IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ショーケース 図1
  • 特許-ショーケース 図2
  • 特許-ショーケース 図3
  • 特許-ショーケース 図4
  • 特許-ショーケース 図5
  • 特許-ショーケース 図6
  • 特許-ショーケース 図7
  • 特許-ショーケース 図8
  • 特許-ショーケース 図9
  • 特許-ショーケース 図10
  • 特許-ショーケース 図11
  • 特許-ショーケース 図12
  • 特許-ショーケース 図13
  • 特許-ショーケース 図14
  • 特許-ショーケース 図15
  • 特許-ショーケース 図16
  • 特許-ショーケース 図17
  • 特許-ショーケース 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】ショーケース
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20221213BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20221213BHJP
   F25D 29/00 20060101ALI20221213BHJP
   F25B 49/02 20060101ALI20221213BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
F25D23/02 306A
F25D11/00 101E
F25D29/00 Z
F25B49/02 520M
F25D23/00 301N
F25D23/02 302
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018225347
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020085419
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-11-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】江口 千尋
(72)【発明者】
【氏名】川島 充
(72)【発明者】
【氏名】前田 晃
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-321150(JP,A)
【文献】特開2004-199453(JP,A)
【文献】特開平01-219268(JP,A)
【文献】特開2003-132412(JP,A)
【文献】国際公開第2017/187483(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
F25D 11/00
F25D 29/00
F25B 49/02
F25D 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの面に開口が形成された貯蔵室が形成された筐体と、
前記筐体の内部における前記貯蔵室と通じた箇所に収容され、空気より重い冷媒が内部を流通する蒸発器と、
前記貯蔵室の前記開口を開閉可能な扉と、
前記貯蔵室内における前記冷媒の漏洩を検知する漏洩検知手段と、
前記漏洩検知手段が前記貯蔵室内における前記冷媒の漏洩を検知した場合に作動して、前記扉が前記開口を開放することを禁止する扉開放禁止手段と、
前記漏洩検知手段が前記貯蔵室内における前記冷媒の漏洩を検知した場合に、前記冷媒の漏洩が発生したことを報知する報知手段と、を備え
前記扉は、透明なガラス窓を有し、前記ガラス窓を通して外から前記貯蔵室の内部が視認可能であり、
前記報知手段は、前記漏洩検知手段が前記貯蔵室内における前記冷媒の漏洩を検知した場合に、外から前記貯蔵室の内部が視認できないようにするショーケース。
【請求項2】
前記扉開放禁止手段は、作動時に前記筐体に対する前記扉の相対移動を禁止することで前記扉が前記開口を開放することを禁止する請求項1に記載のショーケース。
【請求項3】
前記扉は、2つ以上設けられ、
前記扉開放禁止手段は、作動時に前記扉同士の相対移動を禁止することで前記扉が前記開口を開放することを禁止する請求項1に記載のショーケース。
【請求項4】
前記漏洩検知手段は、
前記貯蔵室内における前記冷媒の濃度を検出可能なセンサを備え、
前記貯蔵室内における前記冷媒の濃度が予め設定された基準濃度以上であることを前記センサが検出した場合に、前記貯蔵室内における前記冷媒の漏洩を検知し、
前記扉開放禁止手段は、作動後に前記貯蔵室内における前記冷媒の濃度が前記基準濃度未満であることを前記センサが検出した場合、作動解除する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ショーケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
開閉自在に摺動扉にて貯蔵室の開口部を閉塞し、当該貯蔵室内を可燃性又は微燃性冷媒を用いた冷却装置により冷却する低温貯蔵庫(ショーケース)であって、当該貯蔵室内に漏洩した可燃性又は微燃性冷媒を検知する冷媒漏洩検出手段と、冷媒漏洩検出手段が冷媒の漏洩を検知した場合に当該摺動扉を開放する扉開放手段とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-048770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示されるようなショーケースにおいては、冷却装置の蒸発器、冷媒配管等から貯蔵室内に冷媒が漏洩した場合に貯蔵室の扉が開放されるため、漏洩した冷媒がショーケースの外部へと流出する。冷媒が空気より重いものであった場合、漏洩した冷媒がショーケースの外部の例えば室内等の床面上に滞留し、当該室内等において冷媒濃度が一定以上となる領域が形成されてしまう可能性がある。
