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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】運転支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
G08G1/16 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019096742
(22)【出願日】2019-05-23
(65)【公開番号】P2020190984
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】久米 拓弥
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-133814(JP,A)
【文献】特開2016-177729(JP,A)
【文献】特開2008-094167(JP,A)
【文献】特開2013-254330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両と、前記車両の周辺の物体との衝突を回避するための運転支援機能を作動させる運転支援装置(1)であって、
前記物体を検出する検出部(23)と、
前記検出部により検出された前記物体と、前記車両との衝突を回避するための前記運転支援機能を作動させる作動部(31、S120、S320)と、
前記車両のドライバより、前記運転支援機能を意図的に作動させる試用運転が行われているか否かを判定する判定部(21、S105、S110、S305、S310)と、
前記試用運転が行われている場合には、前記試用運転が行われていない場合よりも確実に前記衝突を回避できるよう、前記運転支援機能の作動態様を変更する変更部(31、S115、S315)と、
を備え、
前記検出部は、前記車両の前方に存在する前記物体である対象物体を検出し、
前記判定部は、前記ドライバの視線方向と、前記車両と前記対象物体との間の距離とのうちの少なくとも一方に基づき、前記試用運転が行われているか否かを判定する
運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転支援装置において、
前記判定部は、前記車両が購入された後、予め定められた時間が経過するまでの期間に、前記試用運転が行われているか否かを判定する
運転支援装置。
【請求項3】
車両に搭載され、前記車両と、前記車両の周辺の物体との衝突を回避するための運転支援機能を作動させる運転支援装置(1)であって、
前記物体を検出する検出部(23)と、
前記検出部により検出された前記物体と、前記車両との衝突を回避するための前記運転支援機能を作動させる作動部(31、S120、S320)と、
前記車両のドライバより、前記運転支援機能を意図的に作動させる試用運転が行われているか否かを判定する判定部(21、S105、S110、S305、S310)と、
前記試用運転が行われている場合には、前記試用運転が行われていない場合よりも確実に前記衝突を回避できるよう、前記運転支援機能の作動態様を変更する変更部(31、S115、S315)と、
を備え、
前記判定部は、前記車両が購入された後、予め定められた時間が経過するまでの期間に、前記試用運転が行われているか否かを判定する
運転支援装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載の運転支援装置において、
前記変更部は、前記試用運転が行われている場合には、前記試用運転が行われていない場合に比べ、より早期に前記運転支援機能を作動させる
運転支援装置。
【請求項5】
請求項に記載の運転支援装置において、
前記作動部は、前記車両と前記物体との衝突までの残り時間が、予め定められた閾値を下回った際に、前記運転支援機能を作動させ、
前記変更部は、前記試用運転が行われている場合には、前記試用運転が行われていない場合に比べ、前記閾値を大きくする
運転支援装置。
【請求項6】
請求項に記載の運転支援装置において、
前記作動部は、前記車両と前記物体との間の距離が、予め定められた閾値を下回った際に、前記運転支援機能を作動させ、
前記変更部は、前記試用運転が行われている場合には、前記試用運転が行われていない場合に比べ、前記閾値を大きくする
運転支援装置。
【請求項7】
請求項1から請求項のうちのいずれか1項に記載の運転支援装置において、
前記作動部は、
前記運転支援機能が作動した際に、当該運転支援機能に関する情報を示す運転支援画像(4)を表示部(34)に表示し、
前記試用運転が行われている場合には、前記試用運転が行われていない場合とは異なる態様で前記運転支援画像を表示させる
