(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】運転支援装置、車両、運転支援システム、運転支援方法、及び運転支援用コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/123 20060101AFI20221213BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20221213BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/00 X
G01C21/34
(21)【出願番号】P 2018193259
(22)【出願日】2018-10-12
【審査請求日】2021-02-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】加藤 真実
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 雅人
(72)【発明者】
【氏名】志賀 孝広
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/121174(WO,A1)
【文献】特開2013-015360(JP,A)
【文献】国際公開第2017/127158(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/118912(WO,A1)
【文献】特開2003-226184(JP,A)
【文献】特開2008-059310(JP,A)
【文献】特開平02-162290(JP,A)
【文献】特開2015-092320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G01C 21/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転制御される車両に搭載された通信装置と少なくとも通信可能に構成された通信部と、
前記車両に乗車中の乗客による立ち寄り依頼を、前記乗客の携帯端末又は前記車両の前記通信装置から前記通信部を介して受信すると、前記立ち寄り依頼に応じて立ち寄り地を決定する立ち寄り地決定部と、
前記車両の現在地から前記立ち寄り地までの前記車両の走行ルートを生成する走行ルート生成部と、
前記車両に乗車中の他の乗客の目的地への到着予定時刻から到着目標時刻までの余裕時間を、前記立ち寄り依頼のための割り当て時間として決定し、前記車両を前記立ち寄り地に立ち寄らせるために要する立ち寄り時間を、前記立ち寄り地までの前記走行ルートに基づいて算出し、前記立ち寄り時間が、前記立ち寄り依頼のための
前記割り当て時間未満である場合に、前記車両を前記立ち寄り地へ移動させる立ち寄り指示を、前記車両の前記通信装置に前記通信部を介して送信する立ち寄り判定部と、
を有し、
前記立ち寄り判定部は、前記立ち寄り時間が前記割り当て時間以上である場合、前記車両の現在地から一定範囲内に存在する第2の車両を検索し、検索された前記第2の車両を前記一定範囲内の配車地点に配車させる信号を、前記第2の車両に前記通信部を介して送信するとともに、前記車両を前記配車地点に移動させる信号を、前記車両の前記通信装置に前記通信部を介して送信する、運転支援装置。
【請求項2】
前記車両に乗車中の
前記他の乗客の目的地及び到着目標時刻を記憶する記憶部を更に有し、
前記走行ルート生成部は、前記車両の現在地から前記立ち寄り地を経由して前記他の乗客の目的地まで前記車両を移動させる第2の走行ルートを生成し、
前記立ち寄り判定部は、前記第2の走行ルートに基づいて、前記車両を前記立ち寄り地に立ち寄らせた後に前記車両を前記他の乗客の目的地に移動させることができる到着予定時刻を算出し、前記到着予定時刻から前記到着目標時刻までの余裕時間に応じて前記割り当て時間を決定する、
請求項1に記載の運転支援装置。
【請求項3】
前記立ち寄り判定部は、前記立ち寄り時間が前記割り当て時間以上である場合、前記車両を前記立ち寄り地に立ち寄らせる許可を求める問い合わせを表示させる信号を、前記他の乗客の携帯端末又は前記車両の前記通信装置に送信し、前記車両を前記立ち寄り地に立ち寄らせる前記他の乗客による許可を示す信号を、前記他の乗客の携帯端末又は前記車両の前記通信装置から受信すると、前記立ち寄り指示を前記車両の前記通信装置に送信する、
請求項2に記載の運転支援装置。
【請求項4】
前記立ち寄り判定部は、前記立ち寄り地に停車した前記車両から前記乗客が降車したことを示す信号を、前記乗客の携帯端末又は前記車両の前記通信装置から前記通信部を介して受信すると、前記車両の残り停車時間を前記乗客の携帯端末に表示させる信号を、前記乗客の携帯端末に前記通信部を介して送信する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の運転支援装置。
【請求項5】
自動運転制御される車両であって、
前記車両に乗車中の乗客によって操作される操作部と、
前記操作部を介して立ち寄りを依頼する操作がなされたされたことを検知すると、立ち寄り地を決定する立ち寄り地決定部と、
前記車両の現在地から前記立ち寄り地までの前記車両の走行ルートを生成する走行ルート生成部と、
前記車両に乗車中の他の乗客の目的地への到着予定時刻から到着目標時刻までの余裕時間を、前記立ち寄り依頼のための割り当て時間として決定し、前記車両を前記立ち寄り地に立ち寄らせるために要する立ち寄り時間を、前記立ち寄り地までの前記走行ルートに基づいて算出し、前記立ち寄り時間が、前記立ち寄り依頼のための
前記割り当て時間未満である場合に、前記車両を前記立ち寄り地へ移動させることを決定し、前記立ち寄り時間が前記割り当て時間以上である場合には、前記車両の現在地から一定範囲内に存在する第2の車両を検索し、検索された前記第2の車両を前記一定範囲内の配車地点に配車させる信号を、前記第2の車両に送信するとともに、前記車両を前記配車地点に移動させることを決定する立ち寄り判定部と、
前記車両を前記立ち寄り地又は前記配車地点へ移動させる自動運転制御ユニットと、
を有する車両。
【請求項6】
自動運転制御される車両に搭載された通信装置、及びネットワークを介して少なくとも前記通信装置と互いに通信可能に接続されたサーバ、を有する運転支援システムであって、
前記車両に乗車中の乗客による立ち寄り依頼を、前記乗客の携帯端末又は前記車両の前記通信装置から受信すると、前記立ち寄り依頼に応じて立ち寄り地を決定し、前記車両の現在地から前記立ち寄り地までの前記車両の走行ルートを生成し、
前記車両に乗車中の他の乗客の目的地への到着予定時刻から到着目標時刻までの余裕時間を、前記立ち寄り依頼のための割り当て時間として決定し、前記車両を前記立ち寄り地に立ち寄らせるために要する立ち寄り時間を、前記立ち寄り地までの前記走行ルートに基づいて算出し、前記立ち寄り時間が、前記立ち寄り依頼のための
前記割り当て時間未満である場合に、前記車両を前記立ち寄り地へ移動させる立ち寄り指示を、前記車両の前記通信装置に送信し、前記立ち寄り時間が前記割り当て時間以上である場合、前記車両の現在地から一定範囲内に存在する第2の車両を検索し、検索された前記第2の車両を前記一定範囲内の配車地点に配車させる信号を、前記第2の車両に送信するとともに、前記車両を前記配車地点に移動させる信号を、前記車両の前記通信装置に送信する、前記サーバと、
前記立ち寄り指示を受信すると、前記車両を前記立ち寄り地へ移動させる前記通信装置と、
を有する運転支援システム。
【請求項7】
自動運転制御される車両に搭載された通信装置と少なくとも通信可能に構成された通信部を有するサーバにおいて、
前記車両に乗車中の乗客による立ち寄り依頼を、前記乗客の携帯端末又は前記車両の前記通信装置から前記通信部を介して受信すると、前記立ち寄り依頼に応じて立ち寄り地を決定し、
前記車両の現在地から前記立ち寄り地までの前記車両の走行ルートを生成し、
前記車両に乗車中の他の乗客の目的地への到着予定時刻から到着目標時刻までの余裕時間を、前記立ち寄り依頼のための割り当て時間として決定し、前記車両を前記立ち寄り地に立ち寄らせるために要する立ち寄り時間を、前記立ち寄り地までの前記走行ルートに基づいて算出し、前記立ち寄り時間が、前記立ち寄り依頼のための
