(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】車外通信装置、車載装置、車載通信システム、通信制御方法および通信制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 28/02 20090101AFI20221213BHJP
H04W 4/44 20180101ALI20221213BHJP
H04W 4/46 20180101ALI20221213BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20221213BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20221213BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
H04W28/02
H04W4/44
H04W4/46
H04W64/00 120
H04W64/00 171
H04W92/18
G08G1/09 H
(21)【出願番号】P 2018568584
(86)(22)【出願日】2018-02-15
(86)【国際出願番号】 JP2018005146
(87)【国際公開番号】W WO2018151179
(87)【国際公開日】2018-08-23
【審査請求日】2020-08-21
(31)【優先権主張番号】P 2017026932
(32)【優先日】2017-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】長村 吉富
【審査官】▲高▼橋 徳浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-164327(JP,A)
【文献】特開2007-174520(JP,A)
【文献】特開2012-227761(JP,A)
【文献】国際公開第2011/024237(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/09
H04B7/24-H04B7/26
H04W4/00-H04W99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される車外通信装置であって、
前記車両の外部における外部装置からのデータを受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記データに基づいて、前記データの送信元の位置を示す送信元位置情報を作成する位置取得部と、
前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を取得する対応情報取得部と、
前記位置取得部によって作成された前記送信元位置情報および前記対応情報取得部によって取得された前記対応情報に基づいて、前記データの優先度を設定する設定部と、
前記設定部によって設定された前記優先度に応じて前記データを処理する処理部とを備え、
前記車両に搭載される車載装置および前記設定部は、前記車両の周辺が複数の周辺領域に区分けされた共通のエリア分割情報を保持し、
前記対応情報取得部は、前記エリア分割情報における前記周辺領域の識別情報と優先度との対応関係を示す前記対応情報を前記車載装置から受信し、
前記車載装置および前記設定部は、複数種類の前記エリア分割情報を保持し、
前記対応情報取得部は、前記エリア分割情報の識別情報を前記車載装置から受信し、
前記設定部は、前記対応情報取得部によって受信された前記識別情報に基づいて、前記エリア分割情報を切り替える、車外通信装置。
【請求項2】
前記対応情報は更新され、
前記対応情報取得部は、更新後の前記対応情報として、前回取得した前記対応情報と異なる前記周辺位置情報と前記優先度との組み合わせを取得する、請求項
1に記載の車外通信装置。
【請求項3】
前記対応情報取得部は、前記車両の移動に応じて新たな前記対応情報を取得する、請求項1
または請求項2に記載の車外通信装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記データおよび前記データに設定した優先度を前記処理部へ出力する、請求項1から請求項
3のいずれか1項に記載の車外通信装置。
【請求項5】
前記車外通信装置は、さらに、
車載ネットワークにおける他の装置と通信可能な車内通信部を備え、
前記処理部は、前記
設定部によって設定された前記優先度に応じて、前記データおよび前記優先度を前記車内通信部へ出力し、
前記車内通信部は、前記処理部から受けた前記データ、および前記処理部から受けた前記優先度に応じた値が設定された優先制御フィールドを含むフレームを作成し、作成した前記フレームを前記他の装置へ送信する、請求項1から請求項
4のいずれか1項に記載の車外通信装置。
【請求項6】
前記対応情報取得部は、複数の前記周辺領域の位置をそれぞれ示す複数の前記周辺位置情報と、各前記周辺領域の優先度との対応関係を示す前記対応情報を取得する、請求項1から請求項
5のいずれか1項に記載の車外通信装置。
【請求項7】
車両に搭載される車載装置であって、
前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と、前記周辺領域に位置する装置が送信するデータの車載ネットワークにおける伝送の優先度との対応関係を示す対応情報を作成する処理部と、
前記処理部によって作成された前記対応情報を、前記車両に搭載され、かつ前記車両の外部における外部装置と通信可能な車外通信装置へ送信する通信部とを備え、
前記処理部および前記車外通信装置は、前記車両の周辺が複数の周辺領域に区分けされた共通のエリア分割情報を保持し、
前記処理部は、前記エリア分割情報における前記周辺領域の識別情報と優先度との対応関係を示す対応情報を作成し、
前記処理部および前記車外通信装置は、複数種類の前記エリア分割情報を保持し、
前記処理部は、前記エリア分割情報の識別情報を前記通信部経由で前記車外通信装置へ送信することにより、前記エリア分割情報を切り替える、車載装置。
【請求項8】
車両に搭載される車外通信装置における通信制御方法であって、
前記車両の外部における外部装置からのデータを受信するステップと、
受信した前記データに基づいて、前記データの送信元の位置を示す送信元位置情報を作成するステップと、
前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を取得するステップと、
作成した前記送信元位置情報および取得した前記対応情報に基づいて、前記データの優先度を設定するステップと、
設定した前記優先度に応じて前記データを処理するステップとを含み、
前記車両に搭載される車載装置および前記車外通信装置は、前記車両の周辺が複数の周辺領域に区分けされた共通のエリア分割情報を保持し、
前記対応情報を取得するステップにおいては、前記エリア分割情報における前記周辺領域の識別情報と優先度との対応関係を示す前記対応情報を前記車載装置から受信し、
前記車載装置および前記車外通信装置は、複数種類の前記エリア分割情報を保持し、
前記通信制御方法は、さらに、
前記エリア分割情報の識別情報を前記車載装置から受信し、受信した前記識別情報に基づいて、前記エリア分割情報を切り替えるステップを含む、通信制御方法。
【請求項9】
車両に搭載される車外通信装置において用いられる通信制御プログラムであって、
コンピュータを、
前記車両の外部における外部装置からのデータを受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記データに基づいて、前記データの送信元の位置を示す送信元位置情報を作成する位置取得部と、
前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を取得する対応情報取得部と、
前記位置取得部によって作成された前記送信元位置情報および前記対応情報取得部によって取得された前記対応情報に基づいて、前記データの優先度を設定する設定部と、
前記設定部によって設定された前記優先度に応じて前記データを処理する処理部、
として機能させるためのプログラムであり、
前記車両に搭載される車載装置および前記設定部は、前記車両の周辺が複数の周辺領域に区分けされた共通のエリア分割情報を保持し、
前記対応情報取得部は、前記エリア分割情報における前記周辺領域の識別情報と優先度との対応関係を示す前記対応情報を前記車載装置から受信し、
前記車載装置および前記設定部は、複数種類の前記エリア分割情報を保持し、
前記対応情報取得部は、前記エリア分割情報の識別情報を前記車載装置から受信し、
前記設定部は、前記対応情報取得部によって受信された前記識別情報に基づいて、前記エリア分割情報を切り替える、通信制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車外通信装置、車載装置、車載通信システム、通信制御方法および通信制御プログラムに関する。
この出願は、2017年2月16日に出願された日本出願特願2017-26932号を基礎とする優先権を主張し、その開示のすべてをここに取り込む。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2013-168865号公報)には、以下のような車載ネットワークシステムが開示されている。すなわち、車載ネットワークシステムは、車載ネットワーク上で用いられる通信規約のうち前記車載ネットワーク上における実装に依拠する部分を定義する定義データを格納するメモリを備えた車載制御装置と、前記車載制御装置に対して前記定義データを発行する通信規約発行装置とを備える。前記通信規約発行装置は、前記車載制御装置を前記車載ネットワークに参加させる登録装置から、前記車載制御装置を前記車載ネットワークに参加させるよう要求する登録要求を受け取ると、前記登録装置に対する認証を実施した上で、前記車載ネットワークに上における実装に準拠した前記定義データを作成して前記登録装置に返信する。前記登録装置は、前記通信規約発行装置が送信した前記定義データを受け取り、受け取った前記定義データを前記メモリ上に格納するよう前記車載制御装置に対して要求する。そして、前記車載制御装置は、前記登録装置から定義データを受け取って前記メモリ上に格納し、前記定義データが定義する前記部分にしたがって、前記通信規約に準拠して前記車載ネットワークを用いて通信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
(1)本開示の車外通信装置は、車両に搭載される車外通信装置であって、前記車両の外部における外部装置からのデータを受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記データに基づいて、前記データの送信元の位置を示す送信元位置情報を作成する位置取得部と、前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を取得する対応情報取得部と、前記位置取得部によって作成された前記送信元位置情報および前記対応情報取得部によって取得された前記対応情報に基づいて、前記データの優先度を設定する設定部と、前記設定部によって設定された前記優先度に応じて前記データを処理する処理部とを備える。
【0005】
(4)本開示の車載装置は、車両に搭載される車載装置であって、前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と、前記周辺領域に位置する装置が送信するデータの車載ネットワークにおける伝送の優先度との対応関係を示す対応情報を作成する処理部と、前記処理部によって作成された前記対応情報を、前記車両に搭載され、かつ前記車両の外部における外部装置と通信可能な車外通信装置へ送信する通信部とを備える。
【0006】
