(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】女性患者の間欠的清潔自己導尿及び/又は膀胱への自己薬液注入を補助するためのモジュラー組立型医療器具
(51)【国際特許分類】
A61M 31/00 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
A61M31/00
(21)【出願番号】P 2018539807
(86)(22)【出願日】2017-02-01
(86)【国際出願番号】 HU2017000006
(87)【国際公開番号】W WO2017163092
(87)【国際公開日】2017-09-28
【審査請求日】2020-01-30
(32)【優先日】2016-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】HU
(73)【特許権者】
【識別番号】518089621
【氏名又は名称】ロバース、シャーンドル
(73)【特許権者】
【識別番号】518089632
【氏名又は名称】レーニィ、ガーボル
(73)【特許権者】
【識別番号】518089643
【氏名又は名称】ギベル、ヤーノシュ
(74)【代理人】
【識別番号】100081352
【氏名又は名称】広瀬 章一
(72)【発明者】
【氏名】ロバース、シャーンドル
(72)【発明者】
【氏名】レーニィ、ガーボル
(72)【発明者】
【氏名】ギベル、ヤーノシュ
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表平08-510142(JP,A)
【文献】中国実用新案第204543058(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2009/0171317(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0256580(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0276662(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00 - 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル若しくはシリンジ、カテーテル若しくはシリンジアダプター、三方向タップ若しくはばね把持クリップ止めユニット、排尿バッグ、オンオフ可能な光源、電源、並びにミラーから構成される、女性患者の自己導尿及び膀胱への薬液注入を補助するためのモジュラー組立型医療器具であって、
前記ミラー(8)の代わり若しくはそれに加えて、本医療器具はカメラ(13)を備え、カテーテル(2)と排尿バッグ(3)は三方向タップ(9)又はばね把持クリップ止めユニット(9)を介して接続されていて、三方向タップ(9)のメディウム出口又はばね把持クリップ止めユニットに接続されたシリンジ(1)又はハンドル(1)は、本器具のグリップ要素(11)としても機能するようになっており、このグリップ要素(11)にホルダー要素(12)が、いずれも着脱可能な固定具による固定である、ばね力を用いた迅速連結固定リングとして若しくは固定可能なクランプとして固定されているか、又は固定不要であればホルダー要素(12)は屈曲性馬蹄形部材とすることもでき、マイクロスイッチ(5)、光源(6)及び電源(7)を設けることができ、ミラー(8)及び/又はカメラ(13)は直接又は固定要素(15)によりホルダー要素(12)に固定され、そしてカメラ(13)は任意の有線若しくは無線受像器具への接続に適したものであることを特徴とする医療器具。
【請求項2】
グリップ要素(11)がシリンジ(1)であるか又は手で掴むことができるように造形及びサイズ化されたハンドル(1)であることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
ハンドル(1)が、適切な安定性のための適正な肉厚を持つ中空であるか、又は上側で閉じたボデーであるか、又は円筒形ボデーであるか、又は中実ボデーであるか、又はシリンジ(1)と同じ直径及び長さのボデーであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の器具。
【請求項4】
ばね把持クリップ止めユニット(9)が、着脱可能なクリップ止め連結によってカテーテル(2)に固定することができるハンドル(1)に連結されていることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の器具。
【請求項5】
カテーテル(2)の全長が150mm~250mmの範囲内、又は150mm若しくは200mmであることを特徴とする、請求項1~
4のいずれか1項に記載の器具。
【請求項6】
ミラー(8)及び/又はカメラ(13)の固定要素(15)が屈曲性自己保持アーム(15)であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の器具。
【請求項7】
カメラ(13)が独立したエネルギー源(18)及び無線通信に適した通信器具(19)を備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の器具。
【請求項8】
