(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20221213BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20221213BHJP
H05B 33/12 20060101ALI20221213BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20221213BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20221213BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20221213BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G02B5/20 101
H01L27/32
H05B33/12 E
H05B33/14 A
G09F9/302 C
G09F9/30 349A
G02F1/1335 505
(21)【出願番号】P 2018198858
(22)【出願日】2018-10-23
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000201113
【氏名又は名称】船井電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】山下 浩史
(72)【発明者】
【氏名】洙田 誠
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/019025(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0213748(US,A1)
【文献】特開2005-352452(JP,A)
【文献】特開2007-132957(JP,A)
【文献】特開2001-306023(JP,A)
【文献】国際公開第2008/146692(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0019186(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20
H01L 27/32
H05B 33/12
H01L 51/50
G09F 9/302
G09F 9/30
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色カラーフィルタと、青色カラーフィルタと、
XY色度図において青色よりも緑色の色味が強い緑の色相に含まれ、第1の緑色に用いられる第1の緑色カラーフィルタと、
前記緑の色相に含まれ、前記第1の緑色よりも青色側の色相を有する第2の緑色に用いられる第2の緑色カラーフィルタと、を含むカラーフィルタと、
前記カラーフィルタが配置される表示部と、
を備え、
前記表示部には、前記赤色カラーフィルタ、前記青色カラーフィルタおよび前記第1の緑色カラーフィルタを含む第1の組と、前記赤色カラーフィルタ、前記青色カラーフィルタおよび前記第2の緑色カラーフィルタを含み、前記第1の組と前記カラーフィルタの個数が等しいとともに前記第1の組とは異なるフィルタの組合せの第2の組とが、互いに規則的に並ぶように配置されている、表示装置。
【請求項2】
前記カラーフィルタは、白色カラーフィルタをさらに含み、
前記表示部には、前記赤色カラーフィルタ、前記青色カラーフィルタ、前記第1の緑色カラーフィルタおよび前記白色カラーフィルタの4種類のフィルタからなる前記第1の組と、前記赤色カラーフィルタ、前記青色カラーフィルタ、前記第2の緑色カラーフィルタおよび前記白色カラーフィルタ、または、前記赤色カラーフィルタ、前記青色カラーフィルタ、前記第1の緑色カラーフィルタおよび前記第2の緑色カラーフィルタの4種類のフィルタからなる前記第2の組とが、互いに規則的に並ぶように配置されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示部において、前記第2の緑色カラーフィルタの数が、少なくとも前記第1の緑色カラーフィルタの数と等しいか、または、前記第1の緑色カラーフィルタの数よりも少なくなるように、前記第2の組の数が、前記第1の組の数と等しいか、または、前記第1の組の数より少なくなるように配置されている、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
赤色カラーフィルタと、青色カラーフィルタと、第1の緑色に用いられる第1の緑色カラーフィルタと、前記第1の緑色よりも青色側の色相を有する第2の緑色に用いられる第2の緑色カラーフィルタと、を含むカラーフィルタと、
前記カラーフィルタが配置される表示部と、
を備え、
前記表示部には、前記赤色カラーフィルタ、前記青色カラーフィルタおよび前記第1の緑色カラーフィルタを含む第1の組と、前記赤色カラーフィルタ、前記青色カラーフィルタおよび前記第2の緑色カラーフィルタを含み、前記第1の組と前記カラーフィルタの個数が等しいとともに前記第1の組とは異なるフィルタの組合せの第2の組とが、互いに規則的に並ぶように配置され、
前記第1の緑色カラーフィルタは、赤色、青色および緑色の混合量を表す色度を2次元座標で表したxy色度図において、前記赤色カラーフィルタ、前記青色カラーフィルタおよび前記第1の緑色カラーフィルタによって表示可能な色域を示す三角形状の第1色域範囲の緑色側の第1緑色側頂点が、色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点と赤色側の頂点とを結ぶ辺の近傍に配置されるように構成されるとともに、前記第2の緑色カラーフィルタは、前記xy色度図において、前記赤色カラーフィルタ、前記青色カラーフィルタおよび前記第2の緑色カラーフィルタによって表示可能な色域を示す三角形状の第2色域範囲の緑色側の第2緑色側頂点は、前記色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点と青色側の頂点とを結ぶ辺の近傍に配置されるように構成されている
、表示装置。
【請求項5】
前記第1の緑色カラーフィルタおよび前記第2の緑色カラーフィルタは、それぞれ、前記第1緑色側頂点および前記第2緑色側頂点が、前記xy色度図において、物体色の色域範囲を示すポインターカラーの色域範囲よりも外側に配置されるように構成されている、請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記xy色度図において、前記色域規格BT2020の緑色側の頂点と赤色側の頂点とを結ぶ辺上の前記第1緑色側頂点の近傍の第1近傍点と、前記色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点と青色側の頂点とを結ぶ辺上の前記第2緑色側頂点の近傍の第2近傍点とを結ぶ線よりも、前記色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点側の色を、前記第1近傍点および前記第2近傍点を結ぶ線上の色に変換する第1変換部をさらに備える、請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