運転支援装置。
【請求項8】
請求項に記載の運転支援装置において、
前記運転支援機能では、前記物体との衝突を回避するために前記車両の挙動が制御され、
前記作動部は、前記運転支援機能の作動に連動したタイミングで、前記表示部に前記運転支援画像を表示させる
運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両が物体と衝突するのを回避するための運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両と物体とが衝突する可能性が生じた際に、注意喚起等を行う運転支援装置が知られている。特許文献1に開示された技術では、車両と物体とが衝突する可能性が生じた状況を学習し、注意喚起のタイミングが補正される。このような技術によれば、ドライバの特定等に応じて、注意喚起のタイミングを最適化できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-113275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、注意喚起のタイミングが補正される前の段階では、予め定められた初期値により注意喚起のタイミングが決定される。これに対し、例えば、車両を購入した直後の時期等に、運転支援機能を試すため、運転支援機能を意図的に作動させる運転操作が行われる恐れがある。特許文献1の技術では、注意喚起のタイミングが最適値に補正される前にこのような運転操作が行われると、適切なタイミングで注意喚起を行うことができない可能性がある。
【0005】
本開示は、運転支援機能を意図的に作動させる運転操作に対し、良好に対処するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、車両に搭載され、車両と、車両の周辺の物体との衝突を回避するための運転支援機能を作動させる運転支援装置(1)であって、検出部(23)と、作動部(31、S120、S320)と、判定部(21、S105、S110、S305、S310)と、変更部(31、S115、S315)と、を備える。検出部は、物体を検出する。作動部は、検出部により検出された物体と、車両との衝突を回避するための運転支援機能を作動させる。判定部は、車両のドライバより、運転支援機能を意図的に作動させる試用運転が行われているか否かを判定する。変更部は、試用運転が行われている場合には、試用運転が行われていない場合よりも確実に衝突を回避できるよう、運転支援機能の作動態様を変更する。
【0007】
上記構成によれば、試用運転が行われた場合には、運転支援機能より、より確実に車両の衝突を回避できる。このため、運転支援機能を意図的に作動させる運転操作に対し、良好に対処できる。
【0008】
なお、この欄及び請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態の運転支援装置のブロック図である。
図2】第1実施形態の運転支援処理のフローチャートである。
図3】第1実施形態の運転支援画像の説明図である。
図4】第1実施形態における運転支援機能についての説明画像の説明図である。
図5】第1実施形態における作動閾値の設定画面の説明図である。
図6】第1実施形態の試用運転判定処理のフローチャートである。
図7】第2実施形態の運転支援処理のフローチャートである。
図8】第2実施形態における運転支援機能についての説明画像の説明図である。
図9】第2実施形態における運転支援機能の擬似体験動画の説明図である。
図10】第2実施形態における作動閾値の設定に用いられる複数のカーソルの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
[1.運転支援装置の構成]
図1に示す第1実施形態の運転支援装置1は、当該運転支援装置1が搭載された車両(以後、自車両)と、自車両周辺の物体との衝突を回避するための運転支援機能を有する。運転支援装置1は、統合ECU2と、制御ECU3とを有する。これらのECUは、例えば車内LAN等の通信ラインによりに接続されている。なお、車内LANとは、例えば、CAN(登録商標)であっても良い。
【0011】
統合ECU2は、制御回路20を有する。また、統合ECU2には、車内LAN又は専用の通信ラインを介して、車外センサ23、車内センサ24、及びHMI25が接続されている。
【0012】
