(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】家具
(51)【国際特許分類】
A47B 1/02 20060101AFI20221213BHJP
A47B 13/02 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
A47B1/02
A47B13/02
(21)【出願番号】P 2018182771
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】松崎 克弥
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-196138(JP,U)
【文献】特開2006-346361(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0010847(KR,A)
【文献】米国特許第04713949(US,A)
【文献】特開2003-339450(JP,A)
【文献】特開2001-070051(JP,A)
【文献】特開平09-238790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00-1/10
A47B 13/02
A47B 3/083-3/087
A47B 17/03
A37B 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体に家具機能要素を支持させてなる家具であって、
前記支持体は、支持体本体と、この支持体本体に対して取付け位置変更可能に連設された可動端部とを備えたものであり、
前記家具機能要素は、前記支持体本体に支持されたメイン要素部と、このメイン要素部にスライド可能に外嵌され前記可動端部に支持されたサブ要素部とを備えたものであり、
前記支持体本体に対する前記可動端部の取付け位置を変更して前記メイン要素部に対する前記サブ要素部の被さり代を変更することにより家具幅を変えることができ
、
前記支持体は、前記サブ要素部を前記可動端部に対して家具幅を無段階に変更できるように取り付ける無段階取付け機構を備えたものである家具。
【請求項2】
前記支持体は、前記可動端部を前記支持体本体に対して家具幅を一定のピッチ毎に変更できるように取り付ける間欠取付け機構を備えたものである請求項1記載の家具。
【請求項3】
前記無段階取付け機構による家具幅変更範囲は、前記間欠取付け機構による家具幅変更の1ピッチ分以上に相当するように設定されている請求項2記載の家具。
【請求項4】
前記支持体本体が家具幅変更方向に延びるパイプ状のメインフレームを備えるとともに、前記可動端部が前記メインフレームにスライド可能に嵌着されたサブフレームを備えたものであり、
前記間欠取付け機構は、前記メインフレームと前記サブフレームとに関連させて設けられている請求項
2又は3記載の家具。
【請求項5】
前記支持体本体は、メイン要素部を支持するメインフレームと、このメインフレームを支持する本体側の脚とを備えたものであり、
前記可動端部は、前記メインフレームにスライド可能に嵌合するサブフレームと、このサブフレームを支持する可動端部側の脚とを備えたものであり、
前記間欠取付け機構は、前記サブフレームを前記メインフレームに対して任意の間欠位置で固定し得るようにしたものである請求項
4記載の家具。
【請求項6】
支持体に家具機能要素を支持させてなる家具であって、
前記支持体は、支持体本体と、この支持体本体に対して取付け位置変更可能に連設された可動端部とを備えたものであり、
前記家具機能要素は、前記支持体本体に支持されたメイン要素部と、このメイン要素部にスライド可能に外嵌され前記可動端部に支持されたサブ要素部とを備えたものであり、
前記支持体本体に対する前記可動端部の取付け位置を変更して前記メイン要素部に対する前記サブ要素部の被さり代を変更することにより家具幅を変えることができるとともに、
前記家具機能要素が天板であり、
前記メイン要素部が前記天板の主要部をなす中実なメイン天板部であるとともに、前記サブ要素部が前記メイン天板部の端部にスライド可能に外嵌された中空のサブ天板部であ
る家具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等で好適に使用される家具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、オフィス空間に存在する既存の柱は一定の建築モジュールに対応させて配されているが、柱自体の幅寸法がまちまちであるため、柱間の内法寸法は種々のオフィスにおいて微妙に異なっている。
