(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】無線中継装置、及び無線中継装置の温度管理方法
(51)【国際特許分類】
H04W 88/08 20090101AFI20221213BHJP
【FI】
H04W88/08
(21)【出願番号】P 2019053778
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2021-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀧澤 恵子
【審査官】石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-206259(JP,A)
【文献】特開2014-197940(JP,A)
【文献】特開昭63-226134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末との間で無線通信可能であり、チャネル状態を切り換え可能な処理部と、温度を測定する温度測定部とを含む、
複数のレピータ装置と、
前記レピータ装置の状態を管理するサイトコントローラと、を備え、
前記レピータ装置は、少なくとも通信全体を制御する制御チャネル状態と、通信を中継する通信チャネル状態と、レピータ装置が使用できない使用禁止状態と、いずれの状態でもないアイドル状態とのいずれかの動作状態に設定され、
前記サイトコントローラは
、制御チャネル状態
の前記レピータ装置の内部温度が予め設定された第1温度閾値以上である場合、
アイドル状態の他のレピータ装置の動作状態を制御チャネル状態に移行し、通信全体の制御機能を前記レピータ装置から前記他のレピータ装置に移管させ、制御チャネル状態の前記レピータ装置の状態を制御チャネル状態から使用禁止状態に移行させることを特徴とする無線中継装置。
【請求項2】
前記サイトコントローラは、前記他のレピータ装置の
動作状態が制御チャネル状態に移行したことを前記レピータ装置から前記通信端末に報知させた後に、前記レピータ装置の状態を制御チャネル状態から使用禁止状態に移行させる、請求項
1に記載の無線中継装置。
【請求項3】
前記サイトコントローラは、使用禁止状態の前記レピータ装置の内部温度が予め設定された第2温度閾値以下であり、且つ、前記レピータ装置の
動作状態が使用禁止状態に移行してから所定時間経過している場合、前記レピータ装置の
動作状態を使用禁止状態からアイドル状態に移行させる、請求項1
または2に記載の無線中継装置。
【請求項4】
前記サイトコントローラは、予め設定したタイマ時間に基づくタイマ割込みが発生したとき、前記レピータ装置を含む複数のレピータ装置の中にアイドル状態のレピータ装置が存在する場合、最も内部温度が低いアイドル状態のレピータ装置の
動作状態を制御チャネル状態に移行させる、請求項1から
3のいずれか一項に記載の無線中継装置。
【請求項5】
前記サイトコントローラは、前記レピータ装置の
動作状態を移行させた際、状態変化後の経過時間の値を初期化し、新たにカウントを開始する、請求項1から
4のいずれか一項に記載の無線中継装置。
【請求項6】
前記サイトコントローラは、前記レピータ装置が過去に制御チャネル状態となった回数と、そのときの最高温度とを記憶する、請求項1から
5のいずれか一項に記載の無線中継装置。
【請求項7】
通信端末との間で無線通信可能であり、
少なくとも通信全体を制御する制御チャネル状態と、通信を中継する通信チャネル状態と、レピータ装置が使用できない使用禁止状態と、いずれの状態でもないアイドル状態とのいずれかの動作状態に設定され、チャネル状態を切り換え可能なレピータ装置の状態が制御チャネル状態であるか判定することと、
前記レピータ装置の状態が制御チャネル状態である場合、前記レピータ装置の内部温度を監視することと、
前記レピータ装置の内部温度が予め設定された第1温度閾値以上か判定することと、
前記レピータ装置の内部温度が前記第1温度閾値以上である場合
、アイドル状態の他のレピータ装置の動作状態を制御チャネル状態に移行し、通信全体の制御機能を前記レピータ装置から前記他のレピータ装置に移管させ、制御チャネル状態の前記レピータ装置の状態を制御チャネル状態から使用禁止状態に移行することと
を含むことを特徴とする無線中継装置の温度管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線中継装置の温度管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯通信端末等の電気通信サービスを提供するための無線通信システムは、基地局に複数台のレピータ装置が設置され稼働している。そして、複数台のレピータ装置の内の1台が通信端末(移動局)に基地局情報を知らせるための制御チャネルの役割を担うレピータ装置(CCH)となり、その他が通話の中継のための通信チャネルの役割を担うレピータ装置(TCH)となる。この方式では、サイトコントローラが通信端末間で通信に使用するチャネルを決定し、CCHが通信端末に通知して、その決定したチャネルを通信端末に使用させることで、TCHを統制する。CCHは、前述のように制御信号を連続的に送信することから、一定時間間隔で、その時点でアイドル状態のTCHの1台と役割を交替することで装置の劣化を防止していた。
【0003】
