(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】プログラムおよび情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20221213BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G06F3/12 355
G06F3/12 305
G06F3/12 310
G06F3/12 332
G06F3/12 342
B41J29/38 202
B41J29/38 301
B41J29/38 302
(21)【出願番号】P 2019007584
(22)【出願日】2019-01-21
【審査請求日】2021-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】市川 裕詞
【審査官】佐賀野 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-159103(JP,A)
【文献】特開2003-063071(JP,A)
【文献】特開平05-110804(JP,A)
【文献】特開2009-220543(JP,A)
【文献】特開2002-254715(JP,A)
【文献】特開2004-330419(JP,A)
【文献】特開2006-043917(JP,A)
【文献】特開2018-069484(JP,A)
【文献】特開2018-154080(JP,A)
【文献】特開2016-137628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/09- 3/12
B41J 29/00-29/70
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、プリンタでの印刷に用いる用紙サイズの設定を行うための処理を実行するプログラムであって、前記プリンタには、装着可能なオプションユニットの種類が複数有り、オプションユニットの種類ごとに、用紙の第1の方向のサイズについての許容サイズがあり、
前記コンピュータに、
前記情報処理装置のユーザインタフェースを介して、用紙の前記第1の方向のサイズの入力を受け付ける第1受付処理と、
前記第1受付処理にて受け付けた前記第1の方向のサイズが、前記複数のオプションユニットのうちの少なくとも1つの前記許容サイズを満たしていない場合に、前記許容サイズを満たしていないことを示す警告を行う警告処理と、
前記ユーザインタフェースを介して、用紙サイズの登録を示す登録指示の入力を受け付ける第2受付処理と、
前記第2受付処理にて前記登録指示を受け付けた場合に、前記第1受付処理にて受け付けた前記第1の方向のサイズを含むデータであって、前記プリンタでの印刷に用いる用紙サイズの設定に用いられるデータである用紙データを、前記情報処理装置のメモリに記憶する記憶処理と、
を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
請求項1に記載するプログラムにおいて、
前記第1の方向は、前記プリンタにおける用紙の搬送方向であり、
前記オプションユニットは、印刷された後に前記第1の方向に搬送された用紙を、前記プリンタに装着された状態で受け付け、前記受け付けた用紙に対して加工を施すユニットであり、前記オプションユニットの種類ごとにそれぞれ異なる加工を、前記受け付けた用紙に施すものである、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載するプログラムにおいて、
前記許容サイズは、前記オプションユニットが前記プリンタに装着された状態での前記第1の方向に許容される最小値であり、前記オプションユニットの種類ごとに、前記第1の方向に許容される最小値が定められており、
前記第1受付処理にて受け付けた前記第1の方向のサイズが前記許容サイズよりも小さい場合に、前記警告処理において、前記許容サイズを満たしていない場合となる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載するプログラムにおいて、
前記警告処理では、
前記許容サイズを満たしていないオプションユニットの種類を示す情報と、そのオプションユニットの前記許容サイズと、を関連付けた態様で警告する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項5】
請求項4に記載するプログラムにおいて、
前記警告処理では、
警告する態様として、前記許容サイズを満たしていないオプションユニットの種類ごとに、オプションユニットの名称と、そのオプションユニットの許容サイズと、を前記情報処理装置の表示デバイスに表示させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記プリンタに現在装着されているオプションユニットの種類を取得する取得処理を実行させ、
前記警告処理では、
前記第1受付処理にて受け付けた前記第1の方向のサイズが、前記取得処理にて取得した種類のオプションユニットの前記許容サイズを満たしていない場合に、前記許容サイズを満たしていないことを警告する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記第1受付処理にて前記第1の方向のサイズの入力を受け付けても、前記警告処理を実行させない場合があり、前記第2受付処理にて前記登録指示を受け付けたことに応じて、前記警告処理を実行させる場合がある、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記警告処理による警告を行う場合、前記ユーザインタフェースを介して、前記第1の方向のサイズの再入力を行う指示を受け付ける第3受付処理を実行させ、
さらに前記コンピュータに、
前記第3受付処理にて再入力の指示を受け付けた場合に、前記記憶処理を実行させず、再度、前記第1受付処理を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
現在設定されている用紙の種類が第1の種類であれば、前記第3受付処理を実行し、第2の種類であれば、前記第3受付処理を実行させない、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1つに記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
印刷データのサイズに応じて用紙の前記第1の方向のサイズを変化させるサイズ可変オプションが設定されている場合に、前記許容サイズを満たさない可能性があること示す報知を行う報知処理を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項11】
情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、プリンタへの印刷指示を契機に実行されるプログラムであって、前記プリンタには、装着可能なオプションユニットの種類が複数有り、オプションユニットの種類ごとに、用紙の第1の方向のサイズについて許容サイズがあり、
前記コンピュータに、
前記情報処理装置のユーザインタフェースを介して、前記プリンタへの前記印刷指示が入力された場合に、前記プリンタに現在装着されているオプションユニットの種類を取得する取得処理と、