(11)本開示の車載通信システムは、車両に搭載される車外通信装置と、前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を作成し、作成した前記対応情報を前記車外通信装置へ送信する車載装置とを備え、前記車外通信装置は、前記車両の外部における外部装置からのデータを受信し、受信した前記データに基づいて、前記データの送信元の位置を示す送信元位置情報を作成し、前記車外通信装置は、前記車載装置から前記対応情報を受信し、受信した前記対応情報、および作成した前記送信元位置情報に基づいて、前記データの優先度を設定し、設定した前記優先度に応じて前記データを処理する。
【0007】
(12)本開示の通信制御方法は、車両に搭載される車外通信装置における通信制御方法であって、前記車両の外部における外部装置からのデータを受信するステップと、受信した前記データに基づいて、前記データの送信元の位置を示す送信元位置情報を作成するステップと、前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を取得するステップと、作成した前記送信元位置情報および取得した前記対応情報に基づいて、前記データの優先度を設定するステップと、設定した前記優先度に応じて前記データを処理するステップとを含む。
【0008】
(13)本開示の通信制御方法は、車両に搭載される車載装置における通信制御方法であって、前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と、前記周辺領域に位置する装置が送信するデータの車載ネットワークにおける伝送の優先度との対応関係を示す対応情報を作成するステップと、作成した前記対応情報を、前記車両に搭載され、かつ前記車両の外部における外部装置と通信可能な車外通信装置へ送信するステップとを含む。
【0009】
(14)本開示の通信制御方法は、車両に搭載される車外通信装置と、車載装置とを備える車載通信システムにおける通信制御方法であって、前記車載装置が、前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を作成するステップと、前記車載装置が、作成した前記対応情報を前記車外通信装置へ送信するステップと、前記車外通信装置が、前記車両の外部における外部装置からのデータを受信するステップと、前記車外通信装置が、受信した前記データに基づいて、前記データの送信元の位置を示す送信元位置情報を作成するステップと、前記車外通信装置が、前記車載装置から前記対応情報を受信するステップと、前記車外通信装置が、受信した前記対応情報、および作成した前記送信元位置情報に基づいて、前記データの優先度を設定するステップと、前記車外通信装置が、設定した前記優先度に応じて前記データを処理するステップとを含む。
【0010】
(15)本開示の通信制御プログラムは、車両に搭載される車外通信装置において用いられる通信制御プログラムであって、コンピュータを、前記車両の外部における外部装置からのデータを受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記データに基づいて、前記データの送信元の位置を示す送信元位置情報を作成する位置取得部と、前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を取得する対応情報取得部と、前記位置取得部によって作成された前記送信元位置情報および前記対応情報取得部によって取得された前記対応情報に基づいて、前記データの優先度を設定する設定部と、前記設定部によって設定された前記優先度に応じて前記データを処理する処理部、として機能させるためのプログラムである。
【0011】
(16)本開示の通信制御プログラムは、車両に搭載される車載装置において用いられる通信制御プログラムであって、コンピュータを、前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を作成する処理部と、前記処理部によって作成された前記対応情報を、前記車両に搭載され、かつ前記車両の外部における外部装置と通信可能な車外通信装置へ送信する通信部、として機能させるためのプログラムである。
【0012】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車外通信装置として実現され得るだけでなく、車外通信装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【0013】
また、本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載装置として実現され得るだけでなく、車載装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【0014】
また、本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える車載通信システムとして実現され得るだけでなく、車載通信システムの一部または全部を実現する半導体集積回路として実現され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける優先度判定装置が作成する周辺領域テーブルの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける優先度判定装置が設定する周辺領域の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける車外通信装置の構成を示す図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける優先度判定装置が作成する周辺領域テーブルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける優先度判定装置が設定する周辺領域の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける優先度判定装置が作成する周辺領域テーブルの一例を示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける優先度判定装置が設定する周辺領域の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおいて、車外通信装置が受信データに優先度を設定する際のシーケンスの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る優先度判定装置の構成を示す図である。
【
図12】
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信システムにおける優先度判定装置が作成する周辺領域テーブルの一例を示す図である。
【
図13】
図13は、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信システムにおける優先度判定装置が作成する周辺領域テーブルの一例を示す図である。
【
図14】
図14は、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信システムにおける優先度判定装置が作成する周辺領域テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
従来、車載ネットワークにおけるセキュリティを向上させるための車載ネットワークシステムが開発されている。
【0017】
[本開示が解決しようとする課題]
たとえば、特許文献1に記載の車載ネットワークが、車両の外部における外部ネットワークと接続される場合、外部ネットワークと通信するための車外通信装置が車両に設けられることがある。車外通信装置が車両の外部における無線端末装置と通信する場合において、無線端末装置の端末数が増加したり、車外通信装置および無線端末装置間での通信データ量が増加したりすると、車載ネットワークにおいて伝送されるデータ量が大幅に増加してしまう。このような場合、車載ネットワークにおいて、有用な情報が良好に伝送されないことがある。
【0018】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、車載ネットワークにおいて、有用な情報を良好に伝送することが可能な車外通信装置、車載装置、車載通信システム、通信制御方法および通信制御プログラムを提供することである。
【0019】
[本開示の効果]
本開示によれば、車載ネットワークにおいて、有用な情報を良好に伝送することができる。
【0020】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に、本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
【0021】
(1)本発明の実施の形態に係る車外通信装置は、車両に搭載される車外通信装置であって、前記車両の外部における外部装置からのデータを受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記データに基づいて、前記データの送信元の位置を示す送信元位置情報を作成する位置取得部と、前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を取得する対応情報取得部と、前記位置取得部によって作成された前記送信元位置情報および前記対応情報取得部によって取得された前記対応情報に基づいて、前記データの優先度を設定する設定部と、前記設定部によって設定された前記優先度に応じて前記データを処理する処理部とを備える。
【0022】
このように、外部装置の位置に応じた優先度を当該外部装置からのデータに設定する構成により、たとえば、自動運転制御を行う場合において、物体が存在するか否かを確認すべき重要な周辺領域に位置する外部装置からのデータに対して高い優先度を設定することができる。また、設定した優先度に応じてデータを処理する構成により、高い優先度を設定したデータを車載ネットワークにおいて優先的に伝送させるための処理を行うことができる。これにより、重要な周辺領域に位置する外部装置からのデータを、たとえば自動運転制御を行う車載装置へより確実に伝送することができる。したがって、車載ネットワークにおいて、有用な情報を良好に伝送することができる。
【0023】
(2)好ましくは、前記対応情報は更新され、前記対応情報取得部は、更新後の前記対応情報として、前回取得した前記対応情報と異なる前記周辺位置情報と前記優先度との組み合わせを取得する。
【0024】
このように、前回と異なる周辺位置情報と優先度との組み合わせを取得する構成により、対応情報において前回と異なる部分を書き換えることができるので、対応情報の更新処理を効率よく行うことができる。また、更新後の対応情報のデータ量を減らすことができるので、たとえば車載ネットワークにおける通信負荷を軽減することができる。
【0025】
(3)好ましくは、前記対応情報取得部は、前記車両の移動に応じて新たな前記対応情報を取得する。
【0026】
このような構成により、たとえば、車両の移動に応じて車両周囲の交通環境が変化することで、重要な周辺領域が変化する場合においても、現在の交通環境を反映した対応情報に基づいて、当該交通環境に応じた適切な優先度を外部装置からのデータに対して設定することができる。
【0027】
(4)本発明の実施の形態に係る車載装置は、車両に搭載される車載装置であって、前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と、前記周辺領域に位置する装置が送信するデータの車載ネットワークにおける伝送の優先度との対応関係を示す対応情報を作成する処理部と、前記処理部によって作成された前記対応情報を、前記車両に搭載され、かつ前記車両の外部における外部装置と通信可能な車外通信装置へ送信する通信部とを備える。
【0028】