カメラ(13)がホルダー要素(12)の内部又は表面上に配置された電源(7)により動作することを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載の器具。
【請求項9】
カメラ(13)の無線通信が
、コンピュータ、タブレット端末、スマートフォン及び他のデバイスをインターネットに接続するのに使用される無線通信技術、並びに/又は固定デバイス及びモバイルデバイス間のデータ交換に使用される短距離無線通信技術、並びに/又は赤外及び/若しくはラジオ波通信であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の器具。
【請求項10】
カメラ(13)が立体カメラであるか、及び/又は当該器具が複数台のカメラを備えることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の器具。
【請求項11】
画像がカメラ(13)から任意の受像器具に無線接続により伝送され、ここで受像器具がスマートフォン及び/又はタブレット及び/又はノートパソコン及び/又はPCモニター及び/又はTVモニター及び/又はビデオモニターであることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の器具。
【請求項12】
画像が立体カメラ(13)を経て伝送される場合に、受像器具が3Dバーチャルリアリティーを視覚化するのに適した3Dヘッドセットであることを特徴とする、請求項11に記載の器具。
【請求項13】
膀胱排尿用或いは尿道及び/若しくは膀胱の疾患又は間質性膀胱炎の治療用の、女性患者の自己導尿及び/又は膀胱への薬液自己注入を助ける請求項1~12のいずれか1項に記載のモジュラー型医療器具であって、ホルダー要素(12)を備え、グリップ要素(11)としても機能するシリンジ(1)を片手で持って尿道口近くに配置し、カテーテル(2)又
は注入用
シリンジアダプター(16)の端部とその周囲を、ホルダー要素(12)に固定された光源(6)により照らし、次にミラー(8)及び/又はカメラ(13)を、尿道口並びにカテーテル(2)若しくは
シリンジアダプター(16)の端部の画像がミラー(8)又はカメラ(13)にみられるように位置決めすることができる器具。
【請求項14】
膀胱排尿用の、女性患者の膀胱の自己導尿を助ける請求項1~12のいずれか1項に記載の膀胱排尿用のモジュラー型医療器具であって、ホルダー要素(12)を備え、グリップ要素(11)としても機能するハンドル(1)を片手で持って尿道口近くに配置し、カテーテル(2)の端部とその周囲を、ホルダー要素(12)に固定された光源(6)により照らし、次にミラー(8)及び/又はカメラ(13)を、尿道口並びにカテーテル(2)の端部の画像がミラー(8)又はカメラ(13)にみられるように位置決めすることができることを特徴とする器具。
【請求項15】
画像を、立体カメラ(13)により、画像を見るための3Dメガネ又は3Dヘッドセットを用いて伝送することを特徴とする、請求項11~14のいずれか1項に記載のモジュラー型医療器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、女性患者の自己導尿及び膀胱への薬液注入を補助するための医療器具である。この医療器具は、グリップ(握り)要素、有利にはシリンジ若しくは有利にはシリンジに代わるハンドル要素と、カテーテル付近のハンドルの底部側に着脱可能に連結できるユニットと、やはりカテーテルに着脱可能に連結できるクリップ止め(クリップオン)ユニット、有利にはカテーテルを安全に把持するのに適したばね把持クリップ止めユニット又は前記連結ユニットに代わる三方向タップと、カテーテル、有利には長さ15~25cmの女性用カテーテルと、排尿バッグと、切替(オンオフ)可能な光源と、電源と、さらに必要によりミラーとから構成される。
【0002】
ハンドルは有利には適正な安定性のための適切な壁厚(肉厚)を持つ中空であり、手で掴むのに適した形状及び寸法のもの、有利には上部が閉じた円筒形状、別の有利な形態では中実であり、さらに有利には市販シリンジと同じ直径及び長さの本体を持つ。
【0003】
本発明の別の主題は、女性患者の自己導尿及び薬液自己注入を補助するために本発明に係る器具を使用する方法である。
【背景技術】
【0004】
脊髄に対する神経損傷のために膀胱排尿に問題を持つか又は尿貯留に悩む患者群は何千人もいる。排尿困難後は、残尿の高い圧力と量が、腎機能に危険を及ぼし、及び/又は難治性の尿管感染症を引き起こす。
【0005】
骨盤路内のがんプロセス(大腸がん、子宮がん、卵巣がん)のために行われる根治的骨盤手術中に発生した多発神経損傷も、別のよくみられる処置すべき尿閉の理由である。
そのような患者群の場合、以前には、患者はいわゆる「持続形」バルーン・カテーテルを一生涯装着していた。これは、カテーテルの材質に応じて2~6週間で交換する。
【0006】
この旧来の解決策のためには、患者は外科診療に送られるか、又は自宅での供給を受けなければならず、これは健康管理上は本当に大きな負担となる。
持続形カテーテルの装着は引き続く刺激、痛み及び尿浸出、従って生活の質(QOL)の深刻な劣化を生ずる。
【0007】
慢性細菌性尿路感染症といったより深刻な合併症は、腎盂炎又は高熱を伴う尿道の化膿性炎症を引き起し、患者の余命に不利に影響することすらある。
