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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】乗用型芝刈機
(51)【国際特許分類】
   A01D 43/077 20060101AFI20221213BHJP
   A01D 34/64 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
A01D43/077
A01D34/64 H
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019058763
(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公開番号】P2020156387
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【識別番号】110000899
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 慶多
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-102238(JP,A)
【文献】特開平09-215423(JP,A)
【文献】特開2008-086228(JP,A)
【文献】特開2007-110906(JP,A)
【文献】特開2003-189719(JP,A)
【文献】実開昭60-141733(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2016/0309649(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D34/00 - 34/01
34/412- 34/90
42/00 - 42/08
43/06 - 43/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体フレーム(2)の前部に設けたモーア(6)で刈り取った芝草を搬送するダクト(26)と前記車体フレーム(2)の後部に搭載するコレクタ(14)を連結し、前記コレクタ(14)から芝草を排出する際に前記コレクタ(14)と前記ダクト(26)を分離する乗用型芝刈機において、
前記コレクタ(14)の連結搬入口(14b)に前記ダクト(26)を分離すると閉じる搬入蓋(14d)を閉じ付勢して設け、
前記ダクト(26)に前記搬入蓋(14d)を押し開く開口具(26a)を設け、
前記開口具(26a)は前記ダクト(26)の内腔に沿って延びる延長筒で形成し、
前記開口具(26a)が前記連結搬入口(14b)に挿入されると、前記搬入蓋(14d)は開き、前記開口具(26a)の外壁と連結搬入口(14b)の内壁との間で保持され、
前記ダクト(26)の下部に送風により芝草を搬送するブロア(23)を設け、
前記搬入蓋(14d)の閉じ付勢の力は、前記ブロア(23)の送風により前記搬入蓋(14d)が開く強さに設定されたことを特徴とする乗用型芝刈機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芝草を刈り取り運搬する乗用型芝刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用型芝刈機として特許文献1に記載の構成が知られている。
【0003】
この乗用型芝刈機は、機体前部に設けるモーアで芝草を刈り取り、刈り取った芝草をダクトを通して搬送して機体後部に設けるコレクタに溜め、コレクタが満杯になると芝草廃棄所に移動してコレクタを上昇ダンプさせて芝草を排出するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-102238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の乗用型芝刈機では、コレクタを上昇させる際にダクトとコレクタが分離するが、分離に伴ってコレクタとダクトの繋ぎ部が開口してコレクタ内の芝草が機体上に零れるので、機体の頻繁な掃除が必要になる。
【0006】
本発明では、上記従来の乗用型芝刈機のこの様な課題に鑑みて、芝草廃棄所でコレクタをダンプして芝草を排出する乗用型芝刈機において、コレクタをダクトから分離する際に芝草が零れないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来の課題は、次の技術手段により解決される。
【0008】
第1の本発明は、
