(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
H02P 25/22 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
H02P25/22
(21)【出願番号】P 2019070426
(22)【出願日】2019-04-02
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】株根 秀樹
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-099170(JP,A)
【文献】特開2008-026010(JP,A)
【文献】特開平07-112817(JP,A)
【文献】特開昭63-082121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ分離されたグランドに接続される複数の制御回路部(150、250)と、
第1の前記制御回路部と第2の前記制御回路部とを接続する信号線(301~304)と、
前記制御回路部に対応して設けられる部品およびグランドの組み合わせを系統とすると、前記信号線で接続される一方の系統のグランドから、他方の系統への電力の回り込みを抑制する回り込み抑制回
路と、
を備え
、
前記回り込み抑制回路(505、506、605、606)は、論理回路(550、650)を有し、
前記論理回路は、CMOS回路であって、2つの電界効果トランジスタ(551、552、651、652)、および、2つの前記電界効果トランジスタのゲートと接続されるゲート信号線(311、312)と低電位側の前記電界効果トランジスタ(552、652)のソースとの間に設けられる定電圧ダイオード(553、653)を有する電子制御装置。
【請求項2】
前記回り込み抑制回路(505、605)は、前記論理回路と自系統のグランドとの間に設けられ、グランド側への通電のみを許容するダイオード(557、657)を有する請求項
1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記定電圧ダイオードのアノード側は、低電位側の前記電界効果トランジスタのソースと前記ダイオードとの間に接続されている請求項2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
少なくとも信号出力側の系統には、グランド電位に係る値を検出するグランド電位検出部(580)が設けられ、
信号出力側の前記制御回路部(150)は、前記グランド電位検出部の検出値に応じて信号出力論理を切り替える請求項
1~
3のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項5】
高電位側の前記電界効果トランジスタ(
551、651)は、pチャネル型であっ
て、
低電位側の前記電界効果トランジスタ(
552、652)は、nチャネル型で
ある請求項
1~4のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項6】
前記信号線は複数であって、
相対的に高速での通信を行う前記信号線である高速信号線(303)に設けられる前記回り込み抑制回路(505、605)と、相対的に低速での通信を行う前記信号線である低速信号線(304)に設けられる回り込み抑制に係る回路(507、607)とは、構成が異なっており、
前記高速信号線に設けられる前記回り込み抑制回路は、前記論理回路を有し、
前記低速信号線に設けられる回り込み抑制に係る回路は、直列接続されるn(nは2以上の整数)の抵抗(R11、R1n)を有する請求項1~5のいずれか一項に記載に記載の電子制御装置。
【請求項7】
前記抵抗のうち、出力側の少なくとも1つは、入力側よりも抵抗値が相対的に小さく設定されている請求項6に記載の電子制御装置。
【請求項8】
車両に搭載される回転電機(80)を制御するものであって、
前記高速信号線は、他の制御装置との通信を行う車両通信網(195)と接続されている請求項
6または
7に記載の電子制御装置。
【請求項9】
前記信号線のうちの少なくとも1つは、オンまたはオフの二値を送受信するものであって、
前記制御回路部は、前記制御回路部へ電力を供給する電源(137、237)の立ち上げ時に、オンおよびオフの信号を出力し、前記回り込み抑制回路の異常の有無を判定可能である請求項1~
8のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項10】
前記信号線のうちの少なくとも1つは、パルス化された信号を送受信するものである請求項1~
9のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項11】
前記パルス化された信号には、送信データ、および、異常検出用のチェックデータが含まれる請求項
10に記載の電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動パワーステアリング装置に用いられる駆動装置が知られている。例えば特許文献1では、巻線組に対応して設けられるインバータおよび制御部が2組設けられており、制御部を含む回路構成が冗長構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような冗長構成において、系統間の情報通信のため、例えばマイコン間を信号線で接続することがある。ここで、系統ごとにグランドが分離されている場合、グランド電位に差があると、信号線および回路内の寄生ダイオードを経由した回り込み電流が発生する。また、例えば一部のグランド電位に異常が生じた場合、回り込み電流により、正常な系統の故障を引き起こす連れ回り故障が生じる虞がある。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、他系統グランドからの電力の回り込みを抑制可能な電子制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子制御装置は、複数の制御回路部(150、250)と、信号線(301~304)と、回り込み抑制回路と、を備える。制御回路部は、それぞれ分離されたグランドに接続される。信号線は、第1の制御回路部と第2の制御回路部とを接続する。制御回路部に対応して設けられる部品およびグランドの組み合わせを系統とする。回り込み抑制回路は、信号線で接続される一方の系統のグランドから、他方の系統への電力の回り込みを抑制する。
回り込み抑制回路(505、506、605、606)は、論理回路(550、650)を有する。論理回路は、CMOS回路であって、2つの電界効果トランジスタ(551、552、651、652)、および、2つの電界効果トランジスタのゲートと接続されるゲート信号線(311、312)と低電位側の電界効果トランジスタ(552、652)のソースとの間に設けられる定電圧ダイオード(553、653)を有する。
【0007】
これにより、一方の系統のグランドに断線や浮き等の断線異常が生じた場合であっても、信号線を経由した正常系統への電力の回り込みが抑制されるので、連れ回り故障を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態によるステアリングシステムの概略構成図である。
【
図2】第1実施形態による駆動装置の断面図である。
【
図4】第1実施形態によるECUを示すブロック図である。
【
図5】第1実施形態による電源リレーを説明する回路図である。
【
図6】第1実施形態による回り込み防止回路を説明する回路図である。
【
図7】第2実施形態による回り込み防止回路を説明する回路図である。
【
図8】第3実施形態による回り込み防止回路を説明する回路図である。
【
図9】第4実施形態による回り込み防止回路を説明する回路図である。
【
図10】第5実施形態による回り込み防止回路を説明する説明図である。
【
