(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】車両用ドアハンドル装置
(51)【国際特許分類】
E05B 85/16 20140101AFI20221213BHJP
E05B 81/78 20140101ALI20221213BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
E05B85/16 Z
E05B81/78
B60J5/04 H
(21)【出願番号】P 2018216628
(22)【出願日】2018-11-19
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】河野 将之
(72)【発明者】
【氏名】坂本 瑞弥
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-247268(JP,A)
【文献】特開2003-064909(JP,A)
【文献】特開2005-180099(JP,A)
【文献】特開2017-157924(JP,A)
【文献】特開2015-101833(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のアウタパネルに固定される車両用ドアハンドル装置であって、
固定ボルトにて前記アウタパネルに固定される回転支持部材と、
第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部の側を前記回転支持部材に回転可能に支持されたアウトサイドハンドルと、
を備え、
前記回転支持部材は、前記アウタパネルの外側に配設され前記固定ボルトにて前記アウタパネルに固定されるベース板と、前記固定ボルトが螺入されるナット部材よりも前記アウトサイドハンドルの第1端部の側に設けられ、前記ベース板と一体的に設けられ、前記アウタパネルの貫通孔に挿通されるとともに、前記第2端部から前記第1端部に向かう第1方向に延びる支持部と、を備え、
前記アウトサイドハンドルは、
第1端部と第2端部とを有する長尺状の本体部と、
前記本体部の前記第1端部の側から前記アウタパネルを貫通されるとともに前記第1方向に延び、前記回転支持部材にて回転可能に支持されるアーム部と、
前記本体部に内設され、センサ電極と接続され、前記センサ電極における静電容量の変化を検出して信号を出力する信号回路と、
前記アーム部の先端から前記第1方向に突出し、前記アーム部と一体的に設けられ、前記第1端部から前記第2端部に向かう第2方向からワイヤハーネスのコネクタが接続されるコネクタ部と、を備え
、
前記アウトサイドハンドルは、車外側の第1ハンドル部材と車内側の第2ハンドル部材とから構成され、
前記第1ハンドル部材は、前記本体部を構成するカバー部材と、前記アーム部を構成するアッパアーム部と、を備え、
前記第2ハンドル部材は、前記本体部を構成する把持部、及び前記把持部から前記第1端部側に延びるベース部と、前記アーム部を構成するロアアーム部、及び前記ロアアーム部の先端に前記ロアアーム部と一体的に設けられた前記コネクタ部と、を備え、
前記アッパアーム部と前記ロアアーム部の何れか一方は、第2端部から前記第1端部に向かう第1方向に沿って延びる溝部を備え、
前記アッパアーム部と前記ロアアーム部の何れか他方は、前記溝部に挿入される凸部を備え、
前記アッパアーム部と前記ロアアーム部との車両内外方向の相対的な位置ずれを抑制すべく設けられた前記溝部及び前記凸部について、前記凸部が前記溝部に挿入された状態で前記凸部と前記溝部とは車両内外方向において互いに係合するものである、
車両用ドアハンドル装置。
【請求項2】
前記アーム部には、前記信号回路と前記コネクタ部とを接続する接続用バスバーが内設されている、請求項1に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項3】
前記回転支持部材は、前記アウトサイドハンドルの前記アーム部より前記第2端部側に規制部を有する、
請求項1
又は請求項
2に記載の車両用ドアハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用ドアハンドル装置は、例えば特許文献1に記載されているように、ユーザのロック・アンロックの操作を検知するためのロック用電極及びアンロック用電極をドアハンドルに備えている。また、ドアハンドルには、ロック用電極とアンロック用電極の静電容量の変化を検出して対応する信号を出力する信号回路が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、上記の車両用ドアハンドル装置において、組付けやハーネスの接続などの作業性の向上が求められる。
本発明の目的は、作業性向上を可能とした車両用ドアハンドル装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する車両用ドアハンドル装置は、車両のアウタパネルに固定される車両用ドアハンドル装置であって、固定ボルトにて前記アウタパネルに固定される回転支持部材と、第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部の側を前記回転支持部材に回転可能に支持されたアウトサイドハンドルと、を備え、前記回転支持部材は、前記アウタパネルの外側に配設され前記固定ボルトにて前記アウタパネルに固定されるベース板と、前記ナット部材よりも前記アウトサイドハンドルの第1端部の側に設けられ、前記ベース板と一体的に設けられ、前記アウタパネルの貫通孔に挿通されるとともに、前記第2端部から前記第1端部に向かう第1方向に延びる支持部と、を備え、前記アウトサイドハンドルは、第1端部と第2端部とを有する長尺状の本体部と、前記本体部の前記第1端部の側から前記アウタパネルを貫通されるとともに前記第1方向に延び、前記回転支持部材にて回転可能に支持されるアーム部と、前記本体部把持部に内設され、センサ電極と接続され、前記センサ電極における静電容量の変化を検出して信号を出力する信号回路と、前記アーム部の先端から前記第1方向の突出し、前記アーム部と一体的に設けられ、前記第1端部から前記第2端部に向かう第2方向からワイヤハーネスのコネクタが接続されるコネクタ部と、を備える、車両用ドアハンドル装置。
