(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】駐車位置案内システム、駐車位置出力端末および駐車位置案内プログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20221213BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20221213BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20221213BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20221213BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20221213BHJP
【FI】
G01C21/34
G08G1/005
G01C21/26 P
G08G1/0969
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2018217905
(22)【出願日】2018-11-21
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100117466
【氏名又は名称】岩上 渉
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】山村 洋市
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-221104(JP,A)
【文献】特開2001-076285(JP,A)
【文献】特開2018-163039(JP,A)
【文献】特開平05-012599(JP,A)
【文献】特開2007-309906(JP,A)
【文献】特開2004-361325(JP,A)
【文献】特開2001-307282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
G06Q 10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配達先に配達物を配達する車両を駐車させる位置の候補となる複数の駐車位置に関する駐車位置情報を取得する駐車位置情報取得部と、
前記配達物の配達に関する配達情報を取得する配達情報取得部と、
前記駐車位置情報と、前記配達情報とに基づいて、前記配達物を配達する際に前記車両を駐車させる前記駐車位置を特定する駐車位置特定部と、
特定された前記駐車位置を案内させる駐車位置案内部と、
を備
え、
前記複数の駐車位置は、一つの配送先に複数存在しており、
前記駐車位置情報には、
前記駐車位置に前記車両を駐車可能な時間帯である駐車時間帯が含まれており、
前記配達情報には、
前記配達物を配達すべき時間帯として指定された配達指定時間帯、および、前記車両の出発前に予定された前記配達先への前記車両の到着予定時間帯、が含まれており、
前記配達指定時間帯が指定されている場合の前記車両を駐車させる前記駐車位置は、前記駐車時間帯に前記配達指定時間帯が含まれる前記駐車位置であり、
前記配達指定時間帯が指定されていない場合の前記車両を駐車させる前記駐車位置は、前記駐車時間帯に前記到着予定時間帯が含まれる前記駐車位置である、
駐車位置案内システム。
【請求項2】
前記配達情報には、
前記車両の出発後に取得された前記配達先への前記車両の到着推定時間帯が含まれており、
前記到着推定時間帯が前記到着予定時間帯と異なる場合、前記車両を駐車させる前記駐車位置は、
前記駐車時間帯に前記到着推定時間帯が含まれる前記駐車位置である、
請求
項1に記載の駐車位置案内システム。
【請求項3】
前記駐車位置が空いているか否かを示す駐車状況情報を取得する駐車状況情報取得部をさらに備え、
前記車両を駐車させる前記駐車位置は、
前記駐車状況情報が示す空いている前記駐車位置である、
請求項1または請求
項2に記載の駐車位置案内システム。
【請求項4】
前記駐車位置情報には、
配達可能な前記配達物の種類を前記駐車位置に対応づけた情報が含まれており、
前記配達情報には、
前記車両が配達する前記配達物の種類を示す情報が含まれており、
前記車両を駐車させる前記駐車位置は、
前記車両で配達する前記配達物の種類が対応づけられた前記駐車位置である、
請求項1~請求
項3のいずれかに記載の駐車位置案内システム。
【請求項5】
前記駐車位置情報には、
前記駐車位置の周囲における苦情発生地点を示す情報が含まれており、
前記駐車位置案内部は、
前記苦情発生地点が対応づけられていない前記駐車位置と、前記苦情発生地点が対応づけられている前記駐車位置と、を区別して案内する、
請求項1~請求
項4のいずれかに記載の駐車位置案内システム。
【請求項6】
前記駐車位置案内部は、
前記駐車位置から前記配達先までの徒歩による移動経路を案内する、
請求項1~請求
項5のいずれかに記載の駐車位置案内システム。
【請求項7】
前記駐車位置情報は、複数の前記配達先のそれぞれについて定義されており、
前記車両を駐車させる前記駐車位置は、
複数の前記配達先のそれぞれについて特定され、
複数の前記配達先のそれぞれについて案内される、
請求項1~請求
項6のいずれかに記載の駐車位置案内システム。
【請求項8】
配達先に配達物を配達する車両を駐車させる位置の候補となる複数の駐車位置に関する駐車位置情報と、前記配達物の配達に関す
る配達情報とに基づいて特定された、前記配達物を配達する際に前記車両を駐車させる前記駐車位置を取得する駐車位置取得部と、
取得された前記駐車位置を出力する駐車位置出力部と、を備
え、
前記複数の駐車位置は、一つの配送先に複数存在しており、
前記駐車位置情報には、
前記駐車位置に前記車両を駐車可能な時間帯である駐車時間帯が含まれており、
前記配達情報には、
前記配達物を配達すべき時間帯として指定された配達指定時間帯、および、前記車両の出発前に予定された前記配達先への前記車両の到着予定時間帯、が含まれており、
前記配達指定時間帯が指定されている場合の前記車両を駐車させる前記駐車位置は、前記駐車時間帯に前記配達指定時間帯が含まれる前記駐車位置であり、
前記配達指定時間帯が指定されていない場合の前記車両を駐車させる前記駐車位置は、前記駐車時間帯に前記到着予定時間帯が含まれる前記駐車位置である、
駐車位置出力端末。
【請求項9】
コンピュータを、
配達先に配達物を配達する車両を駐車させる位置の候補となる複数の駐車位置に関する駐車位置情報を取得する駐車位置情報取得部、
前記配達物の配達に関する配達情報を取得する配達情報取得部、
前記駐車位置情報と、前記配達情報とに基づいて、前記配達物を配達する際に前記車両を駐車させる前記駐車位置を特定する駐車位置特定部、
特定された前記駐車位置を案内させる駐車位置案内部、
として機能させる駐車位置案内プログラ
ムであって、
前記複数の駐車位置は、一つの配送先に複数存在しており、
前記駐車位置情報には、
前記駐車位置に前記車両を駐車可能な時間帯である駐車時間帯が含まれており、
前記配達情報には、
前記配達物を配達すべき時間帯として指定された配達指定時間帯、および、前記車両の出発前に予定された前記配達先への前記車両の到着予定時間帯、が含まれており、
前記配達指定時間帯が指定されている場合の前記車両を駐車させる前記駐車位置は、前記駐車時間帯に前記配達指定時間帯が含まれる前記駐車位置であり、
前記配達指定時間帯が指定されていない場合の前記車両を駐車させる前記駐車位置は、前記駐車時間帯に前記到着予定時間帯が含まれる前記駐車位置である、
駐車位置案内プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車位置案内システム、駐車位置出力端末および駐車位置案内プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
配達物を車両で運搬して配達先に配達する際、通常は、配達先の周辺の駐車位置に車両を駐車させ、駐車位置から徒歩で配達先に配達物を運搬する。従来、このような配達のために利用されるナビゲーションシステムが知られている。例えば、特許文献1においては、配送先までのルートナビゲーションを実行する配送支援ナビゲーションシステムが開示されている。また、特許文献1においては、「必ず到着前に電話する」などの顧客との取り決め事項が表示される構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術においては、配達に関する種々の状況に応じて駐車位置を選択することができなかった。例えば、配達物には冷凍物などの種類が存在し得るが、冷凍物を運搬する際に配達先から遠い位置に駐車してしまうと、冷凍物が解凍されるおそれがある。しかし、従来の技術においては、配達物を考慮していないため、適切な駐車位置を案内できない場合があった。また、配達を行う際には配達ルートや配達指定時間帯等を規定した計画が立案されることが多いが、例えば、配達指定時間帯を考慮しなければ、配達指定時間帯において使用できない駐車位置を案内してしまうことがある。このような、駐車位置を決定するために考慮すべき要素には、種々の要素があり得る。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、配達に関する情報を考慮して駐車位置を特定することが可能なシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、駐車位置案内システムは、配達先に配達物を配達する車両を駐車させる位置の候補となる複数の駐車位置に関する駐車位置情報を取得する駐車位置情報取得部と、前記配達に関する配達情報を取得する配達情報取得部と、前記駐車位置情報と、前記配達情報とに基づいて、前記配達物を配達する際に前記車両を駐車させる前記駐車位置を特定する駐車位置特定部と、特定された前記駐車位置を案内させる駐車位置案内部と、を備える。