前記xy色度図において、前記色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点と青色側の頂点とを結ぶ辺上の点および前記色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点と赤色側の頂点とを結ぶ辺上の点を結び、前記ポインターカラーの色域範囲よりも外側に配置される底辺と、前記色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点とにより形成される三角形状の第3色域範囲の色を、前記底辺と、前記色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点と赤色側の頂点とを結ぶ辺上の前記第1緑色側頂点の近傍の第3近傍点と、前記色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点と青色側の頂点とを結ぶ辺上の前記第2緑色側頂点の近傍の第4近傍点とを結ぶ線上の頂点とにより形成される三角形状の第4色域範囲の色に変換する第2変換部をさらに備える、請求項5に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、赤色カラーフィルタと、青色カラーフィルタと、第1の緑色カラーフィルタと、第2の緑色カラーフィルタと、を備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、赤色カラーフィルタと、青色カラーフィルタと、第1の緑色カラーフィルタと、第2の緑色カラーフィルタと、を備える表示装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、4つ以上の色にそれぞれ対応する複数のカラーフィルタからなる組が配置された表示部を有する表示装置が開示されている。上記特許文献1に記載の表示装置では、複数のカラーフィルタからなる組の全ての組において、カラーフィルタの色の組合せは同じである。なお、上記特許文献1に記載の表示装置では、複数のカラーフィルタからなる組1つが1画素に対応している。
【0004】
上記特許文献1には、カラーフィルタの組が、たとえば、赤色、青色、緑色、エメラルドグリーン色および白色の5色のカラーフィルタから構成される例が示されている。この場合、カラーフィルタには、赤色、青色、緑色、エメラルドグリーン色および白色のカラーフィルタが含まれるため、赤色、青色、緑色および白色のカラーフィルタが含み、エメラルドグリーン色のカラーフィルタを含まない場合と比較して、カラーフィルタの組合せにより再現可能な色域範囲が広くなっている。なお、エメラルドグリーン色は、緑色に比較的近く、かつ、緑色よりも青色側の色相を有する色である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のような従来の表示装置では、カラーフィルタの組の全てにおいて、カラーフィルタの色の組合せは同じであるので、緑色と、緑色に比較的近い色相を有するエメラルドグリーン色とが、全ての組に配置されている。したがって、上記特許文献1に記載のような従来の表示装置では、再現可能な色域範囲を広くすることができるものの、1つの組に含まれるカラーフィルタの個数が多くなり易いので、各々のカラーフィルタの面積が小さくなり易い。
【0007】
ここで、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)においては、画像の輝度は、カラーフィルタの面積に略比例した値となる。すなわち、LCDでは、バックライトの輝度を一定とした場合、カラーフィルタの面積が小さくなるにしたがって、画像の輝度が低下してしまう。また、白色の有機LED(OLED:Organic Light Emitting Diode)とカラーフィルタとを組み合わせた白色OLED+カラーフィルタ方式の表示装置(WOLED:White OLED)においては、画像の輝度は、白色OLEDに印加される電流に略比例した値となる。そして、WOLEDでは、白色OLEDの面積は、各々の白色OLEDに対応する有機LEDの面積に略対応している。また、白色OLEDに印加される電流密度が、白色OLEDの寿命(輝度寿命)に影響するため、カラーフィルタの面積が変更された場合、電流密度を変化させないように、電流の大きさを変更することが一般的である。すなわち、WOLEDでは、カラーフィルタの面積が小さくなるにしたがって、白色OLEDに印加される電流を小さくすることにより、輝度が低下してしまう。このため、上記特許文献1に記載のような従来の表示装置では、再現可能な色域範囲を広げるために、各々のカラーフィルタの面積が小さくなることに起因して表示される画像の輝度が低下してしまうという問題点がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、画像の輝度が低下するのを抑制しながら、再現可能な色域範囲を広げることが可能な表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の第1の局面による表示装置は、赤色カラーフィルタと、青色カラーフィルタと、XY色度図において青色よりも緑色の色味が強い緑の色相に含まれ、第1の緑色に用いられる第1の緑色カラーフィルタと、緑の色相に含まれ、第1の緑色よりも青色側の色相を有する第2の緑色に用いられる第2の緑色カラーフィルタと、を含むカラーフィルタと、カラーフィルタが配置される表示部と、を備え、表示部には、赤色カラーフィルタ、青色カラーフィルタおよび第1の緑色カラーフィルタを含む第1の組と、赤色カラーフィルタ、青色カラーフィルタおよび第2の緑色カラーフィルタを含み、第1の組とカラーフィルタの個数が等しいとともに第1の組とは異なるフィルタの組合せの第2の組とが、互いに規則的に並ぶように配置されている。
【0010】
この発明の第1の局面による表示装置では、上記のように、表示部に互いに規則的に並ぶように配置され第1の緑色カラーフィルタを含む第1の組と第2の緑色カラーフィルタを含む第2の組とは、カラーフィルタの個数が等しいとともにフィルタの組合せが異なる。これにより、第1の組および第2の組には、それぞれ、第1の緑色カラーフィルタおよび第2の緑色カラーフィルタが必ず含まれるとともに、第1の組および第2の組とでフィルタの組合せが異なる。したがって、たとえば、1つの組に含まれるカラーフィルタの個数を4つとした場合でも、第1の組および第2の組により、赤色、青色、第1の緑色、第2の緑色およびその他の色の5色のカラーフィルタを配置することができる。その結果、第1の緑色カラーフィルタと第2の緑色カラーフィルタとを表示部に配置させた場合でも、一つの組に含まれるカラーフィルタの数を比較的少なくすることができるので、各々のカラーフィルタの面積が小さくなることに起因して表示される画像の輝度が低下してしまうのを抑制しながら、再現可能な色域範囲を広げることができる。なお、第1の緑色と第2の緑色とは比較的近い色相を有するので、第1の緑色カラーフィルタおよび第2の緑色カラーフィルタの両方を、全ての組に配置させなくても、表示部全体として見た場合、所望の色を略再現可能であると考えられる。
【0011】
