(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】操作装置の操作レバー部
(51)【国際特許分類】
G05G 1/04 20060101AFI20221213BHJP
B62D 33/07 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G05G1/04 Z
B62D33/07 T
(21)【出願番号】P 2018206998
(22)【出願日】2018-11-02
【審査請求日】2021-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(74)【代理人】
【識別番号】100167793
【氏名又は名称】鈴木 学
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】越智 新太郎
(72)【発明者】
【氏名】菅原 憲嗣
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-341801(JP,A)
【文献】実開昭61-161077(JP,U)
【文献】特開2010-58615(JP,A)
【文献】実公平2-23896(JP,Y2)
【文献】特開2001-48062(JP,A)
【文献】実公平4-50212(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05G 1/04
B62D 33/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された操作装置の操作レバー部であって、
基端側を中心に回転可能に設けられており、所定の第1位置から第2位置に回転操作されることにより前記操作装置の状態を切り替えるレバー本体部と、
前記レバー本体部の先端部に設けられており、前記レバー本体部が前記第1位置又は前記第2位置の何れか一方に操作された状態で、少なくともその一部を前記車両の側面から突出させるレバー先端部と、を備え
、
前記レバー本体部の先端側に、操作者に把持されるグリップ部が設けられており、前記レバー先端部は、前記グリップ部よりも肉薄の平板状に形成されている
ことを特徴とする操作装置の操作レバー部。
【請求項2】
前記レバー先端部が、前記レバー本体部よりも柔らかい部材で形成されている
請求項
1に記載の操作装置の操作レバー部。
【請求項3】
前記レバー先端部に肉薄のリブが突設されている
請求項1
又は2に記載の操作装置の操作レバー部。
【請求項4】
前記車両は、車体に対して傾動可能なキャブを有するキャブオーバ型車両であり、
前記操作装置は、前記キャブを前記車体に係止するロック状態と該係止を解除するロック解除状態とに切り替え可能なキャブロック装置であり、
前記レバー本体部は、前記キャブロック装置を前記ロック状態とするロック位置と、前記ロック解除状態とするロック解除位置とに選択的に回転操作可能であり、
前記レバー先端部は、前記レバー本体部が前記ロック解除位置に操作された状態で、少なくともその先端側を前記キャブの側面から外側に突出させる
請求項1から
3の何れか一項に記載の操作装置の操作レバー部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、操作装置の操作レバー部及び、レバーキャップに関し、特に、キャブオーバ型車両に搭載されたキャブロック装置の操作レバー部及び、レバーキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
キャブオーバ型車両には、車体にチルト可能に支持されたキャブを車体側に係止可能なキャブロック装置が搭載される場合がある。キャブロック装置は、操作者により把持されるグリップを有するキャブチルトレバーを備えており、操作者がグリップを把持してキャブチルトレバーを押し下げると、キャブのチルトを許容するロック解除状態となり、操作者がグリップを把持してキャブチルトレバーを押し上げると、キャブを車体側に係止するロック状態に切り替わるように構成されている(例えば、特許文献1,2等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-180028号公報