図11】第5実施形態によるグランド電位検出回路を説明する回路図である。
【
図12】第6実施形態による回り込み防止回路を説明する説明図である。
【
図13】第7実施形態による回り込み防止回路を説明するブロック図である。
【
図14】グランド異常時の回り込み電流を説明する回路図である。
【
図15】参考例の回り込み防止回路を説明する説明図である。
【
図16】参考例の回り込み防止回路を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
以下、本発明による電子制御装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0012】
第1実施形態を
図1~
図6に示す。
図1に示すように、電子制御装置としてのECU10は、回転電機であるモータ80の駆動を制御するモータ制御装置であって、モータ80とともに、例えば車両のステアリング操作を補助するための電動パワーステアリング装置8に適用される。
【0013】
図1は、電動パワーステアリング装置8を備えるステアリングシステム90の構成を示す。ステアリングシステム90は、操舵部材であるステアリングホイール91、ステアリングシャフト92、ピニオンギア96、ラック軸97、車輪98、および、電動パワーステアリング装置8等を備える。
【0014】
ステアリングホイール91は、ステアリングシャフト92と接続される。ステアリングシャフト92には、操舵トルクを検出するトルクセンサ94が設けられる。トルクセンサ94は、第1センサ部194および第2センサ部294を有しており、各々自身の故障検出ができるセンサが二重化されている。ステアリングシャフト92の先端には、ピニオンギア96が設けられる。ピニオンギア96は、ラック軸97に噛み合っている。ラック軸97の両端には、タイロッド等を介して一対の車輪98が連結される。
【0015】
運転者がステアリングホイール91を回転させると、ステアリングホイール91に接続されたステアリングシャフト92が回転する。ステアリングシャフト92の回転運動は、ピニオンギア96によってラック軸97の直線運動に変換される。一対の車輪98は、ラック軸97の変位量に応じた角度に操舵される。
【0016】
電動パワーステアリング装置8は、モータ80、モータ80の回転を減速してステアリングシャフト92に伝える動力伝達部としての減速ギア89、および、ECU10等を備える。すなわち、本実施形態の電動パワーステアリング装置8は、所謂「コラムアシストタイプ」であるが、モータ80の回転をラック軸97に伝える所謂「ラックアシストタイプ」等としてもよい。本実施形態では、ステアリングシャフト92が「駆動対象」に対応する。
【0017】
図1、
図2、
図3および
図4に示すように、モータ80は、操舵に要するトルクの一部または全部を出力するものであって、電源としてのバッテリ101、201から電力が供給されることにより駆動され、減速ギア89を正逆回転させる。モータ80は、3相ブラシレスモータであって、ロータ860およびステータ840を有する。
【0018】
モータ80は、巻線組としての第1モータ巻線180および第2モータ巻線280を有する。モータ巻線180、280は電気的特性が同等であり、共通のステータ840に、互いに電気角30[deg]ずらしてキャンセル巻きされる。これに応じて、モータ巻線180、280には、位相φが30[deg]ずれた相電流が通電されるように制御される。通電位相差を最適化することで、出力トルクが向上する。また、6次のトルクリプルを低減することができ、騒音、振動の低減することができる。また、電流も分散されることで発熱が分散、平準化されるため、各センサの検出値やトルク等、温度依存の系統間誤差を低減可能であるとともに、通電可能な電流量を増やすことができる。なお、モータ巻線180、280の電気的特性は異なっていてもよい。
【0019】
以下、第1モータ巻線180の通電制御に係る第1インバータ部120および第1制御回路部150等の組み合わせを第1系統L1、第2モータ巻線280の通電制御に係る第2インバータ部220および第2制御回路部250等の組み合わせを第2系統L2とする。また、第1系統L1に係る構成を主に100番台で付番し、第2系統L2に係る構成を主に200番台で付番する。また、第1系統L1および第2系統L2において、同様または類似の構成には、下2桁が同じとなるように付番する。以下適宜、「第1」を添え字の「1」、「第2」を添え字の「2」として記載する。
【0020】
駆動装置40は、モータ80の軸方向の一方側にECU10が一体的に設けられており、いわゆる「機電一体型」であるが、モータ80とECU10とは別途に設けられていてもよい。ECU10は、モータ80の出力軸とは反対側において、シャフト870の軸Axに対して同軸に配置されている。ECU10は、モータ80の出力軸側に設けられていてもよい。機電一体型とすることで、搭載スペースに制約のある車両において、ECU10とモータ80とを効率的に配置することができる。
【0021】
モータ80は、ステータ840、ロータ860、および、これらを収容するハウジング830等を備える。ステータ840は、ハウジング830に固定されており、モータ巻線180、280が巻回される。ロータ860は、ステータ840の径方向内側に設けられ、ステータ840に対して相対回転可能に設けられる。
【0022】
シャフト870は、ロータ860に嵌入され、ロータ860と一体に回転する。シャフト870は、軸受835、836により、ハウジング830に回転可能に支持される。シャフト870のECU10側の端部は、ハウジング830からECU10側に突出する。シャフト870のECU10側の端部には、マグネット875が設けられる。
【0023】
ハウジング830は、リアフレームエンド837を含む有底筒状のケース834、および、ケース834の開口側に設けられるフロントフレームエンド838を有する。ケース834とフロントフレームエンド838とは、ボルト等により互いに締結されている。リアフレームエンド837には、リード線挿通孔839が形成される。リード線挿通孔839には、モータ巻線180、280の各相と接続されるリード線185、285が挿通される。リード線185、285は、リード線挿通孔839からECU10側に取り出され、基板470に接続される。
【0024】
ECU10は、カバー460、カバー460に固定されているヒートシンク465、ヒートシンク465に固定されている基板470、および、基板470に実装される各種の電子部品等を備える。
【0025】
カバー460は、外部の衝撃から電子部品を保護したり、ECU10の内部への埃や水等の浸入を防止したりする。カバー460は、カバー本体461、および、コネクタ部103、203が一体に形成される。コネクタ部103、203は、カバー本体461と別体であってもよい。コネクタ部103、203の端子463は、図示しない配線等を経由して基板470と接続される。コネクタ数および端子数は、信号数等に応じて適宜変更可能である。コネクタ部103、203は、駆動装置40の軸方向の端部に設けられ、モータ80と反対側に開口する。
【0026】
基板470は、例えばプリント基板であり、リアフレームエンド837と対向して設けられる。基板470には、2系統分の電子部品が系統ごとに独立して実装されており、完全冗長構成をなしている。本実施形態では、1枚の基板470に電子部品が実装されているが、複数枚の基板に電子部品を実装するようにしてもよい。
【0027】
基板470の2つの主面のうち、モータ80側の面をモータ面471、モータ80と反対側の面をカバー面472とする。
図3に示すように、モータ面471には、インバータ部120を構成するスイッチング素子121、インバータ部220を構成するスイッチング素子221、角度センサ126、226、カスタムIC135、235等が実装される。角度センサ126、226は、マグネット875の回転に伴う磁界の変化を検出可能なように、マグネット875と対向する箇所に実装される。
