(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 2/02 20060101AFI20221213BHJP
H01G 2/06 20060101ALI20221213BHJP
H01G 4/224 20060101ALI20221213BHJP
H01G 4/30 20060101ALI20221213BHJP
H01G 4/38 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
H01G2/02 101B
H01G2/02 101E
H01G2/06 Z
H01G4/224 100
H01G4/30 201Z
H01G4/30 511
H01G4/38 A
(21)【出願番号】P 2018198753
(22)【出願日】2018-10-22
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 広祐
(72)【発明者】
【氏名】安藤 ▲徳▼久
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 信弥
(72)【発明者】
【氏名】増田 朗丈
【審査官】西間木 祐紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-040683(JP,A)
【文献】特開2008-186945(JP,A)
【文献】特開2004-327887(JP,A)
【文献】特開2019-106407(JP,A)
【文献】特開2006-041014(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 2/02
H01G 2/06
H01G 4/224
H01G 4/30
H01G 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の端面に端子電極が形成された複数のチップ部品と、
前記端面に平行な方向に隣接して配置された各チップ部品のいずれか一方側の端子電極同士を接続する端子接続体と、
少なくとも1個の前記端子接続体を介して直列に接続される複数の前記チップ部品のうち、両端に位置するチップ部品の端子電極に接続される接続部
と、前記実装基板に接続される実装部とを有する複数の導電性端子と、
前記接続部と前記実装部との間に配置される絶縁性の支持部材と、
一端に開口部が形成されて、複数の前記チップ部品が収容される凹状の複数の収容部を有する絶縁ケースとを有し、
複数の前記チップ部品の各々は、前記端面が前記実装面に対向するように配置され
、
前記絶縁ケースの側面には、複数の前記導電性端子が挿入される複数の側面開口部が形成されている電子部品。
【請求項2】
前記端面に平行な方向に隣接して配置された各チップ部品の間に配置される絶縁性の隔壁部材を有する請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記支持部材は、前記絶縁ケースの底部を構成し、
前記隔壁部材は、複数の前記収容部の各々を仕切る壁面を構成している
請求項1に記載の電子部品。
【請求項4】
複数の前記開口部を覆うように前記絶縁ケースに取り付けられる蓋体を有する
請求項1または3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記蓋体は、前記端子接続体を有しており、
前記蓋体を前記絶縁ケースに取り付けたときに、前記端面に平行な方向に隣接して配置された各チップ部品のいずれか一方側の端子電極同士が、前記端子接続体によって接続される
請求項4に記載の電子部品。
【請求項6】
一対の端面に端子電極が形成された複数のチップ部品と、
前記端面に平行な方向に隣接して配置された各チップ部品のいずれか一方側の端子電極同士を接続する端子接続体と、
少なくとも1個の前記端子接続体を介して直列に接続される複数の前記チップ部品のうち、両端に位置するチップ部品の端子電極に接続される接続部と、前記実装基板に接続される実装部とを有する複数の導電性端子と、
前記接続部と前記実装部との間に配置される絶縁性の支持部材と、
一端に開口部が形成されて、複数の前記チップ部品が収容される凹状の複数の収容部を有する絶縁ケースと、
複数の前記開口部を覆うように前記絶縁ケースに取り付けられる蓋体とを有し、
複数の前記チップ部品の各々は、前記端面が前記実装面に対向するように配置され、
前記絶縁ケースの上部には、段差部が形成されており、
前記蓋体が前記段差部に嵌合することにより、前記蓋体は前記絶縁ケースに取り付けられる電子部品。
【請求項7】
前記側面開口部は、前記絶縁ケースの側面と、前記支持部材の上面との交差部に形成されている請求項1に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属端子を有する電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックコンデンサ等の電子部品としては、単体で直接基板等に面実装等する通常のチップ部品の他に、たとえば特許文献1に示すように、チップ部品に金属製のキャップ(金属端子)が取り付けられたものが知られている。
【0003】
金属端子が取り付けられている電子部品は、実装後において、チップ部品が基板から受ける変形応力を緩和したり、チップ部品を衝撃等から保護する効果を有することが報告されており、耐久性および信頼性等が要求される分野において使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すような従来の電子部品では、回路基板上における占有面積が比較的大きく、電子機器の小型化に伴う電子部品の高密度実装化に対応することが困難である。
【0006】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、省スペースで実装可能な導電性端子を有する電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子部品は、
一対の端面に端子電極が形成された複数のチップ部品と、