前記割り当て時間未満である場合に、前記車両を前記立ち寄り地へ移動させる立ち寄り指示を、前記車両の前記通信装置に前記通信部を介して送信し、
前記立ち寄り時間が前記割り当て時間以上である場合、前記車両の現在地から一定範囲内に存在する第2の車両を検索し、検索された前記第2の車両を前記一定範囲内の配車地点に配車させる信号を、前記第2の車両に前記通信部を介して送信するとともに、前記車両を前記配車地点に移動させる信号を、前記車両の前記通信装置に前記通信部を介して送信する、運転支援方法。
【請求項8】
自動運転制御される車両に搭載された通信装置と少なくとも通信可能に構成された通信部を有するサーバにおいて、
前記車両に乗車中の乗客による立ち寄り依頼を、前記乗客の携帯端末又は前記車両の前記通信装置から前記通信部を介して受信すると、前記立ち寄り依頼に応じて立ち寄り地を決定し、
前記車両の現在地から前記立ち寄り地までの前記車両の走行ルートを生成し、
前記車両に乗車中の他の乗客の目的地への到着予定時刻から到着目標時刻までの余裕時間を、前記立ち寄り依頼のための割り当て時間として決定し、前記車両を前記立ち寄り地に立ち寄らせるために要する立ち寄り時間を、前記立ち寄り地までの前記走行ルートに基づいて算出し、前記立ち寄り時間が、前記立ち寄り依頼のための
前記割り当て時間未満である場合に、前記車両を前記立ち寄り地へ移動させる立ち寄り指示を、前記車両の前記通信装置に前記通信部を介して送信し、
前記立ち寄り時間が前記割り当て時間以上である場合、前記車両の現在地から一定範囲内に存在する第2の車両を検索し、検索された前記第2の車両を前記一定範囲内の配車地点に配車させる信号を、前記第2の車両に前記通信部を介して送信するとともに、前記車両を前記配車地点に移動させる信号を、前記車両の前記通信装置に前記通信部を介して送信する、ことをコンピュータに実行させるための運転支援用コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援装置、車両、運転支援システム、運転支援方法、及び運転支援用コンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動制御によって運転が行われる自動運転車両を用いたタクシー、バス、ライドシェア等のモビリティサービスの実現に向けて、自動運転技術の開発が行われている。
【0003】
例えば、非特許文献1には、車両を制御するための車両制御I/F(インターフェース)を公開し、車両メーカー以外の開発会社が車両を自動運転制御するためのソフトウェアを含む自動運転キットを開発することを可能とした車両が記載されている。自動運転キットをこのように置き換え又はアップデート可能な構成とすることで、移動、物流、物販等の、サービスとしてのモビリティ(Mobility-as-a-Service:MaaS)に合わせて、自動運転制御を最適化することができる。
【0004】
自動運転車両は、運転手等の乗務員がいなくてもよいという利点を有する一方で、例えば、自動運転車両を所定時間だけ降車地点に待機させたりすることが難しい。そこで、例えば、特許文献1に記載の技術では、自動運転車両が目的地に到着すると、利用者は、マイクロフォンに対して、例えば「トイレ」と音声入力して降車後振る舞いを設定し、自動運転車両を降車する。すると、自動運転車両の制御部は、利用者の音声入力「トイレ」を音声認識して、所定時間をこの例では5分と推定し、当該場所で待機する。そして、所定時間以内、あるいは、所定時間よりも許容範囲である若干長い時間内に戻ってくる利用者の再乗車の認証を行って、再乗車を許可するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【非特許文献】
【0006】
【文献】トヨタ自動車、モビリティサービス専用EV“e-Palette Concept”[平成30年8月31日検索]、インターネット<URL:https://newsroom.toyota.co.jp/jp/corporate/20508200.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載されているように自動運転車両が目的地に到着するよりも前に、自動運転車両に乗車中の乗客がトイレ等に立ち寄りたいと考えることもある。このため、乗客が乗車中の自動運転制御された車両を立ち寄り地に立ち寄らせるか否かを適切に判断することを可能とする技術が求められている。
【0008】
そこで、本発明は、乗客が乗車中の自動運転制御された車両を立ち寄り地に立ち寄らせるか否かを適切に判断することを可能とする運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの実施形態に係る運転支援装置は、自動運転制御される車両に搭載された通信装置と少なくとも通信可能に構成された通信部と、車両に乗車中の乗客による立ち寄り依頼を、乗客の携帯端末又は車両の通信装置から通信部を介して受信すると、立ち寄り依頼に応じて立ち寄り地を決定する立ち寄り地決定部と、車両の現在地から立ち寄り地までの車両の走行ルートを生成する走行ルート生成部と、車両を立ち寄り地に立ち寄らせるために要する立ち寄り時間を、立ち寄り地までの走行ルートに基づいて算出し、立ち寄り時間が、立ち寄り依頼のための割り当て時間未満である場合に、車両を立ち寄り地へ移動させる立ち寄り指示を、車両の通信装置に通信部を介して送信する立ち寄り判定部と、を有する。
【0010】
この運転支援装置において、車両に乗車中の他の乗客の目的地及び到着目標時刻を記憶する記憶部を更に有し、走行ルート生成部は、車両の現在地から立ち寄り地を経由して他の乗客の目的地まで車両を移動させる第2の走行ルートを生成し、立ち寄り判定部は、第2の走行ルートに基づいて、車両を立ち寄り地に立ち寄らせた後に車両を他の乗客の目的地に移動させることができる到着予定時刻を算出し、到着予定時刻から到着目標時刻までの余裕時間に応じて割り当て時間を決定することが好ましい。
【0011】
この運転支援装置において、立ち寄り判定部は、立ち寄り時間が割り当て時間以上である場合、車両を立ち寄り地に立ち寄らせる許可を求める問い合わせを表示させる信号を、他の乗客の携帯端末又は車両の通信装置に送信し、車両を立ち寄り地に立ち寄らせる他の乗客による許可を示す信号を、他の乗客の携帯端末又は車両の通信装置から受信すると、立ち寄り指示を車両の通信装置に送信することが好ましい。
【0012】
この運転支援装置において、立ち寄り判定部は、立ち寄り地に停車した車両から乗客が降車したことを示す信号を、乗客の携帯端末又は車両の通信装置から通信部を介して受信すると、車両の残り停車時間を乗客の携帯端末に表示させる信号を、乗客の携帯端末に通信部を介して送信することが好ましい。
【0013】
この運転支援装置において、立ち寄り判定部は、立ち寄り時間が割り当て時間以上である場合、車両の現在地から一定範囲内に存在する第2の車両を検索し、検索された第2の車両を一定範囲内の配車地点に配車させる信号を、第2の車両に通信部を介して送信するとともに、車両を配車地点に移動させる信号を、車両の通信装置に通信部を介して送信することが好ましい。
【0014】
また、本発明の一つの実施形態に係る車両は、乗客によって操作される操作部と、操作部を介して立ち寄りを依頼する操作がなされたされたことを検知すると、立ち寄り依頼を運転支援装置に送信し、立ち寄り指示とともに立ち寄り地を運転支援装置から受信する通信装置と、通信装置が立ち寄り指示を受信すると、車両を立ち寄り地へ移動させる自動運転制御ユニットと、を有する。
【0015】
また、本発明の一つの実施形態に係る運転支援システムは、自動運転制御される車両に搭載された通信装置、及びネットワークを介して少なくとも通信装置と互いに通信可能に接続されたサーバ、を有する運転支援システムであって、車両に乗車中の乗客による立ち寄り依頼を、乗客の携帯端末又は車両の通信装置から受信すると、立ち寄り依頼に応じて立ち寄り地を決定し、車両の現在地から立ち寄り地までの車両の走行ルートを生成し、車両を立ち寄り地に立ち寄らせるために要する立ち寄り時間を、立ち寄り地までの走行ルートに基づいて算出し、立ち寄り時間が、立ち寄り依頼のための割り当て時間未満である場合に、車両を立ち寄り地へ移動させる立ち寄り指示を、車両の通信装置に送信するサーバと、立ち寄り指示を受信すると、車両を立ち寄り地へ移動させる通信装置と、を有する。
