(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】検索装置、システム、方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/9035 20190101AFI20221213BHJP
G06Q 10/10 20120101ALI20221213BHJP
【FI】
G06F16/9035
G06Q10/10 322
(21)【出願番号】P 2019121818
(22)【出願日】2019-06-28
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】大槻 将久
(72)【発明者】
【氏名】中島 一誠
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-324176(JP,A)
【文献】特開2001-297175(JP,A)
【文献】特開2008-123507(JP,A)
【文献】特開2003-248719(JP,A)
【文献】特開2007-114949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06Q 10/00-99/00
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
業務情報と業務に必要な心身能力を示す必要能力情報とを対応付けた業務定義情報を記憶する記憶部と、
障害者の心身能力情報を取得する取得部と、
前記業務定義情報に基づいて、前記取得した心身能力情報を加味した前記必要能力情報に対応付けられた業務情報を業務候補として検索する検索部と、
前記業務候補に基づく提示情報を出力する出力部と、を備え
、
前記心身能力情報は、前記障害者が訓練装置を用いて自己の身体能力の回復又は維持のために行った訓練結果に基づく身体能力の評価値を含む、
検索装置。
【請求項2】
前記検索部は、
前記必要能力情報から前記心身能力情報の不足能力を導出し、
前記不足能力を補うための補完情報を特定し、
前記心身能力情報に前記特定した補完情報をさらに加味して、前記業務候補を検索し、
前記出力部は、前記業務候補と前記補完情報を含めた前記提示情報を出力する
請求項1に記載の検索装置。
【請求項3】
前記検索部は、
前記補完情報として前記不足能力を補い得る1以上の補助装置を特定する
請求項2に記載の検索装置。
【請求項4】
前記検索部は、
前記補完情報として前記不足能力に関する能力向上のためのリハビリ内容を特定する
請求項2又は3に記載の検索装置。
【請求項5】
前記検索部は、
前記特定されたリハビリ内容に対応するリハビリ施設を特定し、
前記出力部は、
前記提示情報に前記リハビリ施設をさらに付加して出力する
請求項4に記載の検索装置。
【請求項6】
前記記憶部は、複数の補完情報のそれぞれと心身能力を向上させる補完値とを対応付けた補完定義情報をさらに記憶し、
前記検索部は、
前記補完定義情報に基づいて、前記不足能力を補い得る前記補完値が対応付けられた前記補完情報を特定する
請求項2乃至5のいずれか1項に記載の検索装置。
【請求項7】
前記取得部は、前記障害者における対話ロボットとの対話履歴をさらに取得し、
前記検索部は、前記対話履歴をさらに加味して前記補完情報を特定する
請求項2乃至6のいずれか1項に記載の検索装置。
【請求項8】
前記心身能力情報及び前記業務候補に応じた雇用費用を算出する算出部をさらに備え、
前記出力部は、前記提示情報に前記雇用費用をさらに付加して出力する
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の検索装置。
【請求項9】
前記取得部は、障害者雇用に関する公的補助金情報をさらに取得し、
前記算出部は、前記公的補助金情報をさらに加味して、前記雇用費用を算出する
請求項8に記載の検索装置。
【請求項10】
前記検索部は、前記補完情報として前記不足能力を補い得る複数種類の補助装置を特定し、
前記心身能力情報と前記複数種類の補助装置のそれぞれとの組合せに応じた複数の雇用費用を算出する算出部をさらに備え、
前記出力部は、前記提示情報に前記複数の雇用費用をさらに付加して出力する
請求項3に記載の検索装置。
【請求項11】
前記業務定義情報は、業務を行う職場環境が前記業務情報にさらに対応付けられ、
前記検索部は、前記心身能力情報に対応する前記職場環境にさらに対応付けられた業務情報を前記業務候補として検索する
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の検索装置。
【請求項12】
前記出力部は、開示先に応じて前記提示情報の開示範囲を変更して出力する
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の検索装置。
【請求項13】
前記提示情報に含まれる業務候補に対して前記障害者が就業した場合、当該提示情報に含まれる情報の提供元に対して課金を行う課金部をさらに備える
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の検索装置。
【請求項14】
前記提示情報に含まれる業務候補に対して前記障害者が就業した場合、当該提示情報と前記取得した心身能力情報とを対応付けた履歴情報を前記記憶部に登録する登録部をさらに備え、
前記検索部は、
前記履歴情報をさらに加味して、前記業務候補を検索する
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の検索装置。
【請求項15】
業務情報と業務に必要な心身能力を示す必要能力情報とを対応付けた業務定義情報を記憶する記憶装置と、
障害者の心身能力情報を取得する取得部と、
前記業務定義情報に基づいて、前記取得した心身能力情報を加味した前記必要能力情報に対応付けられた業務情報を業務候補として検索する検索部と、
前記業務候補に基づく提示情報を出力する出力部と、
を備える検索装置と、
を備え、
前記心身能力情報は、前記障害者が訓練装置を用いて自己の身体能力の回復又は維持のために行った訓練結果に基づく身体能力の評価値を含む、
検索システム。
【請求項16】
コンピュータが、
障害者の心身能力情報を取得し、
業務情報と業務に必要な心身能力を示す必要能力情報とを対応付けた業務定義情報に基づいて、前記取得した心身能力情報を加味した前記必要能力情報に対応付けられた業務情報を業務候補として検索し、
前記業務候補に基づく提示情報を出力
し、
前記心身能力情報は、前記障害者が訓練装置を用いて自己の身体能力の回復又は維持のために行った訓練結果に基づく身体能力の評価値を含む、
検索方法。
【請求項17】
障害者の心身能力情報を取得する処理と、
業務情報と業務に必要な心身能力を示す必要能力情報とを対応付けた業務定義情報に基づいて、前記取得した心身能力情報を加味した前記必要能力情報に対応付けられた業務情報を業務候補として検索する処理と、
前記業務候補に基づく提示情報を出力する処理と、
をコンピュータに実行さ
せ、
前記心身能力情報は、前記障害者が訓練装置を用いて自己の身体能力の回復又は維持のために行った訓練結果に基づく身体能力の評価値を含む、
検索プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検索装置、システム、方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
障害者は、自己の心身機能を回復又は維持するためのリハビリテーション(リハビリ、訓練)を行う際に、リハビリ支援装置を利用することがある。特許文献1には、リハビリ支援装置の例として、訓練者の脚部に装着されて訓練者の歩行を補助する歩行補助装置を備えた歩行訓練装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、障害者は、自己の心身機能が考慮された業務内容であれば、業務遂行可能であり、そのような業務が必要とされる職場であれば就業可能である。しかしながら、障害者の心身機能を加味した適切な業務を探し出すことが困難である。