【0006】
また、上記の目的を達成するため、駐車位置案内プログラムは、コンピュータを、配達先に配達物を配達する車両を駐車させる位置の候補となる複数の駐車位置に関する駐車位置情報を取得する駐車位置情報取得部、前記配達に関する配達情報を取得する配達情報取得部、前記駐車位置情報と、前記配達情報とに基づいて、前記配達物を配達する際に前記車両を駐車させる前記駐車位置を特定する駐車位置特定部、特定された前記駐車位置を案内させる駐車位置案内部、として機能させる。
【0007】
すなわち、駐車位置案内システム、駐車位置案内プログラムは、駐車位置情報と配達情報とに基づいて、配達物を配達する際に車両を駐車させる駐車位置を特定する。従って、配達に関する情報を考慮して駐車位置を特定することが可能である。
【0008】
さらに、上記の目的を達成するため、駐車位置出力端末は、配達先に配達物を配達する車両を駐車させる位置の候補となる複数の駐車位置に関する駐車位置情報と、配達物の配達に関する配達情報を取得する配達情報とに基づいて特定された、配達物を配達する際に車両を駐車させる駐車位置を取得する駐車位置取得部と、取得された駐車位置を出力する駐車位置出力部と、を備える。
【0009】
すなわち、駐車位置出力端末は、駐車位置情報と配達情報とに基づいて特定された、配達物を配達する際に車両を駐車させる駐車位置を出力する。従って、配達に関する情報が考慮されて特定された駐車位置が案内され、駐車位置出力端末を利用する配達人は、配達に関する情報を考慮して特定された駐車位置を認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】駐車位置案内システムおよび駐車位置出力端末のブロック図である。
【
図2】駐車位置出力処理および駐車位置案内処理を示すフローチャートである。
【
図3】駐車位置出力処理および駐車位置案内処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図4A,
図4Bは、駐車位置情報および駐車状況情報の例を示す図であり、
図4Cは周辺配達経路案内の例を示す図である。
【
図5】
図5A,
図5Bは、徒歩で使用可能な道路を示す情報の例を示す図であり、
図5Cは徒歩移動経路案内の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)システム構成:
(1-1)駐車位置出力端末の構成:
(1-2)駐車位置案内システムの構成:
(2)駐車位置出力処理および駐車位置案内処理:
(3)他の実施形態:
【0012】
(1)システム構成:
図1は、本発明にかかる駐車位置案内システム100の構成を示すブロック図である。本実施形態において駐車位置案内システム100は、配達物の配達予定経路を案内する処理を、複数の車両のそれぞれを運転する複数の配達人のそれぞれについて実施する。本実施形態において駐車位置案内システム100は、配達人に利用される駐車位置出力端末10、駐車位置を撮影するカメラ50と協働する。
【0013】
駐車位置出力端末10は、配達人に利用される端末であれば良く、配達人が運転する車両に搭載されていても良いし、可搬型であっても良く、種々の端末を想定可能である。本実施形態においては、可搬型の端末を想定する。カメラ50は、特定の広さの領域が視野に含まれるように屋外に複数台設置されており、本実施形態においては、水平面に各カメラ50の撮影範囲が格子状に並ぶように設置されている。本実施形態においては、当該格子をメッシュと呼ぶ。
【0014】
駐車位置案内システム100は、これらの駐車位置出力端末10と通信によって協働することができる。各装置間の通信は直接実施されても良いし、他の装置、例えば他のサーバ等を介して行われてもよい。
【0015】
(1-1)駐車位置出力端末の構成:
本実施形態にかかる駐車位置出力端末10は、配達予定経路に沿って車両を誘導するナビゲーション機能を備えた端末であり、本実施形態においては、車両を運転する配達人毎に担当地域が予め割り振られており、各配達人は担当地域に存在する配達先への配達物を配達する。一般的に、配達先は複数箇所であり、各配達先に1個以上の配達物が配達される。配達に際しては、各配達先に順次到達する配達予定経路が駐車位置案内システム100によって策定され、配達予定経路を示す情報が駐車位置出力端末10に送信される。駐車位置出力端末10は、当該配達予定経路を案内する端末として機能する。むろん、配達人の担当地域は重複していても良いし、同一地域を複数の配達人が担当しても良い。
【0016】
駐車位置出力端末10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20、図示しない記録媒体、通信部15、GNSS受信部16、車速センサ17、ジャイロセンサ18を備えている。制御部20は、図示しない記録媒体やROMに記憶された図示しないナビゲーションプログラムを実行することができる。
【0017】
図示しない記録媒体には、配達予定経路を示す情報と地図情報とが記録される。地図情報は、車両の位置や配達先の表示等に利用される情報であり、車両が走行する道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータ,ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ,ノード同士の連結を示すリンクデータ,道路やその周辺に存在する地物の位置等を示すデータ等を含んでいる。
【0018】
GNSS受信部16は、Global Navigation Satellite Systemの信号を受信する装置であり、航法衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在地を算出するための信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の現在地を取得する。車速センサ17は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部20は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサ18は、車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両の向きに対応した信号を出力する。制御部20は、この信号を取得して車両の進行方向を取得する。車速センサ17およびジャイロセンサ18等は、車両の走行軌跡を特定するために利用され、本実施形態においては、車両の出発位置と走行軌跡とに基づいて現在地が特定され、当該出発位置と走行軌跡とに基づいて特定された車両の現在地がGNSS受信部16の出力信号に基づいて補正される。
【0019】
通信部15は、他の装置と通信を行う回路を備えている。制御部20は、通信部15を介して駐車位置案内システム100と通信を行うことが可能である。制御部20は、図示しないナビゲーションプログラムの機能により、通信部15を介して駐車位置案内システム100から配達予定経路を示す情報を取得する。制御部20は、当該配達予定経路および地図情報に基づいて、図示しないユーザI/F部の出力部を利用して、車両を運転する配達人に対して配達予定経路に沿って走行できるように誘導する経路案内を行うことが可能である。
【0020】
このような案内を行うため、図示しないナビゲーションプログラムは駐車位置出力プログラム21を備えている。駐車位置出力プログラム21は、駐車位置取得部21aと駐車位置出力部21bとを備えている。駐車位置取得部21aは、駐車位置案内システム100から送信された配達予定経路を取得し、当該配達予定経路から駐車位置を取得する機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールである。本実施形態において駐車位置案内システム100は、後述する処理により、配達先に配達物を配達する車両の駐車位置に関する駐車位置情報と、配達に関する配達情報を取得する配達情報とに基づいて、配達物を配達する際に利用すべき駐車位置を取得する。
【0021】
駐車位置案内システム100は、当該駐車位置を配達先への到達順に従って訪問するための経路を探索し、配達予定経路とする。そして、駐車位置案内システム100は、当該配達予定経路を示す情報に、駐車位置を配達先毎に示す情報を対応づけて送信する。制御部20は、通信部15を介して当該配達予定経路を取得することで、配達予定経路を示す情報と、駐車位置を示す情報とを取得する。
【0022】
駐車位置出力部21bは、駐車位置取得部21aの機能によって取得された駐車位置を出力する機能を制御部20に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部20は、駐車位置出力部21bの機能により、図示しないユーザI/F部を制御して出力部に車両の周辺の地図を表示させ、当該地図上に配達予定経路を表示させる。この際、制御部20は、配達予定経路に含まれる駐車位置を参照し、各配達先に配達物を配達する際に車両を駐車させるべき駐車位置を示す情報も表示させる。
【0023】
