(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】走行支援方法および走行支援装置
(51)【国際特許分類】
B60W 30/12 20200101AFI20221213BHJP
B60W 40/06 20120101ALI20221213BHJP
G08G 1/00 20060101ALN20221213BHJP
【FI】
B60W30/12
B60W40/06
G08G1/00 X
(21)【出願番号】P 2019061696
(22)【出願日】2019-03-27
【審査請求日】2021-07-16
(31)【優先権主張番号】P 2018159610
(32)【優先日】2018-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】清水 駿
【審査官】藤村 泰智
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0255728(US,A1)
【文献】国際公開第2017/077598(WO,A1)
【文献】特開2017-165156(JP,A)
【文献】再公表特許第2017/014012(JP,A1)
【文献】国際公開第2017/056726(WO,A1)
【文献】特開2017-033060(JP,A)
【文献】再公表特許第2011/155030(JP,A1)
【文献】特開2017-010292(JP,A)
【文献】特開2018-002082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00 ~ 60/00
G08G 1/00 ~ 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ(100)によって実施され、自車両の走行を支援する走行支援方法であって、
少なくとも1つのプロセッサ(101)上において、
自車両をカーブ走行させる経路の始点および終点を設定し(S21)、
前記始点および前記終点を2頂点とする三角形を想定し(S22)、
前記三角形の2辺上にそれぞれ制御点を設定することにより、前記制御点、前記始点および前記終点を4頂点とする四角形を想定し(S24)、
前記四角形内に収まる経路線を算定し(S25)、
前記経路線に沿った自車両のカーブ走行を支援する(S100)、
というステップを含
み、
交差点での右左折シーンでは、交差点内の進入不可エリアの位置情報を取得する(S231)、というステップをさらに含み、
前記四角形を想定するステップでは、各前記制御点を結ぶ線分と前記進入不可エリアとの距離が閾値以上となるように、前記制御点を設定する走行支援方法。
【請求項2】
コンピュータ(100)によって実施され、自車両の走行を支援する走行支援方法であって、
少なくとも1つのプロセッサ(101)上において、
自車両をカーブ走行させる経路の始点および終点を設定し(S21)、
前記始点および前記終点を2頂点とする三角形を想定し(S22)、
前記三角形の2辺上にそれぞれ制御点を設定することにより、前記制御点、前記始点および前記終点を4頂点とする四角形を想定し(S24)、
前記四角形内に収まる経路線を算定し(S25)、
前記経路線に沿った自車両のカーブ走行を支援する(S100)、
というステップを含み、
交差点での右左折シーンでは、前記経路線を第1の経路線とし、前記始点を第1の始点とし、前記第1の経路線における前記第1の始点から所定の距離直進した地点を第2の始点として、前記第2の始点を通る第2の経路線を算定し(S63)、前記第1の始点と前記第2の始点との間の区間に、前記第2の経路線を走行する場合の待機位置を設定する(S62)、というステップをさらに含む走行支援方法。
【請求項3】
対向車の有無を判定する、というステップをさらに含み、
カーブ走行を支援するステップでは
、対向車が無いと判定した場合に前記第1の経路線に沿ったカーブ走行を支援し
、対向車が有ると判定した場合に前記第2の経路線に沿ったカーブ走行を支援する請求項
2に記載の走行支援方法。
【請求項4】
対向車線の有無を判定し(S40)、
対向車線が無いと判定した場合には、前記第2の経路線の算定を中断する(S90)、
というステップをさらに含む請求項
2または請求項
3に記載の走行支援方法。
【請求項5】
コンピュータ(100)によって実施され、自車両の走行を支援する走行支援方法であって、
少なくとも1つのプロセッサ(101)上において、
自車両をカーブ走行させる経路の始点および終点を設定し(S21)、
前記始点および前記終点を2頂点とする三角形を想定し(S22)、
前記三角形の2辺上にそれぞれ制御点を設定することにより、前記制御点、前記始点および前記終点を4頂点とする四角形を想定し(S24)、
前記四角形内に収まる経路線を算定し(S25)、
前記経路線に沿った自車両のカーブ走行を支援する(S100)、
というステップを含み、
車線変更シーンでは、車線変更の出発点と到着点とを設定し(S320)、前記出発点と前記到着点とを結ぶ線上に自車両の通過点を設定する(S341)、というステップをさらに含み、
前記始点および前記終点を設定するステップでは、前記出発点を第1の始点、前記通過点を第1の終点且つ第2の始点に設定し、前記到着点を第2の終点に設定し、
前記三角形を想定するステップでは、前記第1の始点、前記第1の終点、および前記第1の始点から進行方向前方に延びる半直線上の点を3頂点とする第1の三角形と、前記第2の始点、前記第2の終点、および前記第2の終点から進行方向後方に延びる半直線上の点を3頂点とする第2の三角形とを想定し、
前記経路線を算定するステップでは、前記第1の始点と前記第1の終点との間の第1の経路線、および前記第2の始点と前記第2の終点との間の第2の経路線とを算定する走行支援方法。
【請求項6】
前記出発点から進行方向前方に延びる半直線と、前記到着点から進行方向後方に延びる半直線とが交わるか否かを判定し(S330)、
それらの半直線同士が交わると判定すると、前記出発点を前記始点、前記到着点を前記終点とした前記経路線を算定する(S355)、
というステップをさらに含む請求項
5に記載の走行支援方法。
【請求項7】
半直線同士が交わるか否かを判定するステップに
て半直線同士が交わらないと判定すると、前記第1の経路線および前記第2の経路線を算定するステップが実行される請求項
6に記載の走行支援方法。
【請求項8】
車線変更中
の自車両が前記経路線上から車線変更前の車線に沿った進行ルートに戻る中止経路線を算定する(S370)、というステップをさらに含む請求項
5から請求項
7のいずれか1項に記載の走行支援方法。
【請求項9】
交差点での右左折シーンでは、交差点内の進入不可エリアの位置情報を取得する(S231)、というステップをさらに含み、
前記四角形を想定するステップでは、各前記制御点を結ぶ線分と前記進入不可エリアとの距離が閾値以上となるように、前記制御点を設定する請求項2から請求項8のいずれか1項に記載の走行支援方法。
【請求項10】
交差点での右左折シーンでは、前記三角形を想定するステップ
において、交差点への進入方向に前記始点から延びる半直線と、交差点からの退出方向の反対方向に前記終点から延びる半直線との交点に前記三角形の残りの頂点を設定する請求項1
から請求項9のいずれか1項に記載の走行支援方法。
【請求項11】
交差点での右左折シーンでは、前記経路線における対向車線を跨ぐ部分よりも前記始点側に
、自車両の待機位置を設定する(S30)、というステップをさらに含む請求項1
から請求項10のいずれか1項に記載の走行支援方法。
【請求項12】