ここ十年ほど、専門医が推奨し、より普及が進んできた方法が知られてきた。それは、患者自身が行う、いわゆる間欠的清潔自己導尿(Intermittent Clean Self-Catheterization)である。
【0008】
外尿道口(尿道口、尿道開口部)へのカテーテルの挿入及び膀胱の排液(排尿)は大部分は患者により、時には外的補助を受けて行われる。
女性患者の清潔な自己導尿には多くの困難及び不利な点がある。外尿道口の位置の探索及びカテーテルの挿入のためには女性患者に高度の手際のよさと手の動きが要求される。従って、多くの患者は自分だけで自己導尿を行うことができず、外的補助を用いることでのみ可能となる。適正な無菌性の保持は非常に困難であり、現行形態の持続型自己導尿法を用いる場合にはほぼ不可能である。
【0009】
従来の患者群のかなりの部分では、慢性細菌感染症、尿浸出若しくは他の付随膀胱疾患を治療するために、膀胱の定期的な局所薬剤処置が必要となる。
公知の従来型の自己導尿法を用いる場合、排尿カテーテル(20~30cm)に接続したシリンジ(20cm)は実際には患者から手の届きにくい距離にあるので、この種の治療を行うことは困難である。
【0010】
自発的排尿をすることができるので膀胱排尿の必要性はないが、根本的な疾患を抱えているために膀胱の定期的な局所投薬治療が必要になるという、第3の患者群もいる。
その根本的な疾患とは、骨盤路部位のがんの放射線治療後に起こる合併症(疼痛、尿漏れ、ひどい尿意を伴う、膀胱の一部、多くは膀胱下部又は尿道の放射線障害及び組織損傷)である。
【0011】
これらの疾患の最も有効な治療は膀胱への薬液(GAG層再構築剤及び再生剤<GAG layer remounts and regenerators>)の注入であり、膀胱痛症候群/間質性膀胱炎<Bladder Pain Syndrome/Interstitial Cystitis (BPS/IC)>の投薬治療に使用されている。
【0012】
重篤な症例では、完全な治癒の見込みが全くない姑息的放射線照射の障害もこの群の患者に加わる。
他の適応症に関する骨盤放射線照射(膀胱、大腸、子宮及び卵巣腫瘍外科的切除後の(進行した疾患の場合の)補助若しくは姑息的治療)中に、膀胱の一部が著しい照射を受けたために、膀胱内薬液注入が必要となることもある。
【0013】
医療援助から遠く離れて生活しているBPS/IC患者は、長距離移動のせいで定期的な治療を容易に受けることができない。
この群の患者における清潔自己治療は、医師による薬物処置を待つ必要がないので、悪化した段階の疾患でも膀胱注入よって症状を直ちに治療することができるという利点がある。
【0014】
女性BPS/IC患者の数は(ハンガリー国内で)約20,000人であるが、本疾患BPS/ICの発見率は悪いので、診断された症例数は真の患者数の一部に過ぎない。
BPS/ICへの専門的興味が世界的にますます高まっていることに関して、BPS/ICの検出率とBPS/IC患者数も今後急増するであろう。
【0015】
BPS/IC患者は、特許出願(ハンガリー出願番号P1500648)により保護されている、注入用シリンジアダプター16を用いることによりカテーテル不要の膀胱注入によりほぼ100%治療することができる。
【0016】
何年も前から存在している慢性細菌性膀胱炎もますます検出されうるようになり、全ての抗生物質に対して多剤耐性である病原菌に起因するものがより多くなっている。
そのような症例では、膀胱内壁の表面にある防御性の粘膜層(グリコサミノグリカン、GAG層と略称)の定期的な局所膀胱薬液注入による再生がほぼ唯一の有効な治療法である。
【0017】
清潔自己導尿の利点は、膀胱の薬液注入が自分でできるようになれば上記全ての群の患者が享受することができよう。
カテーテル不要の自己膀胱注入の困難及び難点は上に開示した清潔自己導尿と同じである。
【0018】
従って、本発明に係る医療器具は、上記の異なる3群の患者群で大部分は同じ要素から構成されるが、一部の要素だけが各群の特殊な必要性に応じて異なる。
女性患者の自己導尿については多くの解決策をこれまでに見ることができた。
【0019】
三脚つきの女性患者用自己導尿器具が米国特許出願公開US2015/0062729(特許文献1)に開示されている。三脚にはバッテリー付き光源を備えた可動ミラーが設けられている。このミラーは異なる複数の平面に調節可能である。このミラーと光源の助けにより、本器具は尿道の方向に調節可能である。
【0020】
本器具により、使用女性は尿道口がよく見えるようになり、こうして自己導尿の補助となる。
上記発明に開示されているのは大型で複雑な器具であるので、器具の設置、取り扱い又は保管は複雑かつ面倒である。
【0021】
また、患者及び器具にとっての適正な配置位置も見つけるのが面倒である。
膀胱排尿がうまくいかない女性用の自己導尿器具が米国特許US5084036(特許文献2)に開示されている。
【0022】
本器具は、膣内挿入用の本体部と、本体部に対して垂直の支持部(これは膣の外側と対向する位置にみられうる)と、本体部の一部である握り部(グリップ要素)とから構成される。
【0023】
本体部に移送チューブが接続されていて、このチューブの一端は膣口(尿道口)の外部の前面に位置し、該チューブの他端は尿道内に向けた挿入のためにカテーテルの先端に接続することができ、こうして自己導尿がより容易となる。
【0024】