この状態において制御部20は、図示しないユーザI/F部を制御し、当該配達予定経路に沿って車両を運転させるために必要な案内(右左折案内等)の音声を出力させる。以上の構成において、駐車位置は、駐車位置情報と配達情報とに基づいて特定される(詳細は後述)。従って、本実施形態によれば、配達に関する情報が考慮されて特定された駐車位置が案内され、駐車位置出力端末を利用する配達人は、配達に関する情報を考慮して特定された駐車位置を認識することができる。
【0024】
なお、制御部20は、車両の現在地以後、配達予定経路に沿って走行した場合に配達先へ到着する到着推定時間帯を取得することができる。すなわち、制御部20は、配達予定経路を構成する各道路区間を走行する際に要する走行所要時間を取得することにより、現在地以後において配達先に到達する到着推定時間帯を特定することができる。制御部20は、通信部15を介して各配達先に対応づけた到着推定時間帯を駐車位置案内システム100に対して送信することができる。
【0025】
なお、道路区間毎の走行所要時間は、種々の手法で取得されて良く、例えば、制御部20が、図示しない地図情報に基づいて特定される現在地から配達先までの配達予定経路沿いの距離を道路区間毎の平均車速で除することによって到着推定時間帯を特定可能である。平均車速は、予め決められた固定値であっても良いし、渋滞度等に応じて決められても良い。むろん、道路種別毎に平均車速が決められても良い。到着推定時間帯は種々の範囲で決められて良いが、本実施形態においては、2時間毎に区切られた時間帯のいずれかである。例えば、8:00~10:00,10:00~12:00といった時間帯が24時間にわたって予め定義されている。
【0026】
(1-2)駐車位置案内システムの構成:
駐車位置案内システム100は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部200、記録媒体300、通信部400を備えている。通信部400は、駐車位置出力端末10およびカメラ50と情報の授受を行う回路を備えている。制御部200は、通信部400を介して駐車位置出力端末10およびカメラ50と通信を行うことができる。また、制御部200は、記録媒体300やROMに記憶されたプログラムを制御部200で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムとして駐車位置案内プログラム210を実行可能である。
【0027】
また、記録媒体300には、地図情報300aと駐車位置情報300bと配達情報300cと駐車状況情報300dが記録される。地図情報300aは、駐車位置出力端末10の記録媒体に記録される地図情報と同様の情報を含み、ノードデータ,形状補間点データ,リンクデータ,道路やその周辺に存在する地物の位置等を示すデータ等を含んでいる。リンクデータにはリンクデータが示す道路区間毎のコストを示す情報が対応付けられている。地物を示すデータには、地物の属性(施設の種類等)が含まれている。本実施形態においては、これらの地物が配達先となり得る。
【0028】
さらに、本実施形態において地図情報300aには、配達先の周辺において徒歩移動可能な道路を示す情報が含まれている。すなわち、地図情報300aには、徒歩移動可能な道路区間の端点を示すノードデータ,形状補間データ、リンクデータ、配達先の位置を示すデータが含まれている。また、リンクデータにはリンクデータが示す道路区間毎のコストを示す情報が対応付けられている。
【0029】
さらに、本実施形態においては、各配達先に対して配達先に配達物を配達する際に利用される駐車位置を示す駐車位置情報300bが記録媒体300に記録されている。駐車位置情報300bは、配達先に配達物を配達する車両を駐車させる位置の候補を示す情報であり、複数の配達先のそれぞれについて定義されている。なお、本実施形態において配達先は店舗であるが、むろん、配達先は店舗以外の施設、例えば、公共施設、個人宅等であっても良い。
【0030】
本実施形態においては上述のメッシュ毎に駐車位置の候補が定義される。すなわち、2次元平面が格子状に区切られることで生成される矩形の各領域が駐車位置の候補である。当該格子には、配達物の積み卸しのために車両を路上駐車させることが可能な道路や道路から進入可能な駐車場が含まれ、本実施形態においてはこれらの道路や駐車場に車両を駐車させることが想定されている。
【0031】
むろん、駐車位置は、道路上の複数の座標や駐車場の座標等によって定義されていても良いが、本実施形態においては、カメラ50によって駐車状況が確認され、また、道路での積み卸しのための駐車に際しては、座標の多少の差異は意味をなさない。そこで、本実施形態においては、メッシュ単位で駐車位置の候補が定義される構成が採用されている。なお、メッシュの大きさは、カメラ50の視野に応じて種々の大きさとすることができるが、本実施形態においては一辺が数m程度の矩形が想定されている。
【0032】
さらに本実施形態においては、駐車位置に車両を駐車可能な時間帯である駐車時間帯が駐車位置情報300bに含まれている。すなわち、駐車位置によっては、周辺住民への配慮や騒音防止等に対応するため、使用できる時間帯と使用できない時間帯とが生じ得る。そこで、本実施形態においては、駐車位置情報300bに対して使用可能な時間帯が対応づけられている。従って、駐車位置情報300bに示されていない時間帯は使用不可能な時間帯である。なお、本実施形態において、駐車位置を使用可能な時間帯は、朝、昼、夜の3種に分類されており、各時間帯の開始時刻および終了時刻は予め決められている。本実施形態においては、4:00~10:00が朝、10:00~16:00が昼、16:00~4:00が夜である。むろん、この区分は一例である。
【0033】
さらに本実施形態においては、配達可能な配達物の種類を駐車位置に対応づけた情報が駐車位置情報300bに含まれている。本実施形態においては、配達物に複数の種類が存在することが想定されている。具体的には、本実施形態において配達物は、店舗における販売対象となる商品であり、食料品(飲料含む)として、低温(例えば、5℃以下や0℃付近)での保存が必要なチルド商品、冷凍商品、常温で管理可能な商品が存在する。また、食料品以外の商品として、雑貨および雑誌が存在する。本実施形態においては、以上の5種類の配達物が想定されている。
【0034】
本実施形態においては、配達物の種類の中に温度管理が必要な種類が存在することに着目し、低温を維持すべき配達物を配達する際に車両を駐車させる駐車位置が、配達先から既定距離以内になるように設定される。すなわち、温度管理が必要な商品(チルド商品および冷凍商品)が配達物である場合の駐車位置は、配達先に配達物を配達する際の駐車位置となり得る複数の候補の中で、配達先から既定距離以内に存在する駐車位置から選択される。
【0035】
温度管理が不要な商品は、温度管理が必要な商品が配達物である場合の駐車位置と異なる場所の駐車位置である。本実施形態においては、駐車位置を示す駐車位置情報300bに対して、温度管理が必要な商品が配達物であることを示す情報または温度管理が不要な商品が配達物であることを示す情報が対応づけられている。なお、本実施形態において各駐車位置は、温度管理が必要な商品と、温度管理が不要な商品とのいずれかを配達する際に利用されるが、むろん、温度管理が必要な商品を配達する際に利用される駐車位置が、温度管理が不要な商品の配達の際にも利用される構成であっても良い。
【0036】
さらに、本実施形態においては、駐車位置の周囲における苦情発生地点を示す情報が駐車位置情報300bに含まれている。すなわち、配達物を配達する際には、配達に伴う騒音や事故、車両の存在等の種々の要因によって駐車位置周辺の住民等から苦情が発生し得る。本実施形態においては、過去に苦情が発生した地点(座標)が予め苦情発生地点として定義され、駐車位置に対応づけられている。
【0037】
なお、本実施形態において、苦情発生地点には、苦情の原因が対応づけられている。具体的には、苦情の原因が、車両に対する苦情、事故発生に関する苦情、騒音に関する苦情のように分類されており、これらのいずれかが苦情発生地点に対応づけられている。また、苦情発生地点は、苦情の発生や発生数が閾値を超えたこと等に応じて随時追加されて良いし、既定期間以上苦情が発生しなかった地点が削除されても良い。
【0038】
図4Aは、駐車位置情報300bの一例を示している。
図4Aに示す矩形はメッシュを示しており、各メッシュが駐車位置である。なお、実際には各メッシュ内に道路が存在するが
図4Aにおいては図示されていない。中央のメッシュには配達先Gが示されている。この配達先Gの周囲に存在する駐車位置は白地のメッシュで模式的に示されている。グレーのメッシュは、配達先Gから遠い、配達先Gに向かう道路が存在しないなどの理由から駐車位置の候補にはなっていない。
【0039】
図4Aに示す駐車位置の候補(白地のメッシュ)には、各駐車位置に対応づけられた情報が文字で示されている。すなわち、M,D,Nのそれぞれは、朝、昼、夜の時間帯において駐車位置を利用可能であり、当該文字で示された時間帯以外の時間帯において駐車位置を利用することが禁止されていることを示している。
【0040】
Tn,Tcのそれぞれは、温度管理が不要な商品を配達する際の駐車位置であること、温度管理が必要な商品を配達する際の駐車位置であることを示している。C
0,C
1,C
2は、苦情の有無および苦情の原因を示しており、C
0は苦情発生地点が含まれないことを示し、C
1,C
2は苦情発生地点が含まれ、数値によって苦情の発生原因が区別されることが示されている。なお、本実施形態において苦情発生地点は座標で定義されているので、駐車位置に含まれることのみならず、座標も特定可能である。
図4Aに示すF,Vは駐車位置が満車であること、空いていることを示す駐車状況情報であり、詳細は後述する。
【0041】