【0005】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、障害者の心身機能に応じた適切な業務情報を検索するための検索装置、システム、方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様にかかる検索装置は、業務情報と業務に必要な心身能力を示す必要能力情報とを対応付けた業務定義情報を記憶する記憶部と、障害者の心身能力情報を取得する取得部と、前記業務定義情報に基づいて、前記取得した心身能力情報を加味した前記必要能力情報に対応付けられた業務情報を業務候補として検索する検索部と、前記業務候補に基づく提示情報を出力する出力部と、を備える。
【0007】
第1の態様により、障害者の心身機能に応じた適切な業務情報を検索することができる。つまり、障害者の能力を発揮できる適切な職場を探し出し、社会復帰を支援することができる。また、求人募集を行う企業は、仕事内容ベースで必要な能力を持った人を雇うことができる。
【0008】
また、前記心身能力情報は、前記障害者が訓練装置を用いて自己の身体能力の回復又は維持のために行った訓練結果に基づく身体能力の評価値を含むことが望ましい。身体能力の評価値は、障害者の身体能力の客観的な判断指標であるため、より適切な検索を行うことができる。
【0009】
また、前記検索部は、前記必要能力情報から前記心身能力情報の不足能力を導出し、前記不足能力を補うための補完情報を特定し、前記心身能力情報に前記特定した補完情報をさらに加味して、前記業務候補を検索し、前記出力部は、前記業務候補と前記補完情報を含めた前記提示情報を出力することが望ましい。これにより、現時点の心身能力情報であれば業務に必要な心身能力を満たさないとしても、補完情報を加味して業務を行うことで、就業可能となるような業務候補を提示することができる。つまり、業務候補の選択の幅を広げることができる。
【0010】
さらに、前記検索部は、前記補完情報として前記不足能力を補い得る1以上の補助装置を特定すると良い。これにより、補助装置を用いて心身能力を向上させた状態で就業可能な業務を検索でき、業務候補の選択の幅を広げることができる。
【0011】
または、前記検索部は、前記補完情報として前記不足能力に関する能力向上のためのリハビリ内容を特定するようにしてもよい。これにより、就業開始前又は就業開始と並行して、所定のリハビリを行うことにより心身能力を向上させつつ、就業可能な業務を検索でき、業務候補の選択の幅を広げることができる。
【0012】
さらに、前記検索部は、前記特定されたリハビリ内容に対応するリハビリ施設を特定し、前記出力部は、前記提示情報に前記リハビリ施設をさらに付加して出力すると良い。これにより、障害者が特定されたリハビリ内容を実施し易くなる。
【0013】
また、前記記憶部は、複数の補完情報のそれぞれと心身能力を向上させる補完値とを対応付けた補完定義情報をさらに記憶し、前記検索部は、前記補完定義情報に基づいて、前記不足能力を補い得る前記補完値が対応付けられた前記補完情報を特定するとよい。これにより、不足能力を補い得るか否かを客観的に判定でき、補完情報をより正確に特定できる。
【0014】
また、前記取得部は、前記障害者における対話ロボットとの対話履歴をさらに取得し、前記検索部は、前記対話履歴をさらに加味して前記補完情報を特定すると良い。これにより、障害者の認知機能に応じたより精度の高い業務候補を検索することができる。
【0015】
また、前記心身能力情報及び前記業務候補に応じた雇用費用を算出する算出部をさらに備え、前記出力部は、前記提示情報に前記雇用費用をさらに付加して出力することが望ましい。これにより業務候補の選択をより適切に行うことができる。
【0016】
さらに、前記取得部は、障害者雇用に関する公的補助金情報をさらに取得し、前記算出部は、前記公的補助金情報をさらに加味して、前記雇用費用を算出するとよい。これにより、雇用者側は障害者の雇用をより適切に判断でき、実質的な人件費を踏まえて障害者雇用が促進され得る。
【0017】
また、前記検索部は、前記補完情報として前記不足能力を補い得る複数種類の補助装置を特定し、前記心身能力情報と前記複数種類の補助装置のそれぞれとの組合せに応じた複数の雇用費用を算出する算出部をさらに備え、前記出力部は、前記提示情報に前記複数の雇用費用をさらに付加して出力するとよい。これにより、補助装置の選択の幅を広げることができる。
【0018】
また、前記業務定義情報は、業務を行う職場環境が前記業務情報にさらに対応付けられ、前記検索部は、前記心身能力情報に対応する前記職場環境にさらに対応付けられた業務情報を前記業務候補として検索することが望ましい。これにより、障害者の心身能力により適した職場環境を選択でき、就業の継続性を高めることができる。
【0019】
また、前記出力部は、開示先に応じて前記提示情報の開示範囲を変更して出力するようにしてもよい。これにより、開示先ごとに適切な情報を提供し、各開示先において効率的に情報を活用できる。
【0020】
また、前記提示情報に含まれる業務候補に対して前記障害者が就業した場合、当該提示情報に含まれる情報の提供元に対して課金を行う課金部をさらに備えるとよい。これにより、障害者の就職先検索サービスにおける収益を確保できる。
【0021】
また、前記提示情報に含まれる業務候補に対して前記障害者が就業した場合、当該提示情報と前記取得した心身能力情報とを対応付けた履歴情報を前記記憶部に登録する登録部をさらに備え、前記検索部は、前記履歴情報をさらに加味して、前記業務候補を検索するとよい。これにより、過去に雇用された実績と同等の心身能力情報を備える障害者に対して、より精度の高い業務候補を検索することができる。
【0022】
本発明の第2の態様にかかる検索システムは、業務情報と業務に必要な心身能力を示す必要能力情報とを対応付けた業務定義情報を記憶する記憶装置と、障害者の心身能力情報を取得する取得部と、前記業務定義情報に基づいて、前記取得した心身能力情報を加味した前記必要能力情報に対応付けられた業務情報を業務候補として検索する検索部と、前記業務候補に基づく提示情報を出力する出力部と、を備える検索装置と、を備える。
【0023】
本発明の第3の態様にかかる検索方法は、コンピュータが、障害者の心身能力情報を取得し、業務情報と業務に必要な心身能力を示す必要能力情報とを対応付けた業務定義情報に基づいて、前記取得した心身能力情報を加味した前記必要能力情報に対応付けられた業務情報を業務候補として検索し、前記業務候補に基づく提示情報を出力する。
【0024】
本発明の第4の態様にかかる検索プログラムは、障害者の心身能力情報を取得する処理と、業務情報と業務に必要な心身能力を示す必要能力情報とを対応付けた業務定義情報に基づいて、前記取得した心身能力情報を加味した前記必要能力情報に対応付けられた業務情報を業務候補として検索する処理と、前記業務候補に基づく提示情報を出力する処理と、をコンピュータに実行させる。
【0025】
これら第2の態様、第3の態様及び第4の態様であっても、第1の態様と同様の効果を期待できる。
【発明の効果】
【0026】
本開示により、障害者の心身機能に応じた適切な業務情報を検索するための検索装置、システム、方法、及び、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本実施形態1にかかる検索システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態1にかかる検索装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態1にかかる業務定義情報の例を示す図である。
【
図4】本実施形態1にかかる補完定義情報の例を示す図である。
【
図5】本実施形態1にかかる検索方法の流れを示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態2にかかる検索装置の構成を示すブロック図である。
【
図7】本実施形態2にかかる検索方法の流れを示すフローチャートである。
【
図8】本実施形態3にかかる検索システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図9】本実施形態3にかかる検索装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】本実施形態3にかかる課金処理の流れを示すフローチャートである。
【