【0028】
カバー面472には、コンデンサ128、228、インダクタ129、229、および、制御回路部150、250を構成するマイコン等が実装される。
図3では、制御回路部150、250を構成するマイコンについて、それぞれ「150」、「250」を付番した。コンデンサ128、228は、バッテリ101、201から入力された電力を平滑化する。また、コンデンサ128、228は、電荷を蓄えることで、モータ80への電力供給を補助する。コンデンサ128、228、および、インダクタ129、229は、フィルタ回路を構成し、バッテリを共用する他の装置から伝わるノイズを低減するとともに、駆動装置40からバッテリを共用する他の装置に伝わるノイズを低減する。なお、
図3中には図示を省略しているが、電源リレー122、222、モータリレー125、225、および、電流センサ127、227等についても、モータ面471またはカバー面472に実装される。
【0029】
図4に示すように、ECU10は、インバータ部120、220、および、制御回路部150、250等を備える。図中等、適宜、「制御回路部」を、単に「マイコン」という。ECU10には、コネクタ部103、203が設けられる。第1コネクタ部103には、第1電源端子105、第1グランド端子106、第1IG端子107、第1通信端子108、および、第1トルク端子109が設けられる。
【0030】
第1電源端子105は、図示しないヒューズを経由して第1バッテリ101に接続される。第1電源端子105を経由して第1バッテリ101の正極から供給された電力は、電源リレー122、インバータ部120、および、モータリレー125を経由して、第1モータ巻線180に供給される。第1グランド端子106は、ECU10の内部の第1系統のグランドである第1グランドGND1と、ECU10の外部の第1系統のグランドである第1外部グランドGB1とに接続される。車のシステムにおいては金属ボデーが共通のGNDプレーンとなっており、第1外部グランドGB1はGNDプレーン上の接続ポイントの1つを示し、第2バッテリ201の負極もこのGNDプレーン上の接続ポイントに接続される。
【0031】
第1IG端子107は、イグニッションスイッチ等である車両の始動スイッチと連動してオンオフ制御される第1スイッチを経由して第1バッテリ101の正極と接続される。第1IG端子107を経由して第1バッテリ101から供給された電力は、第1カスタムIC135に供給される。第1カスタムIC135には、第1ドライバ回路136、第1回路電源137、図示しないマイコン監視モニタ、および、図示しない電流モニタアンプ等が含まれる。
【0032】
第1通信端子108は、第1車両通信回路111と、第1車両通信網195とに接続される。第1車両通信網195と第1制御回路部150とは、第1車両通信回路111を経由して、送受信が可能に接続される。また、第1車両通信網195と第2制御回路部250とは、受信のみ可能に接続され、第2制御回路部250が故障しても、第1制御回路部150を含む第1車両通信網195に影響がないように構成される。
【0033】
第1トルク端子109は、トルクセンサ94の第1センサ部194と接続される。第1センサ194の検出値は、第1トルク端子109および第1トルクセンサ入力回路112を経由して、第1制御回路部150に入力される。ここで第1センサ194および第1制御回路部150は、このトルクセンサ入力回路系の故障が検出されるように構成される。
【0034】
第2コネクタ部203には、第2電源端子205、第2グランド端子206、第2IG端子207、第2通信端子208、および、第2トルク端子209が設けられる。第2電源端子205は、図示しないヒューズを経由して第2バッテリ201の正極に接続される。第2電源端子205を経由して第2バッテリ201から供給された電力は、電源リレー222、インバータ部220、および、モータリレー225を経由して、第2モータ巻線280に供給される。第2グランド端子206は、ECU10の内部の第2系統のグランドである第2グランドGND2と、ECU10の外部の第2系統のグランドである第2外部グランドGB2とに接続される。車のシステムにおいては金属ボデーが共通のGNDプレーンとなっており、第2外部グランドGB2はGNDプレーン上の接続ポイントの1つを示し、さらに、第2バッテリ201の負極もこのGNDプレーン上の接続ポイントに接続される。ここで、少なくとも異なった系統は、GNDプレーン上の同一の接続ポイントに接続しないよう構成される。
【0035】
第2IG端子207は、車両の始動スイッチと連動してオンオフ制御される第2スイッチを経由して第2バッテリ201の正極と接続される。第2IG端子207を経由して第2バッテリ201から供給された電力は、第2カスタムIC235に供給される。第2カスタムIC235には、第2ドライバ回路236、第2回路電源237、図示しないマイコン監視モニタ、および、図示しない電流モニタアンプ等が含まれる。
【0036】
第2通信端子208は、第2車両通信回路211と、第2車両通信網295とに接続される。第2車両通信網295と第2制御回路部250とは、第2車両通信回路211を経由して、送受信が可能に接続される。また、第2車両通信網295と第1制御回路部150とは、受信のみ可能に接続し、第1制御回路部150が故障しても、第2制御回路部250を含む第2車両通信網295に影響がないように構成される。
【0037】
第2トルク端子209は、トルクセンサ94の第2センサ部294と接続される。第2センサ294の検出値は、第2トルク端子209および第2トルクセンサ入力回路212を経由して、第2制御回路部250に入力される。ここで第2センサ294および第2制御回路部250は、このトルクセンサ入力回路系の故障が検出されるように構成される。
【0038】
図4では、通信端子108、208は、それぞれ別途の車両通信網195、295に接続されているが、同一の車両通信網に接続されてもよい。また、
図4では、車両通信網195、295として、CAN(Controller Area Network)を例示しているが、CAN-FD(CAN with Flexible Data rate)やFlexRay等、どのような規格のものでもよい。
【0039】
第1インバータ部120は、スイッチング素子121を有する3相インバータであって、第1モータ巻線180の電力を変換する。第2インバータ部220は、スイッチング素子221を有する3相インバータであって、第2モータ巻線280の電力を変換する。
【0040】
第1電源リレー122は、第1電源端子105と第1インバータ部120との間に設けられる。第1モータリレー125は、第1インバータ部120と第1モータ巻線180との間の各相に設けられる。第2電源リレー222は、第2電源端子205と第2インバータ部220との間の各相に設けられる。第2モータリレー225は、第2インバータ部220と第2モータ巻線280との間に設けられる。
【0041】
本実施形態では、スイッチング素子121、221、電源リレー122、222、および、モータリレー125、225は、いずれもMOSFETであるが、IGBT等の他の素子を用いてもよい。
図5に示すように、第1電源リレー122をMOSFETのように寄生ダイオードを有する素子で構成する場合、寄生ダイオードの向きが逆向きとなるように2つの素子123、124を直列に接続することが望ましい。第2電源リレー222も同様であるので図示を省略する。これにより、バッテリ101、201が誤って逆向きに接続された場合に、逆向きの電流が流れるのを防ぐことができる。電源リレー122、222は、メカリレーであってもよい。
【0042】
図4に示すように、第1スイッチング素子121、第1電源リレー122および第1モータリレー125は、第1制御回路部150によりオンオフ作動が制御される。第2スイッチング素子221、第2電源リレー222および第2モータリレー225は、第2制御回路部250によりオンオフ作動が制御される。