制御回路20は、CPU21と、RAM、ROM、及びフラッシュメモリ等の半導体メモリ(以下、メモリ22とする)と、を有する周知のマイクロコンピュータを有する。なお、マイクロコンピュータの数は、1つであっても良いし、複数であっても良い。運転支援装置1(より詳しくは、統合ECU2)の各機能は、CPU21が非遷移的実体的記憶媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。また、プログラムを実行することで、プログラムに対応する方法が実行される。この例では、メモリ22が、プログラムを格納した非遷移的実体的記憶媒体に該当する。なお、CPUを有さない電子回路(例えば、ASIC等の集積回路)を制御回路20に設け、該電子回路により、上記各機能の全部又は一部を実現しても良い。
【0013】
車外センサ23は、自車両の周辺に存在する物体を検出する少なくとも1つのセンサである。車外センサ23は、例えば、車外カメラ及び/又はレーザレーダを含んでいても良い。また、物体とは、例えば、歩行者、他の車両、又は障害物等であっても良い。そして、車外センサ23は、物体の検出結果を制御回路20に出力する。
【0014】
車内センサ24は、自車両のドライバの挙動を検出する少なくとも1つのセンサである。車内センサ24は、例えば、ドライバカメラであっても良い。ドライバカメラは、自車両のドライバの顔を撮影して動画データを生成すると共に、動画データを制御回路20に出力する。
【0015】
HMI25は、自車両に乗車しているドライバ等からの入力を受け付ける。一例として、HMI25は、手動の操作を受け付けるボタンやタッチパネル等といった操作部と、音声により入力を受け付けるマイクとを有する。
【0016】
また、制御ECU3は、制御回路30を有する。また、制御ECU3には、車内LAN又は専用の通信ラインを介して、制動部33及びHMI34が接続されている。
制御回路30は、CPU31と、RAM、ROM、及びフラッシュメモリ等の半導体メモリ(以下、メモリ32とする)と、を有する周知のマイクロコンピュータを有する。なお、マイクロコンピュータの数は、1つであっても良いし、複数であっても良い。運転支援装置1(より詳しくは、制御ECU3)の各機能は、CPU31が非遷移的実体的記憶媒体に格納されたプログラムを実行することにより実現される。また、プログラムを実行することで、プログラムに対応する方法が実行される。この例では、メモリ32が、プログラムを格納した非遷移的実体的記憶媒体に該当する。なお、CPUを有さない電子回路(例えば、ASIC等の集積回路)を制御回路30に設け、該電子回路により、上記各機能の全部又は一部を実現しても良い。
【0017】
制動部33は、ドライバによるブレーキぺダルの操作に応じて、自車両のブレーキを制御する部位である。
HMI34は、自車両のドライバ等に対し各種情報を提供する部位である。HMI34は、一例として、液晶ディスプレイ等を有する表示部とスピーカとを有し、映像と音声とにより各種情報を提供しても良い。なお、表示部は、一例として、CID(Center Information Display)、又は、MID(Multi Information Display)等として構成されていても良い。CIDとは、インストルメントパネルの中央に配置された液晶ディスプレイ等の表示装置である。また、MIDとは、自車両の速度等といった複数の情報を表示する表示装置である。
【0018】
[2.運転支援機能について]
運転支援装置1では、統合ECU2のCPU21は、車外センサ23により自車両周辺の物体を検出すると共に、自車両と物体とが衝突する危険度を判定する。そして、制御ECU3のCPU31は、該危険度が高くなったときに、自車両と物体との衝突を回避するための運転支援機能を作動させる。なお、第1実施形態では、一例として、自車両の前方に存在する物体(以後、対象物体)と自車両との衝突の危険度が判定され、運転支援機能により、対象物体と自車両との衝突が回避される。しかしながら、自車両の側方又は後方に存在する物体との衝突の危険度を判定し、該物体と自車両との衝突を回避するようにしても良い。
【0019】
具体的には、例えば、統合ECU2のCPU21は、車外センサ23により、自車両に対する対象物体の相対速度と、自車両に対する対象物体の相対的な位置とを計測する。そして、CPU21は、対象物体の相対速度及び相対的な位置に基づき、自車両が対象物体に衝突するまでの残り時間であるTTC(Time to Collision)を予測する。そして、TTCが、自車両と対象物体とが衝突する危険度として用いられる。
【0020】
一方、制御ECU3のCPU31は、統合ECU2のCPU21から危険度の判定結果としてTTCを受信し、TTCが作動閾値を下回った際に運転支援機能を作動させる。つまり、作動閾値が大きくなるに従い、より早期に運転支援機能が作動する。
【0021】
