(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、プログラム、および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/36 20060101AFI20221213BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20221213BHJP
G08G 1/13 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G01C21/36
G08G1/01 A
G08G1/13
(21)【出願番号】P 2018205127
(22)【出願日】2018-10-31
【審査請求日】2021-04-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】堀 敬滋
(72)【発明者】
【氏名】石川 健
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-151594(JP,A)
【文献】特開2007-263903(JP,A)
【文献】特開2015-108854(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0248285(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0308846(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G08G 1/00-99/00
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両から、該車両の行動に関する行動情報および二地点間のルート探索の要求を取得可能な取得部と、
前記ルート探索の要求を取得する場合、前記二地点間を結ぶ複数の仮ルートを決定し、前記複数の仮ルートそれぞれのマナー基準点を認識し、前記ルート探索を要求した車両から取得する前記行動情報に基づいて複数のマナー項目それぞれの評価点を認識し、該複数のマナー項目それぞれの評価点を用いて総合評価点を算出し、前記マナー基準点および前記総合評価点の比較に基づいて前記複数の仮ルートの一部の仮ルートを提案ルートとして選択する制御部と、
前記提案ルートを、前記ルート探索を要求した車両に付与する付与部と、を備え、
前記制御部は、認識率が認識閾値以下である前記マナー項目を除外して前記複数の仮ルートそれぞれのマナー基準点を認識
し、
前記認識率は、前記仮ルートを構成する少なくとも1つのリンク毎の前記行動情報の取得回数当たりの、該リンク毎に分類された前記マナー項目の評価点の認識回数の割合である
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記複数の仮ルートのマナー基準点を、それぞれの前記仮ルートの通過後である車両の前記複数のマナー項目それぞれの評価点に基づいて認識する
情報処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の情報処理装置であって、
前記制御部は、前記複数の仮ルートのマナー基準点を、それぞれの前記仮ルートが提案ルートとして付与され且つ該提案ルートの通過前である車両の前記複数のマナー項目それぞれの評価点に基づいて認識する
情報処理装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の情報処理装置であって、
前記仮ルートのマナー基準点の認識に用いられる少なくとも一部のマナー項目は、前記複数の仮ルートそれぞれに定められており、
前記制御部は、前記総合評価点を、前記複数の仮ルートそれぞれのマナー基準点の認識に用いた少なくとも一部のマナー項目の評価点に基づいて算出する
情報処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の情報処理装置であって、
制御部は、
前記行動情報を取得するたびに該行動情報を用いて認識可能なマナー項目の評価点を認識し、前記行動情報を付与した車両の位置情報と当該評価点を関連付けて記憶し、
前記複数の仮ルートそれぞれのマナー基準点の認識に用いるマナー項目を、前記行動情報の取得回数当たりの、それぞれの前記仮ルートが含む位置に相当する位置情報と関連付けられたマナー項目の評価点の認識回数の割合に基づいて定める
情報処理装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記行動情報は、前記車両のセンサが検出する検出情報を含み、
前記制御部は、前記行動情報に含まれる前記検出情報に基づいて前記複数のマナー項目それぞれの評価点を算出することにより、該評価点を認識する
情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置であって、
前記行動情報は、前記車両において算出される少なくとも1つの前記マナー項目の評価点を含み、
前記制御部は、前記行動情報を取得することにより前記マナー項目の評価点を認識する
情報処理装置。
【請求項8】
行動に関する行動情報および二地点間のルート探索の要求を付与する車載情報処理装置と、
前記ルート探索の要求を取得する場合、前記二地点間を結ぶ複数の仮ルートを決定し、前記複数の仮ルートそれぞれのマナー基準点を認識し、前記ルート探索を要求した車両から取得する前記行動情報に基づいて複数のマナー項目それぞれの評価点を認識し、該複数のマナー項目それぞれの評価点を用いて総合評価点を算出し、前記マナー基準点および前記総合評価点の比較に基づいて前記複数の仮ルートの一部の仮ルートを提案ルートとして選択し、認識率が認識閾値以下である前記マナー項目を除外して前記複数の仮ルートそれぞれのマナー基準点を認識する制御部と、
前記提案ルートを、前記ルート探索を要求した車両に付与する付与部とを有する情報処理装置と、を備え
、
前記認識率は、前記仮ルートを構成する少なくとも1つのリンク毎の前記行動情報の取得回数当たりの、該リンク毎に分類された前記マナー項目の評価点の認識回数の割合である
情報処理システム。
【請求項9】
車両から、行動に関する行動情報、および二地点間のルート探索の要求を取得する取得ステップと、
前記ルート探索の要求を取得する場合、前記二地点間を結ぶ複数の仮ルートを決定するステップと、
認識率が認識閾値以下である前記マナー項目を除外して前記複数の仮ルートそれぞれのマナー基準点を認識するステップと、
前記ルート探索を要求した車両から取得する前記行動情報に基づいて複数のマナー項目それぞれの評価点を認識するステップと、
前記複数のマナー項目それぞれの評価点を用いて総合評価点を算出するステップと、
前記マナー基準点および前記総合評価点の比較に基づいて前記複数の仮ルートの一部の仮ルートを提案ルートとして選択するステップと、
前記提案ルートを、前記ルート探索を要求した車両に付与するステップとを、情報処理装置に実行させ
、
前記認識率は、前記仮ルートを構成する少なくとも1つのリンク毎の前記行動情報の取得回数当たりの、該リンク毎に分類された前記マナー項目の評価点の認識回数の割合である
プログラム。
【請求項10】
コンピュータによる情報処理方法であって、前記コンピュータは、
車両から、行動に関する行動情報、および二地点間のルート探索の要求を取得する取得し、
前記ルート探索の要求を取得する場合、前記二地点間を結ぶ複数の仮ルートを決定し、
認識率が認識閾値以下である前記マナー項目を除外して前記複数の仮ルートそれぞれのマナー基準点を認識し、
前記ルート探索を要求した車両から取得する前記行動情報に基づいて複数のマナー項目それぞれの評価点を認識し、
前記複数のマナー項目それぞれの評価点を用いて総合評価点を算出し、
前記マナー基準点および前記総合表観点の比較に基づいて前記複数の仮ルートの一部の仮ルートを提案ルートとして選択し、
前記提案ルートを、前記ルート探索を要求した車両に付与
し、