【0043】
第1角度センサ126は、モータ80の回転角を検出し、検出値を第1制御回路部150に出力する。第2角度センサ226は、モータ80の回転角を検出し、検出値を第2制御回路部250に出力する。ここで、第1角度センサ126と第1制御回路部150、および第2角度センサ226と第2制御回路部250は、各々の角度センサ入力回路系の故障が検出されるように構成される。
【0044】
第1電流センサ127は、第1モータ巻線180の各相に通電される電流を検出する。第1電流センサ127の検出値は、カスタムIC135内の増幅回路にて増幅され、第1制御回路部150に出力される。第2電流センサ227は、第2モータ巻線280の各相に通電される電流を検出する。第2電流センサ227の検出値は、カスタムIC235内の増幅回路にて増幅され、第2制御回路部250に出力される。
【0045】
第1ドライバ回路136は、第1制御回路部150からの制御信号に基づき、第1スイッチング素子121、第1電源リレー122および第1モータリレー125を駆動する駆動信号を各素子に出力する。第2ドライバ回路236は、第2制御回路部250からの制御信号に基づき、第2スイッチング素子221、第2電源リレー222および第2モータリレー225を駆動する駆動信号を各素子に出力する。
【0046】
制御回路部150、250は、マイコン等を主体として構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、RAM、I/O及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。制御回路部150、250における各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。ここで、第1制御回路部150、および第2制御回路部250は、例えばロックドステップデュアルマイコン等を使用し、各々の自身の故障が検出されるように構成される。
【0047】
第1制御回路部150は、第1スイッチング素子121のオンオフ作動を制御することで、第1モータ巻線180の通電を制御する。第2制御回路部250は、第2スイッチング素子221のオンオフ作動を制御することで、第2モータ巻線280の通電を制御する。これにより、モータ80の駆動は、制御回路部150、250によって制御される。
【0048】
第1制御回路部150は、第1電源リレー122および第1モータリレー125のオンオフ作動を制御する。また、第1制御回路部150および第1カスタムIC135は、自系統である第1系統L1の異常を監視し、自系統を停止すべき異常が生じた場合、第1インバータ部120、第1電源リレー122および第1モータリレー125のいずれか1つ以上をオフにする。
【0049】
第2制御回路部250は、第2電源リレー222および第2モータリレー225のオンオフ作動を制御する。また、第2制御回路部250および第2カスタムIC235は、自系統である第2系統L2の異常を監視し、自系統を停止すべき異常が生じた場合、第2インバータ部220、第2電源リレー222および第2モータリレー225のいずれか1つ以上をオフにする。
【0050】
第1制御回路部150は、第2系統L2の動作状態を監視する。その方法として前記第2系統L2の異常を検出した時に自系統を停止する回路(例えば、第2インバータ部220、第2電源リレー222、および第2モータリレー225)または信号線302のうち、少なくとも1つの状態を監視し、非常停止しているか否かを判断する。本実施形態では、第2ドライバ回路236から第2電源リレー222に出力される第2リレーゲート信号Vrg2に基づいて第2電源リレー222の状態を監視する。
【0051】
第2制御回路部250は、第1系統L1の動作状態を監視する。その方法として前記第1系統L1の異常を検出した時に自系統を停止する回路(例えば、第1インバータ部120、第1電源リレー122、および第1モータリレー125)または信号線301のうち、少なくとも1つの状態を監視し、非常停止しているか否かを判断する。本実施形態では、第1ドライバ回路136から第1電源リレー122に出力される第1リレーゲート信号Vrg1に基づいて第1電源リレー122の状態を監視する。リレーゲート信号に替えて、電源リレー122を構成する2つの素子123、124間の中間電圧、制御回路部150から出力されるリレー駆動信号、または、電源リレー122とインバータ部120との間のリレー後電圧を用いて他系統監視を行ってもよい。第1制御回路部150での第2系統L2の監視についても同様である。
【0052】
第1制御回路部150と第2制御回路部250とは、信号線301、302で接続され、マイコン間通信にて相互に情報を送受信可能である。信号線301は、第1制御回路部150が出力側、第2制御回路部250が入力側である。信号線302は、第2制御回路部250が出力側、第1制御回路部150が入力側である。すなわち信号線301、302は、入出力の向きが反対である。
【0053】
図6に示すように、第1制御回路部150は、信号線301に対し、信号線301に接続される出力回路151、信号線301と第1回路電源137との間に設けられるダイオード152、および、信号線301と第1グランドGND1との間に設けられるダイオード153を有する。また、第1制御回路部150は、信号線302に対し、信号線302に接続される入力回路156、信号線302と第1回路電源137との間に設けられるダイオード157、および、信号線302と第1グランドGND1との間に設けられるダイオード158を有する。
【0054】
第2制御回路部250は、信号線301に対し、信号線301に接続される入力回路251、信号線301と第2回路電源237との間に設けられるダイオード252、および、信号線301と第2グランドGND2との間に設けられるダイオード253を有する。また、第2制御回路部250は、信号線302に対し、信号線302に接続される出力回路256、信号線302と第2回路電源237との間に設けられるダイオード257、および、信号線302と第2グランドGND2との間に設けられるダイオード258を有する。
【0055】
ダイオード152、153、157、158、252、253、257、258は、いずれも低電位側から高電位側への電流が許容されるように設けられている。
図6等では、バッテリ101、201をVbatt1、2、回路電源137、237をVcc1、Vcc2、および各系統の消費電流を電流源記号として記載する。以下主に、第1系統L1が出力側、第2系統L2が入力側である信号線301について説明する。なお、信号線302は、入出力を信号線301と反対にすればよい。
【0056】
本実施形態では、第1系統L1と第2系統L2とで、グランドGND1、GND2が分離されている。ここで、一方の系統にグランド電位浮きやグランド断線等のグランド異常が発生した場合、信号線301を経由した回り込み電流が発生する。本明細書では、グランド電位浮きやグランド断線を、単に「グランド異常」とし、図中適宜、×印で示す。また、第2グランドGND2のグランド異常により流れる電流を破線の矢印Ax2、第1グランドGND1のグランド異常により流れる電流を一点鎖線の矢印Ax1で示す。また、破線または一点鎖線の先が丸印にて止まっている箇所は、グランド異常発生時に、系統間を跨ぐ電流がここで遮断されることを示している。
【0057】
例えば
図14に示す参考例では、第2系統L2にてグランド異常が生じた場合、矢印Ax2で示すように、信号線301のダイオード253、152を経由して正常系統である第1系統L1に回り込む。これにより、信号線301に高電圧や過電流が加わったり、第1回路電源137の電圧が上昇したりすると、第1系統L1において、回路の誤作動や故障が生じる虞がある。例えばフォトカプラ、トランスなど用いた絶縁タイプのインターフェースを設けることで回り込み電流を防ぐことができる。しかしながら、これら絶縁タイプのインターフェースは、高価かつサイズが大きく、採算面や基板470の実装面積等の制約から、実装できない場合がある。
