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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】紙葉搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/02 20060101AFI20221213BHJP
   G07D 11/16 20190101ALI20221213BHJP
【FI】
B65H7/02
G07D11/16
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018224601
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020083609
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 恒治
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-209172(JP,A)
【文献】特開昭55-146590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/02
G07D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙葉が所定の投入位置に配置された場合に搬送機構を駆動して紙葉の搬送を行う紙葉搬送装置であって、
前記投入位置に配置された紙葉を上流側において検出する第1の紙葉検出センサと、
前記投入位置に配置された紙葉を下流側において検出する第2の紙葉検出センサと、
前記第2の紙葉検出センサよりも下流側となる部位に配置された第3の紙葉検出センサと
を備え、
前記第2の紙葉検出センサの検出結果が紙葉ありから紙葉無しとなった時点から所定の時間経過するまでの間、継続して前記第3の紙葉検出センサが紙葉無しを検出した場合、前記第2の紙葉検出センサの検出結果が紙葉ありから紙葉無しとなった時点での前記第1の紙葉検出センサの検出結果を参照し、前記第1の紙葉検出センサの検出結果が紙葉ありの場合に搬送エラー無しと判定することを特徴とする紙葉搬送装置。
【請求項2】
参照した前記第1の紙葉検出センサの検出結果が紙葉無しの場合に搬送エラーと判定することを特徴とする請求項1に記載の紙葉搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙葉搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
紙幣等の紙葉を搬送する紙葉搬送装置では、搬送路において紙詰まり等の搬送エラーが発生しているか否かを監視するようにしているのが一般的である。この種の紙葉搬送装置としては、例えば、搬送路を挟んで互いに対向する部位に投光部及び受光部から成る紙葉検出センサを配設し、投光部から照射した光の受光部での受光状態に基づいて搬送エラーの有無を検出するようにしたものがある。すなわち、予め設定した時間継続して受光部が投光部の光を受光していない場合には、互いの間に紙葉が存在していると判定し、投光部と受光部との間において搬送エラーが発生していると検出することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-142218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述の紙葉搬送装置では、上流側に配設した紙葉検出センサと、下流側に配設した紙葉検出センサとの間において紙葉が詰まった場合、これを検出することができない。このため、搬送エラーを検出する経路においては、搬送対象となる紙葉の長さよりも短い間隔で紙葉検出センサを配設する必要があり、製造コストの点で不利となる。こうした問題は、例えば、上流側の紙葉検出センサが紙葉を検出した後、下流側の紙葉検出センサが所定の時間経過後においても紙葉を検出しなかった場合に搬送エラーが発生していると推定すれば、解決することが可能となる。つまり、紙葉検出センサの間で搬送エラーが発生した場合にも、これを検出することが可能となり、製造コストの低減を図ることができるようになる。
