(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】半田ペースト回収装置、半田印刷装置および半田ペースト回収方法
(51)【国際特許分類】
B41F 15/40 20060101AFI20221213BHJP
B41F 15/08 20060101ALI20221213BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20221213BHJP
H05K 3/12 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B41F15/40 A
B41F15/08 303E
H05K3/34 505D
H05K3/12 610N
H05K3/12 610Q
(21)【出願番号】P 2018205710
(22)【出願日】2018-10-31
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】曲谷 光正
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-219536(JP,A)
【文献】特開平05-193106(JP,A)
【文献】国際公開第2018/096607(WO,A1)
【文献】特開2017-071072(JP,A)
【文献】特開昭62-132643(JP,A)
【文献】特開平04-288235(JP,A)
【文献】実開平01-172460(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/40
B41F 15/08
H05K 3/34
H05K 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷面から所定の高さに支持された本体と、
前記本体を前記被印刷面に沿って摺動させる摺動機構と、
前記本体を前記被印刷面に対して上下させる本体上下機構と、
前記本体に連結され、長手方向が摺動方向に垂直な、半田ペーストを前記被印刷面に展延するスキージと、
前記スキージを前記被印刷面に対して上下させるスキージ上下機構と、
前記本体に設けられた前記スキージの長手方向と平行な回転軸に連結され、回転円周と同じ側に湾曲した湾曲面を有する半田ペースト収容板と
を有し、
前記半田ペースト収容板の回転を前記本体の摺動方向両側で制御し、
前記半田ペースト収容板の両側に、弾力性があり、先端が前記半田ペースト収容板の回転半径よりも大きい半田掻き取り部を有する
ことを特徴とす
る半田ペースト回収装置。
【請求項2】
前記スキージの摺動方向に配列して前記本体に連結し、長手方向が前記スキージと平行な第2のスキージと、
前記第2のスキージを前記被印刷面に対して上下させる第2の上下機構と
を有することを特徴とする請求項1に記載の半田ペースト回収装置。
【請求項3】
前記スキージの短手方向または前記第2のスキージの短手方向の少なくとも一方が、前記被印刷面の鉛直方向に対して傾いている
ことを特徴とする請求項2に記載の半田ペースト回収装置。
【請求項4】
前記スキージと前記第2のスキージとの間隔が、前記被印刷面に近付くほど広くなっている
ことを特徴とする請求項3に記載の半田ペースト回収装置。
【請求項5】
前記半田ペースト収容板と前記本体との連結を解除可能とするロック機構を有する
ことを特徴とする請求項1乃至
4のいずれか一項に記載の半田ペースト回収装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の半田ペースト回収装置と、
前記被印刷面に前記半田ペーストをパターニングするためのマスクを保持するマスクホルダと
を有することを特徴とする半田印刷装置。
【請求項7】
被印刷面から所定の高さに支持された本体を、前記被印刷面に沿って摺動させ、
前記本体を前記被印刷面に対して上下させ、
前記本体に連結され、長手方向が摺動方向に垂直なスキージを前記被印刷面に対して上下させ、
前記本体に設けられた前記スキージの長手方向と平行な回転軸に連結され、回転円周と同じ側に湾曲した湾曲面を有する半田ペースト収容板の回転を、前記本体の摺動方向両側で制御し、
前記半田ペースト収容板に半田ペーストを収容
し、
前記半田ペースト収容板は、両側に、弾力性があり先端が前記半田ペースト収容板の回転半径よりも大きい半田掻き取り部を有する、
ことを特徴とする半田ペースト回収方法。
【請求項8】
前記半田ペーストを前記スキージで堰き止め、
前記スキージの前記半田ペーストの側から、前記半田ペースト収容板を前記被印刷面と前記半田ペーストの間に差し入れ、
前記スキージと前記半田ペースト収容板とを、
前記被印刷面から上昇させる
ことを特徴とする請求項
7に記載の半田ペースト回収方法。
【請求項9】
前記被印刷面に対する角度が異なる第1のスキージと第2のスキージとを用い、
前記第1のスキージで第1の摺動方向の前記半田ペーストの印刷を行い、前記第1のスキージと前記半田ペースト収容板とを用いて前記半田ペーストを回収し、