前記端面に平行な方向に隣接して配置された各チップ部品のいずれか一方側の端子電極同士を接続する端子接続体と、
少なくとも1個の前記端子接続体を介して直列に接続される複数の前記チップ部品のうち、両端に位置するチップ部品の端子電極に接続される接続部と、前記接続部に対向し、前記実装基板に接続される実装部とを有する複数の導電性端子と、
前記接続部と前記実装部との間に配置される絶縁性の支持部材と、を有し、
複数の前記チップ部品の各々は、前記端面が前記実装面に対向するように配置される。
【0008】
本発明に係る電子部品では、複数のチップ部品の各々が、端面が実装面に対向するように配置される。そのため、複数のチップ部品の各々を、端面が実装面に対して垂直になるように配置した場合と比較して(特許文献1参照)、回路基板上での電子部品の占有面積を低減し、電子部品を省スペースで回路基板に実装することが可能となり、電子部品の高密度実装化を図ることができる。
【0009】
また、本発明に係る電子部品では、端子接続体および導電性端子を介して、複数のチップ部品を容易に直列に接続することが可能である。たとえば、チップ部品としてコンデンサチップを用いる場合、複数のコンデンサチップを直列に接続することにより、コンデンサ組立体の耐電圧を高め、コンデンサ組立体が搭載される電子機器の安全性の向上に寄与することができる。
【0010】
さらに、本発明に係る電子部品では、接続部と実装部との間に支持部材が配置されるため、接続部の上方に配置されるチップ部品を支持部材で安定して支持し、接続部に過度の負荷がかかることを防止して、導電性端子(特に、接続部)の形状を保持することができる。
【0011】
好ましくは、前記端面に平行な方向に隣接して配置された各チップ部品の間に配置される絶縁性の隔壁部材を有する。このような構成とすることにより、上記各チップ部品同士を絶縁することが可能となり、各チップ部品がショート不良を起こすことを防止することができる。
【0012】
好ましくは、一端に開口部が形成された凹状の複数の収容部を有する絶縁ケースを有する。このような構成とすることにより、各収容部に各チップ部品を収容することが可能となり、チップ部品を衝撃等から保護することができる。
【0013】
好ましくは、前記支持部材は、前記絶縁ケースの底部を構成し、前記隔壁部材は、複数の前記収容部の各々を仕切る壁面(隔壁部とも称する)を構成している。このような構成とすることにより、絶縁ケースの底部に支持部材の機能を具備させるとともに、絶縁ケースの隔壁部に隔壁部材の機能を具備させることが可能となる。したがって、複数のチップ部品を絶縁ケースに収容したときに、前述の支持部材および隔壁部材の両部材の作用効果を同時に得ることができる。
【0014】
好ましくは、複数の前記開口部を覆うように前記絶縁ケースに取り付けられる蓋体を有する。絶縁ケースに蓋体を取り付けることにより、チップ部品を衝撃等から効果的に保護することができる。また、蓋体を絶縁ケースに取り付けることにより、収容部に収容されたチップ部品を蓋体で絶縁ケースの底部(支持部材)に向けて押圧し、該チップ部品の端子電極を絶縁性端子の接続部に圧接することが可能となる。したがって、導電性端子と端子電極との接続信頼性を向上させることができる。
【0015】
好ましくは、前記蓋体は、前記端子接続体を有しており、前記蓋体を前記絶縁ケースに取り付けたときに、前記端面に平行な方向に隣接して配置された各チップ部品のいずれか一方側の端子電極同士が、前記端子接続体によって接続される。このような構成とすることにより、蓋体を絶縁ケースに取り付けるのみで、端子接続体を介して、端面に平行な方向に隣接して配置された各チップ部品同士を直列に接続することが可能であり、簡易な構成からなる電子部品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は本発明の第1実施形態に係るコンデンサ組立体を示す概略斜視図である。
【
図2A】
図2Aは
図1に示すIIA-IIA線に沿うコンデンサ組立体の断面斜視図である。
【
図3】
図3は本発明の第2実施形態に係るコンデンサ組立体を示す概略斜視図である。
【
図4】
図4は
図3に示すIV-IV線に沿うコンデンサ組立体の断面斜視図である。
【
図5】
図5は本発明の第3実施形態に係るコンデンサ組立体を示す概略斜視図である。
【
図6】
図6は
図5に示すVI-VI線に沿うコンデンサ組立体の断面斜視図である。
【
図7】
図7は
図5に示すコンデンサ組立体の一部透明斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0018】
第1実施形態
図1および
図2Aに示すように、本発明の第1実施形態に係る電子部品の一例としてのコンデンサ組立体10は、4つのコンデンサチップ20a~20d(チップ部品)と、一対の第1金属端子30および第2金属端子40と、端子接続体50と、絶縁ケース60と、蓋体70とを有する。なお、第1金属端子30および第2金属端子40は、金属以外の導電性材料で構成された導電性端子で構成されてもよい。
【0019】
図2Aに示すように、コンデンサチップ20a~20dは、略直方体形状であり、互いに略同一の形状およびサイズを有している。コンデンサチップ20a~20dは、Z軸方向(長手方向)に互いに対向する一対の第1端面21と第2端面23とを有する。
【0020】
コンデンサチップ20a~20dは、端面21,23が実装面に対向し、かつ、第1端面21と第2端面23との間に位置する4つの側面が実装面に対して略垂直となるように配置されている。なお、コンデンサ組立体10の実装面は、後述する金属端子30,40の実装部34,44の下面に対応する。
【0021】
コンデンサチップ20a~20dの第1端面21側の端部には、第1端子電極22が形成されている。第1端面21は第1端子電極22で覆われており、第1端子電極22の一部は、コンデンサチップ20a~20dの4つの側面の一部に回り込んでいる。すなわち、第1端子電極22は、第1端面21に配置される部分と、コンデンサチップ20a~20dの4つの側面に配置される部分とを有する。
【0022】
