(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】駐車管理装置
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20221213BHJP
B60R 99/00 20090101ALI20221213BHJP
G07B 15/00 20110101ALI20221213BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20221213BHJP
G08G 1/14 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04N7/18 K
B60R99/00 360
G07B15/00 L
G08B21/00 U
G08G1/14 A
(21)【出願番号】P 2019022549
(22)【出願日】2019-02-12
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【氏名又は名称】江上 達夫
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100107331
【氏名又は名称】中村 聡延
(72)【発明者】
【氏名】岡村 竜路
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-190692(JP,A)
【文献】特開2013-81013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
B60R 99/00
G07B 11/00-17/04
G08B 19/00-21/24
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車場における車両の駐車を管理する駐車管理装置であって、
前記駐車場への入庫時における前記車両の状態に関する第1情報を取得する第1取得手段と、
前記駐車場からの出庫時における前記状態に関する第2情報を取得する第2取得手段と、
前記第1情報と前記第2情報と
の差分が所定の許容範囲を超えている場合に、前記駐車場内において前記車両に異常が発生したと判定する判定手段と、
前記第1情報よりも後、且つ、前記第2情報よりも前のタイミングで前記状態に関する第3情報を取得する第3取得手段と、
前記判定手段により前記車両に異常が発生したと判定された場合に、前記第3情報に基づいて、前記車両に異常が発生したタイミングを特定する特定手段と
を備えることを特徴とする駐車管理装置。
【請求項2】
前記状態は、(i)前記駐車場に設けられたカメラで取得した前記車両の外観、(ii)前記車両に設けられたカメラで取得した車内の状態、(iii)前記駐車場に設けられたセンサで取得した前記車両の荷重、並びに(iv)前記車両に設けられたセンサで取得したバッテリ量、及び(v)燃料量のうち、少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の駐車管理装置。
【請求項3】
前記判定手段による判定結果を、前記車両のユーザに提示する提示手段を更に備えることを特徴とする請求項1
又は2に記載の駐車管理装置。
【請求項4】
前記判定手段による判定結果を、読み出し可能な情報として記憶する記憶手段を更に備えることを特徴とする請求項1から
3のいずれか一項に記載の駐車管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駐車を管理する駐車管理装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、駐車中の車両の様子を監視するものが知られている。例えば特許文献1では、車載センサによって駐車中の異常を検出した場合に、車両の様子をカメラで記憶する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載されている技術では、車載センサで異常が検出されたことを場合にのみ記録が行われるため、車載センサで異常を検知できなかった場合には全く記録が残らない。よって、車載センサで検知できない異常については、異常の発生を知ることも、異常の要因を特定することもできないという技術的問題点が生ずる。
【0005】
