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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】電源装置および医療システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
H02M3/28 Y
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019049493
(22)【出願日】2019-03-18
(65)【公開番号】P2020156133
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】竹上 栄治
(72)【発明者】
【氏名】安田 裕和
【審査官】栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-091180(JP,A)
【文献】特開2004-335886(JP,A)
【文献】特開2013-093921(JP,A)
【文献】特開2011-130572(JP,A)
【文献】特開2002-084680(JP,A)
【文献】特開2014-096903(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側コイルおよび二次側コイルが磁性コアに形成された同一仕様のトランスが実装された同一仕様の2つの電源モジュールと、
前記2つの電源モジュールの前記一次側コイルに同一電圧値の直流電圧を断続的に印加するスイッチング部とを備え、
前記2つの電源モジュールは、一方の電源モジュールの前記一次側コイルにおける長さ方向に沿った一方の端部と他方の電源モジュールの前記一次側コイルにおける長さ方向に沿った2つの端部のうちの前記一方の電源モジュールの前記一次側コイルにおける他方の端部に対応する端部とが互いに対向する状態で同じ向きに並設され、
前記スイッチング部は、前記2つの電源モジュールの前記一次側コイルのうちの一方の一次側コイルに対して、他方の一次側コイルへの前記直流電圧の印加の周期と同じ周期で、かつ位相が180°ずれた状態で前記直流電圧を印加する電源装置。
【請求項2】
前記スイッチング部は、実質的に0.5のデューティ比で前記2つの電源モジュールの前記一次側コイルに前記直流電圧を印加する請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
入力ラインに接続される一対の入力端子、当該一対の入力端子に一対の電源ラインを介して接続されると共に前記入力ラインと当該一対の入力端子と当該一対の電源ラインとを介して入力される交流電圧を整流平滑して前記スイッチング部に前記直流電圧として出力する一次側整流平滑部、前記二次側コイルに発生する交流電圧を整流平滑して直流出力電圧として出力する二次側整流平滑部、および前記一対の電源ラインに介装されたヒューズまたはブレーカを備えている請求項1または2記載の電源装置と、
前記電源装置の後段に接続されると共に当該電源装置からの前記直流出力電圧に基づいて動作する医療機器とを備えている医療システム。
【請求項4】
入力ラインに接続される一対の入力端子、当該一対の入力端子に接続されると共に前記入力ラインと当該一対の入力端子とを介して入力される交流電圧を整流平滑して前記スイッチング部に前記直流電圧として出力する一次側整流平滑部、および前記二次側コイルに発生する交流電圧を整流平滑して直流出力電圧として出力する二次側整流平滑部を備えている請求項1または2記載の電源装置と、
前記入力ラインに介装されたヒューズまたはブレーカと、
前記電源装置の後段に接続されると共に当該電源装置からの前記直流出力電圧に基づいて動作する医療機器とを備えている医療システム。
【請求項5】
入力ラインに接続される一対の入力端子、当該一対の入力端子に一対の電源ラインを介して接続されると共に前記入力ラインと当該一対の入力端子と当該一対の電源ラインとを介して入力される交流電圧を整流平滑して前記スイッチング部に前記直流電圧として出力する一次側整流平滑部、前記二次側コイルに発生する交流電圧を整流平滑して直流出力電圧として出力する二次側整流平滑部、および前記一対の電源ラインのうちの一方の電源ラインに介装された第1ヒューズまたは第1ブレーカを備えている請求項1または2記載の電源装置と、
前記一対の電源ラインのうちの他方の電源ラインに前記入力端子を介して接続される前記入力ラインに介装された第2ヒューズまたは第2ブレーカと、
前記電源装置の後段に接続されると共に当該電源装置からの前記直流出力電圧に基づいて動作する医療機器とを備えている医療システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一次側コイルおよび二次側コイルが磁性コアに形成された同一仕様の2つのトランスと、トランスの各一次側コイルに同一電圧値の直流電圧を断続的に印加するスイッチング部とを備えた電源装置、およびこの電源装置を備えた医療システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電源装置として、下記の特許文献1に開示された電源装置が知られている。この電源装置では、一次側コイルおよび二次側コイルを有するトランスが基板に複数設けられている。また、これらトランスのうち少なくとも一対の隣り合うトランス同士が、図9に示すように、それぞれを構成する一次側コイル81,82の中心軸線CLa,CLbが一致し、一次側コイル81,82の端部が互いに向かい合うように、かつ一次側コイル81,82に電流が流れている状態において、この互いに向かい合う一次側コイル81,82の各端部のうち一方の端部(同図では、一次側コイル81の右端部)が磁束の入口側となり、他方の端部(同図では一次側コイル82の左端部)が磁束の出口側となるように、基板に設けられている。なお、図9では、理解の容易のため、一次側コイル81,82に発生する磁束を模式的に表しており、一次側コイル81の磁束については、実線で示すと共にその向きを白抜きの矢印で示し、一次側コイル82の磁束については、破線で示すと共にその向きをハッチングを付した矢印で示している。