配達情報300cは、配達に関する情報であり、各配達人(各配達人が利用する車両であっても良い)について定義される。本実施形態において、配達情報300cは、配達物に関する情報と、配達予定に関する情報を含んでいる。すなわち、各配達人が配達すべき配達物は配達計画が策定された段階で決まり、配達人によって配達物と配達予定とが異なるため、これらを示す情報が配達情報300cとして定義されている。
【0042】
具体的には、配達物に関する情報には、各配達物の配達先を示す情報(住所)と、各配達物の種類を示す情報が含まれている。さらに、配達予定に関する情報には、配達物を配達すべき時間帯として指定された配達指定時間帯と、車両の出発前に予定された配達先への車両の到着予定時間帯とが含まれている。さらに、車両の出発後において、配達先への前記車両の到着推定時間帯が取得され、配達情報300cとして記録される。すなわち、本実施形態においては、配達先となる店舗の事情や物流の事情等の種々の事情により、特定の配達先に特定の配達物を配達すべき時間帯が指定されている場合がある。本実施形態においては、配達すべき時間帯が指定されている配達物を当該時間帯内に配達しながら、全ての配達物を配達できるように出発予定時間帯および各配達先への到着予定時間帯が決められた配達予定経路が策定される。
【0043】
そこで、このような配達予定経路の策定を実現可能にするために、配達すべき時間帯が指定された配達物が存在する場合、当該配達物に対して、配達指定時間帯が対応づけられる。配達指定時間帯は種々の範囲で決められて良いが、本実施形態においては、2時間毎に区切られた時間帯のいずれかである。例えば、8:00~10:00,10:00~12:00といった時間帯が24時間にわたって予め定義されている。
【0044】
さらに、配達予定に関する情報には、車両の出発前に取得された配達先への車両の到着予定時間帯が含まれる。すなわち、配達予定経路が探索されると、制御部200は、地図情報300aに基づいて配達予定経路を構成する各区間の距離を取得し、当該距離を平均車速で除することによって区間毎の走行所要時間を取得する。平均車速は、予め決められた固定値であっても良いし、渋滞度等に応じて決められても良い。むろん、道路種別毎に平均車速が決められても良い。
【0045】
いずれにしても、出発地以後、各駐車位置に到達するための各区間について走行所要時間が取得されることにより、制御部200は、各駐車位置に車両が到達する時刻が含まれる時間帯を到着予定時間帯として取得する。得られた到着予定時間帯は、配達人および各配達先に対応づけられ、配達情報300cとして記録媒体300に記録される。到着予定時間帯は種々の範囲で決められて良いが、本実施形態においては、2時間毎に区切られた時間帯のいずれかである。例えば、8:00~10:00,10:00~12:00といった時間帯が24時間にわたって予め定義されている。むろん、到着予定時間帯を取得するために、各駐車位置で予定された積み卸し時間が考慮されても良い。
【0046】
さらに、車両の出発後において、駐車位置出力端末10から到着推定時間帯が送信されると、制御部200は、通信部400を介して当該到着推定時間帯を取得する。そして、当該到着推定時間帯の送信元であった駐車位置出力端末10に基づいて配達人を特定し、当該配達人の各配達先に対して到着推定時間帯を対応づけて配達情報300cとして記録媒体300に記録させる。なお、本実施形態において到着予定時間帯は、車両の出発前において配達予定経路を策定する段階で特定された時間帯であり、到着推定時間帯は、車両の出発後の配達状況の変化に応じて取得された時間帯である。
【0047】
駐車状況情報300dは、駐車位置が空いているか否かを示す情報である。本実施形態において、駐車状況情報300dは、駐車位置毎の情報であり、上述のメッシュ毎に定義される。すなわち、カメラ50によって撮影された画像には、車両を一時的に路上駐車させることが可能な道路や駐車場の像が含まれており、当該像の上部の像を解析することによって当該道路や駐車場に車両が駐車されているか否か判定することができる。
【0048】
具体的には、制御部200は、通信部400を介して各カメラの画像から、当該道路や駐車場の像を特定する。道路や駐車場の像は画像の特徴量に基づいて特定されても良いし、設置位置に固定されているカメラ50の画像内の特定の位置に道路や駐車場が存在することが予め特定されていても良い。いずれにしても、制御部200は、道路や駐車場の像の上部に車両の特徴を有する像が存在する場合に駐車位置が空いていないと判定し、車両の特徴を有する像が存在しない場合に駐車位置が空いていると判定する。
【0049】
なお、1個のメッシュ内に駐車可能な地点が複数箇所存在する場合、駐車位置が空いているか否かを種々の手法で特定して良い。例えば、複数の地点の中で車両が駐車している地点の比率が閾値以上である場合に駐車位置が空いていないと判定される構成であっても良いし、1地点でも空いていれば駐車位置が空いていると判定される構成などを採用可能である。すなわち、予め決められた基準に基づいて駐車位置が空いているか否か判定されて良い。
【0050】
制御部200は、任意のタイミングにおいてカメラ50から駐車位置を撮影した画像を取得することができ、各駐車位置が空いているか否かを示す情報を取得することができる。そして、制御部200は、各駐車位置を示す情報に対して、駐車位置が空いているか否かを示す情報を対応付け、駐車状況情報300dとして記録媒体300に記録させる。
図4Aに示す配達先Gの周囲に存在する駐車位置について、駐車状況情報300dが取得されると、
図4Aに示すように、各メッシュについて満車であることを示すFや空車であることを示すVが対応づけられた状態になる。
【0051】
本実施形態においては、徒歩移動をする際に利用可能な道路を示す情報が、地図情報
300aに含まれている。本実施形態においては、当該情報もメッシュによって区切られた領域毎に定義されている。なお、当該メッシュの大きさは、駐車位置情報300bを示すメッシュの大きさと一致していても良いし異なっていてもよい。本実施形態においては、周辺住民から苦情が発生した場合に道路が使用不可能と判断され得る。また、苦情の有無は時間帯によって変動し得るため、本実施形態においては、苦情が発生した時間帯において道路を使用不可能と見なしている。
【0052】
すなわち、各メッシュに含まれる道路の使用が許可されない時間帯が定義され、苦情発生地点の座標および苦情の原因とともに各メッシュに対応づけられて地図情報300aに記録されている。
図5Aは、メッシュに対応づけられた情報の例を示している。
図5Aに示す矩形は徒歩移動で利用される道路について設定されたメッシュを示しており、各メッシュ内に地図情報300aが示す道路区間が存在する(
図5Aに道路は示されていない)。なお、
図5Aにおいては、配達先がGであり、車両の駐車位置がSである。
【0053】
また、本実施形態においては、道路を使用不可能な時間帯が駐車位置と同様に朝、昼、夜のいずれかによって定義される。
図5Aにおいては、朝、昼、夜のそれぞれをM,D,Nによって示している。また、配達物を徒歩で運搬する過程においては、台車によって発生する騒音や配達人との接触等の種々の要因によって徒歩移動経路周辺の住民等から苦情が発生し得る。本実施形態においては、過去に苦情が発生した地点(座標)が予め苦情発生地点として定義され、苦情の発生原因が対応づけられる。
図5Aにおいては、苦情の発生原因に差異が生じていることをC
0,C
1,C
2のように符号を区別して示している。
【0054】
なお、符号C0は苦情発生地点が存在しないことを示している。従って、符号C0が対応づけられたメッシュには、道路が使用不可能である時間帯は存在しない。なお、苦情発生地点は、苦情の発生や発生数が閾値を超えたこと等に応じて随時追加されて良いし、苦情が発生しなかった地点が削除されても良い。
【0055】
本実施形態においては、制御部200が駐車位置案内プログラム210を実行することにより、駐車位置出力端末10の各利用者に駐車位置を案内する。当該案内を実現するため、駐車位置案内プログラム210は、駐車位置情報取得部210aと配達情報取得部210bと駐車状況情報取得部210cと駐車位置特定部210dと駐車位置案内部210eとを備えている。
【0056】
駐車位置情報取得部210aは、配達先に配達物を配達する車両を駐車させる位置の候補となる複数の駐車位置に関する駐車位置情報300bを取得する機能を制御部200に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部200は、駐車位置情報300bを参照し、任意の駐車位置出力端末10を利用する配達人の任意の配達先に対応づけられた駐車位置のそれぞれについて駐車時間帯、配達物の種類、苦情発生地点を取得することができる。
【0057】
配達情報取得部210bは、配達に関する配達情報を取得する機能を制御部200に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部200は、配達情報300cを参照し、任意の駐車位置出力端末10を利用する配達人に対応した配達情報、すなわち、配達物の配達先の住所、配達物の種類、配達物の配達予定に関する情報(配達指定時間帯、到着予定時間帯、到着推定時間帯)を取得することができる。
【0058】
駐車状況情報取得部210cは、駐車位置が空いているか否かを示す駐車状況情報を取得する機能を制御部200に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部200は、駐車状況情報300dは、任意の駐車位置出力端末10を利用する配達人が配達先に配達物を配達する際に車両を駐車させるべき駐車位置の候補について、駐車位置が空いているか否かを示す情報を取得する。
