(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】バッファ装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/133 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
B65G1/133 L
(21)【出願番号】P 2019093944
(22)【出願日】2019-05-17
【審査請求日】2021-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 重行
【審査官】福島 和幸
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-023214(JP,U)
【文献】特開平05-338785(JP,A)
【文献】実開昭64-036320(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に延びる軸線(S)を中心とする円板状に形成されて、かつ上側に向けて形成されている上面(10a)を有し、さらに前記軸線を中心として回転可能に構成されている円盤テーブル(10)と、
前記上面の上側に配置されているガイド(60)と、
前記ガイドに対して前記軸線を中心として前記円盤テーブルを回転させる駆動源(70)と、
を備え、
前記上面のうち前記軸線を中心とする径方向外側には、前工程から移送されるワークが搬入される搬入部(12)が形成され、前記上面のうち前記軸線を中心とする径方向中心側には、後工程に前記ワークを搬出させる搬出部(13)が形成され、
前記ガイドは、前記搬入部から前記搬出部まで前記軸線を中心とする螺旋状に前記ワークを前記上面を滑らせて搬送させることを案内し、
前記駆動源が前記ガイドに対して前記円盤テーブルを回転させる際に、前記ガイドが前記ワークを案内して前記搬入部から前記ワークを前記搬出部まで前記上面を滑らせることにより、前記ワークをストックさせつつ、搬送さ
せ、
前記ガイドによって案内されて前記ワークが搬送される方向を搬送方向とし、前記搬出部に対する前記搬送方向の後側に位置する前記ワークを後側ワークとし、前記搬出部に対する前記搬送方向の後側に位置する部位を搬出後部(14)とした場合において、
前記後側ワークが前記搬出後部側から前記搬出部に搬送されることを止めるストッパ部(92)と、
前記ストッパ部を駆動するアクチュエータ(91)と、
前記搬出部に前記ワークが存在するか否かを判定する判定部(S100)と、
前記搬出部に前記ワークが存在すると前記判定部が判定したとき、前記アクチュエータを介して前記ストッパ部を制御して前記後側ワークが前記搬出後部から前記搬出部に搬送されることを止める停止制御部(S110)と、
前記搬出部に前記ワークが存在しないと前記判定部が判定したとき、前記アクチュエータを介して前記ストッパ部を制御して前記後側ワークが前記搬出後部から前記搬出部に搬送されることを許容する許容制御部(S120)と、
を備え、
前記円盤テーブルは、
前記上面を有する板状に形成されている上板部(20)と、
前記上板部を下側から支える板状に形成されて、前記軸線を中心として回転可能に構成されているテーブル基部(10A)と、を備え、
前記駆動源が前記ガイドに対して前記テーブル基部を回転させる際に、前記上板部が前記テーブル基部とともに回転することにより、前記ガイドが前記ワークを案内して前記搬入部から前記搬出部まで前記ワークが前記上面を滑りながら搬送されるバッファ装置。
【請求項2】
前記上板部は、前記軸線を中心として円周方向に並べられている複数の分割板部(20a、20b、20c、20d)を組み合わせて構成されている請求項
1に記載のバッファ装置。
【請求項3】
前記上板部は、前記上下方向に貫通して前記ワークに付着された油を落下させるための複数の第1貫通孔(21)を有し、
前記テーブル基部は、前記上下方向に貫通して前記複数の第1貫通孔を通過した油を落下させるための複数の第2貫通孔(11)を有する請求項
1または2に記載のバッファ装置。
【請求項4】