上記第1の局面による表示装置において、好ましくは、カラーフィルタは、白色カラーフィルタをさらに含み、表示部には、赤色カラーフィルタ、青色カラーフィルタ、第1の緑色カラーフィルタおよび白色カラーフィルタの4種類のフィルタからなる第1の組と、赤色カラーフィルタ、青色カラーフィルタ、第2の緑色カラーフィルタおよび白色カラーフィルタ、または、赤色カラーフィルタ、青色カラーフィルタ、第1の緑色カラーフィルタおよび第2の緑色カラーフィルタの4種類のフィルタからなる第2の組とが、互いに規則的に並ぶように配置されている。このように構成すれば、第2の組が赤色カラーフィルタ、青色カラーフィルタ、第2の緑色カラーフィルタおよび白色カラーフィルタの4種類のフィルタからなる場合、および、赤色カラーフィルタ、青色カラーフィルタ、第1の緑色カラーフィルタおよび第2の緑色カラーフィルタの4種類のフィルタからなる場合のいずれの場合においても、第1の組および第2の組には、それぞれ、第1の緑色カラーフィルタおよび第2の緑色カラーフィルタが必ず含まれるとともに、第1の組および第2の組とでフィルタの組合せが異なるように確実にフィルタを組合せることができる。また、カラーフィルタは、可視光の帯域における殆どの波長(色)の光を透過する白色カラーフィルタを含むので、白色カラーフィルタを含まない場合と比較して表示される画像の輝度を向上させることができる。
【0012】
上記第1の局面による表示装置において、好ましくは、表示部において、第2の緑色カラーフィルタの数が、少なくとも第1の緑色カラーフィルタの数と等しいか、または、第1の緑色カラーフィルタの数よりも少なくなるように、第2の組の数が、第1の組の数と等しいか、または、第1の組の数より少なくなるように配置されている。ここで、緑色の色相よりも青色側(たとえば、シアン色)の色相の光は、緑色の色相よりも赤色側(たとえば、黄色)の色相の光に対して、反射率が小さいので、第2の緑色は、色の見え方をそれぞれの色相で均一化するためには、第1の緑色に対して相対的に低い輝度の方が好ましい。したがって、上記のように構成すれば、第1の緑色よりも青色側の色相を有する第2の緑色の輝度を、第1の緑色の輝度よりも容易に小さくすることができるので、第1の緑色カラーフィルタおよび第2の緑色カラーフィルタを表示部に配置させる場合に、色の見え方がそれぞれの色相でばらつくのを抑制することができる。
【0013】
この発明の第2の局面による表示装置は、赤色カラーフィルタと、青色カラーフィルタと、第1の緑色に用いられる第1の緑色カラーフィルタと、第1の緑色よりも青色側の色相を有する第2の緑色に用いられる第2の緑色カラーフィルタと、を含むカラーフィルタと、カラーフィルタが配置される表示部と、備え、表示部には、赤色カラーフィルタ、青色カラーフィルタおよび第1の緑色カラーフィルタを含む第1の組と、赤色カラーフィルタ、青色カラーフィルタおよび第2の緑色カラーフィルタを含み、第1の組とカラーフィルタの個数が等しいとともに第1の組とは異なるフィルタの組合せの第2の組とが、互いに規則的に並ぶように配置され、第1の緑色カラーフィルタは、赤色、青色および緑色の混合量を表す色度を2次元座標で表したxy色度図において、赤色カラーフィルタ、青色カラーフィルタおよび第1の緑色カラーフィルタによって表示可能な色域を示す三角形状の第1色域範囲の緑色側の第1緑色側頂点が、色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点と赤色側の頂点とを結ぶ辺の近傍に配置されるように構成されるとともに、第2の緑色カラーフィルタは、xy色度図において、赤色カラーフィルタ、青色カラーフィルタおよび第2の緑色カラーフィルタによって表示可能な色域を示す三角形状の第2色域範囲の緑色側の第2緑色側頂点が、色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点と青色側の頂点とを結ぶ辺の近傍に配置されるように構成されている。ここで、赤色カラーフィルタ、青色カラーフィルタ、第1の緑色カラーフィルタおよび第2の緑色カラーフィルタの4種類のカラーフィルタによって再現可能な色域範囲は、第1色域範囲(第2色域範囲)の赤色側の頂点と、第1色域範囲(第2色域範囲)の青色側の頂点と、第1緑色側頂点と、第2緑色側頂点とにより形成される四角形状の範囲となる。したがって、上記のように構成することにより、第1緑色側頂点および第2緑色側頂点が、それぞれ、色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点と赤色側の頂点とを結ぶ辺の近傍および色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点と青色側の頂点とを結ぶ辺の近傍にない場合と比較して、4種類のカラーフィルタにより再現可能な色域範囲を、色域規格BT2020の色域範囲に容易に近づけることができる。なお、「辺の近傍に配置される」とは、辺上に配置される場合と、辺の付近に配置される場合との両方を含む意味である。
【0014】
この場合、好ましくは、第1の緑色カラーフィルタおよび第2の緑色カラーフィルタは、それぞれ、第1緑色側頂点および第2緑色側頂点が、xy色度図において、物体色の色域範囲を示すポインターカラーの色域範囲よりも外側に配置されるように構成されている。このように構成すれば、第1緑色側頂点および第2緑色側頂点のいずれか一方または両方がポインターカラーの色域範囲の内側に配置される場合と比較して、4種類のカラーフィルタにより再現可能な色域範囲を、緑側の色域においてポインターカラーの色域範囲よりも容易に広くすることができる。
【0015】
上記第1緑色側頂点および第2緑色側頂点がxy色度図においてポインターカラーの色域範囲よりも外側に配置される構成において、好ましくは、xy色度図において、色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点と赤色側の頂点とを結ぶ辺上の第1緑色側頂点の近傍の第1近傍点と、色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点と青色側の頂点とを結ぶ辺上の第2緑色側頂点の近傍の第2近傍点とを結ぶ線よりも、色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点側の色を、第1近傍点および第2近傍点を結ぶ線上の色に変換する第1変換部をさらに備える。このように構成すれば、色域規格BT2020の色域範囲において、第1近傍点と第2近傍点と緑色側の頂点とにより形成される三角形状の色域範囲の色を、第1変換部により、第1近傍点と第2近傍点とを結ぶ線上の色に変換することができるので、色域規格BT2020の色域範囲に対して、4種類のカラーフィルタにより再現不可能な色域の緑色側の色域範囲を、比較的彩度の近い色に容易に変換することができる。
【0016】