【0005】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものである。その目的は、蒸発器等から貯蔵室内に冷媒が漏洩した場合に、ショーケースの外部において冷媒濃度が一定以上となる領域が形成されることを抑制できるショーケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るショーケースは、少なくとも1つの面に開口が形成された貯蔵室が形成された筐体と、前記筐体の内部における前記貯蔵室と通じた箇所に収容され、空気より重い冷媒が内部を流通する蒸発器と、前記貯蔵室の前記開口を開閉可能な扉と、前記貯蔵室内における前記冷媒の漏洩を検知する漏洩検知手段と、前記漏洩検知手段が前記貯蔵室内における前記冷媒の漏洩を検知した場合に作動して、前記扉が前記開口を開放することを禁止する扉開放禁止手段と、前記漏洩検知手段が前記貯蔵室内における前記冷媒の漏洩を検知した場合に、前記冷媒の漏洩が発生したことを報知する報知手段と、を備え、前記扉は、透明なガラス窓を有し、前記ガラス窓を通して外から前記貯蔵室の内部が視認可能であり、前記報知手段は、前記漏洩検知手段が前記貯蔵室内における前記冷媒の漏洩を検知した場合に、外から前記貯蔵室の内部が視認できないようにする。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係るショーケースによれば、蒸発器等から貯蔵室内に冷媒が漏洩した場合に、ショーケースの外部において冷媒濃度が一定以上となる領域が形成されることを抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】この発明の実施の形態1に係るショーケースの斜視図である。
図2】この発明の実施の形態1に係るショーケースの断面図である。
図3】この発明の実施の形態1に係るショーケースが備える冷凍サイクルの冷媒回路図である。
図4】この発明の実施の形態1に係るショーケースが備える開扉禁止装置の未作動時を示す要部拡大斜視図である。
図5】この発明の実施の形態1に係るショーケースが備える開扉禁止装置の未作動時を示す要部拡大断面図である。
図6】この発明の実施の形態1に係るショーケースが備える開扉禁止装置の作動時を示す要部拡大斜視図である。
図7】この発明の実施の形態1に係るショーケースが備える開扉禁止装置の作動時を示す要部拡大断面図である。
図8】この発明の実施の形態1に係るショーケースの制御系統の構成を示すブロック図である。
図9】この発明の実施の形態1に係るショーケースの冷媒漏洩時の冷媒の流れを示す断面図である。
図10】この発明の実施の形態1に係るショーケースの動作の一例を示すフロー図である。
図11】この発明の実施の形態2に係るショーケースの斜視図である。
図12】この発明の実施の形態2に係るショーケースが備える開扉禁止装置の構成を示す要部拡大断面図である。
図13】この発明の実施の形態2に係るショーケースが備える開扉禁止装置の構成を示す要部拡大断面図である。
図14】この発明の実施の形態3に係るショーケースの斜視図である。
図15】この発明の実施の形態3に係るショーケースが備える開扉禁止装置の未作動時を示す要部拡大斜視図である。
図16】この発明の実施の形態3に係るショーケースが備える開扉禁止装置の未作動時を示す要部拡大図である。
図17】この発明の実施の形態3に係るショーケースが備える開扉禁止装置の作動時を示す要部拡大斜視図である。
図18】この発明の実施の形態3に係るショーケースが備える開扉禁止装置の作動時を示す要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
【0010】
実施の形態1.
図1から図10は、この発明の実施の形態1に係るものである。図1はショーケースの斜視図である。図2はショーケースの断面図である。図3はショーケースが備える冷凍サイクルの冷媒回路図である。図4はショーケースが備える開扉禁止装置の未作動時を示す要部拡大斜視図である。図5はショーケースが備える開扉禁止装置の未作動時を示す要部拡大断面図である。図6はショーケースが備える開扉禁止装置の作動時を示す要部拡大斜視図である。図7はショーケースが備える開扉禁止装置の作動時を示す要部拡大断面図である。図8はショーケースの制御系統の構成を示すブロック図である。図9はショーケースの冷媒漏洩時の冷媒の流れを示す断面図である。そして、図10はショーケースの動作の一例を示すフロー図である。
【0011】
この実施の形態に係るショーケース100は、スーパー、コンビニエンスストア等に設置されて飲料や食品等を貯蔵陳列する戸開閉型のクローズド(リーチイン)ショーケースである。図1に示すように、ショーケース100は、筐体10を備えている。筐体10は、全体として直方体の箱状を呈する。筐体10には、貯蔵室11が形成されている。貯蔵室11は、その内部に冷却対象となる飲料、生鮮食品等を収納可能な空間である。この貯蔵室11には、生鮮食品等を陳列するための複数の陳列棚12が、上下方向に配列されて取り付けられている。貯蔵室11は、筐体10における上側に配置されている。筐体10の下側は、機械室15になっている。
【0012】
図2に示すように、貯蔵室11の少なくとも前面には開口18が形成されている。そして、図1及び図2に示すように、ショーケース100には扉13が設けられている。扉13は、貯蔵室11の開口18を開閉するものである。扉13はガラス戸になっており、扉13が閉じている状態でも扉13の外から貯蔵室11の中が視認できるようになっている。この実施の形態では、扉13は、予め設定された開閉方向に移動可能な引き戸式である。扉13の開閉方向は、開口18が設けられている前面に向かって左右方向である。
【0013】
