(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】電気自動車
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20221213BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
(21)【出願番号】P 2018243414
(22)【出願日】2018-12-26
【審査請求日】2021-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 賢史
(72)【発明者】
【氏名】日下 博人
【審査官】塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102015004119(DE,A1)
【文献】特開2011-020553(JP,A)
【文献】特開2012-240477(JP,A)
【文献】特開2009-202677(JP,A)
【文献】特開2010-280243(JP,A)
【文献】特開2017-033933(JP,A)
【文献】特開2013-180729(JP,A)
【文献】特開2012-186995(JP,A)
【文献】特開2009-227218(JP,A)
【文献】国際公開第2012/127678(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0229613(US,A1)
【文献】特開2015-95971(JP,A)
【文献】国際公開第2013/073484(WO,A1)
【文献】特開2013-103587(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B60L 53/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メインバッテリと、
車両外部の給電器を接続可能な第1インレットと、
車両外部の別の給電器を接続可能な第2インレットと、
前記メインバッテリと第1バッテリパワーケーブル及び第2バッテリパワーケーブルで接続されており、前記第1インレットと第1インレットパワーケーブルで接続されており、前記第2インレットと第2インレットパワーケーブルで接続されているパワーユニットと、
を備えており、
前記パワーユニットは、前記第1バッテリパワーケーブルを接続する第1バッテリコネクタと、前記第2バッテリパワーケーブルを接続する第2バッテリコネクタと、前記第1インレットパワーケーブルを接続する第1インレットコネクタと、前記第2インレットパワーケーブルを接続する第2インレットコネクタを備えており、
前記第1インレットパワーケーブルは、前記パワーユニットを介して前記第1バッテリパワーケーブルに接続され、
前記第2インレットパワーケーブルは、前記パワーユニットを介して前記第2バッテリパワーケーブルに接続され、
前記
第1バッテリコネクタ
及び前記第2バッテリコネクタのそれぞれは、前記パワーユニットの中心よりも前記メインバッテリに近い側に配置されており、
前記第1インレットコネクタは、前記パワーユニットの中心よりも前記第1インレットに近い側に配置されており、
前記第2インレットコネクタは、前記パワーユニットの中心よりも前記第2インレットに近い側に配置されており、
前記第1バッテリコネクタは、前記第2バッテリコネクタよりも前記第1インレットに近い側に配置されており、
前記第2バッテリコネクタは、前記第1バッテリコネクタよりも前記第2インレットに近い側に配置されている、電気自動車。
【請求項2】
前記メインバッテリは、前記パワーユニットよりも車両後方側に配置されており、
前記第1バッテリコネクタ及び前記第2バッテリコネクタは、前記パワーユニットの後部に配置されている、請求項1に記載の電気自動車。
【請求項3】
前記第1インレットは、前記電気自動車の第1側面に配置されており、
前記第2インレットは、前記電気自動車の前記第1側面とは反対側の第2側面に配置されており、
前記第1インレットコネクタは、前記パワーユニットの車幅方向の前記中心よりも前記第1側面側に配置されており、
前記第2インレットコネクタは、前記パワーユニットの前記車幅方向の前記中心よりも前記第2側面側に配置されている、請求項1又は2に記載の電気自動車。
【請求項4】
前記第1インレットは交流電力を出力する交流給電器に接続可能なACインレットであり、当該ACインレットは車両の右側に配置されており、
前記第2インレットは直流電力を出力する直流給電器に接続可能なDCインレットであり、当該DCインレットは車両の左側に配置されている、請求項3に記載の電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、電気自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車は、メインバッテリの電力を走行用のモータの駆動電力に変換する電力変換器を備えている。メインバッテリの出力電圧は100ボルト以上であり、走行用のモータと電力変換器にも100ボルト以上の電圧が加わる。電気自動車では、冷却器やエアコンなど、メインバッテリの電力で駆動される強電機器が搭載されている。あるいは、メインバッテリを充電するための外部の給電器を接続可能なインレットもメインバッテリと接続される。モータ、電力変換器、冷却器、インレットなどは、パワーケーブルでメインバッテリと接続される。
【0003】
本明細書においてパワーケーブルとは、メインバッテリの電力が流れるケーブル、あるいは、メインバッテリへ電力を伝送するケーブルを意味する。本明細書では、メインバッテリとパワーケーブルで接続される装置を強電機器と称する。
【0004】