前記印刷指示に対応する印刷ジョブに設定されている用紙データのうち前記第1の方向のサイズが、前記取得処理にて取得した種類のオプションユニットの前記許容サイズを満たしていない場合に、前記許容サイズを満たしていないことを示す警告を行う印刷時警告処理と、
を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記印刷時警告処理による警告を行う場合に、前記印刷ジョブをキャンセルするキャンセル処理を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項13】
請求項11に記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記印刷時警告処理による警告を行う場合に、前記ユーザインタフェースを介して、前記印刷ジョブに基づく印刷を継続するかキャンセルするかの入力を受け付ける印刷時受付処理と、
前記印刷時受付処理にてキャンセルを受け付けた場合に、前記印刷ジョブをキャンセルするキャンセル処理と、
を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項14】
情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、プリンタへの印刷指示を契機に実行されるプログラムであって、前記プリンタには、装着可能なオプションユニットの種類が複数有り、オプションユニットの種類ごとに、用紙の第1の方向のサイズについて許容サイズがあり、
前記コンピュータに、
前記情報処理装置のユーザインタフェースを介して、前記プリンタへの前記印刷指示が入力された場合に、前記プリンタに現在装着されているオプションユニットの種類を取得する取得処理と、
前記印刷指示に対応する印刷ジョブに設定された用紙の前記第1の方向のサイズが、前記取得処理にて取得した種類のオプションユニットの前記許容サイズを満たしていない場合に、前記印刷ジョブの印刷データの前記第1の方向の余白を大きくする余白追加処理と、
を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項15】
請求項14に記載するプログラムにおいて、
前記コンピュータに、
前記余白追加処理にて余白を追加した場合に、余白を追加したことを示す通知を行う通知処理を実行させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項16】
メモリと、
ユーザインタフェースと、
コンピュータと、
を備え、
前記コンピュータは、
前記ユーザインタフェースを介して、プリンタでの印刷に用いる用紙サイズの設定のうち、用紙の第1の方向のサイズの入力を受け付ける第1受付処理を実行し、前記プリンタには、装着可能なオプションユニットの種類が複数有り、オプションユニットの種類ごとに、用紙の前記第1の方向のサイズについての許容サイズがあり、
さらに前記コンピュータは、
前記第1受付処理にて受け付けた前記第1の方向のサイズが、前記複数のオプションユニットのうちの少なくとも1つの前記許容サイズを満たしていない場合に、前記許容サイズを満たしていないことを示す警告を行う警告処理と、
前記ユーザインタフェースを介して、用紙サイズの登録を示す登録指示の入力を受け付ける第2受付処理と、
前記第2受付処理にて前記登録指示を受け付けた場合に、前記第1受付処理にて受け付けた前記第1の方向のサイズを含むデータであって、前記プリンタでの印刷に用いる用紙サイズの設定に用いられるデータである用紙データを、前記メモリに記憶する記憶処理と、
を実行する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項17】
ユーザインタフェースと、
コンピュータと、
を備え、
前記コンピュータは、
前記ユーザインタフェースを介して、プリンタへの印刷実行指示が入力された場合に、前記プリンタに現在装着されているオプションユニットの種類を取得する取得処理を実行し、前記プリンタには、装着可能なオプションユニットの種類が複数有り、オプションユニットの種類ごとに、用紙の第1の方向のサイズについて許容サイズがあり、
さらに前記コンピュータは、
前記印刷実行指示に対応する印刷ジョブに設定されている用紙データのうち前記第1の方向のサイズが、前記取得処理にて取得した種類のオプションユニットの前記許容サイズを満たしていない場合に、前記許容サイズを満たしていないことを示す警告を行う印刷時警告処理を実行する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項18】
ユーザインタフェースと、
コンピュータと、
を備え、
前記コンピュータは、
前記ユーザインタフェースを介して、プリンタへの印刷実行指示が入力された場合に、前記プリンタに現在装着されているオプションユニットの種類を取得する取得処理を実行し、前記プリンタには、装着可能なオプションユニットの種類が複数有り、オプションユニットの種類ごとに、用紙の第1の方向のサイズについて許容サイズがあり、
さらに前記コンピュータは、
前記印刷実行指示に対応する印刷ジョブに設定された用紙の前記第1の方向のサイズが、前記取得処理にて取得した種類のオプションユニットの前記許容サイズを満たしていない場合に、前記印刷ジョブの印刷データの前記第1の方向の余白を大きくする余白追加処理を実行する、
ことを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、プリンタでの印刷に用いる設定を行うプログラムおよび情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の情報処理装置においてユーザ定義の用紙サイズを記憶し、その用紙サイズに基づいてプリンタでの印刷に用いる用紙を設定する技術が知られている。例えば、特許文献1には、情報処理装置から出力された印刷データにユーザ定義の用紙サイズが指定されていた場合に、管理サーバによって適切なプリンタ用紙を選択する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、品質保証外の設定が入力されてしまうことへの対策に関する技術が開示されていない。品質保証外の設定で印刷を行うと、オプションユニットの中で用紙が挟まる等、故障の原因となるため、改善の余地がある。
【0005】
本明細書は、印刷に関する設定が可能な情報処理装置のプログラムであって、品質保証外の設定による印刷を低減する技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決を目的としてなされたプログラムは、情報処理装置のコンピュータによって実行可能であり、プリンタでの印刷に用いる用紙サイズの設定を行うための処理を実行するプログラムであって、前記プリンタには、装着可能なオプションユニットの種類が複数有り、オプションユニットの種類ごとに、用紙の第1の方向のサイズについての許容サイズがあり、前記コンピュータに、前記情報処理装置のユーザインタフェースを介して、用紙の前記第1の方向のサイズの入力を受け付ける第1受付処理と、前記第1受付処理にて受け付けた前記第1の方向のサイズが、前記複数のオプションユニットのうちの少なくとも1つの前記許容サイズを満たしていない場合に、前記許容サイズを満たしていないことを示す警告を行う警告処理と、前記ユーザインタフェースを介して、用紙サイズの登録を示す登録指示の入力を受け付ける第2受付処理と、前記第2受付処理にて前記登録指示を受け付けた場合に、前記第1受付処理にて受け付けた前記第1の方向のサイズを含むデータであって、前記プリンタでの印刷に用いる用紙サイズの設定に用いられるデータである用紙データを、前記情報処理装置のメモリに記憶する記憶処理と、を実行させる、ことを特徴としている。