【0003】
そのため、建築構造物の一部である柱間に所望の家具を密に配置することは難しく、例えば、柱間に位置させて窓際にカウンター等の家具を見栄えよく設置するには、現場での大工仕事を伴う造作に頼らざるを得ないのが現状である。
【0004】
かかる事情は、オフィス空間に配置される家具に限らず、店舗その他種々の空間において同様であり、何らかの対策が望まれている。
【0005】
なお、従来の机で、天板の端面に補助天板を隣接配置しておき、その補助天板を装脱することにより机の寸法を変更できるようにしたものはあるが、このようなものは補助天板の幅に対応した寸法変更しかできないため、前述した要望に応えることはできない(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に着目してなされたもので、家具幅を柔軟に変更することができ、建築柱間などの寸法変更が困難な空間に見栄えよく配置することができる家具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明に係る家具は、支持体に家具機能要素を支持させてなるものであって、前記支持体は、支持体本体と、この支持体本体に対して取付け位置変更可能に連設された可動端部とを備えたものであり、前記家具機能要素は、前記支持体本体に支持されたメイン要素部と、このメイン要素部にスライド可能に外嵌され前記可動端部に支持されたサブ要素部とを備えたものであり、前記支持体本体に対する前記可動端部の取付け位置を変更して前記メイン要素部に対する前記サブ要素部の被さり代を変更することにより家具幅を変えることができ、前記支持体は、前記サブ要素部を前記可動端部に対して家具幅を無段階に変更できるように取り付ける無段階取付け機構を備えたものである。
【0009】
請求項2記載の発明に係る家具は、請求項1記載のものにおいて、前記支持体が、前記可動端部を前記支持体本体に対して家具幅を一定のピッチ毎に変更できるように取り付ける間欠取付け機構を備えたものである。
【0011】
請求項3記載の発明に係る家具は、請求項2記載のものにおいて、前記無段階取付け機構による家具幅変更範囲が、前記間欠取付け機構による家具幅変更の1ピッチ分以上に相当するように設定されているものである。
【0012】
請求項4記載の発明に係る家具は、請求項2又は3記載のものにおいて、前記支持体本体が家具幅変更方向に延びるパイプ状のメインフレームを備えるとともに、前記可動端部が前記メインフレームにスライド可能に嵌着されたサブフレームを備えたものであり、前記間欠取付け機構が前記メインフレームと前記サブフレームとに関連させて設けられているものである。
【0013】
請求項5記載の発明に係る家具は、請求項4記載のものにおいて、前記支持体本体が、メイン要素部を支持するメインフレームと、このメインフレームを支持する本体側の脚とを備えたものであり、前記可動端部が、前記メインフレームにスライド可能に嵌合するサブフレームと、このサブフレームを支持する可動端部側の脚とを備えたものであり、前記間欠取付け機構が、前記サブフレームを前記メインフレームに対して任意の間欠位置で固定し得るようにしたものである。
【0014】
請求項6記載の発明に係る家具は、支持体に家具機能要素を支持させてなる家具であって、前記支持体は、支持体本体と、この支持体本体に対して取付け位置変更可能に連設された可動端部とを備えたものであり、前記家具機能要素は、前記支持体本体に支持されたメイン要素部と、このメイン要素部にスライド可能に外嵌され前記可動端部に支持されたサブ要素部とを備えたものであり、前記支持体本体に対する前記可動端部の取付け位置を変更して前記メイン要素部に対する前記サブ要素部の被さり代を変更することにより家具幅を変えることができるとともに、前記家具機能要素が天板であり、前記メイン要素部が前記天板の主要部をなす中実なメイン天板部であるとともに、前記サブ要素部が前記メイン天板部の端部にスライド可能に外嵌された中空のサブ天板部であるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、家具幅を柔軟に変更することができ、建築柱間などの寸法変更が困難な空間に見栄えよく配置することができる家具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係るカウンターを示す斜視図。