【0006】
上記構成によれば、この車両用ドアハンドル装置を例えば運転席側のドアに取着した場合と助手席側のドアに取着した場合とで、コネクタは車両の前方に向かって突出し、車両の前方からワイヤハーネスのコネクタが接続される。つまり、車両用ドアハンドル装置を左右のドアについて共通化することができる。
【0007】
上記の車両用ドアハンドル装置において、前記アーム部には、前記信号回路と前記コネクタ部とを接続する接続用バスバーが内設されていることが好ましい。
上記構成によれば、信号回路からコネクタまでのワイヤハーネスを必要とせず、またそのワイヤハーネスを配策する手間がないため、車両用ドアハンドル装置の組付け性を向上できる。
【0008】
上記の車両用ドアハンドル装置において、前記アウトサイドハンドルは、車外側の第1ハンドル部材と車内側の第2ハンドル部材とから構成され、前記第1ハンドル部材は、前記本体部を構成するカバー部材と、前記アーム部を構成するアッパアーム部と、を備え、前記第2ハンドル部材は、前記本体部を構成する前記把持部、及び前記把持部から前記第1端部側に延びるベース部と、前記アーム部を構成するロアアーム部、及び前記ロアアームの先端に前記ロアアームと一体的に設けられた前記コネクタ部と、を備えることが好ましい。
【0009】
上記構成によれば、第1ハンドル部材と第2ハンドル部材とにより、アーム部にコネクタ部を有する車両用ドアハンドル装置を提供できる。
上記の車両用ドアハンドル装置において、前記アッパアーム部と前記ロアアーム部の何れか一方は、第2端部から前記第1端部に向かう第1方向に沿って延びる溝部を備え、前記アッパアーム部と前記ロアアーム部の何れか他方は、前記溝部に挿入される凸部を備えることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、アーム部を構成するアッパアーム部とロアアーム部との車両内外方向の相対的な位置ずれを抑制できる。
上記の車両用ドアハンドル装置において、前記回転支持部材は、前記アウトサイドハンドルの前記アーム部より前記第2端部側に規制部を有することが好ましい。
【0011】
上記構成によれば、コネクタ部にワイヤハーネスのコネクタを接続する際に加わる荷重によるロアアーム部の移動を回転支持部材の規制部によって規制することで、コネクタの接続によってセンサ電極は信号回路等の部品を搭載する箇所に加わる負荷を低減できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作業性向上を可能とした車両用ドアハンドル装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態の車両用ドアハンドル装置の正面図。
【
図2】一実施形態の車両用ドアハンドル装置の断面図。
【
図3】一実施形態の車両用ドアハンドル装置の斜視図。
【
図4A】アウトサイドハンドル及び第1支持部材の斜視図。
【
図4B】アウトサイドハンドルを構成するアッパハンドル及びロアハンドルの斜視図。
【
図5A】アウトサイドハンドルの組み立てを説明する断面図。
【
図5B】アウトサイドハンドルの組み立てを説明する断面図。
【
図5C】アウトサイドハンドルの組み立てを説明する断面図。
【
図6】アウトサイドハンドルと第1支持部材とを示す断面図。
【
図7】車両用ドアハンドル装置の前端部分を示す拡大正面図。
【
図8】車両用ドアハンドル装置のアーム部を示す拡大断面図。
【
図10】車両用ドアハンドル装置の前端部分を示す拡大正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、一実施形態を説明する。
なお、添付図面は、理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、または別の図面中のものと異なる場合がある。また、断面図では、理解を容易にするために、一部の構成要素のハッチングを省略している場合がある。
【0015】
図1及び
図2に示すように、車両用ドアハンドル装置1は、車両ドアのアウタパネル2に取着されている。
図2及び
図3に示すように、車両用ドアハンドル装置1は、アウトサイドハンドル10、第1支持部材20、第2支持部材30を備えている。
【0016】
アウトサイドハンドル10は、長尺状部材である。このアウトサイドハンドル10は、長手方向を車両の前後方向とするように配設されている。第1支持部材20と第2支持部材30は、車両の前後方向に沿って配設されている。本実施形態において、第1支持部材20は、車両用ドアハンドル装置1において車両の前方側に配設され、第2支持部材30は、車両の後方側に配設されている。第1支持部材20と第2支持部材30は、それぞれ固定ボルト24,31によりアウタパネル2に固定されている。第1支持部材20は、アウトサイドハンドル10を回動可能に支持する回動支持部材である。第2支持部材30は、ベルクランク等の部材が組付けられるベルクランク支持部材である。アウタパネル2は、車外側から車内側に向かう凹部2aを有し、この凹部2aによりアウトサイドハンドル10との間に空隙を形成する。
