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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】車両用操作装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/08 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
B62D1/08
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018209065
(22)【出願日】2018-11-06
(65)【公開番号】P2020075574
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 周
(72)【発明者】
【氏名】小園 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】名和田 毅
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-144582(JP,A)
【文献】特開2004-345549(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0167512(US,A1)
【文献】特開2013-97513(JP,A)
【文献】特開2018-120314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールの運転者側に設けられ、運転者の指によるスワイプ操作及び押圧操作が可能なタッチパッドと、
所定位置を中心に数の設定項目が円環状に配置された画像を前記運転者に対して表示するヘッドアップディスプレイと、
前記ヘッドアップディスプレイにおいて、複数の前記設定項目の選択位置を変化させて前記タッチパッドがスワイプされた方向と同じ方向に配置された前記設定項目を選択し、前記タッチパッドが押圧されると前記選択位置に対応する前記設定項目に係る機能を有効化し、前記タッチパッドから前記運転者の指が離れると、前記選択位置を前記所定位置に移動させる制御部と、
を備える車両用操作装置。
【請求項2】
前記タッチパッドにおいて、最初に前記運転者の指が触れた位置が前記所定位置となり、
前記ヘッドアップディスプレイでは、前記運転者の指が触れている前記タッチパッドの位置が変化することで、前記所定位置を中心とする相対的な位置関係に応じて、複数の前記設定項目の前記選択位置が変化する、
請求項に記載の車両用操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ステアリング上に車両の機能を操作するための操作スイッチを配置した車両用操作装置(車両用ステアリングスイッチ)が開示されている。当該車両用操作装置では、運転者はステアリングのリムを把持したまま親指で操作スイッチを操作可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-67194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記車両用操作装置では、運転者は手元の操作スイッチの操作に意識が向かうため、運転に集中できない可能性がある。
【0005】
本発明は、運転中に視点を動かすことなく、多くの入力操作を行うことが可能な車両用操作装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の車両用操作装置は、ステアリングホイールの運転者側に設けられ、運転者の指によるスワイプ操作及び押圧操作が可能なタッチパッドと、所定位置を中心に数の設定項目が円環状に配置された画像を前記運転者に対して表示するヘッドアップディスプレイと、前記ヘッドアップディスプレイにおいて、複数の前記設定項目の選択位置を変化させて前記タッチパッドがスワイプされた方向と同じ方向に配置された前記設定項目を選択し、前記タッチパッドが押圧されると前記選択位置に対応する前記設定項目に係る機能を有効化し、前記タッチパッドから前記運転者の指が離れると、前記選択位置を前記所定位置に移動させる制御部と、を備えている。
請求項に記載の車両用操作装置は、請求項に記載の車両用操作装置であって、前記タッチパッドにおいて、最初に前記運転者の指が触れた位置が前記所定位置となり、前記ヘッドアップディスプレイでは、前記運転者の指が触れている前記タッチパッドの位置が変化することで、前記所定位置を中心とする相対的な位置関係に応じて、複数の前記設定項目の前記選択位置が変化する
【0007】
請求項1に記載の車両用操作装置は、タッチパッドの操作により車両の機能を設定可能な車両に適用される。運転者によるタッチパッドの操作状態は、ヘッドアップディスプレイを通じて当該運転者に対して提供される。ここで、「設定項目に係る機能を有効化する」とは、例えば、オーディオ、カーナビゲーション、エアコン、灯火類等の装置及びその機能が設定項目である場合、設定を行う一の装置を選択することである。また例えば、オーディオにおける音量調整ボタンを設定項目とする場合、音量の上げ下げを実行することである。当該車両用操作装置によれば、運転者は視点をヘッドアップディスプレイに向けたまま、設定する車両の機能の選択と、選択された当該機能の設定を行うことができる。すなわち、運転中に視点を動かすことなく、多くの入力操作を行うことができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、運転中に視点を動かすことなく、多くの入力操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る車両用操作装置の配置を示す運転者視点の正面図である。