【0016】
また、本発明の一つの実施形態に係る運転支援方法は、自動運転制御される車両に搭載された通信装置と少なくとも通信可能に構成された通信部を有するサーバにおいて、車両に乗車中の乗客による立ち寄り依頼を、乗客の携帯端末又は車両の通信装置から通信部を介して受信すると、立ち寄り依頼に応じて立ち寄り地を決定し、車両の現在地から立ち寄り地までの車両の走行ルートを生成し、車両を立ち寄り地に立ち寄らせるために要する立ち寄り時間を、立ち寄り地までの走行ルートに基づいて算出し、立ち寄り時間が、立ち寄り依頼のための割り当て時間未満である場合に、車両を立ち寄り地へ移動させる立ち寄り指示を、車両の通信装置に通信部を介して送信する。
【0017】
また、本発明の一つの実施形態に係る運転支援用コンピュータプログラムは、自動運転制御される車両に搭載された通信装置と少なくとも通信可能に構成された通信部を有するサーバにおいて、車両に乗車中の乗客による立ち寄り依頼を、乗客の携帯端末又は車両の通信装置から通信部を介して受信すると、立ち寄り依頼に応じて立ち寄り地を決定し、車両の現在地から立ち寄り地までの車両の走行ルートを生成し、車両を立ち寄り地に立ち寄らせるために要する立ち寄り時間を、立ち寄り地までの走行ルートに基づいて算出し、立ち寄り時間が、立ち寄り依頼のための割り当て時間未満である場合に、車両を立ち寄り地へ移動させる立ち寄り指示を、車両の通信装置に通信部を介して送信することをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の運転支援装置は、乗客が乗車中の自動運転制御された車両を立ち寄り地に立ち寄らせるか否かを適切に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態に係る運転支援システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】第1実施形態に係る運転支援システムにおける、車両を立ち寄り地に立ち寄らせる立ち寄り処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図3】第1実施形態に係る車両の室内の一例を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る車両のハードウェア構成図である。
【
図5】第1実施形態に係るサーバのハードウェア構成図である。
【
図6】第1実施形態に係るサーバの制御部の機能ブロック図である。
【
図7】第1実施形態に係る携帯端末のハードウェア構成図である。
【
図8】第1実施形態に係るサーバにおける、車両を立ち寄り地に立ち寄らせる立ち寄り処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】第1実施形態に係る携帯端末に表示された立ち寄り許可ボタンの一例を示す図である。
【
図10】第1実施形態に係るサーバにおける、車両の残り停車時間を携帯端末に表示させる残り停車時間表示処理の一例を示すフローチャートである。
【
図11】第1実施形態に係る携帯端末に表示された車両の残り停車時間の一例を示す図である。
【
図12】第2実施形態に係る車載装置の制御部の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の運転支援装置は、自動運転制御される車両に搭載された通信装置と少なくとも通信可能に構成された通信部を有する。そして、運転支援装置は、車両に乗車中の乗客による立ち寄り依頼を、乗客の携帯端末又は車両の通信装置から通信部を介して受信すると、立ち寄り依頼に応じて立ち寄り地を決定し、車両の現在地から立ち寄り地までの車両の走行ルートを生成する。そして、運転支援装置は、車両を立ち寄り地に立ち寄らせるために要する立ち寄り時間が、立ち寄り依頼のための割り当て時間未満である場合に、車両を立ち寄り地へ移動させる立ち寄り指示を、車両の通信装置に通信部を介して送信する。
【0021】
これにより、本発明の運転支援装置は、乗客が乗車中の自動運転制御された車両を立ち寄り地に立ち寄らせるか否かを適切に判断することができる。
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、各図において同一、又は相当する機能を有するものは、同一符号を付し、その説明を省略又は簡潔にすることもある。
【0023】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る運転支援システム1の構成の一例を示す図である。本実施形態の運転支援システム1は、車載装置20と、サーバ30と、携帯端末40とを有する。車載装置20及びサーバ30は、運転支援装置の一例である。
【0024】
図1に示された車両2は、タクシー、バス、ライドシェア等のモビリティサービスを提供する自動運転車両である。車両2には、モビリティサービスを利用する乗客4が乗車している。乗客4は、例えばトイレ等の立ち寄り地への立ち寄りを考えると、携帯電話機又はタブレットコンピュータ等の携帯端末40を操作して、車両2の立ち寄り依頼をサーバ30に送信する。
【0025】
サーバ30は、車両2の立ち寄り依頼を受信すると、車両2を立ち寄り地へ移動させる立ち寄り指示を、車両2の車載装置20に送信する。
【0026】
車両2は、車載装置20及び自動運転制御ユニット21を搭載する。車載装置20は、立ち寄り指示を受信すると、自動運転制御ユニット21に車両2を自動運転制御させて、車両2を立ち寄り地へ移動させる。
【0027】
車両2の提供するモビリティサービスを利用しようとする利用客4bは、携帯する携帯端末40を操作して、サーバ30に車両2の配車を依頼することができる。
【0028】
これら車載装置20、サーバ30、及び携帯端末40は、光通信回線等で構成されるネットワーク5を介して互いに通信可能となっている。サーバ30は、例えば不図示のゲートウェイ等を介してネットワーク5と接続される。また、車載装置20及び携帯端末40は、例えば無線基地局6等を介してネットワーク5と接続される。
【0029】
図2は、第1実施形態に係る運転支援システム1における、車両2を立ち寄り地に立ち寄らせる立ち寄り処理の一例を示すシーケンス図である。
図2に示されたシーケンス図において、サーバ30と、車両2及び携帯端末40との間の通信は、ネットワーク5を介して行われる。
【0030】
サーバ30は、モビリティサービスを利用しようとする利用客4bの携帯する携帯端末40から、配車の依頼とともに、利用客4bの識別情報、現在地、目的地、及び到着目標時刻等の情報を受信する(ステップS201)。利用客4bの識別情報は、例えば、モビリティサービスを利用する利用客4bに付与された利用者番号とされる。また、利用客4bの現在地及び目的地は、例えば、施設名、住所、又は経度と緯度の組み合わせにより指定される。
【0031】
次に、サーバ30は、利用客4bの現在地から一定範囲内に存在する車両2を検索し、検索された少なくとも一つの車両2の中から配車可能な車両2を選択して、利用客4bの現在地まで移動するよう車両2に配車の指示を送信する(ステップS202)。なお、車両2がライドシェアサービス等を提供する場合には、既に車両2に他の乗客4が乗車している可能性がある。この場合、サーバ30は、例えば、検索された少なくとも一つの車両2の中から、利用客4bの目的地と既に車両2に乗車中の他の乗客4の目的地とが同方向である車両2を選択するようにしてもよい。
【0032】
サーバ30から配車の指示を受信すると、車両2の車載装置20は、自動運転制御ユニット21に車両2を自動運転制御させて、配車の指示とともに受信した利用客4bの現在地へ車両2を移動させる(ステップS203)。
【0033】
配車された車両2に利用客4bが乗車すると、車両2の車載装置20は、利用客4bが車両2に乗車したことを例えば車内カメラ又は車両2のドアの開閉動作によって検知してサーバ30に通知する(ステップS204)。なお、利用客4bが車両2に乗車したことを車両2の車載装置20が通知する代わりに、利用客4b自身が携帯端末40を操作して乗車したことをサーバ30に通知してもよい。
【0034】