なお、作動閾値は、ドライバ等により設定可能となっていても良い。すなわち、作動閾値は、フラッシュメモリとして構成された制御ECU3のメモリ32に記憶されていても良い。また、統合ECU2のCPU21は、HMI25を介して作動閾値の変更指示を受け付けても良い。そして、制御ECU3のCPU31は、該変更指示に従い、メモリ32に記憶されている作動閾値を変更しても良い。
【0022】
また、制御ECU3が作動させる運転支援機能とは、例えば、自車両の挙動を制御することで、自車両と対象物体との衝突を回避するものであっても良い。具体的には、例えば、制御ECU3のCPU31は、制動部33を制御し、ブレーキを作動させて自車両を減速させることで、衝突を回避しても良い。この他にも、CPU31は、例えば、自車両の操舵角を制御して自車両の進行方向を変更することで、衝突を回避しても良い。また、例えば、CPU31は、ブレーキの作動と操舵角の制御との双方を行うことで、衝突を回避しても良い。
【0023】
この他にも、運転支援機能とは、例えば、ドライバに対し衝突の危険性を警告することで、自車両と対象物体との衝突を回避するものであっても良い。すなわち、例えば、CPU31は、統合ECU2からの指示に応じて、HMI34を介して、例えば、警告画像を表示したり警告音を出力したりすることで、ドライバに対し衝突の危険性を報知しても良い。また、運転支援機能とは、例えば、自車両の挙動の制御と警告との双方を行うことで、衝突を回避するものであっても良い。
【0024】
[3.試用運転について]
ところで、例えば、車両を購入した直後の時期や、自車両を使用し始めた当初の時期等には、運転支援装置1の運転支援機能を試したり、運転支援機能を理解したりするため、ドライバが運転支援機能を意図的に作動させる可能性がある。以後、運転支援機能を意図的に作動させる運転を試用運転と記載し、試用運転ではない運転を通常運転と記載する。また、運転支援機能の理解が進まないと、試用運転が何度も行われる可能性がある。これに対し、統合ECU2のCPU21は、試用運転が行われているか否かを判定する。そして、制御ECU3のCPU31は、試用運転中は、通常運転中に比べ、より確実に前記衝突を回避できる態様で運転支援機能を作動させる。
【0025】
一例として、第1実施形態では、CPU31は、試用運転中は、通常運転中に比べより早期に運転支援機能をさせる。具体的には、CPU31は、通常運転中にはメモリ32に記憶されている作動閾値を用いて運転支援機能を作動させ、試用運転中には、該作動閾値よりも大きい値を作動閾値として用いることで、運転支援機能の作動タイミングを早くしても良い。
【0026】
また、複数の固定値の中から選択されたものを、通常運転時の作動閾値として用いる構成が想定される。このような場合、これらの固定値のうちの最大値よりも大きな値が、試用運転時の作動閾値として用いられても良い。また、例えば、これらの固定値の平均値よりも大きい固定値が、試用運転時の作動閾値として用いられても良い。こうすることで、該平均値以下の値が通常運転時の作動閾値である場合には、試用運転時に、通常運転時よりも早期に運転支援機能を作動させることができる。
【0027】
[4.運転支援処理について]
次に、試用運転が行われているかどうかに応じて運転支援機能を作動させる運転支援処理について、図2のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、運転支援装置1にて定期的に実行される。
【0028】
S100では、統合ECU2のCPU21は、自車両の購入後、予め定められた期間が経過したか否かを判定する。具体的には、例えば、自車両の購入時期を示すデータがメモリ22に記憶されていても良い。そして、CPU21は、該データと、制御回路20に設けられたタイマ機能とに基づき上記判定を行っても良い。CPU21は、否定判定が得られた場合には(S100:No)、S105に移行し、肯定判定が得られた場合には(S100:Yes)、本処理を終了する。
【0029】
S105では、CPU21は、後述する試用運転判定処理を実行し、試用運転が行われているか否かを判定する。そして、続くS110では、CPU21は、試用運転が行われている場合には(S110:Yes)、S115に移行し、通常運転が行われている場合には(S110:No)、本処理を終了する。
【0030】
S115では、CPU21は、試用運転が行われている旨を制御ECU3に通知する。そして、該通知を受け取った制御ECU3のCPU31は、通常運転時よりも確実に衝突を回避できるよう、試用運転時における運転支援機能の作動態様を変更する。具体的には、CPU31は、上述した方法により現在の作動閾値を通常運転時の作動閾値よりも大きくし、作動態様の一例である作動タイミングを早くしても良い。また、CPU31は、運転支援機能の作動時に自車両を減速させる場合であれば、作動態様の一例である減速度合いを通常運転時よりも大きくしても良い。また、CPU31は、通常運転時よりもより強く注意喚起を促すよう、作動態様の一例である警告の態様を変更しても良い。