前記認識率は、前記仮ルートを構成する少なくとも1つのリンク毎の前記行動情報の取得回数当たりの、該リンク毎に分類された前記マナー項目の評価点の認識回数の割合である
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、プログラム、および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビのルート探索において複数のルートの中から、距離や時間などの特定の観点から推奨される一つのルートが提示される。例えば、特許文献1には、プローブデータにおける属性(車種、性別、年齢など)毎のルート選択傾向を蓄積しておき、各車両のルート探索においてユーザ(運転者または同乗者)の属性に基づいて、複数のルートの中で当該属性に対して選択傾向の大きなルートを提示することが開示されている。また、特許文献1には、車両毎のユーザの実際のルート選択傾向に基づいてユーザの属性を推定した上で、当該属性において選択される傾向の大きなルートを提示することも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザの実際の属性または推定される属性は、ルートの選択傾向に必ずしも大きな影響を与えるわけではない。それゆえ、これらの属性で提示されるルートがユーザに最適とは限らず、ユーザが不快感を覚えることがあった。
【0005】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、ユーザ毎の運転に関する嗜好に適したルートを提示することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置は、
車両から、該車両の行動に関する行動情報および二地点間のルート探索の要求を取得可能な取得部と、
前記ルート探索の要求を取得する場合、前記二地点間を結ぶ複数の仮ルートを決定し、前記複数の仮ルートそれぞれのマナー基準点を認識し、前記ルート探索を要求した車両から取得する前記行動情報に基づいて複数のマナー項目それぞれの評価点を認識し、該複数のマナー項目それぞれの評価点を用いて総合評価点を算出し、前記マナー基準点および前記総合評価点の比較に基づいて前記複数の仮ルートの一部の仮ルートを提案ルートとして選択する制御部と、
前記提案ルートを、前記ルート探索を要求した車両に付与する付与部と、を備える。
【0007】
本発明の一実施形態に係る情報処理システムは、
行動に関する行動情報および二地点間のルート探索の要求を付与する車載情報処理装置と、
前記ルート探索の要求を取得する場合、前記二地点間を結ぶ複数の仮ルートを決定し、前記複数の仮ルートそれぞれのマナー基準点を認識し、前記ルート探索を要求した車両から取得する前記行動情報に基づいて複数のマナー項目それぞれの評価点を認識し、該複数のマナー項目それぞれの評価点を用いて総合評価点を算出し、前記マナー基準点および前記総合評価点の比較に基づいて前記複数の仮ルートの一部の仮ルートを提案ルートとして選択する制御部と、
前記提案ルートを、前記ルート探索を要求した車両に付与する付与部とを有する情報処理装置と、を備える。
【0008】
本発明の一実施形態に係るプログラムは、
車両から、複数のマナー項目それぞれの評価点、および二地点間のルート探索の要求を取得する取得ステップと、
前記ルート探索の要求を取得する場合、前記二地点間を結ぶ複数の仮ルートを決定するステップと、
前記複数の仮ルートそれぞれのマナー基準点を認識するステップと、
前記ルート探索を要求した車両から取得する前記行動情報に基づいて複数のマナー項目それぞれの評価点を認識するステップと、
前記複数のマナー項目それぞれの評価点を用いて総合評価点を算出するステップと、
前記マナー基準点および前記総合表観点の比較に基づいて前記複数の仮ルートの一部の仮ルートを提案ルートとして選択するステップと、
前記提案ルートを、前記ルート探索を要求した車両に付与するステップとを、情報処理装置に実行させる。
【0009】
本発明の一実施形態に係る情報処理方法は、
車両から、複数のマナー項目それぞれの評価点、および二地点間のルート探索の要求を取得する取得し、
前記ルート探索の要求を取得する場合、前記二地点間を結ぶ複数の仮ルートを決定し、
前記複数の仮ルートそれぞれのマナー基準点を認識し、
前記ルート探索を要求した車両から取得する前記行動情報に基づいて複数のマナー項目それぞれの評価点を認識し、
前記複数のマナー項目それぞれの評価点を用いて総合評価点を算出し、
前記マナー基準点および前記総合表観点の比較に基づいて前記複数の仮ルートの一部の仮ルートを提案ルートとして選択し、
前記提案ルートを、前記ルート探索を要求した車両に付与する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態に係る情報処理装置、情報処理システム、プログラム、及び情報処理方法によれば、ユーザ毎の嗜好により適したルートが提示され得る。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる情報処理装置を含む情報処理システムの全体構成を示す構成図である。
【
図2】
図1の車両の概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図1の情報処理装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図3の制御部が行動情報を取得するたびに行う行動情報の取得回数の更新、および評価点を認識するたびに行う評価点の平均化を説明するための模式図である。
【
図5】
図3の制御部が行う、一部のマナー項目の評価点に基づくマナー基準点の算出を説明するための模式図である。
【
図6】
図2の制御部が実行する行動情報付与処理を説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図3の制御部が実行する行動情報取得処理を説明するためのフローチャートである。
【
図8】
図3の制御部が実行する算出式作成処理を説明するためのフローチャートである。
【
図9】
図3の制御部が実行する提案ルート付与処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1を参照して、本発明の一実施形態に係る情報処理装置10を含む情報処理システム11の概要について説明する。情報処理システム11は、車両12および情報処理装置10を備える。車両12は、例えば自動車であるが、これに限られず任意の車両であってもよい。
図1では説明の簡便のため、2台の車両12が図示されているが、情報処理システム11が備える車両12の数は1台以上であればよい。情報処理装置10は、1つ又は互いに通信可能な複数の例えば、サーバ装置を含む。車両12および情報処理装置10のそれぞれは、例えば移動体通信網およびインターネット等を含むネットワーク13と通信可能に接続される。
【0014】
各車両12は、自身の車両12の行動情報およびルート探索の要求を情報処理装置10に付与する。情報処理装置10は、多数の車両12から付与される行動情報を蓄積する。情報処理装置10は、ルート探索の要求を取得する場合、複数の仮ルートを決定する。さらに、情報処理装置10は、多数の車両12から付与される行動情報にも基づいて、複数の仮ルートそれぞれのマナー基準点を認識する。さらに、情報処理装置10は、ルート探索を要求した車両12から取得する行動情報に基づいて複数のマナー項目それぞれの評価点を認識する。さらに、情報処理装置10は、認識した複数のマナー項目それぞれの評価点を用いて当該車両12の総合評価点を算出する。さらに、情報処理装置10は、マナー基準点および総合評価点の比較に基づいて、複数の仮ルートの少なくとも一部を提案ルートとして選択する。さらに、情報処理装置10は、当該車両12に、提案ルートを付与する。
【0015】