自車両をカーブ走行させる経路の始点および終点を設定し、前記始点および前記終点を2頂点とする三角形を想定する点設定部(S21、S22)と、
前記三角形の2辺上にそれぞれ制御点を設定することにより、前記制御点、前記始点および前記終点を4頂点とする四角形を想定し、四角形内に収まる経路線を算定する経路線算定部(S24、S25)と、
前記経路線に沿った自車両のカーブ走行を支援するカーブ走行支援部(S100)と、
を備え
、
交差点での右左折シーンでは、交差点内の進入不可エリアの位置情報が取得され、
前記経路線算定部は、各前記制御点を結ぶ線分と前記進入不可エリアとの距離が閾値以上となるように、前記制御点を設定する走行支援装置。
【請求項13】
自車両をカーブ走行させる経路の始点および終点を設定し、前記始点および前記終点を2頂点とする三角形を想定する点設定部(S21、S22)と、
前記三角形の2辺上にそれぞれ制御点を設定することにより、前記制御点、前記始点および前記終点を4頂点とする四角形を想定し、四角形内に収まる経路線を算定する経路線算定部(S24、S25)と、
前記経路線に沿った自車両のカーブ走行を支援するカーブ走行支援部(S100)と、
を備え、
交差点での右左折シーンでは、前記経路線を第1の経路線とし、前記始点を第1の始点とし、前記第1の経路線における前記第1の始点から所定の距離直進した地点を第2の始点として、前記第2の始点を通る第2の経路線を算定し、前記第1の始点と前記第2の始点との間の区間に、前記第2の経路線を走行する場合の待機位置を設定する経路生成部(S63、S62)をさらに備える走行支援装置。
【請求項14】
自車両をカーブ走行させる経路の始点および終点を設定し、前記始点および前記終点を2頂点とする三角形を想定する点設定部(S21、S22)と、
前記三角形の2辺上にそれぞれ制御点を設定することにより、前記制御点、前記始点および前記終点を4頂点とする四角形を想定し、四角形内に収まる経路線を算定する経路線算定部(S24、S25)と、
前記経路線に沿った自車両のカーブ走行を支援するカーブ走行支援部(S100)と、
を備え、
車線変更シーンでは、車線変更の出発点と到着点とを設定し、前記出発点と前記到着点とを結ぶ線上に自車両の通過点を設定する経路生成部(S320、S341)をさらに備え、
前記点設定部は、前記出発点を第1の始点、前記通過点を第1の終点且つ第2の始点に設定し、前記到着点を第2の終点に設定し、前記第1の始点、前記第1の終点、および前記第1の始点から進行方向前方に延びる半直線上の点を3頂点とする第1の三角形と、前記第2の始点、前記第2の終点、および前記第2の終点から進行方向後方に延びる半直線上の点を3頂点とする第2の三角形とを想定し、
前記経路線算定部は、前記第1の始点と前記第1の終点との間の第1の経路線、および前記第2の始点と前記第2の終点との間の第2の経路線とを算定する走行支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、車両の走行を支援する走行支援方法および走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、移動ロボットを無人運転するために用いる軌道生成方法が開示されている。この軌道生成方法では、道路領域内の主要通過点を通るスプライン曲線を生成し、スプライン曲線が道路領域から出ていないか否かを評価する。この軌道生成方法において、スプライン曲線が道路領域から出ていない場合、そのスプライン曲線が軌道として採用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、生成されるスプライン曲線は道路領域から出ていなければ軌道として採用される。このため、道路領域内で左右にぶれたスプライン曲線が生成された場合でも軌道として採用される場合がある。したがって、この技術を車両のカーブ走行時の走行支援に適用すると、走行に伴う車両の左右へのぶれが大きくなる虞がある。
【0005】
開示される目的は、カーブ走行時の自車両のぶれを抑制可能な走行支援方法および走行支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。
【0007】
開示された走行支援方法のひとつは、コンピュータ(100)によって実施され、自車両の走行を支援する走行支援方法であって、少なくとも1つのプロセッサ(101)上において、自車両をカーブ走行させる経路の始点および終点を設定し(S21)、始点および終点を2頂点とする三角形を想定し(S22)、三角形の2辺上にそれぞれ制御点を設定することにより、制御点、始点および終点を4頂点とする四角形を想定し(S24)、四角形内に収まる経路線を算定し(S25)、経路線に沿った自車両のカーブ走行を支援する(S100)、というステップを含み、交差点での右左折シーンでは、交差点内の進入不可エリアの位置情報を取得する(S231)、というステップをさらに含み、四角形を想定するステップでは、各制御点を結ぶ線分と進入不可エリアとの距離が閾値以上となるように、制御点を設定する。
開示された走行支援方法のひとつは、コンピュータ(100)によって実施され、自車両の走行を支援する走行支援方法であって、少なくとも1つのプロセッサ(101)上において、自車両をカーブ走行させる経路の始点および終点を設定し(S21)、始点および終点を2頂点とする三角形を想定し(S22)、三角形の2辺上にそれぞれ制御点を設定することにより、制御点、始点および終点を4頂点とする四角形を想定し(S24)、四角形内に収まる経路線を算定し(S25)、経路線に沿った自車両のカーブ走行を支援する(S100)、というステップを含み、交差点での右左折シーンでは、経路線を第1の経路線とし、始点を第1の始点とし、第1の経路線における第1の始点から所定の距離直進した地点を第2の始点として、第2の始点を通る第2の経路線を算定し(S63)、第1の始点と第2の始点との間の区間に、第2の経路線を走行する場合の待機位置を設定する(S62)、というステップをさらに含む。
開示された走行支援方法のひとつは、コンピュータ(100)によって実施され、自車両の走行を支援する走行支援方法であって、少なくとも1つのプロセッサ(101)上において、自車両をカーブ走行させる経路の始点および終点を設定し(S21)、始点および終点を2頂点とする三角形を想定し(S22)、三角形の2辺上にそれぞれ制御点を設定することにより、制御点、始点および終点を4頂点とする四角形を想定し(S24)、四角形内に収まる経路線を算定し(S25)、経路線に沿った自車両のカーブ走行を支援する(S100)、というステップを含み、車線変更シーンでは、車線変更の出発点と到着点とを設定し(S320)、出発点と到着点とを結ぶ線上に自車両の通過点を設定する(S341)、というステップをさらに含み、始点および終点を設定するステップでは、出発点を第1の始点、通過点を第1の終点且つ第2の始点に設定し、到着点を第2の終点に設定し、三角形を想定するステップでは、第1の始点、第1の終点、および第1の始点から進行方向前方に延びる半直線上の点を3頂点とする第1の三角形と、第2の始点、第2の終点、および第2の終点から進行方向後方に延びる半直線上の点を3頂点とする第2の三角形とを想定し、経路線を算定するステップでは、第1の始点と第1の終点との間の第1の経路線、および第2の始点と第2の終点との間の第2の経路線とを算定する。
【0008】