【0017】
アウトサイドハンドル10は、本体部11と、本体部11の後端部から車内側に向かって延びる押圧アーム12と、本体部11の前端部から車内側に向かって延びる回転支持アーム13とを備えている。本体部11は、車両前方側の第1端部11aと車両後方側の第2端部11bとを有する長尺状である。回転支持アーム13の平面形状は略L字形である。回転支持アーム13には、上方と下方とにそれぞれ延びる一対の回転軸14が設けられている。回転支持アーム13の前端には、コネクタ部15が設けられている。このコネクタ部15には、アウトサイドハンドル10に内設された信号回路16から出力される信号を外部へ伝達するための図示しないハーネスが接続される。
【0018】
図4Aに示すように、第1支持部材20は、平板状のベース板21と、ベース板21から前方に延びる支持部22とを一体的に備えている。
ベース板21には金属製のナット部材23が固定されている。このナット部材23と上述の固定ボルト24とにより、第1支持部材20がアウタパネル2に固定されている。
図2に示すように、ベース板21とアウタパネル2との間にはパッド部材25が介在されている。
【0019】
支持部22は、共に略水平な天井板22a及び底板22bと、天井板22aと底板22bの車内側縁部を互いに接続する側板22cとを有している。天井板22a及び底板22bには、互いに同軸状に回転支持孔22dがそれぞれ穿設されている。側板22cは、アウトサイドハンドル10の回転支持アーム13を後方及び車内側から覆うように規制部22eを備えている。
【0020】
図2に示すように、本実施形態のアウトサイドハンドル10は、アウタパネル2に取り付けられた状態で、車外側(
図2の上側)に配置される第1ハンドル部材40と、車内側(
図1の下側)に配置される第2ハンドル部材50とを備えている。第1ハンドル部材40は、アッパ部材といわれることがある。第2ハンドル部材50は、ロア部材といわれることもある。
【0021】
図2及び
図4Bに示すように、第1ハンドル部材40は、上述の押圧アーム12と、上述の本体部11を構成するカバー部41と、上述の回転支持アーム13を構成するアッパアーム部42とを一体的に備えている。
図2及び
図8に示すように、カバー部41は、アッパアーム部42の基端よりも前方に収容凹部43を有している。
図4A及び
図4Bに示すように、アッパアーム部42は回転軸14を一体的に有している。
【0022】
アッパアーム部42は、共に略水平な天井板42a及び底板42bと、天井板42aと底板42bの車外側縁部を互いに接続する側板42cとを有している。天井板42aと底板42bとには、互いに対向する面に、前後方向に沿って延びる係合溝42dが形成されている。
【0023】
図4Bに示すように、カバー部41の内側には、第1係止部44と、第1係止片45とが設けられている。本実施形態において、カバー部41には2対の第1係止部44が設けられ、2対の第1係止部44は、カバー部41の長手方向である前後方向に沿って配設されている。第1係止片45は、カバー部41の内部において、後端に設けられている。
【0024】
図2及び
図4Bに示すように、第2ハンドル部材50は、把持部51、ベース部52、電極支持部53、ロアアーム部54、コネクタ部15を備えている。把持部51は、アウタパネル2との間に空隙を置いて設けられている。把持部51は、第1ハンドル部材40のカバー部41に内設される。
【0025】
図4Bに示すように、把持部51には、第2係止部55と第2係止片56とが設けられている。本実施形態において、把持部51には2対の第2係止部55が設けられ、2対の第2係止部55は、把持部51の長手方向である前後方向に沿って配設されている。把持部51は、これらの第2係止部55がカバー部41の第1係止部44と係合することにより、カバー部41に固定されている。また、第1係止部44及び第2係止部55は、互いの係合により、カバー部41に対する把持部51の前方への移動を規制する。第2係止片56は、把持部51の後端に設けられている。また、第1係止片45と第2係止片56との係合により、カバー部41に対する把持部51の後方への移動を規制する。このように、第1係止部44と第2係止部、及び第1係止片45と第2係止片とにより、カバー部41に対して把持部51を位置決めする。
【0026】
ロアアーム部54は、アッパアーム部42の天井板42aと底板42bとの間に挿入される。ロアアーム部54には、アッパアーム部42の天井板42aと底板42bとに対向する面にそれぞれ凸部54aが形成されている。凸部54aは、アッパアーム部42の係合溝42dに挿入され、車両内外方向において互いに係合する。
【0027】
ベース部52は、把持部51から第1端部11aの側、つまり前方に向かって延びている。ベース部52は、第1支持部材20のナット部材23の先端と、そのナット部材23に螺入される固定ボルト24の先端とを収容する凹部52aを備えている。
【0028】
電極支持部53は、ベース部52から第1端部11aの側、つまり前方に向かって延びている。電極支持部53は、第1ハンドル部材40の収容凹部43に収容される。電極支持部53とベース部52とにはロックセンサ電極PLが支持されている。ロックセンサ電極PLは、その一部が電極支持部53によって第1ハンドル部材40の収容凹部43に収容されている。ロックセンサ電極PLは、金属板片状の部材である。ロックセンサ電極PLは、例えば、インサート成形により、電極支持部53及びベース部52と一体的である。ロックセンサ電極PLは、第1ハンドル部材40にユーザの手が触れたことを静電容量の変化によって電磁的に検知する機能をはたす。