このように、本実施形態によれば、一般的にユーザの嗜好が反映されうる行動情報に基づいて複数のマナー項目それぞれの評価点が認識される。さらに、算出された評価点を用いて、ユーザの総合評価点が算出される。当該総合評価点と、仮ルート毎に認識されるマナー基準点との比較に基づいて、少なくとも一部の仮ルートが選択され、ユーザに提案される。このため、ユーザの嗜好により適したルートが提示され得る。
【0016】
次に、情報処理システム11の各構成について詳細に説明する。
【0017】
図2に示すように、車両12は、通信装置14および車載情報処理装置15を備える。通信装置14および車載情報処理装置15は、例えばCAN(Controller Area Network)などの車載ネットワーク又は専用線を介して、互いに通信可能に接続されている。
【0018】
通信装置14は、例えばDCM(Data Communication Module)などの車載通信機である。具体的には、通信装置14は、通信部16、記憶部17、および制御部18を備える。
【0019】
通信部16は、車載ネットワーク又は専用線を介して通信する通信モジュールを含む。また、通信部16は、ネットワーク13に接続する通信モジュールを含む。例えば、通信部16は、4G(4th Generation)および5G(5th Generation)などの移動体通信規格に対応する通信モジュールを含んでもよい。本実施形態において、車両12は、通信部16を介してネットワーク13に接続される。
【0020】
記憶部17は、1つ以上のメモリを含む。本実施形態において「メモリ」は、例えば、半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限られない。記憶部17に含まれる各メモリは、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、またはキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部17は、通信装置14の動作に用いられる任意の情報を記憶する。記憶部17は、例えば、システムプログラム、アプリケーションプログラム、車両12の識別情報などを記憶してもよい。車両12の識別情報は、情報処理システム11において車両12をそれぞれ一意に識別可能な情報である。
【0021】
通信装置14から情報処理装置10へ情報が送信される際、当該情報とともに車両12の識別情報が情報処理装置10へ付与されることによって、情報処理装置10は付与元の車両12を識別可能である。ここで、車両12に備えられた通信装置14または車載情報処理装置15の識別情報が、当該車両12の識別情報として用いられてもよい。記憶部17に記憶された情報は、例えば通信部16を介してネットワーク13から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0022】
制御部18は、1つ以上のプロセッサを備える。本実施形態において「プロセッサ」は、汎用のプロセッサ、又は特定の処理に特化した専用のプロセッサであるが、これらに限られない。制御部18は、通信装置14全体の動作を制御する。本実施形態では、制御部18によって制御される通信装置14を介して、車両12が、情報処理装置10と通信する。車両12は、情報処理装置10と通信することにより、情報および指令などの取得および付与を実行する。
【0023】
車載情報処理装置15は、車両12における多様な情報を管理する装置である。例えば、車載情報処理装置15は、後述する、車両12の検出情報を収集する。車載情報処理装置15は、収集した検出情報を、そのまま又は加工して行動情報として、通信装置14を介して情報処理装置10に付与する。車載情報処理装置15は、通信部19、記憶部20、情報取得部21、出力部22、入力部23、および制御部24を備える。
【0024】
通信部19は、車載ネットワーク又は専用線を介して通信する通信モジュールを含む。
【0025】
記憶部20は、1つ以上のメモリを含む。記憶部20に含まれる各メモリは、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部20は、車載情報処理装置15の動作に用いられる任意の情報を記憶する。記憶部20は、例えば、システムプログラム、アプリケーションプログラム、ユーザ名に関連付けられたユーザの識別情報、ユーザ別の検出情報の履歴、道路地図情報などを記憶してもよい。記憶部20に記憶された情報は、例えば、通信装置14を介してネットワーク13から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0026】
情報取得部21は、車両12に搭載される多様なセンサが検出する検出情報を直接またはECU(Electronic Control Unit)を介して取得する。検出情報は、例えば、速度情報、位置情報、制動情報、アクセル情報、ギヤ段情報、走行距離情報、方向指示器情報、操舵情報、距離情報、画像情報、および時間情報である。
【0027】
速度情報は、例えば、速度センサにより検出される車両12の速度を示す。位置情報は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機などにより検出される車両12の地図上の位置を示す。制動情報は、例えば、ブレーキペダルセンサにより検出されるブレーキペダルの踏込量を示す。アクセル情報は、アクセルポジションセンサにより検出されるアクセルペダルの踏込量を示す。ギヤ段情報は、ギヤポジションセンサにより検出されるギヤ段を示す。走行距離情報は、タイヤの回転センサにより検出される回転数から算出される自車両12の走行距離を示す。方向指示器情報は、例えば、方向指示器レバーセンサにより検出される方向指示器の点滅指示の情報を示す。操舵情報は、例えば、舵角センサにより検出されるステアリングホイールの回動量を示す。距離情報は、例えば、クリアランスソナーにより検出される他者との距離を示す。画像情報は、例えば、車載カメラにより検出される車両12の周囲を撮像した画像を示す。時間情報は、例えば、タイマにより検出されるときの時刻を示す。
【0028】
出力部22は、情報を出力してユーザに通知する1つ以上の出力インタフェースを含む。出力部22に含まれる出力インタフェースは、例えば、情報を映像で出力するディスプレイ、または情報を音声で出力するスピーカなどであるが、これらに限られない。ディスプレイは、例えば、パネルディスプレイ又はヘッドアップディスプレイなどであるが、これらに限られない。本実施形態において「映像」は、テキスト、静止画像、及び動画像を含んでもよい。
【0029】
入力部23は、ユーザ入力を検出する1つ以上の入力インタフェースを含む。入力部23に含まれる入力インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、出力部22のパネルディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、または音声入力を検出するマイクであるが、これらに限られない。
【0030】
制御部24は、1つ以上のプロセッサを含む。制御部24は、車載情報処理装置15全体の動作を制御する。
【0031】
制御部24は、例えば、イグニッションスイッチをオンに切替えることによる車両12の起動時に、運転するユーザ名の新規登録または既登録ユーザ名の入力を要求する画像を出力部22に表示させる。制御部24は、当該画像の表示中にユーザ名の新規登録を行う入力を入力部23が検出する場合、新規ユーザの識別情報を当該ユーザ名に対して付与する。または、制御部24は、ユーザ名の新規登録を行う入力を入力部23が検出する場合、当該ユーザ名を、通信装置14を介して、情報処理装置10に付与して、ユーザの識別情報を要求してもよい。制御部24は、既登録ユーザ名の入力を入力部23が検出する場合、当該既登録ユーザ名の識別情報を記憶部20または情報処理装置10から読出す。制御部24は、ユーザ名の新規登録または既登録ユーザ名の入力により、現在の運転者であるユーザの識別番号を認識する。
【0032】