前記円盤テーブルに対して下側に配置されて前記複数の第1貫通孔および前記複数の第2貫通孔を通して落下した油を受けるオイルパン(30)を備える請求項
3に記載のバッファ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッファ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製造工程において、前工程を終了したワークを後工程に搬出する迄一時的にストックするためのバッファ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このバッファ装置は、回転軸の軸心周りに回転可能に支持されている支持体と、この支持体の周縁部に配置されたアーム支承軸を介して転可能に支持されている複数のワーク載置台とを備える。
【0004】
支持体が回転することにより、所定の搬入位置から複数のワーク載置台にワークを順次配置して、複数のワーク載置台からワークをストックしつつ所定の搬出位置に順次搬出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、上記特許文献1のバッファ装置を参考して、次の(a)コンベア並列型バッファ装置、(b)段積みストッカー型バッファ装置といった2種類のバッファ装置について検討した。
【0007】
(a)コンベア並列型のバッファ装置
コンベア並列バッファ装置は、長手方向にワークを搬出する複数のコンベアと、複数のコンベアのうち隣り合う2つのコンベアの間に配置される複数の回転テーブルとを備える。
【0008】
複数のコンベアのうち隣り合う2つのコンベアは、ワークを搬出する方向が逆方向になっている。複数の回転テーブルは、複数のコンベアのそれぞれの長手方向一方側、或いは、長手方向他方側に配置されている。
【0009】
具体的には、複数の回転テーブルは、複数のコンベアの並び方向において、長手方向一方側と長手方向他方側とに交互に配置されている。複数の回転テーブルは、上流側のコンベアによって運ばれるワークを順次回転によって下流側のコンベアに乗せる。
【0010】
このことより、ワークは、ストックされつつ、搬入部→コンベア→回転テーブル→コンベア→回転テーブル→コンベア→回転テーブル→コンベア→・・・回転テーブル→搬出部といった順で蛇行状に搬送されることになる。
【0011】
このタイプのバッファ装置では、搬入部から先に搬入したワークを先に搬出部に搬出する先入れ先出しが可能になる。しかし、コンベアおよび回転テーブルの間でワークをコンベアから回転テーブルにスムーズに移送させることができなく、一時的にワークを停止させてしまうおそれがある。
【0012】
(b)段積みストッカー型のバッファ装置
段積みストッカー型のバッファ装置は、上下方向にワークを積層した状態でストックする。このタイプの型バッファ装置では、コンベア並列型のバッファ装置に比べて、設置スペースを小さくできる。
【0013】
しかし、ワークの収納とワークの搬出を同時に行うことができず、ワークを収納する際に、後工程で処理するワークが不足して、後工程の製造設備が停止して稼働率が低下するおそれがある。
【0014】
これに加えて、このタイプのバッファ装置では、後からストックしたワークを先に搬出することになる。
【0015】
本発明は上記点に鑑みて、先入れ先出しが可能で、ワークをストックしつつ、ワークをスムーズに搬出することができるバッファ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、バッファ装置において、上下方向に延びる軸線(S)を中心とする円板状に形成されて、かつ上側に向けて形成されている上面(10a)を有し、さらに軸線を中心として回転可能に構成されている円盤テーブル(10)と、
上面の上側に配置されているガイド(60)と、
ガイドに対して軸線を中心として円盤テーブルを回転させる駆動源(70)と、
を備え、
上面のうち軸線を中心とする径方向外側には、前工程から移送されるワークが搬入される搬入部(12)が形成され、上面のうち軸線を中心とする径方向中心側には、後工程にワークを搬出させる搬出部(13)が形成され、
ガイドは、搬入部から搬出部まで軸線を中心とする螺旋状にワークを上面を滑らせて搬送させることを案内し、