車体フレーム(2)の前部に設けたモーア(6)で刈り取った芝草を搬送するダクト(26)と前記車体フレーム(2)の後部に搭載するコレクタ(14)を連結し、前記コレクタ(14)から芝草を排出する際に前記コレクタ(14)と前記ダクト(26)を分離する乗用型芝刈機において、
前記コレクタ(14)の連結搬入口(14b)に前記ダクト(26)を分離すると閉じる搬入蓋(14d)を閉じ付勢して設け、
前記ダクト(26)に前記搬入蓋(14d)を押し開く開口具(26a)を設け、
前記開口具(26a)は前記ダクト(26)の内腔に沿って延びる延長筒で形成し、
前記開口具26aが前記連結搬入口(14b)に挿入されると、前記搬入蓋(14d)は開き、前記開口具(26a)の外壁と連結搬入口(14b)の内壁との間で保持され、
前記ダクト(26)の下部に送風により芝草を搬送するブロア(23)を設け、
前記搬入蓋(14d)の閉じ付勢の力は、前記ブロア(23)の送風により前記搬入蓋(14d)が開く強さに設定されたことを特徴とする乗用型芝刈機である。
本発明に関連する第1の発明は、車体フレーム2の前部に設けたモーア6で刈り取った芝草を搬送するダクト26と車体フレーム2の後部に搭載するコレクタ14を連結し、コレクタ14から芝草を排出する際にコレクタ14とダクト26を分離する乗用型芝刈機において、コレクタ14の連結搬入口14bにダクト26を分離すると閉じる搬入蓋14dを設けたことを特徴とする乗用型芝刈機とする。
【0009】
本発明に関連する第2の発明は、連結搬入口14bの搬入蓋14dを閉じ付勢して設け、ダクト26に搬入蓋14cを押し開く開口具26aを設けたことを特徴とする本発明に関連する第1の発明の乗用型芝刈機とする。
【0010】
本発明に関連する第3の発明は、ダクト26の内腔に沿って延びる延長筒で開口具26aを形成した特徴とする本発明に関連する第2の発明の乗用型芝刈機とする。
【0011】
本発明に関連する第4の発明は、ダクト26内をブロア23の送風で芝草を送り、コレクタ14の連結搬入口14bにブロア23の送風で押し開く搬入蓋14dを設けた特徴とする本発明に関連する第1の発明の乗用型芝刈機とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、コレクタ連結時に芝草に押されることにより意図せず閉じることや、開きすぎた搬入蓋の上に芝草が溜ることによりコレクタ分離時に閉じなくなることを防止できる。
また、開口具と連結搬入口に沿った角度で搬入蓋を保持できるため、開口具からの芝草の流れを阻害しない姿勢に保持できる。
また、開口具の挿入が不完全であってもブロアの送風により開くため、閉じた搬入蓋に起因する芝草の詰まりの発生を防止できる。
本発明に関連する第1の発明で、コレクタ14とダクト26を分離する際に、搬入蓋14cがコレクタ14の連結搬入口14bを閉じるので、連結搬入口14bから芝草が零れ落ちることが無い。
【0013】
本発明に関連する第2の発明で、本発明に関連する第1の発明の効果に加えて、コレクタ14の連結搬入口14bに設ける搬入蓋14cをダクト26の開口具26aが押し開いて自動的に連通し、ダクト26とコレクタ14を分離すると開口具26aが離れて搬入蓋14cが付勢力で自動的に閉じる。
【0014】
本発明に関連する第3の発明で、本発明に関連する第2の発明の効果に加えて、コレクタ14とダクト26を分離している間に、延長筒で連結搬入口14bから芝草が零れることを防ぐ。
【0015】
本発明に関連する第4の発明で、本発明に関連する第1の発明の効果に加えて、ブロア23の送風を停止すると搬入蓋14cが閉じるので、ブロア23の送風を停止してコレクタ14とダクト26を分離すれば搬入蓋14cが閉じているので、芝草が零れることが無い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】乗用型芝刈機の側面図である。
図2】乗用型芝刈機の動力伝動構成を示す平面図である。
図3】コレクタが上昇した状態の側面図である。
図4】コレクタがダンプした状態の側面図である。
図5】コレクタの拡大側面図である。
図6】安全フレーム部分の背面図である。
図7】モーアの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
本実施例の乗用型芝刈機1の側面図を図1に示し、乗用型芝刈機1の動力伝動構成の平面図を図2に示す。この乗用型芝刈機1は、車体フレーム2の前部と後部にそれぞれ左右一対の前輪3,3と後輪4,4を備え、車体フレーム2の前部の下方には本実施例の芝草刈部を構成する芝草刈り取り用の刈刃5を備えたモーア6が設けられている。
【0018】