【0005】
しかしながら、例えば、紙葉の投入口においては、一旦投入した紙葉を引き抜いた場合にも、搬送エラーと同様の検出結果となる。この結果、搬送エラーが生じていないにも関わらず、搬送エラーを解消するための作業を行わなければならず、メインテナンス性を考慮した場合、必ずしも好ましいとはいえない。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、製造コストやメインテナンス性の改善を図ることのできる紙葉搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る紙葉搬送装置は、紙葉が所定の投入位置に配置された場合に搬送機構を駆動して紙葉の搬送を行う紙葉搬送装置であって、前記投入位置に配置された紙葉を上流側において検出する第1の紙葉検出センサと、前記投入位置に配置された紙葉を下流側において検出する第2の紙葉検出センサと、を備え、前記第2の紙葉検出センサの検出結果が紙葉ありから紙葉無しとなった時点での前記第1の紙葉検出センサの検出結果を参照し、前記第1の紙葉検出センサの検出結果が紙葉ありの場合に搬送エラー無しと判定することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上述した紙葉搬送装置において、前記第2の紙葉検出センサよりも下流側となる部位に配置された第3の紙葉検出センサをさらに備え、前記第2の紙葉検出センサの検出結果が紙葉ありから紙葉無しとなった時点から所定の時間経過するまでの間、継続して前記第3の紙葉検出センサが紙葉無しを検出した場合、前記第2の紙葉検出センサの検出結果が紙葉ありから紙葉無しとなった時点での前記第1の紙葉検出センサの検出結果を参照することを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上述した紙葉搬送装置において、参照した前記第1の紙葉検出センサの検出結果が紙葉無しの場合に搬送エラーと判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、投入位置の下流側に設けた第2の紙葉検出センサが紙葉ありから紙葉無しを検出した時点で、投入位置の上流側に設けた第1の紙葉検出センサの検出結果が紙葉ありの場合、紙葉は第2の紙葉検出センサよりも下流側に搬送されていないため、換言すれば、投入位置から引き抜かれたと判断することができるため、紙詰まり等の搬送エラーが生じることがない。従って、第2の紙葉検出センサが紙葉ありから紙葉無しを検出した後、第2の紙葉検出センサよりも下流側に設けた紙葉検出センサが紙葉無しを検出した場合にも紙詰まりを解消するための作業を行う必要がなくなり、メインテナンス性の点で有利となる。さらに、第2の紙葉検出センサとその下流側の紙葉検出センサとの間に、搬送される紙葉の長さよりも大きな間隔を設定した場合にも上述の検出精度に影響が及ぶことがなく、製造コストの点でも有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態である紙葉搬送装置を適用した自動釣銭機の紙幣処理部を概念的に示す断面側面図である。
図2図2は、図1に示した紙幣処理部の要部を概念的に示す平面図である。
図3図3は、図1に示した紙幣処理部の制御系を示すブロック図である。
図4図4は、図1に示した紙葉処理部に適用される第1の紙葉検出センサ及び第2の紙葉検出センサの検出状態を示すもので、紙葉が搬送路の下流に搬送された際のタイミングチャートである。
図5図5は、図1に示した紙葉処理部に適用される第1の紙葉検出センサ及び第2の紙葉検出センサの検出状態を示すもので、紙葉が投入口から抜き取られた際のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る紙葉搬送装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1及び図2は、本発明の実施の形態である紙葉搬送装置を示すものである。ここで例示する紙葉搬送装置は、自動釣銭機の紙幣処理部において紙幣(紙葉)Mの搬送を行うもので、機器筐体1の内部に複数の紙幣収納庫2A,2B,2Cを備えるとともに、機器筐体1の内部に紙幣Mの搬送空間を構成する搬送路3を備えている。