図11】本実施形態3にかかる履歴登録処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】本実施形態3にかかる検索方法の流れを示すフローチャートである。
【
図13】本実施形態4にかかる検索システムの全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下では、上述した各態様を含む本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。
【0029】
<実施形態1>
図1は、本実施形態1にかかる検索システム1000の全体構成を示すブロック図である。検索システム1000は、障害者10が利用する訓練装置20と、リハビリ施設装置30と、障害者端末40と、検索装置50とを備える。訓練装置20、リハビリ施設装置30、障害者端末40及び検索装置50のそれぞれは、ネットワークNを介して通信可能に接続されている。ここで、ネットワークNは、インターネット、イントラネット、携帯電話網、LAN(Local Area Network)等の通信回線網である。
【0030】
障害者10は、心身の障害の発露により生活に制限を受ける者であり、心身に障害がありながらも社会復帰(例えば、就業)を目指す者である。
図1の例では、障害者10は、医療機関等のリハビリ施設にて訓練装置20等を用いて、自身の身体能力の回復又は維持のための訓練を行う者である。障害者10は、例えば、重病又は重症を患ったことに伴い行われた手術後に、身体能力の回復のためにリハビリを行うリハビリ患者であり、リハビリを行ったとしても健常者と比べて心身に障害が残った者である。または、障害者10は、高齢者等の心身の障害を有するものであり、心身能力の維持に努めるためのリハビリを行う者である。ここで、リハビリ(リハビリテーション)とは、身体機能もしくは知的機能の回復もしくは維持、又は、心身の障害を軽減させるために行う訓練過程を指すものであり、保険適用の有無、医療機器の使用の有無を問わない。尚、障害者10は、必ずしもリハビリを行う必要はなく、又は、リハビリを行ったとしても訓練装置20を用いる必要がない。そして、障害者10は、少なくとも後述する自己の心身能力を示す心身能力情報が何らかの情報処理装置において保持されている者であればよい。
【0031】
訓練装置20は、障害者10が訓練スタッフの指導又介助などの補助に従って、心身能力の回復又は維持のための訓練を行うための装置である。訓練装置20には、例えば、特許文献1に記載した歩行訓練装置等のリハビリ支援装置を用いることもできるが、これに限定されない。
【0032】
この場合、訓練装置20は、障害者10のリハビリ実施中に内蔵又は外部のセンサ等により検出(測定)された検出データを取得するものとする。尚、検出データは、心身能力情報の一例であり、測定するための複数の指標(例えば、複数のセンサ)の夫々に対応する測定値の集合であってもよい。また、検出データは、測定値と測定時刻や指標が対応付けられたデータである。
【0033】
検出データとしては、主にセンサデータが挙げられる。センサデータは、訓練装置20の各種センサ(不図示)で検出されたセンサ値である。例えば、センサデータは、姿勢センサで検出された体幹の傾斜角度、手摺りセンサで検出された荷重や傾斜角度、角度センサで検出された角度等である。センサデータを出力するセンサは、加速度センサ、角速度センサ、位置センサ、光センサ、トルクセンサ、加重センサ等である。また、訓練装置20が有する各種ワイヤの巻取機構等のモータに設けられたエンコーダをセンサとして用いてもよい。更には、モータのトルクセンサ(ロードセル)をセンサとしてもよいし、モータを駆動する駆動電流値を検出する電流検知部をセンサとしてもよい。
【0034】
また、センサデータは、例えば、視線を検知する視線検知センサで取得された視線データを含むことができる。同様の視線データは、障害者10の少なくとも目元を撮影した画像に基づき画像処理により視線を検出して得ることや、障害者10の少なくとも顔を撮影した画像に基づき顔の向き(上向き/下向き等)を判定して得ることもできる。このようなデータも上記の検出データに含むことができる。また、検出データは、障害者10又は訓練スタッフの音声を取得するマイク等の音声取得部で取得された音声データ、或いはその音声データを音声解析したテキストデータ、或いはそのテキストデータを解析したデータとすることもできる。訓練スタッフの音声には、障害者10への歩き方の矯正等に関する声掛けを含めることができる。また、センサデータは、脳波計で障害者10の脳波を検出したデータとすることもでき、脳波計で訓練スタッフの脳波を検出したデータとすることもできる。
【0035】
また、視線検知センサ、上記画像を撮影する撮影部、マイクなどは、訓練装置20の本体側に設けておくことができるが、例えば、障害者10に装着させるための眼鏡型ウェアラブル端末に設けておくこともできる。この端末にBluetooth(登録商標)等の無線通信方式でデータを無線通信する無線通信部を備えるとともに、訓練装置20側にも無線通信部を備えておけばよい。これにより、訓練装置20は、ウェアラブル端末で取得されたデータを無線通信により取得することができる。脳波計は、検出精度が良いものに限るが、訓練装置20の本体側に設けて、障害者10の脳波と訓練スタッフの脳波とを区別して検知できるように構成することができる。但し、脳波計は、上述した眼鏡型ウェアブル端末(例えば眼鏡の枝の部分など)など検知対象者に近接する位置になるように設けておくことが好ましい。
【0036】
また、センサ等、検出データを検出するセンサ等は、上述したものに限らない。例えば、障害者10にウェア型生体センサ及び/又はウェア型タッチセンサが搭載されたウェアを着用させることができる。ここで言うウェアは、上半身に着用するものに限らず、下半身に着用するものであっても上下セットのものであってもよいし、例えば装具等の一部に着用するものであってもよい。また、ウェア及び訓練装置20に、上述したような無線通信部を備えておく。これにより、訓練装置20は、ウェア型生体センサやウェア型タッチセンサで取得されたデータを無線通信により取得することができる。ウェア型生体センサは、着用者の心拍数等のバイタルデータを取得することができる。ウェア型タッチセンサは、着用者である障害者10が外部からタッチされた情報、つまり訓練スタッフが障害者10に触れた位置の情報を示すデータを取得することができる。
【0037】
また、検出データは、各種のセンサ等が検出した検出信号が示す値に限らず、複数のセンサからの検出信号に基づき算出した値や、1又は複数のセンサ等からの検出信号を統計処理した統計値を含むことができる。この統計値としては、例えば平均値、最大値、最小値、標準偏差値等の様々な統計値を採用することができ、また、静態統計による統計値であってもよいし、例えば1日、1訓練、1歩行サイクルなどの一定期間での動態統計による統計値であってもよい。
【0038】
例えば、センサデータは、角度センサで検出された上腿フレームと下腿フレームの角度から算出された膝関節の開き角を含むことができる。さらに、角度センサについてのセンサデータは、角度を微分した角速度を含むことができる。加速度センサについてのセンサデータは、加速度を積分した速度や、2回積分した位置であってもよい。
【0039】
例えば、検出データは、日毎、又は1日内のリハビリの施行毎についての、次のような平均値、合計値、最大値、最小値、代表値を含むことができる。ここでの平均値としては、平均速度(総歩行距離/総歩行時間)[km/h]や、重複歩距離の平均値[cm]、1分間あたりの歩数(step)を示す歩行率[steps/min]、歩行PCI[拍/m]、転倒回避介助[%]などが挙げられる。平均速度は、例えば、トレッドミルの速度設定値から計算した値とすること、或いはトレッドミル駆動部での駆動信号から計算した値とすることができる。重複歩距離とは、片側の踵が接地して次に同側の踵が再び接地するまでの距離を指す。PCIとはPhysiological Cost Index(生理的コスト指数の臨床指標)を指し、歩行PCIは歩行時のエネルギー効率を示すことになる。転倒回避介助[%]とは、訓練スタッフが障害者10への転倒回避介助を行った回数である転倒回避介助[回]を、1歩数あたりで算出した割合、つまり1歩数あたりで転倒回避介助をした割合を指す。
【0040】