しかし、時間間隔による役割の交替では、急激な装置内の温度上昇が起きた場合に対処できず、レピータ装置がハングアップする問題があった。例えば、制御チャネルのレピータ装置で異常温度(約85℃)になった場合、システム下の通信端末に報知することなく、エラー表示して送信停止し、その後、別のチャネルのレピータ装置が制御チャネルのレピータ装置として起動していた。
【0004】
この温度上昇は、レピータ装置の周囲温度の変化や送信出力の変化、制御する通信端末数等様々な要因により誘発されるのに対して、制御チャネルの切り替えタイミングは指定時刻、又は指定時刻及び一定周期(最短1時間)のみだった。このため、温度監視によりレピータ装置のハングアップを未然に防止し、通話機能を維持する技術が求められていた。
【0005】
例えば、特許文献1には、複数存在するレピータ装置の内部温度を監視し、通話やデータ通信の中継のための通信チャネル(中継チャネル)の役割を担うレピータ装置の選択において、中継チャネルがアイドル状態で、且つ内部温度の低いレピータ装置を選択することで、温度上昇によるレピータ装置の故障を未然に防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、制御チャネルの動作を特定のレピータ装置に集中させない方式の例を示しているが、一方で、制御チャネルの動作を特定のレピータ装置に集中させる方式も存在する。この場合、制御チャネルの役割を担うレピータ装置は連続的に制御信号を送信し続けることから、レピータ装置の内部温度が上昇し易い。
【0008】
また、特許文献1の方法は、次に送受信を担う「中継チャネル」のレピータ装置を選択するための技術であり、選択基準として他のレピータ装置の内部温度を参照するものである。したがって、連続的に送信を行う制御チャネルの役割を担っているレピータ装置が、自身の役割を移管させるタイミングを計るものではない。更に、急激に内部温度が上昇したレピータ装置は、内部温度が正常範囲に戻るまでは使用しないことが好ましく、基地局の機能を維持しながら内部温度が上昇したレピータ装置の停止と復帰を行う必要がある。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、異常な温度上昇による基地局機能のダウンを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る無線中継装置は、通信端末との間で無線通信可能であり、チャネル状態を切り換え可能な処理部と、温度を測定する温度測定部とを含む、複数のレピータ装置と、前記レピータ装置の状態を管理するサイトコントローラと、を備え、前記レピータ装置は、少なくとも通信全体を制御する制御チャネル状態と、通信を中継する通信チャネル状態と、レピータ装置が使用できない使用禁止状態と、いずれの状態でもないアイドル状態とのいずれかの動作状態に設定され、前記サイトコントローラは、制御チャネル状態の前記レピータ装置の内部温度が予め設定された第1温度閾値以上である場合、アイドル状態の他のレピータ装置の動作状態を制御チャネル状態に移行し、通信全体の制御機能を前記レピータ装置から前記他のレピータ装置に移管させ、制御チャネル状態の前記レピータ装置の状態を制御チャネル状態から使用禁止状態に移行させる。
【0012】
また、サイトコントローラは、他のレピータ装置の状態が制御チャネル状態に移行して次の制御チャネル状態のレピータ装置となったことをレピータ装置から移動局に報知させた後に、レピータ装置の状態を制御チャネル状態から使用禁止状態に移行させる。
【0013】
また、サイトコントローラは、使用禁止状態のレピータ装置の内部温度が第2温度閾値以下であり、且つ、レピータ装置の状態が使用禁止状態に移行してから所定時間経過している場合、レピータ装置の状態を使用禁止状態からアイドル状態に移行させる。
【0014】
また、サイトコントローラは、予め設定したタイマ時間に基づくタイマ割込みが発生したとき、複数のレピータ装置の中にアイドル状態のレピータ装置が存在する場合、最も内部温度が低いアイドル状態のレピータ装置の状態を制御チャネル状態に移行させるようにしても良い。
【0015】
また、サイトコントローラは、レピータ装置の状態が変化した際、状態変化後の経過時間の値を初期化し、新たにカウントを開始するようにしても良い。
【0016】
更に、サイトコントローラは、レピータ装置が過去に制御チャネル状態となった回数と、そのときの最高温度とを記憶するようにしても良い。
【0017】
これにより、制御チャネルを担うレピータ装置の切り替えタイミングを決定する際に、内部温度を継続的に監視し、内部温度が異常値に達する前に切り替えを実施すると共に、内部温度が安全値以下になるまで当該レピータ装置を使用禁止にすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、異常な温度上昇による基地局機能のダウンを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る基地局の構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係るレピータ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係るサイトコントローラの構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、各レピータ装置が通常状態であるパターンの一例を示す表である。
【
図6】
図6は、制御チャネルのレピータ装置の内部温度が高温となり、異常温度に近づいたことを検出したパターンの一例を示す表である。
【
図7】
図7は、制御チャネルを他のレピータ装置に切り替えたパターンの一例を示す表である。