【0007】
本明細書に開示されるプログラムによれば、情報処理装置は、プリンタでの印刷に用いる用紙サイズの設定を受け付けた際、受け付けた用紙サイズのうちの第1の方向のサイズがオプションユニットの許容サイズを満たしていない場合に警告を行う。これにより、ユーザによるサイズの変更や印刷の回避が期待でき、結果として品質保証外の用紙サイズが設定された状態での印刷を低減できる。
【0008】
上記プログラムの機能を実現する情報処理装置、プログラムの機能を実現するための制御方法、プログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0009】
本明細書に開示される技術によれば、印刷に関する設定が可能な情報処理装置のプログラムであって、品質保証外の設定による印刷を低減する技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態にかかる印刷システムの概略構成図である。
【
図2】プリンタの内部構成の概略を示す説明図である。
【
図3】印刷設定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】用紙設定処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】印刷処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする)とプリンタとを含む印刷システムを具体化した実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、連続した帯状の印刷媒体に印刷するプリンタを含む印刷システムを開示するものである。
【0012】
本形態の印刷システムは、
図1に示すように、PC1と、プリンタ2とを有し、互いに通信可能に接続されている。PC1は、プリンタ2に印刷させるための各種の処理を実行する装置である。PC1は、情報処理装置の一例である。具体的に、PC1は、印刷用の画像データの作成及び編集、用紙サイズの設定を含む各種の印刷設定の受け付け、プリンタ2への印刷コマンドの送信等を行う。PC1に代えて、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータを用いることもできる。
【0013】
PC1は、
図1に示すように、CPU11と、ROM12と、RAM13と、不揮発性メモリ14と、を含む制御基板10を備えている。さらに、PC1は、ネットワークインタフェース(以下、「ネットワークIF」とする)16と、USBインタフェース(以下、「USB-IF」とする)17と、ユーザインタフェース(以下、「ユーザIF」とする)18と、ディスプレイ19と、を備え、これらが制御基板10に電気的に接続されている。なお、
図1中の制御基板10は、PC1の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にPC1に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0014】
CPU11は、ROM12や不揮発性メモリ14から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。CPU11は、コンピュータの一例である。ROM12には、PC1を起動するための起動プログラム等が記憶されている。RAM13は、各種の処理が実行される際の作業領域として、あるいは、データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。不揮発性メモリ14は、例えば、HDD、フラッシュメモリであり、各種のアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」とする)等のプログラム、画像データや文書データ等のデータ、各種設定を記憶する領域として利用される。ROM12、RAM13および不揮発性メモリ14は、いずれもメモリの一例である。また、CPU11がCPUバッファを備えているものであれば、CPUバッファもメモリの一例である。
【0015】
メモリの一例はいずれも、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0016】
ネットワークIF16は、LAN、インターネット等のネットワークを介して、外部装置との通信を行うためのハードウェアを含む。ネットワークIF16の通信方式は、無線でも有線でもよく、どのような規格の方式でもよい。USB-IF17は、USB規格に基づいた通信を行うためのハードウェアを含む。PC1とプリンタ2との通信は、ネットワークIF16を用いて行っても良いし、USB-IF17を用いて行っても良い。ネットワークIF16またはUSB-IF17は、通信インタフェースの一例である。
【0017】
ユーザIF18は、キーボード、マウス等のユーザによる入力操作を受け付けるハードウェアを含む。ディスプレイ19は、情報を画面に表示するハードウェアを含む。ディスプレイ19は、表示デバイスの一例である。なお、PC1は、ユーザIF18とディスプレイ19との両方の機能を備えたタッチパネル等を有していても良い。
【0018】
本形態のPC1は、
図1に示すように、不揮発性メモリ14に、ラベル作成アプリ40と、オペレーティングシステム(以下、「OS」とする)41と、を備えている。ラベル作成アプリ40には、用紙設定アプリ401と、用紙登録データベース(以下、「用紙登録DB」とする)402と、が含まれる。ラベル作成アプリ40は、印刷用の画像の編集や印刷設定、印刷実行指示等を受け付けるプログラムである。OS41には、プリンタ2を制御するプリンタドライバ411が含まれる。ラベル作成アプリ40とプリンタドライバ411とは、プログラムの一例である。各プログラムの処理については、後述する。
【0019】
本形態のプリンタ2は、例えば、
図2に示すように、印刷ヘッド21と、ロール状に巻き取られた印刷媒体22と、を内蔵し、印刷媒体22への印刷と印刷媒体22の搬送とを並行して行う、いわゆるラベルプリンタである。プリンタ2の印刷ヘッド21は、例えば、熱転写方式のものであり、発熱素子である複数の印字ピンの列を備える。プリンタ2は、印刷ヘッド21の各印字ピンを選択的に発熱させることで、印刷媒体22への印刷を行う。
【0020】
プリンタ2にて用いられる印刷媒体22は、連続した帯状の基材221と、基材221の片面に貼着された印刷対象の用紙222とを含むものである。プリンタ2は、印刷媒体22を巻き出しつつ印刷ヘッド21にて用紙222に印刷する。これにより、
図2に示すように、印刷媒体22のうちの印刷済みの部分が、排出口23から機外へ突出される。プリンタ2は、排出口23の近傍に、例えば、手動式のカッター24を備える。カッター24がユーザによって操作されることで、機外へ突出した部分が残りの印刷媒体22から切り取られて排出される。
【0021】