【0058】
そこで本実施形態では、
図6に示すように、第1制御回路部150と第2制御回路部250とを接続する信号線301、302に回り込み抑制回路501、601を設ける。以下、第1系統L1に設けられる回り込み抑制回路を構成する部品等を500番台、第2系統L2に設けられる回り込み抑制回路を構成する部品等を600番台とする。
【0059】
本実施形態では、回り込み抑制回路501、601として、信号線301、302にそれぞれn(nは2以上の整数)個の抵抗を直列に挿入することで、回り込み電流を制限する。当該構成は、比較的低速での通信を行う信号線に好適に用いられる。詳細には、信号線301に、抵抗R11~R1nを直列に挿入する。また、信号線302には、抵抗Rm1~Rmnを直列に挿入する。以下適宜、信号線301に設けられる抵抗をまとめて抵抗R1、信号線302に設けられる抵抗をまとめて抵抗Rmとする。
【0060】
第2系統L2にてグランド断線が生じた場合、グランド電位は、最大で、第2バッテリ201の電圧である第2バッテリ電圧Vbatt2近くまで浮き上がる可能性がある。そこで、第2グランドGND2のグランド電位が第2バッテリ電圧Vbatt2まで浮き上がったときに第1系統L1側に流れる電流が、第1系統L1の誤作動や故障を引き起こさない値となるように、信号線301、302に抵抗を直列に挿入する。
【0061】
なお、例えばショート故障等の抵抗値が低下する故障が抵抗R1、Rmに生じとしても、機能的には正常動作が可能であるため、故障が検出されない潜在故障状態となる虞がある。この状態にて、グランド断線が生じた場合、両系統とも故障し、アシストを継続できなくなる虞がある。これを回避すべく、故障検出回路等を追加すると、回路構成が複雑になる。
【0062】
そこで本実施形態では、抵抗の故障率が非常に低いことに着目し、回り込み抑制回路501、601として、信号線301、302に2つ以上の抵抗を挿入することで、故障の発生確率を大幅に下げる構成とした。例えば、1つの抵抗の故障率が1FIT(Failure In Time=1×10-9/hr)とすると、2つの抵抗が直列に接続されている場合に、20年間で抵抗2つともが故障する確率λは、式(1)に示す如くであって、限りなく0に近い値となる。これにより、高安全、高品質、小型かつ低コストを、シンプルな構成にて実現可能である。なお、抵抗の故障率は、実際には1FITより小さい。
【0063】
λ=(1×10-9)×(1×10-9)×20×365×24
=1.75×10-4[FIT] ・・・(1)
【0064】
信号線301に設けられる抵抗R1の総抵抗Rsについて説明する。最悪ケースとして、グランド断線により、グランドに他系統のバッテリ電圧がかかる場合を想定すると、総抵抗Rsは、式(2)、(3)を満たす値に設定される。
【0065】
Rs≧m×(VG-Vd-Vc)/{(m-1)×Ia} ・・・(2)
【0066】
Is+Iz=ΣIx* ・・・(3)
ここで、Ix*=(VG-Vd*-Vc)/Rs*、*=1~n
但し、Rs*のどれか1つは、Rs*を構成する抵抗の1つがショートしたときの値とする。
【0067】
式中の記号は、以下の通りである。なお、
図6中には、系統番号や信号線番号を示す添え字を適宜付して記載した。
VG:グランド浮き最大値(≒グランド断線系統の電源電圧の最大値)
Ia:回り込む信号線経路の許容電流値=Min[Ia1,Ia2]
Vd:Rsを除く回り込み経路の電圧降下(配線抵抗、寄生Di、Zdiなど)
Vc:回り込む電源系の電源電圧
Is:回り込む電源系の電源引込電流
ユニポーラ電源の場合は、Is=0
Iz:回り込む電源系の負荷電流
m:同一電源系に回り込む系統間信号数
n:シリーズ抵抗数
【0068】
式(2)、(3)より、信号線301、302に挿入する抵抗の総抵抗Rsが大きいほど余裕度が上がるが、その反面、総抵抗Rsが大きくなると、信号線301、302のリーク電流耐性が低下したり、信号線301、302の寄生容量による信号遅延により通信速度が低下したりする。そのため、これらの点を考慮し、所望の信号周波数や閾値が成り立つようにインターフェース設計することで、総抵抗Rsの上限が決まる。
【0069】
以上説明したように、ECU10は、複数の制御回路部150、250と、信号線301、302と、回り込み抑制回路501、601と、を備える。制御回路部150、250は、それぞれ分離されたグランドに接続される。信号線は、第1の制御回路部150と、第2の制御回路部250と、を接続する。ここで、制御回路部150、250に対応して設けられる部品およびグランドの組み合わせを系統とする。回り込み抑制回路501、601は、信号線301、302で接続される一方の系統のグランドから、他方の系統への電力の回り込みを抑制する。一部の系統にグランド浮きやグランド断線等のグランド異常が生じた場合であっても、信号線301、302を経由して正常系統に電力が回り込むのが抑制され、正常系統の故障を引き起こす連れ回り故障を防ぐことができ、正常系統を用いての制御を継続することができる。
【0070】
本実施形態の回り込み抑制回路501、601は、直列接続されるn(nは2以上の整数)個の抵抗R11~R1n、Rm1~Rmnを有する。抵抗値を適切に設定することで、比較的簡素な構成にて、信号伝達を許容しつつ、回り込み電流を適切に抑制することができる。さらに、この構成において、配線容量は配線長に比例して分布定数的に存在するため、出力側に近い抵抗の抵抗値を相対的に小さく、入力側に近い抵抗の抵抗値を相対的に大きく設定する構成にすれば、信号の周波数特性を改善できる。
【0071】
(第2実施形態、第3実施形態)
第2実施形態を
図7に、第3実施形態を
図8に示す。以下の実施形態では、信号線301に設けられる回り込み抑制回路を中心に説明する。
【0072】
図7に示すように、第2実施形態では、第2系統L2に設けられる回り込み抑制回路602は、nチャネル型のFET(電界効果トランジスタ)621、および、抵抗622、623を有する。第1制御回路部150の出力端子は、抵抗511を経由して、FET621のゲートに接続される。FET621のゲートと第2グランドGND2との間には、抵抗622が設けられる。FET621のソースは、抵抗622と第2グランドGND2との間に接続される。FET621のドレインは、第2制御回路部250の入力端子と接続される。また、FET621のドレインは、抵抗623を経由して第2回路電源237と接続される。FET621には、低電位側から高電位側への通電を許容する保護ダイオードが設けられる。後述の他のFETにも同様に保護ダイオードが設けられている。
【0073】
図8に示すように、第3実施形態では、第2系統L2に設けられる回り込み抑制回路603は、pチャネル型のFET631、および、抵抗632、633を有する。第1制御回路部150の出力端子は、抵抗511を経由して、FET631のゲートに接続される。FET631のゲートと第2回路電源237との間には、抵抗632が設けられる。FET631のソースは、抵抗632と第2回路電源237との間に接続される。FET631のドレインは、第2制御回路部250の入力端子と接続される。また、FET631のドレインは、抵抗633を経由して第2グランドGND2と接続される。
【0074】
FET621、631には、両系統のバッテリ電圧Vbatt1、Vbatt2以上のゲート耐圧のものが用いられる。第2実施形態の回り込み抑制回路602および第3実施形態の回り込み抑制回路603は、第1実施形態と同様、比較的低速な信号線に好適に用いられる。また、抵抗622、632の抵抗値が大きければ、回り込み電流を抑制可能であるので、抵抗511は省略可能である。
【0075】