制御部24は、ユーザの識別情報を認識後から、次のユーザ名の新規登録または既登録ユーザ名の入力までの間、情報取得部21が取得する検出情報にユーザの識別番号を関連付ける。また、制御部24は、ユーザの識別情報を認識後から、次のユーザ名の新規登録または既登録ユーザ名の入力までの間、後述する行動情報などの情報にユーザの識別番号を関連付けて、情報処理装置10に付与する。
【0033】
制御部24は、例えば、情報取得部21において同時に取得した複数の検出情報を関連付けて、記憶部20に格納する。なお、同時とは、例えば、後述する周期的に情報処理装置10に付与する行動情報の付与以後から、次回の付与前までの間である。制御部24は、検出情報を取得した場合、記憶部20に記憶している過去の検出情報も用いて、後述するマナー項目の評価点を算出してよい。
【0034】
制御部24は、記憶部20に一時的に格納した検出情報、およびマナー項目の評価点の少なくとも一方を、自車両12の行動に関する行動情報として、情報処理装置10に付与する。なお、制御部24は、行動情報に少なくとも位置情報を含めて、情報処理装置10に付与する。制御部24による行動情報の情報処理装置10への付与は、例えば、周期的である。制御部24による行動情報の情報処理装置10への付与は、周期的に限定されず、任意のときでもよく、例えば、定期的であったり、マナー項目の評価点を算出するなどの特定の条件を満たすたびに行ってもよい。
【0035】
制御部24は、ルート探索を要求する入力を入力部23が検出する場合、出発地点および到着地点の位置を含む二地点間のルート探索の要求を、情報処理装置10に付与する。制御部24は、当該ルート探索の要求に対して、情報処理装置10から提案ルートを取得する場合、出力部22に当該提案ルートを出力することにより、ユーザに提案ルートを報知する。
【0036】
図3に示すように、情報処理装置10は、取得部25、付与部26、記憶部27、および制御部28を備える。
【0037】
取得部25は、例えば、ネットワーク13に接続する通信モジュールを含む。取得部25は、例えば、有線LAN(Local Area Network)規格に対応する通信モジュールを含んでもよい。本実施形態において、情報処理装置10は、取得部25を介してネットワーク13に接続される。取得部25は、車両12から行動情報および二地点間のルート探索の要求を取得可能である。
【0038】
付与部26は、例えば、ネットワーク13に接続する通信モジュールを含む。付与部26は、例えば、有線LAN規格に対応する通信モジュールを含んでもよい。付与部26は、例えば、後述する提案ルートなどの種々の情報、および指令を、車両12に付与する。なお、付与部26は、取得部25と一体的であってよい。
【0039】
記憶部27は、1つ以上のメモリを含む。記憶部27に含まれる各メモリは、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部27は、情報処理装置10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。記憶部27は、例えば、システムプログラム、アプリケーションプログラム、ユーザ別の検出情報の履歴、マナー基準点の算出式、リンク毎に分類される行動情報の取得回数、リンク毎に分類されるマナー項目の評価点の認識回数、リンクおよびノード、ならびに、リンク毎に分類される評価点を記憶してよい。なお、ノードは、道路網における交差点などの結節点である。リンクは、隣接するノード間を結ぶ道路区間である。したがって、多様なノードおよび多様なノードの組合せにより、多様なルートが形成される。記憶部27に記憶された情報は、例えば、取得部25を介してネットワーク13から取得される情報で更新可能であってもよい。
【0040】
制御部28は、1つ以上のプロセッサを含む。制御部28は、情報処理装置10全体の動作を制御する。
【0041】
図4に示すように、制御部28は、例えば、車載情報処理装置15から行動情報を取得するたびに、当該行動情報を、当該行動情報に含まれる位置情報に対応するリンクに分類し、リンク別にカウントしている行動情報の取得回数を更新する(「+1で更新」参照)。制御部28は、更新後に取得回数を記憶部27に格納する。
【0042】
なお、
図4の下方におけるリンクID:xxxxxのデータにおいて、「マナー基準点」は、後述する、リンク通過後である車両12の評価点によって算出されるマナー基準点である。また、「評価点」は、各マナー項目の評価点に対する「選択」、「通過後Ave」、「回数」、および「認識率」を示したものである。「選択」は、後述するマナー基準点の算出に用いるか否かを示し、1が適用であって、0が被適用である。「通過後Ave」は、リンクの通過後である車両12から取得した行動情報に基づいて認識した評価点の平均値である。「回数」は、リンクの通過後である車両12から取得した行動情報に基づいて評価点を認識した回数である。「認識率」は、後述するマナー項目毎の認識率を示すものである。「取得回数」は、行動情報の取得回数である。
【0043】
制御部28は、例えば、車載情報処理装置15から取得する行動情報を少なくとも用いて認識可能であれば、当該行動情報を取得するたびに、行動情報を付与した車両12のマナー項目の評価点を認識する。制御部28によるマナー項目の評価点の認識は、マナー項目の評価点の算出、およびマナー項目の評価点の取得の少なくともいずれかによって行われてよい。制御部28は、例えば、行動情報が検出情報を含む場合、当該検出情報を少なくとも用いて、さらに必要があれば記憶部27に記憶した検出情報の履歴も用いて、算出可能なマナー項目の評価点を算出する。制御部28は、例えば、行動情報が車載情報処理装置15により算出されたマナー項目の評価点を含む場合、当該行動情報を取得することによりマナー項目の評価点を認識する。
【0044】
なお、マナー項目は、交通流の円滑化に影響を与えるユーザの運転特性である。マナー項目の評価点は、当該運転特性を指標化した得点であって、マナー項目毎に算出方法が予め定められている。または、マナー項目の評価点は、交通流の円滑化に影響を与える項目および評価方法などが機械学習によって自動的に学習されてもよい。
【0045】
なお、交通流の円滑化に影響を与えるユーザの運転特性は、例えば、円滑化に寄与するユーザの運転特性および円滑化を阻害するユーザの運転特性を含む。交通流の円滑化に寄与するユーザの運転特性は、例えば、速度同調性、速度安定性、坂切替時の速度安定性、下り坂制動安定性、車線変更の円滑性、右折準備の円滑性、追越車線の使用性、合流の円滑性、および信号反応性などである。また、交通流の円滑化を阻害するユーザの運転特性は、例えば、横断歩道の完全停止性、一時停止の完全停止性、および制限速度の完全遵守性などである。
【0046】
速度同調性とは、任意の車両12の周囲の車両12の車速との同調の度合いである。速度同調性の評価点は、例えば、0点から10点の間で、当該任意の車両12の車速と周囲の車両12の平均車速との差分の絶対値を当該平均車速で割った値がゼロに近づくほど10点に近づき、離れるほど0点に近づくように定められている。制御部28は、例えば、任意の車両12から取得する速度情報、および当該速度情報を取得した位置におけるリンクに関連付けられた他の車両12から取得する速度情報に基づいて、速度同調性の評価点を算出する。
【0047】
速度安定性とは、任意の車両12の巡航走行時における、車速の一定化の度合いである。巡航走行とは、例えば、停止状態からの加速度が加速閾値以下となってから、停止するための減速度が減速閾値以上となるまでの間の走行状態である。速度安定性の評価点は、例えば、0点から10点の間で、巡航走行時の車速の分散が0に近づくほど10点に近づき、大きくなるほど0点に近づくように定められている。制御部28は、例えば、任意の車両12から取得する速度情報に基づいて、巡航走行中であるか否かを判別し、巡航走行中の速度情報に基づいて、速度安定性の評価点を算出する。
【0048】