上記第1緑色側頂点および第2緑色側頂点がxy色度図においてポインターカラーの範囲よりも外側に配置される構成において、好ましくは、xy色度図において、色域規格BT2020の緑色側の頂点と青色側の頂点とを結ぶ辺上の点および色域規格BT2020の緑色側の色域範囲の頂点と赤色側の頂点とを結ぶ辺上の点を結び、ポインターカラーの色域範囲よりも外側に配置される底辺と、色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点とにより形成される三角形状の第3色域範囲の色を、上記底辺と、色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点と赤色側の頂点とを結ぶ辺上の第1緑色側頂点の近傍の第3近傍点と、色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点と青色側の頂点とを結ぶ辺上の第2緑色側頂点の近傍の第4近傍点とを結ぶ線上の頂点とにより形成される三角形状の第4色域範囲の色に変換する第2変換部をさらに備える。このように構成すれば、色域規格BT2020の色域範囲において、緑色側の頂点と上記底辺とにより形成される三角形状の色域範囲の色を、第3近傍点と第4近傍点とを結ぶ線上の頂点と上記底辺の三角形状の色域範囲の色に変換することができるので、BT2020の色域範囲に対して、4種類のカラーフィルタにより再現不可能な色域の緑色側の範囲を、比較的彩度の近い色に容易に変換することができる。また、三角形状の色域範囲の色を、線上の色に変換する場合と比較して、特定の色で飽和する(色の階調性が失われる)ことなく、色の階調性を表現することができる。また、上記底辺がポインターカラーの色域範囲よりも外側に配置されるので、ポインターカラーの色域範囲の色を、少なくとも緑側の色域において忠実に再現することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記のように、画像の輝度が低下するのを抑制しながら、再現可能な色域範囲を広げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態による表示装置のカラーフィルタの配置を説明するための図である。
【
図2】第1実施形態による表示装置のカラーフィルタにより再現可能な色域範囲と色域規格BT2020の色域範囲との関係を説明するための図である。
【
図3】xy色度図における色相を説明するための図である。
【
図4】第1実施形態による表示装置のカラーフィルタにより再現可能な色域範囲を説明するための図である。
【
図5】第1実施形態による表示装置のカラーフィルタにより再現不可能な色域範囲の色を再現可能な色域範囲の色へ変換する方法を説明するための図である。
【
図6】第2実施形態による表示装置のカラーフィルタにより再現不可能な色域範囲の色を再現可能な色域範囲の色へ変換する方法を説明するための図である。
【
図7】第1実施形態および第2実施形態の第1変形例による表示装置のカラーフィルタの配置を説明するための図である。の図である。
【
図8】第1実施形態および第2実施形態の第2変形例による表示装置のカラーフィルタの配置を説明するための図である。の図である。
【
図9】第1実施形態および第2実施形態の第3変形例による表示装置のカラーフィルタの配置を説明するための図である。の図である。
【
図10】第1実施形態および第2実施形態の第4変形例による表示装置のカラーフィルタの配置を説明するための図である。の図である。
【
図11】第1実施形態および第2実施形態の第5変形例による表示装置のカラーフィルタの配置を説明するための図である。
【
図12】本発明の変形例による表示装置のカラーフィルタにより再現可能な色域範囲を説明するための図である。
【
図13】本発明の変形例による表示装置のカラーフィルタにより再現可能な別の色域範囲を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
[第1実施形態]
図1~
図5を参照して、本発明の第1実施形態による表示装置100の構成について説明する。
【0021】
図1に示すように、表示装置100は、カラー画像を表示するため画像表示装置である。表示装置100は、カラーフィルタ11が配置される表示部10を備えている。表示装置100では、1画素10a毎に4つずつのカラーフィルタ11が配置されている。表示装置100では、バックライト(図示しない)から照射された光がカラーフィルタ11を透過する量を、光の透過特性(透過させる波長帯域)の異なる各々のカラーフィルタ11毎に調整することにより、所望の色を再現するように構成されている。すなわち、表示装置100は、液晶表示装置(LCD)である。
【0022】
カラーフィルタ11は、赤色カラーフィルタRと、青色カラーフィルタBと、第1の緑色カラーフィルタG1と、第2の緑色カラーフィルタG2と、白色カラーフィルタWと、を含む。赤色カラーフィルタRは、赤色の光を透過させるためのフィルタである。青色カラーフィルタBは、青色の光を透過させるためのフィルタである。第1の緑色カラーフィルタG1は、第1の緑色の光を透過させるための(第1の緑色に用いられる)フィルタである。第2の緑色カラーフィルタG2は、第1の緑色よりも青色側の色相を有する第2の緑色の光を透過させるための(第2の緑色に用いられる)フィルタである。白色カラーフィルタWは、白色の光を透過させるためのフィルタである。なお、白色の光は、可視光の全ての波長(色)の光が均等に混合された光である。
【0023】
第1実施形態では、表示部10には、赤色カラーフィルタR、青色カラーフィルタBおよび第1の緑色カラーフィルタG1を含む第1の組C1と、赤色カラーフィルタR、青色カラーフィルタBおよび第2の緑色カラーフィルタG2を含み、第1の組C1とカラーフィルタ11の個数が等しいとともに第1の組C1とは異なるフィルタの組合せの第2の組C2とが、互いに規則的に並ぶように配置されている。詳細には、表示部10には、赤色カラーフィルタR、青色カラーフィルタB、第1の緑色カラーフィルタG1および白色カラーフィルタWの4種類のフィルタからなる第1の組C1と、赤色カラーフィルタR、青色カラーフィルタB、第2の緑色カラーフィルタG2および白色カラーフィルタWの4種類のフィルタからなる第2の組C2とが、互いに規則的に並ぶように配置されている。なお、「第1の組C1と第2の組C2とが規則的に並ぶ」とは、表示部10において、第1の組C1と第2の組C2とが、縦方向および横方向に、所定の比率で繰り返されるように並ぶことを意味する。
図1では、縦方向において、第1の組C1、第1の組C1、第1の組C1および第2の組C2の4組が繰り返し並ぶとともに、横方向において、第2の組C2の位置が縦方向に3列分ずれた位置で繰り返し並ぶ例を示している。
【0024】
また、第1実施形態では、表示部10において、第2の緑色カラーフィルタG2の数が、第1の緑色カラーフィルタG1の数よりも少なくなるように、第2の組C2の数が、第1の組C1の数より少なくなるように配置されている。具体的には、表示部10には、第1の組C1の数と、第2の組C2の数とが、3対1の比率で配置されている。すなわち、表示部10には、第1の緑色カラーフィルタG1の数と、第2の緑色カラーフィルタG2の数とが、3対1の比率で配置されている。
【0025】
次に、
図2~
図5のxy色度図を用いて、表示装置100において再現可能な色域について説明する。xy色度図は、赤色、青色および緑色の混合量を表す色度をxおよびyの2次元座標で表した図である。
図2に示すように、xy色度図では、全ての色が、スペクトル軌跡と純紫軌跡とに囲まれた馬蹄形状の領域で表現されている。スペクトル軌跡は、単色の色に相当する。純紫軌跡は、紫、赤紫等のスペクトルには存在しない色に相当する。馬蹄形状の内部の領域は、複数の色が混じった混色に相当する。なお、
図3に示すように、xy色度図において、xの値が大きくなるにしたがって、赤が強くなり、xの値が小さくなるにしたがって、青が強くなる。また、yの値が大きくなるにしたがって、緑が強くなり、yの値が小さくなるにしたがって、青が強くなる。なお、
図2では、色域規格ITU-R BT.709の色域範囲、色域規格DCI-P3よりも色域が広い色域規格DCI-P3の色域範囲および色域規格DCI-P3よりも色域が広い色域規格BT2020の色域範囲A20が示されている。また、
図2では、欧州/北欧における平均的な正午の光に相当する標準光源D65が示されている。また、