先に述べた解決策と同様、上記発明に係る器具もサイズが大きく、複雑で、取り扱いが難しく、かつ保管及び設置も面倒である。
特許文献DE10060088(特許文献3)にも女性患者向けのカテーテル挿入及び自己導尿用の器具が開示されている。本器具は、膣口挿入用の保持部とカテーテル用の前方ガイド部とから構成される。前方ガイド部と保持部は、スペーサーにより膣と尿道との間の間隔に対応する距離だけ離間して配置されている。保持部は円錐形状で、その断面形状はスペーサーから遠ざかるほど大きくなる。前方ガイド部はスペーサーに取り外し可能に接続されていて、その断面形状はスペーサーの方向に向かって小さくなっている。
【0025】
この解決策は非常に単純ではあるが、本発明の目的を確実に達成するのには適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【文献】米国特許出願公開US2015/0062729
【文献】米国特許US5084036
【文献】ドイツ国特許出願公開DE10060088A1
【発明の概要】
【0027】
従来技術の上述した公知先行解決策に共通する難点は、それらの発明のどの手法も、最初に開示した障害を持つ排尿の問題しか解決できないことである。
本発明の目的は、全ての群の患者が使用することができ、取扱いが容易で、簡単な付属品を適切に使用することで全ての患者が容易に学習できる器具を開発することであった。
【0028】
さらに本発明の目的は、慢性疾患に罹患しているか若しくは障害のある生活をしている、QOLが悪い重篤な状態の患者の治療、看護及び補給のための解決策であって、カテーテル導入の合併症数及びかかる患者の負担を著しく軽減し、患者の余命を改善する解決策を見出すことであった。認識していたのは、一方では自己導尿用の支援要素を一緒に具備すべきことであり、他方では器具それ自体がさらに何か付属品を用いずに使用されるべきであるということである。
【0029】
さらにまた、本発明によれば、器具は全ての群の患者の固有のニーズに応じて設置されることができよう。
これにより、より簡便でより良好に使用可能な自己導尿用器具を作製することが可能となる。
【0030】
本発明に係る軽量で容易に位置決めできる器具を目で見て制御しながら適正な位置に配置するので十分である。患者の位置を器具に合わせて調節することはない。
本器具の助けにより患者が片手でカテーテルを尿道内に挿入することができ、外陰部を適正に探すことができるので、容易に尿道口の位置を見つけてカテーテル挿入することができ、従って高度の無菌性を確保することができる。
【0031】
かくして、本発明の主題は女性患者の間欠的清潔自己導尿及び膀胱への薬液注入を補助するための医療器具である。
この医療器具は、グリップ(握り)要素、有利にはシリンジ若しくはハンドル要素と、グリップ要素とカテーテルの両方に着脱可能に接続できるユニット、有利にはばね把持クリップ止めユニット若しくは三方向タップと、さらにカテーテルと、さらに排尿バッグと、さらに切替(オンオフ)可能な光源と、さらに電源と、さらに必要によりミラーとから構成される。ミラーの代わり又はミラーに加えて、本器具はカメラを備える。
【0032】
カテーテルと排尿バッグは前記三方向タップを介して接続されるので、三方向タップのメディウム(薬液)出口に接続されたシリンジは本器具のグリップ要素としての機能も果たし、又は前記第1群の患者の場合にはカテーテルは単にハンドルの底部側に固定され、排尿バッグに直接通じるようになる。
【0033】
目標が膀胱の排液(排尿)だけである第1群の患者の場合、有利にはシリンジの代わりに既に開示したハンドルをグリップ要素として使用し、三方向タップの代わりに、接続用のばね把持クリップ止めユニットを使用し、これを単にカテーテルにクリップ止めし、こうしてカテーテルをハンドル要素の底部側に固定する。
【0034】
また、本器具はグリップ要素に固定されたホルダー要素を備える。
マイクロスイッチ、光源及び電源はこのホルダー要素上又はその内部に固定される。
ミラー及び/又はカメラもホルダー要素に適宜固定される。
【0035】
カメラは有線又は無線とすることができ、任意の受像セットに接続するのに適した設計とされる。
本発明の主題はまた、本発明に係る医療器具を用いた、女性患者における清潔自己導尿及び膀胱への薬液自己注入を助ける医療器具の使用方法である。
【0036】
この方法によれば、グリップ要素、有利にはシリンジ又はホルダー要素からなりカテーテルに接続されたハンドル要素を片手で持ち、漏れのないアダプター又はカテーテルの端部及びその周囲を照らして尿道口の近くに配置する。次に、ミラー及び/又はカメラを、ミラー又はカメラに写った画像がカテーテル又はアダプターの端部と尿道口とを一度に示し、従ってアダプター又はカテーテルを適切な長さで尿道口に容易に挿入することができ、こうして排尿及び/又は膀胱薬液注入を患者自身の手で行うことができるような位置に配置する。
【0037】
本発明のさらなる有利な解決策は以下の説明及び特許請求の範囲に開示されている。
以下では本発明の主題を添付図面により説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】シリンジをグリップ要素とする単純な排液(排尿)法を示す器具の側面図である。
【
図2】排尿後の薬剤注入を示す器具の側面図である。
【
図3】排尿なしの薬剤注入を示す器具の側面図である。