【0059】
駐車位置特定部210dは、駐車位置情報300bと、配達情報とに基づいて、配達物を配達する際に車両を駐車させる駐車位置を特定する機能を制御部200に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、制御部200は、配達情報300cに基づいて、配達予定経路の策定対象である配達人が配達すべき配達物の配達先を特定する。また、制御部200は、配達情報300cに基づいて、各配達物の配達指定時間帯を特定する。そして、制御部200は、地図情報300aを参照し、各配達物の配達指定時間帯内に配達先に配達するための経路を探索し、配達予定経路として取得する。
【0060】
なお、経路の探索は種々の手法で実施されて良く、例えば、ダイクストラ法やA*アルゴリズム、それらの改良型アルゴリズムなどを採用可能である。制御部200は、地図情報300aが示す道路区間の距離等に基づいて走行所要時間を取得することにより、配達先への到着予定時間帯を取得することができる。すなわち、本実施形態においては、道路区間毎の平均車速が予め決められており、当該平均車速によって道路区間の距離を除することによって道路区間の走行所要期間を取得することができる。従って、経路を構成する道路区間の走行所要期間を累積することによって経路の走行所要期間を取得することができる。
【0061】
そこで、制御部200は、配達指定時間帯が決められた配達物の配達先については、当該配達指定時間帯内に車両が駐車位置に到達するように制約条件を課して経路探索を行う。なお、配達指定時間帯が決められていない配達物については、例えば、距離が近い順に配達を行うこととして経路探索が行われる。配達指定時間帯に間に合わせるために必要があれば配達指定時間帯が決められていない配達物の配達順序が変更されるなどの処理が適宜行われる。いずれにしても、制御部200は、以上のような処理によって、配達指定時間帯が決められた配達物については、配達指定時間帯内に配達しながら、全ての配達物を配達できるように出発予定時間帯を決定し、配達先への到着予定時間帯を含む配達予定経路を策定する。
【0062】
いずれにしても、配達予定経路が策定されると、配達時間帯が指定された配達物の配達先については当該配達指定時間帯に配達先へ到達し、配達時間帯が指定されていない配達物の配達先については到着予定時間帯に配達先へ到達するように配達予定経路が決められた状態になる。
【0063】
なお、経路探索の際に制御部200は、各配達先を目的地とするのではなく、各配達先に対応づけられた駐車位置の候補から選択された駐車位置を目的地とした経路を探索する。このため、制御部200は、駐車位置情報300bと配達情報300cと駐車状況情報300dとに基づいて、駐車位置を選択する。具体的には、制御部200は、配達時間帯が指定された配達先については、駐車時間帯に配達指定時間帯が含まれる駐車位置を選択する。本実施形態においては、駐車時間帯が、朝、昼、夜のいずれかによって定義され、配達指定時間帯は2時間毎の時間帯で定義されている。そこで、制御部200は、配達指定時間帯が朝、昼、夜のいずれに含まれるのか判定し、配達指定時間帯が含まれる駐車時間帯が対応づけられた駐車位置を選択する。
【0064】
例えば、
図4Aに示す例においては、駐車可能な時間帯(M,D,N)が駐車位置情報300bとして駐車位置に対応づけられている。この例において、配達指定時間帯が6:00~8:00や8:00~10:00等である場合、これらの時間帯は朝の駐車時間帯に含まれる。従って、
図4Aに示す例において、配達指定時間帯がこれらの時間帯である場合、駐車位置情報300bが示す駐車時間帯が朝(M)である駐車位置が選択される。
【0065】
配達時間帯が指定されていない配達先について制御部200は、駐車時間帯に到着予定時間帯が含まれる駐車位置を選択する。本実施形態においては、駐車時間帯が、朝、昼、夜のいずれかによって定義され、到着予定時間帯は2時間毎の時間帯で定義されている。そこで、制御部200は、到着予定時間帯が朝、昼、夜のいずれに含まれるのか判定し、到着予定時間帯が含まれる駐車時間帯が対応づけられた駐車位置を選択する。
【0066】
例えば、
図4Aに示す例においては、駐車可能な時間帯(M,D,N)が駐車位置情報300bとして駐車位置に対応づけられている。この例において、到着予定時間帯が6:00~8:00や8:00~10:00等である場合、これらの時間帯は朝の駐車時間帯に含まれる。従って、
図4Aに示す例において、到着予定時間帯がこれらの時間帯である場合、駐車位置情報300bが示す駐車時間帯が朝(M)である駐車位置が選択される。
【0067】
次に、制御部200は、選択された駐車位置の中から、配達先に配達される配達物の種類が対応づけられた駐車位置を選択する。例えば、
図4Aに示される例において、配達先Gへの配達物の種類がチルドである場合、制御部200は、駐車位置情報300bに対して温度管理が必要な商品を配達する際の駐車位置であることを示す情報が対応づけられた駐車位置(Tcが対応づけられた駐車位置)を選択する。
【0068】
さらに、制御部200は、選択された駐車位置の中から、苦情発生地点が対応づけられていない駐車位置を選択する。例えば、
図4Aに示される例であれば、制御部200は、苦情発生地点が含まれないことを示すC
0が対応づけられた駐車位置を選択する。
【0069】
さらに、制御部200は、選択された駐車位置の中から、駐車状況情報が示す空いている駐車位置を選択する。例えば、
図4Aに示される例であれば、制御部200は、駐車位置が空いていることを示すVが対応づけられた駐車位置を選択する。
図4Bは、以上のようにして、駐車時間帯、配達物の種類、苦情地点の有無、満空状態によって選択された駐車位置を太い実線で囲んで示している。
【0070】
以上のようにして選択された駐車位置は、いずれの駐車位置であっても配達物を配達可能であるため、制御部200は、これらの駐車位置の中から任意の位置を選択すればよい。本実施形態において制御部200は、配達の所要期間を低減するため、配達先Gから最も近い駐車位置(
図4に示すP
1)を駐車位置として選択する。なお、経路探索の際には、選択された駐車位置内の一地点が目的地として設定されればよく、例えば、駐車位置の中央の地点や路上駐車可能な道路上の一時点や駐車場等が目的地として設定される。
【0071】
制御部200は、以上のようにして配達先に配達物を配達する際に駐車すべき駐車位置を特定する処理を、複数の配達先のそれぞれについて実施する。配達人が配達するべき配達物の全てについて駐車位置が特定されると、制御部200は、当該駐車位置を目的地とした配達予定経路を探索する。すなわち、制御部200は、配達時間が指定されている配達物については、配達物の配達指定時間帯内に車両が駐車位置に到達するように出発時間帯を特定し、各配達物を配達するための駐車位置(例えば、メッシュ内の中央等の一地点)に順次到達する配達予定経路を探索する。
【0072】
配達時間が指定されていない配達物について、制御部200は、配達予定経路に従って走行した場合に駐車位置に到着する到着予定時間帯を取得する。そして、制御部200は、配達時間が指定されていない配達物についての配達先に到着予定時間帯を対応づける。
【0073】
駐車位置案内部210eは、特定された駐車位置を案内させる機能を制御部200に実行させるプログラムモジュールである。すなわち、本実施形態において制御部200は、駐車位置出力端末10に駐車位置を含む配達予定経路を出力させることによって、駐車位置を案内させる。このため、制御部200は、通信部400を介して、配達人が利用する駐車位置出力端末10に対して配達予定経路を送信する。この結果、駐車位置出力端末10においては、駐車位置に到達するための配達予定経路が案内される。
【0074】
以上の構成において、制御部200は、配達情報に基づいて駐車位置を特定する。従って、配達物の種類や配達指定時間帯や到着予定時間帯などの配達に関する情報を考慮して駐車位置を特定することが可能である。
【0075】
(2)駐車位置出力処理および駐車位置案内処理:
次に、制御部20が実行する駐車位置出力処理および制御部200が実行する駐車位置案内処理を説明する。
図2および
図3は、駐車位置出力処理および駐車位置案内処理のフローチャートを示す図である。駐車位置出力処理は、各配達人が利用する駐車位置出力端末10で実行され、駐車位置案内処理は、駐車位置案内システム100において各配達人のそれぞれを対象として実行されるが、以後においては特定の配達人について着目して一連の処理を説明する。
【0076】
駐車位置案内システム100においては、種々のトリガ(例えば、駐車位置出力端末10からの要求や配達物の管理者からの要求等)によって駐車位置案内処理を開始する。駐車位置案内処理が開始されると、制御部200は、駐車位置特定部210dの機能により、配達予定経路を取得する(ステップS100)。ここで制御部200は、駐車位置情報取得部210a、配達情報取得部210b、駐車状況情報取得部210cの機能によって取得された駐車位置情報、配達情報、駐車状況情報に基づいて駐車位置を特定し、各駐車位置に到達するための配達予定経路を取得する。
【0077】