コンデンサチップ20a~20dの第2端面23側の端部には、第2端子電極24が形成されている。第2端面23は第2端子電極24で覆われており、第2端子電極24の一部は、コンデンサチップ20a~20dの4つの側面の一部(ただし、第1端子電極22が回り込んでいる部分とは異なる部分)に回り込んでいる。すなわち、第2端子電極24は、第2端面23に配置される部分と、コンデンサチップ20a~20dの4つの側面に配置される部分とを有する。
【0023】
コンデンサチップ20a~20dは、内部電極層26と誘電体層28とが積層された積層コンデンサである。内部電極層26は、第1端子電極22に接続しているものと、第2端子電極24に接続しているものとがあり、第1端子電極22に接続する内部電極層26と、第2端子電極24に接続している内部電極層26とが、誘電体層28を挟んで交互に積層されている。
【0024】
コンデンサチップ20a~20dにおける内部電極層26の積層方向は、X軸に平行でY軸およびZ軸に垂直である。つまり、内部電極層26は、Y-Z平面に平行で、実装面に対して垂直に配置される。
【0025】
コンデンサチップ20a~20dにおける誘電体層28の材質は、特に限定されず、たとえばチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムまたはこれらの混合物などの誘電体材料で構成される。各誘電体層28の厚みは、特に限定されないが、1μm~数百μmのものが一般的である。本実施形態では、各誘電体層28の厚みは、好ましくは1.0~5.0μmである。また、誘電体層28は、コンデンサの静電容量を大きくできるチタン酸バリウムを主成分とすることが好ましい。
【0026】
内部電極層26に含有される導電体材料は特に限定されないが、誘電体層28の構成材料が耐還元性を有する場合には、比較的安価な卑金属を用いることができる。卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn、Cr、CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層26は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層26の厚みは用途等に応じて適宜決定すればよい。
【0027】
端子電極22,24の材質も特に限定されず、通常、銅や銅合金、ニッケルやニッケル合金などが用いられるが、銀や銀とパラジウムの合金なども使用することができる。端子電極22,24の厚みも特に限定されないが、通常10~50μm程度である。なお、端子電極22,24の表面には、Ni、Cu、Sn等から選ばれる少なくとも1種の金属被膜が形成されていてもよい。
【0028】
コンデンサチップ20a~20dの形状やサイズは、目的や用途に応じて適宜決定すればよい。コンデンサチップ20a~20dは、たとえば、縦(
図2Aに示すZ軸寸法)1.0~6.5mm×横(
図2Aに示すY軸寸法)0.5~5.5mm×厚み(
図2Aに示すX軸寸法)0.3~3.5mm程度である。複数のコンデンサチップ20a~20dの各々について、互いに大きさや形状が異なっていてもかまわない。
【0029】
図1に示すように、絶縁ケース60は、直方体形状の筐体で構成され、4つの側部60a~60dと、上部60eと、底部60fとを有する。絶縁ケース60は、セラミック、ガラスあるいは合成樹脂などの絶縁体で構成されており、該絶縁体は難燃性の材料で構成されていることが好ましい。なお、上部60eの大部分は開口部を構成している。
【0030】
図2Aに示すように、絶縁ケース60は、第1収容部62aと第2収容部62bとを有する。収容部62a,62bは、凹形状からなり、X軸方向に沿って隣接して配置されている。収容部62a,62bの一端(上端)には、絶縁ケース62の上部60eに向けて開口する開口部620a,620bが形成されている。収容部62a,62bの他端(下端)は、絶縁ケース60の底部60fとなっている。
【0031】
収容部62a,62bのY軸方向幅は、コンデンサチップ20a~20dのY軸方向幅よりも若干大きく、開口部620a,620bを通じて、コンデンサチップ20aおよび20b,20cおよび20dを収容部62a,62b内に容易に収容することが可能となっている。このように、収容部62a,62b内にコンデンサチップ20aおよび20b,20cおよび20dを収容することにより、コンデンサチップ20a~20dを衝撃等から保護することができる。
【0032】
収容部62a,62b内には、コンデンサチップ20aおよび20b,20cおよび20dが積層されるように収容され、コンデンサチップ20aおよび20b,20cおよび20dの第1端面21と第2端面23とは、実装面に対向するように配置される。以下では、コンデンサチップ20a,20cが配置されている側を上段(一方側)と呼び、コンデンサチップ20b,20dが配置されている側を下段(他方側)と呼ぶ。
【0033】
下段に配置されたコンデンサチップ20b,20dの第1端子電極20aと、上段に位置されたコンデンサチップ20a,20cの第2端子電極20bとは直接接続され、コンデンサチップ20aとコンデンサチップ20bとは直列に接続され、コンデンサチップ20cとコンデンサチップ20dとは直列に接続される。なお、第1端子電極20aと第2端子電極20bとの間に導電性の部材を設け、該部材を介して、コンデンサチップ20aとコンデンサチップ20bとを直列に接続し、コンデンサチップ20cとコンデンサチップ20dとを直列に接続してもよい。
【0034】
前述のとおり、収容部62a,62bはX軸方向に沿って隣接して配置されているため、収容部62a,62bにコンデンサチップ20aおよび20b,20cおよび20dを収容すると、収容部62aに収容されたコンデンサチップ20aと、収容部62bに収容されたコンデンサチップ20cとが、X軸方向(端面21,23に平行な方向)に沿って隣接して配置されることになる。同様に、収容部62aに収容されたコンデンサチップ20bと、収容部62bに収容されたコンデンサチップ20dとが、X軸方向(端面21,23に平行な方向)に沿って隣接して配置されることになる。