複数の強電機器がメインバッテリと接続される。そこで、特許文献1に開示されている電気自動車は、メインバッテリの電力を複数の強電機器に分配するパワーディストリビューションモジュール(Power Distribution Module:以下、PDMと称する)を備えている。走行用のモータを収容するモータハウジングの上にインバータが搭載されており、インバータ(強電機器の一つ)の上にPDMが搭載されている。PDMは、メインバッテリの直流電力をインバータへ分配する。インバータは、メインバッテリの直流電力を走行用のモータの駆動電力に変換する。モータ(モータハウジング)とインバータはパワーケーブルで接続されており、インバータとPDMも別のパワーケーブルで接続される。PDMとメインバッテリもさらに別のパワーケーブルで接続される。
【0005】
一方、特許文献2、3には、車両外部の給電器から電力の供給を受けてメインバッテリを充電できように、インレットを有する電気自動車が開示されている。インレットは、パワーケーブルとリレーを介してメインバッテリに接続される。インレットに外部の給電器が接続される。インレットとパワーケーブルを通して給電器の電力がメインバッテリへ送られる。先に述べたように、インレットは強電機器の一つである。特許文献3の電気自動車は、直流電力を供給する直流給電器(DC給電器)を接続可能なDCインレットと、交流電力を供給する交流給電器(AC給電器)を接続可能なACインレットを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2014/030445号
【文献】特開2012-85481号公報
【文献】特開2014-239621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
メインバッテリ、インバータ(モータ)、インレットなど、車載の強電機器が多くなると、一つの強電機器から別の強電機器へ電力を中継するパワーユニットを備えることが有効であるが、そのようなパワーユニットは最近開発が始まったばかりであり、改善の余地がある。本明細書は、従来よりも改善されたパワーユニットを備える電気自動車を提供する。
【0008】
特許文献3の電気自動車は、外部のAC給電器とDC給電器のいずれからでもメインバッテリを充電することができる。その場合、パワーユニットには、ACインレットのパワーケーブルを接続するコネクタと、DCインレットのパワーケーブルを接続するコネクタと、メインバッテリのパワーケーブルを接続するコネクタを備える必要がある。本明細書明細書は、パワーユニットのコネクタの配置と、インレットとメインバッテリの配置を最適化した電気自動車を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書が開示する電気自動車は、メインバッテリ、第1インレット、第2インレット、パワーユニットを備えている。第1インレットには、車両外部の給電器が接続可能である。第2インレットには、車両外部の別の給電器が接続可能である。パワーユニットは、メインバッテリとバッテリパワーケーブルで接続されており、第1インレットと第1インレットパワーケーブルで接続されおり、第2インレットと第2インレットパワーケーブルで接続されている。パワーユニットは、バッテリパワーケーブルを接続するバッテリコネクタを備えている。パワーユニットは、第1インレットパワーケーブルを接続する第1インレットコネクタと、第2インレットパワーケーブルを接続する第2インレットコネクタも備えている。
【0010】
バッテリコネクタは、パワーユニットの中心よりも前記メインバッテリに近い側に配置されている。第1インレットコネクタは、パワーユニットの中心よりも第1インレットに近い側に配置されている。第2インレットコネクタは、パワーユニットの中心よりも第2インレットに近い側に配置されている。
【0011】
上記の配置により、それぞれの機器と対応するコネクタの距離を短くすることができる。すなわち、パワーケーブルの長さを短くすることができる。パワーケーブルの長さが短くなれば、電力の伝送損失を抑えることができる。
【0012】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図6】パワーユニットの内部構造を示すブロック図である。
【
図7】パワーユニットのコネクタ群の配置を示す平面図である。
【
図8】パワーユニットとメインバッテリの間の接続関係の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施例)図面を参照して実施例の電気自動車2を説明する。
図1に第1実施例の電気自動車2の平面図を示し、
図2に電気自動車2の側面図を示し、
図3に電気自動車2の正面図を示す。
図1-
図3では、フロントコンパートメント3におけるデバイスレイアウトを説明するため、ボディ200とシート97、98とタイヤは仮想線で描いてある。
図1-
図3における座標系のFrは車両前方を示しており、Upは車両上方を示している。Lは車両の左側方を示している。
【0015】
フロントコンパートメント3には、走行用のモータ70を収容しているモータハウジング7、電力変換器9、パワーユニット100、冷却器91、エアコン92、サブバッテリ94が搭載されている。また、キャビンスペースにはDC/ACコンバータ93が搭載されている。キャビンスペースの下にはバッテリパック30が配置されている。フロントコンパートメント3とキャビンスペースは、ダッシュボード19で隔てられている。なお、
図2、
図3では、冷却器91、エアコン92、サブバッテリ94、DC/ACコンバータ93の図示は省略した。
【0016】
冷却器91は、モータ70や電力変換器9(後述)を冷却する。エアコン92は、キャビンスペースの温度を調整する。DC/ACコンバータは、キャビンスペースで家電を使えるようにするために備えられている。冷却器91とエアコン92は、メインバッテリ31の電力で動作する。
【0017】
バッテリパック30の中には、出力電圧が200ボルトのメインバッテリ31が収容されている。
図3では、バッテリパック30の図示も省略した。