具体的には、制御部200は、配達情報取得部210bの機能により、配達情報300bを取得し、配達人が配達するべき配達物の配達先の住所を取得する。さらに、制御部200は、配達情報300bに基づいて、各配達物の中で、配達指定時間帯が指定されている配達物を取得する。配達指定時間帯が指定されている配達物が存在する場合、制御部200は、配達指定時間帯が早い順にこれらの配達物の配達順序を仮決定する。この際、配達指定時間帯が同一の配達先が複数個存在する場合、出発地(配送センター等)からの距離が近い順を配達順序として仮決定する。さらに、制御部200は、地図情報300aに基づいて車両の出発地から当該配達順序で各配達先に到達する経路を仮探索する
【0078】
さらに、制御部200は、仮探索された経路内の各区間(出発地と配達先との間の区間、配達先の間の区間等)を走行する際の走行所要時間を取得する。そして、1番目の配達先に対して配達指定時間帯内に到着するように出発地からの出発時刻を決定する。この後、制御部200は、出発地以後の各区間における走行所要時間に基づいて各配達先への到着時刻を取得し、各配達先への到着時刻が配達指定時間帯内であるか否かを確認する。ここで、制御部200は、到着時刻が配達指定時間帯内ではない配達先が存在する場合、1以上の配達先を除外し、他の配達人に割り振るなどして、残りの全ての配達先への到着時刻が配達指定時間帯内になるようにする。
【0079】
全ての配達先への到着時刻が配達指定時間帯内になると、制御部200は、配達指定時間帯が指定されていない他の配達物の配達順序を仮決定する。この際、制御部200は、仮設定された配達順序で配達先に向けて走行した場合に、配達指定時間帯が指定された配達物の配達先へ当該配達指定時間帯内に到着可能であるか否かを走行所要時間に基づいて判定する。そして、制御部200は、配達指定時間帯が指定された配達物の配達先へ当該配達指定時間帯内に到着可能である場合に、配達順序を決定する。配達指定時間帯が指定された配達物の配達先へ当該配達指定時間帯内に到着できない場合、制御部200は、配達順序の仮決定と、走行所要時間の判定を繰り返し、配達指定時間帯が指定された配達物の配達先へ当該配達指定時間帯内に到着可能となるように配達順序を決定する。すなわち、制御部200は、配達指定時間帯が指定されている配達物を配達する際に配達先に到着する時間帯が配達指定時間帯になるように配達順序を固定し、残りの配達物の配達順序を決定する。
【0080】
配達順序が設定されると、制御部200は、各配達先に配達を行う場合の目的地が駐車位置の代表点(例えば、メッシュの中心に最も近い路上等)のそれぞれである場合の到着予定時間帯を各駐車位置について取得する。なお、各駐車位置は近い距離に存在するため、各駐車位置への到着予定時間帯は、共通の値(例えば、配達先を目的地とした場合の到着予定時間帯)であっても良い。そして、制御部200は、各配達先に配達物を配達する際に車両を駐車させる駐車位置を候補から選択して決定する。すなわち、制御部200は、駐車位置情報取得部210aの機能により駐車位置情報300bを参照し、各配達先に対応づけられた各駐車位置について駐車時間帯、配達物の種類、苦情地点の有無を取得する。また、制御部200は、駐車状況情報取得部210cの機能により駐車状況情報300cを参照し、各配達先に対応づけられた各駐車位置について満空状態を取得する。
【0081】
そして、制御部200は、各配達先における配達指定時間帯または到着予定時間帯が駐車時間帯に含まれ、配達される配達物の種類が駐車位置に対応づけられた配達物の種類と一致しており、苦情地点が存在せず、空いている駐車位置を選択する。この結果、駐車位置が複数個取得された場合、配達先から最も近い駐車位置を選択する。例えば、
図4Aに示す例において、到着予定時間帯が朝であり、配達物が温度管理の必要な種類である場合、駐車位置P
1が選択される。制御部200は、以上のようにして配達先に配達物を配達する際に駐車すべき駐車位置を特定する処理を、複数の配達先のそれぞれについて実施する。配達人が配達するべき配達物の全てについて駐車位置が特定されると、制御部200は、当該駐車位置を目的地とした配達予定経路を探索する。すなわち、制御部200は、上述のようにして設定された配達順序で各配達物を配達する経路を探索する。経路が探索されると、制御部200は、各配達先に対して到着予定時間帯(配達時間が指定されている場合には配達指定時間帯)を対応づけて配達予定経路を示す情報とする。
【0082】
次に、制御部200は、配達予定経路を送信する(ステップS105)。すなわち、制御部200は、当該配達予定経路に沿って配達を行う配達人が利用する駐車位置出力端末10を送信先とし、通信部400を介して配達予定経路を送信する。この場合、送信先となった駐車位置出力端末10においては、制御部20が駐車位置取得部21aの機能により、通信部15を介して配達予定経路を受信し(ステップS200)、制御部20は、駐車位置出力部21bの機能により、経路案内を実行する(ステップS205)。
【0083】
すなわち、制御部20は、GNSS受信部16,車速センサ17、ジャイロセンサ18の出力信号に基づいて車両の現在地を特定し、図示しない地図情報に基づいて図示しないユーザI/Fに現在地周辺の地図を表示させる。この際、制御部20は、配達予定経路となっている道路区間を他の道路区間と区別して表示する。さらに、制御部20は、車両の現在地の変化に同期させて地図の表示範囲を変化させ、車両の進行方向の配達予定経路を配達人に示す。
【0084】
この結果、駐車位置出力端末10においては、複数の配達先に順次到達していく配達予定経路の経路案内が行われる。従って、経路案内の過程においては、次に配達を行うべき配達先に行く際に駐車すべき駐車位置への経路が案内され、車両が当該駐車位置に到達すると当該駐車位置への経路案内は終了する。そして、配達人が配達先に配達物を配達した後、再度車両の運転を開始すると、その次に配達を行うべき配達先に行く際に駐車すべき駐車位置への経路が案内される。
【0085】
本実施形態においては、このような経路案内を行っている過程で、配達の状況に応じて次に駐車すべき駐車位置を変更すべき場合が生じると、変更後の駐車位置を案内するようになっている。このために、制御部20は、駐車位置出力部21bの機能により、配達先までの距離が第1距離以下であると判定されるまで待機する(ステップS210)。すなわち、配達の過程で発生した渋滞や種々のトラブル等によって、当初の予定よりも早く、または遅く駐車位置に到達することがある。そこで、本実施形態においては、駐車位置にある程度接近した後に、予定を変更すべきか否かを判定するようになっており、駐車位置に車両が接近したか否かを判定するための第1距離(例えば、3000m)が予め決められている。
【0086】
制御部20は、図示しない地図情報を参照し、車両の現在地から次の目的地としての駐車位置までの距離を取得し、当該距離が第1距離以下である場合に、配達先までの距離が第1距離以下であると判定する。ステップS210において、配達先までの距離が第1距離以下であると判定された場合、制御部20は、駐車位置出力部21bの機能により、到着推定時間帯を取得する(ステップS215)。すなわち、制御部20は、現在地から次の駐車位置までの配達予定経路を構成する各道路区間を走行する際に要する走行所要時間を取得し、現在時刻に加えることで次の駐車位置への到着推定時間帯を特定する。
【0087】
次に、制御部20は、駐車位置出力部21bの機能により、周辺配達経路の要求を送信する(ステップS220)。すなわち、本実施形態においては、駐車位置に接近すると、駐車位置出力端末10における経路案内の表示を、通常の配達予定経路の経路案内から、周辺配達経路の経路案内に切り替える。周辺配達経路は、駐車位置の周辺における経路を示す情報であり、配達状況に応じて駐車位置が変更された場合には、変更後の駐車位置を示すとともにその周辺の経路を示している。本実施形態において、当該周辺配達経路は、駐車位置案内システム100で生成されるため、制御部20は、通信部15を介して当該周辺配達経路の送信要求を、駐車位置案内システム100に対して送信する。なお、この際、制御部20は、ステップS215で取得された到着推定時間帯を、周辺配達経路の要求に含めて送信する。
【0088】
駐車位置案内システム100においては、制御部200が、周辺配達経路の要求を受信したと判定されるまで待機している(ステップS110)。ステップS110において、周辺配達経路の要求を受信したと判定された場合、制御部200は、通信部400を介して到着推定時間帯を取得する(ステップS115)。すなわち、制御部200は、周辺配達経路の要求に含まれる到着推定時間帯を取得する。
【0089】
次に、制御部200は、駐車位置特定部210dの機能により、到着予定時間帯と到着推定時間帯とが一致するか否かを判定する(ステップ120)。すなわち、制御部200は、出発前に取得された次の配達先への到着予定時間帯が、出発後の状況に応じて推定された到着推定時間帯と一致するか否かを判定する。
【0090】
ステップS120において、到着予定時間帯と到着推定時間帯とが一致すると判定されない場合(すなわち、到着予定時間帯と到着推定時間帯とが異なる場合)、制御部200は、駐車位置を変更する(ステップS125)。具体的には、制御部200は、駐車時間帯に到着推定時間帯が含まれる駐車位置を特定し、当該駐車位置を新たな駐車位置とする。すなわち、制御部200は、駐車位置情報取得部210aの機能により駐車位置情報300bを参照し、次の配達先に対応づけられた各駐車位置について駐車時間帯、配達物の種類、苦情地点の有無を取得する。また、制御部200は、駐車状況情報取得部210cの機能により駐車状況情報300cを参照し、次の配達先に対応づけられた各駐車位置について満空状態を取得する。
【0091】