【
図8】
図8は、高温であったレピータ装置を温度低下に伴い復帰させるパターンの一例を示す表である。
【
図9】
図9は、サイトコントローラによるレピータ装置の温度管理プロセスにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、サイトコントローラによるレピータ装置の時間管理プロセスにおける処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含む。
【0021】
[実施形態]
図1を用いて、本発明の実施形態に係る無線通信システムの構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す模式図である。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係る無線通信システム1は、システムコントローラ110と、ルータ120と、第1基地局130Aと、第2基地局130Bと、第3基地局130Cと、第1移動局150A-1と、第2移動局150A-2と、第3移動局150B-1と、第4移動局150B-2と、第5移動局150C-1と、第6移動局150C-2とを含む。
【0023】
図1において、第1サービスエリア140Aは、第1基地局130Aと無線で通信可能な通信エリア(通信圏)である。第2サービスエリア140Bは、第2基地局130Bと無線で通信可能な通信エリアである。第3サービスエリア140Cは、第3基地局130Cと無線で通信可能な通信エリアである。
図1に示す例では、第1サービスエリア140Aにおいて、第1移動局150A-1と第2移動局150A-2とが、第1基地局130Aと無線で通信可能である。第2サービスエリア140Bにおいて、第3移動局150B-1と第4移動局150B-2とが、第2基地局130Bと無線で通信可能である。第3サービスエリア140Cにおいて、第5移動局150C-1と第6移動局150C-2とが、第3基地局130Cと無線で通信可能である。なお、
図1では、3台の基地局(無線中継装置)と、6台の移動局(無線通信端末)とが示されているが、これは例示であり、本発明を限定するものではない。基地局及び移動局はいずれも少なくとも1台存在していれば良い。また、以下において、第1基地局130Aから第3基地局130Cを総称して、基地局130と呼ぶこともある。同様に、第1サービスエリア140Aから第3サービスエリア140Cを総称して、サービスエリア140と呼ぶこともある。更に、第1移動局150A-1から第6移動局150C-2を総称して、移動局150と呼ぶこともある。
【0024】
システムコントローラ110と、ルータ120と、第1基地局130Aから第3基地局130Cとは、IP(Internet Protocol)ネットワーク等のネットワークにより接続されている。
図1に示す例では、単一のシステムコントローラ110が、ルータ120を介して、第1基地局130Aから第3基地局130Cの複数の基地局を管理している。しかしながら、これは例示であり、本発明では、システムコントローラ110は複数存在していても良い。また、第1基地局130Aから第3基地局130Cの少なくとも1つの基地局がシステムコントローラ110の機能を備えていても良い。すなわち、システムコントローラ110と基地局130とは一体の装置であっても良い。ルータ120については、ネットワークを構成する一般的な中継機器であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
【0025】
[基地局]
図2を用いて、基地局の構成について説明する。
図2は、基地局の構成の一例を示すブロック図である。
【0026】
図2に示すように、基地局130は、第1レピータ装置160-1と、第2レピータ装置160-2と、第3レピータ装置160-3と、サイトコントローラ170と、アンテナ180とを含む。
図2に示す基地局130の構成は、第1基地局130Aから第3基地局130Cの全てにおいて共通であるものとする。なお、
図2では、3台のレピータ装置が示されているが、これは例示であり、本発明を限定するものではない。実際には、4台以上でも良い。また、以下において、第1レピータ装置160-1から第3レピータ装置160-3を総称して、レピータ装置160と呼ぶこともある。また、サイトコントローラの機能をレピータ装置が兼ねていても良い。すなわち、サイトコントローラはレピータ装置と一体化していても良い。実際には、複数のレピータ装置のうち少なくとも1台がサイトコントローラの機能を兼ねている状態であれば良い。その場合は、独立したサイトコントローラは必要としない。
【0027】
第1レピータ装置160-1と、第2レピータ装置160-2と、第3レピータ装置160-3とはそれぞれアンテナ180を介して、サービスエリア140内の移動局150と無線で通信可能である。また、第1レピータ装置160-1と、第2レピータ装置160-2と、第3レピータ装置160-3とはそれぞれIPネットワーク等のネットワークによりルータ120に接続されている。サイトコントローラ170は、第1レピータ装置160-1と、第2レピータ装置160-2と、第3レピータ装置160-3のそれぞれと接続されている。なお、サイトコントローラ170は、システムコントローラ110の機能を備えていても良い。例えば、サイトコントローラ170は、ルータ120を介して、他の基地局130の各レピータ装置160と通信し、これらについても管理するようにしても良い。あるいは、サイトコントローラ170は、システムコントローラ110側に搭載されていても良い。すなわち、システムコントローラ110がサイトコントローラ170として機能しても良い。