開示された走行支援装置のひとつは、自車両をカーブ走行させる経路の始点および終点を設定し、始点および終点を2頂点とする三角形を想定する点設定部(S21、S22)と、三角形の2辺上にそれぞれ制御点を設定することにより、制御点、始点および終点を4頂点とする四角形を想定し、四角形内に収まる経路線を算定する経路線算定部(S24、S25)と、経路線に沿った自車両のカーブ走行を支援するカーブ走行支援部(S100)と、を備え、交差点での右左折シーンでは、交差点内の進入不可エリアの位置情報が取得され、経路線算定部は、各制御点を結ぶ線分と進入不可エリアとの距離が閾値以上となるように、制御点を設定する。
開示された走行支援装置のひとつは、自車両をカーブ走行させる経路の始点および終点を設定し、始点および終点を2頂点とする三角形を想定する点設定部(S21、S22)と、三角形の2辺上にそれぞれ制御点を設定することにより、制御点、始点および終点を4頂点とする四角形を想定し、四角形内に収まる経路線を算定する経路線算定部(S24、S25)と、経路線に沿った自車両のカーブ走行を支援するカーブ走行支援部(S100)と、を備え、交差点での右左折シーンでは、経路線を第1の経路線とし、始点を第1の始点とし、第1の経路線における第1の始点から所定の距離直進した地点を第2の始点として、第2の始点を通る第2の経路線を算定し、第1の始点と第2の始点との間の区間に、第2の経路線を走行する場合の待機位置を設定する経路生成部(S63、S62)をさらに備える。
開示された走行支援装置のひとつは、自車両をカーブ走行させる経路の始点および終点を設定し、始点および終点を2頂点とする三角形を想定する点設定部(S21、S22)と、三角形の2辺上にそれぞれ制御点を設定することにより、制御点、始点および終点を4頂点とする四角形を想定し、四角形内に収まる経路線を算定する経路線算定部(S24、S25)と、経路線に沿った自車両のカーブ走行を支援するカーブ走行支援部(S100)と、を備え、車線変更シーンでは、車線変更の出発点と到着点とを設定し、出発点と到着点とを結ぶ線上に自車両の通過点を設定する経路生成部(S320、S341)をさらに備え、点設定部は、出発点を第1の始点、通過点を第1の終点且つ第2の始点に設定し、到着点を第2の終点に設定し、第1の始点、第1の終点、および第1の始点から進行方向前方に延びる半直線上の点を3頂点とする第1の三角形と、第2の始点、第2の終点、および第2の終点から進行方向後方に延びる半直線上の点を3頂点とする第2の三角形とを想定し、経路線算定部は、第1の始点と第1の終点との間の第1の経路線、および第2の始点と第2の終点との間の第2の経路線とを算定する。
【0009】
これらの開示によれば、四角形内から逸脱する経路線の生成を抑制できる。以上により、カーブ走行時の自車両のぶれを抑制可能な走行支援方法および走行支援装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態の走行支援装置に係るブロック図である。
【
図2】交差点での右折経路の生成を説明するための模式図である。
【
図3】交差点での右折経路の生成を説明するための模式図である。
【
図4】交差点での右折経路の各制御点を示す模式図である。
【
図5】交差点での右折経路において想定される三角形と四角形を示す模式図である。
【
図6】中央標示が有る交差点での右折経路の各制御点を示す模式図である。
【
図7】中央標示が有る交差点での右折経路において想定される三角形と四角形を示す模式図である。
【
図8】右折待機位置の設定を説明するための模式図である。
【
図9】大回り経路の生成を説明するための模式図である。
【
図10】
図9の交差点における短縮経路の生成において想定される三角形と四角形を示す模式図である。
【
図11】
図9の交差点における大回り経路の生成において想定される三角形と四角形を示す模式図である。
【
図12】走行支援装置の実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図12のステップS20の詳細を示すフローチャートである。
【
図14】
図13のステップS23の詳細を示すフローチャートである。
【
図15】
図12のステップS30の詳細を示すフローチャートである。
【
図16】
図12のステップS60の詳細を示すフローチャートである。
【
図17】第2実施形態の走行支援装置に係るブロック図である。
【
図18】LC経路の生成を説明するための模式図である。
【
図20】LC経路の生成において想定される三角形と四角形を示す模式図である。
【
図21】LC経路の生成において想定される三角形と四角形を示す模式図である。
【
図22】LC経路の生成において想定される三角形と四角形を示す模式図である。
【
図23】走行支援装置の実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図24】
図23のステップS340の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照しながら、複数の実施形態を説明する。
図1~
図24には、走行支援方法および走行支援装置100が開示されている。
【0012】
(第1実施形態)
走行支援装置100は、例えば自車両の車載ECUによって提供される。車載ECUは、車両に搭載されるコンピュータであって、少なくとも1つのプロセッサ101と、RAM102と、メモリ装置103と、入出力インターフェイス104と、それらを接続するバスとを備えるマイクロコンピュータを主体として構成されている。より具体的な例として走行支援装置100は、自車両の自動運転走行を制御する自動運転ECUによって提供される。走行支援装置100は、
図1に示すように、地
図DB10、外界センサ20および車両制御ECU30に、車載ネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0013】
地
図DB10は、不揮発性メモリを主体に構成されており、自動運転のために整備された高精度な地図データ(以下、「高精度地図データ」)を記憶している。地
図DB10は、高精度地図データとして、道路形状および構造物の特徴点の点群からなる三次元地図情報や、走行区画線、停止線、横断歩道および交差点の中央標示等の形状情報および位置情報、道路の属性情報等を含んでいる。ここで道路の属性情報とは、道路の車線が直進車線のみか、右折専用車線もあるかなどの情報である。地
図DB10は、例えばGNSS受信機によって自車両の現在位置を取得するロケータに搭載されている。
【0014】
なお、地
図DB10は、ナビゲーション装置による経路案内のための地図データを大量に記憶したデータベースであってもよい。
【0015】
外界センサ20は、自車両の周辺環境を監視する自律センサである。外界センサ20は、路上の落下物、ガードレール、縁石、走行区画線等の路面表示、および樹木等の静止物体を検出する。外界センサ20は、歩行者、人間以外の動物、他車両等の移動物体を検出する。外界センサ20は、例えば前方カメラ、LIDAR、ミリ波レーダ等を含む。
【0016】
車両制御ECU30は、自車両の挙動を制御するECUである。車両制御ECU30は、車載アクチュエータ群と直接的または間接的に電気接続されている。車載アクチュエータ群には、例えば、駆動用および回生用のモータジェネレータ駆動用モータ、ブレーキアクチュエータ、並びにステアリングアクチュエータ等を含む。車両制御ECU30は、走行支援装置100から出力された経路の情報に基づいて車載アクチュエータ群を制御し、生成された経路に沿った自車両の自動運転走行を実施する。
【0017】
走行支援装置100は、地