【文献】特開2008-265393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的なキャブロック装置では、ロック状態及びロック解除状態の何れにおいても、キャブチルトレバーの先端部に設けられたグリップは、キャブよりも車幅方向内側に位置される。このため、キャブに乗り込んだ運転者や車両の周囲の人に対して、操作レバー部の操作状態を効果的に視認可能にすることが望まれる。
【0005】
本開示の技術は、車両に搭載される操作装置の操作レバー部の操作状態を効果的に視認可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の操作レバー部は、車両に搭載された操作装置の操作レバー部であって、基端側を中心に回転可能に設けられており、所定の第1位置から第2位置に回転操作されることにより前記操作装置の状態を切り替えるレバー本体部と、前記レバー本体部の先端部に設けられており、前記レバー本体部が前記第1位置又は前記第2位置の何れか一方に操作された状態で、少なくともその一部を前記車両の側面から突出させるレバー先端部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記レバー本体部の先端側に、操作者に把持されるグリップ部が設けられており、前記レバー先端部は、前記グリップ部よりも肉薄の平板状に形成されていることが好ましい。
【0008】
また、前記レバー先端部が、前記レバー本体部よりも柔らかい部材で形成されていることが好ましい。
【0009】
また、前記レバー先端部に肉薄のリブが突設されていることが好ましい。
【0010】
また、前記車両は、車体に対して傾動可能なキャブを有するキャブオーバ型車両であり、前記操作装置は、前記キャブを前記車体に係止するロック状態と該係止を解除するロック解除状態とに切り替え可能なキャブロック装置であり、前記レバー本体部は、前記キャブロック装置を前記ロック状態とするロック位置と、前記ロック解除状態とするロック解除位置とに選択的に回転操作可能であり、前記レバー先端部は、前記レバー本体部が前記ロック解除位置に操作された状態で、少なくともその先端側を前記キャブの側面から外側に突出させることが好ましい。
【0011】
本開示のレバーキャップは、車両に搭載された操作装置の状態を、その基端側を中心に所定の第1位置から第2位置に回転操作されることにより切り替えるレバー本体部の先端部に取り付けられるレバーキャップであって、前記レバー本体部が前記第1位置又は前記第2位置の何れか一方に操作された状態で、少なくともその一部を前記車両の側面から突出させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本開示の技術によれば、車両に搭載される操作装置の操作レバー部の操作状態を効果的に視認可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態の操作レバー部を備えたキャブロック装置のロック状態を車両後方から視た背面図である。
【
図2】
図1のキャブロック装置のロック解除状態を示す背面図である。
【
図3】(A)は、本実施形態に係るキャブロック装置がロック状態にあるときのレバーキャップを車両後方から視た背面図であり、(B)は(A)のキャブロック装置がロック解除状態にあるときを示す背面図である。
【
図4】本実施形態に係るレバーキャップを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に基づいて、本実施形態に係る操作装置の操作レバー部について説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0015】
[全体構成]
図1は、本実施形態の操作レバー部を備えたキャブロック装置のロック状態を車両後方から視た背面図であり、
図2は
図1のキャブロック装置のロック解除状態を示す背面図である。
【0016】
図1に示すように、車両Vは、例えば、キャブオーバ型のトラックであって、車体フレームを構成するシャシ2の前端部側には、不図示のキャブチルト機構を介してキャブ1(キャビン、運転台)がチルト可能(傾動可能)に支持されている。キャブ1の背面には、非チルト状態のキャブ1の後端部側をシャシ2側にロック(係止)するキャブロック装置3が設けられている。
【0017】
シャシ2側には、車両前後方向に離間して対向する一対の支持プレート5(後側の支持プレートは図示を省略)が固定されている。これら支持プレート5の上端部側は、車両前後方向に延びる棒状のピン4によって連結されている。
【0018】