車体フレーム2の前部上方のフロア7にはステアリングコラム8が立設され、該コラム8の上部にはハンドル10が設けられている。またハンドル10の後方にはシートベルト13を装備した運転席11があり、該運転席11の後方にはボンネット34内にエンジン12を搭載している。エンジン12の前方には、エンジン12の冷却装置の一例としてのラジエータ17が配置されている。エンジン12の上方には、収容部の一例としてのコレクタ14が配置されている。
【0019】
尚、本明細書において乗用型芝刈機1の前進方向を向いて左右方向をそれぞれ左、右といい、前進方向を前、後進方向を後ろということにする。
エンジン12の出力は、前方の変速装置ケース15内の変速装置(図示せず)に入力される。そして、エンジン12の回転動力は、変速装置で変速されて、該変速された走行動力が前輪3,3及び後輪4,4へ伝達される。
【0020】
さらに、変速装置ケース15の前方上側に伝達軸16(図2)が延びており、前記伝達軸16からの動力により、芝草の搬送部材の一例としてのブロア23が駆動される。ブロア23はブロアケース24に収容されており、該ブロアケース24の上部にはブロアケース24とコレクタ14の搬入口14bと連通する芝草搬送用のダクト26が設けられている。また、ブロア23とモーア6の間にはシュータ27が配置されていて、モーア6により刈り取られた芝草はシュータ27とダクト26を経由してブロア23の送風により後方のコレクタ14に搬送される。尚、コレクタ14には、図示しない通気口が形成されており、コレクタ14内に送られてくる空気を外部に排出することができる。
【0021】
また、運転席11とコレクタ14との間には、正面視で開口部を下方に有するコの字型(U字型も含む)の安全フレーム18が立設されている。安全フレーム18は、転倒の際や周囲の障害物等から運転者を保護するものである。安全フレーム18は、左右の各下端部を支持する支持部材43を介して車体フレーム2の左右側部に連結している。支持部材43のフランジ部43a(図5)がボルト、ナット、ピン、ねじなどの留め具(固定具)44により車体フレーム2に取り付けられている。
【0022】
コレクタ14の昇降用台座20は、コレクタ14の下方でコレクタ14の底部に沿って前後方向に伸びる左右一対の水平部20a,20aと左右一対の水平部20a,20aの後端から上方に伸びる左右一対の鉛直部20b,20bとを有する。尚、左右一対の水平部20a,20aは、後端に左右方向に延びる図示しない連結バーにより連結されている。
【0023】
そして、前記鉛直部20bには、前記コレクタ14を昇降させるためのコレクタ昇降リンク19a,19bの後端が回転可能に支持されており、コレクタ昇降リンク19a,19bの前端は、コレクタ14を下方から支持する支持フレーム25の前端に固着した取付片(ブラケットなど)21に回転可能に連結されている。また、下側のコレクタ昇降リンク19bの中間部と、鉛直部20bの下端との間には、伸縮可能な昇降シリンダ28が連結されている。
【0024】
前記支持フレーム25の後部には、支持フレーム25の後端の支点軸33(図3)を中心として、コレクタ14の底部後端に取り付けた回転アーム14cが回転可能に支持されている。支持フレーム25とコレクタ14の底部との間には、伸縮可能なダンプシリンダ29が連結されている。
【0025】
図3には、本実施例の乗用型芝刈機1において、コレクタ14が上昇した状態の側面図を示す。
【0026】
図1図3において、本実施例のコレクタ昇降機構19では、昇降シリンダ28が作動してロッド28aが伸びると、コレクタ昇降リンク19a,19bが鉛直部20bとの連結部を支点として回転して上昇し、支持フレーム25が上昇する。この時、コレクタ昇降リンク19a,19bの平行リンク構造により、支持フレーム25及びコレクタ14は水平状態を維持したまま上昇して、図3に示す上昇位置(リフト位置)に移動する。即ち、コレクタ14の内部に収容された芝草を外部に排出することが可能な排出位置に移動する。
【0027】
尚、昇降シリンダ28のロッド28aが収納されると、コレクタ14は下降して、図1に示す通常位置(収容位置)に戻る。
【0028】
図4には、本実施例の乗用型芝刈機1において、コレクタ14が回動した状態の側面図を示す。
【0029】
図5は、コレクタ14の拡大側面図を示している。
【0030】
コレクタ14の連結搬入口14b内には板バネで閉鎖付勢した搬入蓋14dを設け、ダクト26の上端内に連結搬入口14bに差し込む開口具26aを設け、ダクト26とコレクタ14を連結すると開口具26aが搬入蓋14dを押し開いてダクト26内とコレクタ14内が通じるようにしている。
【0031】
従って、コレクタ14を上昇或いはダンプさせると、開口具26aが搬入蓋14dから離れて搬入蓋14dが板バネの閉じ付勢力で連結搬入口14bを閉じるようになるので、内部の芝草が連結搬入口14bから零れ落ちることが無い。