紙幣収納庫2A,2B,2Cは、額面の異なる複数種類の紙幣Mを金種別に収納するものである。図示の例では、5千円紙幣を収納する第1紙幣収納庫2Aと、千円紙幣を収納する第2紙幣収納庫2Bと、一万円紙幣及び2千円紙幣を混合して収納する第3紙幣収納庫2Cとが機器筐体1の前方部から後方部に向けて順次並設してある。搬送路3は、長辺Maが先端で、かつほぼ水平となる横向きの姿勢で紙幣Mの搬送を行うもので、機器筐体1の前面に設けた投入口1aと、これら複数の紙幣収納庫2A,2B,2Cとの間を接続するように設けてある。本実施の形態では、投入口1aから最前列の第1紙幣収納庫2Aまでの間に設けられた導入通路部3aと、導入通路部3aから3つの紙幣収納庫2A,2B,2Cの上方を通過するように設けられた振分通路部3bとを有して搬送路3が構成してある。図には明示していないが、搬送路3の全長にわたる部位には、搬送ローラ(搬送機構)4が複数対配設してある。搬送方向に沿った搬送ローラ4の相互間隔は、最小の紙幣Mの短辺Mbよりも小さい間隔に設定してある。最小の紙幣Mとは、搬送対象となる複数種類の紙幣Mのうちでもっとも寸法の小さい紙幣Mである。従って、搬送ローラ4が駆動した場合には、紙幣Mの種類に関わりなく、搬送路3において紙幣Mの搬送を行うことが可能である。
【0014】
導入通路部3aは、投入口1aに投入された紙幣Mを取り込んで鑑別する部分であり、機器筐体1の後方に向けて漸次下方となるように傾斜した後に上方に向けて湾曲し、さらに後方に向けて漸次上方となるように傾斜している。この導入通路部3aには、入金検出センサ(第1の紙葉検出センサ)5a、姿勢検出センサ(第2の紙葉検出センサ)5b及び鑑別センサ(第3の紙葉検出センサ)5cが設けてある。
【0015】
入金検出センサ5aは、投入口1aを通じて搬送路3に紙幣Mが投入されたか否かを検出することを主機能とするものである。本実施の形態では、導入通路部3aにおいてもっとも上流となる部位に入金検出センサ5aが唯一設けてある。図2に示すように、搬送路3の幅方向における入金検出センサ5aの配設位置は、導入通路部3aを左右にほぼ二等分する中心面上である。
【0016】
姿勢検出センサ5bは、投入口1aに投入された紙幣Mが所定の搬送姿勢となっているか否かを検出することを主機能とするもので、入金検出センサ5aよりも下流側となる位置において左右両側となる部位にそれぞれ1つずつ設けてある。姿勢検出センサ5bの相互間隔d1は、最小の紙幣Mの長辺Maよりも小さい。入金検出センサ5aと姿勢検出センサ5bとの搬送方向に沿った間隔d2は、最小の紙幣Mの短辺Mbよりも小さい寸法に設定してある。つまり、この紙幣処理部では、図2中の2点鎖線で示すように、投入口1aに対して正しい姿勢で紙幣Mが投入された場合、換言すれば、先端の長辺Maが搬送方向に対してほぼ直交する姿勢で紙幣Mが投入口1aを介して搬送路3に投入されると、その紙幣Mの種類に関わりなく、入金検出センサ5a及び2つの姿勢検出センサ5bが同時に「紙幣あり」を検出することになる。これに対して、図2中の1点鎖線で示すように、先端の長辺Maが搬送方向に対して傾いた姿勢で投入口1aに紙幣M′が投入されると、入金検出センサ5aが「紙幣あり」を検出するものの、姿勢検出センサ5bの少なくとも一方が「紙幣無し」を検出した状態となり、斜めの姿勢で紙幣Mが投入されたことを検出することができる。
【0017】
鑑別センサ5cは、投入された紙幣Mが正規のものであるか否かを検出するもので、導入通路部3aにおいて姿勢検出センサ5bよりも下流となる部位に唯一配設してある。図には明示していないが、搬送路3の幅方向における鑑別センサ5cの配設位置は、入金検出センサ5aと同様、導入通路部3aを左右に二等分する中心面上である。搬送方向に沿った姿勢検出センサ5bと鑑別センサ5cとの間隔は、最小の紙幣Mの短辺Mbよりも大きな寸法に設定してある。
【0018】
上述した入金検出センサ5a、姿勢検出センサ5b及び鑑別センサ5cとしては、従来から一般的に用いられているものを適用すれば良い。本実施の形態では、光学的に紙幣Mの有無や紙幣Mの鑑別を行うものを適用している。
【0019】