【0028】
第1レピータ装置160-1と、第2レピータ装置160-2と、第3レピータ装置160-3とはそれぞれ異なる状態(モード)にあり、異なる役割を担っている。サイトコントローラ170は、第1レピータ装置160-1と、第2レピータ装置160-2と、第3レピータ装置160-3のそれぞれの状態を監視しており、状況に応じて、各レピータ装置160の状態、すなわち役割を切り替える。レピータ装置160の状態の例としては、「制御チャネル」、「通信チャネル」、「アイドル」、「使用禁止」等がある。「制御チャネル」は、全体を制御し、レピータ装置160が移動局150に対して、定期的に電波を送信して基地局130の存在を報知し、サービスエリア140を提供している状態である。制御チャネルでは、レピータ装置160が移動局150に向けて頻繁に、又は連続して電波を送信しているため、レピータ装置160の内部温度が上昇しやすい。「通信チャネル」は、レピータ装置160がサービスエリア140内の移動局150の通話(データ通信も含む)を中継している状態である。通信チャネルは「中継チャネル」と読み替えても良い。「アイドル」は、レピータ装置160が何も処理を行っていない状態である。レピータ装置160をアイドル状態にすることで、レピータ装置160に負荷をかけることなく待機させることができる。「使用禁止」は、レピータ装置160の状態を「制御チャネル」、「通信チャネル」、「アイドル」への移行を禁止し、レピータ装置160の機能を停止している状態である。例えば、サイトコントローラ170は、レピータ装置160をこれ以上動作させることが危険であると判断した時に、緊急措置としてレピータ装置160を「使用禁止」状態にして、選択対象から除外させる。レピータ装置160を使用禁止にすることで、上昇した温度を低下させることが可能になる。なお、図示しないが、各レピータ装置160又は基地局130の内部に、常用のものとは別に冷却機構(普段停止している冷却機構等)が設置されている場合、サイトコントローラ170は、いずれかのレピータ装置160を「使用禁止」状態にした際に、そのレピータ装置160に設置されている冷却機構、又は基地局130自体に設置されている冷却機構を起動し、「使用禁止」状態となったレピータ装置160を冷却するようにしても良い。
【0029】
[レピータ装置]
図3を用いて、レピータ装置の構成について説明する。
図3は、レピータ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【0030】
図3に示すように、レピータ装置160は、ネットワークインターフェース161と、処理部162と、記憶部163と、送信部164と、受信部165と、温度測定部166とを備える。
図3に示すレピータ装置160の構成は、第1レピータ装置160-1から第3レピータ装置160-3の全てにおいて共通であるものとする。図示しないが、各構成は、例えば第1レピータ装置160-1については、ネッワークインターフェース161-1、処理部162-1、記憶部163-1、送信部164-1、受信部165-1、温度測定部166-1のように表記される。第2レピータ装置160-2、第3レピータ装置160-3についても同様である。
【0031】
ネットワークインターフェース161は、IPネットワーク等のネットワークを介して、外部の機器との間で情報通信を行う。例えば、ネットワークインターフェース161は、基地局130内の他のレピータ装置160やサイトコントローラ170との間で情報通信を行う。また、ネットワークインターフェース161は、ルータ120を介して、基地局130の外部の機器(システムコントローラ110、他の基地局130等)との間で情報通信を行う。ネットワークインターフェース161は、例えばNIC(Network Interface Card)のようなネットワークアダプタ等で構成されている。
【0032】
処理部162は、レピータ装置160の各部を制御する。処理部162は、外部からの要求に基づいた処理を実行する。処理部162は、必要に応じて外部へ要求や処理の結果等を出力する。処理部162は、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等で構成されている。この場合、ROMには、CPUが各部を制御するためのプログラムが格納されている。CPUは、ROMに格納されたプログラムを読み出し、RAMにデータ領域を確保して実行することで、レピータ装置160の各部を制御する。
【0033】
記憶部163は、処理部162に提供するデータや、処理部162の処理結果として得られたデータを格納する。また、記憶部163は、処理部162がネットワークインターフェース161や、送信部164及び受信部165を介して、外部に出力するデータや、外部から入力したデータも格納する。記憶部163は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)、SDメモリカード(Secure Digital Memory Card)、フラッシュメモリ等で構成されている。上述のRAM、ROM等も含めても良い。
【0034】
送信部164は、処理部162の制御に従って、アンテナ180を介して、外部の移動局150に電波を送信する。このとき、処理部162は、送信部164を制御して、電波の送信出力(送信電力)の制御も行う。受信部165は、アンテナ180を介して、外部の移動局150から送信された電波の受信を行い、処理部162に通知する。