【0035】
収容部62a,62bのZ軸方向に沿った深さは、コンデンサチップ20a~20dの長手方向に沿った長さの略2倍よりも若干小さい。そのため、コンデンサチップ20aおよび20b,20cおよび20dを収容部62a,62b内に収容すると、上段に位置するコンデンサチップ20a,20cの第1端面21(あるいは、第1端子電極22)が、開口部620a,620bからZ軸上方に露出することになる。
【0036】
なお、収容部62a,62bのZ軸方向に沿った深さを、コンデンサチップ20a~20dの長手方向に沿った長さの略2倍に等しくしてもよい。この場合、上段に配置されたコンデンサチップ20a,20cの第1端子電極22が、開口部620a,620bと略面一となる。
【0037】
第1収容部62aおよび第2収容部62bの各々は、絶縁ケース60の隔壁部64(隔壁部材)で仕切られている。隔壁部64は、
図1に示す絶縁ケース60の側部60a,60cに平行な面を有し、X軸方向(端面21,23に平行な方向)に隣接して配置されたコンデンサチップ20a,20cとコンデンサチップ20b,20dとの間に配置される。隔壁部64のZ軸方向に沿った長さは、収容部62a,62bのZ軸方向に沿った深さと略等しくなっている。なお、コンデンサ組立体10は、絶縁ケース60の上部60e側から見たときに、隔壁部64を対象軸として線対称に構成されている。
【0038】
このように、絶縁ケース60に隔壁部64を具備させることにより、収容部62aに収容されたコンデンサチップ20a,20bと、収容部62bに収容されたコンデンサチップ20c,20dとを絶縁することが可能となり、コンデンサチップ20a~20dがショート不良を起こすことを防止することができる。
【0039】
絶縁ケース60の上部60eには、段差部66が形成されている。段差部66は、絶縁ケース60の側部60a~60dの上端部の内側(収容部62a,62bが配置されている側)に形成されており、この段差部66により、該上端部の内側形状はL字状となっている。段差部66の段差の高さは、蓋体70の厚みよりも若干大きい。
【0040】
図1に示すように、蓋体70は、
図2Aに示す開口部620a,620bを覆うように絶縁ケース60に取り付けられる。より詳細には、蓋体70の輪郭の形状(四角形)は、段差部66の輪郭の形状(四角形)に対応しており、蓋体70を段差部66に嵌合させることにより、蓋体70を絶縁ケース60に取り付けることが可能となっている。蓋体70を絶縁ケース60に取り付けたとき、絶縁ケース60の上部60eと蓋体70の表面70aとは略面一になる。
【0041】
図2Aに示すように、絶縁ケース60の下方には、Y軸方向に細長い略長方形状の開口部68が形成されている。開口部68には、絶縁ケース60のX軸方向の両側に形成されており、後述する金属端子30,40の接続部32,42を挿通することが可能となっている。
【0042】
図1に示すに示すように、蓋体70は、扁平な板状からなる端子接続体50を有する。端子接続体50は、蓋体70の裏面70bに接着等の手段により取り付けられている。端子接続体50は、X軸方向(端面21,23に平行な方向)に隣接して配置されたコンデンサチップ20aおよび20c,20bおよび20dのいずれか一方側の端子電極同士を接続する。
【0043】
本実施形態では、端子接続体50は、金属端子30,40と対向する位置で、上記端子電極同士を接続する。すなわち、端子接続体50は、収容部62aに収容された上段のコンデンサチップ20aの第1端子電極22と、収容部62bに収容された上段のコンデンサチップ20cの第1端子電極22とを接続する。
【0044】
X軸方向に隣接して配置された上段の各コンデンサチップ20a,20cの第1端子電極22同士は、蓋体70を絶縁ケース60に取り付けたときに、端子接続体50によって、相互に接続(連絡)される。
【0045】
端子接続体50のX軸方向幅およびY軸方向幅は、蓋体70のX軸方向幅およびY軸方向幅よりも若干小さいが、上記各コンデンサチップ20a,20cの第1端子電極22同士の電気的接続を確保できる範囲内であれば、特に限定されるものではない。
【0046】
図2Aに示すように、第1金属端子30および第2金属端子40は、同一の構成を有し、それぞれ一枚の導電性板片(たとえば、金属板)を略C字形状に折曲成形して形成される。金属端子30,40は、C字の開放部が、絶縁ケース60のX軸方向中心部を向くように配置される。金属板の板厚としては、特に限定されないが、好ましくは0.01~2.0mm程度である。
【0047】
金属端子30,40は、接続部32,42と、実装部34,44と、連結部36,46とを有し、これらは一体成形されている。接続部32,42は、1個の端子接続体50を介して直列に接続される4つのコンデンサチップ20a~20dのうち、両端に位置するコンデンサチップの端子電極に接続される。
【0048】
本実施形態では、収容部62a内に収容されたコンデンサチップ20a,20bが直列に接続され、収容部62b内に収容されたコンデンサチップ20c,20dが直列に接続され、収容部62a,62b内の上段に配置されたコンデンサチップ20a,20cが端子接続体50で接続されることにより、4つのコンデンサチップ20a~20dが直列に接続される。
【0049】
この場合、収容部62a,62b内の下段に配置されたコンデンサチップ20b,20dが、上記4つのコンデンサチップ20a~20dのうち、両端に位置するコンデンサチップに対応し、これらのコンデンサチップ20b,20dの第2端子電極24が接続部32,42に電気的に接続される。
【0050】
図1および
図2Aに示すように、接続部32,42は、絶縁ケース60の内側に延在しており、絶縁ケース60の側部60a,60cをX軸方向に向かって貫通している。接続部32,42のX軸方向に沿った長さは、絶縁ケース60のX軸方向幅の略1/2に等しく、接続部32,42は、絶縁ケース60の底部60fに沿って、底部60fの上方を隔壁部64に到達する位置まで延びている。なお、接続部32,42の延びる向きは、第1収容部62aと第2収容部62bとを結ぶ方向、あるいは隔壁部64に直交する方向に等しい。
