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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】管理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/00 20060101AFI20221213BHJP
   C02F 1/66 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
C02F1/00 S
C02F1/66 510K
C02F1/66 530P
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019006361
(22)【出願日】2019-01-17
(65)【公開番号】P2020114576
(43)【公開日】2020-07-30
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 航
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-001381(JP,A)
【文献】特開2001-293484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/00-1/78
F22B37/00-37/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水装置から排出される排水に係る排水データを取得する排水データ取得部と、
前記排水を処理する排水処理装置の処理に係る処理データを取得する処理データ取得部と、
前記排水データ及び前記処理データの少なくとも一方に基づいて、前記排水装置を制御する第1制御処理及び前記排水処理装置を制御する第2制御処理の一方又は両方を実行する制御部と、を備え
前記排水装置は、複数設けられ、
前記排水処理装置は、複数の前記排水装置から排出された前記排水を処理し、
前記排水データ取得部は、複数の前記排水装置から前記排水データを取得する、
管理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1制御処理において、前記排水装置の排水量、排水タイミング、及び排水温度の少なくとも一つを制御する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2制御処理において、前記排水処理装置の処理能力、及び処理タイミングの少なくとも一つを制御する、
請求項1又は請求項2に記載の管理装置。
【請求項4】
記制御部は、複数の前記排水装置の少なくとも一部の排水量及び排水タイミングの一方又は両方を制御する、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排水を排出する排水装置として、ボイラ及び洗浄装置等が知られている。排水装置から排出される排水は、法規で定められた排水基準に適合するように排水処理装置で処理される。排水処理装置の一例として、ボイラから排出された排水を中和する中和装置が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-293484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
排水を効率良く処理するためには、排水装置から排水処理装置に適量な排水を適切なタイミングで供給することが要望される。
【0005】
本発明の態様は、排水を効率良く処理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、排水装置から排出される排水に係る排水データを取得する排水データ取得部と、前記排水を処理する排水処理装置の処理に係る処理データを取得する処理データ取得部と、前記排水データ及び前記処理データの少なくとも一方に基づいて、前記排水装置を制御する第1制御処理及び前記排水処理装置を制御する第2制御処理の一方又は両方を実行する制御部と、を備える管理装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、排水を効率良く処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る排水処理システムを模式的に示す図である。
図2図2は、第1実施形態に係る排水処理システムを示すブロック図である。
図3図3は、第1実施形態に係る第1制御処理を示すフローチャートである。
図4図4は、第1実施形態に係る第2制御処理を示すフローチャートである。
図5図5は、第2実施形態に係る排水処理システムを示すブロック図である。
図6図6は、第2実施形態に係る第1制御処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[第1実施形態]
<排水処理システム>
図1は、実施形態に係る排水処理システム1を模式的に示す図である。排水処理システム1は、排水装置2から排出された排水DWを処理する排水処理装置3と、排水装置2及び排水処理装置3を管理する管理装置10とを備える。
【0011】
排水装置2は、第1制御装置11を有する。排水処理装置3は、第2制御装置12を有する。管理装置10は、第1制御装置11及び第2制御装置12のそれぞれに接続される。管理装置10、第1制御装置11、及び第2制御装置12のそれぞれは、コンピュータシステムを含む。
【0012】
管理装置10は、第1制御装置11に排水装置2の運転状態を制御させる管理指令MD1を出力する。管理装置10は、第2制御装置12に排水処理装置3の運転状態を制御させる管理指令MD2を出力する。第1制御装置11は、管理指令MD1に基づいて、排水装置2の運転状態を制御する制御指令CD1を出力する。第2制御装置12は、管理指令MD2に基づいて、排水処理装置3の運転状態を制御する制御指令CD2を出力する。
【0013】
実施形態においては、排水装置2がボイラであることとする。以下の説明においては、排水装置2を適宜、ボイラ2、と称する。
【0014】
(ボイラ)
ボイラ2は、ボイラ水BWを加熱して蒸気VAを生成する蒸気ボイラである。ボイラ2は、ボイラ本体20と、ボイラ本体20に供給されるボイラ水BWが流通する給水ライン21と、ボイラ本体20から排出された排水DWが流通する排水ライン22と、ボイラ本体20で生成された蒸気VAが流通する蒸気ライン23と、ボイラ本体20に供給される燃料FUが流通する燃料ライン24と、ボイラ本体20から排出された排ガスEGが流通する排ガスライン25と、排水ライン22を流通する排水DWの流量を調整する排水バルブ26と、排水ライン22を流通する排水DWの温度を検出する排水温度センサ27と、排水ライン22を流通する排水DWの流量を検出する流量センサ28と有する。
【0015】
ボイラ本体20は、ボイラ水BWが流通する水管と、水管を流通するボイラ水BWを加熱するバーナとを有する。ボイラ水BWは、給水ライン21を介して水管に供給される。バーナは、燃料ライン24を介して供給された燃料FUを噴射する。バーナから噴射された燃料FUが燃焼することにより、水管に供給されたボイラ水BWが加熱され、蒸気VAが生成される。ボイラ水BWの加熱により生成された蒸気VAは、ボイラ本体20から排出され、蒸気ライン23を流通する。蒸気ライン23を流通した蒸気VAは、蒸気使用機器に供給される。燃料FUの燃焼により生成された排ガスEGは、ボイラ本体20から排出され、排ガスライン25を流通する。排ガスライン25を流通した排ガスEGは、排水処理装置3に供給される。ボイラ本体20に保有されているボイラ水BWの少なくとも一部は、排水DWとしてボイラ本体20から排出され、排水ライン22を流通する。排水ライン22を流通した排水DWは、排水処理装置3に供給される。
【0016】
排水バルブ26は、排水ライン22に配置される。排水バルブ26は、排水処理装置3に供給される排水DWの流量を調整する。排水DWの流量の調整は、排水DWの流通停止を含む。排水バルブ26が開くことにより、排水処理装置3に排水DWが供給される。排水バルブ26が閉じることにより、排水処理装置3に対する排水DWの供給が停止される。第1制御装置11は、排水バルブ26を作動させる制御指令CD1を出力する。排水バルブ26は、第1制御装置11から出力された制御指令CD1に基づいて、排水DWの流量を調整する。
【0017】