駆動源がガイドに対して円盤テーブルを回転させる際に、ガイドがワークを案内して搬入部からワークを搬出部まで上面を滑らせることにより、ワークをストックさせつつ、搬送させ、
ガイドによって案内されてワークが搬送される方向を搬送方向とし、搬出部に対する搬送方向の後側に位置する前記ワークを後側ワークとし、搬出部に対する搬送方向の後側に位置する部位を搬出後部(14)とした場合において、
後側ワークが搬出後部側から搬出部に搬送されることを止めるストッパ部(92)と、
ストッパ部を駆動するアクチュエータ(91)と、
搬出部に前記ワークが存在するか否かを判定する判定部(S100)と、
搬出部にワークが存在すると判定部が判定したとき、アクチュエータを介してストッパ部を制御して後側ワークが搬出後部から搬出部に搬送されることを止める停止制御部(S110)と、
搬出部に前記ワークが存在しないと判定部が判定したとき、アクチュエータを介してストッパ部を制御して後側ワークが搬出後部から搬出部に搬送されることを許容する許容制御部(S120)と、
を備え、
円盤テーブルは、
上面を有する板状に形成されている上板部(20)と、
上板部を下側から支える板状に形成されて、軸線を中心として回転可能に構成されているテーブル基部(10A)と、を備え、
駆動源が前記ガイドに対してテーブル基部を回転させる際に、上板部がテーブル基部とともに回転することにより、ガイドがワークを案内して搬入部から搬出部までワークが上面を滑りながら搬送される。
【0017】
以上により、搬入部に先に搬入されたワークほど、搬出部から早く後工程に搬出させることができる。このため、先入れ先出しが可能で、ワークをストックしつつ、ワークをスムーズに搬出することができる。
【0018】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態におけるバッファ装置の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】上記実施形態におけるバッファ装置うち円盤テーブル、およびワークガイドを拡大した拡大図である
【
図3】上記実施形態におけるバッファ装置のうち軸線を含んで軸線に平行である切断面で切断した断面図である。
【
図4】上記実施形態におけるバッファ装置のうち円盤テーブル、およびワークガイドを上側から視た上面図である。
【
図5】上記実施形態におけるワークの上面図である。
【
図8】
図2中の円盤テーブルのテーブル基部を径方向外側から視た図である。
【
図9】
図8中の円盤テーブルのテーブル基部の斜視図である。
【
図10】上記実施形態におけるを複数の分割板部を組み合わせた状態を示す上面図、および複数の分割板部を分解した状態を示す図である。
【
図11】上記実施形態におけるストップ/エスケープ部の機械的構成を示す図である。
【
図12】上記実施形態におけるストップ/エスケープ部の電気的構成を示す図である。
【
図13】
図12の制御回路のワーク制御処理を示すフローチャートである。
【
図14】上記実施形態の第1変形例におけるワークの上面図である。
【
図15】上記実施形態の第2変形例におけるワークの上面図である。
【
図16】上記実施形態の第3変形例におけるワークの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のバッファ装置1の一実施形態について
図1~
図13等に基づいて説明する。
【0021】
本実施形態のバッファ装置1は、製造工程において前工程から移送されるワーク2を後工程に搬出する迄の間に一時的にストックする装置である。
【0022】
バッファ装置1は、
図1に示すように、台座3の上面3a上に配置されている。台座3の上面3aは、バッファ装置1を支えるベースである。
【0023】
具体的には、バッファ装置1は、
図1~
図4に示すように、円盤テーブル10、オイルパン30、支柱40、軸受け50、およびワークガイド60を備える。
【0024】
バッファ装置1には、駆動モータ70、タイミングベルト80、ストップ/エスケープ部90、引き込みローダー100、および取り出しローダー110が設けられている。