【0035】
温度測定部166は、レピータ装置160の内部の温度を測定し、処理部162に通知する。すなわち、処理部162は、温度測定部166を介して、レピータ装置160の内部の温度を監視する。温度測定部166は、例えばレピータ装置160の内部に設置された温度測定器、温度計速センサ、温度計、その他温度測定が可能な機器又は装置等で構成されている。また、温度測定部166は、送信部164から送信される電波を監視し、単位時間当たりの電波の送信回数の増大(負荷増大)等からレピータ装置160の内部の温度変化を推定又は評価するようにしても良い。
【0036】
[サイトコントローラ]
図4を用いて、サイトコントローラの構成について説明する。
図4は、サイトコントローラの構成の一例を示すブロック図である。
【0037】
図4に示すように、サイトコントローラ170は、ネットワークインターフェース171と、処理部172と、記憶部173とを備える。
図3にサイトコントローラ170の構成は、第1基地局130Aから第3基地局130Cのそれぞれに含まれる全てのサイトコントローラ170において共通であるものとする。図示しないが、各構成は、例えば第1基地局130Aについては、サイトコントローラ170A、ネッワークインターフェース171A、処理部172A、記憶部173Aのように表記される。第2基地局130B、第3基地局130Cについても同様である。
【0038】
ネットワークインターフェース171は、IPネットワーク等のネットワークを介して、外部の機器との間で情報通信を行う。例えば、ネットワークインターフェース171は、基地局130内のレピータ装置160との間で情報通信を行う。また、ネットワークインターフェース171は、ルータ120を介して、基地局130の外部の機器(システムコントローラ110、他の基地局130等)との間で情報通信を行っても良い。
【0039】
処理部172は、ネットワークインターフェース171を介して、各レピータ装置160を監視し、制御する。処理部172は、必要に応じて外部へ要求や処理の結果等を出力する。処理部172は、例えばCPU、RAM、ROM等で構成されている。この場合、ROMには、CPUが各部を制御するためのプログラムが格納されている。CPUは、ROMに格納されたプログラムを読み出し、RAMにデータ領域を確保して実行することで、各レピータ装置160を監視し、制御する。
【0040】
記憶部173は、処理部172に提供するデータや、処理部172の処理結果として得られたデータを格納する。また、記憶部173は、処理部172がネットワークインターフェース171を介して、外部に出力するデータや、外部から入力したデータも格納する。記憶部173は、例えばSSDやHDD、SDメモリカード、フラッシュメモリ等で構成されている。上述のRAM、ROM等も含めても良い。
【0041】
[温度変化に伴う状態の変遷]
図5~
図8を用いて、レピータ装置の内部の温度の変化とレピータ装置の状態の変更との関係について説明する。
図5は、通常状態を示す説明図である。
図6は、制御チャネルのレピータ装置の温度が異常である状態を示す説明図である。
図7は、制御チャネルを他のレピータ装置に切り替えた状態を示す説明図である。
図8は、異常温度に近かったレピータ装置の復帰を示す説明図である。
【0042】
ここでは、第1レピータ装置160-1と、第2レピータ装置160-2と、第3レピータ装置160-3の3つのレピータ装置を例に挙げて説明する。3つのレピータ装置にはそれぞれ、識別情報として「1」、「2」、「3」のレピータIDが割り当てられている。便宜上、第1レピータ装置160-1のレピータIDを「1」、第2レピータ装置160-2のレピータIDを「2」、第3レピータ装置160-3のレピータIDを「3」とする。但し、「1」、「2」、「3」は例示であり、本発明を限定するものではない。
【0043】
図5に示す例では、まだ通常状態であり、レピータID「1」の第1レピータ装置160-1は、「制御チャネル」状態で、この時点での内部温度は「50℃」、現在の状態になってからの状態変化後の経過時間は「120分」である。また、レピータID「2」の第2レピータ装置160-2は、「通信チャネル」状態で、この時点での内部温度は「40℃」、現在の状態になってからの状態変化後の経過時間は「5分」である。例えば、第2レピータ装置160-2は、移動局150が通話を開始した際には、移動局150の通話を中継するため「アイドル」状態から「通信チャネル」状態に移行し、中継している移動局150が通話を終了した際には、「通信チャネル」状態から「アイドル」状態に移行する。また、レピータID「3」の第3レピータ装置160-3は、「アイドル」状態で、この時点での内部温度は「30℃」、現在の状態になってからの状態変化後の経過時間は「60分」である。具体的には、各レピータ装置160の処理部162が、温度測定部166を介して、そのレピータ装置160の内部の温度を監視し、ネットワークインターフェース161を介して、サイトコントローラ170の処理部172に、レピータ装置160の内部の温度を通知する。なお、サイトコントローラ170の処理部172は、
図5に示したような「レピータID」、「状態」、「温度(℃)」、及び「状態変化後の経過時間」を互いに関連付けて記憶部173に格納し、管理しても良い。
【0044】
図6に示す例では、
図5に示した通常状態から5分が経過した際に、サイトコントローラ170が、「制御チャネル」状態の第1レピータ装置160-1の内部温度が「80℃」となり、異常温度に近づいたことを検出している。この時点での状態変化後の経過時間は「125分」である。なお、第2レピータ装置160-2と、第3レピータ装置160-3については、状態変化後の経過時間に5分加算された以外に変化はない。