坂切替時の速度安定性とは、任意の車両12が走行する道路の傾斜の切替り時における車速の一定化の度合いである。坂道への切替りとは、例えば、平坦道路から上り坂または下り坂への切替り、上り坂から平坦道路または下り坂への切替り、下り坂から平坦道路または上り坂への切替りである。坂切替時の速度安定性の評価点は、例えば、0点から10点の間で、傾斜の切替り前後における車速の変化が0に近づくほど10点に近づき、当該変化が大きくなるほど0点に近づくように定められている。制御部28は、任意の車両12から取得する位置情報および道路地図情報に基づいて道路の傾斜の切替りの有無を判別し、切替り時における前後の速度情報に基づいて、坂切替時の速度安定性の評価点を算出する。
【0049】
下り坂制動安定性とは、任意の車両12が走行する下り坂においてフットブレーキ使用の抑制度合いである。下り坂制動安定性の評価点は、例えば、0点から10点の間で、下り坂の走行中の距離当たりのフットブレーキの踏込回数および踏込量それぞれが少なくなるほど、ならびにエンジンブレーキをかけた状態での走行距離が長くなるほど10点に近づき、踏込回数および踏込量が多くなるほど、ならびにエンジンブレーキをかけた状態での走行距離が短くなるほど0点に近づくように定められている。制御部28は、例えば、任意の車両12から取得する位置情報および道路地図情報に基づいて自車両12が下り坂を走行中であるかを判別し、制動情報、アクセル情報、ギヤ段情報、および走行距離情報に基づいて下り坂制動安定性の評価点を算出する。
【0050】
車線変更の円滑性とは、任意の車両12の車線変更の準備から車線変更に至るまでの他の車両12の走行の阻害を抑える度合いである。車線変更の円滑性の評価点は、例えば、0点から10点の間で、方向指示器を点滅させてから車線変更を実行するまでの時間が長く、および車線変更する車線における後方の車両12の減速度が小さくなるほど10点に近づき、当該時間が短く、および当該減速度が大きくなるほど0点に近づくように定められている。制御部28は、例えば、任意の車両12から取得する操舵情報および速度情報に基づいて任意の車両12が車線変更していると判別すると、方向指示器情報および時間情報、ならびに画像情報または当該任意の車両12の後方の車両12から取得する速度情報に基づいて、車線変更の円滑性の評価点を算出する。
【0051】
右折準備の円滑性とは、任意の車両12が右折レーンの無い交差点における右折待機時に他の車両12の走行の阻害を抑える度合いである。右折準備の円滑性の評価点は、例えば、0点から10点の間で、右折レーンの無い交差点において右折を示す方向指示器の点滅をさせた車両12に対して、対向車線の車両12および後方の車両12の交差点通過時間が短くなるほど10点に近づき、長くなるほど0点に近づくように定められている。なお、交差点通過時間とは、例えば、当該任意の車両12の最前部および最後部間を他の車両12が通過するのにかかった時間である。制御部28は、例えば、任意の車両12から取得する位置情報および方向指示器情報に基づいて任意の車両12が右折レーンの無い交差点において右折待機していると判別すると、画像情報および時間情報、または他の車両12から取得する位置情報および時間情報に基づいて、右折準備の円滑性の評価点を算出する。
【0052】
追越車線の使用性とは、高速道路において任意の車両12の追越車線の走行に起因する他の車両12の走行の阻害を抑える度合いである。追越車線の使用性の評価点は、例えば、0点から10点の間で、追越車線走行時間当たりの後方の車両12の滞留を開始させた回数が少なくなるほど、および後方の車両12の滞留時間が短くなるほど10点に近づき、当該回数が多くなるほど、および当該滞留時間が長くなるほど0点に近づくように定められている。なお、後方の車両12の滞留は、例えば、任意の車両12の後方の車両12の車速が任意の車両12に対する適切車間距離以下となる前後における当該後方の車両12の車速の低下が、例えば5%以上となる場合を示す。なお、適切車間距離とは、任意の車両12の車速に応じて変わる距離である。制御部28は、任意の車両12から取得する画像情報に基づいて高速道路の追越車線を走行中であると判別すると、画像信号又は当該後方の車両12から取得する速度情報などに基づいて、後方の車両12における滞留の発生を判別する。制御部28は、後方の車両12の滞留の発生を判別すると、任意の車両12から取得する画像情報および時間情報、または後方の車両12から取得する速度情報および画像情報に基づいて、追越車線の使用性の評価点を算出する。
【0053】
合流の円滑性とは、合流車線において任意の車両12の合流に起因する他の車両12の走行の阻害を抑える度合いである。合流の円滑性の評価点は、例えば、0点から10点の間で、合流する車線を走行中の他の車両12を減速させる頻度が低く、および当該他の車両12の減速度が小さくなるほど10点に近づき、当該頻度が高く、および当該減速度が大きくなるほど0点に近づくように定められている。制御部28は、任意の車両12から取得する画像情報に基づいて合流車線を走行中であると判別すると、任意の車両12から取得する画像情報、または他の車両12から取得する速度情報、制動情報、および時間情報に基づいて、合流の円滑性の評価点を算出する。
【0054】
信号反応性とは、発進遅れによる他の車両12の走行の阻害を抑えるべく、赤信号から青信号に変わった後の発進までの反応の速さである。信号反応性の評価点は、例えば、0点から10点の間で、青信号への切替り後に任意の車両12が発進可能となった時から実際に発進するまでの時間が短くなるほど10点に近づき、長くなるほど0点に近づくように定められている。なお、青信号への切替り後に任意の車両12が発進可能となった時とは、任意の車両12が交差点の先頭である場合は青信号への切替り時であり、前方に車両12が停止している場合は当該前方の車両12の発進時である。制御部28は、任意の車両12から取得する画像情報および時間情報に基づいて、信号反応性の評価点を算出する。
【0055】
横断道路の完全停止性とは、信号の無い横断歩道における任意の車両12が完全に停止する度合いである。なお、完全に停止とは、低速走行を含まず、速度が0km/hになる状態を示す。横断歩道の完全停止の評価点は、例えば、0点から10点の間で、横断歩道通過回数当たりの完全停止の頻度が小さくなるほど10点に近づき、大きくなるほど0点に近づくように定められている。制御部28は、任意の車両12から取得する位置情報および地図道路情報に基づいて横断歩道を通過すると判別する場合、制動情報または速度情報に基づいて横断歩道の完全停止性の評価点を算出する。
【0056】
一時停止の完全停止性とは、一時停止の停止線における任意の車両12が完全に停止する度合いである。一時停止の完全停止の評価点は、例えば、0点から10点の間で、一時停止の停止線通過回数当たりの完全停止の頻度が小さくなるほど10点に近づき、大きくなるほど0点に近づくように定められている。制御部28は、任意の車両12から取得する位置情報および地図道路情報に基づいて一時停止の停止線を通過すると判別する場合、制動情報または速度情報に基づいて一時停止の完全停止性の評価点を算出する。
【0057】
制限速度の完全遵守性とは、任意の車両12の走行中の道路の制限速度を遵守している度合いである、制限速度の完全遵守性の評価点は、例えば、0点から10点の間で、制限速度以下での走行時間が短くなるほど10点に近づき、当該走行時間が長くなるほど0点に近づくように定められている。制御部28は、任意の車両12から取得する位置情報、地図道路情報、および速度情報に基づいて制限速度の完全遵守性の評価点を算出する。
【0058】
情報処理装置10は、行動情報に基づいてマナー項目毎の評価点を認識すると(「認識」参照)、当該評価点を、行動情報に含まれる位置情報に対応するリンクに分類する。制御部28は、多数の車両12から行動情報を取得するたびに分類したマナー項目毎の評価点を、リンク毎に平均化する(「通過後Ave」に対する「更新」参照)。また、制御部28は、リンク毎に分類された評価点の認識回数を更新する(「回数」に対する「更新」参照)。制御部28は、リンク毎に平均化したマナー項目毎の評価点および更新回数を記憶部27に格納する。