【0029】
把持部51は、回路収容部51aを有している。回路収容部51aは、把持部51の長手方向である前後方向に沿って延びる矩形状の凹部として形成されている。その回路収容部51aには、信号回路16と、その信号回路16に接続されたアンロックセンサ電極PUとが収容されている。アンロックセンサ電極PUは、信号回路16に接続されている。信号回路16は、基板と基板に実装された複数の電子部品とから構成されている。
【0030】
信号回路16は、ロックセンサ電極PLにおける静電容量の変化を検出してロック信号を出力する。信号回路16は、アンロックセンサ電極PUにおける静電容量の変化を検出してアンロック信号を出力する。
【0031】
図7及び
図8に示すように、信号回路16には、センサ電極接続用バスバーB1を介してロックセンサ電極PLが接続されている。
図7に示すように、センサ電極接続用バスバーB1は、固定ボルト24の軸方向から視て、固定ボルト24から所定距離離れるように固定ボルト24を迂回している。
図8及び
図9に示すように、センサ電極接続用バスバーB1は、固定ボルト24の先端24aよりも外側(
図8において上側)に位置している。これにより、センサ電極接続用バスバーB1は、固定ボルト24の軸方向及び前後方向と直交する方向、即ち車両用ドアハンドル装置1を上下方向(
図8の紙面表裏方向)から視て、固定ボルト24と重ならない位置に設けられている。
【0032】
図8及び
図10に示すように、信号回路16には、複数の外部接続用バスバーB2が接続されている。
図10では、2本の外部接続用バスバーB2が示されている。外部接続用バスバーB2は、把持部51とロアアーム部54とに内設されている。外部接続用バスバーB2は、例えばインサート成形によって、把持部51、ベース部52、及びロアアーム部54に内設されている。そして、この外部接続用バスバーB2を内設するインサート成形において、上述のコネクタ部15がロアアーム部54の先端にそのロアアーム部54と一体的に形成される。
図8に示すように、コネクタ部15は、第1支持部材20よりも車両前方に突出している。
【0033】
図8及び
図10に示すように、外部接続用バスバーB2の先端は、コネクタ部15内において、コネクタ部15の端子15aとして設けられている。外部接続用バスバーB2は、信号回路16に対する動作電圧の供給と、信号回路16からの信号出力に用いられる。
【0034】
次に、アウトサイドハンドル10の組み立てについて説明する。
図5Aに示すように、把持部51の回路収容部51aを第1ハンドル部材40に向けて第2ハンドル部材50を配置する。次に、
図5Bに示すように、第2ハンドル部材50を第1ハンドル部材40の中に挿入する。そして、
図5Cに示すように、第2ハンドル部材50を、第1端部11aの側にスライド移動させる。
【0035】
これにより、第1ハンドル部材40の収容凹部43に、第2ハンドル部材50の電極支持部53が収容されるとともに、その電極支持部53に配設されたロックセンサ電極PLの一部が収容凹部43に収容される。そして、第1ハンドル部材40の第1係止部44と第2ハンドル部材50の第2係止部55とが互いに係合する。この第1係止部44と第2係止部55との互いの係合により、第1ハンドル部材40に対して第2ハンドル部材50が第2端部11bから第1端部に向かう第1方向への移動が規制される。そして、第1ハンドル部材40の第1係止片45と第2ハンドル部材50の第2係止片56とが互いに係合することにより、第1ハンドル部材40に対して第2ハンドル部材50が第1端部11aから第2端部に向かう第2方向への移動が規制される。そして、第1係止部44と第2係止部55、及び第1係止片45と第2係止片56とのそれぞれの係合によって、第1ハンドル部材40に対して第2ハンドル部材50が位置決めされる。また、第1ハンドル部材40のアッパアーム部42の係合溝42dに、第2ハンドル部材50のロアアーム部54の凸部54aが挿入される。
【0036】
図6に示すように、第1ハンドル部材40に対して第2ハンドル部材50が組付けられたアウトサイドハンドル10は、第1支持部材20に組付けられる。
図4Aに示すように、第1ハンドル部材40のアッパアーム部42は、回転軸14を有している。この回転軸14を第1支持部材20の支持部22に形成された回転支持孔22dに挿入する。これにより、アウトサイドハンドル10が第1支持部材20に回転可能に支持される。
【0037】
(作用)
次に、本実施形態の車両用ドアハンドル装置1の作用を説明する。
図2に示すように、車両用ドアハンドル装置1は、アウトサイドハンドル10、第1支持部材20、第2支持部材30を備えている。第1支持部材20は、車両用ドアハンドル装置1において車両の前方側に配設され、第2支持部材30は、車両の後方側に配設されている。第1支持部材20と第2支持部材30は、それぞれ固定ボルト24,31によりアウタパネル2に固定されている。第1支持部材20は、アウトサイドハンドル10を回動可能に支持する回動支持部材である。第2支持部材30は、ベルクランク等の部材が組付けられるベルクランク支持部材である。
【0038】
本実施形態の車両用ドアハンドル装置1は、第1支持部材20と第2支持部材30とをフレームに一体的に備えているものと比べ、アウタパネル2の内側の部材が薄い。このため、車両のドアの内部の部材との干渉が少なくでき、種々の車両のドアに適用することができる。