【
図4】注入用アダプターを備えた器具の側面図である。
【
図5】ホルダー要素にミラーが固定された排尿器具の側面図である。
【
図6】ホルダー要素にミラーが固定された注入器具の側面図である。
【
図7】ホルダー要素にカメラが固定された器具の側面図である。
【
図8】立体記録用の2台以上のカメラがホルダー要素に固定された器具の側面図である。
【
図9】ミラーがグリップ要素(断面で示す)に固定された器具の平面図である。
【
図10】カメラがグリップ要素(断面で示す)に固定された器具の平面図である。
【
図11】立体記録用の2台以上のカメラがグリップ要素(断面で示す)に固定された器具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
単純な導尿法が
図1に側面図で示されている。
本発明に係る医療器具は、女性用カテーテル2から構成される。このカテーテルの長さは、適正ではあるが、より短い女性の尿道に見合って通常の長さよりは短い。
【0040】
三方向タップ(三方栓)9が直流に配置される。排尿バッグ(排液バッグ)3のチューブ4がこのタップに接続され、閉鎖系での排尿が可能となる。
この例では、三方向タップのメディウム出口に接続されたシリンジ1はガイドとなるグリップ要素としてのみ機能する。
【0041】
シリンジ1に配置された本発明に係るホルダー要素12は、
図1にはまだ示されていない。
単純な排尿の場合の本発明の有利な解決策として、シリンジ1に代えてグリップ要素としてハンドル1が設けられ、三方向タップ9の代わりに、接続用のばね把持クリップ止めユニット9が設けられる。有利にはハンドル1の底部側にクリップ固定により着脱可能に接続されたカテーテルを排尿バッグ3に直接導くことができる。
【0042】
図2の側面図によると、本器具は普通の長さより短いが適切な長さの女性用カテーテル2を備えるが、ここでは排尿後に薬剤注入も行うことができる。
三方向タップ9の位置を変更した後、シリンジ1のピストン10を押すことにより薬液をカテーテル2を経て膀胱内に注入することができる。
【0043】
シリンジ1に配置される、本発明に係るホルダー要素12は
図2にもまだ示されていない。
図3の側面図に示すように、膀胱の排尿が必要ない場合に可能な薬剤注入法が示されている。やはり通常より短いカテーテル2が使用されるが、必要ない排尿バッグ3は本システムには接続されない。
【0044】
図4には、注入用の漏れなしアダプター16を用いた薬剤注入の可能な方法が示されている。この場合も膀胱の排尿は必要ないので、排尿バッグ3は本システムには接続されていない。
【0045】
本発明に係るカテーテル2とホルダー要素12とを備えた排尿器具の側面図が
図5に示されている。ホルダー要素12にはミラー8が屈曲性の自己保持型アーム15により固定されている。
【0046】
ホルダー要素12と薬剤注入用漏れなしアダプター16とを備えた注入器具の側面図が
図6に示されている。ホルダー要素12にはミラー8が屈曲性の自己保持型アーム15により固定されている。
【0047】
図7はホルダー要素12とカテーテル2とを備えた器具の側面図であり、ホルダー要素12にはカメラ13が固定されている。
図8はホルダー要素12とカテーテル2とを備えた器具の側面図であり、ホルダー要素12には、立体記録に適した2台以上、有利には2台のカメラ13が固定されている。
【0048】
図9は、グリップ要素11に固定されたミラー8を備えたホルダー要素12の平面図であり、グリップ要素11は断面で示されている。
図10は、グリップ要素11に固定されたカメラ13を備えた本発明に係るホルダー要素12の平面図であり、グリップ要素11は断面で示されている。
【0049】
図11は、グリップ要素11に固定されたステレオカメラ13を備えた本発明に係るホルダー要素12の平面図であり、グリップ要素11は断面で示されている。
本発明に係る清潔自己導尿を補助する医療器具は、従来より公知で使用されてきた器具を、患者の自己導尿がより容易になるようにさらに発展させることにより女性患者向けに開発されたものである。
【0050】
図1に示した自己導尿用器具は、尿閉があり、従ってかなりの量の残尿がある患者が使用することができる。
この場合、本器具は、シリンジ1、カテーテル2及びチューブ4を備えた排尿バッグ3から構成される。これら3つの要素がいずれもルアーロック(ルアーテーパー)コネクターを備えた三方向タップ9に接続されている。この接続により、カテーテル2から排尿バッグ3のチューブ4を経た排尿バッグ3内への排尿が可能となる。
【0051】
この群の患者による本発明の有利な解決策は、シリンジ1をハンドル1で置き換え、三方向タップ9を接続用バネ把持クリップ止めユニット9で置き換えることである。この場合、ハンドル1は、前記クリップ止めユニット9を用いることによりカテーテル2に直接固定され、カテーテル2は排尿バッグ3の円錐形チューブ4に連結され、尿はカテーテル2を経てバッグ3に直接導かれる。
【0052】
本発明の最も一般的な適用である自己導尿による単純な膀胱排尿だけの場合
本発明の有利な解決策としてのこの適用に対しては、長さ約20cmの市販の低価格使い捨て女性用カテーテルを使用することができる。
【0053】
排尿バッグ3を、この排尿バッグ3の円錐形端部をもつチューブ4を介して上記カテーテルに連結する。カテーテル2と排尿バッグ3とから構成されるこのユニットにより、閉鎖系での間欠的清潔自己導尿が可能となる。