【0003】
この構成により、この電源装置では、この一対の隣り合うトランスの互いに向かい合う一次側コイルの端部間に発生する磁界を実質的に打ち消すことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-91180号公報(第5,16頁、第4,9図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記した電源装置には、以下の課題が存在する。具体的には、上記した電源装置では、隣り合う2つのトランスのそれぞれの一次側コイル81,82が同じ周期で、かつ同じ位相(同相)で駆動されることから、端部が互いに向かい合うよう設けられたこの2つの一次側コイル81,82のこの端部間(一次側コイル81の右端部と一次側コイル82の左端部との間)の領域Aでは、一次側コイル81からの磁束の向きと一次側コイル82からの磁束の向きとが逆向きになるため、磁束同士が打ち消し合っている。一方、この領域A以外の一次側コイル81,82の外方領域(領域B、領域C、領域D、領域Eおよび領域F)では、磁束の向きが同じ向きになるため、磁束同士が強め合っている。この場合、この外方領域での磁束は、電源装置を構成する他の電子部品に漏れ出して、この他の電子部品に対して輻射ノイズとして干渉する(例えば、他の電子部品においてノイズを発生させたり、誤動作させたりする)虞がある。
【0006】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、隣り合う2つのトランスからその外方領域へ漏れ出す磁束を低減し得る電源装置、およびこの電源装置を備えた医療システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく、本発明に係る電源装置は、一次側コイルおよび二次側コイルが磁性コアに形成された同一仕様のトランスが実装された同一仕様の2つの電源モジュールと、前記2つの電源モジュールの前記一次側コイルに同一電圧値の直流電圧を断続的に印加するスイッチング部とを備え、前記2つの電源モジュールは、一方の電源モジュールの前記一次側コイルにおける長さ方向に沿った一方の端部と他方の電源モジュールの前記一次側コイルにおける長さ方向に沿った2つの端部のうちの前記一方の電源モジュールの前記一次側コイルにおける他方の端部に対応する端部とが互いに対向する状態で同じ向きに並設され、前記スイッチング部は、前記2つの電源モジュールの前記一次側コイルのうちの一方の一次側コイルに対して、他方の一次側コイルへの前記直流電圧の印加の周期と同じ周期で、かつ位相が180°ずれた状態で前記直流電圧を印加する。
【0008】
これにより、本発明の電源装置によれば、各一次側コイルの外方領域において、一方の一次側コイルからの磁束と他方の一次側コイルからの磁束とが互いに弱め合う状態にすることができる。また、各電源モジュールから供給される電力が同等のときには、各一次側コイルにおいて発生する各磁束も同等となることから、各一次側コイルの外方領域において、一方の一次側コイルからの磁束と他方の一次側コイルからの磁束とが互いに打ち消し合う状態にすることができる。このため、この電源装置によれば、各一次側コイルにおいて発生する磁束が、各トランスの外部、さらには各電源モジュールの外部に漏れ出すことを十分に低減でき、これにより、この漏れ出した磁束が各電源モジュールの外部に配置された他の電子部品に対して干渉するという事態の発生を十分に低減することができる。
【0009】
本発明に係る電源装置は、前記スイッチング部は、実質的に0.5のデューティ比で前記2つの電源モジュールの前記一次側コイルに前記直流電圧を印加する。
【0010】
これにより、この電源装置によれば、直流電圧の印加の周期の1/2の期間(周期T/2)のほぼ全体に亘って、各一次側コイルの外方領域において一方の一次側コイルからの磁束と他方の一次側コイルからの磁束とが互いに弱め合う状態にすることができる。また、各電源モジュールから供給される電力が同等のときには、双方の磁束が互いに打ち消し合う状態にすることができる。したがって、この電源装置によれば、各一次側コイルにおいて発生する磁束が、各トランスの外部、さらには各電源モジュールの外部に、強い状態で漏れ出す時間を十分に短くすることができるため、この漏れ出した磁束が各電源モジュールの外部に配置された他の電子部品に対して干渉するという事態の発生をより一層低減することができる。
【0011】
本発明に係る医療システムは、入力ラインに接続される一対の入力端子、当該一対の入力端子に一対の電源ラインを介して接続されると共に前記入力ラインと当該一対の入力端子と当該一対の電源ラインとを介して入力される交流電圧を整流平滑して前記スイッチング部に前記直流電圧として出力する一次側整流平滑部、前記二次側コイルに発生する交流電圧を整流平滑して直流出力電圧として出力する二次側整流平滑部、および前記一対の電源ラインに介装されたヒューズまたはブレーカを備えている上記のいずれかの電源装置と、前記電源装置の後段に接続されると共に当該電源装置からの前記直流出力電圧に基づいて動作する医療機器とを備えている。
