(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】加熱システム
(51)【国際特許分類】
F27D 7/02 20060101AFI20221213BHJP
F27D 7/04 20060101ALI20221213BHJP
F26B 15/14 20060101ALI20221213BHJP
F26B 21/00 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
F27D7/02 A
F27D7/04
F26B15/14
F26B21/00 B
(21)【出願番号】P 2019084669
(22)【出願日】2019-04-25
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 利恭
【審査官】櫛引 明佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-254669(JP,A)
【文献】国際公開第2008/156110(WO,A1)
【文献】特開昭61-199031(JP,A)
【文献】特開2013-181222(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0103059(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27D 7/00-15/02
F27B 9/00-9/40
F27B 5/00-5/18
C21D 1/00-1/84
C21D 9/00-9/70
B05C 1/00-21/00
B05D 1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔(101)が形成されたワーク(100)に加熱された空気を吹き付ける加熱システムであって、
前記ワークを支持するワーク支持部(221)と、
前記空気が流れる流路形成部(321)と、
前記流路形成部の内部に配置され
る整流ノズルであって、前記貫通孔に前記流路形成部が対向したときに、前記流路形成部を流れる前記空気を前記ワーク支持部に支持された前記ワークの前記貫通孔より径方向外側に案内する整流ノズル(323)と、
前記流路形成部、前記ワーク支持部および前記整流ノズルを内部に配置した加熱炉(10)と、を備えた加熱システム。
【請求項2】
前記ワークを支持する前記ワーク支持部を搬送する搬送ユニット(20)と、
前記加熱炉の内部の前記空気を加熱する加熱部(17、18)と、を備え、
前記加熱部によって加熱された前記空気と前記整流ノズルを介して前記ワークに吹き付けられた前記空気の熱によって前記搬送ユニットによって搬送される前記ワーク支持部に支持された前記ワークが焼き付けされる請求項1に記載の加熱システム。
【請求項3】
前記整流ノズルは、前記ワーク支持部との距離が短くなるにつれて拡径する円錐形状部(323a)を有している請求項1または2に記載の加熱システム。
【請求項4】
前記ワークには、前記貫通孔の径方向外側に前記貫通孔の軸線方向に凹むリング状の溝部(102)が形成され、前記整流ノズルから前記溝部に向かって前記空気が吹き付けられるように前記ワーク支持部に支持されており、
前記ワーク支持部は、前記溝部に向かって延びるリング状の整流冶具(223)を有している請求項1ないし3のいずれか1つに記載の加熱システム。
【請求項5】
前記ワーク支持部は、前記ワークの外周を覆うカバー(224)を有している請求項1ないし4のいずれか1つに記載の加熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、加熱対象物に対して熱風を高速で噴出させる装置が種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、加熱対象物であるワークの腐食を防止するためワークに塗料を塗布した後、熱風を高速で吹き付ける加熱システムがある。
【0005】
この加熱システムは、
図8に示すように、ワーク900を所定温度の空気で急速に加熱する急速加熱炉800と、急速加熱炉800で加熱されたワーク900を、所定温度よりも低い温度の空気で時間をかけて加熱する不図示の焼付炉を備えている。この加熱システムは、ワーク900を支持するワーク支持部810と、急速加熱炉のワーク支持部810を焼付炉に搬送する搬送チェーン820と、を有し、急速加熱炉800内のワーク900は急速加熱炉800内で急速加熱された後、搬送チェーン820によって焼付炉に搬送される。
【0006】