【0018】
モータハウジング7は、モータ70のほか、モータ70の出力軸に接続されているギアセットとデファレンシャルギアも収容されている。モータ70の出力トルクはギアセットとデファレンシャルギアを介して駆動輪(前輪)へ伝達される。モータハウジング7は、防振器8を介して一対のサイドメンバ4の間に懸架されている。
図1では、図中の上側の防振器への符号は省略した。モータハウジング7はモータ70の回転振動やギアセットの振動を受けるので振動する。防振器8は、モータハウジング7からサイドメンバ4へ伝達される振動を低減する。
【0019】
一対のサイドメンバ4は、車両の前後方向に延びているフレームである。一対のサイドメンバ4の先端は、フロントクロスメンバ6で連結されている。一対のサイドメンバ4は、それらの途中が2本のクロスメンバ5によって連結されている。別言すれば、2本のクロスメンバ5は、一対のサイドメンバ4の間に架け渡されている。サイドメンバ4、クロスメンバ5、フロントクロスメンバ6は、車両の強度を担保するフレームに相当する。
図2では、ダッシュボード19よりも後方のサイドメンバ4は仮想線で描いてある。
【0020】
モータハウジング7の上に電力変換器9が固定されている。電力変換器9は、メインバッテリ31の直流電力をモータ70の駆動電力に変換する。モータ70は三相交流モータであるので、電力変換器9は、インバータを含んでいる。電力変換器9をモータハウジング7の上に固定することで、電力変換器9とモータ70の間のパワーケーブルが短くなり、三相交流の伝送損失が抑えられる。一方、電力変換器9は、モータハウジング7とともに振動することになる。
【0021】
メインバッテリ31の電力は、パワーユニット100を介して電力変換器9へ伝送される。パワーユニット100は、2本のクロスメンバ5の上に固定されている。パワーユニット100は2本のバッテリパワーケーブル(第1バッテリパワーケーブル23と第2バッテリパワーケーブル24)を介してバッテリパック30(メインバッテリ31)と接続されている。第1バッテリパワーケーブル23は、パワーユニット100の後部(後面)に設けられている第1バッテリコネクタ123に接続される。第2バッテリパワーケーブル24は、パワーユニット100の後部(後面)に設けられている第2バッテリコネクタ124に接続される。パワーユニット100とバッテリパック30(メインバッテリ31)が2本のパワーケーブルで接続されている理由は後述する。
【0022】
パワーユニット100は、変換器パワーケーブル25を介して電力変換器9と接続されている(
図2参照)。
図1と
図3では変換器パワーケーブル25の図示は省略した。
【0023】
モータハウジング7が防振器8を介してサイドメンバ4に支持されており、パワーユニット100は2本のクロスメンバ5の上に固定されている。別言すれば、パワーユニット100とモータハウジング7の間には防振器8が介在する。パワーユニット100とモータハウジング7は構造的には防振器8を介して連結する。そのような構造により、パワーユニット100が受けるモータハウジング7の振動の影響が低減される。
【0024】
パワーユニット100は、メインバッテリ31の電力を電力変換器9へ中継するだけなく、メインバッテリ31の電力を冷却器91に中継し、エアコン92にも中継する。さらに、パワーユニット100は、メインバッテリ31の電力をサブバッテリ94とDC/ACコンバータ93にも中継する。サブバッテリ94の出力電圧は12ボルトでメインバッテリ31の出力電圧(200ボルト)よりも低い。パワーユニット100は降圧コンバータ(後述)を備えており、メインバッテリ31の電力は降圧されてサブバッテリ94に送られる。
【0025】
サブバッテリ94は、メインバッテリ31の電力で充電される。サブバッテリ94は、車両が備えている弱電機器に電力を供給する。弱電機器とは、サブバッテリ94の電圧で動作するデバイスを意味する。これに対してメインバッテリ31と、メインバッテリ31との間で電力が伝送される装置は強電機器90と総称する。強電機器には、メインバッテリ31、パワーユニット100、電力変換器9、冷却器91、エアコン92、DC/ACコンバータ93が含まれている。後述するDCインレット11とACインレットも、メインバッテリ31との間で電力を伝送するので強電機器90に属する。
【0026】
DC/ACコンバータ93は、メインバッテリ31の電圧を降圧した後に、交流に変換する。DC/ACコンバータ93の出力交流は、商用電力の規格に合わせられている。すなわち、DC/ACコンバータ93は、車内で家電を使うのに用いられる。
【0027】
パワーユニット100には、DCインレット11とACインレット12も接続される。DCインレット11は、電気自動車2の左側面201Lの前方(フロントフェンダ近傍)に配置されている。別言すれば、DCインレット11は、前部乗員席98の側の側面前方に配置されている。DCインレット11は、DCインレットパワーケーブル21を介してパワーユニット100に接続されている。DCインレットパワーケーブル21は、パワーユニット100の左前部(前面左)に設けられているDCインレットコネクタ121に接続される。DCインレット11には、車両外部のDC給電器のコネクタが接続可能である。詳しくは後述するが、DCインレットパワーケーブル21は、パワーユニット100を介して第1バッテリパワーケーブル23に接続される。すなわち、DCインレット11とメインバッテリ31がパワーユニット100を介して接続される。メインバッテリ31は、DCインレット11を通じて外部のDC給電器から供給される電力で充電されることが可能である。DC給電器は、直流電力を供給する装置である。
【0028】