このような構成により、車外通信装置において、外部装置の位置に応じた優先度を外部装置からのデータに設定することができる。たとえば、自動運転制御を行う場合において、物体が存在するか否かを確認すべき重要な周辺領域に位置する外部装置からのデータに対して高い優先度を設定することができる。また、車外通信装置において、設定した優先度に応じてデータを処理することができる。たとえば、高い優先度を設定したデータを車載ネットワークにおいて優先的に伝送させるための処理を行うことができる。これにより、重要な周辺領域に位置する外部装置からのデータを、たとえば自動運転制御を行う車載装置へより確実に伝送することができる。したがって、車載ネットワークにおいて、有用な情報を良好に伝送することができる。
【0029】
(5)好ましくは、前記処理部は、前記車両に対する前記周辺領域の相対位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を作成する。
【0030】
このような構成により、自動運転制御等を行う場合において、たとえば、車両に搭載されたセンサ等では物体検知が困難な周辺領域に位置する外部装置からのデータに対して高い優先度を設定することができる。
【0031】
(6)好ましくは、前記処理部は、前記周辺領域の絶対位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を作成する。
【0032】
このような構成により、自動運転制御等を行う場合において、たとえば、地図上の自己の車両を把握することができるため、数100メートル先の交差点等、自己の車両に搭載されたセンサ等では検知が困難な周辺領域に位置する外部装置からのデータに対して高い優先度を設定することができる。また、たとえば、飛び出し等による交通事故の多い地点である旨の情報、および道路工事が行われる旨の情報等、交通事象に関する情報を用いて適切な優先度を設定することができる。
【0033】
(7)好ましくは、前記処理部および前記車外通信装置は、前記車両の周辺が複数の周辺領域に区分けされた共通のエリア分割情報を保持し、前記処理部は、前記エリア分割情報における前記周辺領域の識別情報と優先度との対応関係を示す対応情報を作成する。
【0034】
このような構成により、車載装置から送信されるデータの量を低減することができるため、たとえば車載ネットワークにおける通信負荷を軽減することができる。
【0035】
(8)より好ましくは、前記処理部および前記車外通信装置は、複数種類の前記エリア分割情報を保持し、前記処理部は、前記エリア分割情報の識別情報を前記通信部経由で前記車外通信装置へ送信することにより、前記エリア分割情報を切り替える。
【0036】
このような構成により、車両の周辺環境等に応じた適切な周辺領域の区分けおよび優先度の設定を採用することができる。
【0037】
(9)好ましくは、前記処理部は、前記車両の、走行方向、走行速度、走行道路、走行位置、走行モードおよび走行予定経路のうちの少なくともいずれか1つに応じて前記優先度を設定する。
【0038】
このような構成により、車両の走行状況等に応じた適切な優先度を設定することができる。
【0039】
(10)好ましくは、前記処理部は、前記車両の周囲における物体の検知結果、前記車両外から取得した前記車両周辺の交通事象に関する事象情報、および自己が保持している前記事象情報のうちの少なくともいずれか1つに応じて前記優先度を設定する。
【0040】
このような構成により、車両の周辺環境等に応じた適切な優先度を設定することができる。
【0041】
(11)本発明の実施の形態に係る車載通信システムは、車両に搭載される車外通信装置と、前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を作成し、作成した前記対応情報を前記車外通信装置へ送信する車載装置とを備え、前記車外通信装置は、前記車両の外部における外部装置からのデータを受信し、受信した前記データに基づいて、前記データの送信元の位置を示す送信元位置情報を作成し、前記車外通信装置は、前記車載装置から前記対応情報を受信し、受信した前記対応情報、および作成した前記送信元位置情報に基づいて、前記データの優先度を設定し、設定した前記優先度に応じて前記データを処理する。
【0042】
このように、外部装置の位置に応じた優先度を当該外部装置からのデータに設定する構成により、たとえば、自動運転制御を行う場合において、物体が存在するか否かを確認すべき重要な周辺領域に位置する外部装置からのデータに対して高い優先度を設定することができる。また、設定した優先度に応じてデータを処理する構成により、高い優先度を設定したデータを車載ネットワークにおいて優先的に伝送させるための処理を行うことができる。これにより、重要な周辺領域に位置する外部装置からのデータを、たとえば自動運転制御を行う車載装置へより確実に伝送することができる。したがって、車載ネットワークにおいて、有用な情報を良好に伝送することができる。
【0043】
(12)本発明の実施の形態に係る通信制御方法は、車両に搭載される車外通信装置における通信制御方法であって、前記車両の外部における外部装置からのデータを受信するステップと、受信した前記データに基づいて、前記データの送信元の位置を示す送信元位置情報を作成するステップと、前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を取得するステップと、作成した前記送信元位置情報および取得した前記対応情報に基づいて、前記データの優先度を設定するステップと、設定した前記優先度に応じて前記データを処理するステップとを含む。
【0044】
このように、外部装置の位置に応じた優先度を当該外部装置からのデータに設定する構成により、たとえば、自動運転制御を行う場合において、物体が存在するか否かを確認すべき重要な周辺領域に位置する外部装置からのデータに対して高い優先度を設定することができる。また、設定した優先度に応じてデータを処理する構成により、高い優先度を設定したデータを車載ネットワークにおいて優先的に伝送させるための処理を行うことができる。これにより、重要な周辺領域に位置する外部装置からのデータを、たとえば自動運転制御を行う車載装置へより確実に伝送することができる。したがって、車載ネットワークにおいて、有用な情報を良好に伝送することができる。
【0045】
(13)本発明の実施の形態に係る通信制御方法は、車両に搭載される車載装置における通信制御方法であって、前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と、前記周辺領域に位置する装置が送信するデータの車載ネットワークにおける伝送の優先度との対応関係を示す対応情報を作成するステップと、作成した前記対応情報を、前記車両に搭載され、かつ前記車両の外部における外部装置と通信可能な車外通信装置へ送信するステップとを含む。
【0046】
このような方法により、車外通信装置において、外部装置の位置に応じた優先度を外部装置からのデータに設定することができる。たとえば、自動運転制御を行う場合において、物体が存在するか否かを確認すべき重要な周辺領域に位置する外部装置からのデータに対して高い優先度を設定することができる。また、車外通信装置において、設定した優先度に応じてデータを処理することができる。たとえば、高い優先度を設定したデータを車載ネットワークにおいて優先的に伝送させるための処理を行うことができる。これにより、重要な周辺領域に位置する外部装置からのデータを、たとえば自動運転制御を行う車載装置へより確実に伝送することができる。したがって、車載ネットワークにおいて、有用な情報を良好に伝送することができる。
【0047】
(14)本発明の実施の形態に係る通信制御方法は、車両に搭載される車外通信装置と、車載装置とを備える車載通信システムにおける通信制御方法であって、前記車載装置が、前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を作成するステップと、前記車載装置が、作成した前記対応情報を前記車外通信装置へ送信するステップと、前記車外通信装置が、前記車両の外部における外部装置からのデータを受信するステップと、前記車外通信装置が、受信した前記データに基づいて、前記データの送信元の位置を示す送信元位置情報を作成するステップと、前記車外通信装置が、前記車載装置から前記対応情報を受信するステップと、前記車外通信装置が、受信した前記対応情報、および作成した前記送信元位置情報に基づいて、前記データの優先度を設定するステップと、前記車外通信装置が、設定した前記優先度に応じて前記データを処理するステップとを含む。
【0048】
このように、外部装置の位置に応じた優先度を当該外部装置からのデータに設定する構成により、たとえば、自動運転制御を行う場合において、物体が存在するか否かを確認すべき重要な周辺領域に位置する外部装置からのデータに対して高い優先度を設定することができる。また、設定した優先度に応じてデータを処理する構成により、高い優先度を設定したデータを車載ネットワークにおいて優先的に伝送させるための処理を行うことができる。これにより、重要な周辺領域に位置する外部装置からのデータを、たとえば自動運転制御を行う車載装置へより確実に伝送することができる。したがって、車載ネットワークにおいて、有用な情報を良好に伝送することができる。
【0049】
(15)本発明の実施の形態に係る通信制御プログラムは、車両に搭載される車外通信装置において用いられる通信制御プログラムであって、コンピュータを、前記車両の外部における外部装置からのデータを受信する受信部と、前記受信部によって受信された前記データに基づいて、前記データの送信元の位置を示す送信元位置情報を作成する位置取得部と、前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を取得する対応情報取得部と、前記位置取得部によって作成された前記送信元位置情報および前記対応情報取得部によって取得された前記対応情報に基づいて、前記データの優先度を設定する設定部と、前記設定部によって設定された前記優先度に応じて前記データを処理する処理部、として機能させるためのプログラムである。
【0050】
このように、外部装置の位置に応じた優先度を当該外部装置からのデータに設定する構成により、たとえば、自動運転制御を行う場合において、物体が存在するか否かを確認すべき重要な周辺領域に位置する外部装置からのデータに対して高い優先度を設定することができる。また、設定した優先度に応じてデータを処理する構成により、高い優先度を設定したデータを車載ネットワークにおいて優先的に伝送させるための処理を行うことができる。これにより、重要な周辺領域に位置する外部装置からのデータを、たとえば自動運転制御を行う車載装置へより確実に伝送することができる。したがって、車載ネットワークにおいて、有用な情報を良好に伝送することができる。
【0051】
(16)本発明の実施の形態に係る通信制御プログラムは、車両に搭載される車載装置において用いられる通信制御プログラムであって、コンピュータを、前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を作成する処理部と、前記処理部によって作成された前記対応情報を、前記車両に搭載され、かつ前記車両の外部における外部装置と通信可能な車外通信装置へ送信する通信部、として機能させるためのプログラムである。
【0052】
このような構成により、車外通信装置において、外部装置の位置に応じた優先度を外部装置からのデータに設定することができる。たとえば、自動運転制御を行う場合において、物体が存在するか否かを確認すべき重要な周辺領域に位置する外部装置からのデータに対して高い優先度を設定することができる。また、車外通信装置において、設定した優先度に応じてデータを処理することができる。たとえば、高い優先度を設定したデータを車載ネットワークにおいて優先的に伝送させるための処理を行うことができる。これにより、重要な周辺領域に位置する外部装置からのデータを、たとえば自動運転制御を行う車載装置へより確実に伝送することができる。したがって、車載ネットワークにおいて、有用な情報を良好に伝送することができる。