プリンタ2にて用いられる印刷媒体22には、印刷対象の用紙222の形状によって複数の用紙種類がある。用紙種類は、例えば、長尺テープ、ダイカットラベル、マーク付きメディアである。長尺テープは、基材221と同様の連続した帯状の用紙222が基材221に貼着されているものである。例えば、印刷済みの部分をカッター24等で切り取ることで、長尺テープから所定の長さのラベルが作成される。ダイカットラベルは、所定の形状に予め切断された切断済みの用紙222が、基材221に所定の間隔を空けて貼着されているものである。マーク付きメディアは、印刷媒体22の長手方向に所定の間隔でマークが設けられているものであり、各用紙222は1つずつのマークを含む範囲に設定されている。
【0022】
本形態のラベル作成アプリ40は、プリンタ2での印刷によって作成する個々のラベルの用紙サイズの設定を受け付ける。以下では、用紙サイズのうち、印刷媒体22の搬送方向の大きさを、「用紙長さ」とし、搬送方向に直交する方向の大きさを、「用紙幅」とする。印刷媒体22の搬送方向は、第1の方向の一例である。用紙幅は、セットされた印刷媒体22によって決まる。例えば、用紙222の幅が基材221の幅よりも小さい場合、用紙幅は、用紙222の幅である。
【0023】
用紙長さは、用紙種類や印刷データによってそれぞれ異なる。用紙種類が長尺テープの場合、用紙長さは、個々の印刷データの印刷対象となる範囲であり、印刷後に排出口23から突出される長さである。用紙種類がダイカットラベルの場合、用紙長さは、基材221上に貼着されている切断済みの用紙222の1つの長さである。用紙種類がマーク付きメディアの場合、用紙長さは、搬送方向におけるマークの間隔である。
【0024】
なお、本形態のプリンタ2は、セットされている印刷媒体22の用紙サイズを計測して計測結果を出力するサイズ計測機能を有している。プリンタ2は、搬送経路に光センサを備え、印刷媒体22を搬送しつつ基材221上の用紙222の有無やマークの有無を光センサによって検知する。サイズ計測機能の実行により、プリンタ2は、印刷媒体22の用紙種類、用紙長さ、用紙幅を取得する。また、印刷媒体22がカセットに収容され、プリンタ2にカセットが装着されることで、プリンタ2がカセットから印刷媒体22の情報を取得できる場合には、プリンタ2は、取得した情報に基づいて用紙種類等の情報を取得してもよい。
【0025】
PC1の不揮発性メモリ14に記憶される用紙登録DB403は、プリンタ2にて用いられる印刷媒体22の種類やサイズ等の情報を含む用紙データを、印刷媒体22の名称である用紙名称と関連付けて記憶するデータベースである。用紙データは、プリンタ2に印刷を実行させる際に、印刷ジョブに設定される印刷媒体22の情報として用いられる。PC1の用紙設定アプリ401は、印刷媒体22の情報を用紙登録DB403に登録させるアプリである。用紙設定アプリ401は、サイズ計測機能による計測結果に基づく登録も、ユーザの手入力による登録も受け付ける。
【0026】
本形態のプリンタ2は、例えば、
図2に示すように、排出口23の外側にオプションユニット25の装着が可能なものである。オプションユニット25は、印刷後の印刷媒体22に加工を施すユニットであり、例えば、カッターオプション、ピーラーオプションであって、1つのみの装着が可能である。カッターオプションは、印刷済みで排出口23から排出された印刷媒体22を自動的にカットするものであり、例えば、1ラベルごとにカット、全ラベルの後端でカット、の設定が可能である。ピーラーオプションは、用紙222を基材221から剥がすものであり、例えば、用紙222を途中まで基材221から剥がした状態で排出する。
【0027】
カッターオプションを装着した場合、オプションユニット25の内部でカットされることから、短すぎる用紙長さでのカットは、カット済みのシートがカット刃に付着するなど、オプションユニット25の不調を招く可能性がある。また、ピーラーオプションを装着した場合、基材からはがした部分が短すぎると、オプションユニット25から適切に排出できない可能性がある。そのため、各オプションユニット25には、それぞれ、適切に使用するために許容される用紙長さの最小値である最小長さが設定されている。
【0028】
すなわち、オプションユニット25を使用する場合、用紙長さが、使用するオプションユニット25に対応して定義されている最小長さ以上であることが好ましい。使用するオプションユニット25の最小長さより短い用紙長さを含む印刷設定での印刷は、プリンタ2の品質保証外の印刷である。最小長さは、許容サイズの一例である。なお、最小長さは、各オプションユニット25の設計値から求められるサイズであっても良いし、試験結果等から得られる品質保証サイズであっても良い。また、オプションユニット25を使用しない場合にも、品質保証外となる最小長さは設定されていてもよい。
【0029】
各オプションユニット25に設定されている最小長さは、例えば、以下の通りである。
カッターオプション取り付け時: 25.4mm
ピーラーオプション取り付け時: 12.7mm
オプション取り付け無し時: 6.0mm
【0030】
続いて、ラベル作成アプリ40による各処理について説明する。なお、以下の処理およびフローチャートの各処理ステップは、基本的に、各プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPU11の処理を表している。CPU11による処理は、PC1のOS41のAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OS41の記載を省略して各プログラムの動作を説明する。すなわち、以下の説明において、「プログラムBがハードウェアCを制御する」という趣旨の記載は、「プログラムBがOS41のAPIを用いてハードウェアCを制御する」ことを指してもよい。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU11の処理を、省略した文言で記載することがある。例えば、「CPU11が行う」、「プログラムが行う」のように記載することがある。
【0031】
なお、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、CPU11が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPU11がデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。また、「要求する」、「指示する」とは、要求していることを示す情報や、指示していることを示す情報を相手に出力することを示す概念である。また、要求していることを示す情報や指示していることを示す情報のことを、単に、「要求」、「指示」とも記載する。
【0032】
また、CPU11による、情報Aは事柄Bであることを示しているか否かを判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか否かを判断する」のように概念的に記載することがある。CPU11による、情報Aが事柄Bであることを示しているか、事柄Cであることを示しているか、を判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか事柄Cであるかを判断する」のように概念的に記載することがある。
【0033】
ラベル作成アプリ40は、印刷設定の指示を受け付けると、プリンタドライバ411を起動して、プリンタドライバ411の印刷設定処理を実行させる。プリンタドライバ411による印刷設定処理の手順について、