図DB10および外界センサ20等から出力された情報に基づいて自車両の走行する経路を生成し、経路に沿った自車両の自律的な運転操作を制御する。一態様として走行支援装置100は、交差点での右折経路を生成する。走行支援装置100は、短縮経路生成部110、大回り経路生成部120、経路選択部140、およびカーブ走行支援部150を機能ブロックとして有する。自動運転ECUの処理部であるプロセッサ101がRAM102へのアクセスによりその一時記憶機能を利用しつつ、メモリ装置103に記憶された走行支援プログラムを実行することにより、走行支援方法が実現される。より具体的には、走行支援装置100は、短縮経路(小回り経路)の生成と、短縮経路への右折待機位置の設定と、大回り経路の生成および右折待機位置の設定と、を実現する。
【0018】
短縮経路生成部110は、短縮経路の生成のために、まず経路線の始点および終点に関する情報を取得する。短縮経路生成部110は、自車両の進入車線における交差点入口を始点、退出車線における交差点出口を終点とする。短縮経路生成部110は、交差点入口(始点)に関する位置情報、および角度情報を取得する。角度情報は、始点における進入車線の交差点への接続角度に関する情報である。加えて短縮経路生成部110は、交差点出口(終点)に関する位置情報、および角度情報を取得する。なお、これらの情報に加えて始点および終点それぞれの左右の白線までの距離情報を取得してもよい。また、短縮経路生成部110は、後述の右折待機位置の計算用に対向車線の始点、終点の位置情報、および角度情報(終点における退出車線の交差点への接続角度に関する情報)、左右の白線までの距離情報、属性情報を取得する。短縮経路生成部110は、これらの情報を、地
図DB10から真値として取得する。
【0019】
または、短縮経路生成部110は、始点および終点に関して少なくとも一部の情報を前方カメラ等の外界センサ20から取得してもよい。例えば短縮経路生成部110は、始点に関する情報を画像認識により取得した停止線の位置、形状等の情報に基づき取得してもよい。または、短縮経路生成部110は、外界センサ20によって先行車がハンドルを切ったタイミングを検出することで始点の位置情報を取得してもよい。また、短縮経路生成部110は、終点に関する情報を退出車線の対向車線における停止線の情報に基づき取得してもよい。また、短縮経路生成部110は、始点および終点に関する情報を、地
図DB10からの情報と前方カメラ等の外界センサ20からの情報とを合わせた混合情報として取得してもよい。なお短縮経路生成部110は、始点、終点の車線幅方向における位置を例えば車線の中央とする。
【0020】
また短縮経路生成部110は、交差点中央標示の中心位置情報および大きさ情報や、縁石などの走行不可エリアの中心位置情報および大きさ情報を取得する。走行不可エリアに関しては、多角形や、中心点および内接円または外接円により表現された領域情報として取得することができる。短縮経路生成部110は、これらの情報も、地
図DB10、外界センサ20等から取得する。
【0021】
短縮経路生成部110は、点設定部としての機能により、自車両を右折走行させる経路の始点および終点を設定し、始点および終点を2頂点とする三角形を想定する。詳記すると、短縮経路生成部110は、地
図DB10から取得した始点、終点の位置情報および角度情報を基に、交差点における進入車線と退出車線の交差領域内に交点Xを設定する。より具体的には、短縮経路生成部110は、
図2Aに示すように、始点p
sから交差点への進入方向、すなわち進入車線の進行方向前方に延びる半直線と、終点p
fから交差点からの退出方向の反対方向、すなわち退出車線の進行方向後方に延びる半直線とが交わる点を交点Xとして取得する。3点p
s,p
f,Xの位置情報の取得により、短縮経路生成部110は、始点p
s、終点p
fおよび交点Xを頂点とした三角形を想定する。
【0022】
次に短縮経路生成部110は、経路線算定部としての機能により、三角形の2辺上にそれぞれ制御点を追加で設定し、追加した制御点(以下、追加点と表記)、始点および終点を4頂点とする四角形を想定して、四角形内に収まる経路線を算定する。詳記すると、短縮経路生成部110は、三角形の頂点の位置情報に基づき、以下の数式(1)、(2)を満たす2点を追加点p
1,p
2とする。
【数1】
【数2】
上述の2式においてα,βの範囲はそれぞれ0<α<1,0<β<1である。これにより短縮経路生成部110は、
図2Bに示すように、想定した三角形の2辺上にそれぞれ追加点p
1、p
2を設定し、追加点p
1、p
2、始点p
sおよび終点p
fを4頂点とした四角形を想定する。短縮経路生成部110は、例えばαおよびβの初期値を0.5に設定する。
【0023】
次に短縮経路生成部110は、
図2Cに示すように、[p
s,p
1,p
2,p
f]の4点を制御点として補間曲線を計算する。これにより、短縮経路生成部110は、想定した四角形内に収まる経路線を算定する。このとき短縮経路生成部110は、自車両やハンドル挙動が暴れないように、曲率連続性を持つ3次以上のパラメータ曲線を補間曲線として補間を行う。パラメータ曲線には、ベジエ曲線、B‐スプライン曲線等が使用される。短縮経路生成部110は、例えば3次のB‐スプライン曲線によって補間を行う場合、始点および終点をそれぞれ3点重複した制御点として扱う。これにより、短縮経路生成部110は、補間曲線として始点および終点を確実に通過するB‐スプライン曲線を算定する。
【0024】
次に短縮経路生成部110は、曲線評価部として曲率、曲率変化率を基にB‐スプライン曲線を評価する。評価において、短縮経路生成部110はB‐スプライン曲線の最大曲率の大きさおよび曲率のプラスマイナス変化回数がそれぞれの閾値より小さくなるような曲線であるか否かを条件として設定する。短縮経路生成部110は、条件を満たすB‐スプライン曲線を経路線として採用する。短縮経路生成部110は、採用した経路線を短縮経路として経路選択部140に出力する。また、短縮経路生成部110は、短縮経路の始点および終点に関する情報を、大回り経路生成部120へと出力する。
【0025】
一方で条件が満たされなければ、短縮経路生成部110は、
図2Dに示すように、α,βの値を変更して追加点p
1,p
2の位置を変更し、再度B‐スプライン曲線を算定する。以上の繰り返しにより、短縮経路生成部110は、想定された三角形の辺上で追加点を自動的に探索する。
【0026】
短縮経路生成部110は、条件を満たした経路線を目標経路(短縮経路)として出力する。以上のようにして、短縮経路生成部110は始点および終点の位置情報と、角度情報とに基づき右折経路を解析的に導出する。
【0027】
また短縮経路生成部110は、
図6、
図7に示すように、交差点に中央標示がある場合、中央標示に接近しつつも中央標示を走行不可エリアとして避けて走行可能な経路を生成する。ここで中央標示とは、交差点の中央付近に設けられた略菱形形状の標示物であり、車両の走行を誘導する必要のある場所を示す標示物の一例である。具体的に短縮経路生成部110は、まず中央標示からの距離の値を中央標示の大きさ、自車両の幅、予め設定された所定のマージン等に基づき定める。次に短縮経路生成部110は、2点の追加点による線分と中央標示との距離が定めた値になるように追加点位置の設定条件を定める。こうして定めた追加点に基づき、短縮経路生成部110は、上述と同様に経路を生成する(
図5および
図6参照)。また走行支援装置100は、中央標示に関する情報を、生成した補間曲線の評価時に使用してもよい。
【0028】
さらに短縮経路生成部110は、走行不可エリアに関する情報を追加点の設定時、補間曲線の評価時等に使用してもよい。
【0029】
また短縮経路生成部110は、交差点領域内において確実に通過する地点情報を取得し、始点および終点と同様に補間曲線が通過する点として、補間曲線の算定時に使用してもよい。