【0053】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0054】
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る通信システムの構成を示す図である。
【0055】
図1を参照して、通信システム300は、車外通信装置101と、外部装置181A,181B,181Cとを備える。以下、外部装置181A,181B,181Cの各々を、外部装置181とも称する。
【0056】
なお、通信システム300において、2つまたは4つ以上の外部装置181が設けられてもよい。
【0057】
車外通信装置101は、対象車両1に搭載され、対象車両1の外部における外部装置181と通信可能である。
【0058】
また、車外通信装置101は、たとえば、LTE(Long Term Evolution)または3G等の通信規格に従って、図示しない無線基地局装置と無線通信を行うことが可能である。車外通信装置101は、たとえば、無線基地局装置を介して、絶対座標に基づくマップを示す地図情報を提供する地図サーバ等と通信を行う。絶対座標は、たとえば緯度および経度に基づく座標である。
【0059】
外部装置181Aは、たとえば、スマートホン等の歩行者に保持される無線端末装置であり、歩行者の移動に伴って移動する。外部装置181Aは、車外通信装置101と歩車間通信を行うことが可能である。
【0060】
外部装置181Bは、たとえば、他の車両2に搭載される無線端末装置であり、他の車両2の移動に伴って移動する。外部装置181Bは、車外通信装置101と車車間通信を行うことが可能である。
【0061】
外部装置181Cは、たとえば、道路の近傍に設けられた光ビーコン、電波ビーコンおよびITS(Intelligent Transport Systems)スポット等の路側機である。外部装置181Cは、車外通信装置101と路車間通信を行うことが可能である。
【0062】
外部装置181は、たとえば自己の位置を示す端末位置情報を保持している。この端末位置情報は、たとえば外部装置181の絶対座標を示す。
【0063】
より詳細には、外部装置181A,181Bは、たとえば、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波に基づいて自己の位置を取得し、取得した位置を示す端末位置情報を作成する。外部装置181Cは、たとえば、自己の設置時において、設置者によって端末位置情報が登録されている。
【0064】
[車載ネットワーク10]
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムの構成を示す図である。
【0065】
図2を参照して、対象車両1は、車載通信システム301を搭載する。車載通信システム301は、車外通信装置101と、優先度判定装置(車載装置)111と、自動運転ECU(Electronic Control Unit)112と、センサ113と、カメラ114と、スイッチ装置151とを備える。
【0066】
スイッチ装置151が、車外通信装置101、優先度判定装置111、自動運転ECU112、センサ113およびカメラ114とそれぞれ接続されることにより車載ネットワーク10が形成される。
【0067】
車載ネットワーク10では、たとえば、イーサネット(登録商標)の通信規格に従うイーサネットフレームの送受信が行われる。なお、車載ネットワーク10の一部または全部において、たとえば、CAN(Controller Area Network)(登録商標)、FlexRay(登録商標)、MOST(Media Oriented Systems Transport)(登録商標)、およびLIN(Local Interconnect Network)等の通信規格に従うフレームの送受信が行われてもよい。
【0068】
センサ113は、たとえば、レーザーレーダであり、対象車両1の周囲の物体を定期的に検知し、検知結果を示すセンサ情報を含むイーサネットフレームを作成する。センサ113は、作成したイーサネットフレームの宛先を自動運転ECU112に設定し、当該イーサネットフレームをスイッチ装置151へ送信する。
【0069】
スイッチ装置151は、たとえばレイヤ2(L2)スイッチであり、イーサネットフレームの中継処理を行う。
【0070】
スイッチ装置151は、自動運転ECU112宛のイーサネットフレームをセンサ113から受信すると、受信したイーサネットフレームを自動運転ECU112へ送信する。
【0071】
カメラ114は、たとえば、対象車両1の周囲を定期的に撮影し、撮影結果を示すカメラ情報を含むイーサネットフレームを作成する。カメラ114は、作成したイーサネットフレームの宛先を自動運転ECU112に設定し、当該イーサネットフレームをスイッチ装置151経由で自動運転ECU112へ送信する。
【0072】
自動運転ECU112は、自己の対象車両1の運転を制御する。自動運転ECU112は、たとえば、自己の対象車両1の運転を完全に制御してもよいし、自己の対象車両1に対してブレーキアシストおよびレーンキープ等の運転支援を行ってもよい。
【0073】
より詳細には、自動運転ECU112は、たとえば、無線基地局装置、車外通信装置101およびスイッチ装置151経由で、地図サーバから地図情報を取得する。
【0074】
また、自動運転ECU112は、たとえば、所定周期ごとに、GPS衛星からの電波に基づいて自己の対象車両1の位置を取得し、取得した位置を示す車両位置情報を作成する。この車両位置情報は、たとえば対象車両1の絶対座標を示す。
【0075】
自動運転ECU112は、センサ113およびカメラ114からそれぞれ受信するセンサ情報およびカメラ情報に基づいて、対象車両1の周囲における他の車両2、歩行者および構造物等の物体を検知する。
【0076】
自動運転ECU112は、地図サーバから取得した地図情報、作成した車両位置情報、および物体の検知結果に基づいて自己の対象車両1の運転を制御する。
【0077】
また、自動運転ECU112は、たとえば、自己の対象車両1の自動運転の状況を示す状況情報を作成し、作成した状況情報を登録先の装置、この例では優先度判定装置111へ送信する。
【0078】
ここで、状況情報は、たとえば、自己の対象車両1が走行する方向および速度等を示す走行情報、検知結果を示す検知情報、車両位置情報ならびに地図情報を含む。ここで、自己の対象車両1が走行する方向は、たとえば磁針方位に基づいて表される。
【0079】
自動運転ECU112は、たとえば、所定の頻度で状況情報を作成し、作成した状況情報をスイッチ装置151経由で登録先の優先度判定装置111へ送信する。
【0080】
なお、自動運転ECU112は、対象車両1の走行状態に応じて状況情報の作成頻度を変更してもよい。
【0081】
また、自動運転ECU112は、たとえば、自己の対象車両1の周辺における外部装置181の存在の有無を確認するための応答要求を含むイーサネットフレームをスイッチ装置151経由で車外通信装置101へ所定時間ごとに送信する。この応答要求の宛先は、たとえばブロードキャストアドレスである。
【0082】
優先度判定装置111は、たとえば、自動運転ECU112から受信する状況情報に基づいて自己の対象車両1の自動運転の状況を取得し、取得した状況に基づいて、対象車両1の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を作成する。
【0083】
詳細には、優先度判定装置111は、たとえば、対象車両1の移動に応じて新たな対応情報を作成する。
【0084】
また、優先度判定装置111は、たとえば、対応情報を更新し、更新後の対応情報として、更新前の対応情報と異なる周辺位置情報と優先度との組み合わせを含む対応情報を作成する。
【0085】
この例では、優先度は、たとえば8段階である。具体的には、優先度の値は、たとえば0~7である。優先度の値が大きいほど優先度が高い。なお、優先度の段階数が8である構成に限らず、段階数が2~7または9以上であってもよい。
【0086】
優先度判定装置111は、たとえば、自動運転ECU112から状況情報を受信するごとに周辺領域テーブルTab1を更新する。
【0087】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける優先度判定装置が作成する周辺領域テーブルの一例を示す図である。
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける優先度判定装置が設定する周辺領域の一例を示す図である。
【0088】
図3および
図4を参照して、優先度判定装置111は、たとえば、対応情報の一例である、周辺領域の位置と優先度との対応関係を示す周辺領域テーブルTab1を作成する。
【0089】
より詳細には、優先度判定装置111は、たとえば、状況情報に基づいて複数の周辺領域を設定する。この周辺領域は、たとえば、対象車両1の位置の絶対座標である(X0,Y0)、および半径rの範囲に基づいて定められ、ドーナツ状の形状を有する。周辺領域は、たとえば隣の周辺領域と接している。なお、優先度判定装置111は、複数の周辺領域を設定する構成に限らず、1つの周辺領域を設定する構成であってもよい。
【0090】
優先度判定装置111は、設定した周辺領域と、当該周辺領域に位置する外部装置181が送信するデータの車載ネットワーク10内における伝送の優先度とを対応付ける。
【0091】
より詳細には、優先度判定装置111は、たとえば、状況情報に基づいて、自己の対象車両1が住宅街を走行しているか、または見通しの良い道路を走行しているか等を判断する。
【0092】
優先度判定装置111は、たとえば、自己の対象車両1が住宅街を走行していると判断した場合、各周辺領域の優先度を以下のように設定する。
【0093】
すなわち、優先度判定装置111は、自己の対象車両1に近い周辺領域の優先度をより大きい値に設定するとともに、自己の対象車両1から離れた周辺領域の優先度をより小さい値に設定する。
【0094】
また、優先度判定装置111は、たとえば、物体の検知結果に基づいて物体の有無を検知可能な範囲(以下、検知範囲とも称する。)に含まれる周辺領域(以下、検知周辺領域とも称する。)の優先度を最も小さい値に設定する。
【0095】
具体的には、この例では、対象車両1を中心とする半径r1の円内(以下、第1周辺領域とも称する。)は検知範囲に含まれる。
【0096】
一方、対象車両1を中心とする、半径r1の円外であり、かつ半径r1より大きい半径r2の円内(以下、第2周辺領域とも称する。)、および対象車両1を中心とする、半径r2の円外であり、かつ半径r2より大きい図示しない半径r3の円内(以下、第3周辺領域とも称する。)は、検知範囲に含まれない。
【0097】
優先度判定装置111は、たとえば、第1周辺領域については、センサ113およびカメラ114によって物体の検知が可能な検知周辺領域であるので、優先度をゼロに設定する。
【0098】
また、優先度判定装置111は、第2周辺領域については、検知周辺領域でない周辺領域のうちの対象車両1に最も近い周辺領域であるので、優先度を最も高い7に設定する。
【0099】
また、優先度判定装置111は、第3周辺領域については、検知周辺領域でない周辺領域のうちの対象車両1に2番目に近い周辺領域であるので、優先度を2番目に高い6に設定する。
【0100】
車載ネットワーク10では、たとえば、大きい値の優先度の付されたデータが優先的に伝送されるので、上記設定では、対象車両1に近く、かつ検知範囲に含まれない周辺領域たとえば第2周辺領域に位置する外部装置181からのデータは、対象車両1から離れた周辺領域たとえば第3周辺領域、または検知周辺領域すなわち第1周辺領域に位置する外部装置181からのデータと比べて優先的に伝送される。