本発明は、例えば上記問題点に鑑みてなされたものであり、駐車中に車両に異常が発生したか否かを判定することが可能な駐車管理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る駐車管理装置の一態様では、駐車場における車両の駐車を管理する駐車管理装置であって、前記駐車場への入庫時における前記車両の状態に関する第1情報を取得する第1取得手段と、前記駐車場からの出庫時における前記状態に関する第2情報を取得する第2取得手段と、前記第1情報と前記第2情報とを差分が所定の許容範囲を超えている場合に、前記駐車場内において前記車両に異常が発生したと判定する判定手段とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る駐車管理装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態に係る駐車管理装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【
図3】実施形態に係る駐車管理装置による画像の比較動作を示す模式図である。
【
図4】車両に発生した異常の責任の所在を判定する方法の一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して駐車管理装置の実施形態について説明する。
【0009】
(装置構成)
まず、本実施形態に係る駐車管理装置の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る駐車管理装置の構成を示すブロック図である。
【0010】
図1において、本実施形態に係る駐車管理装置10は、自動的な駐車制御を実行可能な駐車場(所謂、自動バレー駐車場)における車両の駐車を管理する装置であり、車両を自動的に駐車場に入庫させる自動入庫制御、及び車両を自動的に駐車場から出庫させる自動出庫制御を実行可能である。また、本実施形態に係る駐車管理装置10は特に、駐車場において車両に異常(例えば、車体の傷等)が発生したか否かを判定可能に構成されている。駐車場管理装置10は、その主な構成要素として、入庫ゾーンカメラ110と、出庫ゾーンカメラ120と、第1映像記憶部130と、走行ゾーンカメラ140と、駐車ゾーンカメラ150と、第2映像記憶部160と、映像比較判定部170と、責任所在判定部180と、判定結果表示部190と、判定結果記憶部200とを備えている。
【0011】
入庫ゾーンカメラ110は、自動入庫制御の開始位置となる入庫ゾーン(例えば、降車場等の駐車場に入庫する車両が一時的に停車することになるゾーン)に位置する車両を撮像可能に構成されたカメラである。出庫ゾーンカメラ120は、自動出庫制御の終了位置となる出庫ゾーン(例えば、乗車場等の駐車場から出庫してきた車両が一時的に停車することになるゾーン)に位置する車両を撮像可能に構成されたカメラである。入庫ゾーンカメラ110及び出庫ゾーンカメラ120は、夫々複数設けられていてもよい。入庫ゾーンカメラ110及び出庫ゾーンカメラ120の各々で撮像された映像(或いは、静止画)は、例えばメモリ等を含んで構成される第1映像記憶部130に一時的に記憶される構成となっている。なお、入庫ゾーンカメラ110及び出庫ゾーンカメラ120は夫々、後述する付記における「第1取得手段」及び「第2取得手段」の一具体例である。
【0012】
走行ゾーンカメラ140は、自動入庫制御中の車両や自動出庫制御中の車両が走行する走行ゾーン(例えば、降車場から駐車スペースまでの走行路や、駐車スペースから乗車場までの走行路を含むゾーン)に位置する車両を撮像可能に構成されたカメラである。駐車ゾーンカメラ150は、自動入庫制御の終了位置又は自動出庫制御の開始位置となる駐車ゾーン(例えば、車両が駐車する駐車スペースを含むゾーン)に位置する車両を撮像可能に構成されたカメラである。走行ゾーンカメラ140及び駐車ゾーンカメラ150は、夫々複数設けられていてもよい。走行ゾーンカメラ140及び駐車ゾーンカメラ150の各々で撮像された映像(或いは、静止画)は、例えばメモリ等を含んで構成される第2映像記憶部160に一時的に記憶される構成となっている。なお、走行ゾーンカメラ140及び駐車ゾーンカメラ150は夫々、後述する付記における「第3取得手段」の一具体例である。
【0013】
映像比較判定部170は、第1映像記憶部130に記憶された映像(即ち、入庫ゾーンカメラ110及び出庫ゾーンカメラ120で撮像された映像)、及び第2映像記憶部160に記憶された映像(即ち、走行ゾーンカメラ140及び駐車ゾーンカメラ150で撮像された映像)を比較することで、駐車していた車両に異常が発生したか否か、及び異常がどのタイミングで発生したのかを判定可能に構成されている。映像比較判定部170による具体的な判定方法については、後に詳しく説明する。映像比較判定部170は、後述する付記における「判定手段」の一具体例である。
【0014】