ショーケース100は、図3に示す冷媒回路を備えている。同図に示すように、冷媒回路は、圧縮機3、凝縮器2、膨張弁4及び蒸発器1が、この順序で循環的に冷媒配管7により接続されて構成されている。冷媒配管7等を含む冷媒回路には、冷媒が封入されている。
【0014】
冷媒回路に封入される冷媒は、地球温暖化係数(GWP)の小さいものを用いることが地球環境保護上の観点からいって望ましい。また、冷媒回路に封入される冷媒は可燃性である。この冷媒は空気よりも平均分子量が大きい。すなわち、冷媒は、空気よりも密度が大きく、大気圧下で空気より重い。したがって、冷媒は、空気中では重力方向の下方へと沈んでいく性質を持っている。
【0015】
このような冷媒として、具体的に例えば、テトラフルオロプロペン(CF3CF=CH2:HFO-1234yf)、ジフルオロメタン(CH2F2:R32)、プロパン(R290)、プロピレン(R1270)、エタン(R170)、ブタン(R600)、イソブタン(R600a)、1.1.1.2-テトラフルオロエタン(C2H2F4:R134a)、ペンタフルオロエタン(C2HF5:R125)、1.3.3.3-テトラフルオロ-1-プロペン(CF3-CH=CHF:HFO-1234ze)、二酸化炭素(CO2:R744)等の中から選ばれる1つ以上の冷媒からなる(混合)冷媒を用いることができる。
【0016】
圧縮機3は、冷媒を圧縮して当該冷媒の圧力及び温度を高める。圧縮された冷媒は、圧縮機3から吐出される。圧縮機3は、例えば、ロータリ圧縮機、スクロール圧縮機、レシプロ圧縮機等を用いることができる。
【0017】
凝縮器2は、圧縮機3から吐出された冷媒と周囲の空気との間で熱交換させ、冷媒を放熱させて凝縮させる。凝縮器ファン6は、凝縮器2により加熱された空気を送り出すとともに、凝縮器2の周囲に新たな空気を送り込むことで、凝縮器2における熱交換を促進する。
【0018】
膨張弁4は、凝縮器2で凝縮された冷媒を膨張させ、当該冷媒を減圧する。膨張弁4は、例えば、リニア電子膨張弁(LEV:Linear Electric expansion Valve)、又は、キャピラリーチューブである。キャピラリーチューブは、内径が0.6~2mm程度の銅細管である。絞り膨張用としてキャピラリーチューブを用いることで、LEVよりも安価で冷媒の圧力及び温度を低下させることが可能である。
【0019】
蒸発器1は、膨張弁4で減圧された冷媒と周囲の空気との間で熱交換させ、冷媒に吸熱させて蒸発させる。この際、冷媒と熱交換を行った空気は冷却される。すなわち、蒸発器1は冷却器として働く。蒸発器ファン5は、冷却器としての蒸発器1により冷却された空気を送り出すとともに、蒸発器1の周囲に新たな空気を送り込むことで、蒸発器1における熱交換を促進する。
【0020】
以上のように構成された冷媒回路を冷媒が循環することで、蒸気圧縮冷凍サイクルが実現される。この冷媒回路により実現された冷凍サイクルは、蒸発器1側と凝縮器2側との間で熱を移動させるヒートポンプとして働く。なお、蒸発器ファン5及び凝縮器ファン6は、例えばプロペラファン、ラインフローファン、シロッコファン等である。
【0021】
図2に示すように、貯蔵室11の上側の内壁面の前端部には、吹出口16が形成されている。貯蔵室11の下側の内壁面の前端部には、吸込口17が形成されている。吹出口16は、貯蔵室11に臨むようにして、下側に向かって開口している。吸込口17は、貯蔵室11に臨むようにして、上側に向かって開口している。つまり、吹出口16と吸込口17は、開口18の内側において、互いに向かい合うように形成されている。
【0022】
筐体10には、吸込口17から吹出口16に至る風路14が設けられている。風路14は、貯蔵室11とは区画された通風路である。ただし、風路14は、吹出口16及び吸込口17を介して貯蔵室11と通じている。この実施の形態では、風路14は、貯蔵室11を囲む下側壁面、後側壁面及び上側壁面に沿うようにして設けられている。
【0023】
風路14内には、蒸発器1と蒸発器ファン5が設けられている。ここで示す構成例では、蒸発器1は、風路14における貯蔵室11の後側壁面に沿った部分の下側に配置されている。蒸発器ファン5は、風路14における蒸発器1よりも上方の、貯蔵室11の上側壁面と後側壁面とが交わる隅角部に配置されている。
【0024】
蒸発器ファン5が駆動されると、蒸発器1を通過して生成された冷気が吹出口16から下方に吹き出される。扉13が閉じた状態では、貯蔵室11内の空気の外気との接触が遮断される。このため、吹出口16から吹き出された冷気は、貯蔵室11内に留まり、ショーケース100の外の例えば室内には排出されない。また、貯蔵室11内の空気の一部は、吸込口17から吸い込まれる。吸込口17から吸い込まれた空気は、風路14を通り蒸発器1で冷却されて、吹出口16から再び貯蔵室11内に吹き出される。
【0025】
蒸発器1が風路14内に配置されているため、蒸発器1に接続される冷媒配管7も風路14内に配置される。すなわち、冷媒配管7の少なくとも一部及び蒸発器1は、筐体10の内部における貯蔵室11と通じた箇所に収容されている。そして、蒸発器1の内部には、空気より重い冷媒が流通する。
【0026】
ここで示す構成例では、図2に示すように、機械室15内には、圧縮機3が収容されている。また、同図では図示していないが、凝縮器2、膨張弁4及び凝縮器ファン6も、機械室15内に収容される。すなわち、ここで示すショーケース100は、いわゆる内蔵型ショーケースである。ただし、ショーケース100は、いわゆる別置型ショーケースであってもよい。すなわち、筐体10とは異なる別の筐体に圧縮機3、凝縮器2、膨張弁4及び凝縮器ファン6を収容したコンデンシングユニットを備えるようにしてもよい。
【0027】