【0101】
一方、優先度判定装置111は、たとえば、自己の対象車両1が見通しの良い道路を走行していると判断した場合、自己の対象車両1に近い周辺領域、および検知周辺領域の優先度をより小さい値に設定するとともに、自己の対象車両1から離れた周辺領域の優先度をより大きい値に設定する。
【0102】
具体的には、優先度判定装置111は、たとえば、第1周辺領域については、センサ113およびカメラ114によって物体の検知が可能な検知周辺領域であるので、優先度をゼロに設定する。
【0103】
また、優先度判定装置111は、第2周辺領域については、検知周辺領域でない周辺領域のうちの対象車両1に最も近い周辺領域であるので、優先度を2番目に低い1に設定する。
【0104】
また、優先度判定装置111は、第3周辺領域については、検知周辺領域でない周辺領域のうちの対象車両1に2番目に近い周辺領域であるので、優先度を3番目に低い2に設定する。
【0105】
上記設定では、車載ネットワーク10において、対象車両1から離れた周辺領域たとえば第3周辺領域に位置する外部装置181からのデータは、対象車両1に近い周辺領域たとえば第2周辺領域、または検知周辺領域すなわち第1周辺領域に位置する外部装置181からのデータと比べて優先的に伝送される。
【0106】
優先度判定装置111は、作成した周辺領域テーブルTab1を示すテーブル情報T1を作成し、作成したテーブル情報T1を含むイーサネットフレームをスイッチ装置151経由で車外通信装置101へ送信する。
【0107】
優先度判定装置111は、テーブル情報T1を送信した後、自動運転ECU112から新たな状況情報を受信すると、周辺領域テーブルTab1を更新する。
【0108】
より詳細には、優先度判定装置111は、たとえば、送信済の周辺領域テーブルTab1(以下、更新前周辺領域テーブルTab1とも称する。)を維持しながら、新たな状況情報に基づいて新たな周辺領域テーブルTab1(以下、更新後周辺領域テーブルTab1とも称する。)を作成する。
【0109】
優先度判定装置111は、更新前周辺領域テーブルTab1と更新後周辺領域テーブルTab1とを比較し、「車両位置」および「半径」と「優先度」との組み合わせが異なる組み合わせを取得し、取得した組み合わせを示す差分テーブル情報DT1を作成する。
【0110】
優先度判定装置111は、作成した差分テーブル情報DT1を含むイーサネットフレームをスイッチ装置151経由で車外通信装置101へ送信する。
【0111】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける車外通信装置の構成を示す図である。
【0112】
図5を参照して、車外通信装置101は、車外通信部(受信部)21と、位置取得部22と、設定部23と、処理部24と、車内通信部(対応情報取得部)25とを備える。
【0113】
車外通信装置101における車内通信部25は、たとえば、スイッチ装置151と通信可能である。
【0114】
車内通信部25は、対応情報を取得する。具体的には、車内通信部25は、たとえば、優先度判定装置111からテーブル情報T1を含むイーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームからテーブル情報T1を取得し、取得したテーブル情報T1を設定部23へ出力する。
【0115】
また、車内通信部25は、たとえば、更新後の対応情報として、取得した対応情報と異なる周辺位置情報と優先度との組み合わせを取得する。具体的には、車内通信部25は、更新後の対応情報として、差分テーブル情報DT1をスイッチ装置151から受信する。
【0116】
また、車内通信部25は、たとえば、対象車両1の移動に応じて新たな対応情報を取得する。詳細には、たとえば、対応情報が優先度判定装置111において所定の頻度で更新され、かつ対象車両1が移動しているので、車内通信部25は、対象車両1の移動に応じて新たな対応情報を取得する。
【0117】
より詳細には、車内通信部25は、優先度判定装置111から差分テーブル情報DT1を含むイーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームから差分テーブル情報DT1を取得し、取得した差分テーブル情報DT1を設定部23へ出力する。
【0118】
また、車内通信部25は、自動運転ECU112から応答要求を含むイーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームから応答要求を取得し、取得した応答要求を車外通信部21へ出力する。
【0119】
車外通信部21は、たとえば、外部装置181と通信可能である。車外通信部21は、車内通信部25から応答要求を受けると、受けた応答要求を無線フレームに格納する。そして、車外通信部21は、応答要求の宛先がブロードキャストアドレスであることを確認し、当該無線フレームをブロードキャストする。
【0120】
再び
図1を参照して、外部装置181は、車外通信装置101から応答要求を含む無線フレームを受信すると、受信した無線フレームに含まれる応答要求に従って、自己の存在を示す、自動運転ECU112を宛先とする応答情報を作成し、作成した応答情報を含む無線フレームを車外通信装置101へ送信する。この応答情報には、たとえば上述の端末位置情報が含まれる。
【0121】
再び
図5を参照して、車外通信装置101における車外通信部21は、外部装置181からのデータ(以下、受信データとも称する。)を受信する。
【0122】
具体的には、車外通信部21は、外部装置181から応答情報を含む無線フレームを受信すると、受信した無線フレームから応答情報を取得し、取得した応答情報を位置取得部22および設定部23へ出力する。
【0123】
位置取得部22は、車外通信部21によって受信された受信データに基づいて、受信データの送信元の位置を示す送信元位置情報を取得する。
【0124】
より詳細には、位置取得部22は、車外通信部21から応答情報を受けると、受けた応答情報から端末位置情報を送信元位置情報として抽出し、抽出した送信元位置情報を設定部23へ出力する。
【0125】
設定部23は、位置取得部22によって取得された送信元位置情報および車内通信部25によって取得された対応情報に基づいて、受信データの優先度を設定する。
【0126】
より詳細には、設定部23は、車内通信部25からテーブル情報T1を受けると、受けたテーブル情報T1の示す周辺領域テーブルTab1(
図3参照)を保持する。
【0127】
また、設定部23は、車内通信部25から差分テーブル情報DT1を受けると、受けた差分テーブル情報DT1に基づいて周辺領域テーブルTab1を更新する。
【0128】
設定部23は、車外通信部21から応答情報を受け、かつ位置取得部22から対応の送信元位置情報を受けると、受けた送信元位置情報および周辺領域テーブルTab1に基づいて応答情報の優先度を設定する。
【0129】
より詳細には、設定部23は、周辺領域テーブルTab1に含まれる各周辺領域のうち、送信元位置情報の示す絶対座標を含む周辺領域を特定し、特定した周辺領域に対応する優先度を応答情報の優先度として設定する。設定部23は、設定した優先度および応答情報を処理部24へ出力する。
【0130】
処理部24は、設定部23によって設定された優先度に応じて受信データを処理する。
【0131】
より詳細には、処理部24は、設定部23から優先度および応答情報を受けると、受けた優先度を確認する。
【0132】
処理部24は、たとえば、確認した優先度の値が所定のしきい値Th1以上である場合、優先度および応答情報を車内通信部25へ出力する。
【0133】
一方、処理部24は、たとえば、確認した優先度の値がしきい値Th1より小さい場合、応答情報を破棄する。
【0134】
車内通信部25は、処理部24から優先度および応答情報を受けると、受けた応答情報を含むイーサネットフレームを作成するとともに、以下の処理を行う。
【0135】
すなわち、車内通信部25は、たとえば、当該イーサネットフレームにおける優先制御フィールド、具体的にはタグVLAN(Virtual Local Area Network)の規格に従うCoS(Class of Service)の値を優先度の示す値に設定する。
【0136】
そして、車内通信部25は、作成したイーサネットフレームをスイッチ装置151へ送信する。
【0137】
なお、車内通信部25は、CoSの値を設定する構成に限らず、たとえば、応答情報がIPプロトコルに従って伝送される場合、IPv4ヘッダにおけるToS(Type of Service)またはIPv6ヘッダにおけるTC(Traffic Class)の値を設定する構成であってもよい。
【0138】
再び
図2を参照して、スイッチ装置151は、車外通信装置101からイーサネットフレームを受信すると、受信したイーサネットフレームにおけるCoSの値を確認し、確認した値に応じた優先度でイーサネットフレームを自動運転ECU112へ送信する。
【0139】
より詳細には、スイッチ装置151は、たとえば、中継対象のイーサネットフレームのトラフィック量が所定値以上である場合、CoSの値に応じて、イーサネットフレームの破棄および転送を行う。
【0140】
自動運転ECU112は、スイッチ装置151からイーサネットフレームを受信すると、たとえば、受信したイーサネットフレームを図示しない受信バッファに保持するとともに、受信したイーサネットフレームにおけるCoSの値を確認する。
【0141】
自動運転ECU112は、たとえば、受信バッファにおけるデータ量が所定値以上である場合、CoSの値に応じて受信バッファにおけるイーサネットフレームを破棄する。
【0142】
また、自動運転ECU112は、破棄対象でないイーサネットフレームについては、当該イーサネットフレームから応答情報を取得し、取得した応答情報に含まれる端末位置情報に基づいて、自己の対象車両1の周辺における歩行者、他の車両2および路側機等の位置を認識し、認識結果を考慮して自己の対象車両1の運転を制御する。
【0143】
なお、車外通信装置101では、外部装置181から受信する応答情報を優先度の設定対象とする構成であるとしたが、これに限定するものではない。外部装置181から受信する他の情報を優先度の設定対象とする構成であってもよい。
【0144】
[周辺領域の他の設定例1]
図6は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける優先度判定装置が作成する周辺領域テーブルの一例を示す図である。
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける優先度判定装置が設定する周辺領域の一例を示す図である。
図7には、優先度の値が7に設定された周辺領域の一例が示される。
【0145】
図6および
図7を参照して、優先度判定装置111は、たとえば、対応情報の一例である、周辺領域の位置と優先度との対応関係を示す周辺領域テーブルTab2を作成する。
【0146】
より詳細には、優先度判定装置111は、たとえば、自動運転ECU112から受信した状況情報に基づいて、自己の対象車両1が住宅街を走行しているか、または見通しの良い道路を走行しているか等を判断する。
【0147】
優先度判定装置111は、たとえば、自己の対象車両1が住宅街を走行していると判断した場合、状況情報に基づいて、
図7に示すように、自己の対象車両1の前方20メートルにおける周辺領域、右斜め前10メートルにおける周辺領域、および左斜め前10メートルにおける周辺領域を設定する。
【0148】
より詳細には、優先度判定装置111は、たとえば、状況情報に基づいて、対象車両1の位置の絶対座標である(X0,Y0)、対象車両1が走行する方向である正面方向を基準とする方位角αの範囲、および対象車両1からの距離rの範囲を指定することにより、これらの周辺領域を設定する。そして、優先度判定装置111は、設定したこれらの周辺領域の優先度の値をたとえば7に設定する。