ACインレット12は、電気自動車2の右側面201Rの前方(右フロントフェンダ近傍)に配置されている。別言すれば、ACインレット12は、運転席97の側の側面前方に設けられている。ACインレット12は、ACインレットパワーケーブル22を介してパワーユニット100に接続されている。ACインレットパワーケーブル22は、パワーユニット100の右前部(前面右)に設けられているACインレットコネクタ122に接続される。ACインレットパワーケーブル22は、パワーユニット100が内蔵するAC/DCコンバータ(後述)を介して第2バッテリパワーケーブル24と接続される、すなわち、ACインレット12はAC/DCコンバータを介してメインバッテリ31と接続される。
【0029】
ACインレット12には、車両外部のAC給電器が接続可能である。メインバッテリ31は、ACインレット12とAC/DCコンバータを介して外部のAC給電器から供給される電力で充電されることも可能である。AC給電器は交流電力を供給する装置である。AC/DCコンバータは、交流電力を直流電力に変換する装置である。
【0030】
外部の給電器から供給される電力の電流が大きいほど、メインバッテリ31の充電時間が短くなる。大電流が流せるように、DCインレットパワーケーブル21と第1バッテリパワーケーブル23の許容電流は250アンペア以上である。DCインレットパワーケーブル21と第1バッテリパワーケーブル23の断面積は、250アンペア以上の電流に耐えられるように、100[mm2]以上である。断面積が100[mm2]以上であると、パワーケーブルの柔軟性が相当に低くなる。パワーユニット100には、断面積が100[mm2]以上の柔軟性の低いパワーケーブルが接続される。柔軟性の低いパワーケーブルが接続されているパワーユニット100がモータハウジング7に連結されていると、モータハウジング7の振動に伴ってパワーケーブルが振動する。柔軟性の低いパワーケーブルが振動すると、パワーケーブルを接続しているコネクタ(パワーユニット100のコネクタ)に高い応力が発生するおそれがある。あるいは、柔軟性の低いパワーケーブルの振動を許容するための空間をパワーケーブルの周囲に確保しなければならない。先に述べたように、実施例の電気自動車2では、パワーユニット100をクロスメンバ5に固定することで、モータハウジング7の振動の影響を低減している。
【0031】
なお、パワーユニット100と電力変換器9を接続する変換器パワーケーブル25には、250アンペア未満の電流しか流れない。それゆえ、変換器パワーケーブル25の断面積は、DCインレットパワーケーブル21と第1バッテリパワーケーブル23の断面積よりも小さい。すなわち、変換器パワーケーブル25は、DCインレットパワーケーブル21よりも柔軟性が高い。電力変換器9はモータハウジング7の上に固定されており、モータハウジング7とともに振動する。電力変換器9が振動しても、太いパワーケーブルが接続されている場合と比較して、モータハウジング7の振動が変換器パワーケーブル25を介してパワーユニット100へ与える影響は限定的である。
【0032】
(第2実施例)
図4に第2実施例の電気自動車2aの正面図を示す。第2実施例の電気自動車2aでは、左サスペンションタワー18Lと右サスペンションタワー18Rにプレート5aが渡り掛けられており、プレート5aの上にパワーユニット100が固定されている。そのほかの構造は第1実施例の電気自動車2と同じである。すなわち、パワーユニット100は、プレート5aを介してボディ200に固定されている。
【0033】
左サスペンションタワー18Lと右サスペンションタワー18Rは、電気自動車2aのボディ200の一部である。パワーユニット100を電気自動車のボディに固定することによっても、パワーユニット100がモータハウジング7から受ける振動の影響を抑制することができる。
【0034】
上記の構成は、次のように別言することができる。すなわち、パワーユニット100とモータハウジング7との間には防振器8が介在する。それゆえ、パワーユニット100がモータハウジング7から受ける振動の影響が低減される。パワーユニット100は、プレート5aのかわりに、左サスペンションタワー18Lと右サスペンションタワー18Rにプレート5aの間に架け渡されているクロスメンバの上に固定されてもよい。
【0035】
(第3実施例)
図5に、第3実施例の電気自動車2bの平面図を示す。第3実施例の電気自動車2bでは、DCインレット11とACインレット12がボディ200の前部に設けられている。それ以外の構造は第1実施例の電気自動車2と同じである。第3実施例の電気自動車2aでは、バッテリパック30(メインバッテリ31)がパワーユニット100よりも方向に配置されており、メインバッテリ31から延びている第1バッテリパワーケーブル23(第2バッテリパワーケーブル24)は、パワーユニット100の後部(後面)に設けられている第1バッテリコネクタ123(第2バッテリコネクタ124)に接続される。一方、DCインレット11は、パワーユニット100よりも前方に設けられており、DCインレット11から延びているDCインレットパワーケーブル21は、パワーユニット100の前部(前面)に設けられているDCインレットコネクタ121に接続されている。ACインレット12も、パワーユニット100よりも前方に設けられており、ACインレット12から延びているACインレットパワーケーブル22は、パワーユニット100の前部(前面)に設けられているACインレットコネクタ122に接続されている。
【0036】
なお、他の強電機器90のためのコネクタを含むコネクタ群の配置については後に再び説明する。
【0037】
(パワーユニット)続いて、第1-第3実施例に共通するパワーユニット100の回路構成について説明する。
図6に、パワーユニットの内部のブロック図を示す。パワーユニット100には、メインバッテリ31(バッテリパック30)、DCインレット11、ACインレット12、電力変換器9、冷却器91、エアコン92、DC/ACコンバータ93、サブバッテリ94が接続されている。
【0038】