【0051】
接続部32,42のY軸方向幅は、コンデンサチップ20a~20dの第2端子電極24のY軸方向幅と略同一であるが、第2端子電極24との電気的接続を確保できる範囲内であれば、特に限定されるものではない。
【0052】
実装部34,44は、接続部32,42および実装基板に対向しており、実装基板に接続される。実装部34,44の下面は、実装面に対応する。実装部32,42は、絶縁ケース60の外側に配置され、絶縁ケース60の底部60fに沿って、底部60fの下方をX軸方向に延びている。なお、実装部34,44の延びる向きは、接続部32,42の延びる向きと等しい。
【0053】
連結部36,46は、接続部32,42と実装部34,44とを連結する。連結部36,46は、接続部32,42および実装部34,44に対して略垂直となるように延びている。連結部36,46のZ軸方向に沿った長さは、絶縁ケース60の底部60fのZ軸方向に沿った厚みよりも若干大きめに設計されている。
【0054】
本実施形態では、接続部32,42と実装部34,44との間に、絶縁ケース60の底部60fが配置されている(挟まれている)。絶縁ケース60の底部60fは接続部32,42の下面と密着しており、底部60fで接続部32,42を支持することが可能となっている。
【0055】
そのため、収容部62a,62bに収容された下段のコンデンサチップ20b,20dの第2端子電極24を接続部32,42に圧接するときに、Z軸下方に向かう負荷が接続部32,42にかかっても、絶縁ケース60の底部60fで接続部32,42を支持し、接続部32,42の形状を保持することが可能となっている。このように、絶縁ケース60の底部60fは、支持部材(保持部材)としての機能を有する。
【0056】
なお、図示の例では、絶縁ケース60の底部60fと金属端子30,40の接続部32,42とが接触(密着)しているが、これらの間には所定の隙間が形成されていてもよい。この場合、収容部62a,62bに収容された下段のコンデンサチップ20b,20dにより接続部32,42が押圧されると、接続部32,42がZ軸下方に向けて屈曲する(撓み変形する)。したがって、その屈曲分だけ、収容部62a,62b内の収容空間のZ軸方向幅に可変性を持たせることが可能となり、コンデンサチップ20a~20dの寸法誤差等を吸収することができる。また、スプリング力(弾性力)により、接続部32,42をコンデンサチップ20b,20dの第2端子電極24に効果的に圧接し、コンデンサチップ20b,20dと金属端子30,40とを確実かつ強固に接続することができる。
【0057】
以下に、コンデンサ組立体10の製造方法について説明する。
コンデンサチップ20a~20dの製造では、まず、焼成後に内部電極層26となる電極パターンが形成されたグリーンシート(焼成後に誘電体層28となる)を積層して積層体を作製したのち、得られた積層体を加圧・焼成することによりコンデンサ素体を得る。さらに、コンデンサ素体に第1端子電極22および第2端子電極24を、端子電極用塗料焼き付けおよびめっき等により形成することにより、コンデンサチップ20a~20dを得る。
【0058】
積層体の原料となるグリーンシート用塗料や内部電極層用塗料、端子電極の原料並びに積層体および電極の焼成条件等は特に限定されず、公知の製造方法等を参照して決定することができる。本実施形態においては、誘電体材料としてチタン酸バリウムを主成分とするセラミックグリーンシートを用いる。また、端子電極は、Cuペーストを浸漬、焼付処理することで焼付層を形成し、さらに、Niめっき、Snめっき処理を行なうことで、Cu焼付層/Niめっき層/Snめっき層を形成する。
【0059】
第1金属端子30の製造では、まず、平板状の金属板材を準備する。金属板材の材質は、導電性を有する金属材料であれば特に限定されず、たとえば鉄、ニッケル、銅、銀等若しくはこれらを含む合金を用いることができる。次に、金属板材を機械加工することにより、接続部32、実装部34および連結部36の形状を付与した中間部材を得る。
【0060】
次に、機械加工により形成された中間部材の表面に、めっきによる金属被膜を形成することにより、第1金属端子30を得る。めっきに用いる材料としては、特に限定されないが、たとえばNi、Sn、Cu等が挙げられる。なお、第1金属端子30の製造では、帯状に連続する金属板材から、複数の第1金属端子30が、互いに連結された状態で形成されてもよい。互いに連結された複数の第1金属端子30は、コンデンサチップ20a~20dとの接続前、またはコンデンサチップ20a~20dに接続された後に、個片に切断される。第2金属端子40の製造方法も、第1金属端子30と同様である。
【0061】
端子接続体50の製造方法では、前述の金属板材を機械加工することにより、端子接続体50の形状を付与した中間部材を得て、これにめっきによる金属皮膜を形成すればよい。
【0062】
絶縁ケース60の製造方法では、
図1および
図2Aに示す絶縁ケース60の形状に対応する金型に溶融樹脂を注入することにより、収容部62a,62bを有する絶縁ケース60を得る。
【0063】
上述のようにして得られた第1金属端子30および第2金属端子40を、絶縁ケース60に取り付ける。金属端子30,40は、接続部32,42を絶縁ケース60のX軸方向の両側に形成された各開口部68に挿通させることにより、絶縁ケース60に取り付けることができる。
【0064】
第1金属端子30および第2金属端子40を絶縁ケース60に取り付けた後、あるいは、その前に、開口部620aを通じて、コンデンサチップ20a,20bを収容部62a内に順番に収容するとともに、開口部620bを通じて、コンデンサチップ20c,20dを収容部62b内に順番に収容する。
【0065】
その後、裏面70bに端子接続体50が接着等の手段等で取り付けられた蓋体70を用意し、収容部62a,62bの開口部620a,620bを覆うように、この蓋体70を絶縁ケース60の段差部66に取り付けて、固定する。なお、そして、蓋体70を図示しない係合部材(たとえば、爪のようなもの)で、絶縁ケース60の上部60eに固定してもよい。
【0066】