【0025】
円盤テーブル10は、軸線Sを中心とする円板状に形成されている。
図3中軸線Sは、上下方向(すなわち、天地方向)に延びる仮想線である。円盤テーブル10には、上側に向いた上面10aが形成されている。
【0026】
具体的には、円盤テーブル10は、
図8、
図9に示すように、板状に形成されているテーブル基部10Aを備える。テーブル基部10Aは、軸線Sを中心とする円盤状に形成されている。さらに、テーブル基部10Aは、上下方向に貫通されている複数の貫通孔11を有する。
【0027】
テーブル基部10Aは、軸線Sを中心として回転が自在になるように軸受けを介して支柱40に支持されている。支柱40は、台座3の上面3aから上側に延びる柱部材である。円盤テーブル10には、主軸10bが設けられている。
【0028】
複数の貫通孔11は、軸線Sを中心とする径方向に延びる長孔状に形成されている複数の第2貫通孔である。複数の貫通孔11は、ワーク2に付着した油を円盤テーブル10の下側に落下させる役割を果たす。
【0029】
主軸10bは、円盤テーブル10のテーブル基部10Aの下面から下側に延びるように形成されている。主軸10bは、軸線Sを中心とする円柱状に形成されている。主軸10bの中空部には、支柱40が貫通している。
【0030】
このことにより、円盤テーブル10は、支柱40に対して軸線Sを中心として回転自在に支持されていることになる。
【0031】
本実施形態のワーク2としては、
図5、
図6、
図7に示すように、キャップ状に形成されて、上板部20に対して摺動する摺動面2aが下側に形成されている。
【0032】
本実施形態の円盤テーブル10は、
図3に示すように、軸線Sを中心とする円環状に形成されている上板部20を備える。上板部20は、テーブル基部10Aに沿って板状に形成されている。
【0033】
上板部20は、テーブル基部10Aの上側に配置されている。このことにより、上板部20は、テーブル基部10Aによって下側から支えられている。上板部20は、テーブル基部10Aに沿って板状に形成されている。
【0034】
上板部20は、
図10に示すように、上下方向(すなわち、天地方向)に貫通する複数の貫通孔21が設けられている。上板部20の複数の貫通孔21は、円盤テーブル10の複数の貫通孔11に連通されている。複数の貫通孔21は、複数の第1貫通孔として、ワーク2に付着した油を円盤テーブル10の下側に落下させる役割を果たす。
【0035】
上板部20には、上側に向けて形成されている上面10aが形成されている。上面10aは、ワーク2を摺動させる摺動面を構成する。上板部20の複数の貫通孔21は、上板部20の上面10aに対するワーク2の摺動抵抗を下げる役割を果たす。
【0036】
本実施形態の上板部20は、分割板部20a、20b、20c、20dを組み合わせて構成されている。分割板部20a、20b、20c、20dは、それぞれ、扇状に形成されている。分割板部20a、20b、20c、20dは、それぞれ、軸線Sを中心とする円周方向に並べられている。
【0037】
オイルパン30は、円盤テーブル10のテーブル基部10Aに対して下側で、かつ台座3の上面3aよりも上側に配置されている。オイルパン30は、円盤テーブル10を下側から覆うように形成されている。
オイルパン30は、支柱40に対して支持されている。オイルパン30は、上板部20の貫通孔21、およびテーブル基部10Aの複数の貫通孔11を通して落下した油を受ける役割を果たす。
【0038】
軸受け50は、円盤テーブル10の主軸10bに対して軸線Sを中心とする径方向外側から主軸10bを覆うように形成されている。軸受け50は、支柱40に対して支持されている。
【0039】
ワークガイド60は、ガイド部61および複数の支柱62を備える。ガイド部61は、上板部20に対して上側に配置されている。ガイド部61は、搬入部12から搬出部13に対して軸線Sを中心として螺旋状にワーク2を上板部20の上面10aを摺動させて搬出させるように案内する。
【0040】
ここで、搬入部12は、上板部20上において軸線Sを中心とする径方向外側に配置されている。搬出部13は、上板部20上において軸線Sを中心とする径方向中心側に配置されている。