【0054】
本特許出願の主題としての本発明に係る自己導尿補助器具は、第2群及び第3群の患者により使用される注入シリンジ1と同様の長さ及び直径のグリップ要素(ハンドル)1に固定用クランプにより固定することができる。
【0055】
この閉鎖システムを規則的に(1日2~3回の自己導尿)用いる場合、使い捨て膀胱カテーテルだけを新しい滅菌カテーテルに交換すべきである。
膀胱排尿後、ばね把持クリップ止めユニット9を開放した後で、使用ずみカテーテル2を排尿バッグ3のチューブ4から取り外し、カテーテルは実際の健康要件に応じて処分する。
【0056】
次回予定の自己導尿の前に、新しい滅菌カテーテル2を排尿バッグ3のチューブに連結し、カテーテル2の保護包装を取り除いた後、ばね把持ユニット9によりカテーテル2にハンドル1を固定する。
【0057】
上記置き換えは自明であるので、このサブケースに対しては別個の図面を作製しなかった。
尿道口(外尿道口)への迅速かつ簡単な配置のために、この場合にもハンドルに固定された光源とミラー又はカメラを有利に使用することもできる。
【0058】
図2に示した器具を薬剤投与も必要とする排尿障害患者に使用する場合
薬剤投与のために薬液を入れたシリンジ1を三方向タップ9に接続し、三方向タップ9を適切に調節することことによりシリンジ1から膀胱内に薬液を注入することができる。膀胱への薬液注入前に、排尿バッグ3のチューブ4から排尿バッグ3への排尿(導尿)を必ず済ませておく。
【0059】
次の操作のために、三方向タップ9の位置を適切な位置に変更した後、シリンジ1のピストン10を押すことにより、薬液をカテーテル2を経て膀胱内に注入することができる(
図2)。
【0060】
図3及び4に示した器具を薬剤投与のみを必要とする患者に使用する場合
このような場合、排尿バッグ3の使用は必要ない。
図4によると、カテーテル2の代わりに注入用の漏れなしアダプター16を使用することもできる。アダプター16の壁の厚み(肉厚)は適切な安定性を確保する厚みであり、このアダプターの封止用カラー
21が漏れのない注入を助ける。
【0061】
本発明に係る器具を使用することにより、操作部位が照らされ、例えばミラー8を用いることにより見ることができる。
ミラーと照明が器具それ自体とは別個に配置された従来技術の解決策は操作の難易度が高く複雑になる。
【0062】
本発明に係る解決策によれば、シリンジ又はハンドル1をグリップ要素11として使用し、さらにホルダー要素12も固定されている(
図5~8)。
このホルダー要素12の内部又は外面に光源6が配置されているので、光源6が発する光線20は三方向タップ9に対向するカテーテルの端部とその周囲を照らすはずである。
【0063】
光源6の位置は、光線20がカテーテルの端部と標的エリアを患者にとって最適に照らすように変化させることができる(電源7、又は光源のオン・オフ切替え用のマイクロスイッチ若しくはフィルムスイッチ5)。
【0064】
ミラー8又はカメラ13は、ホルダー部分12への固定要素15となる屈曲性自己保持性アームにより連結される(
図9~11)。
こうしてミラー8又はカメラ13と光源6を適切に位置決めすることにより、操作を容易かつすばやく行うことができる。
【0065】
1台のカメラ13に代えて2台以上、有利には2台のステレオカメラ(
図8及び11)を使用することができ、カメラは独立したエネルギー源18(
図7)によりエネルギー供給することができ、またホルダー要素12の内部/外面に配置した電源7によりエネルギー供給することもできる(
図8、10及び11)。
【0066】
この場合、電源を確保するすべてのライン、従ってシステム全体を防水マイクロスイッチ5によりオン・オフすることができる。
カメラ13は通信ツール19を備える。カメラ13の無線通信は、コンピュータ、タブレット端末、スマートフォン及び他のデバイスをインターネットに接続するのに使用される無線通信技術であるwifi(登録商標)、固定デバイス及びモバイルデバイス間のデータ交換に使用される短距離無線通信技術であるBluetooth(登録商標)、並びに/又は赤外及び/若しくはラジオ波通信とすることができよう。
【0067】
本発明に係る器具の作製により、カテーテル2の長さの値は150~250mmの範囲内、有利には150mm又は200mm(
図1)とすることが可能となり、それにより器具の使用はさらに一層容易となる。
【0068】
従来のように、より長いカテーテルを用いると操作の遂行はより困難となりうる。シリンジ1又はハンドル1の位置により、それを、三方向タップ9のメディウム出口に連結されているか、又はばね把持ユニット9によりカテーテル2に固定されたグリップ11として使用することが可能となる。本器具はこの方法により適切なやり方で操作することができる。
【0069】
ホルダー要素12は、いずれも固定具14により固定されたばね力を利用した迅速連結固定リング又は固定可能型クランプとして(
図9~11)、グリップ要素11、有利にはシリンジ1又はハンドル1に固定される(
図5~8)。ホルダー要素12は、屈曲性の馬蹄形部材のようなものとすることもでき、その場合には固定具14は不要である。これは当業者には自明であるので、図示はしない。
【0070】
本発明に係る器具は下記部品を備える。