【0031】
その後、試用運転中にTTCが現在の作動閾値を下回ったとする。この場合に移行するS120では、制御ECU3のCPU31は、運転支援機能を作動させると共に、これに連動したタイミングで、HMI34の表示部におけるメータ表示の側方に、運転支援機能に関する情報を示す運転支援画像4(図3参照)を表示する。
【0032】
CPU31は、試用運転が行われているか否かに関わらず、運転支援機能の作動に連動して運転支援画像を表示するが、運転支援画像4は、試用運転中と通常運転中とで異なる態様で表示される。一例として、試用運転中と通常運転中とでは、運転支援画像4における車両の画像40の色が異なっている。また、一例として、試用運転中の運転支援画像4は、通常運転中の運転支援画像とは異なり、通常運転時よりも運転支援機能が早期に作動したことを示すメッセージ41と、HMI25への操作に応じて運転支援機能の説明がなされることを示すメッセージ42と含んでいる。
【0033】
続くS125では、統合ECU2のCPU21は、HMI25の操作部にて、運転支援機能の説明の要求を受け付けたか否かを判定する。そして、CPU21は、肯定判定が得られた場合には(S125:Yes)、該要求を制御ECU3に通知してS130に移行し、否定判定が得られた場合には(S125:No)、本処理を終了する。
【0034】
S130では、制御ECU3のCPU31は、自車両が停車中か否かを判定する。具体的には、例えば、CPU31は、車内LAN等を介して取得したシフトレバーの位置情報や、車速センサや他のECUから取得した自車両の車速に基づき、該判定を行っても良い。そして、CPU31は、肯定判定が得られた場合には(S130:Yes)、S135に移行し、否定判定が得られた場合には(S130:No)、S145に移行する。
【0035】
S135では、制御ECU3のCPU31は、HMI34の表示部に説明画像5(図4参照)を表示することで、運転支援機能についての説明を行う。具体的には、説明画像5の画像50は、通常運転時に運転支援機能が作動する際の、自車両と、対象物体の一例である自車両前方の車両(以後、前方車両)との概略的な車間距離を示している。つまり、該車間距離は、現在選択されている通常運転時の作動閾値に対応している。また、説明画像5の画像51は、現在選択されている通常運転時の作動閾値(一例として、0.5秒)を示している。また、説明画像5のメッセージ52は、通常運転時の作動閾値として設定可能な値の範囲と、運転支援機能の作動タイミングとを説明している。なお、説明画像5を表示する際、CPU31は、HMI34のスピーカを介して、運転支援機能の作動時に音声として出力される警告メッセージや警告音を出力しても良い。
【0036】
続くS140では、制御ECU3のCPU31は、統合ECU2のHMI25における操作部を介して、通常運転時の作動閾値(換言すれば、運転支援機能の作動タイミング)の変更指示を受け付ける。具体的には、CPU31は、HMI34の表示部に設定画面6を表示する(図5参照)。設定画面6は、通常運転時の運転支援機能の作動タイミングを概略的に示す自車両60と前方車両61との車間距離を示している。
【0037】
この時、統合ECU2のCPU21は、HMI25にて受け付けた変更指示を制御ECU3に送信する。そして、制御ECU3のCPU31は、該変更指示に基づき、設定画面6における自車両60と前方車両61との車間距離を変更する。設定画面6に表示され得る各車間距離は、選択可能な作動閾値に対応しており、車間距離を変更することで作動閾値を選択できる。そして、CPU31は、選択された車間距離に対応する作動閾値を、通常運転時の新たな作動閾値としてメモリ32に記憶する。そして、CPU31は、本処理を終了する。なお、図5は、一例として、運転支援機能の作動タイミングを遅くする変更指示を受け付けた場合の、設定画面6が示す車間距離の変化を示している。
【0038】
一方、S145では、制御ECU3のCPU31は、HMI34のスピーカから音声を出力することで、運転支援機能についての説明を行う。具体的には、例えば、自車両の前方車両との距離が計測される点や、運転支援機能の作動条件等が報知されても良い。
【0039】
続くS150では、制御ECU3のCPU31は、統合ECU2のHMI25のマイクを介して、通常運転時の作動閾値の変更指示を受け付ける。具体的には、統合ECU2のCPU21は、HMI25のマイクに入力された音声に基づき、該変更指示を検出する。具体例を挙げると、「もっと早く」等といった音声が検出された場合には、作動閾値を大きくする変更指示がなされたとみなし、「もっと遅く」等といった音声が検出された場合には、作動閾値を小さくする変更指示がなされたとみなしても良い。そして、CPU21は、検出した変更指示を制御ECU3に送信する。一方、制御ECU3のCPU31は、該変更指示に基づき作動閾値を変更すると共に、変更後の作動閾値を通常運転時の作動閾値としてメモリ32に記憶し、本処理を終了する。