サーバ30は、利用客4bが車両2に乗車したことを受信すると、車両2の現在地から利用客4bの目的地までの車両2の走行ルートを生成する。或いは、車両2に搭載された例えばカーナビゲーションシステムが、配車の指示とともに受信した利用客4bの識別情報、現在地、目的地、及び到着目標時刻等の情報に基づいて、走行ルートを作成してもよい。なお、車両2がライドシェアサービス等を提供する場合には、利用客4bの目的地と既に車両2に乗車中の他の乗客4の目的地のうち、車両2の現在地から最も近い目的地までの走行ルートが生成される。
【0035】
サーバ30は、必要に応じて走行ルートを車両2の車載装置20に送信し、走行ルートに従って車両2を移動させるよう車両2の車載装置20に対して指示する(ステップS205)。すると、車両2の車載装置20は、自動運転制御ユニット21に車両2を自動運転制御させて、走行ルートに従って次の目的地に向けて車両2を移動させる(ステップS206)。車両2が自動運転制御ユニット21によって自動運転制御されている間、車両2は、車両2の現在地を示す位置情報を定期的にサーバ30に送信する。
【0036】
以降、車両2に乗車した利用客4bのことを乗客4という。車両2に乗車中の乗客4は、例えばトイレ等の立ち寄り地への立ち寄りを考えると、例えば携帯端末40を操作して、車両2を立ち寄り地に立ち寄らせる立ち寄り依頼をサーバ30に送信する(ステップS207)。或いは、乗客4は、携帯端末40の代わりに、例えば車両2に設置された立ち寄りボタンを操作して、立ち寄り地への立ち寄り依頼をサーバ30に送信してもよい。この立ち寄り地は、トイレのほかに、例えば、病院、駅、サービスエリア、コンビニエンスストア等であってもよい。
【0037】
すると、サーバ30は、乗客4の携帯端末40又は車両2から立ち寄り依頼を受信する。この立ち寄り依頼は、立ち寄り地の情報を含むことができる。立ち寄り地の情報は、例えば、施設名、住所、又は経度と緯度の組み合わせにより指定される。
【0038】
次に、サーバ30は、立ち寄り地に車両2を立ち寄らせるか否かを判定する(ステップS208)。サーバ30は、例えば、車両2を立ち寄り地に立ち寄らせるために要する立ち寄り時間が、立ち寄り依頼のための割り当て時間(例えば10分間)未満である場合に、車両2を立ち寄り地に立ち寄らせる。この割り当て時間は、例えば、車両2に他の乗客4がいないような場合には、より長い時間(例えば1時間)が割り当てられてもよい。
【0039】
サーバ30は、車両2を立ち寄り地に立ち寄らせると判定した場合、車両2を立ち寄り地へ移動させる立ち寄り指示を、車両2の車載装置20に送信する(ステップS209)。なお、車両2の現在地から他の乗客4の目的地までの距離が、車両2の現在地から立ち寄り地までの距離よりも近いような場合には、サーバ30は、先に車両2を他の乗客4の目的地に移動させて、その後車両2を立ち寄り地へ移動させるようにしてもよい。一方、サーバ30は、車両2を立ち寄り地に立ち寄らせないと判定した場合、立ち寄り指示を車両2の車載装置20に送信せずに、車両2を立ち寄り地に立ち寄らせないことを、乗客4の携帯端末40に通知する。
【0040】
車両2の車載装置20は、立ち寄り指示を受信すると、自動運転制御ユニット21に車両2を自動運転制御させて、車両2を立ち寄り地へ移動させる(ステップS210)。
【0041】
車両2が立ち寄り地に到着して(ステップS211)、乗客4が車両2から降車すると、車両2の車載装置20は、乗客4が降車したことを例えば車内カメラ又は車両2のドアの開閉動作によって検知してサーバ30に通知する(ステップS212)。なお、乗客4が車両2から降車したことを車両2の車載装置20が通知する代わりに、乗客4自身が携帯端末40を操作して降車したことをサーバ30に通知してもよい。その後、乗客4が車両2に再乗車すると、車両2の車載装置20は、同様にして、乗客4が車両2に再乗車したことを検知してサーバ30に通知する(ステップS213)。
【0042】
サーバ30は、乗客4が車両2に再乗車したことを受信すると、必要に応じて車両2の現在地から次の目的地までの車両2の走行ルートを生成し、走行ルートに従って車両2を移動させるよう車両2の車載装置20に対して指示する(ステップS214)。すると、車両2の車載装置20は、自動運転制御ユニット21に車両2を自動運転制御させて、走行ルートに従って目的地に向けて車両2を移動させる(ステップS215)。
【0043】
図3は、第1実施形態に係る車両2の室内の一例を示す図である。
図3に示された車両2の室内に配置された座席には、車両2の提供するモビリティサービスを利用する複数の乗客4が着座している。
【0044】
車両2の室内の天井には、車両2を例えばトイレ等の立ち寄り地に立ち寄らせるための立ち寄りボタン214が設置されている。そして、立ち寄りボタン214の近くには、例えば「トイレ立ち寄りボタン」等のように、立ち寄りボタン214の機能が表記されている。これにより、乗客4は、立ち寄りボタン214を操作して、車両2をトイレ等の立ち寄り地に立ち寄らせることができる。
【0045】
また、車両2の室内の中央には、例えば、タッチディスプレイ215が設置されている。タッチディスプレイ215には、例えば、「トイレへの立ち寄りをご希望のお客様は、天井のトイレ立ち寄りボタンを操作ください」等のような立ち寄りボタン214の案内が定期的に表示される。
【0046】
なお、立ち寄りボタン214は、トイレ以外に、例えば、病院、駅、サービスエリア、コンビニエンスストア等の施設に立ち寄るための操作ボタンとすることもできる。車両2には、異なる施設に車両2を立ち寄らせるための複数の立ち寄りボタン214が設置されてもよい。或いは、立ち寄りボタン214は、車両2を立ち寄らせる施設の種類が、例えばタッチディスプレイ215を操作して設定可能となるように構成されてもよい。
【0047】
また、立ち寄りボタン214は、
図3に示されるような車両2に設置された物理的な操作ボタンとする以外に、タッチディスプレイ215又は乗客4の携帯端末40に表示される操作ボタンとすることもできる。但し、車両2の室内には、少なくとも一つの物理的な立ち寄りボタン214が設置されていることが好ましい。これにより、例えば、急にトイレに行きたくなった人、急に体調が悪くなった急病人、又はタッチディスプレイ215等を操作できない子供等の乗客4が、直感的に素早く立ち寄りボタン214を操作することができる。
【0048】
図4は、第1実施形態に係る車両2のハードウェア構成図である。車両2は、車内ネットワークを介して互いに接続された、車載装置20、車両制御ユニット210、車外カメラ211、測距センサ212、測位センサ213、立ち寄りボタン214、タッチディスプレイ215、及び車外通信機器216を有する。また、車両2は、自動運転制御ユニット21を更に有する。車内ネットワークは、例えば、CAN(Controller Area Network)規格に準拠したネットワークとされる。
【0049】
車載装置20は、通信装置の一例であり、車両2を立ち寄り地へ移動させる立ち寄り指示を受信すると、自動運転制御ユニット21に車両2を自動運転制御させて、車両2を立ち寄り地へ移動させる。車載装置20は、信号線を介して互いに接続された、車内通信インターフェース(I/F)201、記憶部202、及び制御部203を有する。
【0050】
車内通信I/F201は、車載装置20が車両2の他の車載機器と車内ネットワークを介して通信するための通信I/F回路である。
【0051】
記憶部202は、HDD(Hard Disk Drive)、光記録媒体、又は半導体メモリ等の記憶媒体を有し、制御部203において実行されるコンピュータプログラムを記憶する。また、記憶部202は、制御部203によって生成されたデータ、及び制御部203が車内ネットワークを介して車両2の他の車載機器から受信したデータ等を記憶する。また、記憶部202は、サーバ30から受信した、乗客4の識別情報、現在地、目的地、立ち寄り地、及び到着目標時刻等の情報と、サーバ30又は車両2のカーナビゲーションシステムによって生成された車両2の走行ルートの情報を記憶する。また、記憶部202は、車両2に関する情報の一例として、車両2の自動運転制御ユニット21の種類又はバージョン等を記憶する。また、記憶部202は、乗客4に関する情報の一例として、乗客4の住所等の情報を、乗客4の識別情報に対応付けて記憶する。また、記憶部202は、携帯端末40又は車両2のタッチディスプレイ215に表示する案内の表示スタイル、及びボタンのイメージ等のデータを記憶してもよい。