【0012】
したがって、この医療システムによれば、上記の電源装置が一対の電源ラインにヒューズまたはブレーカを備えている構成において、さらに上記のトランスとして強化絶縁されたトランスを備えることで、電源装置単体で医療用規格を取得可能な構成を有することになるため、電源装置の外部(具体的には、電源装置に接続される入力ライン)に絶縁トランスおよびヒューズ(またはブレーカ)を介装することなく、医療用規格を取得可能な構成を実現することができる。また、この医療システムによれば、上記の電源装置を備えたことにより、上記した電源装置単体での効果を奏することができる。
【0013】
本発明に係る医療システムは、入力ラインに接続される一対の入力端子、当該一対の入力端子に接続されると共に前記入力ラインと当該一対の入力端子とを介して入力される交流電圧を整流平滑して前記スイッチング部に前記直流電圧として出力する一次側整流平滑部、および前記二次側コイルに発生する交流電圧を整流平滑して直流出力電圧として出力する二次側整流平滑部を備えている上記のいずれかの電源装置と、前記入力ラインに介装されたヒューズまたはブレーカと、前記電源装置の後段に接続されると共に当該電源装置からの前記直流出力電圧に基づいて動作する医療機器とを備えている。
【0014】
したがって、この医療システムによれば、上記の電源装置が上記のトランスとして強化絶縁されたトランスを備えることで、電源装置の外部(具体的には、電源装置に接続される入力ライン)にヒューズ(またはブレーカ)を介装するだけで、医療用規格を取得可能な構成を実現することができる。また、この医療システムによれば、上記の電源装置を備えたことにより、上記した電源装置単体での効果を奏することができる。
【0015】
本発明に係る医療システムは、入力ラインに接続される一対の入力端子、当該一対の入力端子に一対の電源ラインを介して接続されると共に前記入力ラインと当該一対の入力端子と当該一対の電源ラインとを介して入力される交流電圧を整流平滑して前記スイッチング部に前記直流電圧として出力する一次側整流平滑部、前記二次側コイルに発生する交流電圧を整流平滑して直流出力電圧として出力する二次側整流平滑部、および前記一対の電源ラインのうちの一方の電源ラインに介装された第1ヒューズまたは第1ブレーカを備えている上記のいずれかの電源装置と、前記一対の電源ラインのうちの他方の電源ラインに前記入力端子を介して接続される前記入力ラインに介装された第2ヒューズまたは第2ブレーカと、前記電源装置の後段に接続されると共に当該電源装置からの前記直流出力電圧に基づいて動作する医療機器とを備えている。
【0016】
したがって、この医療システムによれば、上記の電源装置が上記のトランスとして強化絶縁されたトランスを備えることで、一方の電源ラインに介装された第1ヒューズまたは第1ブレーカを内部に備えているため、電源装置の外部(具体的には、電源装置に接続される入力ラインのうちの他方の電源ラインに接続される入力ライン)に第2ヒューズまたは第2ブレーカを介装するだけで、医療用規格を取得可能な構成を実現することができる。また、この医療システムによれば、上記の電源装置を備えたことにより、上記した電源装置単体での効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、隣り合う2つのトランスの各一次側コイルにおいて発生する磁束が、各トランスの外部、さらには各電源モジュールの外部に漏れ出すことを十分に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】電源装置1の構成を示す構成図である。
図2】各電源モジュール4,4の絶縁トランス12,12についての構造を説明するための分解斜視図である。
図3】タイミング信号Stm,Stm、および各駆動信号Sd1,Sd2,Sd3,Sd4のタイミングを説明するための波形図である。
図4】各電源モジュール4,4の配設状態を説明するための斜視図である。
図5】電源装置1の各絶縁トランス12,12における一次側コイル31,31に生じる磁束の発生状態を説明するための説明図である。
図6】電源装置1を備えた医療システムMES1の構成図である。
図7】電源装置1を備えた医療システムMES2の構成図である。
図8】電源装置1を備えた医療システムMES3の構成図である。
図9】従来の電源装置の各トランスにおける一次側コイル81,82に生じる磁束の発生状態を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、電源装置および医療システムの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