【
図6】
図5における幕板付近のC-C線に沿った拡大断面図。
【
図7】
図5における幕板付近のD-D線に沿った拡大断面図。
【
図8】
図5における幕板付近のE-E線に沿った拡大断面図。
【
図9】同実施形態に係るカウンターの要部を示す底面側斜視図。
【
図10】同実施形態に係るカウンターを示す分解斜視図。
【
図11】同実施形態に係るカウンターの支持構造体の要部を示す拡大斜視図。
【
図12】同実施形態に係るフレームの接続態様を示す説明図。
【
図14】同実施形態に係る間欠取付け機構の作用を示す説明図。
【
図15】同実施形態に係る間欠取付け機構の作用を示す説明図。
【
図16】同実施形態に係る無段階取付け機構の作用を示す説明図。
【
図17】同実施形態に係る無段階取付け機構の作用を示す説明図。
【
図18】同実施形態に係るカウンターの要部を示す背面側斜視図。
【
図19】同実施形態に係るカウンターを示す分解斜視図。
【
図20】同実施形態に係るカウンターの要部を示す分解斜視図。
【
図21】同実施形態に係る幕板の取付態様を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
この実施形態は、本発明を家具の一つであるカウンターKに適用した場合のものである。
【0019】
このカウンターKは、
図1及び
図2に示すように、支持体1に家具機能要素たる天板2を支持させてなるものであり、その支持体1は、支持体本体4と、この支持体本体4に対して取付け位置変更可能に連設された可動端部5とを備えてなる。すなわち、この実施形態における支持体1は、家具機能要素である天板2を支持するためのものであり、天板2は、支持体本体4に支持されたメイン要素部たるメイン天板部6と、このメイン天板部6にスライド可能に外嵌され可動端部5に支持されたサブ要素部たるサブ天板部7とを備えたものである。そして、支持体本体4に対する可動端部5の取付け位置を変更して
図4に示すようなメイン天板部6に対するサブ天板部7の被さり代7kを変更することにより家具幅Wを変えることができるようになっている。なお、この実施形態のカウンターKは、左右対称形状をなしているため、左半分の構造のみを詳述し、右半分については対応する部分に同一の符号を付して説明を省略する。
【0020】
<支持体1の支持体本体4>
この実施形態の支持体1は、支持体本体4の両端にそれぞれ可動端部5を配設したものであり、支持体本体4は、
図2、
図9及び
図18に示すように、本体側の脚である対をなす中間脚21と、これら中間脚21の上端間に架設された中間のメインフレーム23と、各中間脚21から対応する各可動端部5方向に伸びる端のメインフレーム25とを主体に構成されている。各中間脚21は、前、後の脚支柱27、29と、これら脚支柱27、29の上端部同士を剛結する上ステー31と、両脚支柱27、29の下端部同士を剛結する下ステー33とを備えたものであり、その上端に天板受金具35が固設されているとともに、下端にアジャスタ37が設けられている。また、上ステー31の両面には端部方向に伸びる上フレーム金具39が突設されており、これら上フレーム金具39に端部を外嵌した状態でメインフレーム23、25が装着されている。メインフレーム23、25は、後に詳述するように角ハイプ状のものであり、反使用端側の側面に複数の天板取付金具41が設けられている。
【0021】
<支持体1の可動端部5>
可動端部5は、
図2~
図5、
図9~
図11及び
図19~
図21に示すように、可動端部5側の脚であるエンド脚43と、このエンド脚43の上端から延出させたサブフレーム45とを主体に構成されたものであり、前記サブフレーム45の先端側は支持体本体4の端のメインフレーム25内にスライド可能に嵌合させてある。エンド脚43は、前の脚支柱47と、この脚支柱47の後に位置する外後の脚支柱49と、この外後の脚支柱49の内側方に配された内後の脚支柱51と、これら脚支柱47、49、51の上端間を剛結する縦上ステー53及び横上ステー55と、脚支柱47、49、51の下端部間を剛結する縦下ステー57及び横下ステー59とを主体に構成されたものであり、その上端にはメイン天板2取付け用の天板受金具61が固設されているとともに、下端にアジャスタ63が設けられている。天板受金具61には、複数のボルト挿通孔61aが所定のピッチPで穿設されている。縦上ステー53の内向き面側には、前述したサブフレーム45と、サブ天板2取り付け用の取付金具65が突設されている。サブフレーム45は、後に詳述するように反使用端側に開放されたチャンネル状のものであり、その突出端側が端のメインフレーム25内にスライド可能に嵌装されている。なお、117は、中間脚21の後の脚支柱29及びエンド脚43の外後の脚支柱49の前方に隣接して設けられる竪型の配線ダクトである。