図2】実施形態に係る車両用操作装置であって、ヘッドアップディスプレイの表示 の例を示す図である。
図3】実施形態に係る車両用操作装置の構成を示すブロック図である。
図4】タッチパッドのスワイプ操作の例であって、(A)上下左右になぞる例、(B)対角線上になぞる例、(C)円環状になぞる例を示す図である。
図5】ヘッドアップディスプレイの表示例であって、(A)第1階層、(B)第2階層、(C)第3階層を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図5を用いて本発明の実施形態に係る車両用操作装置について説明する。
図1に実施形態の車両用操作装置10を示す。本実施形態の車両用操作装置10は、2つのタッチパッド20と、ヘッドアップディスプレイ24と、制御装置30と、を備えている。車両用操作装置10は、車両12の運転席に配置されている。
【0011】
本実施形態の車両12においては、ダッシュボード14の運転席側にステアリングホイール18が設けられている。このステアリングホイール18は、ステアリングシャフトに固定されているボス(図示省略)と、ボスから車幅方向両側及び車両下方側に延出するスポーク42と、スポーク42に接続される円環状のリム44と、を含んで構成されている。また、車幅方向両側において、スポーク42とリム44との接続部付近は運転者が握る把持部44Aとされている。
【0012】
タッチパッド20は、車幅方向両側のスポーク42に対し、それぞれ設けられている。このタッチパッド20は、運転者側に露出した面である操作面20Aが静電容量式のセンサとされており、運転者の手指によるスワイプ操作(図4(A)~(C)参照)を可能としている。
【0013】
また、本実施形態の車両用操作装置10は、タッチパッド20自体がプッシュスイッチであって、運転者の手指による押圧操作を可能としている。本実施形態のタッチパッド20は、運転者がステアリングホイール18の把持部44Aを握った場合に、親指Fによる操作を可能としている。そして、タッチパッド20により車両12の機能に係る設定を行うことが可能である。
【0014】
本実施形態の車両12では、運転席側のダッシュボード14の車両上方側にヘッドアップディスプレイ24が設けられている。ヘッドアップディスプレイ24は、ダッシュボード14の内部に投影装置24A(図3参照)を有しており、投影装置24Aからフロントウインドウ16に設けられた投影面24Bに対してメニュー画像100等の画像が投影される(図2参照)。
【0015】
図2は、ヘッドアップディスプレイ24の投影面24Bに表示された画像の例である。投影面24Bの左方側であって投影面24Bの幅の約1/3の領域にはメニュー画面としてのメニュー画像100が表示されている。このメニュー画像100は、上下及び左右それぞれの位置に描画される画像であるアイコン110を含んでいる。このアイコン110は設定項目に相当する。また、アイコン110は、車両12の機能に係る操作と対応付けられており、機能を選択するための機能アイコン120と、機能における設定を行うため設定用アイコン130と、を含んでいる(図5(A)~(C)参照)。なお、本実施形態では、3つの階層のメニュー画像100が設けられている。
【0016】
図3に示されるように、制御装置30は、ハードウェアであるプロセッサの一例であるCPU(Central Processing Unit)32、ROM(Read Only Memory)33、RAM(Random Access Memory)34、入出力インターフェイス(I/O)36を備えている。CPU32、ROM33、RAM34及びI/O36は、バス38を介して相互に接続されている。なお、制御装置30は、ROM33に加えて、又はROM33に代えて、HDD(Hard Disk Drive)、又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性のメモリを備えてもよい。
【0017】
ROM33は、操作に係る処理をCPU32に実行させるための操作プログラム、及びヘッドアップディスプレイ24に表示させる画像データ等を記憶している。CPU32は、ROM33から操作プログラムを読み出してRAM34に展開する。CPU32は、操作プログラムをロードして実行することで、制御部として動作する。
【0018】
I/O36には、タッチパッド20とヘッドアップディスプレイ24(詳しくは、投影装置24A)とが接続されている。
【0019】
また、I/O36には、各種ECU(Electronic Control Unit)が接続されている。ここで、制御装置30に接続されるECUとしては、例えば、車両制御ECU50、ボデーECU52、マルチメディア系ECU54がある。これらのECUは、CAN(controller area network)60を介して接続されている。なお、接続方法はこれに限らず、例えば、ゲートウエイECUを介して接続されていてもよい。
【0020】
車両制御ECU50は、VSC、トラクションコントロール、レーンキープシステム等の安全機能を制御するECUである。また、車両制御ECU50は、エンジンECU及びブレーキECU等、他のECUと連携して安全機能を実現する。
【0021】
ボデーECU52は、灯火類やパワーウィンドウ等を制御するECUである。
【0022】
マルチメディア系ECU54は、オーディオやカーナビゲーションシステム等を制御するECUである。
【0023】
以上のように構成される制御装置30では、タッチパッド20から取得した操作情報に基づいて、ヘッドアップディスプレイ24の投影装置24Aに出力するメニュー画像100を変化させる。