最初に、電源装置の一例としての電源装置1の構成について図1を参照して説明する。この電源装置1は、一例として、一対の入力端子2a,2b(以下、特に区別しないときには入力端子2ともいう)、一次側整流平滑部3、中間バスコンバータとしての複数の絶縁型の電源モジュール4(本例では一例として、2つの電源モジュール4,4。特に区別しないときには、電源モジュール4ともいう)、各電源モジュール4に対応して配設されると共に対応する電源モジュール4の出力電圧Voが供給される中間バス5(本例では一例として、電源モジュール4から出力電圧Voが供給される中間バス5、および電源モジュール4から出力電圧Voが供給される中間バス5の2つ)、各中間バス5に接続された1または2以上の非絶縁型DC/DCコンバータ(以下、単にコンバータともいう。本例では一例として、中間バス5に接続されたn個のコンバータ6,・・・,6、および中間バス5に接続されたm個のコンバータ7,・・・,7)、および各電源モジュール4(本例では2つの電源モジュール4,4)に対してスイッチング動作のためのタイミング信号Stm(本例では、2つのタイミング信号Stm,Stm)を出力する制御部8を備えている。
【0021】
この構成により、電源装置1は、入力端子2a,2b間に入力される交流電圧Vacに基づいて、各コンバータ6,・・・,6に接続された負荷LD1,・・・,LD1に供給するための直流電圧Vout1,・・・,Vout1を出力すると共に、各コンバータ7,・・・,7に接続された負荷LD2,・・・,LD2に供給するための直流電圧Vout2,・・・,Vout2を出力する。
【0022】
一次側整流平滑部3は、例えば、整流ダイオードで構成されたブリッジ形整流回路と、コイルおよびコンデンサで構成された平滑回路とで構成されて、入力端子2a,2bから一対の電源ライン73,74を経由して入力される交流電圧Vacを直流電圧Viに変換して出力する。なお、この一次側整流平滑部3については、力率改善回路(PFC)を含む構成にしてもよいのは勿論である。
【0023】
電源モジュール4,4は、同一に構成されて、直流電圧Viを入力すると共に、この直流電圧Viを対応する中間バス5,5に供給(出力)する中間バス電圧としての出力電圧Vo,Voにそれぞれ変換して出力する。具体的には、電源モジュール4,4は、一例として、スイッチング部11,11、トランスとしての絶縁トランス12,12、および二次側整流平滑部13,13を備え、これら各構成要素が回路基板14,14図2参照)に実装されて構成されている。以下、電源モジュール4,4の具体的な構成について、電源モジュール4を例に挙げて説明する。
【0024】
スイッチング部11は、ハーフブリッジ方式やフルブリッジ方式のスイッチング回路を構成する偶数個のスイッチ素子(本例では一例として、図1に示すように、ハーフブリッジ方式のスイッチング回路を構成するハイサイドのスイッチ素子21およびローサイドのスイッチ素子22)と、各スイッチ素子21,22をオン・オフ駆動するための駆動信号Sd1,Sd2を出力する駆動回路23とを備えて構成されて、図2に示すように、回路基板14に実装されている。
【0025】
駆動回路23は、制御部8から出力されるタイミング信号Stm(本例では、図3に示すように、一定の周期Tで、かつデューティ比が実質的に0.5に固定されたパルス電圧信号)に基づき、タイミング信号Stmと同期した駆動信号Sd1と、タイミング信号Stmと位相が180°ずれた駆動信号Sd2とを生成して、駆動信号Sd1をスイッチ素子21に出力し、駆動信号Sd2をスイッチ素子22に出力する。なお、理解の容易のため、駆動信号Sd1,Sd2の各デューティ比は実質的に0.5としている(固定デューティとしている)が、この駆動信号Sd1,Sd2によって駆動されるスイッチ素子21,22が同時にオン状態にならないように、駆動信号Sd1,Sd2ではデッドタイムが確保されているものとする。
【0026】
この構成により、スイッチング部11は、スイッチ素子21,22が対応する駆動信号Sd1,Sd2に基づいて周期T/2毎に交互にオン・オフ動作する(オン状態およびオフ状態に移行する)ことにより、絶縁トランス12の後述する一次側コイル31に同一電圧値の直流電圧(直流電圧Viの電圧値の1/2の電圧値の直流電圧)を、周期T/2毎に極性を反転させつつ断続的に印加する。したがって、このスイッチング部11を備えた電源モジュール4は、開ループ制御型の電圧電源装置として機能する。
【0027】
絶縁トランス12は、一次側コイル31および二次側コイル32(本例では一例として、センタータップを有する構成であるが、この構成に限定されるものではなく、センタータップを有しない構成であってもよい)が磁性コア33に形成されて構成されている。
【0028】
本例では一例として、図2に示すように、UU型コア33a,33bで構成された磁性コア33の一対の脚部を挿通させるための2つの挿通孔41,42が回路基板14に形成されて、一次側コイル31は、回路基板14における挿通孔41の周縁部位に渦巻き状に形成された配線パターンによって平面コイルとして構成されている。また、一次側コイル31については、この構成に限らず、積層基板の各層に同心円状(または同じ中心軸の矩形状)に形成された複数のパターン(積層パターン)で構成された基板コイルで構成することも可能である。また、二次側コイル32は、回路基板14における挿通孔42の周縁部位に渦巻き状に形成された配線パターンによって平面コイルとして構成されている。磁性コア33は、図2に示すように、回路基板14の一方の面側(同図中では上面側)から各脚部が挿通孔41,42に挿入されたUU型コア33aと、回路基板14の他方の面側(同図中では下面側)から各脚部が挿通孔41,42に挿入されたUU型コア33bとが組み合わされて構成されて、一次側コイル31と二次側コイル32とを磁気的に結合させる。なお、磁性コア33は、例えば、回路基板14に接着剤やポッティング剤などで固定されている。
【0029】