図2では、色相(波長)毎の吸収率L*の大きさを○の大きさで示している。また、
図2では、物体色の色域範囲を示すポインターカラーの色域範囲A30を、SpecLocと表記している。
【0026】
図2に示すように、表示装置100では、赤色カラーフィルタR、青色カラーフィルタBおよび第1の緑色カラーフィルタG1によって再現可能な色域は、xy色度図の色域範囲A11となるように構成されている。また、赤色カラーフィルタR、青色カラーフィルタBおよび第2の緑色カラーフィルタG2によって再現可能な色域は、xy色度図の色域範囲A12となるように構成されている。
図2では、色域範囲A11および色域範囲A12を示す線を「Model1」および「Delta2」と表記している。なお、色域範囲A11および色域範囲A12は、それぞれ、特許請求の範囲の「第1色域範囲」および「第2色域範囲」の一例である。
【0027】
色域範囲A11は、赤色側の頂点P11、青色側の頂点P12および緑色側の頂点P13により形成される三角形状の色域範囲である。色域範囲A12は、赤色側の頂点P11、青色側の頂点P12および緑色側の頂点P14により形成される三角形状の色域範囲である。
図2に示すように、表示装置100では、色域範囲A11は、ITU-R BT.709よりも色域が広く、かつ、色域規格DCI-P3と略同等の色域範囲を有するように構成されている。なお、頂点P13および頂点P14は、それぞれ、特許請求の範囲の「第1緑色側頂点」および「第2緑色側頂点」の一例である。
【0028】
表示装置100では、頂点P13の座標は、(x、y)=(略0.28、略0.68)である。また、頂点P14の座標は、(x、y)=(略0.15、略0.65)である。色相を環状に示した色相環(図示しない)上の角度で言い換えると、頂点P13は、赤色との色相差120度と150度との間に相当する位置である。また、頂点P14は、赤色との色相差150度と180度との間に相当する位置である。なお、
図2では、赤色と色相差が120度、150度および180度を示す線を、それぞれ、Hue120、Hue150およびHue180と表記している。
【0029】
図1に示すように、第1の組C1および第2の組C2には、それぞれ、第2の緑色カラーフィルタG2および第1の緑色カラーフィルタG1が含まれない。しかしながら、第1の緑色と第2の緑色とは比較的近い色相を有するので、第1の緑色カラーフィルタG1および第2の緑色カラーフィルタG2の両方を、全ての組に配置させなくても、表示部10全体として見た場合、所望の色を略再現可能である。すなわち、
図4に示すように、表示装置100では、第1の組C1または第2の組C2のいずれかに含まれる赤色カラーフィルタR、青色カラーフィルタB、第1の緑色カラーフィルタG1および第2の緑色カラーフィルタG2の4種類のフィルタにより、頂点P11、頂点P12、頂点P13および頂点P14により形成される四角形状の色域範囲A10の色が再現可能である。色域範囲A10は、色域範囲A11と、色域範囲A12と、色域範囲A11および色域範囲A12により挟まれた色域範囲A13と、を含む範囲となる。なお、表示装置100では、四角形状の色域範囲A10は、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23側の部分以外を、概ね含むように構成されている。また、四角形状の色域範囲A10は、ポインターカラーの色域範囲A30を、概ね含むように構成されている。
【0030】
図2に示すように、xy色度図において、頂点P12、頂点P13および頂点P14により形成される領域A14の色相の光の吸収率L*の大きさは、頂点P11、頂点P13および頂点P14により形成される領域A15の色相の光の吸収率L*の大きさよりも相対的に小さくなっている。言い換えると、色の見え方を均等にするためには、領域A14の色相の光の輝度は、領域A15の色相の光の輝度より小さい方が好ましい。したがって、上述したように、表示部10において、領域A14の色相の光の輝度に寄与する第2の緑色カラーフィルタG2の数が、領域A15の色相の光の輝度に寄与する第1の緑色カラーフィルタG1の数よりも少なくなるように構成されている。
【0031】
図4に示すように、第1実施形態では、第1の緑色カラーフィルタG1は、xy色度図において、色域範囲A11の緑色側の頂点P13が、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と赤色側の頂点P21とを結ぶ辺L21の近傍に配置されるように構成されている。また、第2の緑色カラーフィルタG2は、xy色度図において、色域範囲A12の緑色側の頂点P14が、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と青色側の頂点P22とを結ぶ辺L22の近傍に配置されるように構成されている。また、第1の緑色カラーフィルタG1および第2の緑色カラーフィルタG2は、それぞれ、頂点P13および頂点P14が、xy色度図において、ポインターカラーの色域範囲A30よりも外側に配置されるように構成されている。
【0032】
具体的には、頂点P13は、xy色度図において、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と赤色側の頂点P21とを結ぶ辺L21よりもxおよびyの値が小さく、かつ、辺L21の近傍に配置されている。また、頂点P14は、xy色度図において、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と青色側の頂点P22とを結ぶ辺L22よりもxおよびyの値が小さく、かつ、辺L22の近傍に配置されている。また、頂点P13および頂点P14は、それぞれ、xy色度図において、ポインターカラーの色域範囲A30の緑色側の境界よりもyの値が大きくなるように配置されている。
【0033】
また、第1実施形態では、表示装置100は、点P24と点P25とを結ぶ線L41よりも色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23側の色を、点P24および点P25を結ぶ線L41上の色に変換するように構成されている。点P24は、xy色度図において、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と赤色側の頂点P21とを結ぶ辺L21上の頂点P13の近傍の点である。また、点P25は、xy色度図において、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と青色側の頂点P22とを結ぶ辺L22上の頂点P14の近傍の点である。
【0034】
具体的には、
図1に示すように、表示装置100は、制御部20を備えている。
図5に示すように、制御部20(
図1参照)は、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と赤色側の頂点P21とを結ぶ辺L21上における、頂点P13の近傍の点P24を算出する。点P24は、たとえば、頂点P13を通る辺L21の垂線における辺L21との交点(辺L21において頂点P13から最短の位置)である。また、制御部20は、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と赤色側の頂点P21とを結ぶ辺L22上における、頂点P14の近傍の点P25を算出する。点P25は、たとえば、頂点P14を通る辺L22の垂線における辺L22との交点(辺L22において頂点P14から最短の位置)である。