【0059】
リンク毎に平均化したマナー項目毎の評価点は、後述する仮ルートのマナー基準点の算出に用いられる。制御部28は、マナー基準点の算出を任意に行ってもよく、または後述するルート探索の要求の取得時に行ってもよい。なお、マナー基準点とは、仮ルートを通過予定または通過した平均的な車両12の複数のマナー項目を総合的に評価する指標である。
【0060】
マナー基準点の算出を任意に行う構成において、制御部28は、例えば、任意のリンクに対して、記憶部27に格納済みの平均化したマナー項目毎の評価点、すなわち当該任意のリンクの通過後である車両12の複数のマナー項目毎の評価点を用いて、当該任意のリンクのマナー基準点を算出する。
【0061】
制御部28は、例えば、全マナー項目の評価点を平均化することによりマナー基準点を算出する。または、制御部28は、マナー基準点の算出に全マナー項目の評価点を用いずに、少なくとも一部のマナー項目に基づいて算出してもよい。マナー基準点の算出に用いるマナー項目は、設計時に人為的に定められてよい。または、自動的に定められてもよい。
【0062】
制御部28は、例えば、リンク毎の行動情報の取得回数当たりの、リンク毎に分類されたマナー項目の評価点の認識回数の割合(以後、「認識率」と呼ぶことがある。)に基づいて、自動的に定めてもよい。後述する仮ルートは少なくとも1つのリンクによって構成されるので、制御部28は、仮ルートのマナー基準点の算出(認識)に用いる少なくとも一部のマナー項目を、行動情報の取得回数当たりの、仮ルートが含む位置に相当する位置情報と関連付けられたマナー項目の評価点の認識回数の割合に基づいて定めていると言える。
【0063】
例えば、制御部28は、任意のリンクにおいて、任意のマナー項目の評価点の認識率が小さい場合、当該任意のマナー項目の評価点を当該任意のリンクのマナー基準点の算出から除外する。さらに具体的には、制御部28は、任意のリンクにおいて、任意のマナー項目の評価点の認識率が認識閾値以下である場合、当該任意のマナー項目の評価点を当該リンクのマナー基準点の算出から除外することを決定する。また、制御部28は、任意のリンクにおいて、任意のマナー項目の評価点の認識率が大きい場合、当該任意のマナー項目の評価点を当該任意のリンクのマナー基準点の算出に適用する。さらに具体的には、制御部28は、任意のリンクにおいて、任意のマナー項目の評価点の認識率が認識閾値を超える場合、当該任意のマナー項目の評価点を当該リンクのマナー基準点の算出に適用することを決定する。
【0064】
制御部28は、リンク毎のマナー基準点の算出に用いるマナー項目を決定すると、マナー基準点の算出に用いることを決定した全マナー項目の評価点を平均化することにより、リンク毎のマナー基準点を算出する。例えば、
図5に示すように、任意のリンクにおいて、速度同調性、速度安定性、車線変更の円滑性、信号反応性、横断歩道の完全停止性、一時停止線の完全停止性、および制限速度の遵守性を、当該リンクのマナー基準点の算出に適用することを決定すると、それぞれのマナー項目の評価点MEp1、MEp2、MEp5、MEp8、MEp9、MEp10、MEp11を平均化することにより、当該リンクのマナー基準点MEptが算出される。制御部28は、算出したマナー基準点を記憶部27に格納する。
【0065】
制御部28は、任意の車両12から二地点間のルート探索の要求を取得する場合、二地点間を結ぶ複数の仮ルートを決定する。制御部28は、例えば、複数の仮ルートを構成するリンクおよびノードを決定することにより仮ルートを決定する。なお、制御部28は、二地点間を結ぶルートが単一である場合、仮ルートを決定することなく、当該単一のルートを提案ルートとして車両12に付与する。
【0066】
制御部28は、複数の仮ルートを決定すると、以下に説明するように、複数の仮ルートそれぞれのマナー基準点を認識する。制御部28は、例えば、仮ルートの通過後である車両12の複数のマナー項目の評価点の平均値を用いて、マナー基準点を認識してよい。仮ルートの通過後である車両12の複数のマナー項目の評価点の平均値は、例えば、記憶部27に記憶した仮ルートを構成するリンク毎の算出済みのマナー基準点を読出すことにより、認識に用いられる。または、制御部28は、ルート探索の要求を取得したときに、仮ルートの通過前である車両12の複数のマナー項目の評価点の平均値を用いてマナー基準点を算出することにより、マナー基準点を認識してもよい。
【0067】
仮ルートの通過前である車両12は、例えば、制御部28が仮ルートを提案ルートとして付与し、且つ当該ルートを通過前の車両12である。または、仮ルート通過前である車両12は、例えば、車両12自身が作成して制御部28に通知した走行予定のルートが仮ルートと一致し、且つ当該ルートを通過前の車両12である。制御部28は、車両12に提案ルートを付与する場合、当該提案ルートを構成する全リンクに、当該車両12のマナー項目毎の評価点を関連付け、当該車両12がそれぞれのリンクを通過後に当該リンクに対する関連付けを解消する。また、制御部28は、車両12から走行予定のルートを取得する場合、当該ルートを構成する全リンクに、当該車両12のマナー項目毎の評価点を関連付け、当該車両12がそれぞれのリンクを通過後に当該リンクに対する関連付けを解消する。制御部28は、仮ルートの通過前である車両12のマナー項目毎の評価点を、関連付けられた評価点を平均することにより算出する。
【0068】
制御部28は、仮ルート毎のマナー基準点を認識すると、ルート探索を要求した車両12のマナー項目毎の評価点を認識する。当該車両12のマナー項目毎の評価点の認識は、記憶部27からの読出しに基づいてもよいし、新規に当該車両12から取得する行動情報に基づいてもよい。
【0069】
制御部28は、認識した車両12のマナー項目毎の評価点を用いて総合評価点を算出する。制御部28は、総合評価点の算出を、例えば、リンク毎に行う。制御部28は、リンク毎のマナー基準点の算出に用いたマナー項目と同じ、取得したマナー項目の評価点を平均化することにより、リンク毎の総合評価点を算出する。したがって、マナー基準点の算出に一部のマナー項目を用いたリンクにおいては、当該一部のマナー項目と同じ、取得したマナー項目の評価点を平均化することにより総合評価点は算出される。
【0070】
制御部28は、マナー基準点および総合評価点の比較に基づいて、複数の仮ルートの少なくとも一部を提案ルートとして選択する。制御部28は、例えば、リンク毎に定められる移動時間または距離に基づくコストに、マナー基準点および総合評価点の比較に基づく、後述する調整パラメータを乗じる。制御部28は、例えば、ダイクストラ法などの数学的手法を用いて、調整パラメータにより修正されたリンク毎のコストに基づいて、コストが最小となる単一の仮ルートを提案ルートとして選択する。また、制御部28は、コストが小さい順に複数の仮ルートを提案ルートとして選択してもよい。制御部28は、選択した提案ルートを、付与部26を介して、車載情報処理装置15に付与する。
【0071】
なお、調整パラメータは、例えば、0から1の間の変数である。
【0072】
次に、本実施形態において車載情報処理装置15の制御部24が実行する、行動情報付与処理について、
図6のフローチャートを用いて説明する。行動情報付与処理は、例えば、行動情報の情報処理装置10への付与と同時に開始する。
【0073】
ステップS100において、制御部24は、行動情報を情報処理装置10に向けて次回の付与を行うまでの間に取得する検出情報を少なくとも用い、さらに必要であれば記憶部20に記憶した過去の検出情報も用いていずれかのマナー項目の評価点を算出可能であるか否かを判別する。評価点を算出可能である場合、プロセスはステップS101に進む。評価点を算出できない場合、プロセスはステップS102に進む。
【0074】