【0039】
図2に示すように、車両用ドアハンドル装置1は、アウトサイドハンドル10と、アウタパネル2に固定されてアウトサイドハンドル10を回転可能に支持する第1支持部材20とを有している。
【0040】
アウトサイドハンドル10は、第1端部11aと第2端部11bとを有する長尺状の本体部11と、本体部11の第1端部11aの側からアウタパネル2を貫通して第1支持部材20にて回転可能に支持される回転支持アーム13とを備える。また、アウトサイドハンドル10は、ロックセンサ電極PLと信号回路16とを備える。ロックセンサ電極PLは、回転支持アーム13よりも第1端部11aの側に少なくとも一部が配設されるとともに、車両の外側に配設されている。信号回路16は、固定ボルト24よりも第2端部11b側の本体部11に内設され、ロックセンサ電極PLと接続され、ロックセンサ電極PLにおける静電容量の変化を検出してロック信号を出力する。
【0041】
ロックセンサ電極PLはアウトサイドハンドル10を操作するための把持部51はアウトサイドハンドル10を固定する固定ボルト24から離れた第1端部11aの側に配設されているため、アウトサイドハンドル10を操作するときにロックセンサ電極PLにおける静電容量の変化を抑制でき、誤作動を抑制できる。
【0042】
アウトサイドハンドル10は、信号回路16とロックセンサ電極PLとを接続するセンサ電極接続用バスバーB1を備える。センサ電極接続用バスバーB1は、ロックセンサ電極PLと同様に金属製である。センサ電極接続用バスバーB1は、固定ボルト24の軸方向から視て、固定ボルト24から所定距離離れるように迂回して形成されている。例えば、センサ電極接続用バスバーB1を直線状とした場合、そのセンサ電極接続用バスバーB1は、固定ボルト24とその固定ボルト24の軸線上で重なる。この場合、アウトサイドハンドル10の操作によってセンサ電極接続用バスバーB1と固定ボルト24との間の距離が変化し、この距離に応じてセンサ電極接続用バスバーB1における静電容量が変化する。このセンサ電極接続用バスバーB1の静電容量は、ロックセンサ電極PLの静電容量とともに、信号回路16により検出され、誤作動の要因となる。本実施形態のように、センサ電極接続用バスバーB1を固定ボルト24に対して所定距離離れるように迂回して形成することで、固定ボルト24との間の距離の変化が少なくなる。したがって、ロックセンサ電極PLと信号回路16とを接続するセンサ電極接続用バスバーB1に対する固定ボルト24の影響を低減できるため、アウトサイドハンドル10を操作するときに静電容量の変化を抑制できる。
【0043】
センサ電極接続用バスバーB1は、固定ボルト24を軸方向と直交する方向から視て、固定ボルト24と重ならない位置に配設されている。例えば、センサ電極接続用バスバーB1を固定ボルト24と重なる位置に配置した場合、その固定ボルト24とセンサ電極接続用バスバーB1とが互いに対向する面において静電容量が生じる。そして、アウトサイドハンドル10の操作によってセンサ電極接続用バスバーB1が固定ボルト24の先端24aより車外側に移動すると、センサ電極接続用バスバーB1と固定ボルト24との間の対向する面の面積が変化することになり、その面積変化によって静電容量に変化が生じる。上述したように、センサ電極接続用バスバーB1における静電容量の変化は、信号回路16により検出され、誤作動の要因となる。本実施形態のように、センサ電極接続用バスバーB1を固定ボルト24と重ならない位置に配置することにより(所定の距離を確保する位置に配置することにより)、面積変化、つまり静電容量の変化を抑制できる。したがって、ロックセンサ電極PLと信号回路16とを接続するセンサ電極接続用バスバーB1に対する固定ボルト24の影響を低減できるため、アウトサイドハンドル10を操作するときに静電容量の変化を抑制できる。
【0044】
アウトサイドハンドル10は、車外側の第1ハンドル部材40と、車内側の第2ハンドル部材50とから構成される。第1ハンドル部材40は、カバー部41と、カバー部41と一体的でありアウタパネル2を貫通するとともに第2端部11bから第1端部11aに向かう第1方向に向けて延びるアッパアーム部42と、アッパアーム部42よりも第1端部11a側の収容凹部43とを備える。
【0045】
第2ハンドル部材50は、アウタパネル2との間に空隙を置いて設けられる把持部51と、把持部51から第1端部11a側に延びるベース部と、ベース部から第1端部11a側に延びて収容凹部43に収容される電極支持部53とを備える。さらに、第2ハンドル部材50は、ロックセンサ電極PLと信号回路16とを備える。ロックセンサ電極PLは、電極支持部53とベース部とに支持されている。信号回路16は、アッパアーム部42により被覆されるロアアーム部54と、把持部51に設けられた回路収容部51aに収容され、ロックセンサ電極PLが接続され、ロックセンサ電極PLにおける静電容量の変化を検出してロック信号を出力する。
【0046】
したがって、ロックセンサ電極PLはアウトサイドハンドル10を操作するための把持部51はアウトサイドハンドル10を固定する固定ボルト24から離れた第1端部11aの側の収容凹部43に配設できるため、アウトサイドハンドル10を操作するときにロックセンサ電極PLにおける静電容量の変化を抑制でき、誤作動を抑制できる。
【0047】