【0040】
[5.試用運転判定処理について]
次に、試用運転が行われているか否かを判定する試用運転判定処理について、図6のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、統合ECU2にて実行される。
【0041】
S200では、統合ECU2のCPU21は、車内センサ24から取得したドライバの顔の動画データに基づき、ドライバが、自車両前方の対象物体と、制御ECU3のHMI34とを交互に見ているか否かを判定する。具体的には、CPU21は、動画データに基づき、ドライバの視線方向を検出すると共に、自車両の前方からHMI34への視線方向の切替と、HMI34から自車両の前方への視線方向の切替とを検出する。そして、CPU21は、一定期間内における視線方向の切替の回数が上限値を上回る場合に、自車両の前方とHMI34とを交互に見ているとみなしても良い。CPU21は、肯定判定が得られた場合には(S200:Yes)、S205に移行し、否定判定が得られた場合には(S200:No)、S220に移行する。
【0042】
S205では、CPU21は、自車両にて、対象物体に接近した後に離間するという挙動(以後、接近/離間)が生じているか否かを判定する。換言すれば、運転支援機能の作動を試みる運転操作が行われているか否かが判定される。具体的には、CPU21は、例えば、車外センサ23により対象物体と自車両との間の距離を計測し、該距離に基づき、接近/離間が生じているか否かを判定しても良い。より詳しくは、該距離が第1閾値を下回った後、所定時間内に、該距離が第1閾値よりも大きい第2閾値を上回った場合や、該距離が第2閾値を上回った後、所定時間内に、該距離が第1閾値を上回った場合は、接近/離間が生じたとみなしても良い。そして、CPU21は、肯定判定が得られた場合には(S205:Yes)、S210に移行し、否定判定が得られた場合には(S205:No)、S220に移行する。
【0043】
S210では、CPU21は、接近/離間が頻発しているか否かを判定する。具体的には、例えば、一定期間内に検出された接近/離間の回数が上限値を上回る場合に、接近/離間が頻発しているとみなしても良い。そして、CPU21は、肯定判定が得られた場合には(S210:Yes)、S215に移行し、否定判定が得られた場合には(S210:No)、S220に移行する。
【0044】
S215では、CPU21は、試用運転が行われていると判定し、本処理を終了する。
一方、S220では、CPU21は、通常運転が行われていると判定し、本処理を終了する。
【0045】
[第2実施形態]
[6.概要について]
次に、第2実施形態の運転支援装置1について説明する。第2実施形態の運転支援装置1は、第1実施形態の運転支援装置1と同様の構成を有するが、制御ECU3のHMI34の構成において相違している。具体的には、第2実施形態では、HMI34の表示部がヘッドアップディスプレイ(以後、HUD)として構成されている。このため、制御ECU3により提供される各種情報は、HUDによりドライバの前方に表示される。また、第2実施形態では、運転支援処理の一部が第1実施形態とは相違している。以下では、この相違点を中心に第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同じ符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0046】
[7.運転支援処理について]
試用運転が行われているかどうかに応じて運転支援機能を作動させる運転支援処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、運転支援装置1にて定期的に実行される。
【0047】
S300~S315は、それぞれ、第1実施形態の運転支援処理のS100~S115と同様であるため、説明を省略する。
S315が実行された後、試用運転中にTTCが作動閾値を下回ったとする。この場合に移行するS320では、制御ECU3のCPU31は、運転支援機能を作動させると共に、これに連動したタイミングで、HMI34のHUDにより、第1実施形態と同様の運転支援画像4(図3参照)を表示する。第1実施形態と同様、運転支援画像4は、試用運転中と通常運転中とで異なる態様で表示される。
【0048】