図3のフローチャートを参照して説明する。印刷設定処理は、ラベル作成アプリ40にて印刷設定の指示を受け付けたことを契機に、PC1のCPU11にて実行される。
【0034】
印刷設定処理では、CPU11は、例えば、
図4に示すような印刷設定画面51をディスプレイ19に表示させ(S101)、この画面中で各種の印刷設定を受け付ける。印刷設定画面51は、例えば、
図4に示すように、用紙選択欄511、用紙サイズ欄512、印刷部数欄513、オプション欄514、を含む画面である。印刷設定画面51には、さらに、用紙サイズ設定ボタン52と、OKボタン53と、キャンセルボタン54と、が含まれる。また、用紙サイズ欄512には、用紙長さ欄55が含まれる。
【0035】
用紙選択欄511は、用紙サイズの名称の選択を受け付ける欄である。用紙選択欄511には、一般的な複数種の用紙サイズの名称、および、用紙登録DB402に登録済みの印刷媒体22の名称が、選択肢として表示される。例えば、用紙登録DB402に登録済みの印刷媒体22の名称が選択されると、CPU11は、選択された用紙名称に対応して記憶されている印刷媒体22のサイズを用紙サイズ欄512に表示させる。また、用紙サイズ設定ボタン52は、新たな用紙を用紙登録DB402に登録させる動作を開始する指示を受け付けるボタンである。
【0036】
用紙サイズ欄512は、用紙サイズの入力を受け付ける欄である。用紙サイズ欄512では、印刷の向きの情報も受け付ける。印刷部数欄513は、同じラベルを作成する部数の入力を受け付ける欄である。オプション欄514は、ラベル作成時にオプションユニット25を使用するか否かを示す情報の入力を受け付ける欄である。
【0037】
CPU11は、表示中の印刷設定画面51にて、各欄への入力を受け付け、受け付けた情報を印刷設定画面51に表示させる。そして、CPU11は、用紙サイズ設定ボタン52が押下されたか否かを判断する(S102)。用紙サイズ設定ボタン52が押下されたと判断した場合(S102:YES)、CPU11は、用紙設定アプリ401(
図1参照)を起動し(S103)、用紙設定処理を実行する(S104)。用紙設定処理は、印刷媒体22の情報を受け付け、受け付けた情報に用紙名称を付けて用紙登録DB402に登録する処理である。
【0038】
次に、用紙設定処理の手順について、
図5のフローチャートを参照して説明する。用紙設定処理では、CPU11は、まず、例えば、
図6に示すように、用紙登録画面61をディスプレイ19に表示させる(S201)。用紙登録画面61は、例えば、
図6に示すように、用紙名称欄611、用紙サイズ欄612、余白サイズ欄613、を含む画面である。用紙登録画面61には、さらに、用紙自動検知ボタン62と、追加ボタン63と、キャンセルボタン64と、が含まれる。また、用紙サイズ欄612には、用紙長さ欄65が含まれる。そして、CPU11は、用紙登録画面61にて、各欄への入力を受け付ける。S201は、第1受付処理の一例である。
【0039】
用紙名称欄611は、用紙登録DB402に登録する用紙名称の入力と、用紙種類の選択と、を受け付ける欄である。なお、用紙種類としては、前述したように、例えば、長尺テープ、ダイカットラベル、マーク付きメディア、がある。用紙サイズ欄612は、個別のラベルの大きさの入力を受け付ける欄と、用紙種類がマーク付きメディアである場合のマークの配置を示す情報の入力を受け付ける欄と、を含む。長尺テープであれば、用紙長さは自由に設定できる。ダイカットラベルやマーク付きメディアの場合には、用紙サイズ欄612の各情報は個別のラベルの大きさによって決まっている。また、余白サイズ欄613は、印刷領域の周囲の余白を設定する情報の入力を受け付ける欄である。
【0040】
用紙自動検知ボタン62は、プリンタ2に装着されている用紙のサイズの計測を、プリンタ2に、プリンタ2が備えるサイズ計測機能によって行わせる指示を受け付けるボタンである。用紙自動検知ボタン62が押下されると、PC1は、サイズ計測機能による計測を指示するサイズ検知コマンドをプリンタ2に送信する。そして、PC1は、プリンタ2から計測結果を受信し、受信した情報に基づいて、用紙登録画面61の情報を更新する。追加ボタン63は、用紙登録画面61に入力されている情報を用紙登録DB402に登録する登録指示を受け付けるボタンである。キャンセルボタン64は、登録せずに用紙設定処理を終了する指示を受け付けるボタンである。
【0041】
CPU11は、表示中の用紙登録画面61にて、追加ボタン63が押下されたか否かを判断する(S202)。S202は、第2受付処理の一例である。追加ボタン63が押下されていないと判断した場合(S202:NO)、CPU11は、キャンセルボタン64が押下されたか否かを判断する(S203)。キャンセルボタン64が押下されていないと判断した場合(S203:NO)、CPU11は、S202に戻り、追加ボタン63またはキャンセルボタン64が押下されるまで、用紙登録画面61への入力を受け付ける。
【0042】
追加ボタン63が押下されたと判断した場合(S202:YES)、CPU11は、用紙登録画面61に入力されている各情報を取得し、用紙長さ欄65に用紙長さが設定されているか否かを判断する(S204)。用紙長さが設定されていると判断した場合(S204:YES)、CPU11は、警告メッセージの表示が許容されているか否かを判断する(S205)。警告メッセージは、後述するように、受け付けた用紙長さに対して注意を喚起するメッセージである。警告メッセージを表示した際には、以後の警告メッセージの表示を許容しない旨のユーザの設定を受け付ける。この設定を受け付け済みであれば、CPU11は、S205にてNOと判断する。
【0043】
警告メッセージの表示が許容されていると判断した場合(S205:YES)、CPU11は、プリンタ2に装着可能な各オプションユニット25に設定されている最小長さと、用紙長さ欄65に入力されている用紙長さの情報と、を比較して、用紙長さが最小長さの少なくとも1つよりも短いか否かを判断する(S206)。例えば、本形態では、カッターオプション取り付け時の最小長さとピーラーオプション取り付け時の最小長さとの少なくとも一方よりも短いか否かを判断する。そして、短いと判断した場合(S206:YES)、CPU11は、ディスプレイ19に、警告メッセージを表示させて警告を行う(S207)。S207は、警告処理の一例である。
【0044】
CPU11は、用紙登録画面61の用紙名称欄611に含まれる用紙種類の欄で、長尺テープが選択されているか否かを判断する(S208)。長尺テープが選択されていると判断した場合(S208:YES)、CPU11は、ディスプレイ19に、再設定を受け付けるか否かを問い合わせる再設定メッセージをさらに表示させる(S209)。長尺テープは、第1の種類の一例であり、ダイカットラベルまたはマーク付きメディアは、第2の種類の一例である。
【0045】
メッセージの具体例を
図7に示す。オプションユニット25の種類ごとに推奨される最小長さは異なる。CPU11は、用紙長さが最小長さを下回っているオプションユニット25の種類を警告メッセージ中に具体的に表示して、注意を喚起する。例えば、プリンタ2に装着可能な各オプションユニット25がオプションAとオプションBであって、オプションAの最小長さがxmm、オプションBの最小長さがymm(x<y)である場合、用紙長さがxmmよりも短ければ、オプションAの最小長さとオプションBの最小長さとを共に表示して、注意を喚起する。一方、用紙長さがxmmよりも長くymmよりも短ければ、オプションBの最小長さのみを表示して、注意を喚起する。