キャブロック装置3は、キャブチルトレバー8(レバー本体部)と、メインロッド9と、ベース10と、リンク11と、キャブロックフック12と、ロッククローズ60と、オペレーションロッド70と、レバーキャップ80(レバー先端部)とを備えている。メインロッド9及び、リンク11は、キャブチルトレバー8とキャブロックフック12とを連結し、キャブチルトレバー8の回転に連動してキャブロックフック12をロック位置(
図1に示す位置)と開放位置(
図2に示す位置)との間で移動させる連結機構を構成する。また、キャブチルトレバー8及び、レバーキャップ80は、本開示の操作レバー部を構成する。
【0019】
キャブ1背面の車両幅方向の一方側(本実施形態では左側)には、レバーブラケット40が固定されている。レバーブラケット40には、キャブチルトレバー8の車両幅方向内側の一端部8A(
図1の右端部)が回転軸41を介して回転自在に軸支されている。キャブチルトレバー8は、一端部8Aから下方に延びる連結端部8Bを有する。連結端部8Bには、メインロッド9を介してリンク11が連結されている。キャブチルトレバー8の他端部8C(
図1の左端部)には、操作者により把持される略円筒状のグリップ42が固定されている。キャブチルトレバー8及びグリップ42は、好ましくは鋼管で形成されている。
【0020】
キャブチルトレバー8とレバーブラケット40との間には、バネ部材43が設けられている。バネ部材43の一端側はキャブチルトレバー8の一端部8Aと他端部8Cとの間のバネ支持部44に係止され、バネ部材43の他端側はレバーブラケット40の下端のバネ支持部45に係止されている。バネ部材43は、キャブチルトレバー8がロック位置とロック解除位置との間を回転する際に、ロック位置から所定の境界位置までの間はキャブチルトレバー8をロック位置に向けて付勢し、所定の境界位置からロック解除位置までの間はキャブチルトレバー8をロック解除位置に向けて付勢する。
【0021】
ベース10は、車両前後方向に離間して対向する一対のプレート部(前プレート部13及び後プレート部14)を有する。前プレート部13及び後プレート部14は、略枠体状のブラケット15を介してキャブ1の背面に固定されている。ブラケット15の下部には、防振用の弾性部材90が設けられている。弾性部材90は、キャブ1が非チルト状態のときにシャシ2側のキャブマウントブラケット91に着座する。
【0022】
前プレート部13及び後プレート部14には、回転軸17を挿通支持する支持孔(図示省略)が形成されている。前プレート部13の下部には、キャブ1が非チルト状態のときにピン4を受け入れる凹部19が形成されている。また、後プレート部14には、ロッククローズ60を回転自在に支持する支持軸63が突設されている。前後のプレート部13,14の間には、リンク11が回転自在に収容されている。
【0023】
リンク11の下端部は、ベース10に回転軸17を介してロック方向及びロック解除方向へ回転自在に軸支されている。また、リンク11の上端側の一端部(
図1の左端部)には、メインロッド9を連結する連結軸27が突設されている。キャブチルトレバー8の他端部8Cがロック位置から下方へ回転し、メインロッド9がロック解除方向(
図1の右方向)へ移動すると、リンク11は、キャブチルトレバー8に連動し、回転軸17を中心にロック位置(
図1に示す位置)から開放位置(
図2に示す位置)まで、ロック解除方向へ回転する。反対に、キャブチルトレバー8の他端部8Cが上方へ回転し、メインロッド9がロック方向(
図1の左方向)へ移動すると、リンク11は、キャブチルトレバー8に連動し、回転軸17を中心に開放位置からロック位置まで、ロック方向へ回転する。
【0024】
キャブロックフック12は、略L状の板材であって、その一端側(
図1の上端側)をリンク11に回転軸24を介して回転自在に軸支されている。また、キャブロックフック12の他端側(
図1の下端側)には、上方が開放された凹状の内側面を有するフック部29が形成されている。リンク11がロック方向へ回転すると、キャブロックフック12もロック方向へ移動し、フック部29はピン4に当接する。反対に、リンク11がロック解除方向へ回転すると、キャブロックフック12もロック解除方向へ移動し、フック部29はピン4から離反する。
【0025】