【0052】
制御部203は、車載装置20において制御及び演算を行うコンピュータプログラムを実行する一以上のプロセッサ及びその周辺回路とすることができる。或いは、制御部203は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等により構成されてもよい。
【0053】
制御部203は、車両2の現在地を示す位置情報を、車内通信I/F201を介して後述の測位センサ213から取得し、取得した位置情報を、車外通信機器216を介してサーバ30に定期的に送信する。
【0054】
また、制御部203は、立ち寄りボタン214が乗客4によって操作されたことを示す信号を、車内通信I/F201を介して立ち寄りボタン214から受信すると、立ち寄り依頼を、車外通信機器216を介してサーバ30に送信する。この立ち寄り依頼には、立ち寄りボタン214から出力される信号と対応付けられた例えば「トイレ」又は「病院」等の施設の種類が、立ち寄り地の情報として含まれる。
【0055】
また、制御部203は、タッチディスプレイ215に、車両2の現在地の周辺の地図を、記憶部202から読み出して表示させるとともに、地図上に立ち寄り地の候補施設を表示させてもよい。そして、制御部203は、タッチディスプレイ215に表示された候補施設が乗客4によってタッチされたことを示す信号を、車内通信I/F201を介してタッチディスプレイ215から受信すると、同様に、立ち寄り依頼をサーバ30に送信してもよい。この場合、立ち寄り依頼には、乗客4によってタッチされた立ち寄り地の候補施設の住所、又は経度と緯度の組み合わせが、立ち寄り地の情報として含まれる。
【0056】
また、制御部203は、立ち寄り指示を、車外通信機器216を介してサーバ30から受信すると、後述の自動運転制御ユニット21に車両2を自動運転制御させて、車両2を立ち寄り地へ移動させる。この立寄り指示には、立ち寄り依頼と同様に立ち寄り地の情報が含まれるほか、サーバ30によって生成された車両2の走行ルート等の情報が更に含まれてもよい。
【0057】
自動運転制御ユニット21は、車両2の自動運転制御を行うコンピュータプログラムを実行する一以上のプロセッサ及びその周辺回路、若しくは、FPGA又はASIC等を有する。また、自動運転制御ユニット21は、半導体メモリ等の記憶媒体を有し、自動運転制御ユニット21が実行するコンピュータプログラム、及び自動運転制御ユニット21によって処理されるデータ等を記憶する。
【0058】
自動運転制御ユニット21は、車両2の運転を自動制御する。例えば、自動運転制御ユニット21は、車両2が走行ルートに従って走行するように、車両2の進路を決定する車両2の操舵角を求める。また、自動運転制御ユニット21は、車両2が到着目標時刻までに目的地に到着するように、車両2の目標速度を求め、車速センサ(図示せず)により測定された現在の車両2の速度が目標速度となるように、アクセル開度又はブレーキ量を求める。
【0059】
車両制御ユニット210は、例えば、車両2の電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)とされる。車両制御ユニット210は、車両2の制御を行うコンピュータプログラムを実行する一以上のプロセッサ及びその周辺回路、若しくは、FPGA又はASIC等を有する。また、車両制御ユニット210は、半導体メモリ等の記憶媒体を有し、車両制御ユニット210が実行するコンピュータプログラム、及び車両制御ユニット210によって処理されるデータ等を記憶する。
【0060】
車両制御ユニット210は、少なくとも一つの自動運転制御ユニット21を有し、自動運転制御ユニット21によって求められた車両2の操舵角に応じた制御信号を、車両2の操舵輪を制御するアクチュエータ(図示せず)へ出力する。また、車両制御ユニット210は、自動運転制御ユニット21によって求められたアクセル開度に従って燃料噴射量を求め、その燃料噴射量に応じた制御信号を車両2のエンジンの燃料噴射装置へ出力する。或いは、車両制御ユニット210は、自動運転制御ユニット21によって求められたブレーキ量に応じた制御信号を車両2のブレーキへ出力する。また、車両制御ユニット210は、後述の車外カメラ211、測距センサ212、測位センサ213から出力される信号を自動運転制御ユニット21に渡す。
【0061】
車外カメラ211は、車両2の周囲の物体及び人を撮影して映像を生成し、その映像を出力する。車外カメラ211によって撮影された物体及び人の映像は、自動運転制御ユニット21が車両2の運転を自動制御するために利用される。車外カメラ211は、車両2の周囲の物体及び人が明瞭に撮影されるように、例えば、撮像面を車外に向けて、車両2のフロントガラスの近くに配置される。
【0062】
測距センサ212は、車両2の前方に存在する物体までの距離を方位ごとに計測して、その距離の計測値を出力する。測距センサ212によって得られた距離の計測値は、同様に自動運転制御ユニット21が車両2の運転を自動制御するために利用される。測距センサ212は、例えば、車両2に設置されたLIDAR(Light Detection and Ranging)センサとされる。
【0063】
測位センサ213は、車両2の現在地を示す位置情報を生成して車載装置20に出力する。測位センサ213によって生成された位置情報は、自動運転制御ユニット21が車両2の運転を自動制御するために利用されるほか、サーバ30が車両2の現在地を把握できるように、ネットワーク5を介してサーバ30へ定期的に送信される。測位センサ213は、例えば、車両2に設置されたカーナビゲーションシステムのGPS(Global Positioning System)受信機とされる。
【0064】
立ち寄りボタン214は、操作部の一例であり、車両2に乗車中の乗客4によって立ち寄りボタン214が操作されたことを示す信号を、車載装置20に出力する。立ち寄りボタン214は、例えば、
図3に示されたような、車両2に設置された物理的な操作ボタンとされる。立ち寄りボタン214は、車内に複数個配置されてもよい。立ち寄りボタン214は、車両2の座席に着座した乗客4から手の届くような、例えば、車両2の座席の周辺、又は車両2の室内の天井等に配置される。
【0065】
タッチディスプレイ215は、車載装置20により制御され、車両2に乗車中の乗客4への案内を表示する。例えば、タッチディスプレイ215には、車両2が立ち寄り地へ移動する際に、「本車両は、お客様の依頼により、トイレに立ち寄ります」等の案内が表示される。また、上述のように、タッチディスプレイ215には、車両2が自動運転制御ユニット21によって自動運転制御されている間、「トイレへの立ち寄りをご希望のお客様は、天井のトイレ立ち寄りボタンを操作ください」等の案内が表示される。なお、タッチディスプレイ215の代わりに、車載装置20により制御されて、車内に同様の案内をアナウンスするスピーカ等が用いられてもよい。
【0066】
タッチディスプレイ215には、上述のように、サーバ30から送信される信号に従って立ち寄りボタン214が表示されてもよい。この場合、タッチディスプレイ215は、操作部の他の一例であり、タッチディスプレイ215に表示された立ち寄りボタン214が乗客4によって操作されたことを示す信号を、車内通信I/F201を介して車載装置20に出力する。
【0067】
また、タッチディスプレイ215には、上述のように、車両2の現在地の周辺の地図とともに、立ち寄り地の候補施設が表示されてもよい。タッチディスプレイ215は、乗客4によってタッチされた候補施設のタッチディスプレイ215上の座標を、車内通信I/F201を介して車載装置20に出力する。すると、制御部203は、乗客4によってタッチされた候補施設のタッチディスプレイ215上の座標に対応する地図上の住所、又は経度と緯度の組み合わせを、立ち寄り地の情報として、サーバ30に送信する。これにより、乗客4は、タッチディスプレイ215に表示された地図上の候補施設をタッチして、所望の立寄り地を指定することができる。
【0068】