ボイラ本体20に保有されているボイラ水BWが加熱され、蒸気VAが生成されると、ボイラ水BWに溶解している硬度成分のような溶解物質が徐々に濃縮され、ボイラ水BWにおける溶解物質の濃度が高くなる。第1制御装置11は、溶解物質の濃度が予め定められている基準値以下になるように、排水バルブ26を開いて、ボイラ本体20に保有されているボイラ水BWの少なくとも一部をボイラ本体20から排水DWとして排出させる。給水ライン21を介して新規なボイラ水BWがボイラ本体20に供給されることにより、ボイラ本体20に保有されているボイラ水BWにおける溶解物質の濃度が基準値以下に維持される。
【0018】
排水温度センサ27は、ボイラ2から排出され、排水ライン22を流通する排水DWの温度を示す排水温度Tdを検出する。排水温度センサ27は、排水ライン22に配置される。
【0019】
流量センサ28は、ボイラ2から排出され、排水ライン22を流通する排水DWの流量を示す排水量Fdを検出する。流量センサ28は、排水ライン22に配置される。
【0020】
(排水処理装置)
排水処理装置3は、ボイラ本体20から排出された排水DWを法規で定められた排水基準に適合するように処理する。ボイラ本体20から排出される排水DWは、アルカリ性であり高温度である。排水処理装置3による処理は、排水DWを中和する中和処理及び排水DWを冷却する冷却処理を含む。以下の説明においては、排水処理装置3により排水基準に適合するように処理された後の排水DWを適宜、処理水TW、と称する。処理水TWは、排水処理装置3から放流される。
【0021】
排水処理装置3は、ボイラ本体20から排出された排水DWを貯留する貯留槽4と、排水DWを中和する中和装置5と、排水DWを冷却する冷却装置6とを有する。
【0022】
貯留槽4は、排水ライン22に接続される。ボイラ本体20から排出された排水DWは、排水ライン22を介して貯留槽4に供給される。
【0023】
中和装置5は、排水DWに中和剤NTを供給して、排水DWを中和する。中和剤NTは、酸性である。実施形態においては、中和剤NTとして、主中和剤NTm及び副中和剤NTsの一方又は両方が使用される。副中和剤NTsのpH(水素イオン濃度指数)は、主中和剤NTmのpHよりも小さい。
【0024】
実施形態においては、主中和剤NTmとして、ボイラ本体20から排出された排ガスEGが使用される。副中和剤NTsとして、炭酸ガスが使用される。
【0025】
中和装置5は、副中和剤供給装置50と、排ガスライン25に接続される主中和剤ライン51と、副中和剤供給装置50に接続される副中和剤ライン52と、主中和剤ライン51及び副中和剤ライン52のそれぞれに接続される合流ライン53と、合流ライン53に接続されるエゼクタ54と、主中和剤ライン51に配置される主中和剤バルブ55及びエアバルブ56と、副中和剤ライン52に配置される副中和剤バルブ57とを有する。
【0026】
副中和剤供給装置50は、炭酸ガスボンベを含み、副中和剤NTsである炭酸ガスを供給する。
【0027】
主中和剤ライン51は、ボイラ本体20から排出され、排ガスライン25を介して供給された主中和剤NTmである排ガスEGを流通させる。
【0028】
副中和剤ライン52は、副中和剤供給装置50から供給された副中和剤NTsである炭酸ガスを流通させる。
【0029】
主中和剤バルブ55は、主中和剤ライン51を流通する主中和剤NTmの流量を調整する。主中和剤NTmの流量の調整は、主中和剤NTmの流通停止を含む。主中和剤バルブ55が開くことにより、合流ライン53に主中和剤NTmが供給される。主中和剤バルブ55が閉じることにより、合流ライン53に対する主中和剤NTmの供給が停止される。第2制御装置12は、主中和剤バルブ55を作動させる制御指令CD2を出力する。主中和剤バルブ55は、第2制御装置12から出力された制御指令CD2に基づいて、主中和剤NTmの流量を調整する。
【0030】
エアバルブ56は、主中和剤ライン51を流通するエアの流量を調整する。エアの流量の調整は、エアの流通停止を含む。エアバルブ56が開くことにより、合流ライン53にエアが供給される。エアバルブ56が閉じることにより、合流ライン53に対するエアの供給が停止される。第2制御装置12は、エアバルブ56を作動させる制御指令CD2を出力する。エアバルブ56は、第2制御装置12から出力された制御指令CD2に基づいて、エアの流量を調整する。
【0031】
副中和剤バルブ57は、副中和剤ライン52を流通する副中和剤NTsの流量を調整する。副中和剤NTsの流量の調整は、副中和剤NTsの流通停止を含む。副中和剤バルブ57が開くことにより、合流ライン53に副中和剤NTsが供給される。副中和剤バルブ57が閉じることにより、合流ライン53に対する副中和剤NTsの供給が停止される。第2制御装置12は、副中和剤バルブ57を作動させる制御指令CD2を出力する。副中和剤バルブ57は、第2制御装置12から出力された制御指令CD2に基づいて、副中和剤NTsの流量を調整する。
【0032】
合流ライン53は、主中和剤NTm及び副中和剤NTsの一方又は両方を含む中和剤NTを流通させる。実施形態においては、中和剤NTとして、専ら主中和剤NTmが使用され、必要に応じて主中和剤NTmと副中和剤NTsとの混合物が使用される。中和剤NTとして主中和剤NTmを使用する場合、第2制御装置12は、主中和剤バルブ55を開き、副中和剤バルブ57を閉じる。これにより、主中和剤NTmは、合流ライン53を流通する。中和剤NTとして主中和剤NTmと副中和剤NTsとの混合物を使用する場合、第2制御装置12は、主中和剤バルブ55及び副中和剤バルブ57の両方を開く。これにより、主中和剤ライン51を流通した主中和剤NTmと副中和剤ライン52を流通した副中和剤NTsとが合流ライン53で合流し、主中和剤NTmと副中和剤NTsとの混合物が生成される。主中和剤NTmと副中和剤NTsとの混合物は、合流ライン53を流通する。合流ライン53を流通した中和剤NTは、エゼクタ54に供給される。
【0033】
冷却装置6は、冷却器60と、貯留槽4と冷却器60とを接続する第1流通ライン61と、冷却器60と貯留槽4とを接続する第2流通ライン62と、第1流通ライン61に配置される循環ポンプ63と、冷却器60に接続される冷媒供給ライン64と、冷却器60に接続される冷媒排出ライン65と、冷媒供給ライン64に配置される冷媒バルブ66とを有する。
【0034】
冷却器60は、排水DWを冷却する。冷却器60は、冷媒REとの熱交換により排水DWを冷却する熱交換器を含む。冷却器60は、排水DWが流入する流入口60Aと、排水DWが流出する流出口60Bと、冷媒REが流入する冷媒入口60Cと、冷媒REが流出する冷媒出口60Dとを有する。
【0035】
第1流通ライン61は、貯留槽4の上部と冷却器60の流入口60Aとを接続する。循環ポンプ63の作動により、貯留槽4から流出した排水DWは、第1流通ライン61を流通した後、流入口60Aを介して冷却器60に供給される。
【0036】
第2流通ライン62は、冷却器60の流出口60Bと貯留槽4の下部とを接続する。冷却器60において冷却された排水DWは、流出口60Bから流出した後、第2流通ライン62を介して貯留槽4に供給される。
【0037】
冷媒供給ライン64は、冷却器60の冷媒入口60Cに接続される。冷媒REは、冷媒供給ライン64を流通した後、冷媒入口60Cを介して冷却器60に供給される。
【0038】
冷媒排出ライン65は、冷却器60の冷媒出口60Dに接続される。排水DWを冷却した冷媒REは、冷媒出口60Dから流出した後、冷媒排出ライン65を流通する。
【0039】
冷媒バルブ66は、冷媒供給ライン64を流通する冷媒REの流量を調整する。冷媒REの流量の調整は、冷媒REの流通停止を含む。冷媒バルブ66が開くことにより、冷却器60に冷媒REが供給される。冷媒バルブ66が閉じることにより、冷却器60に対する冷媒REの供給が停止される。第2制御装置12は、冷媒バルブ66を作動させる制御指令CD2を出力する。冷媒バルブ66は、第2制御装置12から出力された制御指令CD2に基づいて、冷媒REの流量を調整する。
【0040】
エゼクタ54は、第2流通ライン62に配置される。エゼクタ54は、冷却器60から流出した排水DWが流入する入口54Aと、排水DWが流出する出口54Bと、中和剤NTが流入する吸引口54Cとを有する。入口54Aは、第2流通ライン62の一部を介して冷却器60の流出口60Bに接続される。出口54Bは、第2流通ライン62の一部を介して貯留槽4に接続される。吸引口54Cは、合流ライン53に接続される。
【0041】