前記第2のスキージで第2の摺動方向の前記半田ペーストの印刷を行い、前記第2のスキージと前記半田ペースト収容板とを用いて前記半田ペーストを回収する
ことを特徴とする請求項
8に記載の半田ペースト回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半田ペースト回収装置および半田ペースト回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半田印刷工程では、ステンシルマスク上に一定量の半田ペーストを供給し、
図1の様にスキージを摺動させることによって半田ペーストをローリングさせ、ステンシルマスクの開口部を通してプリント配線板に印刷を行っている。
【0003】
ステンシルマスクの開口パターンはプリント配線板の種類によって異なるため、生産機種の切換えの際にはステンシルマスクを交換する必要がある。ステンシルマスクを交換するには、交換前のステンシルマスク上に残った半田ペーストを回収し、交換後のステンシルマスク上に移し替える必要がある。またスキージに付着した半田ペーストが交換の際に下に垂れ落ちる可能性があるため、スキージに付着した半田ペーストの除去も必要となる。
【0004】
通常これらの作業は、ヘラなどを用いて人手で行われており、作業工数が掛るといった問題がある。また機種切替えを自動化する場合の妨げとなっている。
【0005】
この様な課題を解決するための技術が、例えば、特許文献1に開示されている。この技術では、スクリーンマスク上に回収用のプレートを着地させ、印刷後の半田ペーストを、スキージで、このプレート上に掻き上げることで半田ペーストを回収している。
【0006】
また、特許文献2には、スキージユニットにすくい取り部を設け、すくい取り部を正方向に回転させることによって半田ペーストを回収、逆方向に回転させることによって供給する機構が公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平04-358833号公報
【文献】特許第3064629号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の技術では、回収用のプレートおよびその駆動機構を、印刷部の外側に設けているため、その分印刷装置が大きくなるという問題がある。
【0009】
また特許文献2の機構では、相対するスキージに対してすくい取りの機構が対称ではなく、半田ペーストを回収するためには回転正方向側のスキージに半田ペーストを寄せる必要がある。このため回転逆方向側のスキージで印刷が終了している場合は、回転正方向側のスキージ位置を半田ペースト側に移動させる動作が必要である。その結果、回収に時間を要するという問題がある。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、印刷装置を大型化させることなく、短時間で半田ペーストを回収できる半田ペースト回収装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、半田ペースト回収装置は、被印刷面から所定の高さに支持された本体と、本体を被印刷面に沿って摺動させる摺動機構と、本体を被印刷面に対して上下させる本体上下機構とを有する。また本体に連結され、長手方向が摺動方向に垂直なスキージと、スキージを被印刷面に対して上下するスキージ上下機構とを有する。さらに、本体に設けられたスキージの長手方向と平行な回転軸に連結され、回転円周と同じ側に湾曲した湾曲面を有する半田ペースト収容板を有する。この半田ペースト収容板を、スキージの下を通過して、本体の摺動方向両側で回転を制御できるようにする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果は、印刷装置を大型化させることなく、短時間で半田ペーストを回収できる半田ペースト回収装置を提供できることである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態の半田ペースト回収装置を示す側面図である。
【
図2】第1の実施形態の半田ペースト回収装置を示す上面図と正面図である。
【
図3】第1の実施形態の回収動作のステップ1を示す側面図である。
【
図4】第1の実施形態の回収動作のステップ2を示す側面図である。
【
図5】第1の実施形態の回収動作のステップ3を示す側面図である。
【
図6】第1の実施形態の回収動作のステップ4を示す側面図である。
【
図7】第1の実施形態の回収動作のステップ5を示す側面図である。
【
図8】第1の実施形態の回収動作のステップ6を示す側面図である。
【
図9】第1の実施形態の回収動作のステップ7を示す側面図である。
【
図10】第2の実施形態の半田ペースト回収装置を示す斜視図である。
【
図11】第2の実施形態の回収動作のステップ1を示す側面図である。
【
図12】第2の実施形態の回収動作のステップ2を示す側面図である。
【
図13】第2の実施形態の回収動作のステップ3を示す側面図である。
【
図14】第2の実施形態の回収動作のステップ4を示す側面図である。