【0022】
<支持体1の間欠取付け機構8とフレーム接続構造>
支持体1は、
図3~
図5及び
図9~
図17に示すように、可動端部5を支持体本体4に対して家具幅Wを一定のピッチP毎に変更できるように取り付ける間欠取付け機構8を備えているともに、サブ天板部7を可動端部5に対して家具幅Wを無段階に変更できるように取り付ける無段階取付け機構9を備えている。無段階取付け機構9による家具幅変更範囲は、間欠取付け機構8による家具幅変更の1ピッチP分以上に相当するように設定されている。
【0023】
間欠取付け機構8は、
図3~
図5及び
図9~
図17に示すように、支持体本体4の端のメインフレーム25(以下、単にメインフレーム25と称する)と可動端部5のサブフレーム45に関連させて設けられたものである。すなわち、この間欠取付け機構8は、下記のようなフレーム接続構造により実現されるもので、サブフレーム45をメインフレーム25に対して任意の間欠位置で固定し得るようになっている。
【0024】
メインフレーム25とサブフレーム45に関連したフレーム接続構造は、次の通りである。このフレーム接続構造は、第1のボルト挿通孔25aを有した第1のフレームであるメインフレーム25と、このメインフレーム25に接続位置変更可能に組み合わされ第1のボルト挿通孔25aに合致可能な第2のボルト挿通孔45aを有した第2のフレームであるサブフレーム45と、メインフレーム25の内部に配され第1のボルト挿通孔25aに対応する部位にナット69を保持したナットホルダ67と、このナットホルダ67のナット69に第1、第2のボルト挿通孔25a、45aを通して螺着される緊締ボルト71とを備えたものである。ナットホルダ67は、メインフレーム25に対するサブフレーム45の相対動作を許容する、
図14に示す退避位置mから緊締ボルト71の緊締力によりサブフレーム45をメインフレーム25に押し付ける、
図15~
図17に示す緊締位置nまでの間で遊動し得るようにしてメインフレーム25に支持されている。
【0025】
具体的に説明すれば、このフレーム接続構造は、
図2~
図5及び
図9~
図17に示すように、メインフレーム25の内部にサブフレーム45を長手方向、すなわち、家具幅方向にスライド可能に嵌合させたものであって、接続位置を変更することによって全体の長手方向寸法を変えることができるように構成されている。
【0026】
図11及び
図13に示すように、メインフレーム25は、対をなす外側板75、77を有するものであるとともに、サブフレーム45は、一側面を反使用端側に開放したチャンネル形状のものであり、ナットホルダ67は、サブフレーム45の内側にあってメインフレーム25の一方の外側板75、すなわち、反使用端側の外側板に遊動可能に接続されている。メインフレーム25は、対をなす第1のボルト挿通孔25aを有しているとともに、サブフレーム45は、スライド動作に伴って第1のボルト挿通孔25aに選択的に合致する複数の第2のボルト挿通孔45aを有している。そして、外側すなわち下側から第1のボルト挿通孔25a及び当該第1のボルト挿通孔25aに合致するいずれかの前記第2のボルト挿通孔45aに挿通させた緊締ボルト71をナットホルダ67に保持されたナット69に螺着し得るように構成されている。この実施形態では、対をなす第1のボルト挿通孔25aは、第2のボルト挿通孔45aの1ピッチPに対して4倍の離間距離を確保して配設されており、サブフレーム45を1ピッチP分だけスライドさせることによって、対をなす第1のボルト挿通孔25aに第2のボルト挿通孔45aが選択的に合致するようになっている。なお、対をなす第1のボルト挿通孔25aは、それぞれメインフレーム25の長手方向に延びる長孔形状をなしている。
【0027】
より具体的には、
図11及び