パワーユニット100とメインバッテリ31は、2本のパワーケーブル(第1バッテリパワーケーブル23と第2バッテリパワーケーブル24)で接続されている。第1バッテリパワーケーブル23はパワーユニット100の第1バッテリコネクタ123に接続される。第2バッテリパワーケーブル24は、パワーユニット100の第2バッテリコネクタ124に接続される。
【0039】
バッテリパック30の内部では、第1バッテリパワーケーブル23は、システムメインリレー32を介してメインバッテリ31と接続されており、第2バッテリパワーケーブル24は、AC充電リレー33を介してメインバッテリ31と接続されている。システムメインリレー32とAC充電リレー33は、不図示の上位コントローラによって制御される。
【0040】
パワーユニット100の内部では、第1バッテリコネクタ123の端子は主電力線107に接続されている。主電力線107には、様々なコネクタが接続されている。主電力線107には、冷却器コネクタ191、エアコンコネクタ192、DC/ACコンバータコネクタ193、変換器コネクタ125が接続されている。冷却器コネクタ191を介して主電力線107と冷却器91が接続され、エアコンコネクタ192を介して主電力線107とエアコン92が接続され、DC/ACコンバータコネクタ193を介してDC/ACコンバータ93と主電力線107が接続される。また、変換器コネクタ125を介して電力変換器9が主電力線107と接続される。冷却器91を冷却器コネクタ191に接続するパワーケーブル、エアコン92をエアコンコネクタ192に接続するパワーケーブルなど、強電機器90と対応するコネクタを接続するパワーケーブルを
図6では機器パワーケーブル99と総称する。なお、説明の都合上、ACインレット12とACインレットコネクタ122を接続するACインレットパワーケーブル22は、機器パワーケーブル99から除く。
【0041】
主電力線107には、降圧コンバータ104を介してサブバッテリコネクタ127が接続されている。サブバッテリコネクタ127は、サブバッテリ94から延びているパワーケーブルが接続される。降圧コンバータ104は、メインバッテリ31の電圧をサブバッテリ94の電圧まで降圧する。すなわちサブバッテリ94は、メインバッテリ31の電力で充電される。
【0042】
主電力線107は第1バッテリコネクタ123と第1バッテリパワーケーブル23とシステムメインリレー32を介してメインバッテリ31に接続される。主電力線107と第1バッテリコネクタ123と第1バッテリパワーケーブル23とシステムメインリレー32を介して、車載の主要な強電機器90(電力変換器9と降圧コンバータ104を含む)がメインバッテリ31に接続される。電気自動車2が後輪を駆動するリアモータ71を備える場合には、リアモータ71を駆動するリア電力変換器136が、リア変換器コネクタ126を介して主電力線107に接続される。リア電力変換器136も強電機器90に属する。
【0043】
主電力線107は、メインバッテリ31の電力を車載の強電機器90へ中継する主要な電力線である。
【0044】
パワーユニット100には、降圧コンバータ104のほか、DCリレー103、漏電検出器102、AC/DCコンバータ105、コントローラ106が備えられている。降圧コンバータ104、DCリレー103、漏電検出器102、AC/DCコンバータ105は、コントローラ106によって制御される。
図6において、パワーユニット100の中の破線が信号線を表している。パワーユニット100の中の実線は電力線を表している。
【0045】
主電力線107には、DCリレー103と漏電検出器102を介してDCインレットコネクタ121が接続されている。先に述べたように、DCインレットコネクタ121には、DCインレットパワーケーブル21の一端が接続される。DCインレットパワーケーブル21の他端にはDCインレット11が接続される。DCインレット11には、車両外部のDC給電器901のコネクタ902が接続可能である。
【0046】
DC給電器901のコネクタ902がDCインレット11に接続されると、パワーユニット100のコントローラ106がDCリレー103を閉じ、外部のDC給電器901とメインバッテリ31が接続される。システムメインリレー32は、不図示の上位コントローラによって閉じられている。メインバッテリ31は、DC給電器901から送られる電力によって充電される。DC給電器901は、直流電力を供給することができる設備である。
【0047】
電気自動車2(2a、2b)は、250アンペア以上の大電流でメインバッテリ31を充電することが可能である。すなわち、電気自動車2(2a、2b)は、外部のDC給電器901から250アンペア以上の大電流の供給を受けてメインバッテリ31を高速に充電することができる。それゆえ、DCインレット11、DCインレットパワーケーブル21、DCインレットコネクタ121、主電力線107、第1バッテリコネクタ123、第1バッテリパワーケーブル23、システムメインリレー32は、250アンペア以上の大電流に耐え得るように設計されている。特に、DCインレットパワーケーブル21と第1バッテリパワーケーブル23には、断面積が100[mm2]以上のケーブルが用いられる。
【0048】
DCインレットパワーケーブル21と第1バッテリパワーケーブル23以外のパワーケーブルは、断面積が100[mm2]未満である。DCインレットパワーケーブル21と第1バッテリパワーケーブル23以外のパワーケーブルは、典型的には、60[mm2]以下でよい。
【0049】
一方、電気自動車2(2a、2b)は、外部のAC給電器903の交流電力でもメインバッテリ31を充電することも可能である。AC給電器903は、交流電力を供給できる設備である。
【0050】