なお、回り込み抑制回路602、603では、一次故障として、FET621、631のゲートショートや、抵抗622、632のショート故障が発生し、次いで第2グランドGND2の断線やグランド浮きが発生すると、2系統同時故障となる。そのため、FET621のゲートショートまたは抵抗622、632のショート故障が発生した際に、当該異常を速やかに検出可能に構成することが望ましい。例えば、電源立ち上げ時にON、OFF信号を出力し、確認するシーケンスを追加する。「電源」は、回路電源137、237に対応する。もしくは、シリアル通信、パルス幅変調(PWM)通信やパルス周波数変調(PFM)通信などのパルス信号化するなどして、常時異常検出できるように構成する。ここで、パルス化した信号線で送るデータに、ECC(Error Correction Code)、パリティ、または、CRC(Cyclic Redundancy Check)等のチェックデータを加えるようにすれば、信号異常の検出感度をより高めることができる。そして、異常が検知された場合、車両停止等の安全状態に移行するように設計する。また、その後にGND異常が発生したとしても、例えば、抵抗511を追加するなどして、第1系統L1が従属故障とならないよう設計することで、安全性を担保することができる。このような異常検出に係る構成は、第1実施形態、および、後述の実施形態にも適用可能である。
【0076】
回り込み抑制回路602、603は、信号が入力される側の系統に設けられ、少なくとも1つの電界効果トランジスタであるFET621、631を有する。第2実施形態では、FET621はnチャネル型であって、回り込み抑制回路602は、FET621に加え、第1抵抗である抵抗622、および、第2抵抗である抵抗623を有する。抵抗622は、FET621のゲートと自系統のグランドとの間に設けられる。抵抗623は、FET621のソースと自系統の回路電源237との間に設けられる。
【0077】
第3実施形態では、FET631は、pチャネル型であって、回り込み抑制回路603は、FET631に加え、第1抵抗である抵抗632、および、第2抵抗である抵抗633を有する。抵抗632は、FET631のゲートと自系統の回路電源237との間に設けられる。抵抗633は、FET631のドレインと自系統のグランドとの間に設けられる。このように構成しても、グランド異常時の回り込み電流を適切に抑制することができる。
【0078】
信号線301、302のうちの少なくとも1つは、オンまたはオフの二値を送受信するものである。制御回路部150、250は、制御回路部150、250へ電力を供給する回路電源137、237の立ち上げ時に、オンおよびオフの信号を出力し、回り込み抑制回路602、603の異常の有無を判定可能である。また、信号線301、302のうちの少なくとも1つは、パルス化された信号を送受信するものである。好ましくは、パルス化された信号には、送信データ、および、異常検出用のチェックデータが含まれる。異常検出用のチェックデータは、例えば、ECC、パリティまたはCRC等である。これにより、回り込み抑制回路602、603の異常を適切に検出することができる。
【0079】
(第4実施形態)
第4実施形態を
図9に示す。本実施形態の回り込み抑制回路604は、第2系統L2に設けられ、2つのFET641、642を有する。高電位側に設けられるFET641はpチャネル型、低電位側に設けられるFET641はnチャネル型である。FET641のソースは第2回路電源237に接続され、ドレインはFET642のドレインと接続される。FET642のソースは、第2グランドGND2に接続される。FET641、642のゲートは、第1制御回路部150の出力端子と接続される。第2制御回路部250の入力端子は、FET641のドレインとFET642のドレインとの間に接続される。
【0080】
FET641、642には、両系統のバッテリ電圧Vbatt1、Vbatt2以上のゲート耐圧のものが用いられる。本実施形態の回り込み抑制回路604は、上記実施形態と比較し、相対的に高速な信号線に適応可能である。なお、第2実施形態および第3実施形態と同様、FET641、642のゲートショートが発生した際に当該異常を速やかに検出可能に構成することが望ましい。例えば、電源立ち上げ時にON、OFF信号を出力し確認するシーケンスを追加、もしくはパルス信号化するなどして、常時異常を検出できるように構成する。そして、異常が検知された場合、速やかに車両停止等の安全状態に移行するように設計する。また、その後にGND異常が発生したとしても、例えば、抵抗511を追加するなどして、第1系統L1が従属故障とならないよう設計することで、安全性を担保することができる。
【0081】
本実施形態では、回り込み抑制回路604は、2つのFET641、642を有し、一方のFET641は、pチャネル型であって高電位側に設けられ、他方のFET642はnチャネル型であって低電位側に設けられる。このように構成しても、グランド異常時の回り込み電流を適切に抑制することができる。
【0082】
(第5実施形態)
第5実施形態を
図10に示す。本実施形態の回り込み抑制回路505、605は、CMOSロジックICを用いており、比較的高速での通信が要求される信号線に好適に用いられる。本実施形態では、信号線301は、第1制御回路部150と回り込み抑制回路505とを接続する出力線311、回り込み抑制回路505、605間を接続する系統間接続線312、および、回り込み抑制回路605と第2制御回路部250とを接続する入力線313を有する。
【0083】
第1系統L1に設けられる回り込み抑制回路505は、ロジックIC550、および、ダイオード556、557を有する。ダイオード556はロジックIC550の高電位側に設けられ、ダイオード557はロジックIC550の低電位側に設けられる。
【0084】
ロジックIC550は、FET551、552、および、静電気保護素子の定電圧ダイオード553を有する。なお、静電気保護素子は、入力と電源間およびGNDと入力間のダイオード構成であってもよい。高電位側に設けられるFET551はpチャネル型、低電位側に設けられるFET552はnチャネル型である。FET551のソースはダイオード556を経由して第1回路電源137に接続され、ドレインはFET552のドレインと接続される。FET552のソースは、ダイオード557を経由して第1グランドGND1と接続される。FET551、552のゲートは、出力線311を経由して第1制御回路部150の出力端子と接続される。FET551のドレインとFET552のドレインとの間には、系統間接続線312の一端が接続される。定電圧ダイオード553は、アノードがFET552のソースに接続され、カソードが出力線311に接続される。
【0085】
第2系統L2に設けられる回り込み抑制回路605は、ロジックIC650、および、ダイオード656、657を有する。ダイオード565はロジックIC650の高電位側に設けられ、ダイオード657はロジックIC650の低電位側に設けられる。ダイオード556、656は、省略してもよい。
【0086】
ロジックIC650は、FET651、652、および、静電気保護素子の定電圧ダイオード653を有する。高電位側に設けられるFET651はpチャネル型、低電位側に設けられるFET652はnチャネル型である。FET651のソースはダイオード656を経由して第2回路電源237に接続され、ドレインはFET652のドレインと接続される。FET652のソースは、ダイオード657を経由して第2グランドGND2と接続される。FET651、652のゲートは、系統間接続線312の他端と接続される。第2制御回路部250の入力端子は、FET651のドレインとFET652のドレインとの間に接続される。定電圧ダイオード653は、アノードがFET652のソースに接続され、カソードが系統間接続線312に接続される。定電圧ダイオード553、653を設けることで、FET551、552、651、652が静電気から保護される。本実施形態のロジックIC550、650は、各系統のバッテリ電源101、201からの電圧Vbatt1およびVbatt2よりも耐圧が低い。