図13に示すように、メインフレーム25は、外底板73と、対をなす外側板75、77と、これら両外側板75、77の上端間を塞ぐ外上板79とを備えた角パイプ状のものである。サブフレーム45は、一方の外側板75に対面する側が開放された形状をなすものであって、外底板73の内面に沿う内底板81と、他方の外側板77の内面に沿う内側板83と、この内側板83の上縁から前記内底板81に平行に延出する内上板85とを備えたチャンネル状のものである。一方、ナットホルダ67は、サブフレーム45の内底板81に切離可能なホルダ底板87と、このホルダ底板87の一側縁からメインフレーム25の一方の外側板75の内面に沿わせて起立するホルダ側板89とを備えたものであり、このホルダ側板89が一方の外側板75に遊動可能に支持されているともに、そのホルダ底板87に前述した対をなすナット69が設けられている。両ナット69の離間距離は、第1のボルト挿通孔25aの離間距離に対応させてある。ナットホルダ67は、ホルダ側板89に接続突起91を備えたものであり、メインフレーム25は、一方の外側板75にその接続突起91を遊動可能に案内する案内孔93を備えている。接続突起91は、案内孔93に案内される軸状のもので、外方端にフランジ部95を備えている。案内孔93は、接続突起91を介してナットホルダ67を水平移動可能に案内する水平案内部93aと、接続突起91を介してナットホルダ67を上下移動可能に案内する鉛直案内部93bとを備えたものである。ナットホルダ67が前述した緊締位置nにある場合には、
図15~
図17に示すように、接続突起91が水平案内部93aに対応する高さ位置にあり、ナットホルダ67が退避位置mにある場合には、
図14に示すように、接続突起91が鉛直案内部93bの上端側に位置するようになっている。なお、機能的には、案内孔93の鉛直案内部93bは、水平案内部93aの一端から上に延びるだけで十分であるが、この実施形態では、鉛直案内部93bが水平案内部93aの一端から上下に延びる形状をなしている。そして、かかる上下対称形状をなす案内孔93をメインフレームの外側板75における上下方向中央に配している。これは左端のメインフレーム25に案内孔93を穿設する金型と、右端のメインフレーム25に案内孔93を穿設する金型とを共通化するための工夫である。また、水平案内部93aは水平方向に延びる長孔状にしてあるが、これはメインフレームの第1のボルト挿通孔25aが長孔状になっていることと相まって、ナットホルダ67の位置をスライド方向に微妙に調整し得るようにするための方策である。
【0028】
しかして、サブフレーム45をメインフレーム25に挿入する際には、
図14の(a)に示すように、メインフレーム25の外側から接続突起91のフランジ部95を押し上げる。そうすれば、同図の(a)及び(b)に示すように、外から手の届かないナットホルダ67が待機位置mまで持ち上がり、このナットホルダ67のホルダ底板87とメインフレーム25の外底板73との間にサブフレーム45の内底板81を容易に侵入させ得る隙間Sが形成されることになる。サブフレーム45をメインフレーム25に嵌挿した後、緊締ボルト71を下側から相互に合致させた第1のボルト挿通孔25aと第2のボルト挿通孔45aとを通してナットホルダ67のナット69に螺合させ、その緊締ボルト71を緊締することによってナットホルダ67のホルダ底板87がサブフレーム45の内底板81をメインフレーム25の外底板73の内面に押し付けることなり、サブフレーム45とメインフレーム25とが強固に緊締結合されることになる。この状態ではナットホルダ67は緊締位置nに固定される。支持体本体4に対する可動端部5の取付け位置は、メインフレーム25に対するサブフレーム45の取付け位置に対応するものであり、その取付け位置を変更するには、緊締ボルト71を外した状態で第1のボルト挿通孔25aに合致する第2のボルト挿通孔45aを選択することにより行うことができる。
図15は、家具幅Wが最も大きくなる状態でメインフレーム25とサブフレーム45とを接続した状態を示しており、
図17は、家具幅Wが最も小さくなる状態でメインフレーム25とサブフレーム45とを接続した状態を示している。すなわち、
図17に示す状態は、メインフレーム25の案内孔93の水平案内部93a内の右端まで接続突起91を移動させた状態のものであり、
図16に示す状態よりもさらに微小寸法αだけサブフレーム45をメインフレーム25内に押し込むことができる。
【0029】
<支持体1の無段階取付け機構9>
無段階取付け機構9は、支持体1の可動端部5に対するサブ天板部7の取付け位置を家具幅方向に無段階に調整するためのものであり、
図3~
図5及び
図9~