続くS325では、統合ECU2のCPU21は、HMI25の操作部にて、運転支援機能の説明の要求を受け付けたか否かを判定する。そして、CPU21は、肯定判定が得られた場合には(S325:Yes)、該要求を制御ECU3に通知してS330に移行し、否定判定が得られた場合には(S325:No)、本処理を終了する。
【0049】
S330では、制御ECU3のCPU31は、HMI34のHUDにより説明画像7(図8参照)を表示することで、運転支援機能についての説明を行う。すなわち、説明画像7のカーソル71は、自車両の前方を実際に走行する前方車両70に対応して表示され、前方車両70とカーソル71との間隔により、現在設定されている通常運転時の作動閾値が示される。つまり、カーソル71は、通常運転時に前方車両70を対象物体とする運転支援機能が作動する時点の、自車両の概略的な位置を示している。
【0050】
具体的には、統合ECU2のCPU21は、車外センサ23により、自車両に対する前方車両70の位置及び相対速度を計測し、計測結果を制御ECU3に送信する。一方、制御ECU3のCPU31は、該計測結果に基づきカーソル71の表示位置を計算し、HUDにより該表示位置にカーソル71を表示する。
【0051】
なお、前方車両が存在しない場合には、制御ECU3のCPU31は、HUDにより仮想車両を表示しても良い。そして、CPU31は、仮想車両に対応してカーソル71を表示し、仮想車両とカーソル71との間隔により、現在設定されている通常運転時の作動閾値を示しても良い。
【0052】
また、説明画像7におけるメッセージ72は、作動閾値として設定可能な値の範囲、運転支援機能の作動タイミング、及び、HMI25への操作に応じて運転支援機能の擬似体験が可能である旨とを説明している。また、説明画像7を表示する際、CPU31は、HMI34のスピーカを介して、運転支援機能の作動時に音声として出力される警告メッセージや警告音を出力しても良い。
【0053】
続くS335では、統合ECU2のCPU21は、HMI25の操作部にて、運転支援機能の擬似体験の要求を受け付けたか否かを判定する。そして、CPU21は、肯定判定が得られた場合には(S335:Yes)、S340に移行する。一方、否定判定が得られた場合には(S335:No)、CPU21は、S350に移行する。
【0054】
S340では、統合ECU2のCPU21は、車外センサ23により自車両周辺に存在する車両を検出する。車両が検出されなかった場合には(S340:Yes)、CPU21はS345に移行する。一方、車両が検出された場合には(S340:No)、CPU21は、再度S340に移行する。なお、一定期間にわたってS340の処理が繰り返し実行された場合には、CPU21は、本処理を終了しても良い。
【0055】
S345では、制御ECU3のCPU31は、HUDにより擬似体験動画8を表示することで、ドライバに運転支援機能の擬似体験を提供する(図9参照)。具体的には、擬似体験動画8は、自車両の前方車両の後部を示す擬似車両80と複数のカーソル81とを有する。また、複数のカーソル81は、自車両と擬似車両80との車間距離を示すため、自車両から擬似車両80まで、道路に沿って並んで表示される。そして、擬似体験動画8では、擬似車両80が自車両に徐々に接近し、擬似車両80と自車両との車間距離が徐々に狭くなる。そして、TTCが現在設定されている通常運転時の作動閾値を下回る距離まで擬似車両80が自車両に接近すると、運転支援機能が作動することが示される。
【0056】
続くS350では、制御ECU3のCPU31は、通常運転時の作動閾値の変更を受け付ける。すなわち、CPU31は、HMI34のHUDにより複数のカーソル9を表示する(図10参照)。複数のカーソル9は、自車両の前方車両90に対応して表示され、前方車両90から自車両に向けて並ぶ。前方車両90と複数のカーソル9の各々との間隔により、選択可能な作動閾値が示される。つまり、複数のカーソル9の各々は、通常運転時において、当該カーソルに対応する作動閾値に従って前方車両90を対象物体とする運転支援機能が作動する際の、前方車両90に対する自車両の位置を示している。また、複数のカーソル9のうち、現在設定されている作動閾値に対応するカーソルは、他のカーソルとは異なる色を有する。なお、CPU31は、S330と同様にして統合ECU2から受信した計測結果に基づきカーソル9の表示位置を計算し、該表示位置にカーソル9を表示する。
【0057】
また、前方車両が存在しない場合が想定される。このような場合には、CPU31は、HUDにより仮想車両を表示しても良い。そして、CPU31は、仮想車両に対応して複数のカーソル9を表示し、仮想車両と複数のカーソル9の各々との間隔により、選択可能な作動閾値を示しても良い。
【0058】