振分通路部3bは、導入通路部3aの下流端から後方に向けてほぼ水平に延在するものである。振分通路部3bと、それぞれの紙幣収納庫2A,2B,2Cとの間には、振分通路部3bから分岐した分岐通路部3cが接続してある。図には明示していないが、振分通路部3bと分岐通路部3cとの分岐部分には、搬送先を切り換えるためのゲート部材6が設けてある。
【0020】
なお、図1中の符号3dは、振分通路部3bから機器筐体1の前方に向けて分岐した出金通路部である。この出金通路部3dは、紙幣収納庫2A,2B,2Cに収納された紙幣を出金庫7に搬送するためのものである。この出金通路部3dは、後述するように、鑑別センサ5cによって正規でないと判断された紙幣を機器筐体1の外部に返却する場合にも用いられる。また、図1中の符号8は、振分通路部3bの複数箇所や出金通路部3dに配設した紙幣検出センサである。これらの紙幣検出センサ(第3の紙葉検出センサ)8は、振分通路部3bや出金通路部3dにおいて紙幣Mの有無を検出するものである。これらの紙幣検出センサ8は、搬送方向に沿った相互間隔が、最小の紙幣Mの短辺Mbよりも十分大きくなる位置に配設してある。
【0021】
図3は、上述した紙幣処理部の制御系を示すものである。図3に示す制御部10は、入金検出センサ5a、姿勢検出センサ5b、鑑別センサ5c及び紙幣検出センサ8の検出結果に応じて搬送ローラ4、ゲート部材6及び表示部11を制御するものである。表示部11は、制御部10から与えられた表示データに従って表示を行うものであり、例えば機器筐体1の前面に設けてある。上述の制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置にプログラムを実行させること、すなわち、ソフトウェアにより実現しても良いし、IC(Integrated Circuit)等のハードウェアにより実現したり、ソフトウェア及びハードウェアを併用して実現することも可能である。
【0022】
上記のように構成した紙幣処理部では、投入口1aを介して搬送路3の上流端部(投入位置)に紙幣Mが投入され、入金検出センサ5a及び姿勢検出センサ5bがそれぞれ「紙幣あり」を検出した場合には、搬送ローラ4が駆動して紙幣Mが機器筐体1の内部に取り込まれ、鑑別センサ5cを通じて紙幣Mの鑑別が行われる。なお、紙幣Mの投入後において入金検出センサ5aが「紙幣あり」を検出する一方、姿勢検出センサ5bの少なくとも一方が「紙幣無し」を検出した場合には、制御部10によって紙幣Mが正しい姿勢で投入されていないと判断され、例えば表示部11を通じてエラー表示が行われ、利用者に対して紙幣Mの再投入が促されることになる。
【0023】
鑑別センサ5cによる鑑別の結果、正規の紙幣Mと判断した場合、制御部10は、搬送ローラ4及びゲート部材6を適宜駆動し、鑑別後の紙幣Mを金種に対応する紙幣収納庫2A,2B,2Cに収納する。これに対して鑑別の結果、紙幣Mが正規のものでないと判断した場合、制御部10は、搬送ローラ4及びゲート部材6を適宜駆動し、出金通路部3dを通じて出金庫7に紙幣Mを搬送する。さらに制御部10は、表示部11を通じて紙幣Mが正規のものでない旨のエラー表示を行う。上述した紙幣処理の間、制御部10は、入金検出センサ5a及び姿勢検出センサ5bの検出結果をログデータとしてメモリ12に格納する処理を行っている。
【0024】
ここで、紙幣Mの搬送に伴って姿勢検出センサ5bの検出結果が「紙幣あり」から「紙幣無し」に切り替わった時点から、所定の時間が経過するまでの間、継続して鑑別センサ5cが「紙幣無し」を検出している場合、制御部10は、メモリ12に格納したログデータを参照し、姿勢検出センサ5bの検出結果が「紙幣あり」から「紙幣無し」に切り替わった時点での入金検出センサ5aの検出結果に基づいて紙詰まり等の搬送エラーが発生しているか否かの判定を行う。
【0025】