【0041】
複数の支柱62は、それぞれ、上下方向に延びるように形成されている。複数の支柱62は、それぞれ、台座3の上面3aに支えられている。複数の支柱62は、ガイド部61を支える。
【0042】
駆動モータ70は、円盤テーブル10に対して下側に配置されている駆動源である。駆動モータ70は、支持部71を介して台座3の上面3aに支えられている。駆動モータ70は、プーリ81およびタイミングベルト80を介して主軸10bに連結されている。
【0043】
本実施形態の駆動モータ70は、円盤テーブル10に対して回転力を与える。プーリ81は、主軸10bのうち下側に配置されている。プーリ81は、主軸10bに対して接続されている。
【0044】
ストップ/エスケープ部90は、搬出部13に対して搬送方向の後側部位(以下、搬出後部14という)に位置するワーク2を停止、或いは搬出部13に排出させる。搬出後部14は、搬出部13に対して搬送方向後側で、かつ搬送方向にて搬出部13に隣り合う部位のことである。
【0045】
引き込みローダー100は、円盤テーブル10に対して軸線Sを中心として径方向外側に配置されている。引き込みローダー100は、前工程からコンベアによって移送されるワーク2を搬入部12に送り込む。
【0046】
取り出しローダー110は、円盤テーブル10に対して軸線Sを中心として径方向外側に配置されている。取り出しローダー110は、搬出部13に位置するワーク2を取り出して後工程に移送する。
【0047】
次に、本実施形態のストップ/エスケープ部90について
図11、
図12を参照して説明する。
【0048】
ストップ/エスケープ部90は、支柱40によって支持されている。ストップ/エスケープ部90は、アクチュエータ91、およびストッパ部92を備える。アクチュエータ91は、ストッパ部92を変位させる。ストッパ部92は、変位によって後側ワーク2を停止させたり、搬出部13に排出させたりする。
【0049】
アクチュエータ91は、電動アクチュエータ等によって構成されて、制御回路94(
図12参照)によって制御される。制御回路94は、マイクロコンピュータ等によって構成されている。制御回路94は、検知センサ93の検出値に基づいて、アクチュエータ91を介してストッパ部92を制御する。
【0050】
検知センサ93は、光学センサ等によって構成されて、搬出部13にワーク2が存在するか否かを判定するために用いられる。本実施形態では、上板部20には、搬出部13にワーク2を停止させる搬出停止部95(
図11参照)が設けられている。搬出停止部95は、搬出部13に対して搬送方向の前側に配置されている。
【0051】
次に、本実施形態のバッファ装置1の作動について説明する。
【0052】
以下、説明の便宜上、搬出部13に対して搬送方向後側で、かつ搬送方向にて搬出部13に隣り合う部位を、以下、搬出後部14という。
【0053】
まず、引き込みローダー100は、製造ラインの前工程からコンベアによって移送されるワークを搬入部12に順次送り込む。
【0054】
このとき、駆動モータ70は、タイミングベルト80およびプーリ81を介して主軸10bに回転させる。このため、円盤テーブル10が支柱40に対して軸線Sを中心として回転する。このことにより、テーブル基部10Aおよび上板部20が同時にワークガイド60に対して軸線Sを中心として回転する。
【0055】
このため、ワーク2が順次、ガイド部61に案内されて上板部20の上面10aを滑りながら搬入部12から搬出部13側に搬送される。このことにより、上面10a上に複数のワーク2をストックさせつつ、複数のワーク2を順次搬入部12から搬出部13側に搬送させることになる。
【0056】
ここで、説明の便宜上、搬出部13に位置するワーク2を前側ワーク2とし、搬出後部14に位置するワーク2を後側ワーク2とする。
【0057】
例えば、ワーク2が搬出後部14に到達して、前側ワーク2に対して後側ワーク2が接触すると、後側ワーク2が前側ワーク2に対して搬送方向前側に押し付けることになる。
【0058】
この場合、前側ワーク2が搬出停止部95および後側ワーク2の間に挟持される。これにより、取り出しローダー110が搬出部13からワーク2を取り出し難くなる。