回転軸24の外周には、キャブロックフック12をロック方向へ付勢するコイル状のバネ部材(不図示)及び、スペーサ(不図示)が配置されている。バネ部材の一端側はキャブロックフック12と係合し、他端側はリンク11の連結部と係合する。また、リンク11には、キャブロックフック12のロック解除方向への移動範囲を規制する不図示のストッパが設けられている。これにより、キャブロックフック12に外力が加わっていない状態では、バネ部材とストッパとによって、キャブロックフック12はリンク11に対して所定位置に維持されるようになっている。
【0026】
ロッククローズ60は、略L状の板材であって、その中間部を後プレート部14に支持軸63を介して回転自在に軸支されている。ロッククローズ60の一端側(
図1の上端側)の外縁部には、湾曲面状のカム部64が形成され、支持軸63とカム部64との間にはロッド連結軸27と係合可能な係合凹部65が形成されている。また、ロッククローズ60の他端部(
図1の下端部)には、オペレーションロッド70が連結されている。リンク11がロック位置にある状態において、ロッククローズ60は、オペレーションロッド70に連動してクローズ位置と非クローズ位置との間を移動する。
【0027】
支持軸63の外周には、ロッククローズ60をクローズ位置へ付勢するコイル状のバネ部材(不図示)及び、スペーサ(不図示)が配置されている。バネ部材の一端側はロッククローズ60と係合し、他端側は支持軸63と係合する。リンク11がロック位置にあるとき、ロッククローズ60はバネ部材の付勢力によってクローズ位置に設定され、この状態で係合凹部65がロッド連結軸27と係合することにより、リンク11のロック解除方向への移動が規制されるようになっている。また、ロッククローズ60が、係合凹部65とロッド連結軸27との係合を解除した非クローズ位置に設定され、この状態でリンク11がロック位置からロック解除方向へ回転すると、カム部64がロッド連結軸27に当接することにより、ロッククローズ60のクローズ位置への移動が規制されるようになっている。
【0028】
オペレーションロッド70は、車幅方向外側(
図1の左側)に配置された第1ロッド71と、車幅方向内側(
図1の右側)に配置された第2ロッド72とを有する。
【0029】
第1ロッド71の一端部71A(
図1の右側端部)には、長孔状のスライド孔74が形成され、第1ロッド71の他端部71B(
図1の左側端部)は、所定方向(
図1の下方)に曲折されている。スライド孔74には、キャブチルトレバー8の一端部8A側に突設された係止突起75がスライド可能に係合する。第1ロッド71の他端側71Bは、キャブチルトレバー8の他端部8C側に突設されたロッド支持プレート76に挿通支持されている。第1ロッド71は、これら係止突起75及び、ロッド支持プレート76によって、キャブチルトレバー8に対してスライド移動可能に支持されている。
【0030】
さらに、第1ロッド71には、ロッド支持プレート76よりも車幅方向内側(
図1の右側)に配されたバネ支持プレート78が固定されている。バネ支持プレート78とロッド支持プレート76との間には、第1ロッド71をクローズ方向(
図1中矢印52方向)へ付勢するバネ部材79が設けられている。
【0031】
第2ロッド72の一端部72A(
図1の右側端部)は、ロッククローズ60の他端側(
図1の下端側)に回転自在に連結されている。また、第2ロッド72の他端部72B(
図1の左側端部)は、第1ロッド71の一端部71A(
図1に右側端部)にスライドリンク機構73を介して連結されている。
【0032】
スライドリンク機構73は、キャブチルトレバー8が回転軸41を中心に回転するとき、第1ロッド71の一端部71Aに対する第2ロッド72の他端部72Bの回転及びスライド移動を許容する。また、スライドリンク機構73は、
図1に示す状態のときは、第1ロッド71の操作力を第2ロッド72からロッククローズ60に伝達し、ロッククローズ60をクローズ位置から非クローズ位置へ回転させる操作力伝達状態となる。一方、スライドリンク機構73は、
図2に示す状態のときは、第1ロッド71を操作しても、第2ロッド72が一端部72Aを中心に回転するのみとなり、ロッククローズ60を回転させない操作力非伝達状態となる。
【0033】
以上のように構成されたキャブロック装置3は、
図1に示す状態で、操作者がオペレーションロッド70をクローズ解除方向53へ引っ張り、ロッククローズ60を非クローズ位置へ移動させた後、グリップ42を把持して押し下げると、キャブチルトレバー8は回転軸41を中心にロック解除位置(
図2に示す状態)まで回転する。キャブチルトレバー8がロック解除位置まで操作されると、キャブロックフック12のフック部29がピン4から離反した開放位置まで回転し、キャブロック装置3はキャブ1のチルトを許容するロック解除状態となる。一方、