【0045】
図7に示す例では、サイトコントローラ170が、「アイドル」状態の第3レピータ装置160-3の状態を「アイドル」状態から「制御チャネル」状態に変更し、異常温度に近づいた第1レピータ装置160-1の状態を「制御チャネル」から「使用禁止」に変更する。このとき、第1レピータ装置160-1と、第3レピータ装置160-3のそれぞれの状態変化後の経過時間はリセットされ、いずれも「0分」となる。具体的には、サイトコントローラ170の処理部172が、「制御チャネル」状態の第1レピータ装置160-1の内部温度が「80℃」以上となった時点で、異常温度に近づいたと判断し、第3レピータ装置160-3の状態を「アイドル」状態から「制御チャネル」状態に変更するように、ネットワークインターフェース171を介して、第3レピータ装置160-3の処理部162-3に要求を送信する。同時に(あるいはその後遅滞なく)、第1レピータ装置160-1の状態を「制御チャネル」から「使用禁止」に変更するように、ネットワークインターフェース171を介して、第1レピータ装置160-1の処理部162-1に要求を送信する。また、第3レピータ装置160-3の状態が「制御チャネル」状態になり、第1レピータ装置160-1の状態が「制御チャネル」状態ではなくなるという情報は、システム内の全てのサイトコントローラ170に通知される。更に、この情報は、近隣の基地局130の「制御チャネル」状態のレピータ装置160から移動局150に向けて報知される。「使用禁止」状態になる第1レピータ装置160-1もこの情報を移動局150に報知した後に「制御チャネル」状態から「使用禁止」状態に移行する。なお、先に「制御チャネル」状態を他のレピータ装置160に移行し、「制御チャネル」状態となった他のレピータ装置160の情報を移動局150に報知してから「使用禁止」とする理由は、基地局130として「制御チャネル」状態のレピータ装置160を常に確保し、「制御チャネル」状態としての動作を途切れさせないようにするためであり、移動局150が「制御チャネル」状態の信号を探すことなく、次の「制御チャネル」状態のレピータ装置160に移れるように誘導するためである。
【0046】
図8に示す例では、
図7に示した状態の変更から5分が経過した際に、サイトコントローラ170が、異常温度に近づいた第1レピータ装置160-1の内部温度が「60℃」まで低下したことを確認し、第1レピータ装置160-1の状態を「使用禁止」状態から「アイドル」状態に変更している。具体的には、サイトコントローラ170の処理部172が、「使用禁止」状態の第1レピータ装置160-1の内部温度が「60℃」以下となった時点で、温度低下により復帰可能と判断し、第1レピータ装置160-1の状態を「使用禁止」状態から「アイドル」状態に変更するように、ネットワークインターフェース171を介して、第1レピータ装置160-1の処理部162-1に要求を送信する。
【0047】
[温度管理プロセス]
図9を用いて、サイトコントローラによるレピータ装置の温度管理プロセスにおける処理の流れについて説明する。なお、この温度管理プロセスは、サイトコントローラの機能が停止するまで、又は当該プロセスを終了するまで、継続して周期的に実施されるものとする。
【0048】
図9に示すように、各基地局130において、サイトコントローラ170は、まず、自身の管理下にある各レピータ装置160について、「制御チャネル」状態かどうか判定し、「制御チャネル」状態のレピータ装置160を特定する(ステップS101)。
図5に示す例では、レピータID「1」の第1レピータ装置160-1が「制御チャネル」状態である。
【0049】
次いで、サイトコントローラ170は、「制御チャネル」状態のレピータ装置160を特定した場合(ステップS101でYes)、その「制御チャネル」状態のレピータ装置160の内部温度が80℃以上か確認する(ステップS102)。「制御チャネル」状態のレピータ装置160の内部温度が80℃以下である場合(ステップS102でNo)、何もせず、一旦、当該温度管理プロセスにおける一連の処理を終了し、続けて新たに一連の処理を開始して、最初の処理に戻る(ステップS101に戻る)。すなわち、定期的にレピータ装置の状態と内部温度を確認し、「制御チャネル」状態のレピータ装置160の状態が切り換えられるか、内部温度が80℃以上になるまで、現在の状態を継続する。なお、ここでは、温度上昇により異常温度に近づいたことを検出するための判定基準(閾値)となる温度を「80℃」としているが、「80℃」は例示であり、本発明を限定するものではない。判定基準(閾値)となる温度は任意に設定可能である。すなわち、「80℃」は「第1温度閾値」(又は「危険温度閾値」)と読み替えても良い。但し、異常温度を超えないことを目的とする都合上、「第1温度閾値」は異常温度と推定される「85℃」よりも低い温度(小さい値)であるものとする。
【0050】
次いで、サイトコントローラ170は、「制御チャネル」状態のレピータ装置160の内部温度が80℃以上である場合(ステップS102でYes)、「制御チャネル」状態の第1レピータ装置160-1の内部温度が異常温度に近づいたと判断し、現在「アイドル」状態のレピータ装置160を制御チャネル状態に移行する(ステップS103)。なお、「アイドル」状態のレピータ装置160が複数存在する場合には、最も内部温度が低い「アイドル」状態のレピータ装置160を「制御チャネル」状態に移行するものとする。