【0059】
これに対して、本実施形態のストップ/エスケープ部90は、下記の如く、後側ワーク2を制御して後側ワーク2が前側ワーク2を押し付けることを停止する。
【0060】
以下、ストップ/エスケープ部90のワーク制御処理について説明する。制御回路94は、
図13のフローチャートにしたがって、ワーク制御処理を実行する。
【0061】
まず、制御回路94は、検知センサ93の検出値に基づいて、搬出部13にワーク2が存在するか否かを判定する(ステップS100:判定部)。
【0062】
このとき、制御回路94は、ステップS100において、搬出部13にワーク2が存在するとして、NOと判定する。
【0063】
すると、制御回路94は、アクチュエータ91を介してストッパ部92を制御して搬出部13および搬出後部14の間にストッパ部92(
図6中実線参照)が突出した状態にする(ステップS110:停止制御部)。
【0064】
このことにより、搬出後部14から後側ワーク2が搬出部13に搬送されることを停止させる。すなわち、後側ワーク2が上板部20を滑りながら搬出後部14に保持されることになる。その後、ステップS100に戻る。
【0065】
このため、搬出部13にワーク2が存在する限り、制御回路94は、ステップS100のNO判定、および停止処理(ステップS110)を繰り返す。
【0066】
これによって、後側ワーク2が上板部20を滑りながら搬出後部14に保持されることになる。
【0067】
このとき、引き込みローダー100は、前工程からコンベアによって移送されるワーク2を順次搬入部12に送り込むと、搬入部12から複数のワーク2が順次、搬出後部14に向かって上板部20を滑りながら搬送される。
【0068】
このことにより、上板部20上において複数のワーク2が搬入部12および搬出部13の間にストックされることになる。
【0069】
その後、取り出しローダー110が搬出部13からワーク2を取り出して後工程に移送する。
【0070】
これに伴って、制御回路94は、ステップS100において、搬出部13にワーク2が存在しないとして、YESと判定する。
【0071】
すると、制御回路94は、ステップS120(許容制御部)において、アクチュエータ91を制御してストッパ部92を搬出部13および搬出後部14の間から引っ込める(
図6中鎖線参照)。
【0072】
このことにより、搬出後部14からワーク2が搬出部13に移動することが許容されることになる。
【0073】
このとき、ワーク2が上板部20を滑りながら搬出後部14から搬出部13に排出される。その後、この排出されたワーク2が搬出停止部95によって搬出部13に停止される。
【0074】
その後、制御回路94は、ステップS100の判定処理、およびステップS110の停止処理(或いは、ステップS110の排出処理)を繰り返す。このため、上板部20上の複数のワーク2は、取り出しローダー110が搬出部13からワーク2を取り出す毎に、1つずつ搬出後部14から搬出部13にワーク2が搬送される。
【0075】
このため、搬出後部14に位置する後側ワーク2が搬出部13に位置する前側ワーク2を押し付けることを未然に停止することができる。このことにより、前側ワーク2が搬出停止部95および後側ワーク2の間に挟持されることを未然に防ぐことができる。これにより、搬出部13からワーク2を順次スムーズに搬出させることができる。
【0076】
以上説明した本実施形態によれば、バッファ装置1は、円盤テーブル10、ワークガイド60、および駆動モータ70を備える。
【0077】
円盤テーブル10は、上面10aを有する板状に形成されている上板部20と、上板部20を下側から支える板状に形成されて、軸線Sを中心として回転可能に構成されているテーブル基部10Aとを備える。
【0078】
上板部20は、テーブル基部10Aに沿って板状に形成されている。駆動モータ70は、ワークガイド60に対して軸線Sを中心として円盤テーブル10のテーブル基部10Aを回転させる。
【0079】
駆動モータ70がワークガイド60に対して円盤テーブル10を回転させる際に、テーブル基部10Aが上板部20とともに回転する。このことにより、ワークガイド60がワーク2を案内して搬入部12から搬出部13までワーク2が上板部20を滑りながら搬送される。