前述したように、ショーケース100は、貯蔵室11の開口18を開閉可能な扉13を備えている。この扉13には、開扉禁止装置30が備えられている。次に、図1及び図4から図7を参照しながら、この実施の形態の扉13及び開扉禁止装置30の構成について説明する。なお、これらの図では、扉13が貯蔵室11の開口18を閉鎖している状態を示している。
【0028】
まず、図1に示すように、この実施の形態の構成例では、2枚の扉13として外側扉13d、内側扉13eが左右に並べて配置されている。外側扉13d及び内側扉13eについて区別しない場合には、扉13と総称する。扉13は、ガラス窓13a及び扉枠13bを備えている。扉枠13bは矩形状の枠体である。扉枠13bは、扉13の外縁を形成する部材である。ガラス窓13aは、扉枠13bの内側にはめ込まれている。ガラス窓13aは透明である。なお、扉13は2枚でなく、3枚以上設けられてもよい。
【0029】
図4から図7に示すように、筐体10の前面における開口18の下縁部には、桟13cが設けられている。桟13cには、図示しない2本の溝部が形成されている。2本の溝部は、前後に並列され、前述した開閉方向すなわち左右方向に平行に延びて設けられている。桟13cの2本の溝部のうちの貯蔵室11側(以降において「庫内側」ともいう)には、内側扉13eの下端部が配置される。そして、桟13cの2本の溝部のうちの貯蔵室11とは反対側(以降において「庫外側」ともいう)には、外側扉13dの下端部が配置される。このようにして、外側扉13d及び内側扉13eは、桟13cに案内されて、前述した開閉方向すなわち左右方向に移動可能に設けられている。
【0030】
開扉禁止装置30は、扉13が開口18を開放することを禁止する扉開放禁止手段である。開扉禁止装置30は、通常時において作動していない。開扉禁止装置30が作動すると、開扉禁止装置30は扉13が開口18を開放することを禁止する。この実施の形態の開扉禁止装置30は、作動時に扉13同士の相対移動を禁止することで扉13が開口18を開放することを禁止する。このような開扉禁止装置30の構成例について、次に説明する。
【0031】
図4から図7に示すように、扉13のうちの一方、ここでは外側扉13dの下部に開扉禁止装置30が設けられている。開扉禁止装置30は、ロック片30a、ケース部30b及び駆動軸30cを備えている。外側扉13dの扉枠13bには、ケース部30bが埋め込まれている。ケース部30bは、一面が開放された直方体の箱状を呈する部材である。ケース部30bの開放面は、庫内側に露出している。
【0032】
ケース部30bの内側には、ロック片30aが設けられている。ロック片30aは、柱状又は棒状の部材である。ここで説明する構成例では、ロック片30aの形状は、互いに対向する面同士が平行な平行六面体である。なお、ロック片30aの形状は、平行六面体の特殊な場合である直方体でもよいし、その他の柱状又は棒状であってもよい。
【0033】
ロック片30aの一端側は、駆動軸30cを介してケース部30bに取り付けられている。駆動軸30cは鉛直方向に延びている。ロック片30aは、駆動軸30cを中心に回転して、図4及び図5に示す収納位置と図6及び図7に示す突出位置との間で移動可能である。
【0034】
開扉禁止装置30が作動していないとき、ロック片30aは収納位置にある。図4及び図5に示すように、収納位置にあるロック片30aは、ケース部30b内において外側扉13dの扉枠13bの庫内側の面よりも庫外側に配置される。この状態においては、ロック片30aが突出していないため、扉13を移動させてもロック片30aと内側扉13eの扉枠13bとが接触することはない。したがって、外側扉13d及び内側扉13eの両方を、前述の開閉方向に移動させることができる。このため、扉13により貯蔵室11の開口18を開放できる。
【0035】
開扉禁止装置30が作動すると、駆動軸30cが例えば図示しないモーター等により駆動され、ロック片30aは突出位置に移動する。図6及び図7に示すように、突出位置にあるロック片30aの他端側は、外側扉13dの扉枠13bの庫内側の面よりも庫内側に突出する。
【0036】
ここで、扉13が閉じた状態では、前述した開閉方向の中央部において2つの扉13の扉枠13b同士が前後に重なり合っている。開扉禁止装置30のケース部30bは、扉13が閉じた状態で内側扉13eの扉枠13bとは重ならない外側扉13dの扉枠13bの部分に配置される。さらに、突出位置にあるロック片30aの他端側の先端は、閉じた内側扉13eの扉枠13bの端面に丁度当接するようになっている。この際、ロック片30aの先端面が、内側扉13eの扉枠13bの端面と平行に接することが望ましい。
【0037】
扉13が閉じているときに、以上のように構成された開扉禁止装置30が作動した状態では、扉13を開けようとしても、外側扉13dの内側扉13e方向への移動が、突出位置のロック片30aにより阻止される。同様に、内側扉13eの外側扉13d方向への移動も、突出位置のロック片30aにより阻止される。このようにして、開扉禁止装置30は、作動時に扉13同士の相対移動を禁止することで扉13が開口18を開放することを禁止する。
【0038】
この実施の形態のショーケース100は、図2に示すように、冷媒漏洩センサ20を備えている。冷媒漏洩センサ20は、筐体10の内部における貯蔵室11と通じた箇所に設置されている。ここで示す構成例では、冷媒漏洩センサ20は、風路14内における蒸発器1の下方に配置されている。冷媒漏洩センサ20は、少なくとも、冷媒回路に封入されたものと同種の冷媒の濃度を検出可能である。冷媒漏洩センサ20は、例えば、接触燃焼式、半導体式、熱伝導式、低電位電解式及び赤外線式などの各方式のセンサを用いることができる。
【0039】
また、冷媒漏洩センサ20として酸素センサを用いることもできる。酸素センサを用いた場合には、センサ出力に基づいて酸素濃度を求め、酸素濃度の低下分は流入ガスによるものであるとして流入ガスの濃度を逆算することで、流入ガスすなわち冷媒の濃度を間接的に検出することができる。酸素センサとしては、例えば、ガルバニ電池式、ポーラロ式及びジルコニア式等の各方式を用いることができる。