このとき、収容部62a,62b内に収容されたコンデンサチップ20aおよび20b,20cおよび20dを蓋体70でZ軸下方に押圧することにより、収容部62a,62bの下段に配置されたコンデンサチップ20b,20dの第2端子電極24を、金属端子30,40の接続部32,42に圧接することが可能となる。
【0067】
本実施形態に係るコンデンサ組立体10では、4つのコンデンサチップ20a~20dの各々が、端面21,23が実装面に対向するように配置される。そのため、4つのコンデンサチップ20a~20dの各々を、端面21,23が実装面に対して垂直になるように配置した場合と比較して(特許文献1参照)、回路基板上でのコンデンサ組立体10の占有面積を低減し、コンデンサ組立体10を省スペースで回路基板に実装することが可能となり、コンデンサ組立体10の高密度実装化を図ることができる。
【0068】
また、コンデンサ組立体10は金属端子30,40および端子接続体50を有するため、金属端子30,40および端子接続体50を介して、4つのコンデンサチップ20a~20dを容易に直列に接続することが可能である。4つのコンデンサチップ20a~20dを直列に接続することにより、コンデンサ組立体10の耐電圧を高め、コンデンサ組立体10が搭載される電子機器の安全性の向上に寄与することができる。
【0069】
さらに、
図2Aに示すように、接続部32,42と実装部34,44との間に絶縁ケース60の底部60fが配置されるため、接続部32,42の上方に配置されるコンデンサチップ20a~20dを底部60fで安定して支持し、接続部32,42に過度の負荷がかかることを防止して、金属端子30,40(特に、接続部32,42)の形状を保持することができる。
【0070】
また、本実施形態に係るコンデンサ組立体10では、ハンダを用いることなく、金属端子30,40とコンデンサチップ20b,20dの第2端子電極24との接続を行うことが可能なため、コンデンサ組立体10の実装時に、実装部34,44から伝達される熱により金属端子30,40とコンデンサチップ20b,20dとの接続部分のハンダを溶融させることはなくなる。
【0071】
また、絶縁ケース60に蓋体70を取り付けることにより、コンデンサチップ20a~20dを衝撃等から効果的に保護することができる。また、蓋体70を絶縁ケース60に取り付けることにより、収容部62a,62bに収容されたコンデンサチップ20aおよび20b,20cおよび20dを蓋体70で絶縁ケース60の底部60fに向けて押圧し、コンデンサチップ20b,20dの第2端子電極24を金属端子30,40の接続部32,42に圧接することが可能となる。したがって、金属端子30,40と第2端子電極24との接続信頼性を向上させることができる。
【0072】
また、蓋体70は、端子接続体50を有しているため、蓋体70を絶縁ケース60に取り付けたときに、端面21,23に平行な方向に隣接して配置されたコンデンサチップ20a,20cの第1端子電極22同士が、端子接続体50によって接続される。そのため、蓋体70を絶縁ケース60に取り付けるのみで、端子接続体50を介して、端面21,23に平行な方向に隣接して配置されたコンデンサチップ20a,20c同士を直列に接続することが可能であり、簡易な構成からなるコンデンサ組立体10を得ることができる。
【0073】
第2実施形態
図3および
図4に示す第2実施形態に係るコンデンサ組立体10Aは、以下に示す点を除いて、第1実施形態に係るコンデンサ組立体10と同様な構成を有する。
図3および
図4に示すコンデンサ組立体10Aにおいて、
図1および
図2Aに示すコンデンサ組立体10における各部材と同一の部材には、同一符号を付し、その説明は省略する。
【0074】
図3および
図4に示すように、コンデンサ組立体10Aは、絶縁ケース60Aと、2つの蓋体70と、3つの端子接続体50a~50cとを有する点において、第1実施形態に係るコンデンサ組立体10とは異なる。
【0075】
絶縁ケース60Aは、第1実施形態における絶縁ケース60と以下の点で異なっている。すなわち、絶縁ケース60AのX軸方向幅は絶縁ケース60のX軸方向幅よりも大きく(略2倍)、絶縁ケース60AのZ軸方向幅は絶縁ケース60のZ軸方向幅よりも小さい(略1/2倍)。また、絶縁ケース60Aは、収容部62a,62bに加えて、収容部62c,62dを有する。本実施形態における収容部62a~62dのZ軸方向の深さは、絶縁ケース60AのZ軸方向幅に対応して、第1実施形態における収容部62a,62bのZ軸方向の深さよりも小さくなっている(略1/2倍)。
【0076】
収容部62a~62dには、それぞれコンデンサチップ20a~20dが1個ずつ収容される。4つの収容部62a~62dの各々は、隔壁部64(隔壁部材)で仕切られている。隔壁部64は、X軸方向(端面21,23に平行な方向)に隣接して配置されたコンデンサチップ20aとコンデンサチップ20bとの間、コンデンサチップ20bとコンデンサチップ20cとの間、コンデンサチップ20cとコンデンサチップ20dとの間に配置される。
【0077】
図4に示すように、コンデンサチップ20bとコンデンサチップ20cとの間に配置された隔壁部64の上端部の内側(収容部62a,62bが配置されている側および収容部62c,62dが配置されている側)には、段差部66Aが形成されている。段差部66Aは、
図3に示す絶縁ケース60の側部60dのX軸方向略中央部と、絶縁ケース60の側部60bのX軸方向略中央部とを接続している。
【0078】
コンデンサ組立体10Aは、絶縁ケース60の上部60e側から見たときに、段差部66Aを対象軸として線対称に構成されている。この対称軸のX軸一方側において、段差部66と段差部66Aとを接続してなる輪郭形状が四角形の段差部は、一方の蓋体70の輪郭形状(四角形)に対応しており、一方の蓋体70を該段差部に嵌合させ、絶縁ケース60AのX軸一方側に取り付けることが可能となっている。また、この対称軸のX軸他方側において、段差部66と段差部66Aとを接続してなる輪郭形状が四角形の段差部は、他方の蓋体70の輪郭形状(四角形)に対応しており、他方の蓋体70を該段差部に嵌合させ、絶縁ケース60AのX軸他方側に取り付けることが可能となっている。