図11に示すように、可動端部5の縦上ステー53の内面側に固設された対をなすサブ天板部7取り付け用の取付金具65を主体に構成されている。そして、サブ天板部7取付用に穿設されたボルト挿通孔65aに下側から挿入した取付ボルト97をサブ天板部7のナット99に螺合させ定着することにより天板2のサブ天板部7を支持体1の可動端部5に取り付けるようになっている。取付金具65に形成されたボルト挿通孔65aは、家具幅方向に伸びる長孔状のものであり、取付ボルト97の装着位置を変更することによって、サブ天板部7の可動端部5に対する取付け位置を無段階に変更することができる。無段階取付け機構9による家具幅変更範囲すなわちボルト挿通孔65aの家具幅方向の寸法w1は、間欠取付け機構8の間欠調節幅1ピッチP分以上に対応する値に設定されている。
【0030】
<天板2(メイン天板部6とサブ天板部7)>
家具機能要素である天板2は、
図1~
図5及び
図9~
図11に示すように、支持体1の支持体本体4側に配されたメイン要素部たるメイン天板部6と、支持体1の可動端部5上に載設されたサブ要素部たるサブ天板部7とを備えている。すなわち、この実施形態の場合には、家具機能要素のメイン要素部が、前記天板2の主要部をなす中実なメイン天板部6であり、サブ要素部がメイン天板部6の端部にスライド可能に外嵌された中空のサブ天板部7である。
【0031】
メイン天板部6は、例えば、平面視長方形状をなす中実な板材101を主体に構成されたもので、その板材101の一端部が支持体本体4の中間脚21に設けられた天板受金具35にねじ止めされているとともに、他端部が可動端部5のエンド脚43に設けられた天板受金具61にねじ止めされている。また、板材101の下面中間部分は、メインフレーム25の天板取付金具41にねじ止めされている。板材101の反使用端側には上方に解放されたトレー103が設けられているとともに、板材101の下面には配線トレー105が取着されている。なお、この実施形態では、
図1及び
図2に示すように、メイン天板部6は3つ設けられており、家具幅方向中央に位置するメイン天板部6は、対をなす中間脚21にそれぞれ設けられた天板受金具35に板材101の両端部がそれぞれねじ止めされている。
【0032】
サブ天板部7は、メイン天板2の上面に添接する上板部分107と、この上板部分107の使用端側に形成されメイン天板2の使用端側に被さる前縁部分109と、トレー103の内面に添接する起立部分111と、上板部分107の端縁から下方に垂下する垂下部分113と、この垂下部分113の内面に溶接等により剛結された底板部分115とを備えたものであり、底板部分115には前述した無段階取付け機構9の取付ボルト97が螺合するナット99が固設されている。サブ天板部7は、薄い板金素材により上板部分107と前縁部分109と起立部分111と垂下部分113とが一体に形成されている。そのため、サブ天板部7がメイン天板部6に被さっている部分においても薄い板金素材の厚さ寸法分だけの小さな段差が形成されているに過ぎず、外見上メイン天板部6とサブ天板部7とは略連続した形態をなしている。
【0033】
<幕板3(メイン幕板部10とサブ幕板部11)>(主に
図6~
図8、
図18~
図21参照)
以上説明した通り、この家具すなわちカウンターKは、家具幅方向に伸縮可能な支持体1と、この支持体1に支持された家具幅方向に伸縮可能な天板2とを備えており、さらに、この天板2の下には、
図2~
図11及び
図18~
図21に示すように、家具幅方向に伸縮可能な幕板3が配されている。
【0034】
支持体1は、前述したように、支持体本体4と、この支持体本体4に対して取付け位置変更可能に連設された家具幅調整用の可動端部5とを備えたものであり、この幕板3は、支持体本体4側に設けられたメイン幕板部10と、このメイン幕板部10にスライド可能に係合した状態で可動端部5側に設けられたサブ幕板部11とを備えたものである。
【0035】
加えて、この家具は、支持体1及び天板2の寸法を家具幅方向すなわち
図2における左右方向に調節した状態で、幕板3を支持体1に固定する幕板取付け機構12を備えている。
【0036】
具体的には、幕板3は、
図2~
図11及び
図18~
図21に示すように、支持体本体4側に配設された中空体状のメイン幕板部10と、このメイン幕板部10に接続端側をスライド可能に嵌合させた状態で可動端部5に取り付けられた中空体状のサブ幕板部11とを備えたものである。さらに詳述すると、メイン幕板部10は、
図3、
図5、
図8及び
図19~
図21に示すように、メイン幕板面板121と、このメイン幕板面板121の上縁から内方に延出し延出端部が下方に屈曲する上メインエッジ板123と、メイン幕板面板121の下縁から内方に延出し延出端部が上方に屈曲する下メインエッジ板125とを板金素材により一体に形成したものである。サブ幕板部11は、
図3、