AC給電器903のコネクタ904は、ACインレット12に接続される。ACインレット12から延びているACインレットパワーケーブル22は、パワーユニット100のACインレットコネクタ122に接続される。ACインレットコネクタ122はAC/DCコンバータ105のAC入力端に接続されており、AC/DCコンバータ105のDC出力端が第2バッテリコネクタ124に接続されている。AC/DCコンバータ105は、外部のAC給電器903から供給される交流電力を直流に変換し、さらに、メインバッテリ31の電圧まで昇圧する。AC/DCコンバータ105の出力電流は100アンペア以下である。それゆえ、第2バッテリパワーケーブル24の断面積は、100[mm2]未満である。別言すれば、第1バッテリパワーケーブル23の断面積が第2バッテリパワーケーブル24の断面積よりも大きい。また、DCインレットパワーケーブル21の断面積も、第2バッテリパワーケーブル24の断面積よりも大きい。
【0051】
図6に示されているように、パワーユニット100は、第1バッテリパワーケーブル23でメインバッテリ31と接続されているとともに、第2バッテリパワーケーブル24でメインバッテリ31と接続されている。パワーユニット100とメインバッテリ31の間は、2本のパワーケーブルが並列に接続している。また、パワーユニット100の内部で第2バッテリパワーケーブル24にはAC/DCコンバータ105が接続されている。第1バッテリパワーケーブル23には、他の強電機器90に接続するためのコネクタが接続されている。第1バッテリパワーケーブル23に接続される他の強電機器90の例は、電力変換器9、冷却器91、エアコン92、DC/ACコンバータ93、DCリレー103などである。上記の構造の利点を説明する。
【0052】
まず第一に、AC充電系(ACインレット12、ACインレットパワーケーブル22、ACインレットコネクタ122、AC/DCコンバータ105、第2バッテリパワーケーブル24の総称)で短絡が生じても電気自動車2(2a、2b)は走行することができる。AC充電系で短絡が生じた場合、不図示の上位コントローラは、AC充電リレー33を開き、AC充電系をメインバッテリ31から切り離す。AC充電系で短絡が生じても、第1バッテリパワーケーブル23を通じてメインバッテリ31から強電機器90へ電力を供給することができる。
【0053】
第二に、AC給電器903からACインレット12を通じて電力供給を受けてメインバッテリ31を充電している間、システムメインリレー32を開くことで、他の強電機器90をメインバッテリ31から切り離すことができる。複数の強電機器90の中には、メインスイッチを備えておらず、電力が供給されると起動するように構成されているデバイスがある。システムメインリレー32を閉じたままAC給電器903の電力でメインバッテリ31を充電すると、メインスイッチを備えていない強電機器90が不必要に起動してしまう。強電機器90の不必要な起動は、不要な電力消費を招くとともに、強電機器90の劣化を早めてしまう。AC給電器903による充電中にシステムメインリレー32を開くことで、AC給電器903から得る電力の影響が他の強電機器90に及ぶことを防止できる。
【0054】
第三に、メインバッテリ31を収容するバッテリパック30とパワーユニット100を2本のパワーケーブルで接続することで、安全性と空間効率をバランスよく両立することができる。まず、車両のメインスイッチがオフの間は、高電圧のメインバッテリ31を他の強電機器から遮断することが望ましく、そのためには、バッテリパック30の中にリレー(システムメインリレー32)を配置することが好ましい。
【0055】
また、1本のパワーケーブルでバッテリパック30とパワーユニット100を接続すると、パワーユニット100の内部で電力線を強電機器系とAC充電系に分岐し、それぞれに別のリレーを配置する必要がある。この場合、バッテリパック30の中に1個のリレーを備え、パワーユニット100の内部に2個のリレーを備えることになる。バッテリパック30とパワーユニット100を1本のパワーケーブルで接続すると、3個のリレーが必要となる。特に、外部のDC給電器901と導通するケーブルには大電流が流れ得るため、リレーの体格も大きくなる。すなわち、バッテリパック30とパワーユニット100のそれぞれに体格の大きいリレーが必要になる。先に述べたように、AC充電用には、250アンペアを超える電流は流れない。そのため、AC充電専用のパワーケーブル(第2バッテリパワーケーブル24)は、DC充電に使われるパワーケーブル(第1バッテリパワーケーブル23)よりも細いものでよく、AC充電用のリレーの体格はDC充電に使われるリレーの体格よりも小さいものでよい。実施例の電気自動車2は、バッテリパック30とパワーユニット100の間を2本のパワーケーブルで接続することになるが、DC充電用に体格の大きいシステムメインリレー32と、AC充電用の体格の小さいAC充電リレー33を備えればよいので、パワーユニット100の体格を小さくすることができる。AC充電リレー33もバッテリパック30に収容することで、車両のメインスイッチがオフの間、全ての強電機器90をバッテリパック30から遮断することができる。すなわち、バッテリパック30とパワーユニット100を2本のパワーケーブルで接続することで、安全性と空間効率の両立が図れる。
【0056】
パワーユニット100が有しているコネクタの配置を詳しく説明する。
図7にフロントコンパートメント3の平面図を示す。
図7では、パワーユニット100とそのコネクタ群と、バッテリパック30(メインバッテリ31)と、DCインレット11とACインレット12の関係を示してあり、
図1の平面図に示したいくつかの部品は図示を省略している。また、
図7でも、ボディ200は仮想線で描いてある。なお、
図7では、パワーユニット100は2本のサイドメンバ4に固定されている。
【0057】
DCインレット11は、ボディ200の左側面201Lに配置されおり、ACインレット12は、右側面201Rに配置されている。より詳しくは、DCインレット11は、左フロントフェンダ202Lの近傍に配置されており、ACインレット12は、右フロントフェンダ202Rの近傍に配置されている。DCインレットコネクタ121は、パワーユニット100の左前方に配置されており、ACインレットコネクタ122はパワーユニット100の右前方に配置されている。DCインレット11とDCインレットコネクタ121は、断面積が100[mm2]以上の太いDCインレットパワーケーブル21で接続されている。ACインレット12とACインレットコネクタ122は、DCインレットパワーケーブル21よりも断面積が小さいACインレットパワーケーブル22で接続されている。