プラスチック製ルアーロックコネクターを備えた、使い捨て型中央三方向タップ9。
ルアーロックコネクターにより三方向タップ9に連結された、通常の医療用プラスチック製、有利にはポリ塩化ビニル(PVC)製の短い、有利には長さ150mm又は200mmの使い捨て型女性用カテーテル2。
【0071】
排尿バッグ3もルアーロックコネクターにより三方向タップ9に連結されるので、偶発的な尿の流れは阻止され、操作の無菌性を増大させる閉鎖系が構築される。
本発明の有利な解決策として、本器具を膀胱排尿だけに使用する場合、三方向タップ9の代わりに、カテーテル2に固定することができる連結用のばね把持クリップ止めユニット9を使用し、カテーテル2を排尿バッグ3のチューブ4の円錐形の端部に通常のように直接連結する。
【0072】
この場合は、把持要素9はカテーテルの末端から任意の距離に配置することができるので、カテーテルの長さは任意とすることができる。
前記タップのメディウム出口には、雌ねじが刻まれた20mLルアーロック型グリップ要素11、有利にはシリンジ1又はハンドル1が連結される。
【0073】
適宜に軟質プラスチックから作製されたホルダー部材12がグリップ要素11としてのシリンジ又はハンドル1に撓みにより又は固定具14により連結される。
直径約100mmの適宜に円形、平面又は凹面(拡大)ミラー8が、尿道口より約100~200mm上方でホルダー要素12により保持される。
【0074】
ミラー8にはボールジョイント又は屈曲可能な自己保持アーム15を設けることができるので、ミラー8は特に尿道口の方向に向けることができる。
カテーテル2を照らすため、2~4個の光源6、有利にはLEDダイオードをホルダー要素12の両側に固定若しくは配置して、適切な光量(照度)を得る。
【0075】
尿道口の方向に向けられた光源では、カテーテルの影が適正に目標を位置決めしてカテーテルを挿入するのを乱すという阻害が起こりうる。
別の解決策として、ミラー8の代わりに高解像度の小型カメラ13を配置することができる。場合によりズーム可能な画像は、カメラ13から任意の受像器具(スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、PCモニター、TVモニター、ビデオモニターなどでよい)に有線又は無線(wifi(登録商標)及び/又はBluetooth(登録商標)及び/又は赤外及び/又はラジオ波)で伝送することができる。
【0076】
より有利には2台のカメラ13を同時に使用することにより、より進化した三次元(3D)ビデオ画像又は情報を無線で伝送し、この3D画像をノートパソコン、PCモニター、TVモニターのような適切なツールにより3Dメガネを使用して視覚化することができよう。
【0077】
立体カメラ13の画像を視覚化するための別の可能性として、バーチャルリアリティー(VR)をを用いて尿道口の正しい位置をより簡単に位置決めするのを助ける3Dヘッドセットを使用することができる。
【0078】
別の可能性として、医師と患者の双方がBluetooth(登録商標)接続及びカメラを使用してデータを瞬時かつ連続して使用、記録及び解析することにより疾患を適切に処置するためのスマートフォンアプリを開発することができる。
【0079】
本発明者らが開発したモジュラー構成型医療器具の一部の部材(コンポーネント)を変更又は除去することにより、上記3群の全ての群の患者の必要性を満たすことができる。
本発明に係る膀胱の処置を補助するのに用いる器具は、1回用(使い捨て)カテーテル2と、このカテーテル2に接続されていて閉鎖系を保証する排尿バッグ3と、グリップ要素11としても使用されるシリンジ1と、以上の要素全てを一緒につなげる三方向タップ9とを備える。
【0080】
三方向タップ9をまっすぐな流れを確保する方向に回すと、膀胱は排尿バッグ3に排尿される。膀胱排尿後、三方向タップ9の位置を変えれば、シリンジ1のピストン10を押すことにより薬液をシリンジ1から膀胱内に注入することができる。
【0081】
目的が膀胱排尿だけである群の患者に本器具を使用する場合には、シリンジ1に代えてグリップ要素11としてハンドル1で代用することができ、シリンジ又はハンドルのいずれかを使用する場合には三方向タップ9に代えてばね把持クリップ止めユニット9で代用することができる。
【0082】
このクリップ止めユニット9は、グリップ要素11とシリンジ1又はハンドル1の両方に接続することができる。必ずハンドル1を使用することにより把持クリップ止めユニット9だけを使用することができ、この場合は三方向タップを使用することはできない。
【0083】
膀胱排尿が必要ない群の患者では、患者は自発的に膀胱を排液することができる(超音波試験により制御可能である)が、局所膀胱薬液注入、薬物治療が必要となるので、注入のみに使用可能な本器具は次のように変更する:
もう排尿バッグ3は必要ないので、本器具は三方向タップ9のみから構成され、それに短い女性用カテーテル2と薬液が充填されたシリンジ1とが接続される。カテーテル2を挿入した後、薬液を三方向タップ9を経て膀胱内に注入することができる。この場合、シリンジ1はグリップ要素11としても機能する。
【0084】
別の変更解決策として、カテーテル2を注入用漏れなしアダプター16に変更することができ、こうして薬液は低い圧力を用いることにより膀胱内にゆっくり注入することができる。この特別のアダプター16は、カテーテル不要で漏れのない非侵襲的な膀胱薬液注入を可能にする本出願人の別の特許出願の保護対象となっている。