【0032】
なお、開口具26aをダクト26の内腔を延長する筒状にすることで、搬入蓋14dが閉じる際に芝草が漏れることが無い。
【0033】
なお、芝草はブロア23の送風でダクト26内を搬送されるので、コレクタ14の連結搬入口14bに弱く閉じ付勢した搬入蓋14dを設け、送風力で開くようにすれば、コレクタ14を分離する前に送風を停止すると搬入蓋14dが閉じるので、芝草が外部に零れることが無い。
【0034】
図3図4において、ダンプシリンダ29が作動してロッド29aが伸びると、支持フレーム25に対して、回転アーム14cが支点軸33を中心に回転する。これに伴って、回転アーム14cに固着するコレクタ14も回動する。従って、コレクタ14の内部に収容された芝草を外部に排出することが可能な排出位置(ダンプ位置)に移動する。この時、コレクタ14の回転に伴ってコレクタ後部の蓋14aが開き、芝草が排出される。そして、ダンプシリンダ29のロッド29aが収納されると、蓋14aは閉じてコレクタ14は、図3に示す状態に戻る。
【0035】
尚、比較的地面近くの低い位置で芝草を排出する場合は、図1の通常位置の状態でダンプシリンダ29を作動させる。この場合は、図1の2点鎖線に示すように、コレクタ14が回動して蓋14aが開き、芝草を排出できる。一方、トラック等への荷台に刈った芝草を落とし込む場合は芝草の放出位置を高くする必要があるため、図3に示す上昇位置で芝草を排出させる。
【0036】
エンジン12の回転動力は、変速装置ケース15から、その内部のPTOクラッチ30を経て、前方に伸びるモーア駆動軸31や、モーア駆動軸31の前端から左右方向に伸びるモーア伝達軸32を介して、刈刃5,5の伝動ケース9内の回転軸59(図7)に駆動が伝達される。本実施例では、左右の刈刃5,5は、互いに、矢印r方向の逆向きに回転する。
【0037】
これにより、モーアデッキ38内に入り込んだ芝草は前記左右の刈刃5,5によって刈り取られ、左右方向の中央で合流して、シュータ27及びダクト26を順次通過して車体フレーム2の後方にあるコレクタ14内に搬送回収される。
また、モーアデッキ38の上部には、前方に延びる補助輪アーム41の基端部が支持されており、補助輪アーム41の前端には、補助輪42が回転可能に支持されている。
【0038】
モーア6により刈り取られた芝草はシュータ27とダクト26を経由してコレクタ14に搬送されるが、コレクタ14の搬入口14bとダクト26との間には、芝草が溜まったり詰まったりしやすいため、運転者である作業者がこれら詰まった芝草を取り除く必要が生じる。
【0039】
コレクタ14は、芝草の排出時にコレクタ昇降リンク19a,19bにより昇降するが、昇降時における芝草取り作業の安全性を確保するために、運転者がコレクタ14と接触しないよう、安全フレーム18とコレクタ14との間に、仕切り部材45を設けている。
【0040】
尚、運転席11と安全フレーム18との間に、仕切り部材45を設けても良い。
【0041】
仕切り部材45は、安全フレーム18に取り付けられるのではなく、安全フレーム18とは独立して車体フレーム2から立設しているため、車両の転倒や障害物との接触等により安全フレーム18が変形しても、その影響を受けることはなく、仕切り部材45まで変形するおそれはない。従って、仕切り部材45の前方の運転席11に仕切り部材45が干渉することはなく、安全である。
【0042】
これら安全フレーム18や仕切り部材45は、車体フレーム2にボルトやナットなどの留め具44により、容易に取り付けることができる。また、仕切り部材45は安全フレーム18の支持部材43に連結具(ブラケットなど)46により取り付けることで、部品の点数を削減できる。尚、この場合、仕切り部材45と安全フレーム18は支持部材43及び連結具46を介して一体となるが、後方の仕切り部材45と前方の安全フレーム18は立設位置が異なり、それぞれ独立して支持部材43から立設している。
【0043】
車両が転倒した場合は車両の側方から衝撃を受けるため、仕切り部材45と安全フレーム18の立設位置が前後で重複しないことで、左右方向外側の安全フレーム18が変形しても、仕切り部材45に伝達されることはない。
また、仕切り部材45は外枠のフレーム45a内に金網45bを張った構成にすることで、後方の視認性に優れ、安全に作業することができる。
【0044】
そして、安全フレーム18は、その上部18aが下部18bに対して前方又は後方に折り曲げ可能な屈曲部18cを有する構成である。安全フレーム18の上部18aは下部18bにステーやブラケット等の支持具50を介してボルト、ナット、ピン、ねじなどの留め具44により取り付けることで屈曲部18cを構成し、容易に取り付けや取り外しが可能である。図示例では、倒す側と反対側の支持具50の留め具44を外すことで、前方にも後方にも折り畳み可能な構成である。