また、ここでの合計値としては、歩行時間[秒]、歩行距離[m]、歩数[steps]、転倒回避介助[回]、転倒回避介助部位及び部位毎の回数[回]などが挙げられる。
また、ここでの最大値又は最小値としては、連続歩行時間[秒]、連続歩行距離[m]、連続歩数[steps]等の最大値や最小値、歩行PCI[拍/m]の最小値(換言すれば1拍あたりに歩行できる距離の最長値)などが挙げられる。代表値としては、トレッドミルの速度として最も使用した値(代表速度[km/h])などが挙げられる。
【0041】
このように、各種センサ等の検出部から直接又は間接的に供給されるデータを検出データに含めることができる。また、上記の検出データは、その検出がなされた日時等の時間情報又は時間以外のタイミング情報を付加しておくことができる。
【0042】
なお、上記の検出データは、一例であり、これ以外の検出データがあってもよい。或いは、上記のうちの一部の検出データは無くてもよい。
【0043】
ここで、心身能力情報には、障害者10が訓練装置20を利用し実行したリハビリについての、障害者10の症状、身体能力、及び回復度の少なくとも1つを含む指標データを含むことができる。言い換えると、心身能力情報には、障害者10の症状情報、Br.stage、SIAS、初期歩行FIM、最新の歩行FIM等を含むことができる。尚、心身能力情報には、障害者10の身体能力を示す様々なデータを含むことができる。また、これらの障害者10の指標データは、訓練装置20が自身で判定もしくは算出するか、又は、医師、理学療法士等の訓練スタッフが評価し、入力装置(不図示)から入力し、訓練装置20の内部の記憶装置に保存するものであってもよい。また、心身能力情報には、障害者が使用する装具情報を含むことができる。
【0044】
ここで、症状情報には、初期症状、その発症時期、現在の症状を示す情報を含むことができ、主にここに含まれる症状のために障害者10がリハビリを必要としたと捉えることができる。但し、リハビリとは直接関係なさそうな症状についても症状情報に含めることができる。また、症状情報には、脳卒中(脳血管障害)、脊髄損傷など、罹患した病気のタイプ(病名又は疾患名)とともにその部位(損傷部位)を含むことができ、タイプによってはその分類を含むことができる。例えば、脳卒中は、脳梗塞、頭蓋内出血(脳出血/くも膜下出血)などに分類されることができる。
【0045】
Br.stageは、Brunnstrom Recovery Stageを指し、片麻痺の回復過程について、観察からその回復段階を6段階に分けたものである。障害者データには、Br.stageのうち、訓練装置20に関係する主な項目である下肢項目を含むことができる。SIASは、Stroke Impairment Assessment Setを指し、脳卒中の機能障害を総合的に評価する指標である。SIASには、股屈曲テスト(Hip-Flex)、膝伸展テスト(Knee-Ext)、足パット・テスト(Foot-Pat)を含むことができる。また、SIASには、下肢触覚(Touch L/E)、下肢位置覚(Position L/E)、腹筋力(Abdominal)、及び垂直性テスト(Verticality)を含むことができる。
【0046】
FIM(Functional Independence Measure:機能的自立度評価表)とは、ADL(Activities of Daily Life)を評価する評価方法の一つを定めたものである。FIMでは、介助量に応じて1点~7点の7段階で評価を行っている。
【0047】
例えば、歩行FIMが回復度を示す汎用の指標となる。介助者なし、かつ装具(補助具)なしで50m以上歩行できた場合、最高点の7点となり、一人の介助者がどんなに介助しても15m未満しか歩行できない場合、最低点の1点となる。また、最小介助(介助量が25%以下)で50m移動することができる場合、4点、中程度介助(介助量25%以上)で50m移動できる場合、3点となる。したがって、回復が進むにつれて、障害者900の歩行FIMが徐々に高くなっていく。
【0048】
このことからも分かるように、訓練装置20で取り扱う最新の歩行FIMは、障害者10の身体能力を示す指標となるだけでなく、リハビリ開始時点からの障害者10の回復度を示す指標となる。換言すると、障害者10のリハビリの進捗状況を知る上で、歩行FIMは重要な指標となる。また、初期歩行FIMから最新の歩行FIMへの変化量又は変化速度も、回復度を示す指標となる。変化速度は、FIM効率と称することもでき、例えば、現在までのFIMの利得(変化量)を、リハビリの実施日数、リハビリの期間を示す経過日数、或いは、障害者10が入院患者である場合には入院日数などの期間で除算した値とすることができる。
【0049】
また、歩行FIMは、補装具を着用した場合などの評価時の条件での点数と捉えることができ、その場合、その評価時に適用した条件を示す情報を、歩行FIMを示す情報に付加しておくこともできる。条件とは、その情報を取得した際の、補高、使用した装具(例えば歩行補助装置、装具無し等)、その装具における膝や足首の箇所の角度設定等の設定、平地歩行であったのか斜面歩行であったのかなどを含むことができる。また、通常、歩行FIMと言えば平地歩行での歩行FIMであり、これを示す平地歩行情報には、平地歩行評価時において最も歩行した距離(最大連続歩行距離[m])等の情報を含めることもできる。
【0050】
なお、最新の歩行FIMなど、身体能力及び回復度の双方の概念に含めることができるデータについては、通常、一方に含めておけばよいが、双方に含めておくこともできる。
【0051】
さらに、訓練装置20は、上述した心身能力情報に障害者10の属性や身体情報等の障害者属性情報を対応付けて内部の記憶装置に記憶するものであってもよい。ここで、障害者属性情報は、障害者10の年齢、性別、体格(身長、体重等)等を含むことができる。また、障害者属性情報は、障害者10の氏名又はIDを含むことができ、また、障害者属性情報は、障害者10の好みを示す嗜好情報や性格を示す性格情報などを含むこともできる。また、障害者属性情報は、FIMとして、歩行能力に係るもの以外の運動項目を含むことができ、また、認知項目を含むこともできる。なお、心身能力情報や障害者属性情報の一部又は全部は、身体情報、基本情報、或いは障害者特徴情報などと称することもできる。尚、訓練装置20は、指標データ、障害者属性情報等を医療機関等の電子カルテシステム(不図示)や訓練スタッフの入力により取得してもよい。
【0052】
また、訓練装置20は、検出データや指標データ等の心身能力情報に障害者属性情報等を対応付けて訓練装置20の内部の記憶装置に記憶するものであってもよい。または、訓練装置20は、心身能力情報等をネットワークNを介してリハビリ施設装置30へ送信し、リハビリ施設装置30の内部の記憶装置に記憶してもよい。または、訓練装置20は、訓練スタッフ等の操作、検出データの検出、所定の間隔、又は、検索装置50からの取得要求に応じて、当該心身能力情報等をネットワークNを介して検索装置50へ送信してもよい。
【0053】
リハビリ施設装置30は、医療機関等の障害者10が訓練装置20を用いてリハビリを行う施設、もしくは、当該リハビリの管理を行う施設に設置された、又は、少なくとも当該施設が運用する情報処理装置である。リハビリ施設装置30は、少なくとも心身能力情報等を管理するデータベースシステムである。
【0054】
例えば、リハビリ施設装置30は、訓練装置20からネットワークNを介して取得した心身能力情報及び障害者属性情報を受信し、心身能力情報と障害者属性情報を対応付けて内部の記憶装置に記憶する。また、リハビリ施設装置30は、訓練装置20からネットワークNを介して検出データを取得し、指標データ、障害者属性情報等を医療機関等の電子カルテシステム(不図示)や訓練スタッフの入力により取得してもよい。または、障害者10が訓練装置20以外により訓練を行った場合には、リハビリ施設装置30は、上記検出データ相当のデータを訓練スタッフの入力により取得してもよい。
【0055】
また、リハビリ施設装置30は、訓練スタッフ等の操作、心身能力情報等の取得、所定の間隔、又は、検索装置50からの取得要求に応じて、当該心身能力情報等をネットワークNを介して検索装置50へ送信してもよい。尚、リハビリ施設装置30の構成は、公知の情報システム等で実現可能であるため、詳細な説明を省略する。
【0056】