車外通信機器216は、無線通信機能を有する車載の端末であり、例えば、車載のナビゲーションシステム、或いは非特許文献1に記載のDCM(Data Communication Module)とされる。車外通信機器216は、例えば、ネットワーク5と不図示のゲートウェイ等を介して接続される無線基地局6にアクセスすることで、無線基地局6を介してネットワーク5と接続される。また、車外通信機器216は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を利用して、乗客4の携帯端末40が、車両2の車載装置20と直接通信することが可能となるように構成されてもよい。
【0069】
図5は、第1実施形態に係るサーバ30のハードウェア構成図である。サーバ30は、信号線を介して互いに接続された、通信I/F301、記憶部302、及び制御部303を有する。
【0070】
通信I/F301は、通信部の一例であり、サーバ30を例えばゲートウェイ等を介してネットワーク5と接続するための通信I/F回路である。通信I/F301は、車両2の車載装置20、及び携帯端末40とネットワーク5を介して通信可能に構成される。
【0071】
記憶部302は、HDD(Hard Disk Drive)、光記録媒体、又は半導体メモリ等の記憶媒体を有し、制御部303において実行されるコンピュータプログラムを記憶する。また、記憶部302は、制御部303によって生成されたデータ、及び制御部303がネットワーク5を介して受信したデータ等を記憶する。また、記憶部302は、携帯端末40から受信した、乗客4の識別情報、現在地、目的地、立ち寄り地、及び到着目標時刻等の情報を記憶する。また、記憶部302は、制御部303の後述の走行ルート生成部305又は車両2のカーナビゲーションシステムによって生成された車両2の走行ルートの情報と、走行ルート生成部305が車両2の走行ルートを生成するために参照する地図データを記憶する。また、記憶部302は、車両2に関する情報の一例として、車両2の自動運転制御ユニット21の種類又はバージョン等を記憶する。また、記憶部302は、乗客4に関する情報の一例として、乗客4の住所等の情報を、乗客4の識別情報に対応付けて記憶する。また、記憶部302は、携帯端末40又は車両2のタッチディスプレイ215に表示する案内の表示スタイル、及びボタンのイメージ等のデータを記憶してもよい。
【0072】
図6は、第1実施形態に係るサーバ30の制御部303の機能ブロック図である。制御部303は、サーバ30において制御及び演算を行うコンピュータプログラムを実行する一以上のプロセッサ及びその周辺回路とすることができる。或いは、制御部303は、FPGA又はASIC等により構成されてもよい。
【0073】
制御部303は、立ち寄り地決定部304、走行ルート生成部305、及び立ち寄り判定部306を有する。立ち寄り地決定部304、走行ルート生成部305、及び立ち寄り判定部306は、例えば、プロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムにより実現されるソフトウェアモジュール又はファームウェアとして実装される。或いは、立ち寄り地決定部304、走行ルート生成部305、及び立ち寄り判定部306は、FPGA又はASICに形成される演算回路として実現されてもよい。立ち寄り地決定部304、走行ルート生成部305、及び立ち寄り判定部306の行う処理については、この後、
図8及び
図10のフローチャートで詳しく説明するため、ここでは簡単に説明する。
【0074】
立ち寄り地決定部304は、車両2に乗車中の乗客4による立ち寄り依頼を、乗客4の携帯端末40又は車両2の車載装置20から通信I/F301を介して受信すると、立ち寄り依頼に応じて立ち寄り地を決定する。
【0075】
走行ルート生成部305は、車両2の現在地から立ち寄り地までの車両2の走行ルートを生成する。
【0076】
立ち寄り判定部306は、車両2を立ち寄り地に立ち寄らせるために要する立ち寄り時間を、立ち寄り地までの走行ルートに基づいて算出する。そして、立ち寄り判定部306は、立ち寄り時間が、立ち寄り依頼のための割り当て時間未満である場合に、車両2を立ち寄り地へ移動させる立ち寄り指示を、車両2の車載装置20に通信I/F301を介して送信する。
【0077】
図7は、第1実施形態に係る携帯端末40のハードウェア構成図である。携帯端末40は、信号線を介して互いに接続された、通信I/F401、タッチディスプレイ402、記憶部403、及び制御部404を有する。
【0078】
通信I/F401は、携帯端末40を例えばゲートウェイ等を介してネットワーク5と接続するための通信I/F回路である。通信I/F401は、サーバ30とネットワーク5を介して通信可能に構成される。また、通信I/F401は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を利用して、乗客4の携帯端末40が、車両2の車載装置20と直接通信することが可能となるように構成されてもよい。
【0079】
タッチディスプレイ402には、サーバ30から送信される信号に従って案内及び操作ボタン等が表示される。車両2の乗客4は、タッチディスプレイ402に表示されたボタンを操作することで、タッチディスプレイ402に表示された案内に対する応答をサーバ30に送信することができる。この案内及び操作ボタンの具体例については、この後、
図9及び
図11で説明する。
【0080】
記憶部403は、HDD(Hard Disk Drive)、光記録媒体、又は半導体メモリ等の記憶媒体を有し、制御部404において実行されるコンピュータプログラムを記憶する。また、記憶部403は、制御部404によって生成されたデータ、及び制御部404がネットワーク5を介して受信したデータ等を記憶する。また、記憶部403は、携帯端末40又は車両2のタッチディスプレイ215に表示する案内の表示スタイル、及びボタンのイメージ等のデータを記憶してもよい。また、記憶部403は、タッチディスプレイ215に表示させるための後述の地図データを記憶してもよい。
【0081】
制御部404は、携帯端末40において制御及び演算を行うコンピュータプログラムを実行する一以上のプロセッサ及びその周辺回路とすることができる。或いは、制御部404は、FPGA又はASIC等により構成されてもよい。
【0082】
制御部404は、タッチディスプレイ402に表示された立ち寄りボタンが乗客4によって操作されたことを示す信号を、タッチディスプレイ402から受信すると、立ち寄り依頼を、通信I/F401を介してサーバ30に送信する。この立ち寄り依頼には、立ち寄りボタンから出力される信号と対応付けられた例えば「トイレ」又は「病院」等の施設の種類が、立ち寄り地の情報として含まれる。
【0083】
また、制御部404は、タッチディスプレイ402に、車両2の現在地の周辺の地図を、記憶部403から読み出して表示させるとともに、地図上に立ち寄り地の候補施設を表示させてもよい。そして、制御部404は、タッチディスプレイ402に表示された候補施設が乗客4によってタッチされたことを示す信号を、タッチディスプレイ402から受信すると、同様に、立ち寄り依頼をサーバ30に送信してもよい。この場合、立ち寄り依頼には、乗客4によってタッチされた立ち寄り地の候補施設の住所、又は経度と緯度の組み合わせが、立ち寄り地の情報として含まれる。
【0084】
図8は、第1実施形態に係るサーバ30における、車両2を立ち寄り地に立ち寄らせる立ち寄り処理の一例を示すフローチャートである。サーバ30の立ち寄り地決定部304、走行ルート生成部305、及び立ち寄り判定部306は、以下のフローチャートに従って立ち寄り処理を実行する。上述の
図2のシーケンス図と重複する内容については説明を省略する。
【0085】
立ち寄り地決定部304は、車両2の立ち寄り依頼を、乗客4の携帯端末40又は車両2の車載装置20から通信I/F301を介して受信すると(ステップS801)、立ち寄り依頼に応じて立ち寄り地を決定する。具体的には、立ち寄り地決定部304は、立ち寄り依頼に含まれる立ち寄り地の情報が住所、又は経度と緯度の組み合わせにより指定される場合には、指定された住所、又は経度と緯度の組み合わせを立ち寄り地として決定する。
【0086】