【0024】
本実施形態の車両用操作装置10は、以下の作用を奏する。
【0025】
本実施形態のタッチパッド20では、運転者が操作面20Aに対し、最初に親指Fを置いた位置がメニュー画像100における所定位置としての中心位置140(図5(A)~(C)参照)となる。図4(A)~(C)に示されるように、運転者は操作面20Aをスワイプ操作することでメニュー画像100に表示されたアイコン110を選択する。具体的には、タッチパッド20がスワイプされた方向と同じ方向に配置されたアイコン110が選択される。
【0026】
なお、選択されたアイコン110は配色が反転することにより、選択中であることが運転者に報知される。また、最初に親指Fを置いた位置に親指Fがある場合は、中心位置140を示すマーカが拡大されて運転者に報知される。
【0027】
例えば、図4(A)に示されるように、操作面20Aにおいて親指Fを上下左右になぞることで、メニュー画像100では最初に親指Fを置いた位置を中心とする相対的な位置関係に応じてアイコン110の選択位置が上下左右に変化する。これにより、タッチパッド20がスワイプされた方向と同じ方向に配置されたアイコン110が選択される。
【0028】
ここで、メニュー画像100において選択されたアイコン110を有効化するには、操作面20Aを押圧する。また、選択位置を変更する場合は、親指Fを上下左右になぞる他、以下のスワイプ操作を行うことができる。
【0029】
例えば、図4(B)に示されるように、操作面20Aにおいて親指Fを対角線上(斜め方向)になぞることで、メニュー画像100では最初に親指Fを置いた位置を中心とする相対的な位置関係に応じてアイコン110の選択位置が対角線上に変化する。
【0030】
また例えば、図4(C)に示されるように、操作面20Aにおいて親指Fを外周側に移動させた後、円環状になぞることで、メニュー画像100では最初に親指Fを置いた位置を中心とする相対的な位置関係に応じてアイコン110の選択位置が円環状に変化する。
【0031】
なお、いずれかのアイコン110が選択されている場合に運転者が親指Fを操作面20Aから離すと、メニュー画像100では選択位置が中心位置140に戻る。
【0032】
ここで、図5(A)~(C)を用いて、本実施形態の車両用操作装置10を車両12の機能の一つであるオーディオの操作に適用した例について説明する。
【0033】
図5(A)に第1階層(ホーム画面)のメニュー画像100を示す。第1階層には、音符マークのオーディオの操作に係る機能アイコン120の他、車両12の他の機能に係る機能アイコン120が表示されている。ここで、運転者がタッチパッド20をスワイプ操作して音符マークの機能アイコン120を選択し、さらに押圧操作することで設定の対象としてオーディオ機能が決定される。そして、オーディオの操作に係る第2階層に遷移する。
【0034】
図5(B)に第2階層のメニュー画像100を示す。第2階層には、音源の選択に係る「+」又は「-」の設定用アイコン130の他、オーディオの他の機能に係る機能アイコン120が表示されている。ここで、運転者がタッチパッド20をスワイプ操作して「その他」表記の機能アイコン120を選択し、さらに押圧操作することで設定の対象として音量操作が決定される。そして、メニュー画像100は、音量操作に係る第3階層に遷移する。
【0035】
図5(C)に第3階層のメニュー画像100を示す。第3階層には、音量を操作する上又は下の記号の設定用アイコン130の他、消音に係る「MUTE」表記の設定用アイコン130が表示されている。ここで、運転者がタッチパッド20をスワイプ操作して上の記号に係る設定用アイコン130を選択し、さらに押圧操作することで音量操作に係る設定が行われる。すなわち、制御装置30は、マルチメディア系ECU54を介してオーディオの音量を上げる。
【0036】
また、下位の階層のメニュー画像100において、中心位置140が選択されている場合に操作面20Aを短押しすると一つ上位の階層に戻る。例えば、第3階層のメニュー画像100において中心位置140が選択されている場合に操作面20Aを短押しすると第2階層のメニュー画像100に戻る。
【0037】
また、下位の階層のメニュー画像100において、中心位置140が選択されている場合に操作面20Aを長押しすると最上位の階層に戻る。例えば、第3階層のメニュー画像100において中心位置140が選択されている場合に操作面20Aを長押しすると第1階層のメニュー画像100に戻る。
【0038】
以上、本実施形態の車両用操作装置10によれば、運転者は視点をヘッドアップディスプレイ24に向けたまま、設定する車両12の機能の決定と、決定された当該機能の設定を行うことができる。すなわち、運転中に視点を動かすことなく、多くの機能に係る入力操作を行うことができる。
【0039】
なお、本実施形態のメニュー画像100では4つのアイコン110が上下左右に配置されているが、アイコン110の数及び配置場所はこれに限らない。また、本実施形態では、3つの階層のメニュー画像100を設けたが、階層の数はこれに限らない。
【0040】
本実施形態のタッチパッド20は、それ自体をプッシュスイッチとして形成したがこれに限らず、運転者の操作により押圧力が所定値を超えた場合に押圧操作であることを検知可能な感圧式のタッチパッドを採用してもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 車両用操作装置
18 ステアリングホイール
20 タッチパッド
24 ヘッドアップディスプレイ
30 制御装置(制御部)
110 アイコン(設定項目)
図1
図2
図3
図4
図5