【0030】
短縮経路生成部110は、生成した短縮経路上に右折待機位置情報を設定する。短縮経路生成部110は、経路線における対向車線を跨ぐ部分よりも始点側に、右折待機位置を設定する。詳記すると、まず短縮経路生成部110は、
図8に示すように対向車線の始点および終点に対応する右白線位置を繋いだ線分を計算する。
【0031】
次に短縮経路生成部110は、生成された短縮経路と上記の線分との交点X~を取得する。ここで始点から右折待機位置までの経路長をsとおき、交点X~までの経路長をs~とする。短縮経路生成部110は、メモリ装置103等に予め記憶された自車両のサイズに基づき、0<s<s~を満たし、経路上に自車両がいても線分と交差しない(車両が線分から前方側にはみ出さない)点で、且つ最大の経路長となる点を右折待機位置として設定する。
【0032】
これにより短縮経路生成部110は、対向車の走行領域に進入することのない位置且つ車両前景をセンサおよびドライバが認識しやすい位置を右折待機位置として設定する。
【0033】
また短縮経路生成部110は、対向車線の始点および終点に対応する右白線位置を、線分ではなく補間曲線によって繋いでもよい。例えば、対向車線の始点および終点を、後述のLC経路と同様に、設定した通過点を介して補間曲線で繋ぎ、この補間曲線を右白線位置に合わせることで、右白線位置を繋ぐ補間曲線を生成できる。線分の代わりに補間曲線を用いることで、短縮経路生成部110は、より実際の対向車の走行領域に合わせた右折待機位置の設定が可能となる。
【0034】
大回り経路生成部120は、
図9~
図11に示すように、短縮経路よりも外側に膨らんで右折走行する経路として大回り経路を生成する。大回り経路生成部120は、まず短縮経路、短縮経路の始点p
sにおける右白線情報、対向車線の白線情報、自車両のサイズに基づいて、始点から直進走行する距離lを算出する。次に大回り経路生成部120は、始点から距離lだけ直進した地点p
~
sを以下の数式(3)によって算出する。
【数3】
なおθ
sは始点から進入車線の沿う方向に描かれた半直線に対する直進経路の傾き角度である。大回り経路生成部120は、算出した地点p
~
sを大回り経路における右折待機位置として設定する。大回り経路生成部120は、この右折待機位置を新たな始点として、終点までの経路を短縮経路生成部110と同様の方法により生成する。結果として大回り経路生成部120は、
図9~
図11に示すように、短縮経路の始点p
sから地点p
~
sまでの直進経路と、この直進経路に連続する地点p
~
sから終点p
fまでの補間曲線経路とを合わせた経路として大回り経路を生成する。
【0035】
大回り経路は短縮経路の始点から距離lだけ直進した位置を右折待機位置として設定されているので、大回り経路を走行する自車両は、直進方向を向いた状態で右折待機することになる。このため、右折待機中における、自車両の対向車走行領域への飛び出しが抑制され得る。
【0036】
大回り経路生成部120は、大回り経路を制御点の追加によって算定してもよい。例えば始点psと追加点p1との間に新たな制御点を設定し、この制御点を通過するような補間曲線を算定することで、大回り経路を生成することができる。
【0037】
大回り経路生成部120は、対向車線がないときには大回り経路を生成しない。また大回り経路生成部120は、対向車線に右折専用車線があるときにも大回り経路を生成しない。これにより大回り経路生成部120は、対向右折車によって対向直進車がセンサによって認識できなくなること、ドライバから視認できなくなること等を抑制できる。
【0038】
経路選択部140は、右折待機位置および角度情報がそれぞれ格納された短縮経路(小回り経路)および大回り経路のうち、実際に走行する右折経路を選択する。
【0039】
経路選択部140は、交差点進入前に対向車の有無を検出してからのステートマシンによる判断と、ドライバの判断とのいずれかに従って走行経路を選択する。例えば経路選択部140は、ドライバが短縮経路を選択すると、短縮経路を右折待機なしで走行する。経路選択部140は、ドライバによる経路選択がなされなかった場合または経路選択機能がオフとなっていた場合で、且つ対向車がある場合には、大回り経路を選択し、右折待機位置にてドライバの許可が得られるまで待機する。一方対向車がない場合には、経路選択部140は短縮経路を選択し、ドライバの許可が得られるまで右折待機位置で待機する。経路選択部140は、ドライバによる進行許可が出るまで待機することで、センシングミスにより対向車を自車両が認識できなかった場合でもドライバの目視による判断に基づいた走行を可能とする。
【0040】
カーブ走行支援部150は、選択された右折経路の情報を車両制御ECU30に出力し、自車両の自律走行を支援する。カーブ走行支援部150は、右折経路に進入後に対向車が検出されると、選択された右折経路の右折待機位置で自車両を停車させるための信号を車両制御ECU30に出力する。
【0041】
次に、ここまで説明した交差点右折シーンのカーブ走行支援を実現するため、走行支援装置100にて実施される一連の処理について、
図12~
図16に示すフローチャートを参照して説明する。
【0042】
図12は、交差点右折シーンにおいて経路を生成し、生成した経路に沿った走行を実施する一連の走行支援処理の概要を示すフローチャートである。走行支援装置100は、
図12に示す処理を、自車両の自動走行中に繰り返し実行する。
【0043】
走行支援装置100は、まずステップS10にて、自車両の右折が必要な右折交差点に接近したか否かを判定する。ステップS10の判定処理は、自車両の現在位置と、目的地までの走行予定経路とに基づき実行される。ステップS10は、右折交差点に接近するまで繰り返し実施される。右折交差点に接近したと判定した場合は、ステップS20へと進む。ステップS20では、短縮経路を生成する。
【0044】
短縮経路の生成処理について
図13を参照しつつ詳記すると、まずステップS21にて、始点および終点の位置情報、角度情報を取得し、ステップS22へと進む。ステップS22では、角度情報に基づいて交点Xを取得し、ステップS23へと進む。ステップS23では、進入不可エリアの情報から追加点p
1,p
2の位置の条件を設定する。
【0045】
追加点p
1,p
2の位置の条件の設定について
図14を参照しつつ詳記すると、まずステップS231にて、進入不可エリアに関する情報として中央標示情報を取得し、ステップS232へと進む。ステップS232では、中央標示情報に基づいて、中央標示からとるべき距離(例えば中央標示の中心点からの距離)を定め、ステップS233へと進む。ステップS233では、追加点同士を結ぶ線分と中央標示との距離がステップS232にて定めた距離となることを、追加点の位置の条件として設定し、
図13のステップS24へと進む。
【0046】
ステップS24では、数式(1)、(2)と、ステップS23にて設定された条件とに基づき、追加点p1,p2を設定し、ステップS25へと進む。ステップS25では、始点ps、終点pf、および追加点p1,p2を制御点とし、B‐スプライン曲線を算定してステップS26へと進む。ステップS26では、算定した曲線の曲率と、曲率変化率とを算出してステップS27へと進む。
【0047】
ステップS27では、算出した曲率および曲率変化率に基づき、曲線の最大曲率と、曲率の符号変化回数とがそれぞれ予め設定された閾値以下であるか否かを判定する。少なくとも一方が閾値を上回ると判定された場合、ステップS28へと進み、数式(1)、(2)におけるα,βの値を変更してステップS24へと戻る。一方で、ステップS27にて最大曲率および曲率の符号変化回数の両方がそれぞれの閾値以下であると判定されると、ステップS29へと進む。ステップS29では、算定した曲線を短縮経路として出力し、
