(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】積層電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/54 20210101AFI20221213BHJP
H01M 50/536 20210101ALI20221213BHJP
H01M 10/0585 20100101ALI20221213BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20221213BHJP
【FI】
H01M50/54
H01M50/536
H01M10/0585
H01M10/0562
(21)【出願番号】P 2019019116
(22)【出願日】2019-02-05
【審査請求日】2021-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(72)【発明者】
【氏名】松本 瑞穂
【審査官】森 透
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-136490(JP,A)
【文献】国際公開第2018/231605(WO,A1)
【文献】特開2001-332240(JP,A)
【文献】特開2017-117696(JP,A)
【文献】特開2002-042855(JP,A)
【文献】特開2011-082097(JP,A)
【文献】特開2017-204377(JP,A)
【文献】特開2018-181525(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0029228(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/531
H01M 10/0585
H01M 10/0562
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに積層されている複数の積層電池ユニットを有している積層電池であって、
前記積層電池ユニットが、第1の集電体層、第1の活物質層、固体電解質層、第2の活物質層、第2の集電体層、第2の活物質層、固体電解質層、第1の活物質層、及び第1の集電体層がこの順に積層されてなる構成を有しており、
互いに隣接している2つの第1の集電体層が、第1の集電体対を構成しており、かつ
前記第1の集電体対を構成する2つの前記第1の集電体層のうちの1つのみが、周縁部から突出してい
る突出部を有しており、
前記第1の集電体対を構成する2つの前記第1の集電体層のうちの他方が、周縁部から突出している突出部を有しておらず、かつ複数の前
記突出部が互いに接合されている、
積層電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯機器や自動車等の電源として、様々な積層電池(例えば、全固体電池)が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、少なくとも第1の電極の集電体、第1の電極の活物質層、固体電解質層、第1の電極の対極である第2の電極の活物質層、第2の電極の集電体、第2の電極の活物質層、固体電解質層、及び第1の電極の活物質層がこの順に積層された電池ユニットの2つ以上が積層されて成り、この電池ユニットの第1の電極の集電体と、該集電体に隣接して積層された電池ユニットとを接着するための接着材を有することを特徴とする、全固体電池が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、正極集電体層、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、及び負極集電体層を有している複数の全固体電池セルが、バイポーラ型又はモノポーラ型で積層されている積層型全固体電池の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-204377号公報
【文献】特開2016-136490号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献2のような積層電池では、全固体電池セルがモノポーラ型で積層されていると、2枚の同電極(同じ正極又は同じ負極)の集電体層が隣接して積層されている構成となる。このため、用いる集電体層の層数は、相対的に多くなる。
【0007】
しかしながら、このような構成を有している積層電池から発生した電力を外部に取り出すために、複数の同電極の集電体層の周縁部から突出している突出部を互いに接合させる場合、これらの突出部の間において、接合界面が相対的に多くなってしまう。これによって、これらの突出部を互いに接合することが困難になるという問題がある。
【0008】
そこで、本開示は、上記事情を鑑みてなされたものであり、2枚の同電極の集電体層が隣接して積層されている構成において、複数の同電極の集電体層の突出部を接合することを容易にできる積層電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の本発明者らは、以下の手段により、上記課題を解決できることを見出した。