エゼクタ54は、排水DWと中和剤NTとを混合して、排水DWを中和する。冷却器60から流出し、第2流通ライン62の一部を流通した排水DWは、入口54Aを介してエゼクタ54に供給される。合流ライン53を流通した中和剤NTは、吸引口54Cを介してエゼクタ54に供給される。エゼクタ54は、排水DWの流通により発生する負圧を利用して、吸引口54Cから中和剤NTを吸引する。入口54Aを介してエゼクタ54に供給された排水DWと吸引口54Cを介してエゼクタ54に供給された中和剤NTとが混合される。エゼクタ54において発生する乱流効果により排水DWが撹拌され、排水DWと中和剤NTとは十分に混合される。中和剤NTと混合されることにより、排水DWは中和される。エゼクタ54において中和剤NTが混合された排水DWは、出口54Bから流出した後、第2流通ライン62を介して貯留槽4に供給される。
【0042】
貯留槽4、第1流通ライン61、冷却器60、エゼクタ54、及び第2流通ライン62により、排水DWが循環する循環ライン67が形成される。循環ポンプ63は、循環ライン67において排水DWを循環させる。循環ポンプ63は、循環ライン67を流通する排水DWの流量を調整する。排水DWの流量の調整は、排水DWの流通停止を含む。循環ポンプ63が作動することにより、循環ライン67において排水DWが流通する。循環ポンプ63の作動が停止することにより、循環ライン67における排水DWの流通が停止される。第2制御装置12は、循環ポンプ63を作動させる制御指令CD2を出力する。循環ポンプ63は、第2制御装置12から出力された制御指令CD2に基づいて、排水DWの流量を調整する。
【0043】
貯留槽4から流出した排水DWは、第1流通ライン61を介して冷却器60に供給される。冷却器60において冷却された排水DWは、第2流通ライン62の一部を介してエゼクタ54に供給される。エゼクタ54において中和剤NTと混合された排水DWは、第2流通ライン62の一部を介して貯留槽4に戻される。冷却器60及びエゼクタ54を含む循環ライン67を排水DWが循環することにより、排水DWのpH及び温度が排水基準に適合するように調整される。貯留槽4に貯留される排水DWは、排水基準に適合する処理水TWに遷移する。
【0044】
排水処理装置3は、貯留槽4に接続される放流ライン41と、放流ライン41に配置される放流バルブ42とを有する。
【0045】
放流ライン41は、貯留槽4の底部に接続される。放流ライン41は、貯留槽4から放流された処理水TWを流通させる。
【0046】
放流バルブ42は、放流ライン41を流通する処理水TWの流量を調整する。処理水TWの流量の調整は、処理水TWの流通停止を含む。放流バルブ42が開くことにより、貯留槽4に貯留されている処理水TWが放流される。放流バルブ42が閉じることにより、貯留槽4に貯留されている処理水TWの放流が停止される。第2制御装置12は、放流バルブ42を作動させる制御指令CD2を出力する。放流バルブ42は、第2制御装置12から出力された制御指令CD2に基づいて、処理水TWの流量を調整する。
【0047】
排水処理装置3は、貯留槽4に貯留されている排水DWの量を検出する保有水量センサ13と、貯留槽4に貯留されている排水DWの温度を検出する貯留温度センサ14と、排水DWのpHを検出する第1pHセンサ15及び第2pHセンサ16と、循環ライン67を流通する排水DWの流量を検出する流量センサ17とを備える。
【0048】
保有水量センサ13は、貯留槽4に貯留されている排水DWの量を示す保有水量Fhを検出する。保有水量センサ13は、貯留槽4に配置される。保有水量センサ13は、例えば水位センサを含み、貯留槽4における排水DWの水位を検出して、保有水量Fhを検出する。水位とは、鉛直線と平行な方向における排水DWの表面の位置をいう。
【0049】
貯留温度センサ14は、貯留槽4に貯留されている排水DWの温度を示す貯留温度Trを検出する。貯留温度センサ14は、貯留槽4に配置される。
【0050】
第1pHセンサ15は、エゼクタ54において中和剤NTが混合された後、第2流通ライン62を流通する排水DWのpHを検出する。第1pHセンサ15は、エゼクタ54と貯留槽4との間の第2流通ライン62に配置される。
【0051】
第2pHセンサ16は、貯留槽4に貯留されている排水DWのpHを検出する。第2pHセンサ16は、貯留槽4に配置される。
【0052】
流量センサ17は、循環ライン67を流通する排水DWの流量を示す排水流量Feを検出する。流量センサ17は、循環ライン67に配置される。
【0053】
<管理装置>
図2は、実施形態に係る排水処理システム1を示すブロック図である。管理装置10、第1制御装置11、及び第2制御装置12のそれぞれは、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを含む演算処理装置と、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリ及びROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリを含む記憶装置とを有する。
【0054】
管理装置10は、排水データ取得部101と、処理データ取得部102と、制御部103と、第1管理指令出力部104と、第2管理指令出力部105とを有する。
【0055】
排水データ取得部101は、ボイラ本体20から排出される排水DWに係る排水データDA1を取得する。排水データDA1は、ボイラ本体20の排水量Fd、ボイラ本体20の排水タイミングPd、及びボイラ本体20の排水温度Tdの少なくとも一つを含む。排水データ取得部101は、第1制御装置11から排水データDA1を取得する。
【0056】
排水量Fdとは、ボイラ本体20に保有されているボイラ水BWにおける溶解物質の濃度を基準値以下にするために必要なボイラ本体20から排出する排水DWの量をいう。排水DWの排出を連続的に行う連続ブローが実行される場合、排水量Fdは、ボイラ本体20から排出される単位時間当たりの排水DWの流量[Liter/Hour]である。排水DWの排出を間欠的に行う間欠ブローが実行される場合、排水量Fdは、ボイラ本体20から排出される排水DWの量[Liter]である。排水量Fdは、例えば排水バルブ26の作動状態によって決定される。
【0057】
排水タイミングPdは、排水開始タイミングPds、排水終了タイミングPde、及び排水時間Pdtの少なくとも一つを含む。排水開始タイミングPdsとは、ボイラ本体20からの排水DWの排出が開始される時点をいう。排水終了タイミングPdeとは、ボイラ本体20からの排水DWの排出が終了する時点をいう。排水時間Pdtとは、ボイラ本体20からの排水DWの排出が実行される時間をいい、排水開始タイミングPdsと排水終了タイミングPdeとの間の時間をいう。排水タイミングPdは、例えば排水バルブ26の作動状態によって決定される。
【0058】
排水温度Tdとは、ボイラ本体20から排出される排水DWの温度をいう。実施形態において、排水温度Tdとは、排水ライン22の少なくとも一部を介してボイラ本体20から貯留槽4に供給される排水DWの温度をいう。排水温度Tdは、例えばボイラ本体20における燃料FUの燃焼状態によって決定される。なお、排水温度Tdは、ブロー熱交換器(不図示)の作動状態によって決定されてもよい。ブロー熱交換器は、ボイラ水BWと排水DWとを熱交換する。ブロー熱交換器は、例えば排水ライン22の少なくとも一部と並列に配置される。貯留槽4に供給される排水DWの温度を低下させる場合、ボイラ本体20から排出された排水DWの少なくとも一部は、ブロー熱交換器に供給され、ボイラ水BWと熱交換される。ブロー熱交換器において冷却された排水DWは、排水ライン22の少なくとも一部を介して、貯留槽4に供給される。貯留槽4に供給される排水DWの温度を上昇させる場合、ボイラ本体20から排出された排水DWは、ブロー熱交換器に供給されることなく、貯留槽4に供給される。このように、ブロー熱交換器により、ボイラ本体20から貯留槽4に供給される排水DWの温度が調整されてもよい。
【0059】
処理データ取得部102は、排水処理装置3の処理に係る処理データDA2を取得する。処理データDA2は、排水処理装置3の処理能力Ap、及び処理タイミングPpの少なくとも一つを含む。処理データ取得部102は、第2制御装置12から処理データDA2を取得する。
【0060】
排水処理装置3の処理能力Apは、処理量Fp、保有水量Fh、処理内容、及び処理レベルの少なくとも一つを含む。
【0061】
処理量Fpとは、排水処理装置3が処理可能な単位時間当たりの排水DWの量[Liter/Hour]をいう。処理量Fpは、例えば循環ライン67を流通する排水DWの流量によって決定される。すなわち、処理量Fpは、循環ポンプ63の作動状態によって決定される。
【0062】