責任所在判定部180は、映像比較判定部170の判定結果と、別途取得した異常発生時の状況とに基づいて、車両に発生した異常の責任の所在を判定可能に構成されている。なお、異常発生時の状況については、各カメラ(即ち、入庫ゾーンカメラ110、出庫ゾーンカメラ120、走行ゾーンカメラ140、及び駐車ゾーンカメラ150)で撮像された映像の他、車両や駐車場に設けられた各種センサから取得した情報に基づいて取得することができる。責任所在判定部180による具体的な判定方法については、後に詳しく説明する。責任所在判定部180は、判定した責任の所在を、映像比較判定部170の判定結果と共に出力可能に構成されている。
【0015】
判定結果表示部190は、映像比較判定部170及び責任所在判定部180の判定結果を、例えば駐車場に設けられたディスプレイや車両のユーザが保有する端末等に出力可能に構成されている。即ち、判定結果表示部190は、映像比較判定部170及び責任所在判定部180の判定結果を、車両のユーザ等に提示可能なものとして構成されている。判定結果表示部190は、後述する付記における「提示手段」の一具体例である。
【0016】
判定結果記憶部200は、映像比較判定部170及び責任所在判定部180の判定結果を、読み出し可能な状態で記憶可能に構成されている。即ち、判定結果記憶部200は、映像比較判定部170及び責任所在判定部180の判定結果を、その後の読み出し要求に応じて適宜出力可能なものとして構成されている。判定結果記憶部200は、後述する付記における「記憶手段」の一具体例である。
【0017】
(動作説明)
次に、本実施形態に係る駐車管理装置10の動作(特に、駐車中の車両に異常が発生したか否かを判定する動作)の流れについて、
図2を参照して説明する。
図2は、実施形態に係る駐車管理装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【0018】
図2に示すように、本実施形態に係る駐車管理装置10は、まず入庫ゾーンに入庫待機車両(即ち、自動入庫制御の開始を待っている車両)が存在するか否かを判定する(ステップS101)。なお、入庫ゾーンに入庫待機車両に存在していないと判定された場合(ステップS101:NO)、以降の処理は省略され一連の動作が終了する。この場合、駐車管理装置10は、所定期間後にステップS101の処理を再び実行してよい。
【0019】
入庫ゾーンに入庫待機車両に存在していると判定された場合(ステップS101:YES)、入庫ゾーンカメラ110が入庫ゾーンの入庫待機車両(以下、この車両を適宜「対象車両」と称する)の映像を取得する(ステップS102)。これにより、入庫ゾーンにおける対象車両の映像が、第1映像記憶部130に記憶される。
【0020】
続いて、駐車管理装置10は、対象車両の自動入庫制御を開始する(ステップS103)。具体的には、駐車管理装置10は、入庫ゾーンの対象車両に対して、走行ゾーンを経由して駐車ゾーンに向かうよう指示を出力する。対象車両が走行ゾーンの走行を開始すると、走行ゾーンカメラ140が走行ゾーンの対象車両の映像を取得する(ステップS104)。これにより、自動入庫制御中の走行ゾーンにおける対象車両の映像が、第2映像記憶部160に記憶される。
【0021】
その後、対象車両が駐車ゾーンに到着すると、駐車管理装置10は、駐車ゾーンの所定の駐車スペースに駐車するよう対象車両に指示を出力する。対象車両の駐車が完了すると自動入庫制御が終了する。自動入庫制御が終了すると、駐車ゾーンカメラ150が駐車ゾーンの対象車両(即ち、駐車スペースに駐車している対象車両)の映像を取得する(ステップS105)。これにより、駐車中の対象車両の映像が、第2映像記憶部160に記憶される。
【0022】
自動入庫制御の終了後、駐車管理装置10は、対象車両に対する出庫指示(即ち、自動出庫制御の開始要求)があったか否かを判定する(ステップS106)。なお、出庫指示がないと判定された場合には(ステップS106:NO)、しばらく経ってから再びステップS106の処理が実行されればよい。出庫指示があったと判定された場合には(ステップS106:YES)、駐車管理装置10が、対象車両の自動出庫制御を開始する(ステップS107)。具体的には、駐車管理装置10は、駐車ゾーンの対象車両に対して、走行ゾーンを経由して出庫ゾーンに向かうよう指示を出力する。対象車両が走行ゾーンの走行を開始すると、走行ゾーンカメラ140が走行ゾーンの対象車両の映像を取得する(ステップS108)。これにより、自動出庫制御中の走行ゾーンにおける対象車両の映像が、第2映像記憶部160に記憶される。
【0023】
その後、対象車両が出庫ゾーンに到着すると、自動出庫制御が終了する。自動出庫制御が終了すると、出庫ゾーンカメラ120が出庫ゾーンの対象車両の映像を取得する(ステップS109)。これにより、出庫ゾーンの対象車両の映像が、第1映像記憶部130に記憶される。
【0024】