【0087】
入力側である第2グランドGND2のグランド異常が生じた場合、ダイオード657の逆耐圧が高いため、破線の通電経路で示すように、第2グランドGND2からの回り込みはなく回路故障には至らない。また、第2回路電源237からの回り込みについては、第1制御回路部150からの出力がLoであればロジックIC550の低電圧側のFET552がオフとなるため、通常耐圧の2倍を超えても回路故障には至らない。一方、第1制御回路部150からの出力がHiの場合はロジックIC550の低電圧側のFET552がオンとなるため、第2回路電源237の電圧に第2グランドGND2の電位を加えた電圧がロジックIC650の高電圧側FET651のソースとゲート間に印加される。この印加電圧がロジックICの650の素子耐圧を超えると、破線の矢印で示す経路の大電流が第1グランドGND1に流れ、ロジックIC550の低電圧側FET552の故障に至る可能性はあるが、連れ回り故障はここで止まり第1系統L1の機能故障には至らない。
【0088】
出力側である第1グランドGND1のグランド異常が生じた場合は、一点鎖線の通電経路で示すように、第1グランドGND1からの回り込みはなく回路故障には至らない。第1回路電源137からの回り込みについては、第1制御回路部150からの出力がHiであれば、ロジックIC550、650の高電位側のFET551、651がオフとなるため、通常耐圧の2倍を超えても回路故障には至らない。一方、第1制御回路部150からの出力がLoの場合は、FET551、651がオンとなるため、第1回路電源137の電圧の第1グランドGND1の電位を加えた電圧が信号線301に印加される。この印加電圧がロジックIC650の素子耐圧より大きくなると、一点鎖線の矢印で示す経路の大電流が第2グランドGND2に流れ、ロジックIC650のダイオード553の故障に至る可能性があるが、連れ回り故障はここで止まり第2系統L2の機能故障には至らない。
【0089】
加えて、GND異常時の連れ回り故障を防止するため、本実施形態では、出力側の系統である第1系統にグランド電位検出部580を設け、グランド異常とならない範囲内で予め設定されたグランド浮き判定値を超えて浮いた場合、ロジックIC550の出力論理を切り替え、耐圧を超えないように動作させることで、連れ回り故障を防ぐ。
【0090】
ここで、ロジックIC550、650の入力耐圧が低く、グランド異常で回路破壊の虞がある場合を例に説明する。出力側の系統である第1系統にグランド電位検出部580を設け、IC650の入力耐圧を超えないように予め設定された第2グランド浮き判定値を第2グランド電位が超えて浮いた場合、ロジックIC650の出力論理をHiに切り替え、耐圧を超えないように動作させることで、連れ回り故障を防ぐことができる。同様に、IC650の入力耐圧を超えないように予め設定された第1グランド浮き判定値を第1グランド電位が超えて浮いた場合、ロジックIC550の出力論理をLoに切り替え、耐圧を超えないように動作させることで、連れ回り故障を防ぐことができる。
【0091】
グランド電位検出部580を
図11に基づいて説明する。第1グランド電位検出部580は、抵抗581~583、および、コンデンサ584を有する。抵抗581、582は分圧抵抗を構成し、抵抗583およびコンデンサ584はフィルタ回路を構成する。フィルタ回路を設けることで、検出値のノイズを低減することができる。
【0092】
抵抗581は、一端が回路電源137および制御回路部150に内蔵されているアナログデジタル変換器(以下、「ADC」)の参照電圧の高電圧側ADREF+端子に接続され、他端が抵抗582に接続される。抵抗582は、一端が抵抗581に接続され、他端が他系統グランドである第2グランドGND2に接続される。抵抗583は、一端が抵抗581、582の間に接続され、他端が制御回路部150のADC入力端子(以下、「ADIN1端子」)に接続される。制御回路部150は、抵抗583の端子電圧をデジタル値ADC1に変換する。その値に基づいて、第1グランドGND1および第2グランドGND2のグランド異常を検出する。コンデンサ584は、高電位側が抵抗583と制御回路部150のADIN1端子との間とに接続され、低電位側が自系統グランドである第1グランドGND1と制御回路部150のADC参照電圧の低電圧側ADREF-端子との間に接続される。
【0093】
このようにグランド電位検出部580を構成し、閾値を適切に設定すれば、制御回路部150は、ADIN1端子の検出値に基づいて、自系統のグランド異常および他系統のグランド異常を検出可能である。なお、グランド電位検出部580の回路構成は、
図11に示したものに限らず、自系統および他系統のグランド異常を検出可能ならどのような回路としてもよい。また、グランド電位検出部580を省略し、例えば系統間に相互通信線がある場合の通信異常等、グランド浮きによって動作が変化する事象を検出することで代替えしてもよい。
【0094】
本実施形態では、ダイオード556、557、656、657のショート故障を検出することができず潜在故障となるが、その後にグランド異常が発生したとしても、ロジックIC550、650のグランド側に電流が流れる構成となっているため、最終的には、信号線301の断線故障となり、連れ回り故障には至らず、正常系統での駆動を継続可能である。
【0095】
他方、
図15に示す参考例では、回り込み抑制回路591のロジックIC595は、定電圧ダイオード553に替えて、2つのダイオード596、597が設けられている。また回り込み抑制回路691のロジックIC695は、定電圧ダイオード653に替えて、2つのダイオード696、697が設けられている。この回路構成では、ダイオード656のショート故障が潜在故障となっている状態にて、第1系統L1のグランド異常が発生すると、一点鎖線の矢印Ax3に示すように、第2回路電源237の電圧が上昇し、第2系統L2の素子破壊や誤作動が生じ、両系統の同時故障となる虞がある。なお、図中の素子に付された×印は、グランド異常により破壊される虞があることを意味する。
【0096】
本実施形態の回り込み抑制回路505、605は、論理回路としてのロジックIC550、650を有する。ロジックIC550は、CMOS回路であって、2つのFET551、552、および、定電圧ダイオード553を有する。定電圧ダイオード553は、FET551、552のゲートと接続されるゲート信号線である出力線311と、低電位側のFET552のソースとの間に設けられる。同様に、ロジックIC650は、CMOS回路であって、2つのFET651、652、および、定電圧ダイオード653を有する。定電圧ダイオード653は、FET651、652のゲートと接続されるゲート信号線である系統間接続線312と、低電位側のFET652のソースとの間に設けられる。
【0097】
また、回り込み抑制回路505、605は、ロジックIC550、650と自系統のグランドとの間に設けられ、グランド側への通電のみを許容するダイオード557、657を有する。このように構成しても、グランド異常時の回り込み電流を適切に抑制することができる。また、回り込み抑制回路505、605に論理回路を用いることで、通信速度の低下を防ぐことができるので、高速での通信が要求される場合に好適に用いることができる。
【0098】
少なくとも信号出力側の系統には、グランド電位に係る値を検出するグランド電位検出部580が設けられる。信号出力側の制御回路部150は、グランド電位検出部580の検出値に応じて信号出力論理を切り替える。これにより、ロジックIC550、650の耐圧が低い場合であっても、出力論理の切り替えることで、耐圧を超えないように動作させることで、連れ回り故障を防ぐことができる。また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0099】
(第6実施形態)
第6実施形態を