また、この時、制御ECU3のCPU31は、統合ECU2のHMI25の操作部又はマイクを介して、通常運転時の作動閾値の変更指示を受け付ける。すなわち、CPU31は、第1実施形態の運転支援処理のS140又はS150と同様にして、統合ECU2から変更指示を取得しても良い。CPU31は、変更指示に基づき、複数のカーソル9における選択中のカーソルの位置を変化させると共に、選択中のカーソルに対応する作動閾値を、通常運転時の作動閾値としてメモリ32に記憶する。そして、CPU31は、本処理を終了する。
【0059】
[8.効果]
(1)車両の購入直後の時期には、ドライバが自車両の運転に慣れていない可能性や、運転支援機能を十分に理解していない可能性がある。これに対し、上記実施形態によれば、このような時期に試用運転が行われた場合、運転支援機能より、より確実に車両の衝突を回避できる。このため、上記ドライバによる試用運転に対し良好に対処できる。
【0060】
(2)よし詳しくは、上記実施形態によれば、車両購入後の一定期間内に試用運転が行われた場合には、そうでない場合に比べてより大きな作動閾値が用いられ、運転支援機能の作動タイミングが早くなる。このため、より確実に車両の衝突を回避できる。
【0061】
(3)また、上記実施形態によれば、試用運転により早期に運転支援機能が作動した場合には、通常運転時とは異なる態様で運転支援画像が表示される。このため、ドライバは、試用運転により運転支援機能の作動タイミングが早くなっていることを把握できる。これにより、ドライバが、通常運転時における運転支援機能の作動タイミングを誤認識するのを抑制できる。
【0062】
(4)また、運転支援画像は、運転支援機能の作動に連動したタイミングで表示される。このため、ドライバは、運転支援機能の作動タイミングを把握し易くなり、運転支援機能に対する理解を深めることができる。
【0063】
[9.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0064】
(1)上記実施形態の運転支援装置では、運転支援装置を作動させる際に判定する危険度として、TTCが用いられる。しかしながら、TTCに替えて、例えば、車外センサ23により計測された自車両と対象物体との相対的な距離が用いられても良い。つまり、制御ECU3のCPU31は、相対的な距離が作動閾値を下回った際に、運転支援機能を作動させても良い。そして、CPU31は、試用運転時には、上記実施形態と同様にして通常運転時よりも作動閾値を大きくすることで、より早期に運転支援機能を作動させても良い。このような構成を有する場合であっても、同様の効果が得られる。
【0065】
(2)上記実施形態の試用運転判定処理のS200では、ドライバが、自車両前方の対象物体と制御ECU3のHMI34とを交互に見ているか否かが判定される。そして、該判定結果に基づき、試用運転が行われているかが判定される。しかしながら、S200の処理を省略しても良い。つまり、ドライバの視線を考慮すること無く、対象物体への接近/離間が頻発したか否かに基づき、試用運転が行われているかが判定されても良い。
【0066】
(3)上記実施形態の運転支援処理では、自車両の購入後の一定期間において、試用運転か否かに応じて運転支援機能の作動タイミングが変更される。しかしながら、該期間に限らず、試用運転が行われているか否かに応じて運転支援機能の作動タイミングが変更されても良い。
【0067】
(4)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。なお、請求の範囲に記載した文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【0068】
[10.文言の対応関係]
第1、第2実施形態における運転支援装置1の統合ECU2のCPU21が判定部の一例に、車外センサ23が検出部の一例に相当する。また、制御ECU3のCPU31が、作動部及び変更部の一例に相当し、HMI34が表示部の一例に相当する。
【0069】
また、第1実施形態の運転支援処理におけるS105、S110が、判定部の一例に相当し、S115が変更部の一例に相当し、S120が作動部の一例に相当する。
また、第2実施形態の運転支援処理におけるS305、S310が、判定部の一例に相当し、S315が変更部の一例に相当し、S320が作動部の一例に相当する。
【符号の説明】
【0070】
1…運転支援装置、2…統合ECU、20…制御回路、21…CPU、22…メモリ、23…車外センサ、24…車内センサ、25…HMI、3…制御ECU、30…制御回路、31…CPU、32…メモリ、33…制動部、34…表示部、4…運転支援画像。
図1
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