この加熱システムは、中央に貫通する貫通孔901が形成されたワーク900を加熱する。このような加熱システムでは、ワーク900に向けて熱風を吹き付ける際に熱風が貫通孔901を通過してしまうと無駄が生じワーク900全体を効率よく加熱できない。
【0007】
このため、この加熱システムでは、まず、蓋状の蓋部材831と、蓋部材831から上下方向下側に突出する凸部832と、を有する内径部挿入冶具830をワーク900の上下方向上側に配置する。次に、凸部832をワーク900の貫通孔901に挿入するよう内径部挿入冶具830を下側に移動させる。そして、この状態で、ワーク900の上下方向下側からワーク900に向けて熱風を吹き付けるようにしている。これにより、熱風がワーク900の貫通孔901を通過することなくワーク900全体に吹き付けられる。
【0008】
上記した加熱システムは、ワーク900の上側からワーク900の貫通孔901に内径部挿入冶具830を挿入する機構を備える必要があるためシステムが大型になってしまうといった問題がある。また、ワーク900を高速加熱するたびに内径部挿入冶具830を上下させる必要があるので構成が複雑である。
【0009】
本発明は上記点に鑑みたもので、加熱炉の小型化を図るとともに加熱炉の構成を簡素化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、貫通孔(101)が形成されたワーク(100)に加熱された空気を吹き付ける加熱システムであって、ワークを支持するワーク支持部(221)と、空気が流れる流路形成部(321)と、流路形成部の内部に配置される整流ノズルであって、前記貫通孔に前記流路形成部が対向したときに、流路形成部を流れる空気をワーク支持部に支持されたワークの貫通孔より径方向外側に案内する整流ノズル(32)と、流路形成部、ワーク支持部および整流ノズルを内部に配置した加熱炉(10)と、を備えている。
【0011】
上記した構成によれば、加熱された空気が流れる流路形成部の内部に流路形成部を流れる空気をワーク支持部に支持されたワークの貫通孔より径方向外側に案内する整流ノズルが設けられているので、加熱炉の小型化を図るとともに加熱炉の構成を簡素化することができる。
【0012】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施
形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態に係る加熱システムの上面図である。
【
図7】急速加熱ユニットでワークが加熱される様子を示した図である。
【
図8】課題を説明するための図であって、蓋部材から上下方向下側に突出する凸部を有する内径部挿入冶具を備えた加熱システムの構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一実施形態に係る加熱システムについて
図1~
図7を用いて説明する。本加熱システムは、加熱対象物であるワークに塗布された塗料を乾燥させるための高速加熱と、ワークに塗布された塗料を硬化させる焼付けを行う。本加熱システムは、中央に貫通する貫通孔が形成されたワークを加熱する。本実施形態のワークは、電磁クラッチのロータとなっている。
【0015】
本加熱システムは、
図1~
図2に示すように、加熱炉10、搬送ユニット20および急速加熱ユニット30を備えている。
【0016】
加熱炉10は、ワークを加熱する空間を形成している。加熱炉10の上面は、断熱材によって構成されている。加熱炉10の上面には、第1撹拌ファン11、第2撹拌ファン12、第3循環ファン13、第4循環ファン14、第1ヒータ17、第2ヒータ18および流路形成部16が取り付けられている。第1ヒータ17および第2ヒータ18は加熱部に相当する。
【0017】
第1撹拌ファン11は、加熱炉10内における第1撹拌ファン11の周囲の空気を攪拌させる。第1撹拌ファン11の動作によって
図1の矢印FL1に示すような空気流れが発生する。
【0018】
第2撹拌ファン12は、加熱炉10内における第2撹拌ファン12の周囲の空気を攪拌させる。なお、
図1では、第2撹拌ファン12を省略してある。第2撹拌ファン12の動作によって
図1の矢印FL2に示すような空気流れが発生する。
【0019】
第3循環ファン13は、加熱炉10内における第3循環ファン13の周囲の空気を攪拌させる。第4循環ファン14は、加熱炉10内における第4循環ファン14の周囲の空気を攪拌させる。第3循環ファン13および第4循環ファン14の動作によって
図2の矢印FL3、FL4に示すような空気流れが発生する。
【0020】
第3循環ファン13および第4循環ファン14は、それぞれ回転するファンを有し、ファンの軸方向から吸い込んだ空気をファンの径方向外側へ噴き出す。第3、第4循環ファン13、14から吹き出された空気は、流路形成部16を通って第1ヒータ17および第2ヒータ18に導かれる。