【0046】
図7(A)は、用紙長さがピーラーオプションの最小長さよりも短く、用紙種類が長尺テープである場合のメッセージ71である。メッセージ71は、警告メッセージ711と、再設定メッセージ712とを含む。
図7(B)は、用紙長さがピーラーオプションの最小長さ以上であって、カッターオプションの最小長さよりも短く、用紙種類が長尺テープである場合のメッセージ72である。メッセージ72は、警告メッセージ721と、再設定メッセージ722とを含む。再設定メッセージ712や再設定メッセージ722には、再設定を受け付けるボタンと、このままの設定で登録する指示を受け付けるボタンとが含まれる。
【0047】
ダイカットラベルまたはマーク付きメディアである場合には、再設定メッセージ712または再設定メッセージ722が含まれないメッセージ、すなわち、警告メッセージ711または警告メッセージ721のみが表示される。ダイカットラベルまたはマーク付きメディアは、印刷媒体22ごとに用紙222の大きさが予め決まっており、再設定を受け付けてもユーザが困惑する可能性が高いことから、CPU11は、再設定を受け付けず、警告するのみとすることでユーザの困惑を回避できる。
【0048】
図5の説明に戻る。再設定メッセージ712、722を表示させた後、CPU11は、再設定の指示を受け付けたか否かを判断する(S210)。S210は、第3受付処理の一例である。再設定の指示を受け付けていないと判断した場合(S210:NO)、CPU11は、このままで登録する指示を受け付けたか否かを判断する(S211)。このままで登録する指示も受け付けていないと判断した場合(S211:NO)、CPU11は、再設定の指示またはこのままの指示を受け付けるまで待機する。
【0049】
再設定の指示を受け付けたと判断した場合(S210:YES)、CPU11は、S201に戻り、用紙登録画面61への再入力を受け付ける。一方、用紙長さが設定されていないと判断した場合(S204:NO)、または、表示が許容されていないと判断した場合(S205:NO)、または、用紙長さがオプションユニット25の最小長さ以上であると判断した場合(S206:NO)、または、長尺テープではないと判断した場合(S208:NO)、または、このままで登録する指示を受け付けたと判断した場合(S211:YES)、CPU11は、入力済みの用紙サイズ欄612の情報に用紙名称欄611を対応させて、用紙登録DB402に登録する(S212)。S212は、記憶処理の一例である。
【0050】
S212の後、または、キャンセルボタン64が押下されたと判断した場合(S203:YES)、CPU11は、用紙登録画面61を閉じ(S213)、用紙設定処理を終了して、印刷設定処理に戻る。なお、用紙設定処理は、印刷設定画面51の用紙サイズ設定ボタン52への操作による指示に限らず、ユーザの指示によって用紙設定アプリ401が直接実行されることもある。ユーザの指示に基づいて実行された場合、用紙設定処理の終了により、用紙登録画面61を閉じて、その前の表示状態に戻る。
【0051】
図3の説明に戻る。S104の用紙設定処理にて、用紙の情報を用紙登録DB402に登録した場合、登録した情報が
図4に示した印刷設定画面51にも反映され、用紙長さ欄55に用紙長さの情報が表示される。用紙設定処理の後、または、印刷設定画面51の用紙サイズ設定ボタン52が押下されていないと判断した場合(S102:NO)、CPU11は、OKボタン53が押下されたか否かを判断する(S105)。
【0052】
OKボタン53が押下されていないと判断した場合(S105:NO)、CPU11は、キャンセルボタン54が押下されたか否かを判断する(S106)。キャンセルボタン54が押下されていないと判断した場合(S106:NO)、CPU11は、S102に戻り、用紙サイズ設定ボタン52とOKボタン53とキャンセルボタン54との何れかが押下されるまで待機する。
【0053】
OKボタン53が押下されたと判断した場合(S105:YES)、CPU11は、オプション欄514にて、カッターオプションまたはピーラーオプションが選択されているか否かを判断する(S107)。オプションが選択されていると判断した場合(S107:YES)、CPU11は、用紙長さ欄55に入力されている用紙長さが、オプション欄514にて設定されているオプションの最小長さよりも短いか否かを判断する(S108)。
【0054】
前述したように、プリンタ2は、オプションユニット25(
図2参照)として、カッターオプションまたはピーラーオプションを装着可能である。これらを装着した状態で、印刷時にその機能を発揮させるためには、印刷設定画面51のオプション欄514にて、使用するオプションを設定する必要がある。オプション欄514にてカッターオプションまたはピーラーオプションが選択されている場合、用紙長さは、選択中のオプションの最小長さ以上であることが推奨される。
【0055】
また、オプション欄514には、「トリミング」の項目が含まれる。トリミングは、印刷対象の画像の大きさに合わせて、余白部分を切り取って用紙長さを短くするオプションである。ラベル作成アプリ40は、トリミングが設定されている場合、例えば、用紙長さ欄55に5文字分の長さが設定されていても、印刷データが3文字分の画像である場合、用紙長さを2文字分短くして3文字分の長さのラベルを作成する。トリミングが設定されている場合、作成されるラベルの長さは、用紙長さ欄55に入力されている用紙長さよりも短くなる可能性がある。トリミングは、サイズ可変オプションの一例である。
【0056】
CPU11は、用紙長さが選択中のオプションの最小長さよりも短いと判断した場合(S108:YES)、CPU11は、ディスプレイ19に警告メッセージを表示させる(S109)。また、オプション欄514にてカッターオプションまたはピーラーオプションが選択され、さらにトリミングが選択されている場合、CPU11は、用紙長さが選択中のオプションの最小長さ以上であってもS108でYESと判断し、トリミングによって最小長さを下回る可能性があることを報知する。S109は、警告処理の一例であり、オプション欄514にトリミングが選択されている場合のS109は、報知処理の一例である。なお、トリミングを行わなくても用紙長さが最小長さより短い場合、警告メッセージにトリミングの情報を含めなくても良い。
【0057】
CPU11は、選択されている用紙が長尺テープであるか否かを判断する(S110)。そして、長尺テープであると判断した場合(S110:YES)、CPU11は、ディスプレイ19に、再設定を受け付けるか否かを問い合わせる再設定メッセージを表示させる(S111)。再設定メッセージは、S209にて表示する再設定メッセージと同様の、再設定を行うか否かをユーザに問い合わせるメッセージである。
【0058】
トリミングとカッターオプションとが設定され、長尺テープが選択されている場合のメッセージの例を
図7(C)に示す。
図7(C)に示すメッセージ73は、警告メッセージ731と、再設定メッセージ732と、を含む。再設定メッセージ732は、
図7(A)に示した再設定メッセージ712と同様のものである。ダイカットラベルまたはマーク付きメディアが選択されている場合、CPU11は、再設定メッセージ732を表示させず、警告メッセージ731のみを表示させる。