【0035】
そして、制御部20は、頂点P23と点P24と点P25とにより形成された三角形状の色域範囲A40の色を示すデータ(画像信号)を、点P24と点P25とを結ぶ線L41上の色を示すデータ(画像信号)に投影するように変換する。すなわち、制御部20は、図中の矢印で示した直線上の色を示すデータを、直線の先端位置(線L41上)の色を示すデータに変換する。なお、制御部20は、特許請求の範囲の「第1変換部」の一例である。
【0036】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0037】
第1実施形態では、上記のように、表示部10に互いに規則的に並ぶように配置されている第1の緑色カラーフィルタG1を含む第1の組C1と第2の緑色カラーフィルタG2を含む第2の組C2とは、カラーフィルタ11の個数が等しいとともにフィルタの組合せが異なる。これにより、第1の組C1および第2の組C2には、それぞれ、第1の緑色カラーフィルタG1および第2の緑色カラーフィルタG2が必ず含まれるとともに、第1の組C1および第2の組C2とでフィルタの組合せが異なる。したがって、1つの組に含まれるカラーフィルタ11の個数を4つとした場合でも、第1の組C1および第2の組C2により、赤色、青色、第1の緑色、第2の緑色およびその他の色(白色)の5色のカラーフィルタ11を配置することができる。その結果、第1の緑色カラーフィルタG1と第2の緑色カラーフィルタG2とを表示部10に配置させた場合でも、一つの組に含まれるカラーフィルタ11の数を比較的少なくすることができるので、各々のカラーフィルタ11の面積が小さくなることに起因して表示される画像の輝度が低下してしまうのを抑制しながら、再現可能な色域範囲A10を広げることができる。
【0038】
また、第1実施形態では、上記のように、カラーフィルタ11は、白色カラーフィルタWを含む。そして、表示部10には、赤色カラーフィルタR、青色カラーフィルタB、第1の緑色カラーフィルタG1および白色カラーフィルタWの4種類のフィルタからなる第1の組C1と、赤色カラーフィルタR、青色カラーフィルタB、第2の緑色カラーフィルタG2および白色カラーフィルタWの4種類のフィルタからなる第2の組C2とを、互いに規則的に並ぶように配置させる。これにより、第1の組C1および第2の組C2には、それぞれ、第1の緑色カラーフィルタG1および第2の緑色カラーフィルタG2が必ず含まれるとともに、第1の組C1および第2の組C2とでフィルタの組合せが異なるように確実にフィルタを組合せることができる。また、カラーフィルタ11は、可視光の帯域における殆どの波長(色)の光を透過する白色カラーフィルタWを含むので、白色カラーフィルタWを含まない場合と比較して表示される画像の輝度を向上させることができる。
【0039】
また、第1実施形態では、上記のように、表示部10において、第2の緑色カラーフィルタG2の数が、第1の緑色カラーフィルタG1の数よりも少なくなるように、第2の組C2の数が、第1の組C1の数より少なくなるように配置させる。これにより、第1の緑色よりも青色側の色相を有する第2の緑色の輝度を、第1の緑色の輝度よりも容易に小さくすることができるので、第1の緑色カラーフィルタG1および第2の緑色カラーフィルタG2を表示部10に配置させる場合に、色の見え方がそれぞれの色相でばらつくのを抑制することができる。
【0040】
また、第1実施形態では、上記のように、第1の緑色カラーフィルタG1を、赤色、青色および緑色の混合量を表す色度を2次元座標で表したxy色度図において、赤色カラーフィルタR、青色カラーフィルタBおよび第1の緑色カラーフィルタG1によって表示可能な色域を示す三角形状の色域範囲A11の緑色側の頂点P13が、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と赤色側の頂点P21とを結ぶ辺L21の近傍に配置されるように構成する。また、第2の緑色カラーフィルタG2を、xy色度図において、赤色カラーフィルタR、青色カラーフィルタBおよび第2の緑色カラーフィルタG2によって表示可能な色域を示す三角形状の色域範囲A12の緑色側の頂点P14が、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と青色側の頂点P22とを結ぶ辺L22の近傍に配置されるように構成する。これにより、頂点P13および頂点P14が、それぞれ、色域規格BT2020の色域範囲A20の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と赤色側の頂点P21とを結ぶ辺L21の近傍および色域規格BT2020の緑色側の頂点P23と青色側の頂点P22とを結ぶ辺L22の近傍にない場合と比較して、4種類のカラーフィルタ11により再現可能な色域範囲A10を、色域規格BT2020の色域範囲A20に容易に近づけることができる。
【0041】
また、第1実施形態では、上記のように、第1の緑色カラーフィルタG1および第2の緑色カラーフィルタG2を、それぞれ、頂点P13および頂点P14が、xy色度図において、物体色の色域範囲を示すポインターカラーの色域範囲A30よりも外側に配置されるように構成する。これにより、頂点P13および頂点P14のいずれか一方または両方がポインターカラーの色域範囲A30の内側に配置される場合と比較して、4種類のカラーフィルタ11により再現可能な色域範囲A10を、ポインターカラーの色域範囲A30よりも容易に広くすることができる。
【0042】
また、第1実施形態では、上記のように、表示装置100は、点P24と点P25とを結ぶ線L41よりも色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23側の色を、点P24および点P25を結ぶ線L41上の色に変換する制御部20を備える。点P24は、xy色度図において、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と赤色側の頂点P21とを結ぶ辺L21上の頂点P13の近傍の点である。また、点P25は、xy色度図において、色域規格BT2020の緑色側の頂点P23と青色側の頂点P22とを結ぶ辺L22上の頂点P14の近傍の点である。これにより、色域規格BT2020の色域範囲A20において、点P24と点P25と緑色側の頂点P23とにより形成される三角形状の色域範囲A40の色を、制御部20により、点P24と点P25とを結ぶ線L41上の色に変換することができるので、色域規格BT2020の色域範囲A20に対して、4種類のカラーフィルタ11により再現不可能な色域の緑色側の色域範囲を、比較的彩度の近い色に容易に変換することができる。
【0043】
[第2実施形態]
図1および
図6を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、三角形状の色域範囲A40の色を線L41上の色に変換する第1実施形態の表示装置100と異なり、三角形状の色域範囲A51の色を三角形状の色域範囲A52に変換するように構成した例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成の部分には、同一の符号を付している。
【0044】
図1に示すように、本発明の第2実施形態による表示装置200は、制御部220を備えている。なお、制御部220は、特許請求の範囲の「第2変換部」の一例である。