【0079】
端子接続体50a,50bは、2つの蓋体70の各々に取り付けられている。端子接続体50cは、
図4に示すように、収容部62b,62cが位置する絶縁ケース60Aの底部60fの上方に取り付けられている。端子接続体50cは、収容部62bと収容部62cとの間に位置する隔壁部64の下端部をX軸方向に貫通しており、絶縁ケース60Aの底部60fと密着している。
【0080】
端子接続体50a~50cは、X軸方向(端面21,23に平行な方向)に隣接して配置されたコンデンサチップ20aおよび20b,20bおよび20c,20cおよび20dのいずれか一方側の端子電極同士を接続する。
【0081】
図3および
図4に示すように、本実施形態では、端子接続体50aは、収容部62aに収容されたコンデンサチップ20aの第1端子電極22と、収容部62bに収容されたコンデンサチップ20bの第1端子電極22とを接続する。また、端子接続体50bは、収容部62cに収容されたコンデンサチップ20cの第1端子電極22と、収容部62dに収容されたコンデンサチップ20dの第1端子電極22とを接続する。また、端子接続体50cは、収容部62bに収容されたコンデンサチップ20bの第2端子電極24と、収容部62cに収容されたコンデンサチップ20cの第2端子電極24とを接続する。
【0082】
X軸方向に隣接して配置されたコンデンサチップ20a,20bの第1端子電極22同士は、一方の蓋体70を絶縁ケース60Aに取り付けたときに、端子接続体50aによって、相互に接続(連絡)される。X軸方向に隣接して配置されたコンデンサチップ20c,20dの第1端子電極22同士は、他方の蓋体70を絶縁ケース60Aに取り付けたときに、端子接続体50bによって、相互に接続(連絡)される。X軸方向に隣接して配置されたコンデンサチップ20b,20cの第2端子電極24同士は、収容部62b,62cにコンデンサチップ20b,20cを収容したときに、端子接続体50cによって、相互に接続(連絡)される。
【0083】
接続部32,42は、3個の端子接続体50a~50cを介して直列に接続される4つのコンデンサチップ20a~20dのうち、両端に位置するコンデンサチップの端子電極に接続される。
【0084】
本実施形態では、収容部62a,62b内に収容されたコンデンサチップ20a,20bが直列に接続され、収容部62b,62c内に収容されたコンデンサチップ20b,20cが直列に接続され、収容部62c,62d内に収容されたコンデンサチップ20c,20dが直列に接続されることにより、4つのコンデンサチップ20a~20dが直列に接続される。この場合、収容部62a,62d内に配置されたコンデンサチップ20a,20dが、上記4つのコンデンサチップ20a~20dのうち、両端に位置するコンデンサチップに対応し、これらのコンデンサチップの第2端子電極24が接続部32,42に電気的に接続される。
【0085】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、本実施形態では、第1実施形態と比較して、コンデンサ組立体10AのZ軸方向の高さを抑制し、低背化を図ることができる。
【0086】
第3実施形態
図5~
図7に示す第3実施形態に係るコンデンサ組立体10Bは、以下に示す点を除いて、第2実施形態に係るコンデンサ組立体10Aと同様な構成を有する。
図5~
図7に示すコンデンサ組立体10Bにおいて、
図3および
図4に示すコンデンサ組立体10Aにおける各部材と同一の部材には、同一符号を付し、その説明は省略する。
【0087】
図7に示すように、コンデンサ組立体10Bは、
図4に示す端子接続体50cに替えて端子接続体50Bを有し、絶縁ケース60Aに替えて絶縁ケース60Bを有する点において、第2実施形態に係るコンデンサ組立体10Aとは異なる。端子接続体50Bは、第1接続部52aおよび第2接続部52bと、実装部54と、連結部56とを有し、これらは一体成形されている。
【0088】
端子接続体50Bは、X軸方向(端面21,23に平行な方向)に隣接して配置されたコンデンサチップ20b,20cのいずれか一方側の端子電極同士を接続する。本実施形態では、接続部52aが収容部62b内に収容されたコンデンサチップ20bの第2端子電極24に接続され、接続部52bが収容部62c内に収容されたコンデンサチップ20cの第2端子電極24に接続される。すなわち、端子接続体50Bは、コンデンサチップ20b,20cの第2端子電極24同士を接続する。
【0089】
接続部52a,52bは、絶縁ケース60Bの内側に延在しており、
図5に示すように、開口部68Bを通じて、側部60bをY軸方向に向かって貫通している。接続部52a,52bのX軸方向幅は、コンデンサチップ20a~20dの端子電極22,24のX軸方向幅に略等しくなっている。詳細な図示は省略するが、接続部52a,52bのY軸方向に沿った長さは、コンデンサチップ20a~20dの端子電極22,24のY軸方向幅に略等しくなっている。このような構成とすることにより、接続部52a,52bにコンデンサチップ20b,20cの第2端子電極24の全面を接続することが可能となっている。
【0090】
実装部54は、接続部52および実装基板に対向しており、実装基板に接続される。実装部54の下面は、実装面に対応する。実装部52は、絶縁ケース60の外側に延在しており、絶縁ケース60の底部60fに沿って、底部60fの下方をY軸方向に延びている。なお、実装部54の延びる向きは、接続部52の延びる向きと等しい。
【0091】
連結部56は、接続部52a,52bと実装部54とを連結する。連結部56は、接続部52a,52bおよび実装部54に対して略垂直となるように延びている。連結部56のZ軸方向に沿った長さは、絶縁ケース60の底部60fのZ軸方向に沿った厚みよりも若干大きめに設計されている。
【0092】
本実施形態では、接続部52a,52bと実装部54との間には、絶縁ケース60Bの底部60fが配置されている(挟まれている)。絶縁ケース60Bの底部60fと接続部52a,52bとの間には所定の隙間が形成されている。