障害者端末40は、障害者10や障害者10の親族、後見人等の関係者を含む障害者側のユーザが操作する情報処理装置である。障害者端末40は、ネットワークNを介した通信機能を備えたものであり、例えば、パーソナルコンピュータ、又は、タブレット端末、スマートフォン等の携帯型情報端末等である。障害者端末40は、障害者側のユーザの操作に応じて入力装置を介して就職先の職場(業務)の検索要求(業務検索要求)を受け付け、ネットワークNを介して検索装置50へ業務検索要求を送信する。また、障害者端末40は、ネットワークNを介して検索装置50から、検索結果を受信し、画面等の出力装置へ出力(表示等)を行う。
【0057】
検索装置50は、リハビリ中又はリハビリ後の障害者10が、訓練後の心身能力に応じた就職先の職場(業務)を検索するための1以上の情報処理装置である。検索装置50は、例えば、サーバ装置であり、OS(Operating System)上でウェブサーバ、アプリケーションサーバ及びデータベースサーバが実行され、アプリケーションサーバ上で本実施形態にかかる検索処理を実現するウェブアプリケーションが実行されているものとする。但し、検索装置50のソフトウェア構成は、これに限定されない。
【0058】
図2は、本実施形態1にかかる検索装置50の構成を示すブロック図である。尚、
図2は、検索装置50を1台のコンピュータ装置で実現した場合の内部構成を機能ブロックで示したものである。
【0059】
検索装置50は、記憶部51と、制御部52と、メモリ53と、IF(InterFace)部54とを備える。記憶部51は、例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置である。記憶部51は、業務定義情報511と、補完定義情報512と、検索プログラム513とを少なくとも記憶する。
【0060】
業務定義情報511は、業務情報5111と、必要能力情報5112と、職場環境5113とを対応付けた情報である。尚、職場環境5113は必須ではなく、業務定義情報511は、少なくとも業務情報5111と、必要能力情報5112とを対応付けた情報であればよい。例えば、業務定義情報511は、必要能力情報5112から業務情報5111(及び職場環境5113)への変換ルールを定めた変換テーブル又は変換マップであるとよい。この場合、業務定義情報511は、必要能力情報5112の種類ごとに複数の変換テーブルを含むものであっても良い。または、業務定義情報511は、必要能力情報5112から業務情報5111(及び職場環境5113)への変換を行う変換器、必要能力情報5112を入力として業務情報5111(及び職場環境5113)を求める関数、変換アルゴリズム、さらには、学習済みの変換モデルであってもよい。
【0061】
ここで、業務情報5111は、業務の識別情報、業務内容又は業務における作業項目等を示すテキスト情報等である。また、業務は、特定の職場における職種、タスク等をであって、雇用契約の有無を問わない。さらに、業務情報5111は、当該業務の求人募集を行っている企業等の情報を含んでも良い。企業等の情報とは、例えば、企業名、業務の執務場所の住所、最寄り駅、雇用契約の条件等である。
【0062】
必要能力情報5112は、業務に必要な心身能力を示す情報である。必要能力情報5112は、例えば、上述した心身能力情報の同質の情報であってもよい。必要能力情報5112は、障害者10が訓練装置20により訓練を行った際に測定された測定値(訓練の結果)を含む。訓練の結果は、例えば、上述した訓練装置20により検出される検出データ、センサデータであり、複数の指標による測定値の集合であってもよい。また、訓練には、歩行訓練、体幹バランス(バランストレーニング)、認知症予防のエクササイズ等が含まれ、その場合、これらの訓練の結果が必要能力情報5112に含まれる。
【0063】
また、必要能力情報5112は、障害者10の訓練中又は訓練後の身体能力の指標値、又は、訓練の結果に基づき決定される身体評価値を含む。身体評価値とは、例えば、上述したBr.stage、SIAS、初期歩行FIM、最新の歩行FIM等を含む。
【0064】
職場環境5113は、業務情報5111に対応する業務を行う執務場所、室内及び周辺環境等を示す情報である。職場環境5113は、例えば、座席(机の広さ、椅子の形状)の情報、座席周辺の情報、入口と座席間の経路の長さ、幅等の経路情報、建物の入り口から執務場所までの経路、階段、エレベータ、スロープ、手すり等を含む経路情報、執務場所とトイレ、売店等との間の経路情報等である。また、職場環境5113は、室内及び周辺環境のバリアフリーの対応度合いを示す情報を含んでも良い。
【0065】
尚、業務定義情報511は、障害者を雇用した実績のある企業から、当該障害者に担当させた業務内容、当該企業の職場環境及び当該障害者の心身能力情報等の実績情報や知見の提供を受けることにより、生成されてもよい。
【0066】
図3は、本実施形態1にかかる業務定義情報511の例を示す図である。業務情報5111は、業務ID及び業務名称、必要能力情報5112は、心身能力の種類ごとに業務に必要とされるレベルの組、職場環境5113は、執務場所の階数、エレベータ等の有無、通路の広さ、トイレの近さ等である。尚、
図3の例では、必要能力情報5112のレベルを高いものからA~Eの5段階としているが、これに限定されない。例えば、必要能力情報5112は、心身能力の種類ごとに、業務に必要とされる度合いを数値で表現してもよい。
【0067】
また、必要能力情報5112は、FIMやSIASといった身体評価値の組であってもよい。例えば、歩行FIMと下肢遠位テストのSIASとは、歩行能力(移動能力)の指標として相関がある。そのため、歩行FIMの値と下肢遠位テストのSIASの値との組合せを、業務に必要とされる歩行能力の度合いの指標値としても良い。
【0068】
また、FIMは、運動項目としてセルフケア、排泄、移乗、移動といった中項目が属し、各中項目に複数の小項目が属する。また、FIMは、認知項目としてコミュニケーション及び社会認識といった中項目が属し、各中項目に複数の小項目が属する。但し、異なる中項目に属する複数の小項目が対象とする動作が重複する場合がある。例えば、中項目「移乗」に属する小項目「ベッド・椅子・車椅」と、中項目「移動」に属する小項目「歩行・車椅子」とは、動作の関連性が高い。そのため、必要能力情報5112のうち歩行能力として、小項目「ベッド・椅子・車椅」のFIMと小項目「歩行・車椅子」のFIMとの組合せを用いても良い。
【0069】
図2に戻り説明を続ける。補完定義情報512は、複数の補完情報のそれぞれと心身能力を向上させる補完値とを対応付けた情報の一例である。ここで、補完情報は、障害者10の心身能力情報が必要能力情報5112に対して不足する分の能力値(不足能力)を補い得る情報である。本実施形態にかかる補完定義情報512は、補助装置5121と補完値5122とが対応付けられている。補助装置5121は、補完情報の一例である。補助装置5121は、例えば、聴力、視力又は認知機能を支援するウェアラブルデバイス、視力や認知機能を支援するスマートグラス、歩行能力(移動能力)を支援する杖、車椅子もしくはパーソナルモビリティ等のモビリティ、または、認知機能を支援するアシスタントロボット等が挙げられるが、これらに限定されない。尚、認知機能を支援するためには、例えば、スマートグラスに作業指示を示す文字を表示すること、聴力を支援するウェアラブルデバイスやアシスタントロボットから作業指示を音声で出力すること、又は、アシスタントロボットが作業に対するアドバイスを発言すること等が挙げられる。また、補完値5122は、対応付けられた補助装置5121を、障害者10が着用又は使用等することにより、心身能力が向上する場合のレベルや指標値である。
【0070】
尚、補完定義情報512は、障害者を雇用した実績のある企業から、当該障害者に担当させた業務内容、当該障害者の心身能力情報、当該障害者が用いた補助装置等の実績情報や知見の提供を受けることにより、生成されてもよい。
【0071】
図4は、本実施形態1にかかる補完定義情報512の例を示す図である。補助装置5121は、装置ID及び装置名称、補完値5122は、心身能力の種類ごとに、心身能力のレベルの上昇値の例である。例えば、装置ID「D002」のスマートグラスの場合、障害者10がこれを着用して業務を行う場合には、障害者10の現時点の視力のレベルが2段階上昇し、(視力向上に伴い)PC操作のレベルが1段階上昇し、調整能力のレベルが1段階上昇することを示す。尚、補完値5122は数値に限定されない。