図6に示す例では、現在「制御チャネル」状態の第1レピータ装置160-1の内部温度が「80℃」となっているため、異常温度に近づいたと判断する。また、レピータID「3」の第3レピータ装置160-3が「アイドル」状態であるため、第3レピータ装置160-3を「アイドル」状態から「制御チャネル」状態に移行する。このとき、第3レピータ装置160-3「状態変化後の経過時間(分)」についても初期化し、カウント値を「0」に再設定している。
【0051】
同時に(あるいはその後遅滞なく)、サイトコントローラ170は、異常温度に近づいたと判断したレピータ装置160を「使用禁止」状態にする(ステップS104)。
図7に示す例では、異常温度に近づいたと判断した第1レピータ装置160-1を「制御チャネル」状態から「使用禁止」状態に移行している。このとき、第1レピータ装置160-1の「状態変化後の経過時間(分)」についても初期化し、カウント値を「0」に再設定している。ここで、一旦、当該温度管理プロセスにおける一連の処理を終了し、続けて新たに一連の処理を開始して、最初の処理に戻る(ステップS101に戻る)。
【0052】
また、サイトコントローラ170は、自身の管理下にある各レピータ装置160のうち、「制御チャネル」状態でないものについて(ステップS101でNo)、「使用禁止」状態かどうか判定する(ステップS105)。レピータ装置160の「制御チャネル」状態でも「使用禁止」状態でもない場合(ステップS105でNo)、何もせず、一旦、当該温度管理プロセスにおける一連の処理を終了し、続けて新たに一連の処理を開始して、最初の処理に戻る(ステップS101に戻る)。
【0053】
次いで、サイトコントローラ170は、「使用禁止」状態のレピータ装置160を特定した場合(ステップS105でYes)、その「使用禁止」状態のレピータ装置160の内部温度が「60℃」以下であり、且つ、「使用禁止」状態となってから「5分」経過しているかどうか確認する(ステップS106)。「使用禁止」状態のレピータ装置160の内部温度が「60℃」より高い(大きい)、及び/又は、「使用禁止」状態となってから「5分」経過していない場合(ステップS106でNo)、何もせず、現在の状態を継続する(ステップS101に戻る)。なお、ここでは、温度低下により復帰可能なったことを検出するための判定基準(閾値)となる温度を「60℃」としているが、「60℃」は例示であり、本発明を限定するものではない。判定基準(閾値)となる温度は任意に設定可能である。すなわち、「60℃」は「第2温度閾値」(又は「復帰温度閾値」)と読み替えても良い。但し、温度低下を判断する都合上、「第2温度閾値」は「第1温度閾値」よりも低い温度(小さい値)であるものとする。また、「状態変化後の経過時間(分)」の判定基準(閾値)となる経過時間を「5分」としているが、「5分」は例示であり、本発明を限定するものではない。判定基準(閾値)となる経過時間は任意に設定可能である。すなわち、「5分」は「経過時間閾値」と読み替えても良い。
【0054】
次いで、サイトコントローラ170は、「使用禁止」状態のレピータ装置160の内部温度が「60℃」以下であり、且つ、「使用禁止」状態となってから「5分」経過している場合(ステップS106でYes)、温度低下により復帰可能であると判断して、「使用禁止」状態のレピータ装置160を「アイドル」状態に移行して復帰させる(ステップS107)。ここで、一旦、当該温度管理プロセスにおける一連の処理を終了し、続けて新たに一連の処理を開始して、最初の処理に戻る(ステップS101に戻る)。
図8に示す例では、「使用禁止」状態の第1レピータ装置160-1の内部温度が「60℃」となっているため、温度低下により復帰可能と判断する。また、第1レピータ装置160-1が「使用禁止」状態となってからの「状態変化後の経過時間(分)」に「5分」とカウントされているため、「使用禁止」状態となってから「5分」経過していると判断する。したがって、サイトコントローラ170は、上記条件を満たしているため、温度低下により復帰可能であると判断して、「使用禁止」状態の第1レピータ装置160-1を「アイドル」状態に移行して復帰させる。
【0055】
このように、温度上昇により使用禁止になったレピータ装置の復帰要件として、「温度の低下」だけではなく、「規定時間以上使用禁止状態が継続していること」も条件とすることが好ましい。このように、温度が低下しても一定時間が経過するまでは「使用禁止」状態を継続し、特定のレピータ装置だけが頻繁に温度上昇を起こさないようにして、レピータ装置の寿命の均一化を図る。
【0056】
また、実際には、サイトコントローラ170は、各レピータ装置160について、「過去に制御チャネルを担当したときの最高温度」の記録を蓄積していき、「過去に制御チャネルを担当した回数」と「そのときの最高温度」がわかるように記憶することで、「異常温度」に近づいた回数が多いレピータ装置を避けたり、「制御チャネル」ではなく「通信チャネル」に割り当てたりする等により、特定のレピータ装置だけが頻繁に温度上昇を起こさないようにして、レピータ装置の寿命の均一化を図ることもできる。
【0057】
[時間管理プロセス]
図10を用いて、サイトコントローラによるレピータ装置の時間管理プロセスにおける処理の流れについて説明する。なお、この時間管理プロセスは、サイトコントローラの機能が停止するまで、又は当該プロセスを終了するまで、継続して周期的に実施されるものとする。
【0058】