処理量Fpは、循環ポンプ63の現状の作動状態によって決定される現況処理量Fpcと、最大出力で作動する循環ポンプ63の作動状態によって決定される最大処理量Fpmとを含む。最大処理量Fpmは、例えば循環ポンプ63のスペック(specification)によって決定される既知データである。
【0063】
保有水量Fhとは、貯留槽4に貯留されている排水DWの量[Liter]をいう。
【0064】
保有水量Fhは、貯留槽4に貯留されている現状の保有水量Fhを示す現況保有水量Fhcと、貯留槽4が貯留可能な最大の保有水量Fhを示す最大保有水量Fhmとを含む。現況保有水量Fhcは、保有水量センサ13によって検出される。最大保有水量Fhmは、例えば貯留槽4のスペック(specification)によって決定される既知データである。
【0065】
処理内容とは、排水処理装置3が実行可能な処理の種類をいう。実施形態において、処理内容は、中和処理及び冷却処理を含む。処理内容は、中和装置5及び冷却装置6のそれぞれの作動状態によって決定される。処理内容は、例えば冷媒バルブ66の作動状態、主中和剤バルブ55の作動状態、及び副中和剤バルブ57の作動状態の少なくとも一つによって決定される。
【0066】
処理レベルとは、排水処理装置3が実行する処理の度合いをいう。処理レベルは、冷却器60に供給される冷媒REの流量、エゼクタ54に供給される中和剤NTの流量、及びエゼクタ54に供給される中和剤NTの組成の少なくとも一つによって決定される。中和剤NTの組成は、主中和剤NTmと副中和剤NTsとの混合比を含む。処理レベルは、例えば冷媒バルブ66の作動状態、主中和剤バルブ55の作動状態、及び副中和剤バルブ57の作動状態の少なくとも一つによって決定される。
【0067】
処理タイミングPpは、処理開始タイミングPps、処理終了タイミングPpe、及び処理時間Pptの少なくとも一つを含む。処理開始タイミングPpsとは、排水処理装置3による排水DWの処理が開始される時点をいう。処理終了タイミングPpeとは、排水処理装置3による排水DWの処理が終了する時点をいう。処理時間Pptとは、排水処理装置3による排水DWの処理が実行される時間をいい、処理開始タイミングPpsと処理終了タイミングPpeとの間の時間をいう。処理タイミングPpは、例えば循環ポンプ63の作動状態、冷媒バルブ66の作動状態、主中和剤バルブ55の作動状態、及び副中和剤バルブ57の作動状態の少なくとも一つによって決定される。
【0068】
制御部103は、排水データ取得部101により取得された排水データDA1及び処理データ取得部102により取得された処理データDA2の少なくとも一方に基づいて、ボイラ2を制御する第1制御処理及び排水処理装置3を制御する第2制御処理の一方又は両方を実行する。制御部103は、第1制御処理において、ボイラ2の運転状態を制御させる管理指令MD1を出力する。制御部103は、第2制御処理において、排水処理装置3の運転状態を制御させる管理指令MD2を出力する。
【0069】
ボイラ2の運転状態は、ボイラ本体20の排水量Fd、ボイラ本体20の排水タイミングPd、及びボイラ本体20の排水温度Tdの少なくとも一つを含む。制御部103は、第1制御処理において、排水量Fd、排水タイミングPd、及び排水温度Tdの少なくとも一つを制御する管理指令MD1を出力する。
【0070】
排水処理装置3の運転状態は、排水処理装置3の処理能力Ap、及び排水処理装置3の処理タイミングPpの少なくとも一つを含む。制御部103は、第2制御処理において、処理能力Ap、及び処理タイミングPpの少なくとも一つを制御する管理指令MD2を出力する。
【0071】
第1管理指令出力部104は、ボイラ2の運転状態を制御させる管理指令MD1を第1制御装置11に出力する。制御部103は、第1管理指令出力部104を介して、第1制御装置11に管理指令MD1を出力する。
【0072】
第2管理指令出力部105は、排水処理装置3の運転状態を制御させる管理指令MD2を第2制御装置12に出力する。制御部103は、第2管理指令出力部105を介して、第2制御装置12に管理指令MD2を出力する。
【0073】
第1制御装置11は、第1運転状態制御部111と、排水データ出力部112とを有する。
【0074】
第1運転状態制御部111は、ボイラ2の運転状態を制御する制御指令CD1を出力する。ボイラ2の運転状態は、例えば排水バルブ26の作動状態によって決定される。第1運転状態制御部111は、ボイラ2の運転状態を制御するために、排水バルブ26に制御指令CD1を出力する。
【0075】
第1運転状態制御部111は、ボイラ本体20に保有されているボイラ水BWにおける溶解物質の濃度が基準値以下になるように、ボイラ2の運転状態を制御する。
【0076】
排水データ出力部112は、排水量Fd、排水タイミングPd、及び排水温度Tdの少なくとも一つを排水データDA1として管理装置10に出力する。排水データ出力部112は、規定のパラメータに基づいて、排水データDA1を算出することができる。
【0077】
排水データ出力部112は、例えば給水ライン21を介してボイラ本体20に供給されるボイラ水BWの給水量、ボイラ水BWにおける溶解物質の濃度、ボイラ本体20の蒸発量、及び蒸発量に対する排水量Fdの目標値を示すブロー率等に基づいて、排水量Fd及び排水タイミングPdを算出することができる。また、排水データ出力部112は、例えばボイラ本体20の蒸気圧、及びボイラ本体20の飽和温度に基づいて、排水温度Tdを算出することができる。
【0078】
なお、排水データ出力部112は、第1運転状態制御部111から出力される制御指令CD1、排水温度センサ27の検出データ、及び流量センサ28の検出データの少なくとも一つに基づいて、排水データDA1を算出してもよい。
【0079】
第2制御装置12は、第2運転状態制御部121と、処理データ出力部122とを有する。
【0080】
第2運転状態制御部121は、排水処理装置3の運転状態を制御する制御指令CD2を出力する。排水処理装置3の運転状態は、例えば循環ポンプ63の作動状態、冷媒バルブ66の作動状態、主中和剤バルブ55の作動状態、及び副中和剤バルブ57の作動状態の少なくとも一つによって決定される。第2運転状態制御部121は、排水処理装置3の運転状態を制御するために、循環ポンプ63、冷媒バルブ66、主中和剤バルブ55、及び副中和剤バルブ57の少なくとも一つに制御指令CD2を出力する。
【0081】
第2運転状態制御部121は、循環ライン67を循環する排水DWが処理水TWになるように、排水処理装置3の運転状態を制御する。
【0082】
処理データ出力部122は、処理能力Ap、及び処理タイミングPpの少なくとも一つを処理データDA2として管理装置10に出力する。処理データ出力部122は、規定のパラメータに基づいて、処理データDA2を算出することができる。
【0083】
処理データ出力部122は、例えば保有水量センサ13、貯留温度センサ14、第1pHセンサ15、第2pHセンサ16、及び流量センサ17の少なくとも一つの検出データに基づいて、処理データDA2を算出することができる。処理データ出力部122は、例えば流量センサ17の検出データに基づいて、処理量Fpを算出することができる。また、処理データ出力部122は、保有水量センサ13の検出データに基づいて、保有水量Fhを算出することができる。また、処理データ出力部122は、例えば貯留温度センサ14、第1pHセンサ15、及び第2pHセンサ16の少なくとも一つの検出データに基づいて、処理内容及び処理レベルを算出することができる。また、処理データ出力部122は、例えば保有水量センサ13、貯留温度センサ14、第1pHセンサ15、第2pHセンサ16、及び流量センサ17の少なくとも一つの検出データに基づいて、処理タイミングPpを算出することができる。
【0084】
なお、処理データ出力部122は、第2運転状態制御部121から出力される制御指令CD2に基づいて、処理データDA2を算出してもよい。処理データ出力部122は、例えば循環ポンプ63に出力された制御指令CD2に基づいて、循環ポンプ63の現状の作動状態(循環ポンプ63の容量及び回転数)を推定して、循環ライン67を流通する排水DWの流量を算出することができる。処理データ出力部122は、循環ライン67を流通する排水DWの流量に基づいて、現状の処理量Fpを示す現況処理量Fpcを算出することができる。また、処理データ出力部122は、冷媒バルブ66に出力された制御指令CD2に基づいて、冷媒バルブ66の現状の作動状態(開度)を推定して、冷却器60に供給される冷媒REの流量を算出することができる。処理データ出力部122は、冷媒REの流量に基づいて、冷却装置6の現状の処理レベルを算出することができる。また、処理データ出力部122は、主中和剤バルブ55及び副中和剤バルブ57のそれぞれに出力された制御指令CD2に基づいて、主中和剤バルブ55及び副中和剤バルブ57のそれぞれの現状の作動状態(開度)を推定して、エゼクタ54に供給される中和剤NTの流量及び組成を算出することができる。処理データ出力部122は、中和剤NTの流量及び組成に基づいて、中和装置5の現状の処理レベルを算出することができる。また、処理データ出力部122は、第2運転状態制御部121から出力される制御指令CD2に基づいて、処理タイミングPpを算出することができる。