ステップS101では、制御部24は、取得した検出情報および必要に応じて選択される過去の検出情報を用いて、算出可能なマナー項目の評価点を算出する。算出後、プロセスはステップS102に進む。
【0075】
ステップS102では、制御部24は、同時に取得した検出情報およびステップS101において算出したマナー項目の評価点の少なくともいずれかを、記憶部20に記憶したユーザの識別情報に関連付ける。関連付け後、プロセスはステップS103に進む。
【0076】
ステップS103では、制御部24は、ステップS102においてユーザの識別情報を関連付けた検出情報およびマナー項目の評価点の少なくとも一方を記憶部20に格納する。格納後、プロセスはステップS104に進む。
【0077】
ステップS104では、制御部24は、ステップS102においてユーザの識別情報を関連付けた検出情報およびマナー項目の評価点の少なくとも一方を、行動情報として、通信装置14を介して、情報処理装置10に付与する。付与後、行動情報送付与理を終了する。
【0078】
次に、本実施形態において情報処理装置10の制御部28が実行する、行動情報取得処理について、
図7のフローチャートを用いて説明する。行動情報取得処理は、例えば、行動情報が取得されるたびに開始する。
【0079】
ステップS200において、制御部28は、取得した行動情報が1以上のマナー項目の評価点を有しているか否かを判別する。マナー項目の評価点を含まない場合、プロセスはステップS201に進む。マナー項目の評価点を含む場合、プロセスはステップS202に進む。
【0080】
ステップS201では、制御部28は、取得した行動情報、および、必要に応じて記憶部27に記憶した過去の行動情報に基づいて、行動情報を付与した車両12の算出可能なマナー項目の評価点を算出する。マナー項目の評価点の算出後、プロセスはステップS202に進む。
【0081】
ステップS202では、制御部28は、取得した行動情報に含まれるマナー項目の評価点、またはステップS201において算出したマナー項目の評価点を、マナー項目毎に記憶部27に記憶したリンクのいずれかに分類する。分類後、プロセスはステップS203に進む。
【0082】
ステップS203では、制御部28は、ステップS202においていずれかのリンクに分類されたマナー項目毎の評価点を、記憶部27に記憶されている、同じリンクに分類されたマナー項目毎の評価点と平均化する。平均化後、プロセスはステップS204に進む。
【0083】
ステップS204では、制御部28は、ステップS203において平均化したマナー項目毎の評価点を用いて、リンク毎のマナー基準点を算出する。マナー基準点の算出後、プロセスはステップS205に進む。
【0084】
ステップS205では、制御部28は、取得した行動情報をユーザ毎に、ステップS202において算出したマナー項目毎の評価点をリンク毎に、ステップS203において平均化したマナー項目毎の評価点をリンク毎に、ステップS204において算出したマナー基準点をリンク毎に記憶部27に格納する。格納後、行動情報取得処理は終了する。
【0085】
次に、本実施形態において情報処理装置10の制御部28が実行する、マナー基準点の算出式作成処理について、
図8のフローチャートを用いて説明する。算出式作成処理は、例えば、周期的に、または定期的に開始する。
【0086】
ステップS300において、制御部28は、算出式作成処理の開始後で、算出式を作成していないリンクを選択する。選択後、プロセスはステップS301に進む。
【0087】
ステップS301では、制御部28は、ステップS301において選択したリンクに分類された行動情報の取得回数と、当該リンクに分類されたマナー項目の評価点の認識回数とを記憶部27から読出す。読出し後、プロセスはステップS302に進む。
【0088】
ステップS302では、制御部28は、ステップS302において読出した、行動情報の取得回数およびマナー項目の評価点の認識回数に基づいて、マナー項目の評価点の認識率を算出する。算出後、プロセスはステップS303に進む。
【0089】
ステップS303では、制御部28は、ステップS302において算出した認識率が認識閾値以下であるか否かを判別する。認識率が認識閾値以下である場合、プロセスはステップS304に進む。認識率が認識閾値以下でない場合、プロセスはステップS305に進む。
【0090】
ステップS304では、制御部28は、ステップS301において読出した評価点のマナー項目を、マナー基準点の算出の適用から除外することを決定する。決定後、プロセスはステップS306に進む。
【0091】
ステップS305では、制御部28は、ステップS301において読出した評価点のマナー項目を、マナー基準点の算出に適用することを決定する。決定後、プロセスはステップS306に進む。
【0092】
ステップS306では、制御部28は、全マナー項目に対して、算出式への適用の可否の決定を行ったか否かを判別する。全マナー項目に対して決定を行っていない場合、プロセスはステップS301に戻る。全マナー項目に対して決定を行った場合、プロセスはステップS307に進む。
【0093】
ステップS307では、制御部28は、ステップS305において適用を決定した全マナー項目の評価点の平均値を算出する算出式を作成する。作成後、プロセスはステップS308に進む。
【0094】
ステップS308では、制御部308は、ステップS307において作成したマナー基準点の算出式をリンクと関連付けて記憶部27に格納する。格納後、プロセスはステップS309に進む。
【0095】
ステップS309では、制御部28は、算出式作成処理の開始後で、全リンクに対してマナー基準点の算出式を作成したか否かを判別する。作成していない場合、プロセスはステップS300に戻る。作成済みである場合、算出式作成処理は終了する。
【0096】
次に、本実施形態において情報処理装置10の制御部28が実行する、提案ルート付与処理について、
図9のフローチャートを用いて説明する。提案ルート付与処理は、車両12からルート探索の要求を取得する場合、開始する。
【0097】
ステップS400において、制御部28は、取得したルート探索の要求における二地点を結ぶ複数の仮ルートを決定する。決定後、プロセスはステップS401に進む。
【0098】
ステップS401では、制御部28は、ステップS400で決定した仮ルートを構成する全リンクを、当該リンクに対して定められているコストともに、記憶部27から読出す。読出し後、プロセスはステップS402に進む。
【0099】
ステップS402では、制御部28は、ルート探索に用いるマナー基準点を、リンクをこれから通過する予定である予定車両、またはリンクを過去に通過した過去車両のいずれのマナー項目の評価点に基づかせるかを判別する。なお、いずれに基づかせるかについては、制御部28に予め設定されていてよい。または、いずれに基づかせるかについては、例えば、予定車両の台数が台数閾値未満の場合に過去車両に基づかせ、台数閾値以上の場合に予定車両に基づかせるなどのように、特定の条件に基づいて分類してよい。過去車両に基づかせる場合、プロセスはステップS403に進む。予定車両に基づかせる場合、プロセスはステップS404に進む。
【0100】
ステップS403では、制御部28は、ステップS401において読出した複数のリンクそれぞれのマナー基準点を、記憶部27から読出す。読出し後、プロセスはステップS406に進む。
【0101】
ステップS404では、制御部28は、ステップS401において読出した複数のリンクそれぞれに、リンクの通過車両のマナー項目毎の評価点を、記憶部27から読出す。読出し後、プロセスはステップS405に進む。
【0102】
ステップS405では、制御部28は、ステップS404において読出した通過車両のマナー項目毎の評価点をそれぞれ平均化する。さらに、制御部28は、それぞれ平均化したマナー項目毎の評価点を用いてリンク毎のマナー基準点を算出する。算出後、プロセスはステップS406に進む。
【0103】