図10に示すように、各基地局130において、サイトコントローラ170は、まず、タイマ割込みが発生したことを検出する(ステップS201)。なお、タイマ割込みを行うための時間間隔を示すタイマ時間(割込み時間)の初期値は、任意に設定可能であるものとする。
【0059】
次いで、サイトコントローラ170は、タイマ割込みに応じて、自身の管理下にある各レピータ装置160について、「アイドル」状態のレピータ装置160が存在するかどうか確認する(ステップS202)。
【0060】
次いで、サイトコントローラ170は、「アイドル」状態のレピータ装置160が存在する場合(ステップS202でYes)、その「アイドル」状態のレピータ装置160を「制御チャネル」状態に移行する(ステップS203)。例えば、
図5~
図8に示す例では、「アイドル」状態の第3レピータ装置160-3を「制御チャネル」状態に移行する。なお、「アイドル」状態のレピータ装置160が複数存在する場合には、最も内部温度が低い「アイドル」状態のレピータ装置160を「制御チャネル」状態に移行するものとする。
【0061】
同時に(あるいはその後遅滞なく)、サイトコントローラ170は、タイマ割込み時点で「制御チャネル」状態のレピータ装置160を「アイドル」状態に移行する(ステップS204)。例えば、
図5~
図8に示す例では、「制御チャネル」状態の第1レピータ装置160-1を「アイドル」状態に移行する。
【0062】
次いで、サイトコントローラ170は、タイマ割込みのための時間間隔として第1タイマ時間を設定する(ステップS205)。第1タイマ時間は任意に設定可能であるものとする。なお、この場合、上記の通り、既に制御チャネルの切り替えを行っているため、制御チャネルの切り替えを急ぐ必要が無く、第1タイマ時間は通常の時間間隔であれば良い。その後、一旦、当該時間管理プロセスにおける一連の処理を終了し、続けて新たに一連の処理を開始して、最初の処理に戻る(ステップS201に戻る)。
【0063】
また、サイトコントローラ170は、「アイドル」状態のレピータ装置160が存在しない場合(ステップS202でNo)、タイマ割込みのための時間間隔として第2タイマ時間を設定する(ステップS206)。第2タイマ時間は任意に設定可能であるものとする。但し、この場合、「アイドル」状態のレピータ装置160が存在せず、制御チャネルの切り替えを行っていないため、制御チャネルの切り替えを急ぐ必要がある。そのため、第2タイマ時間は第1タイマ時間よりも短い時間(小さい値)であると好ましい。その後、一旦、当該時間管理プロセスにおける一連の処理を終了し、続けて新たに一連の処理を開始して、最初の処理に戻る(ステップS201に戻る)。
【0064】
以上のように、本実施形態では、レピータ装置160は、「異常温度に近づいたこと」と、「正常温度に戻ったこと」をサイトコントローラ170に通知する。サイトコントローラ170は、異常温度に近づいたレピータ装置160が「制御チャネル」状態であれば「使用禁止」状態に移行して電波の送信を禁止し、「制御チャネル」を他のレピータ装置160に切り替える。
【0065】
また、サイトコントローラ170は、「使用禁止」状態のレピータ装置160から正常温度に戻った旨の通知を受けたら、そのレピータ装置160を「使用禁止」状態から「アイドル」状態に移行させる。なお、実際には、「アイドル」状態ではなく、「通信チャネル」状態に移行させても良い。十分な時間が経過する等、更に復帰条件を満たせば、再度、「制御チャネル」状態に移行させても良い。温度による制御チャネルの切り替えのための閾値(温度)は、利用者が任意に設定可能である。制御チャネルへの復帰条件は、「温度」と「制御チャネルの切り替え時からの一定時間の経過」である。温度による制御チャネルの切り替え時は、最も低い温度のレピータ装置160に切り替えるようにすると好ましい。
図5及び
図6に示す例では、「アイドル」状態の第3レピータ装置160-3の内部温度が「35℃」であり、他のレピータ装置160と比べて最も低いため、最も低い温度のレピータ装置160は「アイドル」状態の第3レピータ装置160-3である。
【0066】
無線通信システム下の移動局(無線通信端末)がハント状態にならないように、温度による制御チャネルの切り替え時も、時間による制御チャネルの切り替え時と同様に、次の制御チャネルが起動した後に、現在の制御チャネルのレピータ装置で次の制御チャネルのレピータ装置の情報を現在サービスエリア140内に存在する移動局150に報知した後に、現在の制御チャネルのレピータ装置の電波の送信を停止する。制御チャネルの自動切り替えの要因(条件)については、現行の「時間」に加え、「温度」又は「時間と温度」から利用者が任意に選択可能である。
【0067】
なお、時間管理プロセスは温度管理プロセスと同時に実施される場合には並行して実施される。時間管理プロセスを実施せず、温度管理プロセスのみ実施するようにすることも可能である。反対に、温度管理プロセスを実施せず、時間管理プロセスのみ実施するようにすることも可能である。「温度管理プロセスのみ」、「時間管理プロセスのみ」、「温度管理プロセスと時間管理プロセスとの両方」のいずれを実施するかは本システム上で選択可能であるものとする。
【符号の説明】
【0068】
1 無線通信システム
110 システムコントローラ
120 ルータ
130 基地局
140 サービスエリア
150 移動局
160 レピータ装置
161 ネットワークインターフェース
162 処理部
163 記憶部
164 送信部
165 受信部
166 温度測定部
170 サイトコントローラ
171 ネットワークインターフェース
172 処理部
173 記憶部