【0085】
<管理方法>
次に、管理装置10による管理方法について説明する。制御部103は、排水データDA1及び処理データDA2の少なくとも一方に基づいて、ボイラ2を制御する第1制御処理及び排水処理装置3を制御する第2制御処理の一方又は両方を実行する。
【0086】
(第1制御処理)
制御部103は、排水データDA1及び処理データDA2に基づいて、ボイラ2の運転状態を制御する第1制御処理を実行する。ボイラ2の運転状態の制御は、排水量Fdの制御、排水タイミングPdの制御、及び排水温度Tdの制御の少なくとも一つを含む。
【0087】
図3は、実施形態に係る第1制御処理を示すフローチャートである。貯留槽4に排水DWが貯留されている場合、第2制御装置12の処理データ出力部122は、排水DWを処理水TWにするための処理データDA2を算出する。第2運転状態制御部121は、処理データ出力部122により算出された処理能力Ap及び処理タイミングPpで、排水処理装置3による排水DWの処理が実行されるように、循環ポンプ63、冷媒バルブ66、主中和剤バルブ55、及び副中和剤バルブ57の少なくとも一つに制御指令CD2を出力する。循環ポンプ63の作動状態、冷媒バルブ66の作動状態、主中和剤バルブ55の作動状態、及び副中和剤バルブ57の作動状態は、制御指令CD2に基づいて制御される。
【0088】
排水データ出力部112は、排水量Fd、排水タイミングPd、及び排水温度Tdの少なくとも一つを含む排水データDA1を、規定の時間間隔で管理装置10に連続的に出力する(ステップSA11)。
【0089】
排水データ取得部101は、排水データ出力部112から出力された排水データDA1を取得する。
【0090】
処理データ出力部122は、処理能力Ap、及び処理タイミングPpの少なくとも一つを含む処理データDA2を、規定の時間間隔で管理装置10に連続的に出力する(ステップSC11)。
【0091】
処理データ取得部102は、処理データ出力部122から出力された処理データDA2を取得する。
【0092】
制御部103は、排水データ取得部101により取得された排水データDA1及び処理データ取得部102により取得された処理データDA2に基づいて、排水量Fd及び排水タイミングPdを決定する(ステップSB11)。
【0093】
制御部103は、排水データDA1及び処理データDA2に基づいて、排水処理装置3が排水DWを処理可能か否かを判定する。制御部103は、排水処理装置3が排水DWを処理可能であると判定した場合、処理可能な排水量Fdを決定する。制御部103は、現況処理量Fpcと最大処理量Fpmとの差分に基づいて、排水処理装置3が排水DWを処理可能か否かを判定する。例えば、現況処理量Fpcが最大処理量Fpmを下回っていて、排水量Fdが最大処理量Fpmと現況処理量Fpcとの差分よりも少ないと判定した場合、制御部103は、排水処理装置3は排水量Fdで供給される排水DWを処理可能であると判定する。
【0094】
また、最大処理量Fpmと現況処理量Fpcとの差分が排水量Fdより少ない場合でも、最大処理量Fpmと現況処理量Fpcとの差分が予め設定された規定値よりも大きいと判定した場合、制御部103は、排水処理装置3が排水DWを処理可能であると判定してもよい。その場合、制御部103は、排水量Fdが少なくなるように、排水処理装置3が処理可能な排水量Fdを算出及び決定する。
【0095】
なお、制御部103は、現況処理量Fpcを考慮せずに、最大処理量Fpmに基づいて、排水量Fdを決定してもよい。
【0096】
なお、制御部103は、現況保有水量Fhcと最大保有水量Fhmとの差分に基づいて、排水処理装置3が排水DWを処理可能か否かを判定してもよい。例えば、排水量Fdが最大保有水量Fhmと現況保有水量Fhcとの差分よりも少ないと判定した場合、制御部103は、排水処理装置3は排水DWを処理可能であると判定してもよい。
【0097】
また、最大保有水量Fhmと現況保有水量Fhcとの差分が排水量Fdより少ない場合でも、最大保有水量Fhmと現況保有水量Fhcとの差分が予め設定された規定値よりも大きいと判定した場合、制御部103は、排水処理装置3が排水DWを処理可能であると判定してもよい。その場合、制御部103は、排水量Fdが少なくなるように、排水処理装置3が処理可能な排水量Fdを算出及び決定する。
【0098】
また、制御部103は、現況保有水量Fhcに基づいて、排水量Fdを決定してもよい。例えば、規定水量未満の現況保有水量Fhcと規定水量との差が予め定められている閾値以下になったと判定した場合、制御部103は、排水量Fdが少なくなるように排水量Fdを算出及び決定してもよい。
【0099】
なお、制御部103は、例えば貯留温度センサ14によって検出される現状の貯留温度Trを示す現況貯留温度Trcと、排水基準によって規定される温度の目標値を示す基準温度との差分に基づいて、排水処理装置3が排水DWを処理可能か否かを判定してもよい。例えば、現況貯留温度Trcと基準温度との差分が予め設定された規定値よりも少ないと判定した場合、制御部103は、排水処理装置3が排水DWを処理可能であると判定してもよい。
【0100】
なお、制御部103は、例えば第2pHセンサ16によって検出される現状のpHを示す現況pHと、排水基準によって規定されるpHの目標値を示す基準pHとの差分に基づいて、排水処理装置3が排水DWを処理可能か否かを判定してもよい。例えば、現況pHと基準pHとの差分が予め設定された規定値よりも少ないと判定した場合、制御部103は、排水処理装置3は排水DWを処理可能であると判定してもよい。
【0101】
また、制御部103は、排水開始タイミングPdsを決定する。例えば、制御部103は、処理データ取得部102により取得された処理開始タイミングPpsに基づいて、排水処理装置3が起動していると判定した場合、排水開始タイミングPdsを任意のタイミングに決定する。また、制御部103は、処理開始タイミングPpsと同じタイミングになるように排水開始タイミングPdsを決定してもよい。なお、ボイラ本体20から排水DWが排出してから、排水ライン22を流通して、排水処理装置3に到達するまでの間にタイムラグが発生する。タイムラグが発生する場合、制御部103は、タイムラグ又は排水ライン22の長さを考慮して、処理開始タイミングPpsよりも早いタイミングになるように排水開始タイミングPdsを決定してもよい。
【0102】
制御部103は、決定した排水量Fd及び排水開始タイミングPdsに基づいて、ボイラ本体20からの排水DWの排出を開始するか否かを判定する(ステップSB12)。
【0103】
ステップSB12において、排水DWの排出を開始すると判定した場合(ステップSB12:Yes)、制御部103は、排水DWの排出を開始させる管理指令MD1を出力する。また、制御部103は、決定した排水量Fdで排水DWが排出されるように管理指令MD1を出力する。制御部103から出力された管理指令MD1は、第1管理指令出力部104を介して第1制御装置11に出力される(ステップSB13)。
【0104】
ステップSB12において、排水DWの排出を開始しないと判定した場合(ステップSB12:No)、制御部103は、排水処理装置3が排水DWを処理可能な状態になるまで、排水DWの排出を待機させる。制御部103は、決定した排水開始タイミングPdsになるまで、排水DWの排出を開始させる管理指令MD1を出力しない。
【0105】
第1運転状態制御部111は、第1管理指令出力部104から出力された管理指令MD1を取得する。第1運転状態制御部111は、管理指令MD1に基づいて、ボイラ本体20から排出された排水DWが排水処理装置3に供給されるように、排水バルブ26に制御指令CD1を出力する。第1運転状態制御部111は、制御部103において決定された排水開始タイミングPdsで排水DWの排出が開始され、制御部103において決定された排水量Fdで排水DWが排出されるように、制御指令CD1を出力する(ステップSA12)。
【0106】