【0010】
〈態様1〉
互いに積層されている複数の積層電池ユニットを有している積層電池であって、
前記積層電池ユニットが、第1の集電体層、第1の活物質層、固体電解質層、第2の活物質層、第2の集電体層、第2の活物質層、固体電解質層、第1の活物質層、及び第1の集電体層がこの順に積層されてなる構成を有しており、
互いに隣接している2つの第1の集電体層が、第1の集電体対を構成しており、かつ
前記第1の集電体対を構成する2つの前記第1の集電体層のうちの1つのみが、周縁部から突出している第1の突出部を有しており、かつ複数の前記第1の突出部が接合されている、
積層電池。
〈態様2〉
前記第1の集電体対を構成する2つの前記第1の集電体層のうちの1つのみが、周縁部から突出している第2の突出部を有しており、複数の前記第2の突出部が互いに接合されており、かつ前記積層電池の積層方向からみて、前記第1の突出部と前記第2の突出部とは互いに重ならない、
態様1に記載の積層電池。
〈態様3〉
前記第1の突出部及び前記第2の突出部が、前記積層電池の同じ側面において突出しており、かつ
前記側面からみて、前記第1の突出部と前記第2の突出部とは、前記積層電池の積層方向において、交互に存在している、
態様2に記載の積層電池。
【発明の効果】
【0011】
本開示の積層電池によれば、2枚の同電極の集電体層が隣接して積層されている構成において、複数の同電極の集電体層の突出部を接合することを容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本開示の積層電池の一形態を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、本開示の積層電池の一形態を示す斜視図及び集電端子と電気的に接続している場合の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本開示を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各図において、同一又は相当する部分には同一の参照符号を付し、重複説明は省略する。実施の形態の各構成要素は、全てが必須のものであるとは限らず、一部の構成要素を省略可能な場合もある。ただし、以下の図に示される形態は本開示の例示であり、本開示を限定するものではない。
【0014】
《積層電池》
本開示の積層電池は、
互いに積層されている複数の積層電池ユニットを有している積層電池であって、
積層電池ユニットが、第1の集電体層、第1の活物質層、固体電解質層、第2の活物質層、第2の集電体層、第2の活物質層、固体電解質層、第1の活物質層、及び第1の集電体層がこの順に積層されてなる構成を有しており、
互いに隣接している2つの第1の集電体層が、第1の集電体対を構成しており、かつ
第1の集電体対を構成する2つの第1の集電体層のうちの1つのみが、周縁部から突出している第1の突出部を有しており、かつ複数の第1の突出部が互いに接合されている。
【0015】
本開示でいう「複数」とは、2つ又は2つ以上のことを意味する。
【0016】
本開示でいう「第1の集電体層」及び「第1の活物質層」はそれぞれ、「第2の集電体層」及び「第2の活物質層」と対極であることを意味する。
【0017】
すなわち、「第1の集電体層」及び「第1の活物質層」が、それぞれ「正極集電体層」及び「正極活物質層」であるときには、「第2の集電体層」及び「第2の活物質層」は、それぞれ「負極集電体層」及び「負極活物質層」である。また同様に、「第1の集電体層」及び「第1の活物質層」が、それぞれ「負極集電体層」及び「負極活物質層」であるときには、「第2の集電体層」及び「第2の活物質層」は、それぞれ「正極集電体層」及び「正極活物質層」である。
【0018】
「突出部」とは、第1の集電体層及び第2の集電体層のそれぞれの周縁部から突出している部分を指し、第1の集電体層及び第2の集電体層のそれぞれと一体化形成されたものであってもよく、第1の集電体層及び第2の集電体層に取り付けられたものであってもよい。
【0019】
また、「接合」とは、同電極の集電体層の周縁部から突出している突出部が集められて、物理的に接触されている状態を指す。そして、互いに接合されている突出部は、また、後述する集電端子等と電気的に接続することができる。
【0020】
ここで、接合の手段として、特に限定されず、例えば、超音波溶接、プラズマ溶接、抵抗溶接、圧接、又はカシメ等であってよい。これらの中で、操作上の便宜性の観点から超音波溶接が好ましい。
【0021】
図1は、本開示の積層電池の一形態を示す分解斜視図である。
【0022】
図1に示されている積層電池100は、互いに積層されている3つの積層電池ユニット10、20、及び30を有している積層電池である。
【0023】