図6~
図7及び
図19~
図21に示すように、サブ幕板面板127と、このサブ幕板面板127の上縁から内方に延出し延出端部が下方に屈曲する上サブエッジ板129と、サブ幕板面板127の下縁から内方に延出し延出端部が上方に屈曲する下サブエッジ板131とを板金素材により一体に形成したものであり、メイン幕板部10の内側にスライド可能に嵌合させてある。
【0037】
幕板取付け機構12は、
図3、
図4、
図6~
図8及び
図19~
図21に示すように、メイン幕板部10内に収容されサブ幕板部11に押圧されて移動可能なメインスライダ133と、サブ幕板部11内に移動可能に収容されたサブスライダ135、137とを備えてなり、メインスライダ133とサブスライダ135、137をそれぞれ前記可動端部5に止着するようにしたものである。メインスライダ133は、
図3~
図5、
図8及び
図19~
図21に示すように、メイン幕板部10の内部に家具幅方向にスライド可能に収容されたもので、メイン幕板部10取付用のナット139を備えている。サブスライダ135、137は、
図3~
図4、
図6~
図7及び
図19~
図21に示すように、サブ幕板部11の内部に家具幅方向にスライド可能に収容されたもので、サブ幕板部11取付用のナット141、143を備えている。なお、この実施形態では、サブ幕板部11の外方端側を可動端部5に取り付けるための第1のサブスライダ135と、サブ幕板部11の内方端側を可動端部5に取り付けるための第2のサブスライダ137とが設けられている。一方、可動端部5には、
図3~
図8及び
図19~
図21に示すように、メインスライダ133を介してメイン幕板部10の接続端側を取り付けるためのメインブラケット145と、サブスライダ135、137を介してサブ幕板部11を取り付けるためのサブブラケット147、149とを備えている。メインブラケット145は、
図3~
図5、
図8及び
図19~
図21に示すように、エンド脚43の内後の脚支柱51に設けられたもので、メインスライダ133のナット139に螺着されるボルト151を挿通させるためのボルト挿通孔145aが設けられている。なお、この実施形態では、第1のサブスライダ135を取り付けるための第1のサブブラケット147と、第2のサブスライダ137を取り付けるための第2のサブブラケット149とが設けられている。すなわち、第1のサブブラケット147は、
図3~
図5、
図8及び
図19~
図21に示すように、エンド脚43の外後の脚支柱49に設けられ、第2のサブブラケット149は、
図5及び
図21に示すように、エンド脚43の内後の脚支柱51に設けられている。各サブブラケット147、149には、各サブスライダのナット141、143に螺着されるボルト153、155を挿通させるためのボルト挿通孔147a、149aが設けられている。そして、第2のサブブラケット149は、上述したメインブラケット145と一体に連設されている。なお、161は、第1のサブスライダ135と第1のサブブラケット147との間に配される第1のスペーサ部材である。163は、第2のサブスライダ137と第2のサブブラケット149との間に配される第2のスペーサ部材である。
【0038】
また、前述したように、支持体1は、可動端部5を支持体本体4に対して家具幅Wを一定のピッチP毎に変更できるように取り付ける間欠取付け機構8と、サブ天板部7を可動端部5に対して家具幅を無段階に変更できるように取り付ける無段階取付け機構9とを備えたものである。その上で、前記メイン幕板部10に対するサブ幕板部11及びメインスライダ133の位置を変更することにより当該幕板3の家具幅方向寸法を前記間欠取付け機構8による家具幅変更範囲に合わせて変更することができるとともに、前記サブ幕板部11に対する前記サブスライダ135、137の位置を変更することにより前記サブ幕板部11の前記可動端部5の取付け位置を前記無段階取付け機構9による家具幅調整範囲に合わせて変更することができるように構成されている。そして、これも前述したように、無段階取付け機構9による家具幅変更範囲が、間欠取付け機構8による家具幅変更の1ピッチP分以上に相当するように設定されている。
【0039】
以上説明したように、このような構成のカウンターKであれば、天板2におけるサブ天板部7のメイン天板部6に対する被さり代7kを無段階に変更できるようにすることも容易であり、家具幅Wを柔軟に変更することができる。そのため、建築柱間などの寸法変更が困難な空間に見栄えよく配置することができる。
【0040】
