入口61は、中央領域601に存在する最も大きい長方形の開口形状からなる1つの入口中央部分61aと、両端領域602,603にそれぞれ存在する高さ寸法が次第に小さくなる細長い長方形の開口形状からなる2つの入口両端部分61b,61cとで構成されている。2つの入口両端部分61b,61cは、幅寸法wが互いに同じであってかつ高さ寸法が入口中央部分61aの高さ寸法hよりも小さくかつ両端にあるものほど更に小さい関係になっている。一方、1つの入口中央部分61aは、その高さ寸法hと幅寸法wの双方が2つの入口両端部分61b,61cの高さ寸法hと幅寸法wのいずれよりも小さい関係になっている。
【0130】
そして、この貫通部6Hにおける入口61は、中央領域601に存在する入口中央部分61aの開口面積S10からなる開口面積(S1)が、両端領域602,603にそれぞれ存在する2つの入口両端部分61b,61cの開口面積S11,S12を合計して2倍にしたもの「(S11+S12)×2」からなる開口面積(S2)よりも大きい関係になっている。
【0131】
また、実施の形態1,2,4における貫通部6,6B,6Dの分割した複数の開口からなる入口61についても、
図18に例示する貫通部6Hにおける入口と同様に、連続した1つの入口として構成することが可能である。
【0132】
さらに、各貫通部6等における分割した複数の開口からなる入口61としては、この他にも次の構成のものを適用してもよい。
他の入口61としては、例えば、開口形状が円形や楕円形等の他の形状からなるものを1列状又は複数列状に並べた構成からなり、かつ、その中央領域601に存在するすべての開口の開口面積を合計してなる開口面積(S1)が両端領域602,603にそれぞれ存在するすべての開口の開口面積を合計してなる開口面積(S2)よりも大きいという構成からなる入口等が挙げられる。
入口61の開口面積(S1)と開口面積(S2)については、入口61を構成する開口の高さ寸法h、幅寸法w、辺の長さ、曲線の状態等の各寸法に関係する条件を変更することで調節される。
【0133】
実施の形態2では、貫通部6Bの出口62に設ける網目状部材65として全域が同じ大きさ(粗さ)の網目からなる部材を例示したが、その網目状部材65としては、出口62の軸方向Dにおける中央領域601と両端領域602,603とで網目の大きさ(粗さ)が異なる網目状部材を適用してもよい。具体的には、出口62の中央領域601における網目の大きさ(粗さ)が両端領域602,603における網目の大きさ(粗さ)よりも大きい関係にある網目状部材65を適用する。
このような網目状部材65を設けた貫通部6B(実施の形態1における貫通部6を含む)を採用した場合は、貫通部6B(6)に取り込まれた気流E1が出口62から排出される際、網目状部材65の網目の大きさの違いにより、出口62の両端領域602,603から排出される現像剤のトナーの量がその出口62の中央領域601から排出される現像剤のトナーの量よりも多くなることが抑制される。
【0134】
この他に、実施の形態1から4では、現像装置5(5B,5C,5D)を1つ使用して単色画像を形成する形式の画像形成装置1を例示したが、この発明の画像形成装置としては、現像装置5(5B,5C,5D)を複数使用して多色画像を形成する形式の画像形成装置であってもよい。
また、現像装置5(5B,5C,5D)は、用紙9を搬送する用紙搬送路として傾斜する状態の用紙搬送路の上方に配置されて使用されるものであっても構わない。
【符号の説明】
【0135】
1 …画像形成装置
5 …現像装置
6 …貫通部
7 …誘導部材(誘導手段の一例)
9 …用紙
15…現像剤
21…感光ドラム(像保持体手段一例)
50…筐体
50b…下流側縁部を含む部分
50d…貫通部の入口の現像用開口部とは反対側の部分
51…収容部
52…現像用開口部
53…現像ロール(現像剤保持手段の一例)
61…入口
62…出口
63…通路
64…曲がる底面部
67…側面開口部
68…給気手段
601…中央領域
602,603…両端領域
C …回転方向(現像剤保持手段の回転方向)
D …軸方向(現像剤保持手段の軸方向)
E2,E3…気流(取り込む空気の一例)
Em…供給する空気
h …高さ寸法(縦寸法)
L1…間隙
Rt1…供給搬送路(用紙搬送路の一例)
S …開口面積