【
図15】第2の実施形態の回収動作のステップ5を示す側面図である。
【
図16】第2の実施形態の回収動作のステップ6を示す側面図である。
【
図17】第2の実施形態の回収動作のステップ7を示す側面図である。
【
図18】第2の実施形態の回収動作のステップ8を示す側面図である。
【
図19】第2の実施形態の回収動作のステップ9を示す側面図である。
【
図20】第2の実施形態の回収動作のステップ10を示す側面図である。
【
図21】第2の実施形態の回収動作のステップ11を示す側面図である。
【
図22】第2の実施形態の回収動作のステップ12を示す側面図である。
【
図23】第2の実施形態の回収動作のステップ13を示す側面図である。
【
図24】第2の実施形態の回収動作のステップ14を示す側面図である。
【
図25】第2の実施形態の回収動作のステップ15を示す側面図である。
【
図26】第2の実施形態の回収動作のステップ16を示す側面図である。
【
図27】第2の実施形態の回収動作のステップ17を示す側面図である。
【
図28】第2の実施形態の回収動作のステップ18を示す側面図である。
【
図29】第2の実施形態の回収動作のステップ19を示す側面図である。
【
図30】第2の実施形態の回収動作のステップ20を示す側面図である。
【
図31】第2の実施形態の回収動作のステップ21を示す側面図である。
【
図32】第2の実施形態の回収動作のステップ22を示す側面図である。
【
図33】第2の実施形態の回収動作のステップ23を示す側面図である。
【
図34】第3の実施形態の半田ペースト回収装置を示す斜視図である。
【
図35】第3の実施形態の半田ペースト回収装置の機能を示す斜視図である。
【
図36】第4の実施形態の印刷装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお各図面の同様の構成要素には同じ番号を付し、説明を省略する場合がある。
【0015】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の半田ペースト回収装置を示す側面図である。半田ペースト回収装置は、被印刷面8から所定の高さに支持された本体1と、本体1を被印刷面に沿って摺動させる摺動機構2と、本体1を被印刷面8に対して上下させる本体上下機構3とを有する。また本体1に連結され、長手方向が摺動方向に垂直なスキージ4と、スキージ4を被印刷面8に対して上下するスキージ上下機構5とを有する。さらに、本体1に設けられたスキージ4の長手方向と平行な回転軸6に連結され、回転円周と同じ側に湾曲した湾曲面を有する半田ペースト収容板7を有する。この半田ペースト収容板7は、スキージ4の下を通過して、本体1の摺動方向両側で回転を制御できるようになっている。
図2(a)は半田ペースト回収装置の上面図であり、
図2(b)は半田ペースト回収装置の正面図である。本体1およびそれに連結する各部は摺動機構2の長手方向に摺動し、半田ペースト9を被印刷面8に印刷することができる。
【0016】
次に半田ペースト回収装置の動作について説明する。
図3~
図9は本実施形態の半田ペースト回収装置の動作を示す図である。まず
図3のように、半田ペースト収容板7が、スキージ4の半田ペースト9がある側の上方で待機している。これをステップ1とする。
【0017】
次に、
図4のように、半田ペースト収容板7を下方に回転し、半田ペースト9の下方に差し入れる。この時、半田ペースト収容板7の先端が被印刷面に接するように、本体1の高さを制御する。これをステップ2とする。
【0018】
次に、
図5に示すように、さらに半田ペースト収容板7を同じ方向に回転させて、スキージ4が半田ペースト9を堰き止めた状態で、半田ペースト9を半田ペースト収容板7に収容する。半田ペースト9を半田ペースト収容板7に収容したところで、半田ペースト収容板7の回転を停止する。これをステップ3とする。
【0019】
次に、
図6に示すように、本体上下機構3を用いて、本体1を上昇させる。この動作により、スキージ4および半田ペースト収容板7も被印刷面8の上方に移動する。これをステップ4とする。この状態では、スキージ4および半田ペースト収容板7が、被印刷面8から離れているので、例えば、被印刷面8に配置されたマスクを交換することができる。ここでは、マスクを交換したものとする。
【0020】
マスクの交換が終わったら、
図7に示すように、スキージ4を半田ペースト9の反対側に移動する。図示はしていないが、この時、スキージ4を一旦上昇させて、半田ペースト9の上方を越えてから、再び下降させる動作を行う。これをステップ5とする。
【0021】
次に、
図8に示すように、本体1を下降させて、半田ペースト収容板7を被印刷面8に当接させる。これをステップ6とする。
【0022】
次に、