なお、磁性コア33は、UU型コア33a,33bに代えて、UI型コアや、EE型コアやEI型コアなど種々のコアで構成してもよいのは勿論である。この場合、EE型コアやEI型コアで磁性コア33を構成する場合であって、上記したように一次側コイル31および二次側コイル32を配線パターンで形成するときには、図示はしないが、磁性コア33の一対の側脚および1つの中脚を挿通させるための挿通孔を回路基板14に3つ形成し、このうちの中脚が挿通される1つの挿通孔(真中の挿通孔)の周縁部位に渦巻き状に形成された配線パターンによって一次側コイル31および二次側コイル32をそれぞれ平面コイルとして構成する。
【0030】
二次側整流平滑部13は、例えば、整流ダイオードで構成されたセンタータップ形整流回路と、コイルおよびコンデンサで構成された平滑回路とで構成されて、図2に示すように、回路基板14に実装されている。また、ブリッジ形整流回路は、回路基板14に形成された配線パターンを介して二次側コイル32に接続されている。この構成により、二次側整流平滑部13は、二次側コイル32に誘起される交流電圧を整流平滑することで直流電圧としての出力電圧Voに変換して、回路基板14に実装されている不図示の出力コネクタに出力する。この出力コネクタは、不図示のケーブルを介して中間バス5に接続されているため、出力電圧Voは中間バス5に出力される。
【0031】
電源モジュール4は、図1,2に示すように、電源モジュール4を構成する上記のスイッチング部11(スイッチ素子21,22および駆動回路23)、絶縁トランス12(一次側コイル31、二次側コイル32および磁性コア33)、および二次側整流平滑部13とそれぞれ同一構成のスイッチング部11(ハイサイドのスイッチ素子21、ローサイドのスイッチ素子22および駆動回路23)、絶縁トランス12(一次側コイル31、二次側コイル32および磁性コア33)、および二次側整流平滑部13を備えて、上記したように電源モジュール4と同一に構成されているため、電源モジュール4の詳細な説明は省略する。
【0032】
なお、電源モジュール4では、駆動回路23は、制御部8から出力されるタイミング信号Stm(本例では、図3に示すように、タイミング信号Stmと位相が180°ずれた信号)に基づき、タイミング信号Stmと同期した駆動信号Sd3と、タイミング信号Stmと位相が180°ずれた駆動信号Sd4とを生成して、駆動信号Sd3をスイッチ素子21(電源モジュール4のスイッチ素子21に対応するスイッチ素子)に出力し、駆動信号Sd4をスイッチ素子22(電源モジュール4のスイッチ素子22に対応するスイッチ素子)に出力する。また、電源モジュール4では、回路基板14に実装されている出力コネクタは、不図示のケーブルを介して中間バス5に接続されているため、電源モジュール4で生成される出力電圧Voは中間バス5に出力される。
【0033】
また、このような同一仕様の電源モジュール4,4は、図4に示すように、1つのラック(またはケース、または筐体等)51内に、同じ向きで、かつ近接した状態で並設されて実装されている。なお、同図では、理解の容易のため、電源モジュール4,4は実際の実装状態よりも互いに離した状態(距離を空けた状態)で図示している。このため、電源モジュール4,4のうちの一方の電源モジュール(電源モジュール4)の一次側コイル31における長さ方向(一次側コイル31の軸線方向。本例では、一次側コイル31は回路基板14に形成された配線パターンで構成された平面コイルであるため、回路基板14の厚み方向(図2,4に示す矢印W方向))に沿った一方の端部(図2,4中における回路基板14の一方の表面SU1側の端部)と、他方の電源モジュール(電源モジュール4)の一次側コイル31における長さ方向(一次側コイル31の軸線方向。一次側コイル31も回路基板14に形成された配線パターンで構成された平面コイルであるため、回路基板14の厚み方向(図2,4に示す矢印W方向))に沿った2つの端部(回路基板14の一方の表面SU3側の端部と他方の表面SU4側の端部)のうちの一方の電源モジュール(電源モジュール4)の一次側コイル31における他方の端部(回路基板14の他方の表面SU2側の端部)に対応する端部(他方の表面SU4側の端部)とが互いに対向する状態となっている。
【0034】
また、電源モジュール4,4は、図4に示す並設状態において、一次側コイル31の軸線CLと、一次側コイル31の軸線CLとは、共に、同一の仮想直線上に位置した状態となっている。
【0035】
なお、本例の電源モジュール4,4は、上記したように、対応するスイッチング部11,11をそれぞれ含んで構成されているが、この構成に限定されるものではなく、スイッチング部11,11と電源モジュール4,4とを別体に構成してもよい。
【0036】
中間バス5は、このバスに接続されたコンバータ6,・・・,6に対して、電源モジュール4から出力される出力電圧Voを供給する。また、中間バス5は、このバスに接続されたコンバータ7,・・・,7に対して、電源モジュール4から出力される出力電圧Voを供給する。
【0037】
各コンバータ6,・・・,6は、例えば、閉ループ制御型の定電圧電源装置としてそれぞれ機能して、中間バス5から供給される共通の出力電圧Voに基づいて、対応する(接続された)負荷LD1,・・・,LD1に供給するための直流電圧Vout1,・・・,Vout1を予め規定された電圧値で生成して出力する。また、各コンバータ7,・・・,7も、閉ループ制御型の定電圧電源装置としてそれぞれ機能して、中間バス5から供給される共通の出力電圧Voに基づいて、対応する(接続された)負荷LD2,・・・,LD2に供給するための直流電圧Vout2,・・・,Vout2を予め規定された電圧値で生成して出力する。