続いて、映像比較判定部170が、入庫ゾーンの対象車両の映像と、出庫ゾーンの対象車両の映像とを比較して、映像の差分(即ち、映像データの差分データ)を算出する。映像の差分の算出方法については、既存の技術を適宜採用することができるため、ここでの詳細な説明を省略する。映像比較判定部170は、映像の差分を算出した後、算出した差分が許容範囲を超えたか否かを判定する(ステップS110)。なお、ここでの「許容範囲」は、対象車両に異常が発生したか否かを判定するために設定された閾値であり、予め最適な値が求められ設定されている。例えば、対象車両の車体に新たな傷が付いた場合には、傷が付く前後の映像の差分が許容範囲を超えるように設定されている。
【0025】
映像の差分が許容範囲を超えたと判定された場合(ステップS110:YES)、映像比較判定部170は、更に映像比較をすることで、異常が発生したタイミングを特定する(ステップS111)。以下では、異常が発生したタイミングの特定方法について、
図3を参照して具体的に説明する。
図3は、実施形態に係る駐車管理装置による画像の比較動作を示す模式図である。
【0026】
図3に示すように、対象車両の入庫から出庫までの間には、入庫ゾーンの映像、自動入庫制御中の走行ゾーンの映像、駐車ゾーンの映像、自動出庫制御中の走行ゾーンの映像、及び出庫ゾーンの映像が取得される。なお、駐車場内での異常発生の有無については、すでに説明したように、入庫ゾーンの映像及び出庫ゾーンの映像の差分が許容範囲を超えたか否かに基づいて判定される。
【0027】
入庫ゾーンの映像及び出庫ゾーンの映像の差分に基づいて、対象車両に異常が発生したと判定された場合、映像比較判定部170は、入庫ゾーンの映像と、自動入庫制御中の走行ゾーンの映像、駐車ゾーンの映像、及び自動出庫制御中の走行ゾーンの映像の各々とを比較することで、それぞれ映像の差分を算出する。そして、どのタイミングで映像の差分が許容範囲を超えたか否かを判定する。このようにすれば、映像の差分が許容範囲を超えたタイミングで対象車両に異常が発生したことを特定できる。
【0028】
具体的には、入庫ゾーンの映像と、自動入庫制御中の走行ゾーンの映像との差分が許容範囲を超えている場合には、自動入庫制御中が開始されてから走行ゾーンの映像が取得されるまでの間に(例えば、自動入庫制御が開始されてから比較的早い段階で)異常が発生したと判断できる。また、入庫ゾーンの映像と、自動入庫制御中の走行ゾーンの映像との差分が許容範囲を超えていない一方で、入庫ゾーンの映像と、駐車ゾーンの映像との差分が許容範囲を超えている場合には、自動入庫制御中の走行ゾーンの映像が取得されてから、駐車ゾーンの映像が取得されるまでの間に(例えば、対象車両が駐車スペースに駐車している途中に)異常が発生したと判断できる。或いは、入庫ゾーンの映像と、自動入庫制御中の走行ゾーンの映像との差分、及び入庫ゾーンの映像と、駐車ゾーンの映像との差分が許容範囲を超えていない一方で、入庫ゾーンの映像と、自動出庫制御中の走行ゾーンの映像との差分が許容範囲を超えている場合には、駐車ゾーンの映像が取得されてから、自動出庫制御中の走行ゾーンの映像が取得されるまでの間に(例えば、自動出庫制御が開始されてから比較的早い段階で)異常が発生したと判断できる。
【0029】
なお、自動入庫制御中の走行ゾーンの映像、駐車ゾーンの映像、及び自動出庫制御中の走行ゾーンの映像については、夫々複数回取得するようにすることで、より細かく異常が発生したタイミングを特定できる。このため、走行ゾーンには複数箇所に走行ゾーンカメラ140が設けられていることが好ましい。また、駐車ゾーンにおいては、自動入庫制御が終了してから自動出庫制御を開始するまでの間に、定期的に複数回(或いは、駐車中は常時)駐車ゾーンカメラ150による撮像が行われることが好ましい。
【0030】
図2に戻り、異常発生のタイミングが特定されると、責任所在判定部180が異常の責任所在を判定する(ステップS112)。具体的には、異常が対象車両(以下、適宜「自車」と称する)の責任で発生したものなのか、それとも別の何かの責任で発生したものなのかを判定する。以下では、責任所在の判定方法について、
図4を参照して具体的に説明する。
図4は、車両に発生した異常の責任の所在を判定する方法の一例を示す表である。なお、下記の例では、駐車場が自動バレー駐車専用のものではなく、駐車場内には、自動バレー駐車を行っている車両(以下、適宜「バレー車」と称する)の他に、手動駐車を行っている車両(以下、適宜「一般車」と称する)や一般人(例えば、車両から降りた歩行者)等が存在するものとする。
【0031】
図4に示すように、責任所在判定部180は、映像に差分が発生したタイミング(言い換えれば、異常が発生したタイミング)と、その時の状況(具体的には、自車状態及び周辺状況)とに基づいて、異常の責任所在を判定する。なお、自車状態については、“自車停車中”又は“自車走行中”のいずれかであるとする。周辺状況については、“周囲に他者/人なし”、“近傍に他バレー車あり”、“近傍に他一般車あり”、又は“近傍に一般人あり”のいずれかであるとする。