図2に示す状態で、操作者がグリップ42を把持して押し上げると、キャブチルトレバー8は回転軸41を中心にロック位置(
図1に示す状態)まで回転する。キャブチルトレバー8がロック位置まで操作されると、キャブロックフック12のフック部29がピン4に当接することにより、キャブロック装置3はキャブ1をシャシ2側に係止するロック状態となる。
【0034】
本実施形態において、回転軸41を中心としたグリップ42の先端部42Aの移動軌跡は、
図1に示すロック位置から
図2に示すロック解除位置に至る何れの状態においても、キャブ1の側面よりも車両幅方向内側の背面(キャブ1の左側面よりも右側の背面)となるように構成されている。すなわち、
図1に示すキャブロック装置3のロック状態、及び、
図2に示すキャブロック装置3のロック解除状態の何れにおいても、グリップ42の先端部42Aがキャブ1の左側面よりも車両内側に位置されるようになっている。グリップ42の先端部42Aには、ロック解除状態において、少なくともその一部をキャブ1の左側面よりも車両外側に突出させるレバーキャップ80が取り付けられている。
【0035】
[レバーキャップ]
次に、
図3、4に基づいて、本実施形態に係るレバーキャップ80の詳細について説明する。
図3(A)は、本実施形態に係るキャブロック装置3がロック状態にあるときのレバーキャップ80を車両後方から視た背面図であり、
図3(B)は(A)のキャブロック装置がロック解除状態にあるときを示す背面図である。
図4は、本実施形態に係るレバーキャップ80を示す側面図である。
【0036】
図3に示すように、レバーキャップ80は、基端部81と、基端部81から所定の角度で屈曲する屈曲部83と、屈曲部83から基端部81とは反対側に延びる先端部85とを備えている。レバーキャップ80は、グリップ42よりも弾力性に富んだ変形しやすい部材(例えば、ウレタン樹脂材料等)、換言すると、柔らかい部材で形成されている。レバーキャップ80は、好ましくは、車両振動等により先端部85が揺動した際に、先端部85とキャブ1背面(及び、キャブ1後方のバンボディ前面)との干渉が防止できる剛性を確保して形成されている。
【0037】
基端部81は、略円柱状に形成されており、グリップ42の先端部42A筒内に挿入固定されている。基端部81の固定手法は、接着剤等による固着、ボルト等による締結固定、或は、先端部42A筒内への嵌入固定の何れであってもよい。本実施形態において、レバーキャップ80は、キャブチルトレバー8がロック位置に操作された
図3(A)に示す状態で、屈曲部83の屈曲内側が車両幅方向に向けられるように、言い換えれば、キャブチルトレバー8がロック解除位置に操作された
図3(B)に示す状態で、屈曲部83の屈曲内側が車両上方に向けられるように、グリップ42に取り付けられている。
【0038】
屈曲部83は、グリップ42の軸心と同軸上の基端部81側の軸心X1が、先端部85側の軸心X2に対して所定の角度θで屈曲するように形成されている。屈曲角度θは、好ましくは、グリップ42がロック位置に操作され、基端部81側の軸心X1が車両上下方向に対して傾く
図3(A)の状態において、先端部85側の軸心X2が車両上下方向と略平行となり、且つ、グリップ42がロック解除位置に操作され、基端部81側の軸心X1が車両幅方向に対して傾く
図3(B)の状態において、先端部85側の軸心X2が車両幅方向と略平行となる角度の範囲内で設定されている。なお、グリップ42がロック位置に操作される
図3(A)の状態において、基端部81側の軸心X1が略車両上下方向となり、且つ、グリップ42がロック解除位置に操作される
図3(B)の状態において、基端部81側の軸心X1が略車両幅方向となる場合には、屈曲部83を屈曲させることなく直線状に形成してもよい。
【0039】
図4に示すように、屈曲部83は、基端部81側から先端側85側に向かって次第に肉薄となるように形成されている。具体的には、屈曲部83の基端部81側の断面形状は、円柱状の基端部81と略同径の円形状とされ、屈曲部83の先端部85側の断面形状は、平板状の先端部85と略同形状の矩形状とされている。屈曲部83の屈曲内側には、基端部81側から先端側85側に亘って平面状に延びる略三角状のリブ84が突設されている。リブ84は、レバーキャップ80の他の部位よりも容易に変形しやすい極肉薄に形成されている。操作者が屈曲部83を誤って把持すると、リブ84が操作者の手に触れて変形することにより、操作者に対して当該部位に操作力を加えることが好ましくないことを容易に感知させるように構成されている。