また、この実施形態では、支持体1が、可動端部5を支持体本体4に対して家具幅Wを一定のピッチP毎に変更できるように取り付ける間欠取付け機構8を備えているため、家具幅Wの大まかな調整を迅速に行うことができる。
【0041】
しかも、無段階取付け機構9を設けているので、間欠取付け機構8による調節を終えた後に家具幅Wを精密に変更して柱間に隙間なく配設することが可能となる。
【0042】
特にこの実施形態では、間欠取付け機構8による1ピッチP分以上に相当する調節幅を無段階取付け機構9によりカバーしているので、家具幅Wを大きな範囲で連続的かつ無段階に変更することができる。
【0043】
支持体本体4が家具幅変更方向に延びるパイプ状のメインフレーム25を備えるとともに、可動端部5がメインフレーム25にスライド可能に嵌着されたサブフレーム45を備えたものであり、間欠取付け機構8がメインフレーム25とサブフレーム45とに関連させて設けられているので、構造の複雑化を招くことなく支持体1のフレーム長さを調整することが可能となる。
【0044】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0045】
例えば、上述した実施形態では、窓際の建築柱間に配設される家具であるカウンターに本発明を適用しているが、窓際に限らず、また、建築柱間に限らず、巾寸法を変更不可能なスペースに配設する種々の家具に本発明を適用してももちろんよい。
【0046】
また、家具機能要素として、天板に限らず、棚や幕板等、種々のものが考えられる。
【0047】
さらに、支持体に間欠取付け機構を設ける代わりに、例えば、家具幅の可変範囲に相当する長さを有する長孔を可動端部側に設ける等の構成により家具幅を所定の範囲内で無段階に変更可能な無段階取付け機構のみを設ける構成を採用してもよく、逆に、支持体に間欠取付け機構のみを設ける構成を採用してもよい。
【0048】
加えて、間欠取付け機構と無段階取付け機構とをともに設ける場合、無段階取付け機構による家具幅変更範囲は、間欠取付け機構による家具幅変更の1ピッチ分でなく、2ピッチ分以上に相当するように設定しても、家具幅を大きな範囲で連続的かつ無段階に変更するという目的を達成することはできる。
【0049】
一方、前記支持体本体が家具幅変更方向に延びるパイプ状のメインフレームを備えるとともに、前記可動端部が前記メインフレームにスライド可能に嵌着されたサブフレームを備え、前記間欠取付け機構が前記メインフレームと前記サブフレームとに関連させて設けられているという上述した実施形態に係る構成以外に、例えば、メインフレーム及びサブフレームがそれぞれ互いに反対方向に開放されたチャンネル状に形成された構成等を採用してもよい。
【0050】
そして、支持体の構成も前述した実施形態にものに限らず、種々変形が可能である。例えば、前述した実施形態では、中間のメインフレームを両中間脚にそれぞれ長手方向から嵌合させて取り付けるようにしているが、中間のメインフレームを両中間脚に長手方向に直交する方向、例えば上下方向等から取り付けることができるようにしてもよい。その場合には、中間脚に突設されている上フレーム金具に代えて、中間フレームの端部を例えば上から嵌合させることができるチャンネル状の金具を採用すればよい。前述の実施形態のように中間のメインフレームを両中間脚に長手方向から嵌合させる場合には、支持体を組み上げた後に支持体全体を配置すべき建築柱間に移動させる手順を採るが、中間のメインフレームを上下方向等から両中間脚に取り付けられるようにしておけば、例えば、左の中間脚よりも左側の構造部分を一方の建築柱に突き当てて構築するとともに、右の中間脚よりも右側の構造部分を他方の建築柱に突き当てて構築し、しかる後に中間脚間に中間のメインフレームを架設して全体を組み上げる方法を採ることも可能になる。このようにすれば、中間脚を3つ以上備えた長尺なカウンター等も容易に組み立てることができる。
【0051】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変形してよい。
【符号の説明】
【0052】
K…家具(カウンター)
1…支持体
2…家具機能要素(天板)
4…支持体本体
5…可動端部
6…メイン要素部(メイン天板部)
7…サブ要素部(サブ天板部)
7k…被さり代
8…間欠取付け機構
9…無段階取付け機構
21…本体側の脚(中間脚)
25…メインフレーム
43…可動端部側の脚(エンド脚)
45…サブフレーム
W…家具幅
P…ピッチ
w1…無段階取付け機構による家具幅変更範囲