【0021】
第1ヒータ17および第2ヒータ18は、それぞれ流路形成部16を通って導入された空気を加熱するヒータ装置である。第1ヒータ17および第2ヒータ18は、電気ヒータによって構成されている。
【0022】
第1ヒータ17および第2ヒータ18によって加熱された空気の大半は、第3、第4循環ファン13、14に吸い込まれ、流路形成部16を通って、再度、第1ヒータ17および第2ヒータ18に導かれる。そして、再度、第1ヒータ17および第2ヒータ18によって加熱される。
【0023】
搬送ユニット20は、搬送チェーン21、炉内パレット22、ギヤ23、支持部材24と、を有している。搬送ユニット20は、ギヤ23の回転に伴って搬送チェーン21に取り付けられた炉内パレット22に取り付けられたワークが搬送ユニット20の前端から後端に向けて搬送されるようになっている。
【0024】
本実施形態の搬送ユニット20は、2つの搬送チェーン21を有している。2つの搬送チェーン21は、それぞれ搬送ユニット20の前端と後端に設けられた複数のギヤ23に巻き掛けられている。2つの搬送チェーン21は、搬送ユニット20の前端と後端に設けられたギヤ23に所定の間隔を空けて並ぶように巻き掛けられている。
【0025】
支持部材24は、搬送チェーン21およびギヤ23を支持する。支持部材24は、さらに、搬送チェーン21のたるみを防止する複数のローラを有している。
【0026】
ギヤ23は、不図示のモータによって回転する。ギヤ23の回転に伴って複数のギヤ23に巻き掛けられた搬送チェーン21が周回する。
【0027】
炉内パレット22は、2つの搬送チェーン21を跨ぐように取り付けられている。炉内パレット22は、
図3に示すように、長方形を成す板状部材220と、板状部材の長手方向に直線状に配置された6個のワーク支持部221と、を有している。
【0028】
ワーク支持部221は、3本のワーク受け222、円環状の整流冶具223、カバー224および支持部225を有している。3本のワーク受け222、整流冶具223および円環状のカバー224は同心円状に配置され、支持部225によって支持されている。
【0029】
ワーク受け222は、それぞれ棒状を成しており、鉛直方向に延びるように配置されている。各ワーク受け222は、後述するワーク100を上下方向下側から支持する。
【0030】
整流冶具223は、円筒状を成している。整流冶具223は、上下方向に延びるように配置されている。
【0031】
カバー224は、板状部材220の上面に沿って拡がるフランジ部224aと、フランジ部224aから立設された円環状の筒状部224bを有している。筒状部224bは、ワーク100の外周を覆うように形成されている。
【0032】
急速加熱ユニット30の構成を
図4~
図5に示す。なお、
図5には、急速加熱ユニット30とともに炉内パレット22も示してある。
【0033】
急速加熱ユニット30は、6つのダクト31a~31f、ダクト部材31および吹出部32を有している。
【0034】
ダクト31a~31fは、筒状を成している。ダクト31a~31fは、図示しない熱源と接続される。ダクト31a~31fには、それぞれ熱源から加熱された高温の空気である熱風が導入される。
【0035】
ダクト31a~31fは、ダクト部材31と接続されている。また、ダクト部材31の内部には、ダクト31a~31fと、6つのワーク支持部221と対応する6つの流路形成部321との間を連結する流路が形成されている。
【0036】
ダクト部材31の上面には、6つの吹出部32が固定されている。6つの吹出部32は、それぞれダクト部材31の上面に配置されている。
【0037】
吹出部32は、流路形成部321、フランジ部322、整流ノズル323および支持部324を有している。
【0038】
流路形成部321は、筒状を成している。流路形成部321は、ダクト部材31からの空気が流れる空気流路を形成している。流路形成部321は、炉内パレット22のワーク受け222より上下方向下側に配置されている。流路形成部321は、ダクト部材31からの空気をワーク支持部221に支持されたワーク100に向けて熱風を吹き出す。
【0039】
フランジ部322は、吹出部32をダクト部材31に固定するためのものであり、ダクト部材31の上面に拡がるように形成されている。
【0040】
整流ノズル323は、流路形成部321の内部で、かつ、流路形成部321の上下方向上端部に配置されている。整流ノズル323は、支持部324により流路形成部321に支持されている。
【0041】