図9に示すように、半田ペースト収容板7を半田ペースト9が無い側に回転させて、半田ペースト9を被印刷面8に供給するとともに、スキージ4を被印刷面8に当接させる。これをステップ7とする。ここからスキージ4を半田ペースト9がある側に摺動させることにより、被印刷面8に半田ペースト9を印刷することができる。以上の動作により、スキージ4の摺動による印刷を終えた半田ペースト9を回収し、次の印刷に供給することができる。なお上記のステップ1から9の番号は、説明のために付与したものであり、ステップ1から開始されることに限定するものではない。
【0023】
上記の半田ペースト9の回収及び供給の動作は、スキージ4の摺動が逆の時は、半田ペースト収容板7の回転を逆にすれば良い。このため、一方向に印刷した後に半田ペースト9を回収および供給し、逆方向に印刷した後に再度半田ペースト9を回収および供給することができる。すなわち、スキージを印刷の開始点に戻すことなく、半田ペースト9を回収・供給して、往復の印刷を行うことができる。
【0024】
(第2の実施形態)
図10は、第2の実施形態の半田ペースト回収装置を示す斜視図である。半田回収装置は、本体10と、本体を上下させる本体上下機構30と、第1のスキージ41と、第2のスキージ42と半田ペースト回収部70とを有している。なお、図示は省略しているが、本体を被印刷面に沿って摺動させる摺動機構も備えている。
【0025】
第1のスキージ41は本体1に第1の上下機構51を介して連結され、上下動を行うことができる。同様に、第2のスキージ42は本体1に第2の上下機構52を介して連結され、上下動を行うことができる。ここでは、第1のスキージ41が紙面右側に傾き、第2のスキージ42が紙面左側に傾くように、それぞれ上下機構に固定されている。このような角度にするのは、一般に知られているように、第1のスキージ41は半田ペーストを紙面右側に摺動させる印刷に適し、第2のスキージ42は半田ペーストを紙面左側に摺動させる印刷に適しているためである。
【0026】
半田ペースト回収部70は半田ペースト収容板71の外側に、弾力性があり先端が半田ペースト収容板71の回転半径よりも大きい円周上にある半田掻き取り部72を接続した構成になっている。半田ペースト回収部70は、アーム73で、本体10に配置された回転軸60に連結され、回転軸60を中心に回転できるようになっている。半田ペースト回収部70は、第1のスキージ41および第2のスキージ42の下方を越えて、反対側にも回転制御できるようになっている。半田ペースト回収部70の回転は、回転軸60に固定された従動ギア61を、モータ11に固定された駆動ギア12で駆動することにより行う。半田ペースト回収部70の回転角は、モータ11の回転を制御することによって制御される。この制御は、図示はしていない制御部からの制御信号によって行われる。制御部は、摺動機構、本体上下機構30、第1の上下機構51、第2の上下機構52の制御も行う。
【0027】
次に半田ペースト回収装置の動作について説明する。
図11から
図35は、本実施形態の動作を示す側面図である。
【0028】
まず、半田ペーストの回収動作について説明する。
図11は、第2のスキージ42が半田ペースト90を紙面右から左に摺動させて、被印刷面80への印刷を完了し、半田ペースト回収部70が上方で待機している状態を示している(ステップ1)。
【0029】
次に
図12の様に、第2のスキージ42が下がった状態で、半田ペースト回収部70が下方に回転して、半田ペースト掻き取り部72が、被印刷面80に当接する(ステップ2)。次に
図13に示すように、半田ペースト回収部70をさらに同じ方向に回転させ、半田ペースト掻き取り部72を半田ペースト90の下方に差し入れる(ステップ3)。次に
図14に示すように、半田ペースト回収部70をさらに同じ方向に回転させて、半田ペースト90を半田ペースト収容板71に収容する。この時、第2のスキージ42に当接する半田ペースト回収部70にストレスがかからないように、第2のスキージ42の高さを制御する(ステップ4)。次に、
図15に示すように、第2のスキージ42を上昇させる(ステップ5)。次に、
図16に示すように、本体10を上昇させて、本体10に連結する各部全体を上昇させる。これにより、半田ペースト90の回収工程が完了する(ステップ6)。
【0030】
次に回収した半田ペースト90を被印刷面80上に供給する工程を、図を用いて説明する。先ず
図17の様に、本体10を含む全体が下降して、半田ペースト回収部70が被印刷面80に接触する(ステップ7)。次に
図18の様に第2のスキージ42が下降して半田ペースト90及び半田ペースト回収部70と接触する(ステップ8)。次に
図19の様に、半田ペースト回収部70を、第2のスキージ42の方向に回転する。これにより、第2のスキージ42が、半田ペースト90に当接する(ステップ9)。次に、
図20に示すように、半田ペースト回収部70をさらに同じ方向に回転させる。これにより、半田ペースト90が、第2のスキージ42により押し出され、被印刷面80上に供給される(ステップ10)。次に半田ペースト回収部70を更に回転させ、
図21の様に、半田ペースト回収部70は、第2のスキージ42が方向の待機位置で停止する(ステップ11)。
【0031】
次に印刷終了時に半田ペースト回収部70が、印刷したスキージ側で待機している場合の動作について図を用いて説明する。印刷が終了すると