【0040】
この実施の形態のショーケース100は、冷媒漏洩センサ20の検知結果を利用して、貯蔵室11内における冷媒の漏洩を検知する。この実施の形態のショーケース100の制御系統の構成を図8に示す。同図に示すように、ショーケース100は、漏洩検知部51、記憶部52、報知部53及び制御部54を備えている。これらの各部は、例えば、ショーケース100の制御装置に搭載された回路により構成される。
【0041】
漏洩検知部51は、冷媒漏洩センサ20の検出結果に基づいて、貯蔵室11内における冷媒の漏洩を検知する。前述したように、冷媒漏洩センサ20は、直接的又は間接的に冷媒回路に封入された冷媒の濃度を検出可能である。冷媒漏洩センサ20は、検出した冷媒の濃度に応じた検出信号を出力する。
【0042】
冷媒漏洩センサ20から出力された検出信号は、漏洩検知部51に入力される。漏洩検知部51は、まず、冷媒漏洩センサ20からの検出信号の示す冷媒濃度が基準濃度以上であるか否かを判定する。基準濃度の値は予め設定される。予め設定された基準濃度は、記憶部52に記憶されている。漏洩検知部51は、記憶部52から取得した基準濃度と冷媒漏洩センサ20からの検出信号の示す冷媒濃度とを比較して判定を行う。
【0043】
そして、冷媒漏洩センサ20からの検出信号の示す冷媒濃度が基準濃度以上である場合、漏洩検知部51は、制御部54へと冷媒漏洩検知信号を出力する。冷媒漏洩検知信号は、貯蔵室11内での冷媒漏洩を検知した旨の信号である。このように、冷媒漏洩センサ20及び漏洩検知部51は、貯蔵室11内における冷媒の漏洩を検知する漏洩検知手段を構成している。
【0044】
次に、図9も参照しながら、以上のように構成された漏洩検知手段による貯蔵室11内での冷媒漏洩の検知について説明する。ここで、例えば蒸発器1又は蒸発器1と冷媒配管7との接続部又は風路14内の冷媒配管7から冷媒が漏洩した場合を考える。このような場合、蒸発器ファン5が動作中であれば、漏洩した冷媒は、図9に蒸発器ファン動作時の冷媒漏洩経路40として示す矢印に沿って流れる。
【0045】
すなわち、漏洩した冷媒は、貯蔵室11及び風路14を循環する空気と同様に、風路14を進み吹出口16から貯蔵室11内に入る。貯蔵室11内に入った冷媒は、貯蔵室11内で拡散し、貯蔵室11内の冷媒濃度は均一に分布する。貯蔵室11内に拡散した冷媒は、吸込口17から風路14に吸い込まれ、風路14の下部に設けられた冷媒漏洩センサ20によって検出される。そして、貯蔵室11内に拡散した冷媒の濃度が、前述した基準濃度以上であれば、漏洩検知部51により、貯蔵室11内における冷媒の漏洩が検知される。
【0046】
一方、蒸発器ファン5が停止中であれば、漏洩した冷媒は、図9に蒸発器ファン停止時の冷媒漏洩経路41として示す矢印に沿って流れる。すなわち、前述したように冷媒は空気より重いため、漏洩した冷媒は重力方向下方に沈降する。沈降した冷媒は、まず風路14の最低部に滞留する。漏洩開始からの時間経過に伴い冷媒の漏洩量が増えると、風路14の最低部に滞留した冷媒の一部は、吸込口17から貯蔵室11内に進入する。また、冷媒が滞留する領域が風路14の最低部から徐々に上に広がり、冷媒漏洩センサ20にまで達する。そして、冷媒漏洩センサ20が検出する冷媒の濃度が、前述した基準濃度以上であれば、漏洩検知部51により、貯蔵室11内における冷媒の漏洩が検知される。
【0047】
なお、冷媒漏洩センサ20の位置は、ここで説明した風路14内における蒸発器1の下方に限られない。前述したように蒸発器ファン5の動作中には、蒸発器1等で漏洩した冷媒は、蒸発器ファン動作時の冷媒漏洩経路40の矢印のように風路14内を上方に進む。そこで、冷媒漏洩センサ20を、風路14内における蒸発器1の上方に設置してもよい。このようにすることで、蒸発器ファン5の動作中に冷媒漏洩が発生した場合に、より早期に冷媒漏洩を検知できる。また、冷媒漏洩センサ20を貯蔵室11内に設置してもよい。
【0048】
図8に示す制御部54は、ショーケース100が備えるアクチュエータを制御することで、ショーケース100の動作全般を制御する。制御部54の制御対象には、図8に明示的に記載した蒸発器ファン5、圧縮機3及び開扉禁止装置30の他に、例えば、凝縮器ファン6等が含まれる。
【0049】
制御部54は、漏洩検知部51から冷媒漏洩検知信号が入力された場合、開扉禁止装置30を作動させる。扉13が閉じた状態で開扉禁止装置30が作動すると、扉13同士の相対移動が禁止され、扉13が貯蔵室11の開口18を開放することが禁止される。このため、仮に利用者等が冷媒の漏洩に気付かずに扉13を開けようとしても、その開扉は阻止され、扉13が閉じた状態が維持される。すなわち、扉開放禁止手段である開扉禁止装置30は、漏洩検知手段である冷媒漏洩センサ20及び漏洩検知部51が貯蔵室11内における冷媒の漏洩を検知した場合に作動して、扉13が開口18を開放することを禁止する。
【0050】
したがって、蒸発器1等から貯蔵室11内に冷媒が漏洩した場合に、漏洩した冷媒を貯蔵室11内に留めることが可能である。このため、冷媒漏洩発生後に扉13が開かれてしまった場合と比較して、漏洩した冷媒が貯蔵室11内からショーケース100の外部へと放出される速度を低滅できる。よって、蒸発器1等から貯蔵室11内に冷媒が急速に漏洩した場合であっても、ショーケース100外部の室内空間における冷媒濃度の急上昇を防ぎ、ショーケース100が設置された室内において冷媒濃度が一定以上となる領域が短時間のうちに形成されてしまうことを抑制できる。
【0051】
なお、漏洩検知部51から冷媒漏洩検知信号が出力されると、報知部53は、冷媒の漏洩が発生したことを周囲の利用者又は作業者等に報知する。この報知部53は、ショーケース100の貯蔵室11内での冷媒漏洩を検知した旨を、音で報知するためのスピーカ又は光で報知するためのLED等を備えている。報知部53は、例えば、ショーケース100の筐体10等に設けられる。