積層電池ユニット10は、第1の集電体層1、第1の活物質層2、固体電解質層3、第2の活物質層4、第2の集電体層5、第2の活物質層6、固体電解質層7、第1の活物質層8、及び第1の集電体層9がこの順に積層されてなる構成を有している。積層電池ユニット20は、第1の集電体層11、第1の活物質層12、固体電解質層13、第2の活物質層14、第2の集電体層15、第2の活物質層16、固体電解質層17、第1の活物質層18、及び第1の集電体層19がこの順に積層されてなる構成を有している。また、積層電池ユニット30は、第1の集電体層21、第1の活物質層22、固体電解質層23、第2の活物質層24、第2の集電体層25、第2の活物質層26、固体電解質層27、第1の活物質層28、及び第1の集電体層29がこの順に積層されてなる構成を有している。
【0024】
積層電池100において、互いに隣接している2つの第1の集電体層9及び11は、第1の集電体対9pを構成しており、また互いに隣接している2つの第1の集電体層19及び21も第1の集電体対19pを構成している。
【0025】
ここで、第1の集電体対を構成する2つの第1の集電体層のうちの1つのみが、周縁部から突出している第1の突出部を有している。
【0026】
例えば、
図1に示されているように、第1の集電体対9pでは、これを構成する2つの第1の集電体層9及び11のうちの第1の集電体層9のみが、周縁部から突出している第1の突出部9aを有している。また、第1の集電体対19pでは、これを構成する2つの第1の集電体層19及び21のうちの第1の集電体層19のみが、周縁部から突出している第1の突出部19aを有している。なお、図示されていないが、第1の突出部9a及び19aは、互いに接合されている。
【0027】
図1に示されている積層電池100において、両端面に位置している第1の集電体層1及び29はそれぞれ、周縁部から突出している突出部1a及び29aを有している。突出部1a及び29aは、互いに接合されていてもよく、第1の集電体対に由来する第1の突出部9a及び19aに集められて互いに接合されていてもよい。後者の場合、すなわち突出部1a及び29a、並びに第1の突出9a及び19aを集めて互いに接合されていることが好ましい。
【0028】
また、積層電池100において、第2の集電体層5、15、及び25はそれぞれ、周縁部から突出している突出部5a、15a及び25aを有している。突出部5a、15a及び25aは、互いに接合されていることが好ましい。
【0029】
なお、第1の集電体層の周縁部から突出している突出部と第2の集電体層の周縁部から突出している突出部とは、積層電池の同じ側面に存在していてもよく、異なる側面に存在していてもよい。
【0030】
例えば、
図1では、第1の集電体層の周縁部から突出している突出部1a、9a、19a及び29aと、第2の集電体層の周縁部から突出している突出部5a、15a及び25aとは、互いに積層電池100の異なる側面に存在している。
【0031】
なお、第2の集電体層に関して、1枚のみの第2の集電体層の形態であってもよく、互いに隣接している2つの第2の集電体層、すなわち、第2の集電体対が構成されている形態であってもよい。本開示の積層電池ユニットにおいて、第2の集電体対が含まれている場合、この第2の集電体対に由来する突出部の特徴は、第1の集電体対の特徴と同じであることが好ましい。
【0032】
本開示の積層電池において、第1の集電体対を構成する2つの第1の集電体層のうちの1つのみが、周縁部から突出している第2の突出部を有していることが好ましい。
【0033】
この場合、複数の第2の突出部が互いに接合されており、かつ積層電池の積層方向からみて、第1の突出部と第2の突出部とは互いに重ならない。
【0034】
このように、第1の集電体対において、複数の第1の突出部及び複数の第2の突出部を有しており、第1の突出部同士及び第2の突出部同士を、それぞれ集めて、互いに接合させる場合、例えば集められた第1の突出部同士又は第2の突出部同士のいずれか一方が、予期せぬ外部からの負荷入力によって、切断されていても、積層電池から発生した電力を外部に取り出すことができる。
【0035】
また、第1の集電体対を構成する2つの第1の集電体層のうちの1つのみが、周縁部から突出している第1の突出部を有しており、かつ第1の集電体対を構成する2つの第1の集電体層のうちのもう1つのみが、周縁部から突出している第2の突出部を有していてもよく、又は第1の集電体対を構成する2つの第1の集電体層のうちの1つのみが周縁部から突出している第1の突出部及び第2の突出部の両方を有していてもよい。
【0036】
また、第1の突出部及び第2の突出部はそれぞれ、積層電池の同じ側面において突出していてもよく、異なる側面において突出していてもよい。第1の突出部及び第2の突出部を同時に集電端子と接合できる観点から、第1の突出部及び第2の突出部は、積層電池の同じ側面において突出していることが好ましい。
【0037】
更に、第1の突出部及び第2の突出部は、積層電池の同じ側面において突出しており、かつ積層電池の側面からみて、第1の突出部と第2の突出部とは、積層電池の積層方向において、交互に存在していることが好ましい。