第1ハンドル部材40のカバー部41は、第1係止部44と第1係止片45とを備える。第2ハンドル部材50の把持部51は、第2係止部55と第2係止片56とを備える。第2係止部55は、第1ハンドル部材40に対して第2ハンドル部材50が第1方向に向けた相対移動によって第1係止部44と係合する。第2係止片56は、第1係止部44と第2係止部55とが互いに係合しているときに第2係止片56と係止して第1ハンドル部材40に対する第2ハンドル部材50の第1方向とは逆の第2方向に向けた相対移動を規制する。したがって、第1ハンドル部材40と第2ハンドル部材50とを組付ける際に、第2ハンドル部材50を第1方向に移動させることで、ロックセンサ電極PLを第1ハンドル部材40の収容凹部43に容易に収容できる。
【0048】
アウトサイドハンドル10は、コネクタ部15を備える。コネクタ部15は、回転支持アーム13の先端から第1方向の突出し、回転支持アーム13と一体的に設けられ、第1端部11aから第2端部11bに向かう第2方向からワイヤハーネスのコネクタが接続される。したがって、この車両用ドアハンドル装置を例えば運転席側のドアに取着した場合と助手席側のドアに取着した場合とで、コネクタは車両の前方に向かって突出し、車両の前方からワイヤハーネスのコネクタが接続される。つまり、車両用ドアハンドル装置を左右のドアについて共通化することができる。
【0049】
回転支持アーム13には、信号回路16とコネクタ部とを接続する外部接続用バスバーB2が内設されている。したがって、信号回路16からコネクタまでのワイヤハーネスを必要とせず、またそのワイヤハーネスを配策する手間がないため、車両用ドアハンドル装置の組付け性を向上できる。
【0050】
アッパアーム部42は、第2端部11bから第1端部11aに向かう第1方向に沿って延びる係合溝42dを備える。ロアアーム部54は、係合溝42dに挿入される凸部54aを備える。したがって、回転支持アーム13を構成するアッパアーム部42とロアアーム部54との車両内外方向の相対的な位置ずれを抑制できる。
【0051】
第1支持部材20は、アウトサイドハンドル10の回転支持アーム13より第2端部11b側に規制部を有する。したがって、コネクタ部にワイヤハーネスのコネクタを接続する際に加わる荷重によるロアアーム部54の移動を第1支持部材20の規制部によって規制することで、コネクタの接続によってロックセンサ電極PL、アンロックセンサ電極PUや信号回路16等の部品を搭載する箇所に加わる負荷を低減できる。
【0052】
コネクタ部15は、第1支持部材20よりも車両前方に突出している。従って、このコネクタ部15にハーネスのコネクタを接続する場合、第1支持部材20等が邪魔になることがなく、接続が容易である。
【0053】
また、コネクタ部15に対して接続されるワイヤハーネスのコネクタは、車両用ドアハンドル装置1の前方に設けられる。したがって、車内側に向かってコネクタやハーネスが第1支持部材20より突出しないため、車両のドアの内部の部材との干渉が少なくでき、種々の車両のドアに適用することができる。
【0054】
コネクタ部15は、アウトサイドハンドル10に一体的に設けられている。従って、コネクタ部15は、アウトサイドハンドル10、つまりアウタパネル2に対して固定されている。このため、例えばハーネスによってコネクタ部15がアウトサイドハンドルに接続されたものと比べ、コネクタ部15を作業者が保持する等の手間を必要とせず、接続のための作業が容易となる。
【0055】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)車両用ドアハンドル装置1は、アウトサイドハンドル10と、アウタパネル2に固定されてアウトサイドハンドル10を回転可能に支持する第1支持部材20とを有している。アウトサイドハンドル10は、コネクタ部15を備える。コネクタ部15は、回転支持アーム13の先端から第1方向の突出し、回転支持アーム13と一体的に設けられ、第1端部11aから第2端部11bに向かう第2方向からワイヤハーネスのコネクタが接続される。したがって、この車両用ドアハンドル装置を例えば運転席側のドアに取着した場合と助手席側のドアに取着した場合とで、コネクタは車両の前方に向かって突出し、車両の前方からワイヤハーネスのコネクタが接続される。つまり、車両用ドアハンドル装置を左右のドアについて共通化することができる。
【0056】
(2)回転支持アーム13には、信号回路16とコネクタ部とを接続する外部接続用バスバーB2が内設されている。したがって、信号回路16からコネクタまでのワイヤハーネスを必要とせず、またそのワイヤハーネスを配策する手間がないため、車両用ドアハンドル装置の組付け性を向上できる。
【0057】
(3)アッパアーム部42は、第2端部11bから第1端部11aに向かう第1方向に沿って延びる係合溝42dを備える。ロアアーム部54は、係合溝42dに挿入される凸部54aを備える。したがって、回転支持アーム13を構成するアッパアーム部42とロアアーム部54との車両内外方向の相対的な位置ずれを抑制できる。
【0058】
(4)第1支持部材20は、アウトサイドハンドル10の回転支持アーム13より第2端部11b側に規制部を有する。したがって、コネクタ部にワイヤハーネスのコネクタを接続する際に加わる荷重によるロアアーム部54の移動を第1支持部材20の規制部によって規制することで、コネクタの接続によってロックセンサ電極PL、アンロックセンサ電極PUや信号回路16等の部品を搭載する箇所に加わる負荷を低減できる。
【0059】
(5)コネクタ部15は、第1支持部材20よりも車両前方に突出している。従って、このコネクタ部15にハーネスのコネクタを接続する場合、第1支持部材20等が邪魔になることがなく、接続が容易である。
【0060】