【0040】
先端部85は、キャブチルトレバー8の可動範囲が規定する平面と略平行な平板長方形状に形成されている。すなわち、先端部85を車両前後方向から視た形状(面積)が、車両幅方向から視た形状(面積)よりも幅広面となるように形成されている。このように、先端部85を変形しやすい肉薄の平板状とすることにより、操作者が先端部85を誤って把持して操作すること、さらには、その操作力がレバーキャップ80からキャブチルトレバー8に伝達されることを効果的に防止できるように構成されている。
【0041】
先端部85の長手方向の長さは、キャブチルトレバー8がロック解除位置に操作された
図3(B)に示す状態において、少なくともその先端側85Aがキャブ1の左側面よりも車体幅方向外側に突出する長さで形成されている。すなわち、キャブロック装置3がロック解除状態のときは、先端部85の先端側85Aがキャブ1の左側面よりも外側に突出するように構成されている。これにより、キャブ1に乗り込んだ運転者に対しては、サイドミラーに映り込む先端側85Aを視認させることが可能となり、さらには、車両Vの周囲の人に対しては、先端側85Aを直接的に視認させることが可能となり、キャブロック装置3のロック解除状態(又は、先端側85Aが突出していない場合はロック状態)を容易に認知させることができる。
【0042】
以上詳述した本実施形態によれば、キャブチルトレバー8のグリップ42に、キャブチルトレバー8がロック解除位置に操作された状態で少なくともその先端側85Aをキャブ1の側面よりも外側に突出させるレバーキャップ80を設けることにより、キャブ1に乗り込んだ運転者、さらには、車両Vの周囲の人に対して、キャブロック装置3がロック解除状態にあることを視認させられるように構成されている。これにより、キャブロック装置3の操作状態を運転者や周囲の人に容易に認知させることが可能となる。
【0043】
また、レバーキャップ80の先端部85を、変形しやすく、且つ、操作者が把持し難い肉薄の平板長方形状に形成したことより、操作者が先端部85を把持して操作しようとしても、その操作力はキャブチルトレバー8に伝達され難くなるように構成されている。これにより、操作者が先端部85を誤って把持しつつ、キャブチルトレバー8を強引に回転操作することを効果的に防止することが可能になる。
【0044】
また、レバーキャップ80の屈曲部83には、他の部位よりも肉薄且つ、容易に変形するリブ84が設けられている。すなわち、操作者がグリップ42に隣接する屈曲部83を把持すると、リブ84が変形することにより、操作者に対して当該部位に操作力を加えることが好ましくないことを容易に感知させられるように構成されている。これにより、操作者が屈曲部83を誤って把持して操作することを効果的に防止することが可能になる。
【0045】
[その他]
なお、本開示は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜に変形して実施することが可能である。
【0046】
例えば、上記実施形態において、キャブチルトレバー8及び、レバーキャップ80は別体に設けられるものとして説明したが、これらキャブチルトレバー8及び、レバーキャップ80を一体的に形成してもよい。
【0047】
また、上記実施形態において、キャブロック装置3は、キャブ1背面の車幅方向左側に配置されるものとして説明したが、車幅方向右側に配置されてもよい。この場合は、キャブロック装置3のロック解除状態において、レバーキャップ80の先端側85Aが、キャブ1の右側面よりも外側に突出するように構成すればよい。
【0048】
また、上記実施形態の適用範囲は、キャブロック装置3に限定されず、車両Vに搭載可能なクレーンや架装物等、操作レバーにより操作される他の装置にも広く適用することが可能である。
【0049】
また、車両Vは、キャブオーバ型車両に限定されず、操作レバーにより操作される装置を搭載可能な車両であれば、他の車両であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
V 車両
1 キャブ
2 シャシ(車体)
3 キャブロック装置
8 キャブチルトレバー(レバー本体部)
42 グリップ(グリップ部)
80 レバーキャップ(レバー先端部)
81 基端部
83 屈曲部
84 リブ
85 先端部