制御部103は、排水終了タイミングPdeを決定する。例えば、処理データDA2として、排水処理装置3の処理が終了したことを示す処理終了タイミングPpe、又は排水処理装置3が最大処理量Fpmで排水DWを処理していることを示す現況処理量Fpcを処理データ取得部102が取得した場合、制御部103は、処理データ取得部102により取得された処理データDA2に基づいて、排水終了タイミングPdeを決定する。例えば、制御部103は、処理終了タイミングPpeと同じタイミングになるように排水終了タイミングPdeを決定する。また、制御部103は、排水処理装置3が最大処理量Fpmで排水DWを処理していると判定した場合、ボイラ本体20から排水処理装置3に排水DWが供給されないように、排水終了タイミングPdeを決定する。
【0107】
制御部103は、決定した排水終了タイミングPdeに基づいて、排水処理装置3に対する排水DWの排出を終了するか否かを判定する(ステップSB14)。
【0108】
ステップSB14において、排水DWの排出を終了しないと判定した場合(ステップSB14:No)、制御部103は、決定した排水終了タイミングPdeになるまで、排水DWの排出を終了する管理指令MD1を出力しない。
【0109】
ステップSB14において、排水DWの排出を終了すると判定した場合(ステップSB14:Yes)、制御部103は、排水DWの排出を終了させる管理指令MD1を出力する。制御部103から出力された管理指令MD1は、第1管理指令出力部104を介してボイラ2の第1制御装置11に出力される(ステップSB15)。
【0110】
第1運転状態制御部111は、第1管理指令出力部104から出力された管理指令MD1を取得する。第1運転状態制御部111は、管理指令MD1に基づいて、ボイラ本体20からの排水DWの排出が停止されるように、排水バルブ26に制御指令CD1を出力する。第1運転状態制御部111は、制御部103において決定された排水終了タイミングPdeで排水DWの排出が終了するように、制御指令CD1を出力する(ステップSA13)。
【0111】
なお、制御部103は、排水処理装置3の処理量Fpが高くなったと判定した場合、排水処理装置3に対する排水DWの排出を終了せずに、排水処理装置3に対する排水量Fdを少なくなるように管理指令MD1を出力してもよい。
【0112】
(第2制御処理)
制御部103は、排水データDA1及び処理データDA2に基づいて、排水処理装置3の運転状態を制御する第2制御処理を実行する。排水処理装置3の運転状態の制御は、処理能力Apの制御、及び処理タイミングPpの制御の少なくとも一つを含む。
【0113】
図4は、実施形態に係る第2制御処理を示すフローチャートである。ボイラ本体20にボイラ水BWが保有されている場合、第1制御装置11の排水データ出力部112は、ボイラ本体20に保有されているボイラ水BWにおける溶解物質の濃度を基準値以下にするための排水データDA1を算出する。第1運転状態制御部111は、排水データ出力部112により算出された排水量Fd、排水タイミングPd、及び排水温度Tdでボイラ本体20から排水DWが排出されるように、排水バルブ26に制御指令CD1を出力する。
【0114】
排水データ出力部112は、排水量Fd、排水タイミングPd、及び排水温度Tdを含む排水データDA1を、規定の時間間隔で管理装置10に連続的に出力する(ステップSA21)。
【0115】
排水データ取得部101は、排水データ出力部112から出力された排水データDA1を取得する。
【0116】
処理データ出力部122は、処理能力Ap、及び処理タイミングPpの少なくとも一つを含む処理データDA2を、規定の時間間隔で管理装置10に連続的に出力する(ステップSC21)。
【0117】
処理データ取得部102は、処理データ出力部122から出力された処理データDA2を取得する。
【0118】
制御部103は、排水データ取得部101により取得された排水データDA1及び処理データ取得部102により取得された処理データDA2に基づいて、処理能力Ap及び処理タイミングPpを決定する(ステップSB21)。
【0119】
制御部103は、排水データDA1及び処理データDA2に基づいて、処理量Fpを決定する。例えば、制御部103は、ボイラ本体20から排水量Fdで供給される排水DWを排水処理装置3が処理できるように、処理量Fpを算出する。制御部103は、排水量Fdに基づいて、循環ライン67において排水DWを循環させる流量を示す処理量Fpを決定する。例えば、排水量Fdが多い場合、制御部103は、処理量Fpが多くなるように、処理量Fpを決定する。排水量Fdが少ない場合、制御部103は、処理量Fpが少なくなるように、処理量Fpを決定する。
【0120】
また、制御部103は、排水データDA1及び処理データDA2に基づいて、処理レベルを決定する。例えば、制御部103は、排水温度Td及び貯留温度Trの少なくとも一方に基づいて、冷却器60に供給する冷媒REの流量を決定する。例えば排水温度Tdと排水基準で規定される基準温度との差が大きい場合、制御部103は、冷媒REの流量が多くなるように、冷媒REの流量を決定する。排水温度Tdと基準温度との差が小さい場合、制御部103は、冷媒REの流量が少なくなるように、冷媒REの流量を決定する。また、制御部103は、排水量Fdに基づいて、エゼクタ54に供給する中和剤NTの流量を決定する。排水量Fdが多い場合、制御部103は、中和剤NTの流量が多くなるように、中和剤NTの流量を決定する。排水量Fdが少ない場合、制御部103は、中和剤NTの流量が少なくなるように、中和剤NTの流量を決定する。
【0121】
また、制御部103は、排水データDA1及び処理データDA2に基づいて、処理開始タイミングPpsを決定する。例えば、制御部103は、排水データ取得部101により取得された排水開始タイミングPdsに基づいて、排水DWの排出が開始されていると判定した場合、処理開始タイミングPpsを任意のタイミングに決定する。また、制御部103は、排水開始タイミングPdsと同じタイミングになるように処理開始タイミングPpsを決定してもよい。なお、ボイラ本体20から排水DWが排出してから、排水ライン22を流通して、排水処理装置3に到達するまでの間にタイムラグが発生する。タイムラグが発生する場合、制御部103は、タイムラグ又は排水ライン22の長さを考慮して、排水開始タイミングPdsよりも遅いタイミングになるように処理開始タイミングPpsを決定してもよい。
【0122】
制御部103は、保有水量Fhに基づいて、処理開始タイミングPpsを決定してもよい。例えば、制御部103は、貯留槽4に貯留されている排水DWの保有水量Fhが規定水量未満の状態から規定水量に到達したときに排水DWの処理が開始されるように、処理開始タイミングPpsを決定してもよい。
【0123】
なお、制御部103は、保有水量Fhが規定水量未満でも排水DWの処理が開始されるように、処理開始タイミングPpsを決定してもよい。例えば、排水量Fdの増加が予測される場合、制御部103は、保有水量Fhが規定水量未満であっても、増加後の排水量Fdの排水DWが排水処理装置3に供給されたときに排水処理装置3が処理できるように、処理開始タイミングPpsを早めてもよい。排水データ出力部112は、給水ライン21を介してボイラ本体20に供給されるボイラ水BWの給水量、ボイラ水BWにおける溶解物質の濃度、及びボイラ本体20の蒸発量等の少なくとも一つの変動に基づいて、ボイラ水BWにおける溶解物質の濃度が急激に上昇すると判定した場合、排水量Fdが増加するように、排水量Fdを算出する。第1運転状態制御部111は、排水データ出力部112により算出された排水量Fdに基づいて制御指令CD1を出力する。制御部103は、排水データ出力部112により算出される排水量Fdに基づいて、排水量Fdの増加を予測することができる。
【0124】
制御部103は、決定した処理開始タイミングPpsに基づいて、排水処理装置3による排水DWの処理を開始するか否かを判定する(ステップSB22)。
【0125】
ステップSB22において、排水DWの処理を開始すると判定した場合(ステップSB22:Yes)、制御部103は、排水DWの処理を開始させる管理指令MD2を出力する。また、制御部103は、決定した処理量Fp、処理内容、及び処理レベルで排水DWが処理されるように管理指令MD2を出力する。制御部103から出力された管理指令MD2は、第2管理指令出力部105を介して第2制御装置12に出力される(ステップSB23)。
【0126】
ステップSB22において、排水DWの処理を開始しないと判定した場合(ステップSB22:No)、制御部103は、決定した処理開始タイミングPpsになるまで、排水DWの処理を開始させる管理指令MD2を出力しない。
【0127】