【0080】
したがって、搬入部12に先に搬入されたワーク2ほど、搬出部13から早く後工程に搬出させることができる。このため、先入れ先出しが可能で、ワーク2をストックさせつつ、ワーク2をスムーズに搬出することができるバッファ装置1を提供することができる。
【0081】
本実施形態のバッファ装置1は、ワーク2が搬出後部14から搬出部13に搬送されることを止めるためのストッパ部92と、ストッパ部92をスライド移動させるアクチュエータ91と、制御回路94と、検知センサ93とを備える。検知センサ93は、搬出部13にワークが存在する否かを検知するためのセンサである。
【0082】
制御回路94は、搬出部13にワーク2が存在すると判定したとき、アクチュエータ91を介してストッパ部92を制御して後側ワーク2が搬出後部14から搬出部13に搬送されることを止めるステップS110を備える。
【0083】
制御回路94は、搬出部13にワーク2が位置しないと判定したとき、アクチュエータ91を介してストッパ部92を制御して後側ワーク2が搬出部13に搬送されることを許容する。
【0084】
したがって、搬出部13に前側ワーク2存在する状態で、後側ワーク2が搬出後部14から搬出部13に搬送されることを止めるため、前側ワーク2が後側ワーク2によって押し付けられることを未然に抑えることができる。よって、取り出しローダー110が搬出部13からワーク2をスムーズに後工程に搬出することができる。
【0085】
本実施形態では、円盤テーブル10は、上板部20と、この上板部20を下側から支えるテーブル基部10Aとを備える。
【0086】
したがって、ワーク2が上板部20の上面10aを滑ることにより、上板部20の上面10aが摩耗した際には、上板部20を交換することにより、上板部20の上面10aにおける摺動抵抗を回復することができる。
【0087】
本実施形態では、上板部20は、上下方向に貫通する複数の貫通孔21を有する。テーブル基部10Aは、上下方向に貫通されている複数の貫通孔11を有する。このため、ワーク2に付着された油を複数の貫通孔21および複数の貫通孔11を通して落下させることができる。これにより、上板部20の上面10aから油を容易に落下させることができる。
【0088】
これに加えて、本実施形態では、複数の貫通孔21は、上板部20の上面10aおよびワーク2の間の滑り摩擦力を減らすことができる。このため、搬入部12から搬出部13までワーク2をスムーズに搬送させることができる。
【0089】
本実施形態では、円盤テーブル10に対して下側にはオイルパン30が配置されている。このため、円盤テーブル10の複数の貫通孔11を通過した油をオイルパン30で受けることができる。よって、台座3の上面3aを油で汚すことを未然に防ぐことができる。
【0090】
本実施形態では、上板部20は、軸線Sを中心として円周方向に並べられている複数の分割板部20a、20b、20c、20dを組み合わせて構成されている。このため、円盤テーブル10から上板部20を分割して取り外すことができる。さらに、分割板部20a、20b、20c、20dをそれぞれ別々にテーブル基部10A上に配置する。このため、上板部20を容易に交換することができる。
【0091】
(他の実施形態)
(1)上記実施形態では、円盤テーブル10上側に上板部20を配置した例について説明したが、これに限らず、上板部20を削除するようにしてもよい。この場合、円盤テーブル10が軸線Sを中心として回転する際に、ワーク2が円盤テーブル10の上面10aを滑りながら搬入部12から搬出部13まで搬出されることになる。
【0092】
(2)上記実施形態では、キャップ状のワーク2を用いた例について説明したが、これに限らず、
図14に示すように、円柱状のワーク2を用いてもよい。或いは、
図15に示すように、球状のワーク2を用いてもよい。
図17に示すように、円錐形状のワーク2を用いてもよい。
【0093】
(3)なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0094】
(まとめ)