図12のステップS30に示す右折待機位置の設定処理へと進む。
【0048】
短縮経路上の右折待機位置の設定処理について
図15を参照しつつ詳記すると、まずステップS31にて、対向車線の始点情報および終点情報を取得し、ステップS32へと進む。ステップS32では、対向車線の始点および終点に対応する右白線位置を繋いだ線分と短縮経路との交点Xcの位置を取得して、ステップS33へと進む。ステップS33では、交点Xcの位置および自車両のサイズに基づいて短縮経路上に右折待機位置を設定し、
図12のステップS40へと進む。
【0049】
ステップS40では、地
図DB10からの情報に基づき、進入車線に対する対向車線の有無を判定する。対向車線が有ると判定すると、ステップS50へと進む。ステップS50では、対向車線に右折専用車線が有るか否かを判定する。右折専用車線が無いと判定すると、ステップS60へと進む。ステップS60では、大回り経路の生成および大回り経路への右折待機位置の設定を行う。
【0050】
大回り経路に関する処理について
図16を参照しつつ詳記すると、まず、ステップS61では、短縮経路の始点p
sから直線で走行する距離lを算出し、ステップS62へと進む。ステップS62では、始点p
sから距離lだけ直進した地点を、右折待機位置として設定し、ステップS63へと進む。ステップS63では、設定された右折待機位置と終点p
fとをつなぐB‐スプライン曲線を、短縮経路の生成(ステップS21~S29)と同様の方法で生成し、
図12のステップS70へと進む。
【0051】
ステップS70では、短縮経路および大回り経路のうちで実際の走行経路を選択するために、外界センサ20からの情報に基づき対向車の有無を判定する。対向車が有ると判定されると、ステップS80へと進み、大回り経路を走行経路として選択したのち、ステップS100へと進む。
【0052】
一方で、ステップS40にて対向車線が無いと判定した場合、またはステップS50にて右折専用車線が有ると判定された場合には、ステップS90へと進む。これらの場合、ステップS90にて、大回り経路を生成することなく短縮経路を走行経路として選択したのち、ステップS100へと進む。
【0053】
加えて、ステップS70にて対向車が無いと判定した場合にも、ステップS90へと進む。これにより、生成した短縮経路と大回り経路のうち、短縮経路を走行経路として選択し、ステップS100へと進む。
【0054】
ステップS100では、選択した経路への自車両の自律走行による進入を開始し、ステップS110へと進む。ステップS110では、経路への進入開始後に、対向車の有無を判定する。ステップS110の判定処理は、経路の右折待機位置に到達するまでの間に実行される。対向車が無いと判定すると、ステップS120へと進む。ステップS120では、右折待機位置で停止することなく、経路に沿った自車両の進行を継続させる。終点に到達して経路の走行が完了すると、一連の処理を終了する。
【0055】
一方で、ステップS110にて対向車が有ると判定した場合には、ステップS130へと進む。ステップS130では、対向車の通過を待機するため、選択した経路に設定された右折待機位置にて自車両を停車させ、ステップS140へと進む。
【0056】
ステップS140では、右折待機位置から発進可能か否かを判定する。例えばステップS140では、外界センサ20の情報に基づき、対向車が検出されなくなった場合に、発進可能であると判定する。または、ステップS140では、ドライバが発進許可スイッチを押すなどして発進許可操作を行った場合に、発進可能であると判定してもよい。ステップS140の判定処理は、発進可能と判定されるまで繰り返し実行される。発進可能であると判定されると、ステップS150へと進む。ステップS150では、自車両を発進させて経路の走行を完了し、一連の処理を終了する。
【0057】
第1実施形態の走行支援装置100の構成がもたらす作用効果について説明する。
【0058】
走行支援装置100は、自車両の交差点での右折走行の経路の始点および終点を設定し、始点および終点を2頂点とする三角形の2辺上に追加点を設定する。走行支援装置100は、始点、終点、2点の追加点を4頂点とする四角形に収まる経路線を算定し、経路線に沿った自車両のカーブ走行を支援する。これによれば、走行支援装置100は、四角形内から逸脱する経路線の生成を抑制できる。したがって走行支援装置100は、交差点の右折走行時に自車両のぶれを抑制できる。
【0059】
また交差点では、直進路と異なり自車両の両側に車線がない場合が殆どであるため、車線に基づいて右折経路を生成することが困難である。走行支援装置は、これまで説明した方法で経路を生成することにより、交差点領域内における自車両が走行すべき地点情報を多数取得する必要がなくなるため、情報量を比較的抑制しつつ右折経路を生成できる。
【0060】
走行支援装置100は、始点から進入車線に沿う方向に延びる半直線と、終点から退出車線に沿う方向に延びる半直線との交点を三角形の第3の頂点とするので、交差点内において経路線が外側に膨らむようなカーブ形状となることを抑制できる。したがって走行支援装置100は、交差点内における自車両のぶれをより抑制したカーブ走行を支援できる。
【0061】
走行支援装置100は、経路線における対向車線を跨ぐ部分よりも始点側に、自車両の右折待機位置を設定する。これによれば、走行支援装置100は、対向車の往来の妨げになることをより確実に回避可能な右折待機位置を設定することができる。
【0062】
走行支援装置100は、追加点を結ぶ線分と進入不可エリアとの距離が閾値以上となるように追加点を設定するので、進入不可エリアを避けて経路線を算定することができる。これにより、走行支援装置100は、自車両の進入不可エリアへの進入を避けつつ、ぶれを抑制したカーブ走行の支援をすることができる。
【0063】
走行支援装置100は、短縮経路の始点から直進した位置を右折待機位置とする大回り経路を生成する。このため走行支援装置100は、大回り経路での待機において、自車両が直進方向に向いた状態とすることができる。したがって、走行支援装置100は、右折待機中における自車両の対向車走行領域への飛び出しを抑制することができる。
【0064】
走行支援装置100は、対向車が無い場合には短縮経路を選択し、対向車が有る場合には大回り経路を選択する。これによれば、走行支援装置100は、対向車が無い場合には、早急に右折を完了可能な走行距離の短い経路を優先でき、対向車が有る場合にはより安全性を確保した経路を優先できる。
【0065】
以上に交差点での右折経路生成について説明したが、左折経路についても右折経路と同様の方法により生成することができる。
【0066】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態における走行支援装置100の変形例について説明する。
図17~
図24において第1実施形態の図面中と同一符号を付した構成要素は、同様の構成要素であり、同様の作用効果を奏するものである。第2実施形態において、走行支援装置100は、車線変更(レーンチェンジ)での走行経路(以下、LC経路)を生成する。走行支援装置100は、第1実施形態と同様の機能ブロックに加えて、LC経路生成部115およびキャンセル経路生成部130を有する。
【0067】