【0072】
図2に戻り説明を続ける。検索プログラム513は、本実施形態1にかかる検索方法の処理が実装されたコンピュータプログラムである。
【0073】
メモリ53は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置であり、制御部52の動作時に一時的に情報を保持するための記憶領域である。
【0074】
IF部54は、検索装置50の外部との入出力を行うインタフェースである。IF部54は、少なくともネットワークNを介した通信を行うための通信回路である。
【0075】
制御部52は、検索装置50の各構成を制御するプロセッサである。制御部52は、記憶部51から検索プログラム513をメモリ53へ読み込み、検索プログラム513を実行する。これにより、制御部52は、後述する受付部521、取得部522、検索部523、算出部524及び出力部525の機能を実現する。
【0076】
受付部521は、障害者10のための就職先の職場(業務)の検索要求(業務検索要求)を受け付ける。例えば、受付部521は、障害者端末40から、障害者10が要望する業務内容を検索条件として含む業務検索要求をネットワークNを介して受け付ける。検索条件としては、例えば、業種、具体的な業務内容、勤務時間帯、1週間のうち勤務可能日数、業務の執務場所、最寄り駅、雇用契約の条件等が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、検索条件には、障害者10による業務における行動の要望や職場環境に対する要望を含めても良い。行動の要望とは、障害者10が職場環境において自力で移動することや補助装置を用いて移動できれば良い、といったことである。そのため、行動の要望としては、現在は装着していない装具等の補助装置の追加希望の有無が含まれていても良い。また、職場環境に対する要望とは、執務場所からのトイレの距離等である。さらに、受付部521は、障害者10の身体情報の入力情報をさらに受け付けても良い。身体情報は、例えば、上述した障害者属性情報が挙げられる。
【0077】
取得部522は、障害者10の心身能力情報を取得する。例えば、取得部522は、障害者10の心身能力情報を訓練装置20又はリハビリ施設装置30からネットワークNを介して取得する。または、取得部522は、検索装置50と直接接続された入力デバイス、又は、LAN等で接続されたコンピュータを介して、ユーザの操作により心身能力情報の入力を受け付けてもよい。
【0078】
また、取得部522は、訓練に用いられた複数の訓練装置のそれぞれから、各訓練装置に格納された心身能力情報を取得するようにしてもよい。例えば、一人の障害者10が複数の訓練装置20を用いて訓練を行った場合、各訓練装置に訓練結果や身体評価値等が分散して保存される場合もある。または、複数の障害者10のそれぞれが同一又は異なる複数の訓練装置20を用いて行った訓練結果や身体評価値等が各訓練装置に分散して保存される場合もある。このような場合に、取得部522は、複数の訓練装置20から訓練結果や身体評価値等を収集し、記憶部51に蓄積してもよい。この場合、記憶部51は、心身能力情報のデータベースとして多様な解析や、業務定義情報511のメンテナンス等に用いることができる。
【0079】
また、取得部522は、訓練の結果に基づき決定された身体評価の現在値を心身能力情報として取得し、障害者10の就業時における身体評価の目標値をさらに取得するとよい。または、取得部522は、訓練に用いられた訓練装置20による複数の測定値を心身能力情報として取得することが望ましい。
【0080】
尚、取得部522は、心身能力情報を定期的に収集、つまり、取得し、障害者10の識別情報と対応付けて記憶部51に蓄積してもよい。または、外部のデータベースにおいて、定期的に収集された心身能力情報が蓄積されていてもよい。これらの場合、取得部522は、記憶部51又は外部のデータベースから障害者10の識別情報と対応付けられた心身能力情報を取得する。
【0081】
検索部523は、業務定義情報511に基づいて、取得部522が取得した心身能力情報を加味した必要能力情報5112に対応付けられた業務情報5111を業務候補として検索(特定)する。その際、本実施形態にかかる検索部523は、必要能力情報5112から心身能力情報の不足能力を導出し、当該不足能力を補うための補完情報を特定し、心身能力情報に当該特定した補完情報をさらに加味して、業務候補を検索する。尚、検索部523が不足能力の導出、補完情報の特定等を行うことは必須ではない。例えば、受付部521が受け付けた検索条件の中に「補助装置の追加希望の有」が含まれていた場合に、検索部523が不足能力の導出、補完情報の特定等を行うようにしてもよい。
【0082】
ここで、本実施形態にかかる検索部523は、補完情報として障害者10の不足能力を補い得る1以上の補助装置5121を特定する。特に、検索部523は、補完定義情報512に基づいて、不足能力を補い得る補完値5122が対応付けられた補完情報(補助装置5121)を特定する。さらに、検索部523は、補完情報として不足能力を補い得る複数種類の補助装置5121を特定してもよい。
【0083】
検索部523は、業務候補を検索する際に、業務定義情報511に基づき、取得した心身能力情報に対応する職場環境5113にさらに対応付けられた業務情報5111を業務候補として検索するとよい。例えば、検索部523は、業務定義情報511に基づき、取得した心身能力情報を満たす必要能力情報5112を特定し、また、当該心身能力情報で対応可能な職場環境5113を特定し、特定した必要能力情報5112及び職場環境5113に対応付けられた業務情報5111を業務候補としてもよい。
【0084】
算出部524は、取得した心身能力情報及び検索した業務候補に応じた雇用費用を算出する。ここで、雇用費用とは、障害者10にとっては、業務候補に対して就業した場合の給与(時給、月給、年俸等)等の待遇を含み、雇用者側にとっては障害者10を雇用した場合に生じる給与を含む人件費を含むものとする。尚、算出部524は、業務検索要求の要求元が障害者10側であるか雇用者側であるかに応じて算出する雇用費用を給与等か人件費とするかを分けても良い。
【0085】
また、雇用費用の算出の仕方の例としては次のものが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、心身能力情報と業務候補の組合せごとに雇用費用が対応付けられた変換マップが記憶部51に記憶されており、算出部524は、当該変換マップを用いて雇用費用を算出してもよい。または、算出部524は、心身能力情報と業務候補から所定の算出アルゴリズムにより雇用費用を算出してもよい。
【0086】
さらに、上述したように、検索部523が複数種類の補助装置5121を特定した場合、算出部524は、心身能力情報と複数種類の補助装置5121のそれぞれとの組合せに応じた複数の雇用費用を算出するとよい。
【0087】
出力部525は、業務候補に基づく提示情報を出力する。ここで、提示情報とは、業務検索要求の要求元に対して検索結果として業務候補を含む情報を提示するための情報である。例えば、検索部523により複数の業務候補が検索された場合には、出力部525は、各業務候補が所定の順序でソートされた結果(業務候補のリスト)を提示情報として出力する。また、上述したように、検索部523が補完情報を特定した場合、出力部525は、業務候補と補完情報を含めた提示情報を出力する。出力部525は、提示情報に雇用費用をさらに付加して出力する。さらに、上述したように、算出部524が複数の雇用費用を算出した場合、出力部525は、提示情報に複数の雇用費用をさらに付加して出力するとよい。
【0088】
尚、上述した受付部521、取得部522、検索部523、算出部524及び出力部525は、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、汎用または専用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサ(制御部52)として、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)等を用いることができる。