(6)コネクタ部15に対して接続されるワイヤハーネスのコネクタは、車両用ドアハンドル装置1の前方に設けられる。したがって、車内側に向かってコネクタやハーネスが第1支持部材20より突出しないため、車両のドアの内部の部材との干渉が少なくでき、種々の車両のドアに適用することができる。
【0061】
(7)コネクタ部15は、アウトサイドハンドル10に一体的に設けられている。従って、コネクタ部15は、アウトサイドハンドル10、つまりアウタパネル2に対して固定されている。このため、例えばハーネスによってコネクタ部15がアウトサイドハンドルに接続されたものと比べ、コネクタ部15を作業者が保持する等の手間を必要とせず、接続のための作業が容易となる。
【0062】
(変更例)
尚、上記各実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態では、アウトサイドハンドル10を、本体部11の第1端部11aを車両前方側、本体部11の第2端部11bを車両後方側として配設したが、配設する方向は適宜偏向されてもよい。例えば、第1端部11a側を車両後方として配設されてもよい。また、第1端部11aを車両下方側として配設されてもよい。
【0063】
・上記実施形態では、2対の第1係止部44及び第2係止部を設けたが、1対、又は3対以上の第1係止部44及び第2係止部を設けてもよい。
・上記実施形態では、アッパアーム部42に係合溝42dを設けるとともに、ロアアーム部54に凸部54aを設けたが、アッパアーム部42に凸部を設けるとともに、ロアアーム部54に係合溝を設けるようにしてもよい。
【0064】
上記各実施の形態から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(付記1)
車両のアウタパネルに固定される車両用ドアハンドル装置であって、
固定ボルトにて前記アウタパネルに固定される回転支持部材と、
前記回転支持部材に回転可能に支持されたアウトサイドハンドルと、
を備え、
前記回転支持部材は、前記アウタパネルの外側に配設されるベース板と、前記ベース板に固定され、前記アウタパネルの内側から前記固定ボルトが螺入されるナット部材と、前記ナット部材よりも前記アウトサイドハンドルの第1端部の側に設けられ、前記ベース板と一体的に設けられ、前記アウタパネルの貫通孔に挿通されるとともに、前記固定ボルトとは反対方向に延びる支持部と、を備え、
前記アウトサイドハンドルは、
第1端部と第2端部とを有する長尺状の本体部と、
前記本体部の前記第1端部の側から前記アウタパネルを貫通して前記回転支持部材にて回転可能に支持されるアーム部と、
前記アーム部よりも前記第1端部の側に少なくとも一部が配設されるとともに、前記車両の外側に配設されたロックセンサ電極と、
前記固定ボルトよりも前記第2端部側の前記本体部に内設され、前記ロックセンサ電極と接続され、前記ロックセンサ電極における静電容量の変化を検出してロック信号を出力する信号回路と、を備える、
車両用ドアハンドル装置。
【0065】
上記構成によれば、ロックセンサ電極はアウトサイドハンドルを操作するための把持部はアウトサイドハンドルを固定する固定ボルトから離れた第1端部の側に配設されているため、アウトサイドハンドルを操作するときにロックセンサ電極における静電容量の変化を抑制でき、誤作動を抑制できる。
【0066】
(付記2)
前記アウトサイドハンドルは、前記信号回路と前記ロックセンサ電極とを接続するセンサ電極接続用バスバーを備え、
前記センサ電極接続用バスバーは、前記固定ボルトの軸方向から視て、前記固定ボルトから所定距離離れるように迂回して形成されている、
付記1に記載の車両用ドアハンドル装置。
【0067】
上記構成によれば、ロックセンサ電極と信号回路とを接続するセンサ電極接続用バスバーに対する固定ボルトの影響を低減できるため、アウトサイドハンドルを操作するときに静電容量の変化を抑制できる。
【0068】
(付記3)
前記センサ電極接続用バスバーは、前記固定ボルトを軸方向と直交する方向から視て、前記固定ボルトと重ならない位置に配設されている、付記2に記載の車両用ドアハンドル装置。
【0069】
上記構成によれば、ロックセンサ電極と信号回路とを接続するセンサ電極接続用バスバーに対する固定ボルトの影響を低減できるため、アウトサイドハンドルを操作するときに静電容量の変化を抑制できる。
【0070】
(付記11)
車両のアウタパネルに固定される車両用ドアハンドル装置であって、
固定ボルトにて前記アウタパネルに固定される回転支持部材と、
第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部の側を前記回転支持部材に回転可能に支持されたアウトサイドハンドルと、
を備え、
前記回転支持部材は、前記アウタパネルの外側に配設され前記固定ボルトにて前記アウタパネルに固定されるベース板と、前記固定ボルトが螺入されるナット部材よりも前記アウトサイドハンドルの第1端部の側に設けられ、前記ベース板と一体的に設けられ、前記アウタパネルの貫通孔に挿通されるとともに、前記第2端部から前記第1端部に向かう第1方向に延びる支持部と、を備え、
前記アウトサイドハンドルは、
第1端部と第2端部とを有する長尺状の本体部と、
前記本体部の前記第1端部の側から前記アウタパネルを貫通されるとともに前記第1方向に延び、前記回転支持部材にて回転可能に支持されるアーム部と、
前記本体部に内設され、センサ電極と接続され、前記センサ電極における静電容量の変化を検出して信号を出力する信号回路と、