【0052】
報知部53は、漏洩検知部51から冷媒漏洩検知信号が出力された場合に、外から貯蔵室11の内部が視認できないようにすることで、冷媒の漏洩が発生したことを周囲の利用者等に分かるようにしてもよい。具体的に例えば、扉13のガラス窓13aを、可視光透過率を変更可能な素材により構成してもよい。そして、通常時にはガラス窓13aを透明にし、貯蔵室11内での冷媒漏洩が検知された場合にガラス窓13aを不透明にする。また、不透明なスクリーン、シャッター等を、扉13の庫内側又は庫外側に展開可能に設けてもよい。そして、通常時にはスクリーン等を収納しておき、貯蔵室11内での冷媒漏洩が検知された場合にスクリーン等を展開する。
【0053】
次に、以上のように構成されたショーケース100の動作例について、図10のフロー図を参照しながら説明する。まず、ステップS1においては、貯蔵室11内での冷媒漏洩を検知した場合に、処理がステップS2へと進む。すなわち、漏洩検知部51は、冷媒漏洩センサ20により検出された冷媒濃度が基準濃度以上であるか否かを判定する。そして、冷媒濃度が基準濃度以上であれば、漏洩検知部51が貯蔵室11内での冷媒漏洩を検知し、処理はステップS2へと進む。
【0054】
ステップS2においては、ステップS1で貯蔵室11内での冷媒漏洩を検知した漏洩検知部51が冷媒漏洩検知信号を出力する。すると、制御部54に冷媒漏洩検知信号が入力され、制御部54は開扉禁止装置30を作動させる。扉13が閉じた状態で開扉禁止装置30が作動すると、扉13が貯蔵室11の開口18を開放することが禁止される。このため、扉13が閉じた状態が維持され、漏洩した冷媒が貯蔵室11内からショーケース100の外部へと放出されてしまうことを抑制する。ステップS2の後、処理はステップS3へと進む。
【0055】
ステップS3においては、制御部54は、開扉禁止装置30を作動させてから、予め設定された時間Tが経過した後の冷媒漏洩センサ20により検出された冷媒濃度が、前述した基準濃度未満であるか否かを確認する。この確認は、例えば、開扉禁止装置30が作動してから時間Tの経過後においても、漏洩検知部51が冷媒漏洩検知信号を出力しているか否かを判定することにより行われる。または、制御部54が直接的に冷媒漏洩センサ20の検出信号から冷媒漏洩センサ20により検出された冷媒濃度が前述した基準濃度未満であるか否かを判定してもよい。時間Tは、具体的に例えば30秒である。
【0056】
開扉禁止装置30が作動してから時間Tの経過後において、冷媒漏洩センサ20により検出された冷媒濃度が前述した基準濃度未満である場合、処理はステップS4へと進み、制御部54は開扉禁止装置30の作動を解除する。したがって、この場合、扉13により貯蔵室11の開口18を開放することが可能となる。一方、ステップS3で、開扉禁止装置30が作動してから時間Tの経過後においても、冷媒漏洩センサ20により検出された冷媒濃度が、前述した基準濃度以上である場合、開扉禁止装置30が作動した状態が維持される。
【0057】
ここで、例えば冷媒にR290を使用した場合のショーケース100の動作について、具体的な数値例を挙げて説明する。貯蔵室11の容積が500L(=0.5m^3)、冷媒回路に充填された冷媒の量を0.15kg、蒸発器1からの冷媒漏洩速度を15kg/hとする。この場合、冷媒が漏洩を開始してから36秒が経過すると、冷媒回路に充填された冷媒の全量が貯蔵室11内に漏洩する。したがって、冷媒の漏洩開始後、36秒が経過した以降の貯蔵室11内の冷媒濃度は0.3kg/m^3(=17vol%)となる。
【0058】
よって、貯蔵室11内には、冷媒濃度がR290のLFL濃度2.1vol%(=0.038kg/m^3)より大きい領域が形成される(LFL=Lower Flammable Limit:燃焼下限)。この状態で扉13が開かれて貯蔵室11の開口18が開放されると、LFL濃度よりも十分に濃い雰囲気が一気にショーケース100の外部に流出し、ショーケース100の外部にもLFL濃度よりも冷媒濃度が大きい領域が形成されてしまう。
【0059】
この実施の形態のショーケース100において前述の基準濃度を例えばLFL濃度の1/2の1.05vol%とする。この場合、冷媒が漏洩を開始してから約2秒が経過すると、貯蔵室11内の冷媒濃度が基準濃度に達し、冷媒漏洩センサ20及び漏洩検知部51が貯蔵室11内の冷媒漏洩を検知する。すると、開扉禁止装置30が作動して扉13が貯蔵室11の開口18を開放することが禁止される。したがって、扉13が開かれて貯蔵室11内に溜まった冷媒が一気に外に流出してショーケース100の外部にLFL濃度よりも冷媒濃度が大きい領域が形成されることを抑制できる。
【0060】
なお、以上で説明したショーケース100の動作例においては、扉開放禁止手段である開扉禁止装置30は、作動後に貯蔵室11内における冷媒の濃度が前述の基準濃度未満であることを冷媒漏洩センサ20が検出した場合、作動解除する。このようにすることで、例えば、冷媒漏洩センサ20等の誤検出により開扉禁止装置30が作動してしまった場合に、開扉禁止装置30の作動を解除して扉13を開くことが可能となる。
【0061】
また、実際に冷媒が漏洩しているが、例えばわずかな隙間等から貯蔵室11の外へと冷媒が漏れ出てしまい、貯蔵室11内の冷媒濃度が低下した場合、扉13が開かれても、冷媒が一気に外に流出してショーケース100の外部にLFL濃度よりも冷媒濃度が大きい領域が形成される可能性は低い。したがって、このような場合にも、開扉禁止装置30の作動を解除して扉13を開くことで、開扉禁止によりショーケース100が使用できない期間を短くでき、利便性の低下を抑えることが可能である。
【0062】
実施の形態2.