【0058】
DCインレット11とDCインレットコネクタ121は、パワーユニット100の中心CPよりも左側に配置されており、ACインレット12とACインレットコネクタ122は、パワーユニット100の中心CPよりも右側に配置されている。
【0059】
ACインレットコネクタ122は、パワーユニット100の中心CPよりもACインレット12に近い側に配置されている。DCインレットコネクタ121は、パワーユニット100の中心CPよりもDCインレット11に近い側に配置されている。
【0060】
メインバッテリ31は、パワーユニット100よりも車両後方に配置されている。第1バッテリコネクタ123は、パワーユニット100の後面に配置されており、第2バッテリコネクタ124は、パワーユニット100の後部(右後部)に配置されている。別言すれば、バッテリコネクタ123、124は、パワーユニット100の中心CPよりもメインバッテリ31に近い側に配置されている。
【0061】
上記の配置により、インレットとパワーユニットの間のパワーケーブル(DCインレットパワーケーブル21とACインレットパワーケーブル22)を短くすることができるとともに、バッテリパワーケーブル23、24も短くすることができる。
【0062】
変換器コネクタ125とリア変換器コネクタ126は、パワーユニット100の後面に設けられている。サブバッテリコネクタ127は、パワーユニット100の右側面の前方に設けられている。冷却器コネクタ191、エアコンコネクタ192、DC/ACコンバータコネクタ193は、パワーユニット100の右側面に設けられている。
【0063】
図8を用いてパワーユニット100とバッテリパック30(メインバッテリ31)との接続関係の変形例を説明する。
図8では、第2バッテリパワーケーブル24に関連するデバイスのみを描いてある。それ以外のデバイスについては、
図6のブロック図と同様である。
【0064】
変形例では、第2バッテリパワーケーブル24の途中に非接触電力伝送器131が接続されている。非接触電力伝送器131を備えることで、外部のAC給電器903とメインバッテリ31を電気的に絶縁しつつ、メインバッテリ31を充電することができる。非接触電力伝送器131は、典型的にはトランスを使った電力伝送器でよい。
【0065】
第2バッテリパワーケーブル24には、太陽電池パネル132が接続されている。メインバッテリ31は、太陽電池パネル132によっても充電することができる。
【0066】
実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0067】
(1)パワーユニット100は、バッテリパワーケーブル(第1バッテリパワーケーブル23と第2バッテリパワーケーブル24)を介してメインバッテリ31に接続されている。パワーユニット100は、DCインレットパワーケーブル21(ACインレットパワーケーブル22)を介してDCインレット11(ACインレット12)に接続されている。パワーユニット100は、変換器パワーケーブル25を介して電力変換器9に接続されている。パワーユニット100は、インレット11、12を通じて供給される電力をメインバッテリ31へ伝送することが可能であるとともに、メインバッテリ31の電力を電力変換器9へ伝送することが可能である。パワーユニット100は、車両のボディ200あるいはフレーム(サイドメンバ4あるいはクロスメンバ5)に固定されている。
【0068】
(2)モータ70を収容するモータハウジング7が防振器8を介してフレーム(サイドメンバ4あるいはクロスメンバ5)に支持されている。電力変換器9がモータハウジング7の上に固定されている。電力変換器9はモータハウジング7とともに振動する。一方、パワーユニット100は、モータハウジング7との間に防振器8が介在しており、パワーユニット100が受けるモータハウジング7の振動の影響が抑制される。
【0069】
(3)第1バッテリパワーケーブル23とDCインレットパワーケーブル21の断面積が変換器パワーケーブル25の断面積よりも大きい。モータハウジング7とともに振動する電力変換器9とは、断面積が小さい変換器パワーケーブル25で接続される。変換器パワーケーブル25を通じてパワーユニット100に伝達される振動の影響は限定的である。一方、断面積の大きい第1バッテリパワーケーブル23とDCインレットパワーケーブル21に伝達されるモータハウジング7の振動は、防振器8によって低減される。
【0070】
(4)メインバッテリ31はパワーユニット100よりも車両後方に搭載されている。第1バッテリパワーケーブル23と第2バッテリパワーケーブル24は、パワーユニット100の後部に接続されている。パワーユニット100のメインバッテリ31に近い側にバッテリパワーケーブルが接続されているので、バッテリパワーケーブルを短くすることができる。
【0071】
(5)DCインレット11とACインレット12が車両の前部に備えられている。DCインレットパワーケーブル21とACインレットパワーケーブル22は、パワーユニット100の前部に接続されている。この構造によって、DCインレットパワーケーブル21とACインレットパワーケーブル22を短くすることができる。
【0072】
(6)DCインレット11が車両の側方(左側方)に備えられており、DCインレットパワーケーブル21は、パワーユニット100の中心CPよりもDCインレット11と同じ側の部位に接続されている。ACインレット12が車両の側方(右側方)に備えられており、ACインレットパワーケーブル22は、パワーユニット100の中心CPよりもACインレット12と同じ側の部位に接続されている。