【0038】
制御部8は、例えば、一定の周期Tで、かつデューティ比が実質的に0.5に固定されたパルス電圧信号を生成してタイミング信号Stmとして出力する発振回路61と、タイミング信号Stmを入力すると共に位相を180°ずらしてタイミング信号Stmとして出力する反転回路62とを備えて構成されている。
【0039】
次に、電源装置1の動作について説明する。
【0040】
電源装置1では、一次側整流平滑部3が、交流電圧Vacを直流電圧Viに変換して、各電源モジュール4,4に出力する。また、制御部8が、一定の周期Tで、かつデューティ比が実質的に0.5に固定されたタイミング信号Stmと、このタイミング信号Stmと位相が180°ずれたタイミング信号Stmとを生成して、タイミング信号Stmについては電源モジュール4に出力し、タイミング信号Stmについては電源モジュール4に出力する。
【0041】
この状態において、電源モジュール4では、駆動回路23が、タイミング信号Stmに基づいて図3に示すタイミングで駆動信号Sd1,Sd2を生成して、スイッチ素子21,22に出力する。また、スイッチ素子21,22は、対応する駆動信号Sd1,Sd2により、同図に示すタイミングでオン・オフ駆動されることで、絶縁トランス12の一次側コイル31に直流電圧(直流電圧Viの電圧値の1/2の電圧値の直流電圧)を、周期T/2毎に極性を反転させつつ断続的に印加する。これにより、絶縁トランス12の二次側コイル32には、極性が周期T/2毎に反転する交流電圧が発生し、二次側整流平滑部13は、この交流電圧を整流平滑することで出力電圧Voに変換して、対応する中間バス5に出力する。この結果、中間バス5から各コンバータ6,・・・,6に出力電圧Voが供給される。また、各コンバータ6,・・・,6は、出力電圧Voに基づいて、対応する負荷LD1,・・・,LD1のための直流電圧Vout1,・・・,Vout1を生成して、負荷LD1,・・・,LD1に出力する。
【0042】
一方、電源モジュール4では、駆動回路23が、タイミング信号Stmに基づいて図3に示すタイミングで駆動信号Sd3,Sd4を生成して、スイッチ素子21,22に出力する。また、スイッチ素子21,22は、対応する駆動信号Sd3,Sd4により、同図に示すタイミングでオン・オフ駆動される(スイッチ素子22は、スイッチ素子21と同じタイミングでオン・オフ駆動され、スイッチ素子21は、スイッチ素子22と同じタイミングでオン・オフ駆動される)ことで、絶縁トランス12の一次側コイル31に直流電圧(直流電圧Viの電圧値の1/2の電圧値の直流電圧)を、周期T/2毎に極性を反転させつつ断続的に印加する。
【0043】
この場合、上記したように、スイッチ素子22は、スイッチ素子21と同じタイミングでオン・オフ駆動され、スイッチ素子21は、スイッチ素子22と同じタイミングでオン・オフ駆動されるため、絶縁トランス12の一次側コイル31には、一次側コイル31に印加される直流電圧とは逆の極性で直流電圧が印加される。これにより、絶縁トランス12の二次側コイル32には、極性が周期T/2毎に反転する交流電圧が、絶縁トランス12の二次側コイル32に発生する交流電圧とは極性が常に逆になる状態で発生する。二次側整流平滑部13は、この交流電圧を整流平滑することで出力電圧Voに変換して、対応する中間バス5に出力する。この結果、中間バス5から各コンバータ7,・・・,7に出力電圧Voが供給される。また、各コンバータ7,・・・,7は、出力電圧Voに基づいて、対応する負荷LD2,・・・,LD2のための直流電圧Vout2,・・・,Vout2を生成して、負荷LD2,・・・,LD2に出力する。
【0044】
このようにして動作している電源モジュール4,4は、図4に示すように、同じ向きで、かつ近接した状態で並設されている(本例では一例として、1つのラック51内に、同じ向きで、かつ近接した状態で並設されて実装されている)ことから、電源モジュール4,4では、上記したように、絶縁トランス12の一次側コイル31における長さ方向(矢印W方向)に沿った一方の端部と、絶縁トランス12の一次側コイル31における長さ方向(矢印W方向)に沿った2つの端部のうちの一次側コイル31における他方の端部に対応する端部とが互いに対向する状態となっている。さらには、絶縁トランス12における一次側コイル31の軸線CLと絶縁トランス12における一次側コイル31の軸線CLとが、同一の仮想直線上に位置した状態となっている。また、電源モジュール4,4では、上記したように、絶縁トランス12における一次側コイル31には、極性が周期T/2毎に反転する交流電圧が印加され、絶縁トランス12における一次側コイル31には、一次側コイル31に印加されるこの直流電圧とは逆の極性で直流電圧が印加される。
【0045】
これにより、この2つの一次側コイル31,31を、理解の容易のため、図5に示すように模式的に表して、一次側コイル31,31において発生する各磁束の状態(1つの周期T/2での磁束の状態)を同図に模式的に示すと、一次側コイル31,31における互いに対向する端部間(一次側コイル31の右端部と一次側コイル31の左端部との間)の領域Aでは、磁束の向きが同じ向きになるため、磁束同士が強め合っている。一方、この領域A以外の一次側コイル31,31の外方領域(領域B、領域C、領域D、領域Eおよび領域F)では、磁束の向きが逆向きになるため、磁束同士が弱め合っている。なお、図5では、一次側コイル31の磁束については、実線で示すと共にその向きを白抜きの矢印で示し、一次側コイル31の磁束については、破線で示すと共にその向きをハッチングを付した矢印で示している。この場合、電源モジュール4,4が、対応する中間バス5,5に供給する電力が同等のときには、一次側コイル31,31において発生する各磁束も同等となることから、一次側コイル31,31の外方領域(領域B、領域C、領域D、領域Eおよび領域F)では、磁束はほぼ打ち消された状態になる。