【0038】
ここで、「第1の突出部と第2の突出部とは、積層電池の積層方向において、交互に存在していることこと」とは、例えば第1の突出部及び第2の突出部が突出している積層電池の側面側からみて、第1の集電体対を構成している2つの第1の集電体層のうちの上層に位置している第1の集電体層の突出部は、その側面における周縁部の左側に存在しており、他方で、上記の2つの第1の集電体層のうちの下層に位置している第1の集電体層の突出部は、その側面における周縁部の右側に存在しており、他の第1の集電体対についても繰り返されている状態を意味する。
【0039】
例えば、
図2(a)は、本開示の積層電池の一形態を示す斜視図である。
【0040】
図2(a)に示されている積層電池200は、互いに積層されている複数の積層電池ユニット40~70を有している。
【0041】
ここで、互いに隣接している2つの第1の集電体層:39と41、49と51、及び59と61はそれぞれ、第1の集電体対39p、49p、及び59pを構成している。第1の集電体対39pを構成する2つの第1の集電体層39及び41はそれぞれ周縁部から突出している第1の突出部39a及び第2の突出部41aを有している。同様に、第1の集電体対49pを構成する2つの第1の集電体層49及び51はそれぞれ周縁部から突出している第1の突出部49a及び第2の突出部51aを有している。第1の集電体対59pを構成する2つの第1の集電体層59及び61はそれぞれ周縁部から突出している第1の突出部59a及び第2の突出部61aを有している。
【0042】
これらの第1の突出部(39a、49a、及び59a)及び第2の突出部(41a、51a、及び61a)は、積層電池200の同じ側面において突出しており、かつこの側面からみて、第1の突出部(39a、49a、及び59a)と第2の突出部(41a、51a、及び61a)とは、積層電池200の積層方向において、交互に存在している。
【0043】
なお、積層電池200の両端面に位置している第1の集電体層31及び69はそれぞれ、突出部31a及び69aを有することができる。突出部31a及び69aは、第1の突出部(39a、49a、及び59a)及び/又は第2の突出部(41a、51a、及び61a)と接合されてよい。
【0044】
図2(a)では、突出部31aは、第2の突出部(41a、51a、及び61a)と接合できるように設けられており、突出部69aは、第2の突出部(41a、51a、及び61a)と接合できるように設けられている。
【0045】
図2(b)は、積層電池200の各集電体層の突出部をそれぞれ集めて、集電端子と電気的に接続している場合の、第1の集電体層31の端面からみる上面図である。
【0046】
図2(b)に示されているように、突出部31a及び第2の突出部(41a、51a、及び61a)、並びに突出部69a及び第2の突出部(41a、51a、及び61a)はそれぞれ、集電端子201と電気的に接続されている。
【0047】
また、第2の集電体層35、45、55、及び65はそれぞれ、周縁部から突出している突出部35a、45a、55a及び65aを有しており、これらの突出部35a、45a、55a及び65aは、集電端子202と電気的に接続されている。
【0048】
《各部材》
以下では、本開示にかかる積層電池ユニットを構成しうる各部材について詳細に説明する。
【0049】
なお、本開示を容易に理解するために、全固体リチウムイオン二次電池積層電池ユニットにかかる各部材を例として説明するが、本開示の積層電池は、リチウムイオン二次電池に限定されず、幅広く適用できる。
【0050】
(正極集電体層)
正極集電体層に用いられる導電性材料は、特に限定されず、例えば、SUS、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、チタン、又はカーボン等であってよい。
【0051】
正極集電体層の形状としては、特に限定されず、例えば、箔状、板状、メッシュ状等を挙げることができる。これらの中で、箔状が好ましい。
【0052】
(正極活物質層)
正極活物質層は、少なくとも正極活物質を含み、好ましくは後述する固体電解質を更に含む。そのほか、使用用途や使用目的等に合わせて、例えば、導電助剤又はバインダー等の全固体電池の正極活物質層に用いられる添加剤を含むことができる。
【0053】
正極活物質の材料として、特に限定されない。例えば、正極活物質は、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)、Li1.5Co1/3Ni1/3Mn1/3O2、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3O2、Li1+xMn2-x-yMyO4(Mは、Al、Mg、Co、Fe、Ni、及びZnから選ばれる1種以上の金属元素)で表される組成の異種元素置換Li-Mnスピネル等であってよい。
【0054】