【0059】
再設定メッセージを表示させた後、CPU11は、再設定の指示を受け付けたか否かを判断する(S112)。再設定の指示を受け付けていないと判断した場合(S112:NO)、CPU11は、このままで設定する指示を受け付けたか否かを判断する(S113)。このままで設定する指示も受け付けていないと判断した場合(S113:NO)、CPU11は、再設定の指示またはこのままの指示を受け付けるまで待機する。
【0060】
再設定の指示を受け付けたと判断した場合(S112:YES)、CPU11は、S101に戻って印刷設定画面51への再設定を受け付ける。一方、オプションが選択されていないと判断した場合(S107:NO)、または、用紙長さがオプションの最小長さ以上であると判断した場合(S108:NO)、または、長尺テープではないと判断した場合(S110:NO)、または、このままで設定する指示を受け付けたと判断した場合(S113:YES)、CPU11は、設定された各情報を印刷設定として記憶する(S114)。S114の後、または、キャンセルボタン54が押下されたと判断した場合(S106:YES)、CPU11は、印刷設定画面51を閉じ(S115)、印刷設定処理を終了する。
【0061】
この印刷設定処理では、CPU11は、プリンタ2に実際にオプションユニット25が装着されているか否かに関わらず、印刷設定画面51にてオプションの使用が選択されているか否かに基づいて警告メッセージを表示する。そのため、印刷設定処理での警告メッセージの表示は、プリンタ2と通信できない状態であっても実行可能である。
【0062】
次に、プリンタドライバ411による印刷処理の手順について、
図8のフローチャートを参照して説明する。ラベル作成アプリ40は、印刷対象の画像データの選択と印刷実行の指示とを受け付けると、設定されている印刷設定を用いて印刷ジョブを生成し、OS41を介してプリンタドライバ411を起動する。この印刷処理は、プリンタドライバ411に従って、PC1のCPU11にて実行される。
【0063】
印刷処理では、CPU11は、プリンタ2に装着されているオプションユニット25の情報を取得する(S302)。S302は、取得処理の一例である。CPU11は、例えば、プリンタ2との通信を行ってオプションユニット25の情報を取得する。
【0064】
CPU11は、取得したオプションユニット25の情報に基づいて、印刷ジョブに設定されている用紙長さが適切であるか否かを判断する(S303)。例えば、プリンタ2にオプションユニット25が装着されていない場合、または、装着されていても印刷設定にそのオプションユニット25の使用が指定されていない場合、CPU11は、S303にてYESと判断する。
【0065】
また、プリンタ2にオプションユニット25が装着されており、そのオプションユニット25の使用が印刷設定に指定されている場合、CPU11は、印刷ジョブの用紙長さが当該オプションユニット25の最小長さ以上であれば、S303にてYESと判断する。一方、印刷ジョブの用紙長さが、装着され指定されているオプションユニット25の最小長さより短い場合、CPU11は、S303にてNOと判断する。なお、印刷設定にてトリミングが設定されている場合、印刷ジョブの用紙長さは、トリミング後の用紙長さとなっている。
【0066】
用紙長さが適切ではないと判断した場合(S303:NO)、CPU11は、印刷データに余白を追加するか否かを判断する(S304)。そして、S304にて、CPU11は、例えば、印刷設定画面51への操作にて設定されたユーザ設定に基づいて、余白を追加するか否かを判断しても良い。また、CPU11は、プリンタ2のモデル情報、装着されているオプションユニット25の種類、に基づいて余白を追加するか否かを判断しても良い。例えば、プリンタのモデルごとに、オプションユニットが装着されていない場合と、オプションユニットが装着されている場合とのそれぞれについて、設計値として最小長さが定められている。CPU11は、プリンタ2のモデル情報や装着されているオプションユニット25の種類に応じて最小長さを特定し、用紙長さが最小長さより短い場合に余白を追加すると判断しても良い。なお、ユーザ設定や最小長さは、不揮発性メモリ14内のレジストリに記憶されていても良い。
【0067】
余白を追加すると判断した場合(S304:YES)、CPU11は、印刷ジョブの用紙長さをオプションユニット25の最小長さ以上となるように余白を追加する(S305)。CPU11は、例えば、印刷データの前または後または前後の両方に、必要な長さの空欄を追加する。S305は、余白追加処理の一例である。さらに、CPU11は、ディスプレイ19に、余白を追加したことをユーザに通知するメッセージを表示させる(S306)。S306は、通知処理の一例である。余白の追加を通知することで、ユーザが余白の追加を認識でき、印刷設定と異なる長さの用紙222が出力されることに伴うユーザの困惑を回避できる。
【0068】
追加する余白の量は、用紙長さが最小長さ以上となるように、可変量の余白を追加するとしても良いし、予め決めた固定量の余白を追加するとしても良い。また、例えば、トリミングのオプションにより用紙長さが印刷設定より短くなったことで、用紙長さが最小長さより短くなった場合、トリミングによって削除された分の余白を元に戻すことで、用紙長さをオプションユニット25の最小長さ以上とするとしても良い。また、例えば、印字基点補正によって印刷される範囲が減少し、ラベルの長さが短くなる場合にも、余白を追加するとしても良い。
【0069】
余白を追加しないと判断した場合(S304:NO)、CPU11は、ディスプレイ19に警告メッセージを表示させる(S307)。S307は、印刷時警告処理の一例である。S307では、CPU11は、例えば、
図9に示すように、装着されているオプションユニット25の種類とその最小長さの情報を含む警告メッセージ741と、印刷を続行するか否かを問い合わせる問い合わせメッセージ742と、を含むメッセージ74を表示させる。問い合わせメッセージ742には、印刷を続行する指示を受け付けるボタンと、印刷をキャンセルして印刷設定を再設定する指示を受け付けるボタンとが含まれる。
【0070】
そして、CPU11は、再設定の指示を受け付けたか否かを判断する(S308)。再設定の指示を受け付けていないと判断した場合(S308:NO)、CPU11は、続行の指示を受け付けたか否かを判断する(S309)。続行の指示も受け付けていないと判断した場合(S309:NO)、CPU11は、再設定の指示または続行の指示を受け付けるまで待機する。S308とS309とは、印刷時受付処理の一例である。
【0071】
再設定の指示を受け付けたと判断した場合(S308:YES)、CPU11は、印刷ジョブをキャンセルして(S310)、前述した印刷設定処理の実行を開始し(S311)、印刷処理を終了する。S310は、キャンセル処理の一例である。印刷ジョブを強制的にキャンセルすることで、品質保証外の用紙設定による印刷を回避できる。
【0072】
一方、用紙サイズが適切であると判断した場合(S303:YES)、または、S306の後、または、続行の指示を受け付けたと判断した場合(S309:YES)、CPU11は、プリンタ2に印刷データを送信し(S312)、印刷処理を終了する。具体的には、CPU11は、プリンタ2への印刷実行コマンドを送信する。印刷を続行可能にすることで、リスクを承知で印刷を希望するユーザにも対応できる。