整流ノズル323は、
図6に示すように、円錐形状を成す円錐形状部323aと、筒状を成す筒状部323bと、を有している。円錐形状部323aおよび筒状部323bは一体化されている。
【0042】
整流ノズル323は、円錐形状部323aの先端が上下方向下側を向くよう支持部324によって支持されている。すなわち、円錐形状部323aは、ワーク支持部221との距離が短くなるにつれて拡径するよう配置されている。
【0043】
整流ノズル323は、流路形成部321を流れる熱風をワーク支持部221に支持されたワーク100の貫通孔101の径方向外側に案内する。
【0044】
6つのダクト31a~31fには、それぞれ図示しない熱源から加熱された高温の空気である熱風が導入される。そして、6つのダクト31a~31fに導入された熱風は、それぞれ対応する6つの流路形成部321を通って、各ワーク支持部221に設置されたワーク100に吹き付けられる。
【0045】
この際、流路形成部321の内部に配置された整流ノズル323により流路形成部321を流れる空気がワーク支持部221に設置されたワーク100の貫通孔101の径方向外側に案内される。
【0046】
次に、本加熱システムによるワーク100の加熱処理について
図7を用いて説明する。まず、作業者は、搬送ユニット20の前端側に配置された炉内パレット22に設けられたワーク支持部221にそれぞれワーク100を設置する。この際、ワーク100に形成されたU字状の溝部102に整流冶具223が入り込むようにワーク100を設置する。
【0047】
次に、作業者は、熱源から急速加熱ユニット30のダクト部材31に熱風を導入させる。これにより、ダクト部材31からワーク支持部221に熱風が吹き出される。
【0048】
次に、作業者は、操作部を操作して搬送ユニット20のギヤ23を回転させる。これにより、ギヤ23とともに搬送チェーン21が回転し、ワーク100が設置された炉内パレット22が急速加熱ユニット30の上下方向上側に搬送される。
【0049】
そして、ワーク100が設置された炉内パレット22が急速加熱ユニット30の上下方向上側に位置すると、ダクト部材31からワーク支持部221に熱風が吹き付けられる。
【0050】
この際、流路形成部321の内部に整流ノズル323が配置されているので、この整流ノズル323により流路形成部321を流れる空気がワーク支持部221に設置されたワーク100の貫通孔101の径方向外側に案内される。したがって、
図8に示したような内径部挿入冶具830を設けることなく、効率的にワーク100を加熱することが可能となる。
【0051】
そして、ワーク100が設置された炉内パレット22が急速加熱ユニット30の上下方向上側よりも搬送ユニット20の後端側に移動すると、ワーク支持部221に支持されたワーク100が焼き付けされる。
【0052】
この際、第1ヒータ17および第2ヒータ18によって加熱された空気と整流ノズル323を介してワーク100に吹き付けられた空気の熱によって搬送ユニット20によって搬送されるワーク100が焼き付けされる。
【0053】
なお、例えば、急速加熱炉で加熱されたワーク100を焼付炉に搬送して焼き付けする構成では、途中でワーク100の温度が低下してしまうが、本実施形態の加熱システムでは、途中でワーク100の温度を低下させることなく焼き付けを行うことができる。
【0054】
以上、説明したように、本加熱システムは、貫通孔101が形成されたワーク100に加熱された空気を吹き付ける加熱システムであって、ワーク100を支持するワーク支持部221を備えている。また、空気が流れる流路形成部321と、流路形成部321の内部に配置され、流路形成部321を流れる空気をワーク支持部221に支持されたワーク100の貫通孔101より径方向外側に案内する整流ノズル323を備えている。また、流路形成部321、ワーク支持部221および整流ノズル323を内部に配置した加熱炉10を備えている。
【0055】
上記した構成によれば、加熱された空気が流れる流路形成部321の内部に流路形成部321を流れる空気をワーク支持部221に支持されたワーク100の貫通孔101より径方向外側に案内する整流ノズル323が設けられている。したがって、加熱炉10の小型化を図るとともに加熱炉10の構成を簡素化することができる。
【0056】
また、本加熱システムは、ワーク100を支持するワーク支持部221を搬送する搬送ユニット20と、ワーク100の内部の空気を加熱する第1ヒータ17および第2ヒータ18を備えている。
【0057】
そして、第1ヒータ17および第2ヒータ18によって加熱された空気と整流ノズル323を介してワーク100に吹き付けられた空気の熱によって搬送ユニット20によって搬送されるワーク支持部221に支持されたワーク100が焼き付けされる。