第2実施形態において、LC経路生成部115は、まず車線変更シーンにおける出発点と到着点とを設定する。走行支援装置100は、出発点を自車両の現在位置に設定する。LC経路生成部115は、次に到着点の設定のために、外界センサ20および地
図DB10等の情報に基づき車線変更先の車線(以下、変更先車線と表記)において自車両の進入対象とするスペースを決定する。LC経路生成部115は、スペース前後の先行車と後続車との間の車間距離が所定距離以上か否か、所定時間内にスペースへの到達が可能か否か等に基づいて、進入対象とするスペースを決定する。次にLC経路生成部115は、スペースに対する前後位置を調整するための自車両の目標速度を設定する。
【0068】
次にLC経路生成部115は、車線変更の完了時間(例えば7秒)を設定する。完了時間は、周囲の他車両との距離や、車線変更後の走行経路、交通状況等によって決定される。LC経路生成部115は、変更先車線の先行車および後続車について、それぞれの車速、自車両との相対距離に基づき、車線変更時の自車両の速度(車線変更速度)を決定する。なおこのとき先行車および後続車の車速は一定と仮定される。LC経路生成部115は、車線変更速度と、車線変更の完了時間とに基づいて、到着点の位置を設定する。LC経路生成部115は、設定した出発点の位置情報、到着点の位置情報に基づき、LC経路を生成する。
【0069】
LC経路の生成について
図18~
図22を参照して説明する。
図18~
図22の例では、LC経路生成部115は、出発点から東に3m、北に50m進んだ地点を到着点とする。
【0070】
次にLC経路生成部115は、出発点と到着点とを結ぶ線分上に、以下の数式(4)を満たす通過点Xを設定する。
【数4】
なお数式(4)において、aの範囲は0<a<1である。LC経路生成部115は、出発点を第1の始点、通過点Xを第1の終点とする第1の経路線と、通過点Xを第2の始点、到着点を第2の終点とする第2の経路線とを算定する。
【0071】
具体的には、LC経路生成部115は、まず出発点psと、通過点Xの射影点Bとを結ぶ線分上に補助点X2を設定する。射影点Bは、出発点から変更前車線の進行方向(南北方向)に延びる直線と、通過点からこの直線に下ろした垂線との交点である。これによりLC経路生成部115は、始点(出発点)ps、終点(通過点)Xおよび補助点X2を3頂点とした三角形を想定する。
【0072】
次にLC経路生成部115は、始点p
sと補助点X
2とを繋ぐ線分上、および補助点X
2と通過点Xとを繋ぐ線分上に、それぞれ以下の数式(5)、(6)を満たす追加点p
1,p
2を設定する。LC経路生成部115は、追加点p
1,p
2、始点p
s、通過点Xを4頂点とする四角形を想定する。
【数5】
【数6】
なお数式(5)におけるαの範囲は0<α<1、数式(6)におけるβの範囲は0<β<1である。LC経路生成部115は、この四角形内に経路線を算定する。LC経路生成部115は、交差点の右折経路と同様にB‐スプライン曲線による補間を行い、始点p
sと通過点Xとを通過する経路線を算定する。
【0073】
加えてLC経路生成部115は、通過点Xから到着点までの間に関しても同様に第2の補助曲線を算定する。具体的には、LC経路生成部115は、まず補助点X
2および通過点Xを通る直線と、終点p
fから変更先車線の後退方向に延びる半直線との交点X
3を設定する。LC経路生成部115は、交点X
3の位置情報を基に、以下の数式(7)、(8)を満たす追加点を設定する。
【数7】
【数8】
なお数式(7)におけるα
2の範囲は0<α
2<1、数式(8)におけるβ
2の範囲は0<β
2<1である。LC経路生成部115は、これら通過点、到着点、追加点を頂点とする四角形内に経路線を算定する。以上のように、LC経路生成部115は、出発点p
sと通過点Xとの間、および通過点Xと到着点p
fとの間でそれぞれ経路線の算定を行うことで、出発点p
sから通過点Xを通り到着点p
fへとつながるLC経路を生成する。
【0074】
LC経路生成部115は、通過点Xおよび補助点X2の位置を変更することにより、LC経路の形状を変更可能である。ここで、出発点psから到着点pfまでの長さを1としたときの、出発点psから通過点Xまでの長さと通過点Xから到着点pfまでの長さの比率を通過点比率と表記する。また、出発点psから通過点Xの射影点Bまでの長さを1にしたときの出発点psから補助点X2までの長さと補助点X2から射影点Bまでの長さの比率を補助点比率と表記する。LC経路生成部115は、これら通過点比率と補助点比率とをそれぞれ変更することで、様々な形状のLC経路を表現可能であると言い換えることもできる。これによりLC経路生成部115は、最初にハンドルを大きく切るような走行を行うか、直線的に走行する区間を比較的長くとる走行を行うかなどの調整が可能である。
【0075】
例えばLC経路生成部115は、出発点p
sから通過点Xまでの長さを通過点Xから到着点p
fまでの長さよりも小さくすることで、まず変更先車線側にハンドルを大きく切り、変更先車線に進入してからの徐々にハンドルを戻すような走行を行うLC経路を生成できる(
図19、
図21参照)。このLC経路は、より人間の操舵による車線変更時の走行経路に近い。
【0076】
また、LC経路生成部115は、出発点p
sから補助点X
2までの長さを補助点X
2から射影点Bまでの長さに対して小さくすることで、変更前車線から変更後車線への移行時に斜めに直線的に走行する区間を比較的長くとったLC経路を生成可能である(
図19、
図22参照)。
【0077】
キャンセル経路生成部130は、車線変更を中止して、LC経路上から変更前車線に沿った進行ルートに戻るための経路(LCキャンセル経路)を生成する。キャンセル経路生成部130は、生成したLC経路上において自車両に最も近い最近傍点を取得する。キャンセル経路生成部130は、この最近傍点をLCキャンセル経路の始点とする。キャンセル経路生成部130は、車線変更前の車線における、最近傍点から所定距離(例えば車速V[m/sec]×5[sec])だけ前方の地点を取得する。走行支援装置は、この地点をLCキャンセル経路の終点とする。キャンセル経路生成部130は、取得した始点と終点とを繋ぐように、LC経路と同様にしてLCキャンセル経路を生成する。キャンセル経路生成部130は、LCキャンセル経路を車線変更中に逐次生成する。LCキャンセル経路は、中止経路線の一例である。
【0078】
経路選択部140は、車線変更中に、LC経路とLCキャンセル経路のどちらを選択するかを逐次判断する。カーブ走行支援部150は、経路選択部140にて選択された経路の情報を車両制御ECU30に出力する。
【0079】
次に、ここまで説明した車線変更時のカーブ走行支援を実現するため、走行支援装置100にて実施される経路生成処理の詳細を、
図23、
図24に示すフローチャートを参照して説明する。
【0080】
走行支援装置100は、ステップS310で、車線変更の要請の有無を判定する。要請ありと判定されるとステップS320へと進む。ステップS320では、出発点および到着点を設定し、ステップS330へと進む。
【0081】
ステップS330では、出発点から変更前車線の進行方向に延びる半直線と、到着点から変更先車線の後退方向に延びる半直線とが交わるか否かを判定する。ステップS330にて半直線同士が交わると判定した場合には、ステップS355へと進み、第1実施形態における短縮経路の生成と同様に、1本の経路線によるLC経路を生成し、ステップS360へと進む。
【0082】
一方でステップS330にて半直線同士が交わらないと判定した場合には、ステップS340へと進み、2本の経路線によるLC経路を生成する。
【0083】