【0073】
プリンタ2に印刷データを送信した場合、印刷データを受信したプリンタ2は印刷の実行を開始する。この場合、CPU11は、ディスプレイ19に印刷実行中を示すウィンドウを表示させても良い。本形態のPC1は、用紙サイズの設定が適切ではないと判断した場合であっても、ユーザによる続行の指示を受け付けた場合には、そのままの設定で印刷を実行する。その場合に印刷経過を表示させることで、オプションユニット25への悪影響の可能性を承知の上で印刷を行いたいユーザの利便性が高い。
【0074】
以上、詳細に説明したように、本明細書に記載の印刷システムによれば、印刷設定にて設定された用紙長さがオプションユニット25の最小長さ以上ではない場合、用紙サイズが適切でないことを警告する。従って、ユーザによるサイズの変更や印刷の回避が期待でき、結果として品質保証外の用紙サイズが設定された状態での印刷を低減できる。また、仮に印刷を行ったとしても、ユーザは故障のリスクを承知した上で印刷を行う可能性が高く、ユーザにとって不測の故障が発生する可能性を低減できる。
【0075】
さらに、本明細書に記載の印刷システムでは、用紙情報の登録時、印刷設定の受け付け時、印刷実行指示の受け付け時に、それぞれ異なる警告メッセージを表示させる。用紙情報の登録時には、装着可能な各オプションユニット25の全ての最小長さと比較して、用紙長さが何れか1つの最小長さより短い場合にその旨を表示する。印刷設定の受け付け時には、印刷設定にて選択されているオプションユニット25の最小長さと比較して、用紙長さがその最小長さより短い場合にその旨を表示する。それに対し、印刷実行指示の受け付け時には、プリンタ2に装着されているオプションユニット25の最小長さと比較して、用紙長さがその最小長さより短い場合にその旨を表示する。例えば、装着されていないオプションユニット25の情報を表示したとしてもユーザにとっては不要であり、困惑を招く可能性がある。使用が想定されているオプションユニット25の情報に限定して警告することで、利便性が向上する。また、何れの場合でも、対象となるオプションユニット25の種類を明示した警告メッセージを表示するので、ユーザが警告の要因を把握し易く、用紙長さを修正し易い。
【0076】
また、本明細書に記載の用紙設定処理では、用紙長さが最小長さを満たしていないことを警告した場合、用紙登録DB403に用紙データを登録する前に用紙サイズの再設定を可能にするので、利便性が高まる。なお、再設定の指示を受け付けるメッセージは、警告メッセージと同時に表示してもよいし、警告メッセージとは別のウィンドウにて、警告後に連続して表示してもよい。
【0077】
また、トリミングが設定されている場合、用紙長さが可変であり、その結果としてオプションユニット25の許容サイズを満たさなくなる可能性がある。本形態では、印刷設定にトリミングが設定されている場合、その旨を報知するので、ユーザにとって不測の故障となる可能性を低減できる。
【0078】
なお、本実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、PC1やプリンタ2は、それぞれ1台に限らず、複数台が接続された印刷システムでも良い。
【0079】
また、プリンタ2の印刷方式は、熱転写方式に限らず、例えば、インクジェット方式、電子写真方式、感熱方式でもよい。また、プリンタ2にて用いる印刷媒体は、連続用紙であれば良く、ラベルに限らず、例えば、ロール紙でもよい。
【0080】
また、実施の形態では、用紙種類がダイカットラベルまたはマーク付きメディアの場合、用紙長さの再設定を受け付けないとしたが、受け付けても良い。
【0081】
また、用紙設定アプリ401はラベル作成アプリ40に含まれるとしたが、プリンタドライバ411の一部であっても良いし、独立したプログラムであっても良い。また、印刷設定処理は、プリンタドライバ411の処理であるとしたが、ラベル作成アプリ40の処理であっても良い。また、印刷処理の一部は、プリンタドライバ411の処理であっても良い。例えば、S302~S312は、プリンタドライバ411にて実行されるとしても良い。なお、印刷をキャンセルする場合、プリンタドライバ411は、受け取った印刷データを削除し、印刷をキャンセルしたことを示す情報をラベル作成アプリ40に返す。
【0082】
また、用紙長さが適切であるか否かの判断や警告メッセージの表示は、OKボタン53や追加ボタン63が押下されたタイミングに限らず、用紙サイズの情報として用紙長さの入力を受け付けたタイミングで行っても良い。一方、OKボタン53や追加ボタン63が押下されたタイミングで行えば、用紙長さの入力の度に警告される場合と比較して煩わしさが軽減される。また、各警告は、警告メッセージの表示に限らず、例えば、音声メッセージでも良い。
【0083】
また、実施の形態の用紙設定処理では、用紙長さが最小長さよりも短い場合に警告を行うとしたが、用紙長さにかかわらず、常に警告を行うとしても良い。具体的には、用紙設定処理のS206を削除し、S205でYESと判断した場合にはS207に進むとしても良い。
【0084】
また、実施の形態の印刷処理では、用紙長さが適切でないと判断した場合(S303にてNOの場合)、余白を追加するか否かを判断するとしたが、常に余白を追加するとしても良い。具体的には、S304の判断を削除し、S303にてNOの場合は、S305~S306を実行するとしても良い。
【0085】
また、プリンタ2に装着されているオプションユニット25の情報は、プリンタ2に直接問い合わせて取得するとしたが、これに限らず、例えば、ユーザに入力させてもよいし、OS41に問い合わせて取得してもよい。また、印刷設定処理でも、プリンタ2と通信して装着されているオプションユニット25の情報を取得し、取得した情報に基づいて、S206の判断を行っても良い。
【0086】
また、実施の形態では、余白を追加しないと判断した場合に警告メッセージを表示するとしたが、先に警告メッセージの表示を行っても良い。例えば、警告メッセージ中に、余白を追加するか否かをユーザに問い合わせるチェックボックスを設け、余白を追加するか否かのユーザの指示を受け付けても良い。また、用紙長さが適切でないと判断した場合であっても、ユーザの指示によって印刷を続行できるとしたが、続行を受け付けなくても良い。つまり、印刷の続行か用紙サイズの再設定かを問い合わせる画面を表示する代わりに、印刷ジョブを強制キャンセルしてもよいし、キャンセルか再設定かを問い合わせてもよい。
【0087】
また、実施の形態では、印刷処理を、プリンタドライバ411が実行する処理として説明したが、ラベル作成アプリ40等のアプリが実行する処理であっても良い。その場合、アプリは、プリンタドライバ411を起動して、プリンタドライバ411を介してプリンタの情報を取得すればよい。
【0088】
また、実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0089】
また、実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組合せで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0090】
1 PC
2 プリンタ
11 CPU
14 不揮発性メモリ
16 ネットワークIF
17 USB-IF
18 ユーザIF
19 ディスプレイ
40 ラベル作成アプリ