図22の様に、第2のスキージ42が上昇する(ステップ12)。次に
図23の様に、第1のスキージ41が下降し、被印刷面80に当接する(ステップ13)。次に、
図24の様に、第2のスキージ42が側にあった半田ペースト回収部70が、第1のスキージ41の方向に回転し、半田ペースト掻き取り部72が被印刷面80に接触する(ステップ14)。次に、
図25の様に、さらに同じ方向に半田ペースト回収部70を回転させるとともに、第1のスキージ41を下降して半田ペースト回収部70に当接させる(ステップ15)。次に、さらに同じ方向に半田ペースト回収部70を回転させ、第1のスキージ41を壁にして、半田ペースト90を掻き取り、半田ペースト収容板71上に収容する(ステップ16)。この時、半田ペースト回収部70にストレスがかからないように、半田ペースト回収部70の回転半径に合わせて、第1のスキージ41を上昇させる。次に、
図27に示すように、半田ペースト回収部70の中心軸が垂直となった位置で停止し、第1のスキージ41を上昇させて、半田ペースト90を半田ペースト収容板71に収容する(ステップ17)。次に
図28の様に、本体10を含むユニット全体が上昇して半田ペースト回収工程が完了する(ステップ18)。
【0032】
次に半田ペースト90を被印刷面80に上に供給する工程では、先ず
図29の様に、本体を含むユニット全体が下降して、半田ペースト回収部70が被印刷面80に接触する(ステップ19)。次に
図30の様に、第1のスキージ41が下降して、半田ペースト90及び半田ペースト回収部70と接触する(ステップ20)。次に
図31の様に、半田ペースト回収部70が、第1のスキージ41を方向に回転し、半田ペースト90が、第1のスキージ41に当接する(ステップ21)。次に、半田ペースト回収部70をさらに同じ方向に回転させると、
図32の様に、半田ペースト90は、第1のスキージ41により押し出され、被印刷面80に上に供給される(ステップ22)。更に回転が進み、
図33の様に、半田ペースト回収部70は、第1のスキージ41方向の待機位置で停止する(ステップ23)。以上の様な動作により、半田ペーストの位置や半田ペースト回収部の待機位置に依らず、半田ペーストを被印刷面上から回収、及び供給することができる。なお、上記の説明で用いたステップの番号は、説明のために付したものであり、ステップ1から開始することに限るものではない。
【0033】
(第3の実施形態)
図34は、第3の実施形態の半田ペースト回収装置を示す斜視図である。本実施形態の半田ペースト回収装置は、半田ペースト回収部70aを回転軸60に連結するアーム74が、第2の実施形態のアーム73と異なる以外は、第2の実施形態と同じである。このため、重複する説明は省略する。
【0034】
アーム74は、半田ペースト回収部70a側の74aと、回転軸60側の74bとに分かれている。そして、ロック機構75により連結している。74aに固定されているロック機構75aと、74bに固定されているロック機構75bとのロックを、結合したり解除したりすることで、半田ペースト回収部70aの着脱を行うことができる。
図35に示すように、ロック機構75のロックを解除することにより、アーム74を、74aと74bとに分割し、半田ペースト回収部70aを取り外すことができる。
【0035】
上記の構成とすることにより、半田ペースト回収部70aを清掃する際の工数を削減できる。その理由は、半田ペースト回収部70を、本体10から分割して、独立して清掃することができるからである。
【0036】
(第4の実施形態)
図36は、第1乃至第3のいずれか1つの半田ペースト回収装置100を用いた半田印刷装置1000を示す側面図である。半田印刷装置1000は、フレーム200と、ディスペンサ300とを有している。フレーム200には、半田ペーストを印刷される基板400を保持する基板ホルダ210と、半田ペーストのパターンを形成するためのマスク(例えばステンシルマスク)を保持するマスクホルダ220とを備えている。マスク20に保持されたマスク500の上面は、第1から第3の実施形態の被印刷面に相当する。
【0037】
最初にディスペンサ300からマスク500上に供給された半田ペーストは、半田ペースト回収装置100のスキージにより、マスク500上に展延され、基板400に印刷される。そして印刷後に余った半田ペーストは、半田ペースト回収装置100によって回収され、次の印刷のためにマスク500上に供給される。
【0038】
本実施形態の印刷装置では、紙面右方向および左方向のどちらの方向の印刷でも、速やかに半田ペーストを回収することができる。
【0039】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
1、10 本体
2 摺動機構
3、30 本体上下機構
4 スキージ
5 スキージ上下機構
6、60 回転軸
7、71 半田ペースト収容板
8、80 被印刷面
9、90 半田ペースト
41 第1のスキージ
42 第2のスキージ
51 第1の上下機構
52 第2の上下機構
70 半田ペースト回収部
72 半田ペースト掻き取り部