2本の経路線によるLC経路の生成処理について、
図24を参照しつつ詳記すると、まずステップS341にて、出発点と到着点とを結ぶ線分上に、数式(4)に基づく通過点Xを設定し、ステップS342へと進む。ステップS342では、出発点から変更前車線の進行方向に延ばした半直線上に補助点X2を設定し、ステップS343へと進む。ステップS343では、数式(5)および数式(6)に基づく追加点p
1,p
2を設定し、ステップS344へと進む。ステップS344では、この4点[p
s,p
1,p
2,X]を制御点として、B‐スプライン曲線を算定し、ステップS345へと進む。
【0084】
ステップS345では、補助点X3を設定し、ステップS346へと進む。ステップS346では、数式(7)および数式(8)に基づく追加点p3,p4を設定したのち、ステップS347へと進む。
【0085】
ステップS347では、この4点[X,p3,p4,pf]を制御点としたB‐スプライン曲線を算定し、ステップS348へと進む。ステップS348では、2本のB‐スプライン曲線が、それぞれ走行経路の条件を満たしているか否かを判定する。条件を満たしていないと判定すると、ステップS349へと進み、a,α,β,α2,β2の値を変更し、ステップS341へと戻る。
【0086】
一方で、ステップS348にて各曲線が条件を満たすと判定すると、ステップS350へと進み、この2本の曲線からなる経路線をLC経路として出力し、
図23のステップS360へと進む。
【0087】
ステップS360では、生成したLC経路への進行を開始してステップS370へと進む。ステップS370では、LCキャンセル経路を生成し、ステップS380へと進む。ステップS380では、LC経路とLCキャンセル経路のうち、自車両の進行する経路を選択し、ステップS390へと進む。ステップS390では、選択した経路の到着点(終点)に到着したか否かを判定する。終点に到着していない場合、ステップS370へと戻る。一方で、到着点に到着したと判定した場合には、一連の処理を終了する。
【0088】
第2実施形態の走行支援装置100は、車線変更の出発点と到着点とを結ぶ線分上に補助点を設定し、出発点を始点、補助点を終点とする補間曲線と、補助点を始点、到着点を終点とする補間曲線とを算定することにより、LC経路を生成する。これによれば、走行支援装置100は、変更前車線から変更先車線側へと向かってカーブ走行し、その後到着点に向かうにつれて直進走行へと復帰するような走行経路を生成できる。したがって、走行支援装置100は、車線変更により適したカーブ走行支援を実施できる。
【0089】
走行支援装置100は、出発点から変更前車線に沿う方向に延ばした半直線と、終了点から変更先車線に沿う方向に延ばした半直線とが交わる場合には、出発点を始点、終了点を終点とした経路線を算定する。これによれば、走行支援装置100は、カーブ路等における車線変更に適した走行経路を生成可能である。
【0090】
走行支援装置100は、自車両が変更前車線に戻るLCキャンセル経路を算定するので、車線変更を中止して変更前車線に戻る場合に、より自車両のぶれを抑えつつ走行支援を行うことが可能となる。
【0091】
(他の実施形態)
この明細書における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0092】
上述の実施形態において交差点右左折シーン、車線変更シーンについて説明したが、走行支援装置および走行支援方法は、自車両の旋回動作が必要となる種々のシーンで適用することができる。例えば走行支援装置および走行支援方法は、合流シーンにおける走行支援に適用してもよい。合流シーンにおける走行支援において、走行支援装置100は、例えば第2実施形態におけるLC経路の生成と同様に合流経路を生成すればよい。すなわち、走行支援装置100は、合流シーンを合流車線から本線への車線変更シーンとして走行経路を生成すればよい。なお、走行支援装置100は、本線の他車両同士の間隔が狭い等により、合流車線の終点に到着するまでに走行経路が生成できない場合、合流車線の他車両から所定距離離れており、且つ終点に近い地点にて自車両を停車させる。この場合走行支援装置100は、停車後に再度走行経路を生成する。
【0093】
上述の実施形態において、走行支援方法は、車載ECUの処理部が実行するプログラムによって実現されるとした。これに代えて、例えば自車両を無線通信により管理するセンタによって処理の少なくとも一部が実行される構成であってもよい。また、複数の車載ECUが処理を分散して実行することにより走行支援方法を実現する構成であってもよい。
【0094】
上述の実施形態において、走行支援装置および走行支援方法は、自動運転時のカーブ走行支援に適用されるとしたが、手動運転時のカーブ走行支援に適用されてもよい。例えば、走行が推奨される推奨経路をこれまで説明した方法で生成し、この推奨経路をHUD等によりドライバに提示することによってカーブ走行を支援してもよい。または、ドライバの運転による走行経路を評価する評価用経路をこれまで説明した方法により生成し、実際の走行経路が評価用経路から外れた場合にドライバに対してアドバイスを提示することによりカーブ走行を支援してもよい。
【0095】
上述の実施形態のプロセッサは、1つまたは複数のCPU(Central Processing Unit)を含む処理部である。こうしたプロセッサは、CPUに加えて、GPU(Graphics Processing Unit)およびDFP(Data Flow Processor)等を含む処理部であってよい。さらにプロセッサは、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、並びにAIの学習および推論等の特定処理に特化したIPコア等を含む処理部であってもよい。こうしたプロセッサの各演算回路部は、プリント基板に個別に実装された構成であってもよく、またはASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびFPGA等に実装された構成であってもよい。
【0096】
制御プログラムを記憶するメモリ装置には、フラッシュメモリおよびハードディスク等の種々の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)が採用可能である。こうした記憶媒体の形態も、適宜変更されてよい。例えば記憶媒体は、メモリカード等の形態であり、車載ECUに設けられたスロット部に挿入されて、制御回路に電気的に接続される構成であってよい。
【0097】
本開示に記載の制御部およびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置およびその手法は、専用ハードウエア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置およびその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと1つ以上のハードウエア論理回路との組み合わせにより構成された1つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0098】
上述の実施形態における説明は、左側通行が法制化されている地域に対応したものであり、右側通行が法制化されている地域では、各走行シーンにおいて左右が逆になる。
【符号の説明】
【0099】
100 走行支援装置(コンピュータ)、 101 プロセッサ、 S21、S22 ステップ(点設定部) S24、S25 ステップ(経路線算定部)、 S100 ステップ(カーブ走行支援部)。