【0032】
“自車が停車中”且つ“周囲に他者/人なし”の場合、基本的には自車に異常は発生しないはずである。このような状況で、仮に異常が発生した場合、責任所在を特定することはできない(即ち、責任所在は不明となる)。“自車が停車中”且つ“近傍に他バレー車あり”の場合、停止している自車に責任があるとは考え難いため、差分発生のタイミングによらず、責任所在は他バレー車にあると判定される。“自車が停車中”且つ“近傍に他一般車あり”の場合、停止している自車に責任があるとは考え難いため、差分発生のタイミングによらず、責任所在は他一般車にあると判定される。“自車が停車中”且つ“近傍に一般人あり”の場合、停止している自車に責任があるとは考え難いため、差分発生のタイミングによらず、責任所在は一般人にあると判定される。
【0033】
“自車が走行中”であることを前提とする場合、差分が発生するタイミングは、自動入庫制御中の走行ゾーン、又は自動出庫制御中の走行ゾーンに限られる。“自車が走行中”且つ“周囲に他者/人なし”の場合、責任所在は走行している自車にあると判定される。“自車が走行中”且つ“近傍に他バレー車あり”の場合、責任所在は走行している自車、及び走行している他バレー車にあると判定される。ただし、他バレー車が停止している場合には、責任所在は走行している自車のみであると判定されてよい。“自車が走行中”且つ“近傍に他一般車あり”の場合、責任所在は走行している自車、及び走行している他一般車にあると判定される。ただし、他一般車が停止している場合には、責任所在は走行している自車のみであると判定されてよい。“自車が走行中”且つ“近傍に一般人あり”の場合、責任所在は走行している自車にあると判定される。
【0034】
再び
図2に戻り、責任所在が判定された後は、ここまでの判定結果の表示及び記憶が実行される(ステップS113)。具体的には、判定結果表示部190が、異常発生の有無、異常発生のタイミング、及び異常の責任所在を、対象車両のユーザ等に提示する。また、判定結果記憶部200は、異常発生の有無、異常発生のタイミング、及び異常の責任所在を、読み出し可能な状態で記憶する。なお、ステップS110において映像の差分が許容範囲を超えていない(言い換えれば、異常が発生していない)と判定された場合には(ステップS110:NO)、異常が発生していない旨が表示及び記憶される。
【0035】
(技術的効果)
次に、本実施形態に係る駐車管理装置10によって得られる技術的効果について説明する。
【0036】
図1から
図4で説明したように、本実施形態に係る駐車管理装置によれば、駐車場の入庫時の映像と出庫時の映像とを比較することで、駐車場内における異常の発生を好適に判定できる。また、異常が発生したと判定された場合には、入庫時の映像と、駐車場内の各ゾーンで取得された映像とを比較することで、異常が発生したタイミングを特定することができる。更に、異常が発生したタイミングを用いて、異常の責任所在を判定することもできる。そして、これらの判定(特定)結果は、車両のユーザ等に提示されることになる。よって、ユーザ等に対して、駐車場内における異常の発生を容易に知らせることができる。また、判定結果は、判定結果記憶部200にも記憶される。よって、例えばユーザが判定結果の提示を見逃す等して、後から異常の発生に関して調査したい状況になったとしても、記憶された情報を読み出して、いつでも判定結果を提示することができる。
【0037】
なお、上述した実施形態では、対象車両が自動駐車されるケースを例にとり説明したが、対象車両が手動駐車される場合(即ち、運転者の操作によって駐車が実行される場合)にも、同様に適用可能である。
【0038】
(変形例)
上述した実施形態では、駐車場に設置されたカメラで映像を取得する例を挙げたが、駐車場に設置されたカメラにより取得された映像に加えて又は代えて、それ以外の情報を利用して異常を判定するようにしてもよい。
【0039】
例えば、車両に設けられた車室内を撮像する車載カメラの映像を用いれば、その差分から、車室内の傷の発生等を異常として判定できる。より具体的には、車載カメラの映像の差分が所定の許容範囲(ここでは、車室内の傷に対応して設定される閾値)を超えた場合に、異常が発生したことを判定できる。この場合、車載カメラ(或いは、車載カメラから撮像データを取得する部位)が、後述する付記における「第1取得手段」、「第2取得手段」、及び「第3取得手段」の一具体例として機能する。
【0040】