一方、立ち寄り地の情報が例えば「トイレ」のように施設の種類で指定される場合には、立ち寄り地決定部304は、記憶部302に記憶された地図データを参照して、車両2の現在地から次の目的地までの走行ルート上の指定された種類の候補施設を検索する。そして、立ち寄り地決定部304は、車両2の現在地から次の目的地までの走行ルート上に一以上の候補施設が検索された場合には、検索された候補施設のうち車両2の現在地から最も近い候補施設を立ち寄り地として決定する。一方、車両2の現在地から次の目的地までの走行ルート上に指定された種類の候補施設が一つも検索されなかった場合には、立ち寄り地決定部304は、車両2の現在地から最も近い施設を立ち寄り地として決定する。
【0087】
或いは、立ち寄り地決定部304は、次の目的地までの走行ルート上にある候補施設(第1の候補施設という)と、車両2の現在地から最も近い候補施設(第2の候補施設という)の両方を検索するようにしてもよい。この場合、立ち寄り地決定部304は、例えば、第1の候補施設までの距離が、第2の候補施設までの距離の所定倍(例えば2倍)未満の場合には第1の候補施設を立ち寄り地とし、そうでない場合には第2の候補施設を立ち寄り地としてもよい。これにより、乗客4は、立ち寄り地により早く立ち寄ることができる。
【0088】
次に、走行ルート生成部305は、車両2の現在地から、立ち寄り地決定部304によって決定された立ち寄り地までの車両2の走行ルートを、例えばダイクストラ法を用いた経路探索アルゴリズムにより生成する。
【0089】
次に、立ち寄り判定部306は、車両2を立ち寄り地に立ち寄らせるために要する立ち寄り時間を、生成した走行ルートに基づいて算出する(ステップS802)。この立ち寄り時間には、車両2を立ち寄り地まで移動させる移動時間に加えて、乗客4が車両2に再乗車するまで車両2を立ち寄り地で待機させる車両2の停車時間が含まれる。
【0090】
なお、立ち寄りボタン214が例えば病院に立ち寄るためのボタンである場合、立ち寄りボタン214を操作した乗客4は、急に体調が悪くなった急病人等である可能性が高く、病院に立ち寄った乗客4は車両2に戻らない可能性が高い。このように、立ち寄り地が、乗客4が車両2に戻らない可能性の高い種類の施設である場合、立ち寄り判定部306は、立ち寄り時間に車両2の停車時間を含めないようにしてもよい。乗客4が車両2に戻らない可能性の高い種類の施設は、サーバ30の記憶部302に予め記憶される。
【0091】
次に、立ち寄り判定部306は、立ち寄り依頼のために割り当てる割り当て時間を、例えば所定の長さ(例えば10分間)の時間として決定する(ステップS803)。或いは、立ち寄り判定部306は、この割り当て時間を、記憶部302に予め記憶された乗客4の目的地、及び到着目標時刻等の情報に基づいて決定してもよい。
【0092】
具体的には、走行ルート生成部305は、車両2の現在地から立ち寄り地を経由して他の乗客4のそれぞれの目的地まで車両2を順に移動させる第2の走行ルートを生成する。そして、立ち寄り判定部306は、第2の走行ルートに基づいて、それぞれの乗客4について、車両2を立ち寄り地に立ち寄らせた後に車両2を他の乗客4の目的地に順に移動させることができる到着予定時刻を算出する。そして、立ち寄り判定部306は、それぞれの乗客4について算出した到着予定時刻から乗客4の到着目標時刻までの余裕時間の最小値を、割り当て時間として決定する。この場合、割り当て時間は0となることもある。これにより、車両2に乗車中の他の乗客4の到着目標時刻に影響を与えないように、割り当て時間が決定される。
【0093】
更に、立ち寄り判定部306は、他の乗客4から配車の依頼を受けている場合には、他の乗客4が待つ配車地点までの走行ルートに基づいて、他の乗客4の配車地点に車両2を移動させるために要する配車時間を必要に応じて余裕時間から減算してもよい。
【0094】
次に、立ち寄り判定部306は、車両2を立ち寄り地に立ち寄らせるために要する立ち寄り時間が割り当て時間未満であるか否かを判定する(ステップS804)。
【0095】
立ち寄り時間が割り当て時間以上である場合(ステップS804:No)、立ち寄り判定部306は、車両2に乗車中の他の乗客4に、車両2を立ち寄り地に立ち寄らせる許可を求める(ステップS805)。具体的には、立ち寄り判定部306は、例えば後述の
図9に示すような、車両2の立ち寄り許可を求める問い合わせを他の乗客4の携帯端末40のタッチディスプレイ402に表示させる信号を、他の乗客4の携帯端末40に通信I/F301を介して送信する。或いは、立ち寄り判定部306は、車両2の立ち寄り許可を求める問い合わせを車両2のタッチディスプレイ215に表示させる信号を、車載装置20に通信I/F301を介して送信してもよい。
【0096】
なお、立ち寄り判定部306は、立ち寄り時間が、到着予定時刻から乗客4の到着目標時刻までの余裕時間以上となるような他の乗客4に対してのみ、車両2の立ち寄り許可を求めるようにしてもよい。また、立ち寄り判定部306は、トイレ又は病院等のような緊急度が高い施設への立ち寄りの依頼の場合にのみ、他の乗客4に車両2の立ち寄り許可を求めるようにしてもよい。
【0097】
次に、立ち寄り判定部306は、車両2の立ち寄り許可を問い合わせた他の乗客4によって、所定時間内(例えば2分以内)に車両2の立ち寄りが許可されたか否かを判定する(ステップS806)。立ち寄り判定部306は、立ち寄り許可を問い合わせた他の乗客4からの許可が一人でも得られない場合(ステップS806:No)、立ち寄り指示を車載装置20に送信せずに、車両2を立ち寄らせないことを、乗客4の携帯端末40に通知する。この場合、サーバ30は、例えば、他の第2の車両を配車して、乗客4を第2の車両に乗り換えさせ、第2の車両を立ち寄り地へ移動させるようにしてもよい。
【0098】
具体的には、立ち寄り判定部306は、車両2の現在地から一定範囲内に存在する第2の車両を検索する。そして、立ち寄り判定部306は、検索された第2の車両を一定範囲内の配車地点に配車させる信号を、第2の車両に通信I/F301を介して送信するとともに、車両2を配車地点に移動させる信号を、車両2に通信I/F301を介して送信する。これにより、乗客4は、第2の車両に乗り換えて、立ち寄り地に立ち寄ることができる。
【0099】
一方、立ち寄り時間が割り当て時間未満である場合(ステップS804:Yes)、又は、立ち寄り許可を問い合わせた全ての他の乗客4から許可が得られた場合(ステップS806:Yes)、立ち寄り判定部306は、立ち寄り指示を車載装置20に通信I/F301を介して送信し、車両2を立ち寄り地へ移動させる(ステップS807)。そして、立ち寄り判定部306は立ち寄り処理を終了する。これにより、乗客4は、立ち寄り地に立ち寄ることができる。
【0100】
図9は、第1実施形態に係る携帯端末40に表示された立ち寄り許可ボタン41の一例を示す図である。
図9に示された立ち寄り許可ボタン41は、サーバ30から送信される信号に従って、携帯端末40の例えばタッチディスプレイ402に表示される。これにより、車両2に乗車中の他の乗客4は、携帯端末40のタッチディスプレイ402に表示された車両2の立ち寄り許可の問い合わせに対して、携帯端末40のタッチディスプレイ402に表示された立ち寄り許可ボタン41を操作して応答することができる。
【0101】
サーバ30から送信される立ち寄り許可ボタン41を表示させる信号は、車両2の立ち寄り許可の問い合わせを携帯端末40のタッチディスプレイ215に表示する案内の表示スタイル、及び立ち寄り許可ボタン41のイメージ等の情報を含むことができる。或いは、案内の表示スタイル、及び立ち寄り許可ボタン41のイメージ等の情報は、携帯端末40の記憶部403に予め記憶されてもよい。この場合、携帯端末40は、サーバ30から車両2の残り停車時間を表示させる信号を受信すると、案内の表示スタイル、及び立ち寄り許可ボタン41のイメージを記憶部403から読み出して、タッチディスプレイ402に表示させる。
【0102】
なお、車両2の立ち寄り許可の問い合わせの案内、及び立ち寄り許可ボタン41は、携帯端末40のタッチディスプレイ402に表示される代わりに、車両2のタッチディスプレイ215に表示されてもよい。これにより、車両2に乗車中の他の乗客4は、車両2のタッチディスプレイ215に表示された車両2の立ち寄り許可の問い合わせに対して、車両2のタッチディスプレイ215に表示された立ち寄り許可ボタン41を操作して応答することができる。
【0103】
図10は、第1実施形態に係るサーバ30における、車両2の残り停車時間を携帯端末40に表示させる残り停車時間表示処理の一例を示すフローチャートである。サーバ30の立ち寄り判定部306は、以下のフローチャートに従って残り停車時間表示処理を実行する。