【0045】
図6に示すように、第2実施形態では、制御部220は、色域範囲A51の色を色域範囲A52の色に変換するように構成されている。色域範囲A51は、xy色度図において、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と青色側の頂点P22とを結ぶ辺L22上の点および色域規格BT2020の緑色側の頂点P23と赤色側の頂点P21とを結ぶ辺L21上の点を結び、ポインターカラーの色域範囲A20よりも外側に配置される底辺L51と、色域規格BT2020の緑色側の頂点P23とにより形成される三角形状の色域範囲である。また、色域範囲A52は、xy色度図において、底辺L51と、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と赤色側の頂点P21とを結ぶ辺L21上の頂点P13の近傍の点P24と、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と青色側の頂点P22とを結ぶ辺L22上の頂点P14の近傍の点P25とを結ぶ線L41上の頂点P15とにより形成される三角形状の色域範囲である。なお、色域範囲A51および色域範囲A52は、それぞれ、特許請求の範囲の「第3色域範囲」および「第4色域範囲」の一例である。
【0046】
具体的には、制御部220は、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と赤色側の頂点P21とを結ぶ辺L21上における点P26と、色域規格BT2020の緑色側の頂点P23と青色側の頂点P22とを結ぶ辺L22上における点P27とを、点P26と点P27とを結ぶ底辺L51が、ポインターカラーの色域範囲A20よりも外側に配置されるように算出する。なお、「底辺L51が、ポインターカラーの色域範囲A20よりも外側に配置される」とは、底辺L51が、ポインターカラーの色域範囲A20の輪郭に接しないことを意味する。また、制御部220は、点P24と点P25とを結ぶ線L41上の頂点P15を算出する。頂点P15は、点P24と点P25との略中央の点である。
【0047】
そして、制御部220は、頂点P23と点P26と点P27とにより形成された三角形状の色域範囲A51の色を示すデータ(画像信号)を、頂点P15と点P26と点P27とにより形成された三角形状の色域範囲A52の色を示すデータ(画像信号)に変換する。すなわち、制御部20は、三角形状の色域範囲A51の大きさを三角形状の色域範囲A52の大きさに圧縮するように、色域範囲A51内の色を示すデータを、色域範囲A52内の色を示すデータに変換する。
【0048】
なお、第2実施形態による表示装置200のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0049】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記のように、表示装置200は、色域範囲A51の色を色域範囲A52の色に変換する制御部220を備える。色域範囲A51は、xy色度図において、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と青色側の頂点P22とを結ぶ辺L22上の点および色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と赤色側の頂点P21とを結ぶ辺L21上の点を結び、ポインターカラーの色域範囲A20よりも外側に配置される底辺L51と、色域規格BT2020の緑色側の頂点P23とにより形成される三角形状の色域範囲である。また、色域範囲A52は、xy色度図において、底辺L51と、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と赤色側の頂点P21とを結ぶ辺L21上の頂点P13の近傍の点P24と、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と青色側の頂点P22とを結ぶ辺L22上の頂点P14の近傍の点P25とを結ぶ線L41上の頂点P15とにより形成される三角形状の色域範囲である。これにより、色域規格BT2020の色域範囲A20において、緑色側の頂点P23と底辺L51とにより形成される三角形状の色域範囲A51の色を、点P24と点P25とを結ぶ線L41上の頂点P15と底辺L51の三角形状の色域範囲A52の色に変換することができるので、色域規格BT2020の色域範囲A20に対して、4種類のカラーフィルタ11により再現不可能な色域の緑色側の色域範囲を、比較的彩度の近い色に容易に変換することができる。また、三角形状の色域範囲の色を、線上の色に変換する場合と比較して、特定の色で飽和する(色の階調性が失われる)ことなく、色の階調性を表現することができる。また、底辺L51がポインターカラーの色域範囲A30よりも外側に配置されるので、ポインターカラーの色域範囲A30の色を、少なくとも緑側の色域において忠実に再現することができる。
【0050】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0051】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0052】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、表示部10に、赤色カラーフィルタR、青色カラーフィルタB、第1の緑色カラーフィルタG1および白色カラーフィルタWからなる第1の組C1と、赤色カラーフィルタR、青色カラーフィルタB、第2の緑色カラーフィルタG2および白色カラーフィルタWからなる第2の組C2とを、互いに規則的に並ぶように配置させた例を示したが本発明はこれに限られない。本発明では、
図7に示す第1変形例による表示装置300のように表示部310に、赤色カラーフィルタR、青色カラーフィルタB、第1の緑色カラーフィルタG1および白色カラーフィルタWからなる第1の組C1と、赤色カラーフィルタR、青色カラーフィルタB、第1の緑色カラーフィルタG1および第2の緑色カラーフィルタG2からなる第2の組C22とを、互いに規則的に並ぶように配置させてもよい。
図7では、縦方向において、第1の組C1、第1の組C1および第2の組C22の3組が繰り返し並ぶとともに、横方向において、第2の組C22の位置が縦方向に2列分ずれた位置で繰り返し並ぶ例を示している。
【0053】
また、上記第1および第2実施形態では、表示部10において、第2の緑色カラーフィルタG2の数が、第1の緑色カラーフィルタG1の数よりも少なくなるように、第2の組C2の数を、第1の組C1の数より少なくなるように配置させた例を示したが本発明はこれに限られない。本発明では、
図8に示す第2変形例による表示装置400のように、表示部410において、第2の緑色カラーフィルタG2の数が、第1の緑色カラーフィルタG1の数と等しくなるように、第2の組C2の数を、第1の組C1の数と等しくなるように配置させてもよい。
【0054】
また、上記第1および第2実施形態では、表示部10に、1画素10a毎に4つずつのカラーフィルタ11を配置させた例を示したが本発明はこれに限られない。本発明では、
図9に示す第3変形例による表示装置500、
図10に示す第4変形例による表示装置600および
図11に示す第5変形例による表示装置700のように、表示部510(610、710)に、1画素510a毎に3つずつのカラーフィルタ11を配置させてもよい。