図11から図13は、この発明の実施の形態2に係るものである。図11はショーケースの斜視図である。そして、図12及び図13はショーケースが備える開扉禁止装置の構成を示す要部拡大断面図である。
【0063】
前述した実施の形態1は、引き戸式(スライド式)の扉を有するものであった。これに対し、ここで説明する実施の形態2は、開き戸式(スイング式)の扉を有するものである。以下、この実施の形態2に係るショーケースについて、実施の形態1との相違点を中心に説明する。説明を省略した構成については実施の形態1と基本的に同様である。
【0064】
この実施の形態に係るショーケース100は、図11に示すように、筐体10及び扉13を備えている。筐体10には、貯蔵室11が形成されている。貯蔵室11の少なくとも前面には開口18が形成されている。扉13は、貯蔵室11の開口18を開閉するものである。扉13はガラス戸になっており、扉13が閉じている状態でも扉13の外から貯蔵室11の中が視認できるようになっている。
【0065】
この実施の形態の構成例では、扉13は観音開き(両開き)の開き戸式である。すなわち、2枚の扉13が左右に並べて配置されている。2枚の扉13のそれぞれは、左右方向において互いに遠い方の側辺部において、筐体10に対して回転可能に軸支されている。また、それぞれの扉13の、左右方向において互いに近い方の側辺部には、取っ手13fが取り付けられている。
【0066】
また、図示は省略しているが、ショーケース100は、実施の形態1と同様、図3に示す蒸気圧縮式の冷凍サイクルを実現する冷媒回路を備えている。したがって、筐体10の内部における貯蔵室11と通じた箇所に、空気より重い冷媒が内部を流通する蒸発器1が収容されている。なお、筐体10の下部は機械室15である。機械室15には、冷媒回路を構成する凝縮器2、圧縮機3、膨張弁4等が収容されている。
【0067】
扉13には、開扉禁止装置30が備えられている。開扉禁止装置30は、扉13が開口18を開放することを禁止する扉開放禁止手段である。開扉禁止装置30は、通常時において作動していない。開扉禁止装置30が作動すると、開扉禁止装置30は扉13が開口18を開放することを禁止する。この実施の形態の開扉禁止装置30は、作動時に扉13同士の相対移動を禁止することで扉13が開口18を開放することを禁止する。次に、図12及び図13を参照しながら、この実施の形態の開扉禁止装置30の構成例について説明する。なお、これらの図では、扉13が貯蔵室11の開口18を閉鎖している状態を示している。
【0068】
開扉禁止装置30は、ロック片30a、ケース部30b及び駆動軸30cを備えている。扉13の外縁部は扉枠13bである。そして、2つの扉13のうちの一方の扉枠13bには、ケース部30bが埋め込まれている。ケース部30bは、一面が開放された直方体の箱状を呈する部材である。ケース部30bの開放面は、他方の扉13の側に露出している。
【0069】
2つの扉13のうちの他方の扉枠13bには、ロック片30aが駆動軸30cを介して取り付けられている。ロック片30aは、底面が扇形を呈する柱体状の部材である。ここで説明する構成例では、ロック片30aの底面は半円形である。駆動軸30cは、開口18の面に垂直な方向に延びている。ロック片30aは、駆動軸30cを中心に回転して、図12中に破線で示す収納位置と図12中に実線で示す突出位置との間で移動可能である。
【0070】
開扉禁止装置30が作動していないとき、ロック片30aは収納位置にある。図12中に破線で示すように、収納位置にあるロック片30aは、前述した他方の扉13の扉枠13bの内側に配置される。この状態においては、ロック片30aが突出していないため、2つの扉13の両方を回転移動させることができる。このため、扉13により貯蔵室11の開口18を開放できる。
【0071】
開扉禁止装置30が作動すると、駆動軸30cが例えば図示しないモーター等により駆動され、ロック片30aは突出位置に移動する。図12に示すように、突出位置にあるロック片30aの一部は、ケース部30bの内側に配置される。すなわち、突出位置にあるロック片30aは、2つの扉13の扉枠13bにまたがって配置される。
【0072】
したがって、扉13が閉じているときに、以上のように構成された開扉禁止装置30が作動した状態では、ロック片30aが「かんぬき」として働き、扉13同士の相対移動が阻止される。このようにして、開扉禁止装置30は、作動時に扉13同士の相対移動を禁止することで扉13が開口18を開放することを禁止する。
【0073】
その他の構成、例えば、冷媒漏洩センサ20、制御系統の構成等は、実施の形態1と同様である。したがって、開扉禁止装置30は、漏洩検知手段が貯蔵室11内における冷媒の漏洩を検知した場合に作動して、扉13が開口18を開放することを禁止する。このため、以上のように構成されたショーケース100においても、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。
【0074】
なお、図13に示すように、駆動軸30cの庫外側の端部は、庫外側に露出している。そして、この露出部分には、鍵穴31が設けられている。この鍵穴31に対応する鍵を鍵穴31に挿入することで、ロック片30aを手動で回転させることができる。鍵穴31に対応する鍵は、例えばサービスマン、専門知識を有する管理者等が所有することを想定している。開扉禁止装置30の作動後に、対応する鍵を用いることで開扉禁止装置30の作動を解除し、扉13を開けて冷媒漏洩等に対処できる。
【0075】
実施の形態3.