【0149】
また、優先度判定装置111は、上記各周辺領域と異なる1または複数の周辺領域をさらに設定し、設定した周辺領域の優先度の値をたとえば6以下に設定する。
【0150】
一方、優先度判定装置111は、たとえば、自己の対象車両1が見通しの良い道路を走行していると判断した場合、図示しないが、自己の対象車両1の前方100メートルにおける周辺領域を設定し、設定した周辺領域の優先度の値をたとえば7に設定する。
【0151】
また、優先度判定装置111は、上記周辺領域と異なる1または複数の周辺領域をさらに設定し、設定した周辺領域の優先度の値をたとえば6以下に設定する。
【0152】
優先度判定装置111は、設定結果に基づいて、周辺領域テーブルTab2を示すテーブル情報T2を作成し、作成したテーブル情報T2を含むイーサネットフレームをスイッチ装置151経由で車外通信装置101へ送信する。
【0153】
[周辺領域の他の設定例2]
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける優先度判定装置が作成する周辺領域テーブルの一例を示す図である。
図9は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおける優先度判定装置が設定する周辺領域の一例を示す図である。
【0154】
図8および
図9を参照して、優先度判定装置111は、たとえば、対応情報の一例である、周辺領域の位置と優先度との対応関係を示す周辺領域テーブルTab3を作成する。
【0155】
より詳細には、優先度判定装置111は、たとえば、自動運転ECU112から受信した状況情報に基づいて複数の周辺領域を設定する。この周辺領域は、たとえば、対象車両1が走行する方向である正面方向と、絶対座標に基づく基準位置と、指定された長さLおよび幅Wとに基づいて定められる方形のメッシュMesである。各メッシュMesのサイズは、同じであってもよいし、異なってもよい。メッシュMesは、たとえば隣のメッシュMesと接している。また、基準位置は、たとえばメッシュMesの中心に位置する。
【0156】
そして、優先度判定装置111は、たとえば、状況情報に基づいて、自己の対象車両1が住宅街を走行していると判断した場合、各メッシュMesの優先度を以下のように設定する。
【0157】
すなわち、優先度判定装置111は、
図9に示すように、たとえば、自己の対象車両1の位置(X0,Y0)より後方に位置するメッシュMesと、自己の対象車両1の位置(X0,Y0)より前方に位置する各メッシュMesのうち、検知範囲に含まれるメッシュMesおよび自己の対象車両1から離れたメッシュMesとの優先度の値をより小さい値に設定する。
【0158】
また、優先度判定装置111は、自己の対象車両1の位置(X0,Y0)より前方に位置する各メッシュMesのうち、検知範囲に含まれず、かつ自己の対象車両1に近いメッシュMesの優先度をより大きい値に設定する。
【0159】
一方、優先度判定装置111は、たとえば、自己の対象車両1が見通しの良い道路を走行していると判断した場合、各メッシュMesの優先度を以下のように設定する。
【0160】
すなわち、優先度判定装置111は、たとえば、自己の対象車両1の位置(X0,Y0)より後方に位置するメッシュMesと、自己の対象車両1の位置(X0,Y0)より前方に位置する各メッシュMesのうち、検知範囲に含まれるメッシュMesおよび自己の対象車両1に近いメッシュMesとの優先度の値をより小さい値に設定する。
【0161】
また、優先度判定装置111は、自己の対象車両1の位置(X0,Y0)より前方に位置する各メッシュMesのうち、検知範囲に含まれず、かつ自己の対象車両1から離れたメッシュMesの優先度をより大きい値に設定する。
【0162】
優先度判定装置111は、設定結果に基づいて、周辺領域テーブルTab3を示すテーブル情報T3を作成し、作成したテーブル情報T3を含むイーサネットフレームをスイッチ装置151経由で車外通信装置101へ送信する。
【0163】
[動作の流れ]
車載通信システム301における各装置は、コンピュータを備え、当該コンピュータにおけるCPU等の演算処理部は、以下のシーケンス図またはフローチャートの各ステップの一部または全部を含むプログラムを図示しないメモリからそれぞれ読み出して実行する。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、外部からインストールすることができる。これら複数の装置のプログラムは、それぞれ、記録媒体に格納された状態で流通する。
【0164】
図10は、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムにおいて、車外通信装置が受信データに優先度を設定する際のシーケンスの一例を示す図である。
【0165】
図10を参照して、まず、自動運転ECU112は、状況情報を作成し、作成した状況情報を登録先の優先度判定装置111へ送信する(ステップS102)。
【0166】
次に、優先度判定装置111は、自動運転ECU112から状況情報を受信すると、受信した状況情報に基づいて周辺領域テーブルTab1を作成する(ステップS104)。
【0167】
次に、優先度判定装置111は、作成した周辺領域テーブルTab1を示すテーブル情報T1をスイッチ装置151経由で車外通信装置101へ送信する(ステップS106)。
【0168】
次に、車外通信装置101は、優先度判定装置111からテーブル情報T1を受信すると、受信したテーブル情報T1の示す周辺領域テーブルTab1を保持する(ステップS108)。
【0169】
次に、自動運転ECU112は、新たな状況情報を作成し、作成した新たな状況情報を登録先の優先度判定装置111へ送信する(ステップS110)。
【0170】
次に、優先度判定装置111は、自動運転ECU112から新たな状況情報を受信すると、受信した新たな状況情報に基づいて周辺領域テーブルTab1を更新する(ステップS112)。
【0171】
次に、優先度判定装置111は、更新前周辺領域テーブルTab1と更新後周辺領域テーブルTab1とを比較し、「車両位置」および「半径」と「優先度」との組み合わせが異なる組み合わせを取得し、取得した組み合わせを示す差分テーブル情報DT1を作成する(ステップS114)。
【0172】
次に、優先度判定装置111は、作成した差分テーブル情報DT1をスイッチ装置151経由で車外通信装置101へ送信する(ステップS116)。
【0173】
次に、車外通信装置101は、優先度判定装置111から差分テーブル情報DT1を受信すると、受信した差分テーブル情報DT1に基づいて周辺領域テーブルTab1を更新する(ステップS118)。
【0174】
次に、自動運転ECU112は、ブロードキャストアドレスを宛先とする応答要求をスイッチ装置151経由で車外通信装置101へ送信する(ステップS120)。
【0175】
次に、車外通信装置101は、自動運転ECU112から応答要求を受信すると、受信した応答要求をブロードキャストする(ステップS122)。
【0176】
次に、外部装置181は、応答要求を受信すると、受信した応答要求に応答して自動運転ECU112を宛先とする応答情報を車外通信装置101へ送信する(ステップS124)。
【0177】
次に、車外通信装置101は、外部装置181から応答情報を受信すると、受信した応答情報から端末位置情報すなわち送信元位置情報を取得する(ステップS126)。
【0178】
次に、車外通信装置101は、周辺領域テーブルTab1および送信元位置情報に基づいて応答情報の優先度を設定する(ステップS128)。
【0179】
次に、車外通信装置101は、たとえば、設定した優先度の値がしきい値Th1以上である場合、設定した優先度を付した応答情報をスイッチ装置151経由で自動運転ECU112へ送信する(ステップS130)。
【0180】
なお、車外通信装置101は、上記ステップS130において、設定した優先度の値がしきい値Th1より小さい場合、応答情報を破棄してもよい。
【0181】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車外通信装置では、外部装置181と通信可能な車外通信部21を備える構成であるとしたが、これに限定するものではない。車外通信装置101は、車外通信部21の代わりに、単に外部装置181からのデータを受信する受信部を備える構成であってもよい。
【0182】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車外通信装置では、位置取得部22は、受信データから送信元位置情報を取得する構成であるとしたが、これに限定するものではない。位置取得部22は、受信データに基づいて送信元位置情報を作成する構成であってもよい。具体的には、たとえば、車外通信部21が外部装置181から送信された無線フレームを含む電波の受信強度、および当該電波の到来角を計測する構成において、位置取得部22は、以下の動作を行う。すなわち、位置取得部22は、車外通信部21によって計測された受信強度および到来角に基づいて、自己の車外通信装置101と外部装置181との間の距離、および自己に対する外部装置181への方向をそれぞれ算出する。そして、位置取得部22は、算出した距離および方向に基づいて送信元位置情報を作成する。
【0183】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載ネットワークでは、対応情報が更新される構成であるとしたが、これに限定するものではない。車載ネットワーク10では、対応情報が固定的に運用される構成であってもよい。この場合、対応情報は、たとえば、対象車両1を基準とする相対座標に基づいて作成される周辺位置情報と優先度との対応関係を示す。車外通信装置101は、たとえば対応情報を保持しており、状況情報の送信先として自己を自動運転ECU112に登録しておくことで、所定の頻度で状況情報を自動運転ECU112から受信する。車外通信装置101は、自動運転ECU112から受信する状況情報に基づいて、相対座標に基づく周辺位置情報を絶対座標に基づく周辺位置情報に変換し、送信元位置情報、および変換後の周辺位置と優先度との対応関係に基づいて、受信データの優先度を設定する。
【0184】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載ネットワークでは、対象車両1の移動に応じて新たな対応情報が伝送される構成であるとであるとしたが、これに限定するものではない。車載ネットワーク10では、たとえば、対象車両1が駐車場または路肩に駐車したとき、および信号等で停止したときに、新たな対応情報が伝送される構成であってもよい。この対応情報は、たとえば、駐車または停止している対象車両1が良好に発進できるような、周辺位置情報と優先度との対応関係を示す。この対応情報は、たとえば、対象車両1が発進する際に有用である。
【0185】
ところで、たとえば、特許文献1に記載の車載ネットワークが、車両の外部における外部ネットワークと接続される場合、外部ネットワークと通信するための車外通信装置が車両に設けられることがある。車外通信装置が車両の外部における無線端末装置と通信する場合において、無線端末装置の端末数が増加したり、車外通信装置および無線端末装置間での通信データ量が増加したりすると、車載ネットワークにおいて伝送されるデータ量が大幅に増加してしまう。このような場合、車載ネットワークにおいて、有用な情報が良好に伝送されないことがある。
【0186】