【0046】
また、次の周期T/2では、各磁束の向きは図5に示す向きとは逆向きになるが、領域A、領域B、領域C、領域D、領域Eおよび領域Fでの各磁束の向きの状態(同じ向きになるか、逆向きになるか)は維持される。
【0047】
これにより、電源装置1では、一次側コイル31,31において発生する磁束が、絶縁トランス12,12の外部、さらには電源モジュール4,4の外部に漏れ出すことを低減できることから、漏れ出した磁束が電源モジュール4,4の外部に配置された他の電子部品に対して輻射ノイズとして干渉する(例えば、他の電子部品においてノイズを発生させたり、誤動作させたりする)という事態の発生を大幅に低減することが可能となっている。
【0048】
このように、この電源装置1では、一次側コイル31および二次側コイル32を有する絶縁トランス12が実装された電源モジュール4と、一次側コイル31および二次側コイル32を有する絶縁トランス12(絶縁トランス12と同一仕様)が実装された電源モジュール4(電源モジュール4と同一仕様)とを備え、2つの電源モジュール4,4は、一方の電源モジュール4の一次側コイル31における長さ方向に沿った一方の端部と他方の電源モジュール4の一次側コイル31における長さ方向に沿った2つの端部のうちの一方の電源モジュール4の一次側コイル31における他方の端部に対応する端部とが互いに対向する状態で同じ向きに並設され、スイッチング部11,11は、一方の一次側コイル31に対して、他方の一次側コイル31への直流電圧(直流電圧Viの電圧値の1/2の電圧値の直流電圧)の印加の周期と同じ周期で、かつ位相が180°ずれた状態で直流電圧(直流電圧Viの電圧値の1/2の電圧値の直流電圧)を印加する。
【0049】
したがって、この電源装置1によれば、一次側コイル31,31の外方領域(領域B、領域C、領域D、領域Eおよび領域F)において、一次側コイル31からの磁束と一次側コイル31からの磁束とが互いに弱め合う状態にすることができる。また、電源モジュール4,4が各中間バス5,5に供給する電力が同等のときには、一次側コイル31,31において発生する各磁束も同等となることから、一次側コイル31,31の外方領域(領域B、領域C、領域D、領域Eおよび領域F)において、一次側コイル31からの磁束と一次側コイル31からの磁束とが互いに打ち消し合う状態にすることができる。このため、この電源装置1によれば、一次側コイル31,31において発生する磁束が、絶縁トランス12,12の外部、さらには電源モジュール4,4の外部に漏れ出すことを十分に低減でき、これにより、この漏れ出した磁束が電源モジュール4,4の外部に配置された他の電子部品に対して干渉するという事態の発生を十分に低減することができる。
【0050】
また、この電源装置1によれば、各スイッチング部11,11が実質的に0.5のデューティ比で対応する一次側コイル31,31に上記の直流電圧を印加する構成のため、各周期T/2のほぼ全体に亘って、一次側コイル31,31の外方領域(領域B、領域C、領域D、領域Eおよび領域F)において一次側コイル31からの磁束と一次側コイル31からの磁束とが互いに弱め合う状態にすることができる。また、電源モジュール4,4が各中間バス5,5に供給する電力が同等のときには、双方の磁束が互いに打ち消し合う状態にすることができる。したがって、この電源装置1によれば、一次側コイル31,31において発生する磁束が、絶縁トランス12,12の外部、さらには電源モジュール4,4の外部に、強い状態で漏れ出す量を十分に小さくすることができるため、この漏れ出した磁束が電源モジュール4,4の外部に配置された他の電子部品に対して干渉するという事態の発生をより一層低減することができる。
【0051】
なお、発明の理解を容易にするため、同一仕様の2つの電源モジュール4,4図4に示すように、同じ向きで、かつ近接した状態で矢印W方向に沿って並設された構成を例に挙げて説明したが、図示はしないが、この電源モジュール4,4と同一仕様の他の電源モジュールが1または2以上、同じ向きで、かつ近接した状態で矢印W方向に沿って並設された構成においても、並設されたこれらの電源モジュールのうちの隣り合う一対の電源モジュールに着目したときに、この一対の電源モジュールが上記した電源モジュール4,4と同じ状態になるようにすることで、電源モジュール4,4およびこれらに並設された他の電源モジュールの外部に漏れ出す磁界を低減することが可能となる。
【0052】
この電源装置1は、各負荷LD1,・・・,LD1および各負荷LD2,・・・,LD2のうちの少なくとも1つを医療機器とすることで、医療システムに用いることができる。
【0053】
以下において、この電源装置1を備えた医療システムMES1について、図6を参照して説明する。なお、電源装置1の各絶縁トランス12,12は、医療用規格に合致した絶縁性能を有している(強化絶縁されている)ものとする。また、コンバータ6,・・・,6およびコンバータ7,・・・,7のうちの少なくとも1つには、対応する負荷LD1または負荷LD2として、医療機器が接続されているものとする。また、電源装置1の筐体Hには、接地のためのFGラインが接続されているものとする。
【0054】