【0045】
安全フレーム18を立設姿勢から、その上部18aを屈曲部18cで前方又は後方に倒すことで、安全フレーム18の高さが低くなるため、樹木等の中を芝草刈するときに安全フレーム18が樹木に当接することを防止できる。そして、非作業時には安全フレーム18を折り曲げることで、コンパクトな構成となる。
【0046】
そして、仕切り部材45は、正面視や背面視で安全フレーム18内に収まる大きさとすることで、転倒時に仕切り部材45が影響を受けることはなく、安全フレーム18によって運転者の居住領域が守られるため、安全である。
【0047】
また、仕切り部材45は、その高さが、安全フレーム18の屈曲部18cの高さと同じかそれよりも低く、その横幅が、安全フレーム18の横幅よりも狭い構成とすると、安全フレーム18の折り曲げ時に仕切り部材45が邪魔にならず、木の下での作業や納屋への駐車など狭い場所での運転が容易になる。
【0048】
そして、コレクタ14内の芝草を掻き出す掻き出し棒47を収納する収納部52を、仕切り部材45の側方に設けている。本構成を採用することにより、掻き出し棒47をコレクタ14や運転席11の近くの着脱容易な位置に設置でき、コレクタ14の搬入口14bとダクト26との間などに詰まった芝草を容易に除去できる。
【0049】
収納部52は、ステーやフックなどの引っ掛け部材により構成され、掻き出し棒47の先端の鉤状部47aを引っ掛けることで、仕切り部材45に装着できる。また、正面視や背面視(図5)で安全フレーム18の左右内側に掻き出し棒47を設置することで、芝草取り作業中に掻き出し棒47が周辺の芝草や木の枝等にも引っ掛かりにくく、作業性も良い。
【0050】
図7には、本実施例の乗用型芝刈機のモーアの平面図を示す。
【0051】
本実施例の乗用型芝刈機のモーア6は、左右の刈刃5,5が片側4枚で、合計8枚の刈刃5からなる構成である。芝草は、カットした後に直ぐにコレクタ14に搬送、収容させるため、刈刃5が片側2枚の場合は、芝草を細かくカットできないままコレクタ14に収容されてしまう。しかし、片側4枚にすることで、回転軸59の回転数が片側2枚の場合と同じ回転数であっても、芝草をより細かくカットすることができる。
【0052】
そして、左右の刈刃5,5は、それぞれ上側の第一刈刃5aと下側の第二刈刃5bを2枚ずつ備えており、これらの刈刃5a,5bを円形型の取付ステー60にボルト62などの留め具により取り付けている。刈刃5の高さが全て同じであると、回転軸59の回転数が2倍になったのと同じ効果しかない。しかし、刈刃5に高低差Hを設けることで、下側の第二刈刃5bで芝草をカットした後、上側に舞い上がった芝草を上側の第一刈刃5aで更に細かくカットできるため、芝草をより細かくカットすることができる。
【0053】
また、上側の第一刈刃5aと下側の第二刈刃5bとが平面視で重ならないように、第一刈刃5aと第二刈刃5bの取付ステー60への取り付け位置を周方向にずらして設けるとよい。
【0054】
上側の第一刈刃5aと下側の第二刈刃5bとが平面視で重なるような配置であると、上下の刈刃5a,5b間に芝草が詰まって束になり、地面に落下する可能性がある。
【0055】
しかし、図7に示すように、上下の刈刃5a,5bの取付ステー60への取り付け位置を周方向にずらすことで、上下の刈刃5a,5b間に芝草が詰まることがなくなり、きれいな刈り跡になる。また、下側の第二刈刃5bで芝草をカットした後、上側に舞い上がった芝草を第一刈刃5aで効率よくカットすることができる。
【0056】
また、この乗用型芝刈機1は、図1に示すように、モーアデッキ38の上部に吸気口となるスリット70を設けている。芝草取り作業時に芝草が溜まってモーアデッキ38の周囲に隙間がなくなっても、スリット70から空気を取り入れることで、芝草が搬送されやすくなる。従って、集草の作業性が良くなる。また、スリット70は、図2に示すように、前方と側方に複数箇所設けることで、より多くの空気を取り入れることができる。
【0057】
更に、芝草の搬送経路であるダクト26とシュータ27との間にブロア23を設けることで、芝草が強制的に吸い込まれ、芝草の搬送が促進されて、作業性が良好となる。
【符号の説明】
【0058】
2 車体フレーム
6 モーア
14 コレクタ
14b 連結搬入口
14d 搬入蓋
23 ブロア
26 ダクト
26a 開口具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7