図12に示す。本実施形態の回り込み抑制回路506、606は、ダイオード557、657が省略されている点が第5実施形態の回り込み抑制回路505、605と異なっている。なお、
図12では、グランド電位検出部580の記載を省略した。
【0100】
本実施形態において、入力側である第2系統L2にてグランド異常が発生した場合、定電圧ダイオード653を経由して信号線301に電流が回り込む。ここで、第1系統L1のロジックIC550の出力とグランド間の耐圧が低く、FET552がショートすることで、ロジックIC550の出力とロジックIC650の入力との間のボンディングワイヤが溶断するように構成することで、正常系統である第1系統L1の連れ回り故障を防ぐことができる。
【0101】
もしくは、ロジックIC650がCMOS論理回路を複数有するものであって、複数の信号を系統間でやり取りするものであれば、第2グランドGND2のグランド異常時に第2グランドGND2に複数のCMOS論理回路の総計した電流が流れるようにすることで、ロジックIC650のグランドのボンディングワイヤが溶断するように構成して、第1系統L1の連れ回り故障を防ぐようにしてもよい。
【0102】
図16に示す参考例の回り込み抑制回路592、692は、ダイオード557、657が省略されている点が
図15の回り込み抑制回路591、692と異なる。
図16の例では、第1グランドGND1にグランド異常が生じた場合、第1回路電源137および第1グランドGND1から信号線301を経由して第2回路電源237に電流が回り込むことで、第2回路電源237の電圧上昇が生じ、第2回路電源237に繋がる素子の誤作動や素子破壊を引き起こす虞がある。なお、これを防止するために、ダイオード656を設けたとしても、第2系統L2の電源グランド間耐圧電圧(例えば6.5~10[V])を超え、ショート破壊による過電流が流れると、第2回路電源237の電圧が低下することで、第2系統L2が停止し、両系統共に動作できなくなる虞がある。
【0103】
本実施形態では、
図12に示すように、ロジックIC650には、入力側とFET651の高電位側とを接続するダイオード696が設けられていないので、第1系統L1から第2回路電源237への経路を遮断することができる。そして、故障モードとして、ロジックIC650の入力-グランド間に設けられる定電圧ダイオード615がショートすることで、ロジックIC650の入力端子、または、ロジックIC550の出力端子のボンディングが溶断するよう構成することで、正常系統である第2系統L2の連れ回り故障を防ぐことができる。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0104】
(第7実施形態)
第7実施形態を
図13に示す。本実施形態では、制御回路部150、250間を接続する信号線303、304は、信号線301と同様、第1制御回路部150が出力側、第2制御回路部250が入力側の例である。本実施形態では、比較的高速での通信が要求される信号線である高速信号線303には、第5実施形態にて説明した回り込み抑制回路505、605が設けられる。高速信号線303は、例えば車両通信網195と接続されるCAN信号線である。
図13では、車両通信回路111、211および通信端子108、208等の記載は省略した。
【0105】
一方、信号線303と比較し、相対的に低速での通信が行われる信号線である低速信号線304には、回り込み抑制回路507、607が設けられる。低速信号線304には、第1実施形態と同様、回り込み抑制回路501、601としてn(nは2以上の整数)個の抵抗が直列に挿入されている。
図13においては、代表として抵抗R11、R1nを図示した。通信速度に応じた回り込み抑制回路を設けることで、要求される通信速度を満たしつつ、構成を簡素化することができる。
【0106】
なお、相対的に高速での通信を行う信号線に設けられる回り込み抑制回路を第4実施形態または第6実施形態のもの、相対的に低速での通信を行う信号線に設けられる回り込み抑制回路を第2実施形態または第3実施形態のものとしてもよい。
【0107】
本実施形態のECU10は、複数の制御回路部150、250と、複数の信号線303、304と、回り込み抑制回路505、507、605、607と、を備える。制御回路部150、250は、それぞれ分離されたグランドに接続される。信号線303、304は、第1の制御回路部150と第2の制御回路部250と、を接続する。回り込み抑制回路505、507、605、607は、信号線303、304で接続される一方の系統のグランドから、他方の系統への電力の回り込みを抑制する。
【0108】
相対的に高速での通信を行う信号線である高速信号線303に設けられる回り込み抑制回路505、605と、相対的に低速での通信を行う信号線である低速信号線304に設けられる回り込み抑制回路507、607とは、構成が異なっている。詳細には、高速信号線303に設けられる回り込み抑制回路505、605は、論理回路であるロジックIC550、650を有する。低速信号線304に設けられる回り込み抑制回路507、607は、直列接続されるn(nは2以上の整数)個の抵抗(R11、R1n)を有する。
【0109】
これにより、要求される通信速度に応じ、適切な回り込み抑制回路505、605、507、607を選択することができる。特に、高速信号線303の回り込み抑制回路505、506には論理回路を用い、低速信号線304の回り込み抑制回路507、607として複数の抵抗を直列に挿入することで、要求される通信速度を満たしつつ、可及的簡素な構成にて、グランド異常時における正常系統への電力の回り込みを抑制することができる。
【0110】
ECU10は、車両に搭載されるモータ80を制御するものであって、高速信号線303は、他の制御装置との通信を行う車両通信網195と接続されている。これにより、車両通信網195の通信速度要求を満たしつつ、回り込み電流を適切に抑制することができる。
【0111】
(他の実施形態)
上記実施形態では、信号線に設けられる回り込み抑制回路として、直列接続される2以上の抵抗、FETを用いた回路、および、CMOS回路を用いたものを例示した。他の実施形態では、回り込み抑制回路は、グランド異常が生じたときに、当該グランドから正常系統への電力の回り込みを抑制可能であれば、どのような回路構成としてもよい。
【0112】
上記実施形態では、モータ巻線、インバータ部および制御回路部が2つずつ設けられる。他の実施形態では、巻線組、インバータ部および制御回路部を3つ以上設け、3系統以上としてもよい。また、1つの系統に制御部を複数設ける、あるいは、1つの制御部に対して複数の駆動回路および巻線組を設ける、といった具合に、各系統の部品を複数設けてもよい。また、複数のインバータ部に対して1組のモータ巻線を設けてもよい。
【0113】
上記実施形態では、回転電機は、3相のブラシレスモータである。他の実施形態では、回転電機は、ブラシレスモータに限らず、どのようなモータとしてもよい。また、回転電機は、モータに限らず、発電機であってもよいし、電動機と発電機の機能を併せ持つ、所謂モータジェネレータであってもよい。
【0114】
上記実施形態では、電子制御装置は、電動パワーステアリング装置に適用される。他の実施形態では、電子制御装置を電動パワーステアリング装置以外の装置に適用してもよい。以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0115】
10・・・ECU(電子制御装置)
150、250・・・制御回路部 301~304・・・信号線
303・・・高速信号線 304・・・低速信号線
311・・・出力線(ゲート信号線) 312・・・系統間接続線(ゲート信号線)
501、505~507、601~607・・・回り込み抑制回路
550、650・・・ロジックIC(論理回路)
551、552、621、631、641、642、651、652
・・・FET(電界効果トランジスタ)
553、563・・・定電圧ダイオード
R11~R1n、Rm1~Rmn・・・抵抗