【0089】
また、検索装置50の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、検索装置50の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
【0090】
また、記憶部51は、検索装置50と接続された外部の記憶装置として存在しても良く、ストレージシステム、データベースシステム等により検索装置50との間でデータの入出力を行っても良い。その際、外部の記憶装置には、少なくとも業務定義情報511及び補完定義情報512が記憶されており、検索装置50内の記憶部51には、少なくとも検索プログラム513が記憶されていればよい。
【0091】
図5は、本実施形態1にかかる検索方法の流れを示すフローチャートである。例えば、障害者側のユーザは、障害者端末40を操作して障害者10の社会復帰のための就職先の職場を探すために、上述した検索条件を含めた業務検索要求を入力し、障害者端末40は、入力された業務検索要求をネットワークNを介して検索装置50へ送信する。または、検索装置50のユーザは、障害者側等からの依頼に応じて検索装置50に接続された情報処理装置を操作して上記業務検索要求を入力し、当該情報処理装置は、入力された業務検索要求を検索装置50へ出力する。
【0092】
検索装置50の受付部521は、上記の障害者端末40又はリハビリ施設装置30等の情報端末、情報処理装置から業務検索要求を受信する(受け付ける)(S11)。ここで、業務検索要求には、障害者10の識別情報と上述した検索条件として、障害者10が要望する業務内容、補助装置の追加希望の有の指定が少なくとも含まれるものとする。さらに、上述した他の検索条件を含んでも良い。
【0093】
次に、検索装置50の取得部522は、業務検索要求に含まれる障害者10の識別情報に対応する心身能力情報を取得する(S12)。例えば、取得部522は、訓練装置20又はリハビリ施設装置30に対して、ネットワークNを介して、障害者10の識別情報に対応する心身能力情報の取得要求を送信する。そして、取得部522は、訓練装置20又はリハビリ施設装置30からネットワークNを介して、当該取得要求に応じて返信された心身能力情報を受信する。尚、上述した通り、心身能力情報が記憶部51又は外部のデータベースに蓄積されている場合には、取得部522は、記憶部51又は外部のデータベースから障害者10の識別情報と対応付けられた心身能力情報を取得する。
【0094】
ここで、検索条件に「補助装置の追加希望の有」の指定が含まれているため、検索部523は、業務定義情報511を参照し、必要能力情報5112から心身能力情報の不足能力を導出する(S13)。例えば、検索部523は、業務定義情報511内の各必要能力情報5112と、ステップS12で取得された障害者10の心身能力情報との能力値の差分を算出し、算出した差分を不足能力としてもよい。
【0095】
そして、検索部523は、障害者10の不足能力を補い得る1以上の補助装置5121を補完情報として特定する(S14)。例えば、検索部523は、補完定義情報512の中から不足能力以上の補完値5122を特定し、当該補完値5122が対応付けられた補助装置5121を特定する。
【0096】
続いて、検索部523は、業務定義情報511に基づいて、障害者10の心身能力情報とステップS14で特定した補助装置5121を加味して、業務候補を検索する(S15)。例えば、検索部523は、補完定義情報512から、ステップS14で特定した補助装置5121に対応付けられた補完値5122を取得する。そして、検索部523は、障害者10の心身能力情報に、当該取得した補完値5122を加えた補完後の心身能力情報を算出する。その後、検索部523は、業務定義情報511の中から、補完後の心身能力情報を満たす必要能力情報5112を特定する。また、検索部523は、業務定義情報511の中から、補完後の心身能力情報で対応可能な職場環境5113を特定する。例えば、ステップS12で取得した障害者10の心身能力情報から、障害者10が車椅子の使用を前提としている場合、または、ステップS14で特定した補助装置5121が車椅子である場合、補完後の心身能力情報で対応可能な職場環境5113としては、執務場所の周辺に車椅子で入れるトイレがあることが挙げられる。その後、検索部523は、業務定義情報511の中から、特定した必要能力情報5112及び職場環境5113に対応付けられた業務情報5111を業務候補として検索する。
【0097】
尚、検索条件に障害者10が要望する業務内容(業務条件)が含まれているため、検索部523は、業務定義情報511内の業務情報5111のうち、業務条件に該当するものに絞り込むことは当然、行われる。例えば、ステップS13の前に、検索部523は、業務定義情報511の中から、業務条件を満たす業務情報5111に絞り込んだ上で、ステップS13からS15を実行してもよい。または、検索部523は、ステップS15において、必要能力情報5112及び職場環境5113に加えて、業務条件を満たす業務情報5111を業務候補として検索してもよい。
【0098】
その後、算出部524は、ステップS12で取得した心身能力情報及びステップS15で検索した業務候補に応じた雇用費用を算出する(S16)。ここでは、業務検索要求の要求元が障害者10側であるものとし、算出部524は、給与等を雇用費用として算出する。
【0099】
そして、出力部525は、業務候補と雇用費用を含めた提示情報を出力する(S17)。例えば、出力部525は、業務検索要求を行った障害者端末40に対して、ネットワークNを介して提示情報を送信する。これにより、障害者側のユーザは、障害者10の心身能力情報に応じた適切な業務情報を得ることができる。
【0100】
このように、本実施形態により、障害者の能力を発揮できる適切な職場を探し出し、社会復帰を支援することができる。また、求人募集を行う企業は、仕事内容ベースで必要な能力を持った人を雇うことができる。さらに、障害者の雇用により補助金がもらえる場合もある。また、補助装置を扱うデバイスメーカは、自社の補助装置の普及や活用を促進できる。
【0101】
特に、不足能力を補い得る補助装置を特定し、補助装置を加味して業務候補を検索することで、現時点の心身能力情報であれば業務に必要な心身能力を満たさないとしても、補助装置を用いて業務を行うことで、就業可能となるような業務候補を提示することができる。つまり、業務候補の選択の幅を広げることができる。
【0102】
さらに、雇用費用を算出することで、業務候補の選択の判断をより適切に行うことを支援できる。
【0103】
ここで、一般に、障害等級により就業可能な業務が異なり、また、人件費が異なることが多い。例えば、健常者を雇用した場合の人件費が30万円、障害等級が第一級の障害者を雇用した場合の人件費が20万円、障害等級が第二級(第一級よりは障害が軽い)の障害者を雇用した場合の人件費が25万円とする。また、特定の業務については、健常者又は障害等級が第二級であれば担当可能であるが、障害等級が第一級の障害者の心身能力では担当が困難であるものとする。この場合に、本実施形態により障害等級が第一級の障害者の不足能力を補い得る車椅子を特定し、車椅子を加味した場合には当該業務の担当がかのうになるものとする。そして、人事担当者は、上記人件費が付加された提示情報を確認することで、障害等級が第一級の障害者であっても補助装置として車椅子を用いることで、当該業務を担当可能であり、健常者や障害等級が第二級の障害者よりも人件費が安いことを確認できる。よって、本実施形態により、障害者雇用を促進することもできる。
【0104】
<実施形態2>
本実施形態2は、上述した実施形態1の変形例である。尚、本実施形態2にかかる検索システムの構成は、
図1等と同等であるため、図示を省略し、共通する構成についての説明を省略する。
【0105】
図6は、本実施形態2にかかる検索装置50aの構成を示すブロック図である。
図6は、
図2と比べて、補完定義情報512、検索プログラム513、検索部523及び出力部525が補完定義情報512a、検索プログラム513a、検索部523a及び出力部525aに置き換わり、施設情報514が追加されたものである。尚、その他の構成は、実施形態1と同等であるため、共通する構成についての説明を省略する。
【0106】