【0058】
このように、第1ヒータ17および第2ヒータ18によって加熱された空気だけでなく、整流ノズル323を介してワーク100に吹き付けられた空気の熱を利用してワーク100の焼き付けを行うことができる。
【0059】
また、整流ノズル323は、ワーク支持部221との距離が短くなるにつれて拡径する円錐形状部323aを有している。
【0060】
このような円錐形状部323aによりワーク100の貫通孔101より径方向外側に案内することができる。
【0061】
また、ワーク100は、貫通孔101の径方向外側に貫通孔101の軸線方向に凹むリング状の溝部102が形成され、整流ノズル323から溝部102に向かって空気が吹き付けられるようにワーク支持部221に支持されている。そして、ワーク支持部221は、溝部102に向かって延びるリング状の整流冶具223を有している。したがって、溝部102を加熱しすぎないようにすることができる。
【0062】
また、ワーク支持部221は、ワーク100の外周を覆うカバー224を有している。したがって、加熱された空気がカバー224によってワーク100の周囲に流出するのを防止することができる。
【0063】
(他の実施形態)
(1)上記実施形態では、電磁クラッチのロータをワークとして説明したが、ワークはロータに限定されるものではなく、例えば、電磁クラッチのステータをワークとすることもできる。
【0064】
(2)上記第1実施形態の整流ノズル323は、円錐形状を成す円錐形状部323aと、筒状を成す筒状部323bと、を有しているが、筒状部323bを省略した構成とすることもできる。
【0065】
(3)上記実施形態では、ワーク100に塗布された塗料を乾燥させる加熱システムについて説明したが、本実施形態の加熱システムを、塗料の乾燥以外の目的でワークを加熱するシステムに適用することもできる。
【0066】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0067】
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、加熱システムは、貫通孔が形成されたワークに加熱された空気を吹き付けるシステムであって、ワークを支持するワーク支持部と、空気が流れる流路形成部と、を備えている。また、流路形成部の内部に配置され、流路形成部を流れる空気をワーク支持部に支持されたワークの貫通孔より径方向外側に案内する整流ノズルを備えている。また、流路形成部、ワーク支持部および整流ノズルを内部に配置した加熱炉を備えている。
【0068】
また、第2の観点によれば、本加熱システムは、ワークを支持するワーク支持部を搬送する搬送ユニットと、加熱炉の内部の空気を加熱する加熱部を備えている。
【0069】
そして、加熱部によって加熱された空気と整流ノズルを介してワークに吹き付けられた空気の熱によって搬送ユニットによって搬送されるワーク支持部に支持されたワークが焼き付けされる。
【0070】
このように、加熱部によって加熱された空気だけでなく、整流ノズルを介してワークに吹き付けられた空気の熱を利用して搬送ユニットによって搬送されるワーク支持部に支持されたワークの焼き付けを行うことができる。
【0071】
また、第3の観点によれば、整流ノズルは、ワーク支持部との距離が短くなるにつれて拡径する円錐形状部を有している。
【0072】
このような円錐形状部により加熱された空気をワークの貫通孔より径方向外側に案内することができる。
【0073】
また、第4の観点によれば、ワークは、貫通孔の径方向外側に貫通孔の軸線方向に凹むリング状の溝部が形成され、整流ノズルから溝部に向かって空気が吹き付けられるようにワーク支持部に支持されている。そして、ワーク支持部は、溝部に向かって延びるリング状の整流冶具を有している。したがって、溝部を加熱しすぎないようにすることができる。
【0074】
また、第5の観点によれば、ワーク支持部は、ワークの外周を覆うカバーを有している。したがって、加熱された空気がカバーによってワークの周囲に流出するのを防止することができる。
【0075】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、第1ヒータ17および第2ヒータ18が加熱部に相当する。
【符号の説明】
【0076】
10 加熱炉
20 搬送ユニット
22 炉内パレット
30 急速加熱ユニット
17 第1ヒータ
18 第2ヒータ
32 整流ノズル
100 ワーク
221 ワーク支持部
223 整流冶具
224 カバー
321 流路形成部
322 整流部