すなわち、紙幣Mが機器筐体1の内部に取り込まれた場合には、図4に示すように、姿勢検出センサ5bの検出結果が「紙幣あり」から「紙幣無し」に切り替わった時点t1で姿勢検出センサ5bよりも上流に配設された入金検出センサ5aの検出結果は「紙幣無し」となる。従って、入金検出センサ5aの検出結果が「紙幣無し」で、かつ所定の時間が経過するまでの間、鑑別センサ5cが継続して「紙幣無し」を検出している場合には、姿勢検出センサ5bと鑑別センサ5cとの間に紙幣Mが滞留していると判定することができる。この結果、制御部10は、表示部11を通じて姿勢検出センサ5bと鑑別センサ5cとの間に紙幣Mが滞留している旨のエラー表示を行い、紙幣処理部の処理を停止する。これにより、例えば自動釣銭機が設置された店舗の管理者によって早期に紙詰まり等の搬送エラーが解消されることになり、再び紙幣処理部を使用することができるようになる。
【0026】
一方、図5に示すように、姿勢検出センサ5bの検出結果が「紙幣あり」から「紙幣無し」に切り替わった時点t1で姿勢検出センサ5bよりも上流に配設された入金検出センサ5aの検出結果が「紙幣あり」となるのは、例えば、利用者によって投入口1aから紙幣Mが抜き取られる等、紙幣Mが搬送方向に対して逆行した場合によるものである。従って、入金検出センサ5aの検出結果が「紙幣あり」で、かつ所定の時間が経過するまでの間、鑑別センサ5cが継続して「紙幣無し」を検出している場合には、姿勢検出センサ5bと鑑別センサ5cとの間に紙幣Mが滞留しておらず、搬送エラー無しと判定することができる。つまり、上述の検出結果の場合、紙幣処理部に対しては、搬送エラーを解消する作業が不要である。この結果、制御部10は、継続して紙幣処理部を使用可能状態とし、次の紙幣Mが投入された場合に上述した処理を実施する。
【0027】
なお、上述した搬送エラーを判定する処理は、鑑別センサ5cを対象とするばかりでなく、振分通路部3bに配設した紙幣検出センサ8を対象として実施するようにしても良い。つまり、姿勢検出センサ5bの検出結果が「紙幣あり」から「紙幣無し」に切り替わった時点から、所定の時間が経過するまでの間、本来紙幣Mが通過すべき紙幣検出センサ8が継続して「紙幣無し」を検出している場合、メモリ12に格納したログデータを参照し、先と同様、姿勢検出センサ5bの検出結果が「紙幣あり」から「紙幣無し」に切り替わった時点での入金検出センサ5aの検出結果に基づいて紙詰まり等の搬送エラーが発生しているか否かを判定することができる。さらに、ログデータとして紙幣検出センサ8の検出結果を格納しておけば、搬送エラーが生じている部位を特定することも可能となる。
【0028】
このように上述した紙幣処理部によれば、姿勢検出センサ5bと鑑別センサ5cとの間に最小の紙幣Mの短辺Mbよりも大きな間隔を確保しているものの、これらの間に紙幣検出センサ8を配設することなく搬送エラーの有無を精度良く判定することができ、搬送エラーが生じている場合にのみその解消を促すべくエラー表示を行うようにしている。これにより、紙幣処理部の製造コストを低減できるとともに、メインテナンス性の点で有利となる。
【0029】
なお、上述した実施の形態では、自動釣銭機の紙幣処理部に適用される紙幣搬送装置を例示しているが、本発明はその他の紙葉を搬送するものにも適用することが可能である。この場合、紙葉検出センサとしては、投入位置に配置された紙葉を上流側において検出する第1の紙葉検出センサと、投入位置に配置された紙葉を下流側において検出する第2の紙葉検出センサとが設けられていれば十分である。また、搬送機構として搬送ローラ4によるものを例示しているが、必ずしも搬送ローラ4によるものに限らない。さらに、第2の紙葉検出センサが「紙葉無し」を検出した時点から所定の時間が経過した後に第1の紙葉検出センサの検出結果を参照するようにしているが、第2の紙葉検出センサが「紙葉無し」を検出した時点で直ちに第1の紙葉検出センサの検出結果を参照するようにしても良い。この場合には、その後に第3の紙葉検出センサが所定の時間継続して「紙葉無し」を検出した時点で搬送エラーの有無を判定することが可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 機器筐体
1a 投入口
2A,2B,2C 紙幣収納庫
3 搬送路
3a 導入通路部
3b 振分通路部
3c 分岐通路部
3d 出金通路部
4 搬送ローラ
5a 入金検出センサ
5b 姿勢検出センサ
5c 鑑別センサ
6 ゲート部材
7 出金庫
8 紙幣検出センサ
10 制御部
11 表示部
12 メモリ
M 紙幣
図1
図2
図3
図4
図5