第2運転状態制御部121は、第2管理指令出力部105から出力された管理指令MD2を取得する。第2運転状態制御部121は、管理指令MD2に基づいて、排水処理装置3が排水DWを処理するように、主中和剤バルブ55、副中和剤バルブ57、冷媒バルブ66、及び循環ポンプ63の少なくとも一つに制御指令CD2を出力する。第2運転状態制御部121は、制御部103において決定された処理開始タイミングPpsで排水DWの処理が開始され、制御部103において決定された処理能力Apで排水DAが処理されるように、制御指令CD2を出力する(ステップSC22)。
【0128】
第2運転状態制御部121から出力された制御指令CD2に基づいて循環ポンプ63が起動すると、貯留槽4に貯留されている排水DWは、冷却器60及びエゼクタ54を含む循環ライン67を循環する。
【0129】
第2運転状態制御部121は、管理指令MD2に基づいて、冷媒バルブ66に制御指令CD2を出力する。排水温度Tdと排水基準で規定される規定温度との差が大きい場合、第2運転状態制御部121は、冷媒REの流量が多くなるように制御指令CD2を出力する。排水温度Tdと規定温度との差が小さい場合、第2運転状態制御部121は、冷媒REの流量が少なくなるように制御指令CD2を出力する。なお、第2運転状態制御部121は、排水温度Tdを用いずに、排水量Fdに基づいて、冷媒バルブ66を制御してもよい。第2運転状態制御部121は、排水量Fdが多い場合、冷媒REの流量を多くし、排水量Fdが少ない場合、冷媒REの流量を少なくしてもよい。
【0130】
また、第2運転状態制御部121は、管理指令MD2に基づいて、主中和剤バルブ55及び副中和剤バルブ57に制御指令CD2を出力する。排水量Fdが多い場合、第2運転状態制御部121は、中和剤NTの流量が多くなるように制御指令CD2を出力する。排水量Fdが少ない場合、第2運転状態制御部121は、中和剤NTの流量が少なくなるように制御指令CD2を出力する。
【0131】
なお、第2運転状態制御部121は、第1pHセンサ15で検出された排水DWのpHに基づいて、主中和剤バルブ55及び副中和剤バルブ57に制御指令CD2を出力してもよい。第2流通ライン62を流通する排水DWのpHと排水基準で規定される規定pHとの差が大きい場合、第2運転状態制御部121は、主中和剤NTmと副中和剤NTsとの混合物がエゼクタ54に供給されるように制御指令CD2を出力する。第2流通ライン62を流通する排水DWのpHと規定pHとの差が小さい場合、第2運転状態制御部121は、主中和剤NTmがエゼクタ54に供給され、副中和剤NTsがエゼクタ54に供給されないように、制御指令CD2を出力する。
【0132】
制御部103は、処理終了タイミングPpeを決定する。例えば、排水基準を満足したことを示す貯留温度Trを排水データ取得部101が取得した場合、制御部103は、冷媒バルブ66を閉じて冷却装置6による排水DWの冷却処理を終了させる処理終了タイミングPpeを決定する。また、第2pHセンサ16は、貯留槽4の排水DWのpHを検出する。排水基準を満足したことを示す第2pHセンサ16の検出データを取得した場合、制御部103は、主中和剤バルブ55及び副中和剤バルブ57の両方を閉じて中和装置5による排水DWの中和処理を終了させる処理終了タイミングPpeを決定する。
【0133】
制御部103は、決定した処理終了タイミングPpeに基づいて、排水処理装置3による排水DWの処理を終了するか否かを判定する(ステップSB24)。
【0134】
ステップSB24において、排水DWの処理を終了しないと判定した場合(ステップSB24:No)、制御部103は、決定した処理終了タイミングPpeになるまで、排水DWの処理を終了する管理指令MD2を出力しない。
【0135】
ステップSB24において、排水DWの処理を終了すると判定した場合(ステップSB24:Yes)、制御部103は、排水DWの処理を終了させる管理指令MD2を出力する。制御部103から出力された管理指令MD2は、第2管理指令出力部105を介して排水処理装置3の第2制御装置12に出力される(ステップSB25)。
【0136】
第2運転状態制御部121は、第2管理指令出力部105から出力された管理指令MD2を取得する。第2運転状態制御部121は、管理指令MD2に基づいて、排水処理装置3による排水DWの処理が停止されるように、制御指令CD2を出力する。第2運転状態制御部121は、制御部103において決定された処理終了タイミングPpeで排水DWの処理が終了するように、主中和剤バルブ55、副中和剤バルブ57、冷媒バルブ66、及び循環ポンプ63のそれぞれに制御指令CD2を出力する(ステップSC23)。
【0137】
また、第2運転状態制御部121は、放流バルブ42が開くように、制御指令CD2を出力する。これにより、排水基準を満足する処理水TWが放流ライン41を介して放流される。
【0138】
なお、貯留槽4に貯留されている排水DWのpHが排水基準を満足し、主中和剤バルブ55及び副中和剤バルブ57の両方を閉じる場合、第2運転状態制御部121は、エアバルブ56が開くように制御指令CD2を出力する。エアバルブ56が開くことにより、エゼクタ54に外気が導入される。エゼクタ54に中和剤NTが供給されないときに、エゼクタ54に外気を吸引させることにより、エゼクタ54で発生する圧力変動に起因する振動が抑制される。
【0139】
<効果>
以上説明したように、実施形態によれば、排水データDA1及び処理データDA2が取得され、排水データDA1及び処理データDA2に基づいてボイラ2を制御する第1制御処理、及び排水処理装置3を制御する第2制御処理が実行される。すなわち、ボイラ2と排水処理装置3とは連携して作動する。これにより、ボイラ2から排水処理装置3に適量な排水DWを適切なタイミングで供給することができる。したがって、排水DWを効率良く処理することができる。
【0140】
ボイラ2と排水処理装置3とが連携していない場合、多量の排水DWが排水処理装置3に供給されると、排水処理装置3は、排水DWを適切に処理することが困難となる。そのため、ボイラ2と排水処理装置3とが連携していない場合においては、想定される排水DWの最大量に基づいて排水処理装置3を設計する必要がある。想定される排水DWの最大量に基づいて排水処理装置3が設計されると、過剰性能な排水処理装置3が製造され、排水処理装置3が大型化又は高額化する可能性がある。また、実際の運用においては、最大量の排水DWが排水処理装置3に常に供給されるケースは少ないので、過剰性能な排水処理装置3の場合、排水処理装置の稼働率が低下する可能性がある。
【0141】
実施形態においては、排水データDA1及び処理データDA2がボイラ2と排水処理装置3とで共有され、ボイラ2と排水処理装置3とは連携して作動可能である。これにより、ボイラ2は、排水処理装置3の処理能力Apに応じて適量な排水DWを適切なタイミングで排水処理装置3に供給することができる。したがって、排水DWを効率良く処理することができる。
【0142】
なお、上述の実施形態においては、排水データDA1及び処理データDA2の両方に基づいて第1制御処理が実行される例と、排水データDA1及び処理データDA2の両方に基づいて第2制御処理が実行される例とについて説明した。排水データDA1及び処理データDA2の一方に基づいて第1制御処理及実行されてもよい。排水データDA1及び処理データDA2の一方に基づいて第2制御処理及実行されてもよい。
【0143】
なお、上述の実施形態において、排水データDA1及び処理データDA2の少なくとも一方のデータに基づいて、第1制御処理及び第2制御処理の両方が並行して実行されてもよい。例えば、ボイラ2の運転状態及び排水処理装置3の運転状態のそれぞれが最適化されるように、制御部103は、第1制御処理と第2制御処理とを組み合わせて実行してもよい。
【0144】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0145】
図5は、実施形態に係る排水処理システム1を示すブロック図である。図5に示すように、ボイラ2が複数設けられる。複数のボイラ2が排水処理装置3に接続される。排水処理装置3は、複数のボイラ2から排出された排水DWを処理する。実施形態においては、第1ボイラ2A、第2ボイラ2B、及び第3ボイラ2Cが排水処理装置3に接続される。
【0146】
管理装置10の排水データ取得部101は、複数のボイラ2から排水データDA1を取得する。制御部103は、複数のボイラ2のそれぞれの排水量Fd及び排水タイミングPdの一方又は両方を制御する。なお、制御部103は、複数のボイラ2のうち一部のボイラ2の排水量Fd及び排水タイミングPdの一方又は両方を制御してもよい。