そして、制御部200は、次の配達先に帯する到着推定時間帯が駐車時間帯に含まれ、配達される配達物の種類が駐車位置に対応づけられた配達物の種類と一致しており、苦情地点が存在せず、空いている駐車位置を選択する。この結果、駐車位置が複数個取得された場合、配達先から最も近い駐車位置を選択する。例えば、
図4Bにおいて元の駐車位置がP
1であり、到着予定時間帯は朝(M)であったが、出発後に到着推定時間帯が10:00~12:00となり、昼の駐車時間帯となった例を想定する。この場合、例えば、駐車時間帯が昼である駐車位置であり、他の条件が元の駐車位置P
1と一致する物の中から最寄りの駐車位置としてP
2が選択される。なお、本実施形態においては、到着推定時間帯に基づいて駐車位置を変更したが、むろん、駐車位置の満空状態の変化や新たな苦情の発生等によって駐車位置を変更しても良い。例えば、前者であれば、制御部200は、出発前に選択されていた駐車位置が、配達先までの距離が第1距離以下となった段階で満車になっているか否か判定し、満車であれば空車の駐車位置に変更する構成等を採用可能である。
【0092】
ステップS120において、到着予定時間帯と到着推定時間帯とが一致すると判定された場合、制御部200は、ステップS125をスキップする。なお、配達物を配達すべき配達指定時間帯が指定されている配達物について、配達指定時間帯が到着推定時間帯と一致していない場合には、配達指定時間帯に配達できなくなる場合もある。そこで、配達すべき時間帯が指定された配達物については、配達指定時間帯が到着推定時間帯と一致しない状況が発生しないように配達予定経路が策定されることが好ましい。例えば、配達すべき時間帯が指定された配達物については、できるだけ配達指定時間帯の開始直後に配達が完了するように配達順序に優先順位を設定する構成等が挙げられる。また、配達すべき時間帯が指定された配達物については、配達先までの距離が第1距離以下になるよりも前に到着推定時間帯が取得され、配達指定時間帯が到着推定時間帯と一致しない場合に配達順序を変更するなどの構成等を採用可能である。
【0093】
次に、制御部200は、駐車位置特定部210dの機能により、周辺配達経路を取得する(ステップS130)。本実施形態において、周辺配達経路は、現在地から次の配達先に配達を行う際に車両を駐車させる駐車位置までの経路と、当該駐車位置から配達先までの徒歩による移動経路とによって構成される。
【0094】
ステップS120において、着予定時間帯と到着推定時間帯とが一致すると判定された場合、制御部200は、出発前に策定された配達予定経路に基づいて、現在地から次の配達先に配達を行う際に車両を駐車させる駐車位置までの経路を特定する。一方、ステップS120において、着予定時間帯と到着推定時間帯とが一致すると判定されず、ステップS125において駐車位置が変更された場合、制御部200は、次の配達先までの経路を再探索する。
【0095】
すなわち、制御部200は、地図情報300aを参照し、現在地からステップS125で変更された駐車位置までの経路を探索する。ここでも、経路探索の際には、ステップS125で変更された後の駐車位置内の一地点が目的地として設定されればよく、例えば、駐車位置の中央の地点や路上駐車可能な道路上の一時点や駐車場等が目的地として設定される。
【0096】
さらに、制御部200は、駐車位置から配達先までの徒歩による移動経路を探索する。すなわち、制御部200は、地図情報300aを参照し、配達先の周辺についてメッシュ毎に定義された徒歩移動可能な道路の情報を取得する。また、制御部200は、駐車位置への到着推定時間帯が朝、昼、夜のいずれに含まれるのか特定する。さらに、制御部200は、到着推定時間帯において使用可能である道路のメッシュを選択する。そして、制御部200は、地図情報300aを参照し、選択されたメッシュから徒歩移動経路を探索する。
【0097】
例えば、
図5Aに示す例において、到着予定時間帯が朝である場合、制御部200は、使用不可能である時間帯として朝(M)が対応づけられていないメッシュ(昼(D)や夜(N)が対応けられているメッシュは選択可)および苦情発生地点が存在しないメッシュ(C
0)を選択する。この結果、
図5Bにおいて太い実線または破線で示す矢印が存在するメッシュが選択される。選択されたメッシュ内の道路から制御部200が徒歩による移動経路を探索すると、例えば、
図5Bに示す例において破線の矢印が候補から除外され、最終的に実線の矢印が徒歩移動経路とされる。
【0098】
現在地から駐車位置までの経路と、駐車位置から配達先までの徒歩移動経路とを含む周辺配達経路が取得されると、制御部200は、配達情報300cに基づいて配達先の周辺の各駐車位置に含まれる苦情発生地点を取得し、周辺配達経路に対して対応づける。そして、制御部200は、駐車位置案内部210eの機能により、通信部400を介して周辺配達経路を送信する(ステップS135)。周辺配達経路が送信されると、駐車位置出力端末10の制御部20は、駐車位置取得部21aの機能により、通信部15を介して周辺配達経路を受信する(ステップS225)。
【0099】
次に、制御部20は、駐車位置出力部21bの機能により、配達先までの距離が第2距離以下であると判定されるまで待機する(ステップS230)。ここで、第2距離は第1距離よりも小さい値であり、苦情発生地点等を含む周辺配達経路の案内を開始させるべきか否か判定するための閾値である。
【0100】
ステップS230において、配達先までの距離が第2距離以下であると判定された場合、制御部20は、駐車位置出力部21bの機能により、周辺配達経路案内を実行する(ステップS235)。ここで、周辺配達経路案内は、配達先までの距離が第2距離以下になる前に、図示しないユーザI/F部で表示されていた地図よりも狭域の地図によって配達予定経路を示す案内である。
【0101】
このため、制御部20は、より狭域の地図を表示させるように地図の縮尺を変更し、図示しない地図情報を参照して車両の現在地の周辺の地図を描画する。そして、制御部20は、現在地から駐車位置までの経路を他の道路と区別して当該地図に表示させる。さらに、本実施形態において制御部20は、周辺配達経路に対応づけられた苦情発生地点を取得し、当該地図上に重ねて表示させる。この結果、苦情発生地点が対応づけられていない駐車位置と、苦情発生地点が対応づけられている駐車位置と、が区別された状態で案内される。
【0102】
図4Cは、周辺配達経路案内の例を示す図である。
図4Cにおいては、ユーザI/F部の表示部に表示される地図を模式的に示しており、太い実線によって道路を示しており、細い破線によって駐車位置の候補(メッシュ)を示しており、太い破線によって経路を示している。さらに、
図4Cにおいて、配達先はGであり、配達先に配達を行う際に車両を駐車させる地点として選択された駐車位置(メッシュ)はグレーで示されている。従って、配達人は、
図4Cに示す案内により、車両を例えば位置Pに駐車させれば良いなどと認識することができる。
【0103】
さらに、
図4Cにおいては、苦情発生地点がXによって示されている。なお、苦情発生地点はその要因毎に異なるアイコンで示される。すなわち、Xのみで表示された苦情発生地点と矩形内にXが表示された苦情発生地点とでは、その要因が異なる。配達人は、当該苦情発生地点の案内により、苦情発生地点を避けて駐車位置に接近したり、苦情発生地点付近において慎重に走行したりすること等が可能になる。また、目的地として選択されたグレーの駐車位置以外の駐車位置に駐車させる場合であっても、苦情発生地点に車両を駐車させないようにすることができる。
【0104】
次に、制御部20は、駐車位置に車両が到着したと判定されるまで待機する(ステップS240)。すなわち、制御部20は、駐車位置とされたメッシュに車両の現在地が含まれる場合に駐車位置に車両が到着したと判定する。ステップS240において、駐車位置に車両が到着したと判定された場合、制御部20は、駐車位置出力部21bの機能により、徒歩移動経路案内を実行する(ステップS245)。すなわち、制御部20は、徒歩移動経路を表示するための縮尺で地図を表示させるように地図の縮尺を変更し、図示しない地図情報を参照して車両の現在地の周辺の地図を描画する。そして、制御部20は、車両が駐車した位置(車両の移動が一旦停止した位置等)から配達先までの経路を他の道路と区別して当該地図に表示させる。さらに、本実施形態において制御部20は、苦情発生地点を取得し、当該地図上に重ねて表示させる。この結果、配達人は徒歩移動の過程で注意すべき、または、避けるべき苦情発生地点を認識することができる。
【0105】
図5Cは、徒歩移動経路案内の例を示す図である。
図5Cにおいては、ユーザI/F部の表示部に表示される地図を模式的に示しており、実線によって道路を示しており、細い破線によって徒歩移動可能な道路のメッシュを示しており、太い破線によって徒歩移動経路を示している。さらに、
図5Cにおいて、配達先はGであり、車両が駐車された地点はPである。このような案内により、配達人は、位置Pから配達先Gまでの経路を認識することができる。
【0106】
さらに、
図5Cにおいては、苦情発生地点がZによって示されている。なお、苦情発生地点はその要因毎に異なるアイコンで示される。すなわち、Zのみで表示された苦情発生地点と矩形内にZが表示された苦情発生地点とでは、その要因が異なる。配達人は、当該苦情発生地点の案内により、苦情発生地点を避けて移動したり、苦情発生地点付近において慎重に移動したりすること等が可能になる。
【0107】
徒歩移動経路案内が行われている過程で、制御部20は、車両が再出発したと判定されるまで待機する(ステップS250)。ここでは、車両が再出発したか否かを種々の手法で判定してよい。例えば、現在地の移動速度が車両の速度と見なせるような移動である場合や、現在地の移動軌跡が車道の形状にマッチングする場合や、利用者による指示等によって車両が再出発したと判定される構成が採用されて良い。