また、駐車場に設けられた荷重センサで取得した対象車両の荷重情報を用いれば、その差分から、積載物の逸失等を異常として判定できる。より具体的には、荷重情報の差分が所定の許容範囲(ここでは、逸失物と判定する荷物の重さに対応して設定される閾値)を超えた場合に、異常が発生したことを判定できる。この場合、荷重センサ(或いは、荷重センサから荷重情報を取得する部位)が、後述する付記における「第1取得手段」、「第2取得手段」、及び「第3取得手段」の一具体例として機能する。
【0041】
更に、車両に設けられた車載センサで取得したバッテリ量及び燃料量の情報を用いれば、その差分から、車両が無駄に長い距離を走行したこと(例えば、自動バレー駐車の不具合で、駐車場の中を長い期間走行し続けたり、降車場から極めて遠い駐車スペースまで走行させられたりしたこと等)を異常として判定できる。より具体的には、バッテリ残量又は燃料残量の差分が所定の許容範囲(ここでは、無駄な走行と判定する距離に対応して設定される閾値)を超えた場合に、異常が発生したことを判定できる。この場合、車載センサ(或いは、車載センサからバッテリ又は燃料情報を取得する部位)が、後述する付記における「第1取得手段」、「第2取得手段」、及び「第3取得手段」の一具体例として機能する。
【0042】
<付記>
以上説明した実施形態から導き出される発明の各種態様を以下に説明する。
【0043】
(付記1)
付記1に記載の駐車管理装置は、駐車場における車両の駐車を管理する駐車管理装置であって、前記駐車場への入庫時における前記車両の状態に関する第1情報を取得する第1取得手段と、前記駐車場からの出庫時における前記状態に関する第2情報を取得する第2取得手段と、前記第1情報と前記第2情報とを差分が所定の許容範囲を超えている場合に、前記駐車場内において前記車両に異常が発生したと判定する判定手段とを備える。
【0044】
付記1に記載の駐車管理装置によれば、駐車場への入庫時に取得された第1情報と、駐車場からの出庫時に取得された第2情報との差分が所定の許容範囲を超えているか否かよって、駐車場内における異常の発生を好適に判定できる。なお、「所定の許容範囲」は、異常を検知するための閾値として、事前に最適な値を求めて設定しておけばよい。
【0045】
(付記2)
付記2に記載の駐車管理装置では、前記状態は、(i)前記駐車場に設けられたカメラで取得した前記車両の外観、(ii)前記車両に設けられたカメラで取得した車内の状態、(iii)前記駐車場に設けられたセンサで取得した前記車両の荷重、並びに(iv)前記車両に設けられたセンサで取得したバッテリ量、及び(v)燃料量のうち、少なくとも1つを含む。
【0046】
付記2に記載の駐車管理装置によれば、上記各状態を利用して、好適に車両の異常を判定できる。例えば、車両の外観からは、ボディの傷等を判定できる。車内の状態からは、内装の傷等を判定できる。車両の荷重からは、積載物の増減等を判定できる。バッテリ量及び燃料量からは、車両が無駄に長い距離を走行させられたこと等を判定できる。
【0047】
(付記3)
付記3に記載の駐車管理装置は、前記第1情報よりも後、且つ、前記第2情報よりも前のタイミングで前記状態に関する第3情報を取得する第3取得手段と、前記判定手段により前記車両に異常が発生したと判定された場合に、前記第3情報に基づいて、前記車両に異常が発生したタイミングを特定する特定手段を更に備える。
【0048】
付記3に記載の駐車管理装置によれば、入庫時よりも後、且つ、出庫時よりも前(言い換えれば、駐車スペースへの移動中や駐車中)に取得された第3情報を用いることで、異常が発生したタイミングを特定することができる。なお、より正確にタイミングを特定するためには、第3情報が相異なる複数のタイミングで取得されていることが好ましい。
【0049】
(付記4)
付記4に記載の駐車管理装置は、前記判定手段による判定結果を、前記車両のユーザに提示する提示手段を更に備える。
【0050】
付記4に記載の駐車管理装置によれば、駐車中における異常の発生をユーザに知らせることができる。
【0051】
(付記5)
付記5に記載の駐車管理装置は、前記判定手段による判定結果を、読み出し可能な情報として記憶する記憶手段を更に備える。
【0052】
付記5に記載の駐車管理装置によれば、記憶手段に記憶された情報を読み出すことで、異常の発生に関する調査を行うことができる。
【0053】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う駐車管理装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0054】
10 駐車管理装置
50 車両
110 入庫ゾーンカメラ
120 出庫ゾーンカメラ
130 第1映像記憶部
140 走行ゾーンカメラ
150 駐車ゾーンカメラ
160 第2映像記憶部
170 映像比較判定部
180 責任所在判定部
190 判定結果表示部
200 判定結果記憶部