【0093】
また、本実施形態では、絶縁ケース60Bの底部60fと金属端子30,40の接続部32,42との間にも、上記所定の隙間が形成されている。
【0094】
この場合、収容部62a~62dに収容されたコンデンサチップ20a~20dにより接続部32,52a,52b,42が押圧されると、接続部32,52a,52b,42がZ軸下方に向けて屈曲する(撓み変形する)。したがって、その屈曲分だけ、収容部62a~62d内の収容空間のZ軸方向幅に可変性を持たせることが可能となり、コンデンサチップ20a~20dの寸法誤差等を吸収することができる。また、スプリング力(弾性力)により、接続部32,52a,52b,42をコンデンサチップ20a~20dの第2端子電極24に効果的に圧接することができる。
【0095】
さらに、このような圧接状態では、収容部62a~62dに収容されたコンデンサチップ20b~20dの第2端子電極24を接続部32,52a,52b,42に圧接するときに、Z軸下方に向かう負荷が接続部32,52a,52b,42にかかっても、絶縁ケース60Bの底部60fで接続部32,52a,52b,42を支持し、接続部32,52a,52b,42の形状を保持することが可能となっている。
【0096】
本実施形態においても、第2実施形態と同様の効果が得られる。加えて、本実施形態では、金属端子30,40に加えて、端子接続体50Bが実装基板に接続されるため、金属端子30,40および端子接続体50Bを介して、コンデンサ組立体10Bを安定して支持することができる。
【0097】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0098】
(1)たとえば上記各実施形態では、チップ部品の一例としてコンデンサチップを例示したが、コンデンサチップ以外のチップ部品を用いてもよい。
【0099】
(2)上記各実施形態において、コンデンサ組立体10が有するコンデンサチップの数は、4つに限定されるものではなく、複数(好ましくは、偶数)であれば数に制限はない。たとえば、
図2Aに示す絶縁ケース60(収容部62a,62b)のサイズを適宜調整し、コンデンサ組立体10に2個のコンデンサチップ20a,20bのみを具備させてもよい。
【0100】
(3)上記各実施形態では、絶縁ケース60,60A,60Bの底部60fに支持部材(保持部材)としての機能を具備させたが、別途支持部材(保持部材)を用意し、これを絶縁ケース60,60A,60Bの底部60fに対応する位置に設けてもよい。すなわち、接続部と実装部との間に配置される絶縁性の支持部材(保持部材)は、絶縁ケースとは別体で構成されていてもよい。
【0101】
(4)上記各実施形態において、隔壁部64は絶縁ケース60,60A,60Bの一部を構成していたが、別途隔壁部材(隔壁部64と同様の機能を有する部材)を用意し、これを絶縁ケース60,60A,60Bの隔壁部64に対応する位置に設けてもよい。すなわち、端面に平行な方向に隣接して配置された各チップ部品の間に配置される絶縁性の隔壁部材は、絶縁ケースとは別体で構成されていてもよい。
【0102】
(5)上記各実施形態において、絶縁ケース60,60A,60Bは必須ではなく、少なくとも上記(3)の支持部材をコンデンサ組立体10,10A,10Bに具備させればよい。
【0103】
(6)上記各実施形態において、蓋体70は必須ではなく、端子接続体50,50a~50cそのものを蓋体として用いてもよい。
【0104】
(7)上記第1実施形態において、
図2Bに示すように、金属端子30,40に機械加工(折曲加工)を施して、接続部32,42を局所的に湾曲させ、接続部32,42にZ軸上方に突出する凸部(湾曲部)320,420を形成してもよい。この場合、凸部320,420が発生させるスプリング力により、収容部62a,62bの下段に配置されたコンデンサチップ20b,20dの第2端子電極24を接続部32,42に効果的に圧接することができる。なお、このような機能を有する凸部を端子接続体50に設け、該凸部が発生させるスプリング力により、収容部62a,62bの上段に配置されたコンデンサチップ20a,20cの第1端子電極22に端子接続体50を圧接してもよい。
【0105】
(8)上記第3実施形態に示す端子接続体50Bにおいて、接続部52aと接続部52bとに分離させることなく、1枚の略四角形の金属板で接続部を構成してもよい。
【0106】
(9)上記各実施形態では、端子接続体50の数は、1個または3個であったが、コンデンサチップの数に応じて適宜変更してもよい。
【0107】
(10)上記各実施形態において、段差部66,66Aは必須ではない。この場合(この場合ではなくてもよい)、コンデンサチップのZ軸方向幅(あるいは、該Z軸方向幅をコンデンサチップの積層数で乗じた値)と、絶縁ケース60~60BのZ軸方向幅とを略等しくしてもよい。
【0108】
(11)上記各実施形態において、金属端子30,40の向きを適宜変更してもよい。たとえば、
図2Bでは、金属端子30,40のいずれも、接続部32,42がX軸方向に沿って延びるように配置されていたが、金属端子30,40の少なくとも一方について、接続部32,42がY軸方向に沿って延びるように配置してもよい。この場合、接続部32,42は、絶縁ケース60の側部60bまたは側部60dをY軸方向に貫通することになる。
【符号の説明】
【0109】
10…コンデンサ組立体
20a~20d…コンデンサチップ
21…第1端面
22…第1端子電極
23…第2端面
24…第2端子電極
26…内部電極層
28…誘電体層
30…第1金属端子
32…接続部
320…凸部
34…実装部
36…連結部
40…第2金属端子
42…接続部
420…凸部
44…実装部
46…連結部
50,50a~50c,50B…端子接続体
52a…第1接続部
52b…第2接続部
54…実装部
56…連結部
60,60A,60B…絶縁ケース
60a~60d…側部
60e…上部
60f…底部(支持部材)
62a…第1収容部
620a…開口部
62b…第2収容部
620b…開口部
64…隔壁部(隔壁部材)
66,66A…段差部
68,68B…開口部
70…蓋体