【0108】
車両が再出発したと判定された場合、制御部20は、配達が完了したか否かを判定する(ステップS255)。すなわち、再出発する直前の配達先が最後の配達先である場合、制御部20は、配達が完了したと判定する。ステップS255において、配達が完了したと判定されない場合、制御部20は、ステップS210以降の処理を繰り返す。ステップS255において、配達が完了したと判定された場合、制御部20は、駐車位置出力処理を終了する。
【0109】
(3)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、駐車位置情報と配達情報とに基づいて駐車位置を特定する限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、
図4Cに示す案内は一例であり、駐車位置は特定の座標で案内されても良いし、徒歩移動経路が同時に案内されても良い。また、
図5Cに示す案内は一例であり、例えば、配達先Gにおける配達物の搬入口等が地図上で案内されてもよい。さらに、苦情以外の注意地点(例えば、過去において接触事故等が生じた地点等)が案内されても良い。
【0110】
さらに、上述の実施形態において周辺配達経路を表示させるか否かのトリガは、現在地と配達先との距離であったが、他のトリガ、例えば、利用者指示でも良い。また、表示終了指示に応じて周辺配達経路の表示を終了し、通常の配達予定経路の案内等に切り替える構成であっても良い。
【0111】
上述の実施形態を構成する各システムは、機能を共有したより少ない装置で構成されても良い。このような例としては、
図1に示す少なくとも1台のシステムが、他の1台以上のシステムと同一の装置で構成される例が挙げられる。例えば、駐車位置出力端末10と駐車位置案内システム100とが一体の装置で構成されていても良いし、駐車位置出力端末10の一部の機能が駐車位置案内システム100で実現されても良いし、駐車位置案内システム100の一部の機能が駐車位置出力端末10で実現されても良い。
【0112】
むろん、駐車位置出力端末10は、車両に備えられていても良いし、可搬型の端末等であっても良い。さらに、
図1に示すシステムがより多数のシステムで構成されても良い。例えば、駐車位置案内システム100がクラウドサーバで構成されても良い。
【0113】
また、駐車位置案内システム100を構成する各部(駐車位置情報取得部210a、配達情報取得部210b、駐車状況情報取得部210c、駐車位置特定部210d、駐車位置案内部210e)や、駐車位置出力端末10を構成する各部(駐車位置取得部21a、駐車位置出力部21b)の少なくとも一部が複数の装置に分かれて存在していても良い。また、上述の実施形態の一部の構成が省略される構成や、処理が変動または省略される構成も想定し得る。例えば、駐車状況情報の取得が省略され、駐車状況情報が考慮されることなく駐車位置が特定され、案内される構成等であっても良い。
【0114】
駐車位置情報取得部は、配達先に配達物を配達する車両を駐車させる位置の候補となる複数の駐車位置に関する駐車位置情報を取得することができればよい。すなわち、配達先に配達物を配達する際に車両を駐車させる位置は複数箇所存在し得る。駐車位置情報は、当該複数の駐車位置を配達先毎に示す情報である。
【0115】
配達先は、配達物が配達される場所(配達物に対応づけられた宛先)であれば良く、店舗や事務所等の施設であっても良いし、個人宅であっても良い。むろん、配達先は自然人、法人のいずれに属していても良い。配達物は、種々の物であって良く、小包であっても良いし、封書であっても良いし、他の物であっても良いし、非定型の物であっても良い。配達物の種類は、種々の種類を想定可能であり、チルド(低温(例えば、5℃以下や0℃付近)であるが冷凍ではない)、冷凍、常温等のように温度で分類されても良いし、米飯、生鮮食料、雑貨、雑誌等のように物自体の分類であっても良いし、これらの双方であっても良い。
【0116】
配達物を配達する車両は、種々の種類であって良く、トラック等であっても良いし、乗用車であっても良いし、ワンボックスカー等であっても良い。駐車位置は、車両を駐車させる位置であれば良く、上述のようにメッシュ毎に駐車位置が示される構成以外にも種々の手法で駐車位置が規定されて良い。例えば、駐車場や路上駐車可能な位置が座標等で示されていても良いし、駐車場内の駐車枠が駐車位置として規定されていても良い。
【0117】
配達情報取得部は、配達に関する配達情報を取得することができればよい。すなわち、配達情報に基づいて駐車位置を特定することができるように配達情報が定義される。従って、配達情報は、駐車位置を特定するための要素となり得る情報であれば良く、種々の情報を配達情報とすることができる。また、配達情報は、配達物に関する情報(配達物の種類等)であっても良いし、配達の時間に関する情報(配達物を配達すべき時間帯として指定された配達指定時間帯や車両の到着推定時間帯、到着推定時間帯等)であっても良いし、配達物の配達の状況に関する情報(予定に対する進捗や道路の渋滞状況等)であっても良い。
【0118】
駐車位置特定部は、駐車位置情報と、配達情報とに基づいて、配達物を配達する際に車両を駐車させる駐車位置を特定することができればよい。すなわち、駐車位置特定部は、配達情報に基づいて配達先への配達物に関する情報を特定し、配達物を配達するために車両を駐車させるべき駐車位置を特定することができればよい。
【0119】
車両を駐車させるべき駐車位置は、種々の要素で特定されて良く、例えば、規則に違反することなく配達物を配達するために推奨される駐車位置であっても良いし、配達物を効率的に配達するために推奨される駐車位置であっても良い。前者としては、例えば、配送許可時間帯等の規則に違反しないようにする構成が挙げられ、後者としては、例えば、使用中の駐車位置を避けたり、車両や配達人の移動距離/移動時間を短かくしたりする構成等が上げられる。
【0120】
また、車両を駐車させるべき駐車位置は、配達物を破損させたり品質を低下させたりすることなく配達するために推奨される駐車位置であっても良いし、苦情を発生させることなく配達物を配達するために推奨される駐車位置であっても良い。前者としては、例えば、凹凸路を避けたり、管理温度範囲外になる可能性を低下させたりする構成等が挙げられる。後者としては、苦情発生地点を避ける構成等が挙げられる。車両を駐車させるべき駐車位置が、いずれの態様であるとしても、駐車位置情報または配達情報に各種態様の駐車位置を特定するための情報が記述されていれば良い。
【0121】
駐車位置案内部は、特定された駐車位置を案内させることができればよい。駐車位置を案内するための態様は、種々の態様であってよい。すなわち、上述の実施形態のように、駐車位置までの経路と、駐車位置から配達先までの経路とが案内される構成に限定されず、例えば、地図上における駐車位置と配達先の位置等が案内される構成等であっても良い。
【0122】
駐車時間帯や配達指定時間帯、到着予定時間帯、到着推定時間帯等の時間帯は、朝、昼、夜、深夜などの抽象的な分類で時間帯が定義されている構成と、時間帯が任意の数値範囲で特定される構成とが混在していても良いし、いずれか一方でも良いし、他の定義であっても良い。駐車時間帯に配達指定時間帯の一部が含まれる場合、さらなる解析等によってその駐車位置が駐車可能であるか判定されても良い。例えば、配達指定時間帯の大半(閾値以上の比率)が駐車時間帯に含まれる場合に、駐車位置に駐車可能と見なされる構成等であっても良い。
【0123】
駐車位置が空いているか否かを示す駐車状況情報は、カメラによって撮影された画像に基づいて特定された情報以外にも、種々の情報であって良い。例えば、駐車場に設置されたセンサ等から取得された駐車場の使用状況を示す情報(満空情報)等であっても良い。むろん、駐車場には複数の駐車枠が存在し、各駐車枠の使用状況を示す情報であっても良い。
【0124】
苦情発生地点は、配達物の配達過程において特定の配達予定経路を利用して配達することを阻害するような苦情が発生した地点を示していれば良い。従って、上述のようにメッシュ毎に苦情発生の有無が特定されていても良いし、より狭い地点毎に苦情発生の有無が特定されていても良い。苦情には、種類が存在しても良く、配達物を運搬する際の騒音に関する苦情や、配達人と他の人物との接触や配達に関連した事故に関する苦情、車両の駐車位置や駐車方法に関する苦情等であっても良い。苦情の種類が複数である場合、種類毎に苦情の発生地点が案内されても良い。
【0125】
さらに、本発明のように、駐車位置情報と配達情報とに基づいて駐車位置を特定する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のようなシステムで実現される方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0126】
10…駐車位置出力端末、12…制御部、15…通信部、16…GNSS受信部、17…車速センサ、18…ジャイロセンサ、20…制御部、21…駐車位置出力プログラム21a…駐車位置取得部、21b…駐車位置出力部、50…カメラ、100…駐車位置案内システム、120…ステップ、200…制御部、210…駐車位置案内プログラム、210a…駐車位置情報取得部、210b…配達情報取得部、210c…駐車状況情報取得部、210d…駐車位置特定部、210e…駐車位置案内部、300…記録媒体、300a…地図情報、300b…駐車位置情報、300c…配達情報、300d…駐車状況情報、400…通信部