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係る車外通信装置は、対象車両1に搭載される。車外通信部21は、対象車両1の外部における外部装置181からのデータである受信データを受信する。位置取得部22は、車外通信部21によって受信された受信データに基づいて、受信データの送信元の位置を示す送信元位置情報を作成する。車内通信部25は、対象車両1の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を取得する。設定部23は、位置取得部22によって作成された送信元位置情報および車内通信部25によって取得された対応情報に基づいて、受信データの優先度を設定する。そして、処理部24は、設定部23によって設定された優先度に応じて受信データを処理する。
【0187】
このように、外部装置181の位置に応じた優先度を外部装置181からのデータに設定する構成により、たとえば、自動運転制御を行う場合において、物体が存在するか否かを確認すべき重要な周辺領域に位置する外部装置181からのデータに対して高い優先度を設定することができる。また、設定した優先度に応じてデータを処理する構成により、高い優先度を設定したデータを車載ネットワーク10において優先的に伝送させるための処理を行うことができる。これにより、重要な周辺領域に位置する外部装置181からのデータを、たとえば自動運転制御を行う車載装置へより確実に伝送することができる。したがって、車載ネットワークにおいて、有用な情報を良好に伝送することができる。
【0188】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車外通信装置では、対応情報は更新される。そして、車内通信部25は、更新後の対応情報として、前回取得した対応情報と異なる周辺位置情報と優先度との組み合わせを取得する。
【0189】
このように、前回と異なる周辺位置情報と優先度との組み合わせを取得する構成により、対応情報において前回と異なる部分を書き換えることができるので、対応情報の更新処理を効率よく行うことができる。また、更新後の対応情報のデータ量を減らすことができるので、たとえば車載ネットワーク10における通信負荷を軽減することができる。
【0190】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車外通信装置では、車内通信部25は、対象車両1の移動に応じて新たな対応情報を取得する。
【0191】
このような構成により、たとえば、対象車両1の移動に応じて対象車両1の周囲の交通環境が変化することで、重要な周辺領域が変化する場合においても、現在の交通環境を反映した対応情報に基づいて、当該交通環境に応じた適切な優先度を外部装置181からの受信データに対して設定することができる。
【0192】
また、本発明の第1の実施の形態に係る車載通信システムでは、車外通信装置101は、対象車両1に搭載される。優先度判定装置111は、対象車両1の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を作成し、作成した対応情報を車外通信装置101へ送信する。車外通信装置101は、対象車両1の外部における外部装置181からのデータである受信データを受信し、受信した受信データに基づいて、受信データの送信元の位置を示す送信元位置情報を作成する。そして、車外通信装置101は、優先度判定装置111から対応情報を受信し、受信した対応情報、および作成した送信元位置情報に基づいて、受信データの優先度を設定し、設定した優先度に応じて受信データを処理する。
【0193】
このように、外部装置181の位置に応じた優先度を外部装置181からのデータに設定する構成により、たとえば、自動運転制御を行う場合において、物体が存在するか否かを確認すべき重要な周辺領域に位置する外部装置181からのデータに対して高い優先度を設定することができる。また、設定した優先度に応じてデータを処理する構成により、高い優先度を設定したデータを車載ネットワーク10において優先的に伝送させるための処理を行うことができる。これにより、重要な周辺領域に位置する外部装置181からのデータを、たとえば自動運転制御を行う車載装置へより確実に伝送することができる。したがって、車載ネットワークにおいて、有用な情報を良好に伝送することができる。
【0194】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る車載通信システムと同様である。
【0195】
<第2の実施の形態>
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る優先度判定装置の構成を示す図である。
【0196】
図11を参照して、優先度判定装置111は、通信部31と、処理部32とを備える。
通信部31は、スイッチ装置151を介して他の装置とイーサネットフレームの送受信を行う。
【0197】
処理部32は、スイッチ装置151経由で受信した状況情報等の各種情報に基づいて、対象車両1の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と、当該周辺領域に位置する装置が送信するデータの車載ネットワーク10における伝送の優先度との対応関係を示す対応情報を作成し、通信部31へ出力する。
【0198】
通信部31は、処理部32から受けた対応情報をスイッチ装置151経由で車外通信装置101へ送信する。
【0199】
本発明の第1の実施の形態に係る優先度判定装置と同様に、処理部32は、たとえば、対象車両1の移動に応じて新たな対応情報を作成する。また、処理部32は、たとえば、対応情報を更新し、更新後の対応情報として、更新前の対応情報と異なる周辺位置情報と優先度との組み合わせを含む対応情報を作成する。
【0200】
[周辺領域テーブルの例]
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信システムにおける優先度判定装置が作成する周辺領域テーブルの一例を示す図である。
【0201】
処理部32は、対象車両1に対する周辺領域の相対位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を作成する。
【0202】
具体的には、
図12を参照して、処理部32は、たとえば、対象車両1の位置を基準とした座標系であって、対象車両1の進行方向に直交するx軸、対象車両1の進行方向に沿うy軸および対象車両1の高さ方向に沿うz軸による座標系を設定する。
【0203】
処理部32は、対象車両1の位置に対する相対座標が与えられる方形の領域ごとに優先度を設定する。処理部32は、周辺領域の位置を示す相対座標と優先度との対応関係を示す周辺領域テーブルTab4を作成する。
【0204】
なお、
図3に示す周辺領域テーブルTab1、
図6に示す周辺領域テーブルTab2、および
図8に示す周辺領域テーブルTab3も、対象車両1に対する周辺領域の相対位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報に相当する。
【0205】
図13は、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信システムにおける優先度判定装置が作成する周辺領域テーブルの一例を示す図である。
【0206】
処理部32は、対象車両1の周辺領域の絶対位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を作成する。
【0207】
具体的には、
図13を参照して、処理部32は、たとえば、GPS等による絶対座標が与えられる座標系を設定する。絶対座標は、たとえば(緯度、経度、標高)である。
【0208】
処理部32は、絶対座標が与えられる方形の領域ごとに優先度を設定する。処理部32は、周辺領域の位置を示す絶対座標と優先度との対応関係を示す周辺領域テーブルTab5を作成する。
【0209】
図14は、本発明の第2の実施の形態に係る車載通信システムにおける優先度判定装置が作成する周辺領域テーブルの一例を示す図である。
【0210】
処理部32、および車外通信装置101における設定部23は、対象車両1の周辺が複数の周辺領域に区分けされた共通のエリア分割情報を保持する。たとえば、自動運転における必要性に応じてエリア分割情報を予め対象車両1に登録することができる。
【0211】
処理部32は、エリア分割情報における上記周辺領域すなわち区分けされた領域の識別情報と優先度との対応関係を示す対応情報を作成する。
【0212】
具体的には、
図14を参照して、処理部32および設定部23は、たとえば、対象車両1の周辺を前後左右かつ同心円状に分割したエリア分割情報を保持する。エリア分割情報における各周辺領域にはエリアIDが付与されている。なお、エリア分割情報は、対象車両1の高さ方向の周辺領域を含んでもよい。
【0213】
処理部32は、エリアIDごとに優先度を設定する。具体的には、たとえば、処理部32は、物体検知の難易度に応じて各周辺領域の優先度を設定する。
【0214】
処理部32は、周辺位置を示すエリアIDと優先度との対応関係を示す周辺領域テーブルTab6を作成する。周辺領域テーブルTab6は、対象車両1に対する周辺領域の相対位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報に相当する。
【0215】
また、たとえば、処理部32および車外通信装置101は、複数種類のエリア分割情報を保持する。
【0216】
処理部32は、エリア分割情報の識別情報を通信部31経由で車外通信装置101へ送信することにより、エリア分割情報を切り替える。
【0217】
より詳細には、エリア分割情報にはマップIDが付与されている。処理部32は、たとえばマップID=2を示すマップ切り替え指示SIを通信部31経由で車外通信装置101へ送信し、マップID=2のエリア分割情報に切り替える。
【0218】
また、車外通信装置101における設定部23は、車内通信部25経由でマップ切り替え指示を受信して、マップID=2のエリア分割情報に切り替える。
【0219】
処理部32は、対象車両1の周辺環境等に応じてエリア分割情報を切り替える。具体的には、処理部32は、たとえば、対象車両1が周囲の歩行者の数に応じて自動運転ECU112により選択される通常モードおよび低速モードのいずれで走行しているかに応じてエリア分割情報を切り替える。
【0220】
なお、処理部32は、
図12~
図14に示すような3つの対応情報をすべて作成する機能を有する構成に限らず、いずれか1つまたは2つを作成する機能を有する構成であってもよい。
【0221】
[優先度の設定例]
たとえば、処理部32は、スイッチ装置151経由で受信した状況情報等の各種情報に基づいて、対応情報における優先度を設定する。
【0222】
より詳細には、処理部32は、たとえば、対象車両1の、走行方向、走行速度、走行道路、走行位置、走行モード、走行予定経路、および対象車両1の周囲における物体の検知結果のうちの少なくともいずれか1つに応じて上記優先度を設定する。
【0223】
具体的には、たとえば、処理部32は、対象車両1の前方の領域の優先度を高く設定する。
【0224】
また、たとえば、処理部32は、対象車両1の走行速度の高低に応じて優先度の設定内容を変更する。
【0225】
また、たとえば、処理部32は、対象車両1が高速道路および一般道路等のいずれを走行しているかに応じて優先度の設定内容を変更する。
【0226】
また、たとえば、処理部32は、交差点、合流地点および他車両の進入が予測される地点等の領域の優先度を高く設定する。
【0227】
また、たとえば、処理部32は、対象車両1が市街地および郊外のいずれを走行しているかに応じて優先度の設定内容を変更する。
【0228】
また、たとえば、処理部32は、対象車両1が通常モードおよび低速モードのいずれで走行しているかに応じて優先度の設定内容を変更する。
【0229】
また、たとえば、処理部32は、対象車両1が、交通量の多い交差点を間もなく通過するか否かに応じて優先度の設定内容を変更する。
【0230】