導電助剤としては、特に限定されない。例えば、導電助剤は、VGCF(気相成長法炭素繊維、Vapor Grown Carbon Fiber)及びカーボンナノ繊維等の炭素材並びに金属材等であってよい。
【0055】
バインダーとしては、特に限定されない。例えば、バインダーは、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ブタジエンゴム(BR)又はスチレンブタジエンゴム(SBR)等の材料、又はこれらの組合せであってよい。
【0056】
(固体電解質層)
固体電解質層は、少なくとも固体電解質を含む。固体電解質として、特に限定されず、全固体電池の固体電解質として利用可能な材料を用いることができる。
【0057】
より具体的には、固体電解質として、例えば、Li2S、P2S5、Li2S-SiS2、若しくはLiI-Li2S-SiS2等の硫化物系非晶質固体電解質粒子、酸化物系非晶質固体電解質粒子、又は結晶質酸化物等を用いることができる。硫化物系非晶質固体電解質粒子が、優れたリチウムイオン伝導性を有する点で好ましく用いられる。
【0058】
固体電解質は、ガラスであっても、結晶化ガラス(ガラスセラミック)であってもよい。また、固体電解質層は、上述した固体電解質以外に、必要に応じてバインダー等を含んでもよい。具体例として、上述の「正極活物質層」で列挙された「バインダー」と同様であり、ここでは説明を省略する。
【0059】
(負極活物質層)
負極活物質層は、少なくとも負極活物質を含み、好ましくは上述した固体電解質を更に含む。そのほか、使用用途や使用目的等に合わせて、例えば、導電助剤又はバインダー等の全固体電池の負極活物質層に用いられる添加剤を含むことができる。
【0060】
負極活物質の材料として、特に限定されず、リチウムイオン等の金属イオンを吸蔵及び放出可能であることが好ましい。例えば、負極活物質は、酸化系負極活物質、合金系負極活物質又は炭素材料等であってよいが、これらに限定されない。
【0061】
酸化系負極活物質としては、特に限定されず、例えばチタン酸リチウム(LTO)粒子等が挙げられる。
【0062】
合金系負極活物質として、特に限定されず、例えば、Si合金系負極活物質、又はSn合金系負極活物質等が挙げられる。Si合金系負極活物質には、ケイ素、ケイ素酸化物、ケイ素炭化物、ケイ素窒化物、又はこれらの固溶体等がある。また、Si合金系負極活物質には、ケイ素以外の元素、例えば、Fe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Sn、Ti等を含むことができる。Sn合金系負極活物質には、スズ、スズ酸化物、スズ窒化物、又はこれらの固溶体等がある。また、Sn合金系負極活物質には、スズ以外の元素、例えば、Fe、Co、Sb、Bi、Pb、Ni、Cu、Zn、Ge、In、Ti、Si等を含むことができる。これらの中で、Si合金系負極活物質が好ましい。
【0063】
炭素材料として、特に限定されず、例えば、ハードカーボン、ソフトカーボン、又はグラファイト等が挙げられる。
【0064】
負極活物質層に用いられる固体電解質、導電助剤、バインダー等その他の添加剤については、上述した「正極活物質層」及び「固体電解質層」の項目で説明したものを適宜採用することができる。
【0065】
(負極集電体層)
負極集電体層に用いられる導電性材料は、特に限定されず、例えば、負極集電体層に用いられる導電性材料は、SUS、アルミニウム、銅、ニッケル、鉄、チタン、又はカーボン等であってよいが、これらに限定されない。
【0066】
負極集電体層の形状としては、特に限定されず、例えば、箔状、板状、メッシュ状等を挙げることができる。これらの中で、箔状が好ましい。
【0067】
(突出部)
突出部が第1の集電体層及び第2の集電体層に取り付けられている場合の突出部は、正極集電体層及び負極集電体層と集電端子とを電気的に接続できるものであればよい。より具体的には、例えば上述した正極集電体層又は負極集電体層の用いられる導電性材料を、取り付ける突出部の材料とすることができる。
【0068】
突出部の形状としては、特に限定されず、例えば、箔状、板状、メッシュ状等を挙げることができる。これらの中で、箔状が好ましい。
【符号の説明】
【0069】
1、9、11、19、21、29 第1の集電体層
31、39、41、49、51、59、61、69 第1の集電体層
2、8、12、18、22、28 第1の活物質層
32、38、42、48、52、58、62、68 第1の活物質層
3、7、13、17、23、27 固体電解質層
33、37、43、47、53、57、63、67 固体電解質層
4、6、14、16、24、26 第2の活物質層
34、36、44、46、54、56、64、66 第2の活物質層
5、15、25、35、45、55、65 第2の集電体層
9p、19p、39p、49p、59p 第1の集電体対
9a、19a、39a、49a、59a 第1の突出部
41a、51a、61a 第2の突出部
5a、15a、25a、35a、45a、55a、65a 突出部
1a、29a、31a、69a 突出部
100、200 積層電池
201、202 集電端子