この場合、電源装置1は、入力ライン(L相ライン,N相ライン)間から供給される交流電圧Vacを一対の入力端子2a,2bを介して入力して動作する。このため、電源装置1は、上記したようにその内部に、一対の入力端子2a,2bに一対の電源ライン73,74を介して接続された整流平滑部としての一次側整流平滑部3を備え、この一次側整流平滑部3が、入力ラインL,Nと一対の入力端子2a,2bと一対の電源ライン73,74とを介して入力される交流電圧Vacを整流平滑して直流電圧Viを生成して、各電源モジュール4,4に出力するように構成されている。また、電源装置1は、その内部に、一対の電源ライン73,74に介装されたヒューズ76(またはブレーカ)を備えている。
【0055】
この電源装置1を備えた医療システムMES1によれば、電源装置1が、上記のように強化絶縁された絶縁トランス12,12とヒューズ76とを備えて単体で医療用規格を取得可能な構成を有しているため、電源装置1の外部(具体的には、電源装置1に接続される入力ライン(L相ライン,N相ライン))に絶縁トランスおよびヒューズ(またはブレーカ)を介装することなく、医療用規格を取得可能な構成を実現することができる。また、この医療システムMES1によれば、電源装置1を備えたことにより、上記した電源装置1単体での効果を奏することができる。
【0056】
また、上記の医療システムMES1では、電源装置1が内部にヒューズ76(またはブレーカ)を備える構成であったが、内部にヒューズ76(またはブレーカ)を備えていない電源装置1で医療システムを構成することもできる。以下、この構成を採用した医療システムMES2について図7を参照して説明する。なお、上記した医療システムMES1と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明については省略し、医療システムMES1と相違する構成について主として説明する。
【0057】
この医療システムMES2では、ヒューズ76(またはブレーカ)は、図7に示すように、入力ライン(L相ライン,N相ライン)に介装されている。この構成により、入力ライン(L相ライン,N相ライン)間から供給される交流電圧Vacは、ヒューズ76(またはブレーカ)を介して電源装置1の入力端子2a,2bに入力される。
【0058】
この電源装置1を備えた医療システムMES2によれば、電源装置1が、上記のように強化絶縁された絶縁トランス12,12を備えているため、電源装置1の外部(具体的には、電源装置1に接続される入力ライン(L相ライン,N相ライン))にヒューズ76(またはブレーカ)を介装するだけで、医療用規格を取得可能な構成を実現することができる。また、この医療システムMES2によれば、電源装置1を備えたことにより、上記した電源装置1単体での効果を奏することができる。
【0059】
また、上記の医療システムMES1,MES2では、電源装置1の内部および外部のいずれか一方にのみヒューズ76(またはブレーカ)を介装する構成であったが、電源装置1の内部および外部の双方にヒューズ76(またはブレーカ)を介装する構成を採用することもできる。以下、この構成を採用した医療システムMES3について図8を参照して説明する。なお、上記した医療システムMES1,MES2と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明については省略し、医療システムMES1,MES2と相違する構成について主として説明する。
【0060】
この医療システムMES3では、電源装置1は、一対の電源ライン73,74のうちの一方の電源ライン(本例では一例として、電源ライン74)に介装された第1ヒューズとしてのヒューズ76(または第1ブレーカとしてのブレーカ)を内部に備えている。また、電源装置1の外部には、一対の電源ライン73,74のうちの他方の電源ライン(本例では一例として、電源ライン73)に入力端子(本例では、入力端子2a)を介して接続される入力ライン(本例では、L相ライン)に介装された状態で、第2ヒューズとしてのヒューズ76(または第2ブレーカとしてのブレーカ)が配設されている。なお、図示はしないが、第1ヒューズとしてのヒューズ76(または第1ブレーカとしてのブレーカ)を電源ライン73に介装し、これに対応して、第2ヒューズとしてのヒューズ76(または第2ブレーカとしてのブレーカ)をN相ラインに介装する構成を採用することもできる。
【0061】
この電源装置1を備えた医療システムMES3によれば、電源装置1が、上記のように強化絶縁された絶縁トランス12,12と一方の電源ライン(電源ライン74または電源ライン73)に介装されたヒューズ76(ブレーカ)とを内部に備えているため、電源装置1の外部(具体的には、電源装置1に接続される入力ライン(L相ライン,N相ライン)のうちの他方の電源ラインに接続される入力ライン(L相ラインまたはN相ライン))に他のヒューズ76(またはブレーカ)を介装するだけで、医療用規格を取得可能な構成を実現することができる。また、この医療システムMES3によれば、電源装置1を備えたことにより、上記した電源装置1単体での効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 電源装置
,4 電源モジュール
11,11 スイッチング部
12,12 絶縁トランス
31,31 一次側コイル
32,32 二次側コイル
33,33 磁気コア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9