【0055】
図9、
図10および
図11では、上記第1および第2実施形態と異なり、縦方向において、組(第1の組C1または第2の組C2)が半分(カラーフィルタ11の2つ部分)ずつ横方向にずれた位置となるように配置されている。
図9および
図11では、第1の組C1の数と、第2の組C2の数とが、3対1の比率で配置された例を示している。
図10では、第1の組C1の数と、第2の組C22の数とが、3対1の比率で配置された例を示している。
【0056】
また、上記第1および第2実施形態では、カラーフィルタ11を、白色カラーフィルタWを含むように構成した例を示したが本発明はこれに限られない。本発明では、カラーフィルタ11を、白色カラーフィルタWを含まないように構成してもよい。
【0057】
また、上記第1および第2実施形態では、表示装置100を液晶表示装置(LCD)として構成した例を示したが本発明はこれに限られない。本発明では、表示装置を、白色の有機LED(OLED)とカラーフィルタとを組み合わせた白色OLED+カラーフィルタ方式の表示装置(WOLED)として構成してもよい。
【0058】
また、上記第1および第2実施形態では、色域範囲A11の緑色側の頂点P13の座標を、(x、y)=(略0.28、略0.68)とするとともに、色域範囲A12の緑色側の頂点P14の座標を、(x、y)=(略0.15、略0.65)とした例を示したが本発明はこれに限られない。本発明では、
図12に示すように、頂点P13および頂点P14を、それぞれ、範囲A1内のいずれかの位置および範囲B1のいずれかの位置とするように構成してもよい。また、
図13に示すように、頂点P13および頂点P14を、それぞれ、(範囲A1よりも小さい)範囲A2内のいずれかの位置および(範囲B1よりも小さい)範囲B2内のいずれかの位置とするように構成してもよい。なお、範囲A1および範囲B1には、ポインターカラーの色域範囲A30の内側に位置する部分が含まれ、範囲A2および範囲B2には、ポインターカラーの色域範囲A30の内側に位置する部分が含まれない。
【0059】
図12に示すように、範囲A1は、点a11、点a12、点a13および点a14の4点に囲まれた四角形状の範囲である。点a11の座標、点a12の座標、点a13の座標および点a14の座標は、それぞれ、(x、y)=(0.200、0.689)、(0.400、0.501)、(0.490、0.597)および(0.290、0.785)である。なお、点a11と点a12とを結ぶ直線(y=-0.9387x+0.8766)および点a13と点a14とを結ぶ直線(y=-0.9387x+1.0566)は、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と赤色側の頂点P21とを結ぶ辺L21に略平行な直線である。また、点a11と点a14とを結ぶ直線(y=1.065x+0.476)および点a12と点a13とを結ぶ直線(y=1.065x+0.075)は、点a11と点a12とを結ぶ直線および点a13と点a14とを結ぶ直線に略垂直な直線である。
【0060】
また、範囲B1は、点b11、点b12、点b13および点b14の4点に囲まれた四角形状の範囲である。点b11の座標、点b12の座標、点b13の座標および点b14の座標は、それぞれ、(x、y)=(0.100、0.449)、(0.204、0.444)、(0.217、0.702)および(0.113、0.707)である。なお、点b11と点b14とを結ぶ直線(y=19.256x-3.477)および点a12と点a13とを結ぶ直線(y=19.256x-1.477)は、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と青色側の頂点P22とを結ぶ辺L22に略平行な直線である。また、点a11と点a12とを結ぶ直線(y=-0.052x+0.454)および点a13と点a14とを結ぶ直線(y=-0.052x+0.713)は、点a11と点a14とを結ぶ直線および点a12と点a13とを結ぶ直線に略垂直な直線である。
【0061】
また、
図13に示すように、範囲A2は、点a21、点a22、点a23および点a24の4点に囲まれた四角形状の範囲である。点a21の座標、点a22の座標、点a23の座標および点a24の座標は、それぞれ、(x、y)=(0.200、0.689)、(0.320、0.576)、(0.410、0.672)および(0.290、0.785)である。なお、点a21と点a22とを結ぶ直線(y=-0.9387x+0.8766)および点a23と点a24とを結ぶ直線(y=-0.9387x+1.0566)は、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と赤色側の頂点P21とを結ぶ辺L21に略平行な直線である。また、点a21と点a24とを結ぶ直線(y=1.065x+0.476)および点a22と点a23とを結ぶ直線(y=1.065x+0.235)は、点a21と点a22とを結ぶ直線および点a23と点a24とを結ぶ直線に略垂直な直線である。
【0062】
また、範囲B2は、点b21、点b22、点b23および点b24の4点に囲まれた四角形状の範囲である。点b21の座標、点b22の座標、点b23の座標および点b24の座標は、それぞれ、(x、y)=(0.105、0.545)、(0.209、0.540)、(0.217、0.702)および(0.113、0.707)である。なお、点b21と点b24とを結ぶ直線(y=19.256x-3.477)および点a22と点a23とを結ぶ直線(y=19.256x-1.477)は、色域規格BT2020の色域範囲A20の緑色側の頂点P23と青色側の頂点P22とを結ぶ辺L22に略平行な直線である。また、点a21と点a22とを結ぶ直線(y=-0.052x+0.551)および点a23と点a24とを結ぶ直線(y=-0.052x+0.713)は、点a21と点a24とを結ぶ直線および点a22と点a23とを結ぶ直線に略垂直な直線である。
【符号の説明】
【0063】
10 表示部
11 カラーフィルタ
20 制御部(第1変換部)
100、200、300、400、500、600、700、800 表示装置
220 制御部(第2変換部)
A11 色域範囲(第1色域範囲)
A12 色域範囲(第2色域範囲)
A20 色域規格BT2020の色域範囲
A30 ポインターカラーの色域範囲
A51 色域範囲(第3色域範囲)
A52 色域範囲(第4色域範囲)
B 青色カラーフィルタ
C1 第1の組
C2、C22 第2の組
G1 第1の緑色カラーフィルタ
G2 第2の緑色カラーフィルタ
L21 (色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点と赤色側の頂点とを結ぶ)辺
L22 (色域規格BT2020の色域範囲の緑色側の頂点と青色側の頂点とを結ぶ)辺
L41 (第1近傍点および第2近傍点を結ぶ)線、(第3近傍点および第4近傍点を結ぶ)線
L51 (ポインターカラーの色域範囲よりも外側に配置される)底辺
P13 頂点(第1緑色側頂点)
P14 頂点(第2緑色側頂点)
P21 (色域規格BT2020の色域範囲の)赤色側の頂点
P22 (色域規格BT2020の色域範囲の)青色側の頂点
P23 (色域規格BT2020の色域範囲の)緑色側の頂点
P24 点(第1近傍点、第3近傍点)
P25 点(第2近傍点、第4近傍点)
R 赤色カラーフィルタ
W 白色カラーフィルタ