【0073】
(7)パワーユニット100の内部で、ACインレットパワーケーブル22がAC/DCコンバータ105を介して第2バッテリパワーケーブル24に接続されている。第1バッテリパワーケーブル23は、AC/DCコンバータ105以外の強電機器90のパワーケーブル99に接続されている。外部のAC給電器903の影響がAC/DCコンバータ105以外の強電機器90に与える影響を小さくすることができる。
【0074】
(8)パワーユニット100は、DCインレット11とDCインレットパワーケーブル21で接続されている。パワーユニット100の内部で、DCインレットパワーケーブル21がDCリレー103と主電力線107を介して第1バッテリパワーケーブル23に接続されている。
【0075】
(9)第1バッテリパワーケーブル23とメインバッテリ31の間に第1リレーが備えられている。また、第2バッテリパワーケーブル24とメインバッテリ31の間に第2リレーが備えられている。AC給電器903の電力でメインバッテリ31を充電しているときに他の強電機器90(電力変換器9、冷却器91、エアコン92、DC/ACコンバータ93など)をメインバッテリ31から切り離すことができる。逆に、AC給電器903による充電が行われていない間は、AC/DCコンバータ105とACインレット12をメインバッテリ31から切り離すことができる。第1リレーはシステムメインリレー32に対応し、第2リレーはAC充電リレー33に対応する。
【0076】
(10)電気自動車2(2a、2b)は、第1インレットと第2インレットを備えている。一方のインレットには車両外部の交流給電器を接続可能である。他方のインレットには、車両外部の直流給電器を接続可能である。パワーユニット100は、第1インレットと第1インレットパワーケーブルで接続されおり、第2インレットと第2インレットパワーケーブルで接続されている。パワーユニットは、第1バッテリコネクタ123、第2バッテリコネクタ124、第1インレットコネクタ、第2インレットコネクタを備えている。メインバッテリ31から延びている第1バッテリパワーケーブル23は、第1バッテリコネクタ123に接続される。メインバッテリ31から延びている第2バッテリパワーケーブル24は、第2バッテリコネクタ124に接続される。
【0077】
(11)第1インレットコネクタには、第1インレットから延びている第1インレットパワーケーブルが接続される。第2インレットコネクタには、第2インレットから延びている第2インレットパワーケーブルが接続される。バッテリコネクタ123、124は、パワーユニット100の中心CPよりもメインバッテリ31に近い側に配置されている。第1インレットコネクタは、パワーユニット100の中心CPよりも第1インレットに近い側に配置されている。第2インレットコネクタは、パワーユニット100の中心CPよりも第2インレットに近い側に配置されている。
【0078】
(12)メインバッテリ31は、パワーユニット100よりも車両後方側に配置されている。バッテリコネクタ123、124は、パワーユニット100の後部に設けられている。
【0079】
(13)第1インレットは、電気自動車2の第1側面に設けられており、第2インレットは、電気自動車2の第1側面とは反対側の第2側面に設けられている。第1インレットコネクタは、パワーユニットの中心CPよりも第1側面の側に設けられており、第2インレットコネクタは、パワーユニットの中心CPよりも第2側面側に設けられている。
【0080】
ACインレット12が第1インレットに対応し、DCインレット11が第2インレットに対応する。ACインレットパワーケーブル22が第1インレットパワーケーブルに対応し、DCインレットパワーケーブル21が第2インレットパワーケーブルに対応する。ACインレットコネクタ122が第1インレットコネクタに対応し、DCインレットコネクタ121が第2インレットコネクタに対応する。DCインレット11は車両の左側面前方に備えられており、ACインレット12は車両の右側面前方に備えられている。
【0081】
実施例で説明した技術に関するその他の留意点を述べる。パワーユニット100が備えるいくつかのコネクタには、ヒューズが組み込まれていてもよい。
【0082】
本明細書における「電気自動車」には、モータとエンジンの双方を備えるハイブリッド車や、バッテリとともに燃料電池を搭載している自動車が含まれる。
【0083】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0084】
2、2a、2b:電気自動車
3:フロントコンパートメント
4:サイドメンバ
5:クロスメンバ
5a:プレート
6:フロントクロスメンバ
7:モータハウジング
8:防振器
9:電力変換器
11:DCインレット
12:ACインレット
19:ダッシュボード
21:DCインレットパワーケーブル
22:ACインレットパワーケーブル
23:第1バッテリパワーケーブル
24:第2バッテリパワーケーブル
25:変換器パワーケーブル
30:バッテリパック
31:メインバッテリ
32:システムメインリレー
33:AC充電リレー
70:モータ
71:リアモータ
90:強電機器
91:冷却器
92:エアコン
93:DC/ACコンバータ
94:サブバッテリ
100:パワーユニット
102:漏電検出器
103:DCリレー
104:降圧コンバータ
105:AC/DCコンバータ
106:コントローラ
107:主電力線
121:DCインレットコネクタ
122:ACインレットコネクタ
123:第1バッテリコネクタ
124:第2バッテリコネクタ
125:変換器コネクタ
127:サブバッテリコネクタ
191:冷却器コネクタ
192:エアコンコネクタ
193:DC/ACコンバータコネクタ
200:ボディ
202L:左フロントフェンダ
202R:右フロントフェンダ
901:DC給電器
902、904:コネクタ
903:AC給電器