ステップS406では、制御部28は、ルート探索を要求した車両12のマナー項目毎の評価点を記憶部27から読出す。さらに、制御部28は、読出したマナー項目毎の評価点に基づいて、ルート探索を要求した車両12の総合評価点をリンク毎に算出する。算出後、プロセスはステップS407に進む。
【0104】
ステップS407では、制御部28は、ステップS403において読出したマナー基準点またはステップS405において算出したマナー基準点と、ステップS406において算出した総合評価点とに基づいて、リンク毎の調整パラメータを算出する。算出後、プロセスはステップS408に進む。
【0105】
ステップS408では、制御部28は、ステップS401において読出したリンク毎のコストを、ステップS407において算出したリンク毎の調整パラメータによって調整して、仮ルート別のコスト評価を行う。コスト評価後、プロセスはステップS409に進む。
【0106】
ステップS409では、制御部28は、ステップS408で行ったコスト評価に基づいて、ステップS400において決定した複数の仮ルートの一部を提案ルートとして選択する。選択後、プロセスはステップS410に進む。
【0107】
ステップS410では、制御部28は、ステップS409において選択した提案ルートを、付与部26を介して、車載情報処理装置15に付与する。付与後、提案ルート付与処理は終了する。
【0108】
以上のような構成の本実施形態の情報処理装置10は、車両12からルート探索の要求を取得する場合、複数の仮ルートを決定し、仮ルート毎のマナー基準点を認識し、当該車両12の行動情報に基づく複数のマナー項目それぞれの評価点を用いて総合評価点を算出し、マナー基準点および総合評価点に基づいて複数の仮ルートの中から提案ルートを選択する。一般的に、ユーザの運転における嗜好はユーザの多様な運転行動に反映されうる。このような事象に対して、情報処理装置10に用いられるマナー項目毎の評価点はユーザの多様な運転行動に基づいて算出されるので、マナー項目毎の評価点を用いて算出される総合評価点はユーザ毎の運転における嗜好の多面的な評価を示し得る。また、情報処理装置10において仮ルート毎に認定されるマナー基準点は仮ルートを通過予定または通過した車両12の平均的なユーザの運転嗜好の多面的な評価を示している。したがって、情報処理装置10において、上述のように、情報処理装置10は、マナー基準点と総合評価点を比較することにより、ルート探索を要求する車両12のユーザの運転における嗜好に近い嗜好を有するユーザの多い仮ルートを提案ルートとして選択する可能性が高められ得る。したがって、情報処理装置10は、ユーザ毎の運転における嗜好により適したルートをユーザに提示し得る。
【0109】
例えば、ある出発地点から目的地までの複数の仮ルートの中で、信号の無い横断歩道の多い仮ルートと信号の無い横断歩道の少ない仮ルートとがある場合、交通ルールの遵守と交通マナーの円滑化の両者の間隔をバランスよく持つユーザは後者の仮ルートを選択する可能性が高い。このような事象において、本実施形態の情報処理装置10では、後者の仮ルートに対して認識されるマナー基準点は、前者の仮ルートに比べて、交通ルールの遵守と交通マナーの円滑化の両者の間隔をバランスよく持つユーザの総合評価点に近付く傾向が高いと考えられる。それゆえ、情報処理装置10は、交通ルールの遵守と交通マナーの円滑化の両者の間隔をバランスよく持つユーザに対して、信号の無い横断歩道の少ない仮ルートを提案する可能性が高まり、当該ユーザの不快感を低減し得る。
【0110】
また、本実施形態の情報処理装置10は、複数の仮ルートのマナー基準点を、それぞれの仮ルートの通過後である車両12の複数のマナー項目それぞれの評価点に基づいて認識する。このような構成により、情報処理装置10は、例えば、車両12の通行量が少なく、今後、通行する車両12だけではマナー基準点の評価の信頼性が低くなる仮ルートに対しても、通行予定の車両12を用いずにマナー基準点を算出し得るので、マナー基準点の評価の信頼性を向上させ得る。
【0111】
また、本実施形態の情報処理装置10は、複数の仮ルートのマナー基準点を、それぞれの仮ルートの通過前ある車両12の複数のマナー項目それぞれの評価点に基づいて認識する。このような構成により、情報処理装置10は、運転における嗜好が近いユーザの車両12を同じルートに誘導しやすくなるので、ユーザ毎の運転における嗜好にいっそう適したルートをユーザに提示し得る。
【0112】
また、本実施形態の情報処理装置10では、仮ルートのマナー基準点の認定に用いられる一部のマナー項目は、仮ルート毎に定められており、総合評価点がマナー基準点の認識に用いたマナー項目の評価点に基づいて算出される。多様なマナー項目の中には、仮ルートとの関連性が低いマナー項目が含まれうる。例えば、横断歩道の少ない仮ルートに対しては、横断歩道の完全停止性との関連性が低い。このような事象に対して、情報処理装置10は、仮ルートとの関連性の低いマナー項目の評価点の、マナー基準点および総合評価点の算出への適用を除外し得る。したがって、情報処理装置10は、それぞれの仮ルートに対するマナー基準点の評価の信頼性を向上させ得る。
【0113】
また、本実施形態の情報処理装置10では、行動情報を取得するたびに当該行動情報を用いて認識可能なマナー項目の評価点を認識し、当該行動情報を付与した車両12の位置情報と当該評価点を関連付けて記憶し、複数の仮ルートそれぞれのマナー基準点の認識に用いるマナー項目を、行動情報の取得回数当たりの、それぞれの仮ルートが含む位置に相当する位置情報と関連付けられたマナー項目の評価点の認識回数の割合に基づいて定めている。当該認識回数の割合の低いマナー項目は、仮ルートとの関連性が低いことが一般的である。それゆえ、上述の構成を有する情報処理装置10は、仮ルートとの関連性の低いマナー項目を、実際のマナー項目の認識状況から自動的に推定している。したがって、情報処理装置10では、マナー基準点の認定に用いる一部のマナー項目を人為的に決定する工数を削減させ得る。
【0114】
本発明を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形および修正を行うことが容易であることに注意されたい。したがって、これらの変形および修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段または各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段またはステップなどを1つに組み合わせたり、あるいは分割したりすることが可能である。
【0115】
例えば、上述した実施形態において、通信装置14が車載通信機であり、車載情報処理装置15が車両12に搭載されるナビゲーション装置である例について説明した。しかしながら、通信装置14および車載情報処理装置15が実行する一部または全部の処理動作を、例えばスマートフォンまたはコンピュータ等の任意の電子機器が実行する構成も可能である。
【0116】
また例えば、上述した実施形態において車両12において実行される一部の処理動作が情報処理装置10において実行されてもよく、情報処理装置10において実行される一部の処理動作が車両12において実行されてもよい。
【0117】
また、例えばスマートフォン又はコンピュータ等の汎用の電子機器を、上述した実施形態に係る通信装置14、車載情報処理装置15、または情報処理装置10として機能させる構成も可能である。具体的には、実施形態に係る通信装置14などの各機能を実現する処理内容を記述したプログラムを、電子機器のメモリに格納し、電子機器のプロセッサによって当該プログラムを読み出して実行させる。したがって、本実施形態に係る発明は、プロセッサが実行可能なプログラムとしても実現可能である。
【符号の説明】
【0118】
10 情報処理装置
11 情報処理システム
12 車両
13 ネットワーク
14 通信装置
15 車載情報処理装置
16 通信部
17 記憶部
18 制御部
19 通信部
20 記憶部
21 情報取得部
22 出力部
23 入力部
24 制御部
25 取得部
26 付与部
27 記憶部
28 制御部