【0104】
立ち寄り判定部306は、乗客4が車両2から降車したことを、例えば車両2又は携帯端末40からの通知により検出すると(ステップS1001)、車両2の残り停車時間の初期値を算出する(ステップS1002)。この残り有効時間の初期値は、例えば上述の立ち寄り依頼のための割り当て時間から、車両2を立ち寄り地まで移動させるのに要した移動時間を減算した時間とされる。割り当て時間が、乗客4の目的地、及び到着目標時刻等の情報に基づいて算出される場合には、この残り有効時間の初期値は、0となることもある。
【0105】
次に、立ち寄り判定部306は、車両2の残り停車時間が0より大きいか否かを判定する(ステップS1003)。車両2の残り停車時間が0より大きい場合(ステップS1003:Yes)、立ち寄り判定部306は、例えば後述の
図11に示すような、車両2の残り停車時間を表示させる信号を、携帯端末40に通信I/F301を介して送信する(ステップS1004)。この信号は、例えば、残り有効時間の表示スタイルの情報を含むHTML(HyperText Markup Language)等のデータ形式で送信されてもよい。これにより、車両2の残り停車時間が乗客4の携帯端末40に表示される。
【0106】
次に、立ち寄り判定部306は、車両2の残り停車時間の値を更新する(ステップS1005)。この残り有効時間の値は、例えば、残り有効時間の初期値が、乗客4が車両2を降車してからの時間経過に従ってカウントダウンされる。立ち寄り判定部306は、車両2の残り停車時間が0より大きい間、ステップS1003~ステップS1005を一定の制御周期で繰り返す。なお、車両2の残り停車時間を更新して表示する処理は、立ち寄り判定部306の代わりに携帯端末40によって実行されてもよい。
【0107】
一方、車両2の残り停車時間が0の場合(ステップS1003:No)、立ち寄り判定部306は、車両2を次の目的地に向けて移動させるとともに、車両2が発車したことを通知する案内を表示させる信号を、携帯端末40に送信する(ステップS1006)。これにより、乗客4は、車両2が発車したことを知ることができる。
【0108】
図11は、第1実施形態に係る携帯端末40に表示された車両2の残り停車時間42の一例を示す図である。
図11に示された車両2の残り停車時間42は、サーバ30から送信される信号に従って、携帯端末40の例えばタッチディスプレイ402に表示される。これにより、車両2から降車した乗客4は、立ち寄り地に立ち寄っている間、車両2の残り停車時間42を携帯端末40のタッチディスプレイ402で確認することができる。
【0109】
また、
図11に示された車両2の残り停車時間42の下には、車両2の残り停車時間42が0となる前に車両2の発車を許可する信号をサーバ30に送信する発車許可ボタン43が表示されている。この発車許可ボタン43も、サーバ30から送信される信号に従って表示される。これにより、乗客4は、車両2に戻らないことを決めたとき或いは車両2に戻れないことが分かったときに、発車許可ボタン43を操作して車両2を発車させることができるため、車両2を早く次の目的地に移動させることができる。
【0110】
なお、サーバ30から送信される車両2の残り停車時間42を表示させる信号は、立ち寄り許可ボタン41を表示させる信号と同様に、残り停車時間42の表示スタイル、及び発車許可ボタン43のイメージ等の情報を含むことができる。
【0111】
以上のように、本実施形態の運転支援装置は、自動運転制御される車両に搭載された通信装置と少なくとも通信可能に構成された通信部を有する。そして、運転支援装置は、車両に乗車中の乗客による立ち寄り依頼を、乗客の携帯端末又は車両の通信装置から通信部を介して受信すると、立ち寄り依頼に応じて立ち寄り地を決定し、車両の現在地から立ち寄り地までの車両の走行ルートを生成する。そして、運転支援装置は、車両を立ち寄り地に立ち寄らせるために要する立ち寄り時間が、立ち寄り依頼のための割り当て時間未満である場合に、車両を立ち寄り地へ移動させる立ち寄り指示を、車両の通信装置に通信部を介して送信する。
【0112】
これにより、本実施形態の運転支援装置は、乗客が乗車中の自動運転制御された車両を立ち寄り地に立ち寄らせるか否かを適切に判断することができる。
【0113】
[第2実施形態]
別の実施形態によれば、上述のサーバ30の立ち寄り地決定部304、走行ルート生成部305、及び立ち寄り判定部306によって実行される処理は、車載装置20の制御部203によって実行されることも可能である。これにより、例えばネットワーク5の障害によって車載装置20とサーバ30との間の通信が切断されたような場合であっても、車載装置20の制御部203が、
図8に示した立ち寄り処理、及び
図10に示した残り停車時間表示処理を実行することができる。
【0114】
図12は、第2実施形態に係る車載装置20の制御部203の機能ブロック図である。制御部203は、立ち寄り地決定部204、走行ルート生成部205、及び立ち寄り判定部206を有する。これら立ち寄り地決定部204、走行ルート生成部205、及び立ち寄り判定部206は、サーバ30の立ち寄り地決定部304、走行ルート生成部305、及び立ち寄り判定部306とそれぞれ同等の機能を有する。
【0115】
立ち寄り地決定部204、走行ルート生成部205、及び立ち寄り判定部206は、例えば、プロセッサ上で実行されるコンピュータプログラムにより実現されるソフトウェアモジュール又はファームウェアとして実装される。或いは、立ち寄り地決定部204、走行ルート生成部205、及び立ち寄り判定部206は、FPGA又はASICに形成される演算回路として実現されてもよい。
【0116】
立ち寄り地決定部204は、車両2に乗車中の乗客4による立ち寄り依頼を、乗客4の携帯端末40又はタッチディスプレイ215から車内通信I/F201を介して受信すると、立ち寄り依頼に応じて立ち寄り地を決定する。
【0117】
走行ルート生成部305は、車両2の現在地から立ち寄り地までの車両2の走行ルートを生成する。
【0118】
立ち寄り判定部306は、車両2を立ち寄り地に立ち寄らせるために要する立ち寄り時間を、立ち寄り地までの走行ルートに基づいて算出する。そして、立ち寄り判定部306は、立ち寄り時間が、立ち寄り依頼のための割り当て時間未満である場合に、車両2を立ち寄り地へ移動させる立ち寄り指示を、車両2の車載装置20に通信I/F301を介して送信する。
【0119】
このように、運転支援装置が車載装置20として構成される場合であっても、運転支援装置がサーバ30として構成される第1実施形態の場合と同様の効果が得られる。
【0120】
上述の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならない。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0121】
他の変形例によれば、運転支援装置は、車両2を立ち寄り地に立ち寄らせるために要した立ち寄り時間に応じて乗客4に追加の料金を請求するように、乗客4の情報を管理する別のサーバに指示してもよい。これにより、乗客4は、例えば、車両2に再乗車しないことを決めたときには、追加の料金を低く抑えるために、
図11に示した発車許可ボタン43を少しでも早く操作しようとするため、車両2を早く次の目的地に移動させることができる。
【符号の説明】
【0122】
1 運転支援システム
2 車両
4 乗客
4b 利用客
5 ネットワーク
6 無線基地局
20 車載装置(通信装置)
21 自動運転制御ユニット
30 サーバ
40 携帯端末
41 立ち寄り許可ボタン(操作部)
42 残り停車時間
43 発車許可ボタン
201 車内通信I/F
202 記憶部
203 制御部
204 立ち寄り地決定部
205 走行ルート生成部
206 立ち寄り判定部
210 車両制御ユニット
211 車外カメラ
212 測距センサ
213 測位センサ
214 立ち寄りボタン
215 タッチディスプレイ
216 車外通信機器
301 通信I/F(通信部)
302 記憶部
303 制御部
304 立ち寄り地決定部
305 走行ルート生成部
306 立ち寄り判定部
401 通信I/F
402 タッチディスプレイ(操作部)
403 記憶部
404 制御部