【0147】
制御部103は、複数のボイラ2の排水量Fdの差が小さくなるように、管理指令MD1を出力する。また、制御部103は、複数のボイラ2の排水タイミングPdが異なるように、管理指令MD1を出力する。
【0148】
図6は、実施形態に係る第1制御処理を説明するための図である。制御部103は、複数のボイラ2の運転状態を制御する管理指令MD1を出力する。ボイラ2の運転状態の制御は、ボイラ2から排出される排水DWの制限を含む。排水DWの制限は、ボイラ本体20から排水DWを排出させないこと及びボイラ本体20の排水量Fdを少なくすることの少なくとも一方を含む。また、ボイラ2から排出される排水DWの制限は、排水タイミングPdの制限及び排水量Fdの制限の一方又は両方を含む。
【0149】
図6に示すように、制御部103は、第1ボイラ2Aの排水タイミングPdと、第2ボイラ2Bの排水タイミングPdと、第3ボイラ2Cの排水タイミングPdとが異なるように、第1ボイラ2Aの第1制御装置11、第2ボイラ2Bの第1制御装置11、及び第3ボイラ2Cの第1制御装置11のそれぞれに管理指令MD1を出力する。
【0150】
実施形態においては、第1ボイラ2Aから排水DWが排出されているとき、第2ボイラ2B及び第3ボイラ2Cからの排水DWの排出が制限される。第2ボイラ2Bから排水DWが排出されているとき、第3ボイラ2C及び第1ボイラ2Aからの排水DWの排出が制限される。第3ボイラ2Cから排水DWが排出されているとき、第1ボイラ2A及び第2ボイラ2Bからの排水DWの排出が制限される。
【0151】
実施形態において、制御部103は、第1ボイラ2Aの排水終了タイミングPdeと第2ボイラ2Bの排水開始タイミングPdsとが一致し、第2ボイラ2Bの排水終了タイミングPdeと第3ボイラ2Cの排水開始タイミングPdsとが一致するように、管理指令MD1を出力する。すなわち、制御部103は、第1ボイラ2Aの排水時間Pdtと、第2ボイラ2Bの排水時間Pdtと、第3ボイラ2Cの排水時間Pdtとが重複しないように、管理指令MD1を出力する。
【0152】
また、制御部103は、第1ボイラ2Aの排水量Fdと、第2ボイラ2Bの排水量Fdと、第3ボイラ2Cの排水量Fdとが一致するように、第1ボイラ2Aの第1制御装置11、第2ボイラ2Bの第1制御装置11、及び第3ボイラ2Cの第1制御装置11のそれぞれに管理指令MD1を出力する。
【0153】
以上説明したように、実施形態によれば、複数のボイラ2の排水タイミングPdが異なるように、管理指令MD1が出力される。これにより、複数のボイラ2から排水処理装置3に排水DWが一度に多量に供給されることが抑制される。すなわち、排水処理装置3による複数のボイラ2のそれぞれから供給される排水DWの処理が平準化される。そのため、排水処理装置3を大型化又は高額化しなくても、排水処理装置3は、複数のボイラ2のそれぞれから供給される排水DWを効率良く処理することができる。
【0154】
なお、制御部103は、例えば第1ボイラ2Aの排水時間Pdtと、第2ボイラ2Bの排水時間Pdtの少なくとも一部とが重複するように管理指令MD1を出力してもよい。すなわち、制御部103は、第1ボイラ2Aから排出される排水DWと第2ボイラ2Bから排出される排水DWとが同時に排水処理装置3に供給されるように管理指令MD1を出力してもよい。制御部103は、処理データDA2に基づいて、第1ボイラ2Aの排水量Fdと第2ボイラ2Bの排水量Fdとの和が、排水処理装置3の処理能力Ap(処理量Fp)を超えないように、第1ボイラ2Aの排水量Fd及び第2ボイラ2Bの排水量Fdの少なくとも一方を制限(減少)する管理指令MD1を出力する。複数のボイラ2から排水処理装置3に排水DWが同時に供給される場合において、排水処理装置3の処理能力Apを超えないようにボイラ2の排水量Fdが制限されることにより、排水処理装置3は、排水DWを効率良く処理することができる。
【0155】
[その他の実施形態]
なお、上述の実施形態においては、主中和剤NTmが排ガスEGであることとした。主中和剤NTmは、排ガスEGでなくてもよい。また、上述の実施形態においては、副中和剤NTsが炭酸ガスCGであることとした。副中和剤NTsは、主中和剤NTmとは異なる種類(物性)であればよく、例えば塩酸、硫酸、及び硝酸のような酸性薬品でもよい。また、上述の実施形態においては、中和剤NTとして、必要に応じて主中和剤NTmと副中和剤NTsとの混合物が使用されることとした。中和剤NTとして、1種類の中和剤が使用されてもよいし、3種類以上の中和剤の混合物が使用されてもよい。
【0156】
なお、上述の実施形態においては、排水装置2がボイラであることした。排水装置2は、例えば金属部材を洗浄する洗浄装置でもよい。金属部材の表面を洗浄した後の洗浄液が排水として洗浄装置から排出される。また、上述の実施形態においては、排水がアルカリ性であることとした。排水は酸性でもよい。排水が酸性である場合、排水処理装置は、酸性の排水を中和する中和装置を有する。
【0157】
なお、上述の実施形態においては、排水処理装置3による処理内容が中和処理及び冷却処理であることとした。処理内容は、中和処理及び冷却処理に限定されない。処理内容は、排水DWを改質する処理であればよい。
【0158】
上述の実施形態において、管理装置10の少なくとも一部の機能を、第1制御装置11が有してもよいし、第2制御装置12が有してもよい。すなわち、排水データ取得部101、処理データ取得部102、制御部103、第1管理指令出力部104、及び第2管理指令出力部105の一部又は全部が、第1制御装置11に設けられてもよいし、第2制御装置12に設けられてもよい。
【0159】
また、管理装置10が、第1制御装置11及び第2制御装置12の少なくとも一部の機能を有してもよい。例えば、排水データ出力部112の機能を管理装置10が有してもよいし、処理データ出力部122の機能を管理装置10が有してもよい。
【0160】
また、管理装置10は、規定のパラメータに基づいて排水データDA1を算出し、算出した排水データDA1に基づいて、ボイラ2の運転状態をフィードバック制御してもよい。規定のパラメータとして、給水ライン21を介してボイラ本体20に供給されるボイラ水BWの給水量、ボイラ水BWにおける溶解物質の濃度、ボイラ本体20の蒸発量、及び蒸発量に対する排水量Fdの目標値を示すブロー率等が例示される。同様に、管理装置10は、規定のパラメータに基づいて処理データDA2を算出し、算出した処理データDA2に基づいて、排水処理装置3の運転状態をフィードバック制御してもよい。
【符号の説明】
【0161】
1…排水処理システム、2…ボイラ(排水装置)、2A…第1ボイラ、2B…第2ボイラ、2C…第3ボイラ、3…排水処理装置、4…貯留槽、5…中和装置、6…冷却装置、10…管理装置、11…第1制御装置、12…第2制御装置、13…保有水量センサ、14…貯留温度センサ、15…第1pHセンサ、16…第2pHセンサ、17…流量センサ、20…ボイラ本体、21…給水ライン、22…排水ライン、23…蒸気ライン、24…燃料ライン、25…排ガスライン、26…排水バルブ、27…排水温度センサ、28…流量センサ、41…放流ライン、42…放流バルブ、50…副中和剤供給装置、51…主中和剤ライン、52…副中和剤ライン、53…合流ライン、54…エゼクタ、54A…入口、54B…出口、54C…吸引口、55…主中和剤バルブ、56…エアバルブ、57…副中和剤バルブ、60…冷却器、60A…流入口、60B…流出口、60C…冷媒入口、60D…冷媒出口、61…第1流通ライン、62…第2流通ライン、63…循環ポンプ、64…冷媒供給ライン、65…冷媒排出ライン、66…冷媒バルブ、67…循環ライン、101…排水データ取得部、102…処理データ取得部、103…制御部、104…第1管理指令出力部、105…第2管理指令出力部、111…第1運転状態制御部、112…排水データ出力部、121…第2運転状態制御部、122…処理データ出力部、Ap…処理能力、BW…ボイラ水、CD1…制御指令、CD2…制御指令、DA1…排水データ、DA2…処理データ、DW…排水、EG…排ガス、Fd…排水量、Fh…保有水量、Fp…処理量、Fpc…現況処理量、Fpm…最大処理量、FU…燃料、MD1…管理指令、MD2…管理指令、NT…中和剤、NTm…主中和剤、NTs…副中和剤、Pd…排水タイミング、Pde…排水終了タイミング、Pds…排水開始タイミング、Pdt…排水時間、Pp…処理タイミング、Ppe…処理終了タイミング、Pps…処理開始タイミング、Ppt…処理時間、RE…冷媒、Td…排水温度、TW…処理水、VA…蒸気。
図1
図2
図3
図4
図5
図6