【0085】
3群全ての患者にとって、ミラー8の光源6又は1台若しくは複数台のカメラ13を備えたホルダー要素12がグリップ要素11、有利にはシリンジ1又はハンドル1に接続又は固定具14により固定されている。
【0086】
次に、三方向タップ9又はクリップ止めユニット9、カテーテル2又は注入用アダプター16、そして場合によりチューブ4により排尿バッグ3が本発明器具に接続されよう。
必要な操作が膀胱排尿だけである場合には、空のシリンジ又はハンドルをグリップ要素11として使用することができる。シリンジをグリップ要素11として使用することにより、排尿用のカテーテル2とチューブ4を介して排尿バッグ3も三方向タップ8に接続され、三方向タップ9は排尿バッグ3の方向に開くだけである。タップ9が把持クリップ止めユニット9に置換される場合、このユニットがカテーテル2に固定され、カテーテルは排尿バッグ3のチューブ4に直接接続される。
【0087】
膀胱排尿と薬物治療の両方が必要である場合には、三方向タップ9をこのタップが排尿バッグ3の方向に開くように適切に調整することにより排尿バッグ3に尿を排液する。
この膀胱排尿の後、三方向タップ9の位置を変え、シリンジ1のピストン10をゆっくり連続的に押すことにより、薬液をシリンジ1からカテーテル2を経て膀胱内に注入することができる。
【0088】
薬物治療のみが必要である場合には、カテーテル2に代えて、三方向タップ9とシリンジ1との間の自由な流れを保証する注入用の漏れなしアダプター16を使用することもできる。
【0089】
3種類全ての処置の初めに、ホルダー要素12をグリップ要素11に固定すべきであり、グリップ要素11をカテーテル2及び排尿バッグ3に接続した後、ホルダー要素12に固定された光源6を防水マイクロスイッチ5により点灯すべきである。ミラー8は目標エリアに向けるべきである。カメラ13を使用する場合、カメラの電源を入れて(マイクロスイッチ5により電源オンが実施されない場合)目標エリアに向けるべきである。必ずカメラ13の画像を視覚化するための器具もスイッチオンにしておくべきである。
【0090】
目標エリアがよく見えるので、カテーテル2又は注入用漏れなしアダプター16は、尿道口への挿入を助けるための目標エリアに向けることができる。アダプター16の挿入位置はこのアダプターの封止用カラー21により保証されるので、必要な局所処置を行うことができる。
【0091】
3種類の群の患者に応じてグリップ要素11を調製する方法は異なる。
目的が膀胱排尿だけである第1の群に関しては、シリンジ1又はハンドル1を三方向タップ9又はばね把持クリップ止めユニット9を介してカテーテル2に接続し、次いでカテーテル2を三方向タップ9を介して又は直接のいずれかで排尿バッグ3のチューブ4に接続し、排尿が必要ない第3の群では、尿道口内に挿入すべきカテーテル2又は注入用漏れなしアダプター16のいずれかを三方向タップ9のメディウム出口に接続する。
【0092】
本発明の利点は、カテーテル交換のために患者を定期的に保健所、診療所などに送る必要がなくなること、慢性細菌感染症の発症の危険性が非常に低くなること、尿道の永続的な刺激、異物感覚、痛みがないことである。
【0093】
炎症の合併症は頻度も重篤度も低下する。
患者の規則的な処置は、医師との相談時間、ホーム・アシスタンスの存在、救急搬送のスケジュール等の制約には依存せず、患者の必要性に応じて処置をカスタマイズすることができる。
【0094】
膀胱の局所投薬治療中にシリンジは患者にとって利用可能な位置でずっとより近接している。
本発明の器具の上記構成のため、本器具は片手で扱うことができるので、自由な反対の手を用いて外陰部を適切に探索することができ、尿道口(外尿道口)を明確に位置決めし、消毒することができる。
【0095】
本発明に係るモジュラー型医療器具の部材を変更又は除去することにより、3種類の全ての群の患者の必要性を満たすことができる。
本発明に係る器具の取り扱いは短時間で習得することができる。
【0096】
上記構成により、ミラーを用いたシンプルな解決策から、革新的なカテーテル不要の自己投薬治療、さらには、ほとんど超現代的な3D器具までに及ぶ、広範囲の需要がカバーされる。
【0097】
この最後の解決策は、本器具が現代的であって、現在だけでなく、今後数十年にわたって使用可能であることを保証する。
本発明に係る器具の使用は、重篤な状態にあるか障害者の状態の患者のケア若しくはサプライと生活の質(QOL)、余命の改善を助け、かつかかる患者におけるカテーテル処置の合併症の危険性の負担の著しい軽減を期待することができる。
【0098】
本器具の取扱いの学習は比較的容易であり、それにより患者のヘルスケアからの大規模な独立性が確保され、必要性に応じて処置をカスタマイズすることにより治療結果の改善すらも期待できる。
【符号の説明】
【0099】
1:シリンジ又はハンドル
2:カテーテル
3:排尿バッグ
4:排尿バッグのチューブ
5:マイクロスイッチ
6:光源
7:電源
8:ミラー
9:三方向タップ又はバネ把持クリップ止めユニット
10:ピストン
11:グリップ要素
12:ホルダー要素
13:カメラ
14:固定具
15:固定要素
16:注入用漏れなしアダプター
18:ライトフォース(エネルギー源)
19:通信器具
20:光線
21:アダプターの封止用カラー