上記実施形態、および他の実施形態の一部または全部に記載された第1の観点によれば、バッファ装置は、円盤テーブルを備える。円盤テーブルは、上下方向に延びる軸線を中心とする円板状に形成されて、かつ上側に向けて形成されている上面を有し、さらに軸線を中心として回転可能に構成されている円盤テーブルを備える。
【0095】
円盤テーブルは、上面の上側に配置されているガイドと、ガイドに対して軸線を中心として円盤テーブルを回転させる駆動源と、を備える。
【0096】
上面のうち軸線を中心とする径方向外側には、前工程から移送されるワークが搬入される搬入部が形成され、上面のうち軸線を中心とする径方向中心側には、後工程にワークを搬出させる搬出部が形成されている。
【0097】
ガイドは、搬入部から搬出部まで軸線を中心とする螺旋状にワークを上面を滑らせて搬送させることを案内する。
【0098】
駆動源がガイドに対して円盤テーブルを回転させる際に、ガイドがワークを案内することにより搬入部からワークを搬出部まで上面を滑らせて搬送させる。
【0099】
第2の観点によれば、バッファ装置において、ガイドによって案内されてワークが搬送される方向を搬送方向とし、搬出部に対する搬送方向の後側に位置するワークを後側ワークとし、搬出部に対する搬送方向の後側に位置する部位を搬出後部とする。
【0100】
バッファ装置は、後側ワークが搬出後部側から搬出部に搬送されることを止めるストッパ部と、ストッパ部を駆動するアクチュエータと、搬出部にワークが存在するか否かを判定する判定部とを備える。
【0101】
バッファ装置は、搬出部にワークが存在すると判定部が判定したとき、アクチュエータを介してストッパ部を制御して後側ワークが搬出後部から搬出部に搬送されることを止める停止制御部を備える。
【0102】
バッファ装置は、搬出部にワークが存在しないと判定部が判定したとき、アクチュエータを介してストッパ部を制御して後側ワークが搬出後部から搬出部に搬送されることを許容する許容制御部を備える。
【0103】
これにより、搬出部にワークが存在するとき、後側ワークが搬出部に存在するワークを押しつけることを未然に防ぐことができる。これにより、搬出部に存在するワークをスムーズに搬出することができる。
【0104】
第3の観点によれば、円盤テーブルは、上面を有する板状に形成されている上板部と、
上板部を下側から支える板状に形成されて、軸線を中心として回転可能に構成されているテーブル基部とを備える。
【0105】
駆動源がガイドに対してテーブル基部を回転させる際に、上板部がテーブル基部とともに回転することにより、ガイドがワークを案内して搬入部から搬出部までワークが上面を滑りながら搬送される。
【0106】
したがって、ワークが上板部の上面を滑ることにより、上板部の上面が摩耗した際には、上板部を交換することにより、上板部の上面における摺動抵抗を回復することができる。
【0107】
第4の観点によれば、上板部は、軸線を中心として円周方向に並べられている複数の分割板部を組み合わせて構成されている。
【0108】
これにより、上板部を交換する際に、複数の分割板部をそれぞれ独立した状態でテーブル基部から外したり、複数の分割板部をそれぞれ別々にテーブル基部上に配置する。このため、上板部を容易に交換することができる。
【0109】
第5の観点によれば、上板部は、上下方向に貫通してワークに付着された油を落下させるための複数の第1貫通孔を有する。テーブル基部は、上下方向に貫通して複数の第1貫通孔を通過した油を落下させるための複数の第2貫通孔を有する。
【0110】
これにより、ワークに付着された油を円盤テーブルから容易に落下させることができる。
【0111】
第6の観点によれば、円盤テーブルに対して下側に配置されて複数の第1貫通孔および複数の第2貫通孔を通して落下した油を受けるオイルパンを備える。
【0112】
これにより、円盤テーブルから落下した油で円盤テーブルに対して下側が汚れることを未然に防ぐことができる。
【符号の説明】
【0113】
1 バッファ装置
10 円盤テーブル
20 上板部
30 オイルパン
40 支柱
50 軸受け
60 ワークガイド
70 駆動モータ
80 タイミングベルト
90 ストップ/エスケープ部