また、たとえば、処理部32は、対象車両1が物体を検知できている領域であるか否かに応じて優先度の設定内容を変更する。これにより、たとえば、対象車両1のセンサ113等によるカバーが十分でない周辺領域からのデータを優先して伝送することができる。
【0231】
あるいは、たとえば、処理部32は、対象車両1外から取得した、たとえば車外通信装置101およびスイッチ装置151経由で外部装置181から受信した、対象車両1周辺の交通事象に関する事象情報に基づいて対応情報を作成する。
【0232】
具体的には、事象情報は、たとえば、飛び出し等による交通事故の多い地点である旨の情報、または道路工事が行われる旨の情報である。この場合、処理部32は、事象情報に対応する周辺領域の優先度を高く設定する。
【0233】
また、処理部32は、自己が保持している事象情報に基づいて対応情報を作成する。この事象情報は、たおてば対象車両1の走行中に処理部32が対象車両1外から受信した事象情報であってもよいし、予め対象車両1に登録された事象情報であってもよい。
【0234】
なお、処理部32は、事象情報を保持せず、対象車両1外から随時受信する事象情報に基づいて対応情報を作成してもよいし、対象車両1外から事象情報を受信することなく、予め保持している事象情報に基づいて対応情報を作成してもよい。
【0235】
以上のように、本発明の第2の実施の形態に係る車載装置では、処理部32は、対象車両1の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と、当該周辺領域に位置する装置が送信するデータの車載ネットワーク10における伝送の優先度との対応関係を示す対応情報を作成する。そして、通信部31は、処理部32によって作成された対応情報を、対象車両1に搭載され、かつ対象車両1の外部における外部装置181と通信可能な車外通信装置101へ送信する。
【0236】
このような構成により、車外通信装置101において、外部装置181の位置に応じた優先度を外部装置181からのデータに設定することができる。たとえば、自動運転制御を行う場合において、物体が存在するか否かを確認すべき重要な周辺領域に位置する外部装置181からのデータに対して高い優先度を設定することができる。また、車外通信装置101において、設定した優先度に応じてデータを処理することができる。たとえば、高い優先度を設定したデータを車載ネットワーク10において優先的に伝送させるための処理を行うことができる。これにより、重要な周辺領域に位置する外部装置181からのデータを、たとえば自動運転制御を行う車載装置へより確実に伝送することができる。
【0237】
したがって、本発明の第2の実施の形態に係る車載装置では、車載ネットワークにおいて、有用な情報を良好に伝送することができる。
【0238】
また、本発明の第2の実施の形態に係る車載装置では、処理部32は、対象車両1に対する周辺領域の相対位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を作成する。
【0239】
このような構成により、自動運転制御等を行う場合において、たとえば、対象車両1に搭載されたセンサ等では物体検知が困難な周辺領域に位置する外部装置181からのデータに対して高い優先度を設定することができる。
【0240】
また、本発明の第2の実施の形態に係る車載装置では、処理部32は、対象車両1の周辺領域の絶対位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を作成する。
【0241】
このような構成により、自動運転制御等を行う場合において、たとえば、地図上の自己の対象車両1を把握することができるため、数100メートル先の交差点等、対象車両1に搭載されたセンサ等では検知が困難な周辺領域に位置する外部装置181からのデータに対して高い優先度を設定することができる。また、たとえば、飛び出し等による交通事故の多い地点である旨の情報、および道路工事が行われる旨の情報等、交通事象に関する情報を用いて適切な優先度を設定することができる。
【0242】
また、本発明の第2の実施の形態に係る車載装置では、処理部32および車外通信装置101は、対象車両1の周辺が複数の周辺領域に区分けされた共通のエリア分割情報を保持する。そして、処理部32は、エリア分割情報における上記周辺領域の識別情報と優先度との対応関係を示す対応情報を作成する。
【0243】
このような構成により、優先度判定装置111から送信されるデータの量を低減することができるため、たとえば車載ネットワーク10における通信負荷を軽減することができる。
【0244】
また、本発明の第2の実施の形態に係る車載装置では、処理部32および車外通信装置101は、複数種類のエリア分割情報を保持する。そして、処理部32は、エリア分割情報の識別情報を通信部31経由で車外通信装置101へ送信することにより、エリア分割情報を切り替える。
【0245】
このような構成により、対象車両1の周辺環境等に応じた適切な周辺領域の区分けおよび優先度の設定を採用することができる。
【0246】
また、本発明の第2の実施の形態に係る車載装置では、処理部32は、対象車両1の、走行方向、走行速度、走行道路、走行位置、走行モードおよび走行予定経路のうちの少なくともいずれか1つに応じて優先度を設定する。
【0247】
このような構成により、対象車両1の走行状況等に応じた適切な優先度を設定することができる。
【0248】
また、本発明の第2の実施の形態に係る車載装置では、処理部32は、対象車両1の周囲における物体の検知結果、対象車両1外から取得した対象車両1周辺の交通事象に関する事象情報、および自己が保持している事象情報のうちの少なくともいずれか1つに応じて優先度を設定する。
【0249】
このような構成により、対象車両1の周辺環境等に応じた適切な優先度を設定することができる。
【0250】
また、本発明の第2の実施の形態に係る通信制御方法では、まず、対象車両1の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と、周辺領域に位置する装置が送信するデータの車載ネットワーク10における伝送の優先度との対応関係を示す対応情報を作成する。次に、作成した対応情報を、対象車両1に搭載され、かつ対象車両1の外部における外部装置181と通信可能な車外通信装置101へ送信する。
【0251】
このような方法により、車外通信装置101において、外部装置181の位置に応じた優先度を外部装置181からのデータに設定することができる。たとえば、自動運転制御を行う場合において、物体が存在するか否かを確認すべき重要な周辺領域に位置する外部装置181からのデータに対して高い優先度を設定することができる。また、車外通信装置101において、設定した優先度に応じてデータを処理することができる。たとえば、高い優先度を設定したデータを車載ネットワーク10において優先的に伝送させるための処理を行うことができる。これにより、重要な周辺領域に位置する外部装置181からのデータを、たとえば自動運転制御を行う車載装置へより確実に伝送することができる。
【0252】
したがって、本発明の第2の実施の形態に係る通信制御方法では、車載ネットワークにおいて、有用な情報を良好に伝送することができる。
【0253】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る車載通信システムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0254】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0255】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
【0256】
[付記1]
車両に搭載される車外通信装置であって、
前記車両の外部における外部装置からのデータを受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記データに基づいて、前記データの送信元の位置を示す送信元位置情報を作成する位置取得部と、
前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を取得する対応情報取得部と、
前記位置取得部によって作成された前記送信元位置情報および前記対応情報取得部によって取得された前記対応情報に基づいて、前記データの優先度を設定する設定部と、
前記設定部によって設定された前記優先度に応じて前記データを処理する処理部とを備え、
前記外部装置は、移動する歩行者に保持される無線端末装置、移動する他の車両に設置される無線端末装置、または道路の近傍に設けられた路側機であり、
前記外部装置は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波に基づいて自己の位置を取得し、取得した位置を示す端末位置情報を含むデータを送信し、
前記位置取得部は、前記データから前記端末位置情報を前記送信元位置情報として取得し、
前記処理部は、前記設定部によって設定された前記優先度と所定のしきい値とを比較し、比較結果に基づいて前記データの送信または破棄を行う、車外通信装置。
【0257】
[付記2]
車両に搭載される車外通信装置と、
前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と優先度との対応関係を示す対応情報を作成し、作成した前記対応情報を前記車外通信装置へ送信する車載装置とを備え、
前記車外通信装置は、前記車両の外部における外部装置からのデータを受信し、受信した前記データに基づいて、前記データの送信元の位置を示す送信元位置情報を作成し、
前記車外通信装置は、前記車載装置から前記対応情報を受信し、受信した前記対応情報、および作成した前記送信元位置情報に基づいて、前記データの優先度を設定し、設定した前記優先度に応じて前記データを処理し、
前記外部装置は、移動する歩行者に保持される無線端末装置、移動する他の車両に設置される無線端末装置、または道路の近傍に設けられた路側機であり、
前記外部装置は、GPS衛星からの電波に基づいて自己の位置を取得し、取得した位置を示す端末位置情報を含むデータを送信し、
前記車外通信装置は、前記データから前記端末位置情報を前記送信元位置情報として取得し、
前記車外通信装置は、設定した前記優先度と所定のしきい値とを比較し、比較結果に基づいて前記データの送信または破棄を行う、車載通信システム。
【0258】
[付記3]
車両に搭載される車載装置であって、
前記車両の周辺領域の位置を示す周辺位置情報と、前記周辺領域に位置する装置が送信するデータの車載ネットワークにおける伝送の優先度との対応関係を示す対応情報を作成する処理部と、
前記処理部によって作成された前記対応情報を、前記車両に搭載され、かつ前記車両の外部における外部装置と通信可能な車外通信装置へ送信する通信部とを備え、
前記車外通信装置は、前記外部装置からのデータを受信し、受信した前記データに基づいて、前記データの送信元の位置を示す送信元位置情報を作成し、作成した前記送信元位置情報および前記対応情報に基づいて、前記データの優先度を設定し、設定した前記優先度に応じて前記データを処理し、
前記外部装置は、移動する歩行者に保持される無線端末装置、移動する他の車両に設置される無線端末装置、または道路の近傍に設けられた路側機であり、
前記外部装置は、GPS衛星からの電波に基づいて自己の位置を取得し、取得した位置を示す端末位置情報を含むデータを送信する、車載装置。
【符号の説明】
【0259】
1 対象車両
2 他の車両
10 車載ネットワーク
21 車外通信部(受信部)
22 位置取得部
23 設定部
24 処理部
25 車内通信部(対応情報取得部)
31 通信部
32 処理部
101 車外通信装置
111 優先度判定装置(車載装置)
112 自動運転ECU
113 センサ
114 カメラ
151 スイッチ装置
181 外部装置
300 通信システム
301 車載通信システム