前記アーム部の先端から前記第1方向に突出し、前記アーム部と一体的に設けられ、前記第1端部から前記第2端部に向かう第2方向からワイヤハーネスのコネクタが接続されるコネクタ部と、を備える、
車両用ドアハンドル装置。
【0071】
上記構成によれば、この車両用ドアハンドル装置を例えば運転席側のドアに取着した場合と助手席側のドアに取着した場合とで、コネクタは車両の前方に向かって突出し、車両の前方からワイヤハーネスのコネクタが接続される。つまり、車両用ドアハンドル装置を左右のドアについて共通化することができる。
【0072】
(付記12)
前記アーム部には、前記信号回路と前記コネクタ部とを接続する接続用バスバーが内設されている、付記11に記載の車両用ドアハンドル装置。
【0073】
上記構成によれば、信号回路からコネクタまでのワイヤハーネスを必要とせず、またそのワイヤハーネスを配策する手間がないため、車両用ドアハンドル装置の組付け性を向上できる。
【0074】
(付記13)
前記アウトサイドハンドルは、車外側の第1ハンドル部材と車内側の第2ハンドル部材とから構成され、
前記第1ハンドル部材は、前記本体部を構成するカバー部材と、前記アーム部を構成するアッパアーム部と、を備え、
前記第2ハンドル部材は、前記本体部を構成する把持部、及び前記把持部から前記第1端部側に延びるベース部と、前記アーム部を構成するロアアーム部、及び前記ロアアーム部の先端に前記ロアアーム部と一体的に設けられた前記コネクタ部と、を備える、
付記11又は付記12に記載の車両用ドアハンドル装置。
【0075】
上記構成によれば、第1ハンドル部材と第2ハンドル部材とにより、アーム部にコネクタ部を有する車両用ドアハンドル装置を提供できる。
(付記14)
前記アッパアーム部と前記ロアアーム部の何れか一方は、第2端部から前記第1端部に向かう第1方向に沿って延びる溝部を備え、
前記アッパアーム部と前記ロアアーム部の何れか他方は、前記溝部に挿入される凸部を備える、
付記13に記載の車両用ドアハンドル装置。
【0076】
上記構成によれば、アーム部を構成するアッパアーム部とロアアーム部との車両内外方向の相対的な位置ずれを抑制できる。
(付記15)
前記回転支持部材は、前記アウトサイドハンドルの前記アーム部より前記第2端部側に規制部を有する、
付記11から付記14の何れか1つに記載の車両用ドアハンドル装置。
【0077】
上記構成によれば、コネクタ部にワイヤハーネスのコネクタを接続する際に加わる荷重によるロアアーム部の移動を回転支持部材の規制部によって規制することで、コネクタの接続によってセンサ電極は信号回路等の部品を搭載する箇所に加わる負荷を低減できる。
【0078】
(付記21)
車両のアウタパネルに固定される車両用ドアハンドル装置であって、
固定ボルトにて前記アウタパネルに固定される回転支持部材と、
第1端部と第2端部とを有する長尺状であり、前記回転支持部材に回転可能に支持されたアウトサイドハンドルと、
を備え、
前記アウトサイドハンドルは、車外側の第1ハンドル部材と、車内側の第2ハンドル部材と、を備え、
前記第1ハンドル部材は、カバー部材と、前記カバー部材と一体的であり前記アウタパネルを貫通するとともに前記第2端部から前記第1端部に向かう第1方向に向けて延びるアッパアーム部と、前記アッパアーム部よりも前記第1端部の側の収容凹部とを備え、
前記第2ハンドル部材は、前記アウタパネルとの間に空隙を置いて設けられる把持部と、前記把持部から前記第1端部側に延びるベース部と、前記ベース部から前記第1端部側に延びて前記収容凹部に収容される電極支持部と、前記電極支持部と前記ベース部とに支持されたロックセンサ電極と、前記アッパアーム部により被覆されるロアアーム部と、前記把持部に設けられた回路収容部に収容され、前記ロックセンサ電極が接続され、前記ロックセンサ電極における静電容量の変化を検出してロック信号を出力する信号回路と、を備える、
車両用ドアハンドル装置。
【0079】
上記構成によれば、ロックセンサ電極はアウトサイドハンドルを操作するための把持部はアウトサイドハンドルを固定する固定ボルトから離れた第1端部の側の収容凹部に配設できるため、アウトサイドハンドルを操作するときにロックセンサ電極における静電容量の変化を抑制でき、誤作動を抑制できる。
【0080】
(付記22)
前記第1ハンドル部材の前記カバー部材は、第1係止部と第1係止片とを備え、
前記第2ハンドル部材の前記把持部は、前記第1ハンドル部材に対して前記第2ハンドル部材が前記第1方向に向けた相対移動によって前記第1係止部と係合する第2係止部と、前記第1係止部と前記第2係止部とが互いに係合しているときに前記第1係止片と係止して前記第1ハンドル部材に対する前記第2ハンドル部材の前記第1方向とは逆の第2方向に向けた相対移動を規制する第2係止片と、を備える、
付記21に記載の車両用ドアハンドル装置。
【0081】
上記構成によれば、第1ハンドル部材と第2ハンドル部材とを組付ける際に、第2ハンドル部材を第1方向に移動させることで、ロックセンサ電極を第1ハンドル部材の収容凹部に容易に収容できる。
【符号の説明】
【0082】
1…車両用ドアハンドル装置、2…アウタパネル、10…アウトサイドハンドル、11…本体部、13…回転支持アーム、16…信号回路、20…第1支持部材(回転支持部材)、21…ベース板、22…支持部、23…ナット部材、24…固定ボルト、30…第2支持部材、40…第1ハンドル部材、42…アッパアーム部、43…収容凹部、50…第2ハンドル部材、51…把持部、52…ベース部、53…電極支持部、54…ロアアーム部、B1…センサ電極接続用バスバー、B2…外部接続用バスバー、PL…ロックセンサ電極。