図14から図18は、この発明の実施の形態3に係るものである。図14はショーケースの斜視図である。図15はショーケースが備える開扉禁止装置の未作動時を示す要部拡大斜視図である。図16はショーケースが備える開扉禁止装置の未作動時を示す要部拡大図である。図17はショーケースが備える開扉禁止装置の作動時を示す要部拡大斜視図である。そして、図18はショーケースが備える開扉禁止装置の作動時を示す要部拡大図である。
【0076】
ここで説明する実施の形態3は、前述した実施の形態1又は実施の形態2の構成において、扉開放禁止手段を、作動時に筐体に対する扉の相対移動を禁止することで扉が貯蔵室の開口を開放することを禁止するようにしたものである。以下、この実施の形態3に係るショーケースについて、実施の形態2の構成を元にした場合を例に挙げ、実施の形態2との相違点を中心に説明する。説明を省略した構成については実施の形態1又は実施の形態2と基本的に同様である。
【0077】
この実施の形態に係るショーケース100は、図14に示すように、筐体10及び扉13を備えている。筐体10には、貯蔵室11が形成されている。貯蔵室11の少なくとも前面には開口18が形成されている。扉13は、貯蔵室11の開口18を開閉するものである。扉13はガラス戸になっており、扉13が閉じている状態でも扉13の外から貯蔵室11の中が視認できるようになっている。
【0078】
この実施の形態の構成例では、扉13は観音開き(両開き)の開き戸式である。すなわち、2枚の扉13が左右に並べて配置されている。2枚の扉13のそれぞれは、左右方向において互いに遠い方の側辺部において、筐体10に対して回転可能に軸支されている。また、それぞれの扉13の、左右方向において互いに近い方の側辺部には、取っ手13fが取り付けられている。
【0079】
また、図示は省略しているが、ショーケース100は、実施の形態1及び実施の形態2と同様、図3に示す蒸気圧縮式の冷凍サイクルを実現する冷媒回路を備えている。したがって、筐体10の内部における貯蔵室11と通じた箇所に、空気より重い冷媒が内部を流通する蒸発器1が収容されている。なお、筐体10の下部は機械室15である。機械室15には、冷媒回路を構成する凝縮器2、圧縮機3、膨張弁4等が収容されている。
【0080】
扉13部分には、開扉禁止装置30が備えられている。開扉禁止装置30は、扉13が開口18を開放することを禁止する扉開放禁止手段である。開扉禁止装置30は、通常時において作動していない。開扉禁止装置30が作動すると、開扉禁止装置30は扉13が開口18を開放することを禁止する。この実施の形態の開扉禁止装置30は、作動時に筐体10と扉13との相対移動を禁止することで扉13が開口18を開放することを禁止する。次に、図15から図18を参照しながら、この実施の形態の開扉禁止装置30の構成例について説明する。なお、これらの図では、扉13が貯蔵室11の開口18を閉鎖している状態を示している。
【0081】
貯蔵室11の開口18の下縁部には、桟13cが設けられている。桟13cは、筐体10に固定されている。扉13の外縁部は扉枠13bである。扉13が閉じた状態では、それぞれの扉13の扉枠13bは、桟13cの上面に接している。開扉禁止装置30は、ロック片30a、ケース部30b及びストッパー32を備えている。
【0082】
2つの扉13のそれぞれの扉枠13bには、ロック片30aが設けられている。ロック片30aは、柱状又は棒状の部材である。ロック片30aは、図15及び図16に示す収納位置と図17及び図18に示す突出位置との間で移動可能である。ロック片30aは、ストッパー32により図15及び図16に示す収納位置に保持される。ストッパー32が外れると、ロック片30aは、落下して図17及び図18に示す突出位置に移動する。
【0083】
桟13cには、ケース部30bが埋め込まれている。ケース部30bは、一面が開放された直方体の箱状を呈する部材である。ケース部30bの開放面は、桟13cの上面において露出している。ケース部30bは、それぞれの扉13のロック片30aに対応して設けられる。
【0084】
開扉禁止装置30が作動していないとき、ロック片30aはストッパー32により収納位置で保持されている。図15及び図16に示すように、収納位置にあるロック片30aは、それぞれの扉13の扉枠13bの下端よりも上側に配置される。この状態においては、ロック片30aが突出していないため、2つの扉13の両方を桟13cに対して移動させることができる。このため、扉13により貯蔵室11の開口18を開放できる。
【0085】
開扉禁止装置30が作動すると、ストッパー32が外れ、ロック片30aは落下して突出位置に移動する。図17及び図18に示すように、突出位置にあるロック片30aの他端側は、外側扉13dの扉枠13bの庫内側の面よりも庫内側に突出する。突出位置にあるロック片30aの一部は、ケース部30bの内側に配置される。すなわち、突出位置にあるロック片30aは、それぞれの扉13の扉枠13bと桟13cとにまたがって配置される。
【0086】
したがって、扉13が閉じているときに、以上のように構成された開扉禁止装置30が作動した状態では、いわゆる「フランス落とし」の要領で、桟13cすなわち筐体10に対する各扉13の相対移動が阻止される。このようにして、開扉禁止装置30は、作動時に筐体10に対する扉13の相対移動を禁止することで扉13が開口18を開放することを禁止する。
【0087】
その他の構成、例えば、冷媒漏洩センサ20、制御系統の構成等は、実施の形態1と同様である。したがって、開扉禁止装置30は、漏洩検知手段が貯蔵室11内における冷媒の漏洩を検知した場合に作動して、扉13が開口18を開放することを禁止する。
【0088】
このため、以上のように構成されたショーケースにおいても、実施の形態1又は実施の形態2と同様の効果を奏することができる。また、この実施の形態の開扉禁止装置30は、引き戸式(スライド式)及び開き戸式(スイング式)の両方の扉に適用可能である。このため、方式の異なる扉を備えたショーケースの製造工程、部品等の一部を共通化でき、製造コストの削減を図ることができる。
【符号の説明】
【0089】
1 蒸発器
2 凝縮器
3 圧縮機
4 膨張弁
5 蒸発器ファン
6 凝縮器ファン
7 冷媒配管
10 筐体
11 貯蔵室
12 陳列棚
13 扉
13a ガラス窓
13b 扉枠
13c 桟
13d 外側扉
13e 内側扉
13f 取っ手
14 風路
15 機械室
16 吹出口
17 吸込口
18 開口
20 冷媒漏洩センサ
30 開扉禁止装置
30a ロック片
30b ケース部
30c 駆動軸
31 鍵穴
32 ストッパー
40 蒸発器ファン動作時の冷媒漏洩経路
41 蒸発器ファン停止時の冷媒漏洩経路
51 漏洩検知部
52 記憶部
53 報知部
54 制御部
100 ショーケース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18