補完定義情報512aは、補完情報の一例であるリハビリ内容5121aと、補完値5122とが対応付けられている。リハビリ内容5121aは、不足能力に関する能力向上のための訓練内容である。例えば、リハビリ内容5121aは、歩行訓練、車椅子による自立移動等といった訓練種別である。または、リハビリ内容5121aは、同一の訓練種別であっても、訓練内容、具体的なリハビリ対象部位(腿、膝等)、訓練期間といったものにより分類されていてもよい。その場合、各リハビリ内容5121aには、歩行訓練のうち訓練内容、リハビリ対象部位及び訓練期間の違いに応じて、異なる補完値5122が対応付けられる。
【0107】
検索プログラム513aは、本実施形態2にかかる検索方法の処理が実装されたコンピュータプログラムである。
【0108】
施設情報514は、リハビリ施設に関するデータベースであり、例えば、リハビリ施設5141とリハビリ内容5142とが対応付けられている。リハビリ施設5141は、施設の識別情報、名称、住所等の施設に関する情報である。リハビリ内容5142は、上述したリハビリ内容5121aの識別情報である。
【0109】
検索部523aは、補完定義情報512に基づいて、不足能力を補い得る補完値5122が対応付けられた補完情報を特定する際に、補完情報として不足能力に関する能力向上のためのリハビリ内容5121aを特定する。さらに、検索部523aは、施設情報514を参照し、特定されたリハビリ内容5142(5121a)に対応するリハビリ施設5141を特定する。
【0110】
出力部525aは、業務候補及び雇用費用にリハビリ内容及びリハビリ施設を付加して提示情報として出力する。
【0111】
図7は、本実施形態2にかかる検索方法の流れを示すフローチャートである。
図7は、
図5と比べて、ステップS14、S15及びS17がS14a、S151及びS152並びにS17aに置き換わったものである。尚、他のステップは
図5と同様であるため、適宜説明を省略する。
【0112】
ステップS11の後、検索部523aは、障害者10の不足能力を補い得るリハビリ内容5121aを補完情報として特定する(S14a)。例えば、検索部523aは、補完定義情報512のa中から不足能力以上の補完値5122を特定し、当該補完値5122が対応付けられたリハビリ内容5121aを特定する。
【0113】
続いて、検索部523aは、業務定義情報511に基づいて、障害者10の心身能力情報とステップS14aで特定したリハビリ内容5121aを加味して、業務候補を検索する(S151)。例えば、検索部523aは、補完定義情報512aから、ステップS14aで特定したリハビリ内容5121aに対応付けられた補完値5122を取得する。そして、検索部523は、障害者10の心身能力情報に、当該取得した補完値5122を加えた補完後の心身能力情報を算出する。そして、補完後の心身能力情報により業務候補を検索する点は、上述したステップS15と同様である。
【0114】
その後、算出部524は、ステップS12で取得した心身能力情報及びステップS15aで検索した業務候補に応じた雇用費用を算出する(S16)。
【0115】
また、ステップS151とは独立して、検索部523aは、施設情報514からステップS14aで特定したリハビリ内容5121aに対応付けられたリハビリ施設5141を特定する(S152)。
【0116】
ステップS16及びS152の後、出力部525aは、業務候補と雇用費用に加えて、ステップS14aで特定したリハビリ内容5121a及びステップS152で特定したリハビリ施設5141を含めた提示情報を出力する(S17a)。
【0117】
このように、本実施形態により、現時点の心身能力情報であれば、業務に必要な心身能力を満たさないとしても、リハビリ内容による訓練期間の経過後に想定される向上後の心身能力により、業務候補の検索を行うことができる。つまり、業務候補の選択の幅を広げることができる。
【0118】
例えば、就業開始前に歩行訓練に関するリハビリを行うことで歩行能力が向上し、その後であれば、当該業務に必要な心身能力を満たすことができる場合に有効である。または、就業開始と並行して、歩行訓練に関するリハビリも開始することで、徐々に歩行能力が向上し、訓練期間の経過後には当該業務に必要な心身能力を満たすことができる場合に有効である。また、この場合、雇用する会社側も就業当初は、歩行に関する介助が必要であるものの、いずれ自立移動が可能となる見込みが得られるため、雇用を促進し得る。
【0119】
さらに、リハビリ内容5121aによる訓練を行い得るリハビリ施設5141を特定及び提示することで、障害者10がリハビリ内容5121aを実施し易くなる。
【0120】
尚、リハビリ施設には、特定のタスクに特化したリハビリを行うような、保険適用外の施設も存在する。施設情報514には、このような自費でリハビリを行うためのリハビリ施設が含まれていても良い。その場合、算出部524は、特定されたリハビリ施設においてリハビリ内容によるリハビリを行う場合のリハビリ費用をさらに算出してもよい。そして、出力部525aは、リハビリ費用を提示情報にさらに含めるとよい。これにより、障害者10側は、より適切に業務候補の選択を行うことができる。
【0121】
<実施形態3>
本実施形態3は、上述した実施形態1又は2の改良例である。
図8は、本実施形態3にかかる検索システム1000bの全体構成を示すブロック図である。
図8は、
図1と比べて、検索装置50が検索装置50bに置き換わり、求人募集企業端末61、補助装置業者端末62及びリハビリ施設装置63が追加されたものである。尚、その他の構成は、実施形態1と同等であるため、共通する構成についての説明を省略する。
【0122】
求人募集企業端末61、補助装置業者端末62及びリハビリ施設装置63は、検索装置50b等とネットワークNを介して通信可能に接続されている。
【0123】
求人募集企業端末61は、障害者の雇用を目的に求人募集を行っている企業に属するユーザが操作する情報処理装置である。求人募集企業端末61は、ネットワークNを介した通信機能を備えたものであり、例えば、パーソナルコンピュータ、又は、タブレット端末、スマートフォン等の携帯型情報端末等である。求人募集企業端末61は、当該企業に属するユーザの操作に応じて入力装置を介して業務検索要求を受け付け、ネットワークNを介して検索装置50bへ業務検索要求を送信する。また、求人募集企業端末61は、ネットワークNを介して検索装置50bから、提示情報を受信し、画面等の出力装置へ出力(表示等)を行う。
【0124】
例えば、当該企業に属する人事担当者は、障害者10の就職の応募に応じて、障害者10の識別情報や業務条件を検索条件に含めて業務検索要求を求人募集企業端末61に対して入力してもよい。または、障害者端末40から検索装置50bに対して業務検索要求が送信された場合に、求人募集企業端末61は当該業務検索要求に応じた提示情報を、ネットワークNを介して検索装置50bから受信し、画面等に表示しても良い。
【0125】
補助装置業者端末62は、上述した補助装置5121の少なくとも一部を取り扱う(製造や納入を行う)業者に属するユーザが操作する情報処理装置である。補助装置業者端末62は、ネットワークNを介した通信機能を備えたものであり、例えば、パーソナルコンピュータ、又は、タブレット端末、スマートフォン等の携帯型情報端末等である。補助装置業者端末62は、障害者端末40や求人募集企業端末61と同様に業務検索要求をネットワークNを介して検索装置50bへ送信し、ネットワークNを介して検索装置50bから、提示情報を受信し、画面等の出力装置へ出力(表示等)を行うことができる。また、障害者端末40又は求人募集企業端末61から検索装置50bに対して業務検索要求が送信された場合に、補助装置業者端末62は、当該業務検索要求に応じた提示情報を、ネットワークNを介して検索装置50bから受信し、画面等に表示しても良い。
【0126】
但し、典型的には、後述するように、補助装置業者端末62は、自身が提供する補助装置を用いた障害者10が雇用された場合に、ネットワークNを介して検索装置50bから課金(請求金額等を請求する旨)を受け付ける場合がある。
【0127】
リハビリ施設装置63は、リハビリ施設装置30と同様に、医療機関等のリハビリを行う施設、もしくは、当該リハビリの管理を行う施設に設置された、又は、少なくとも当該施設が運用する情報処理装置である。当該リハビリ施設には、訓練装置20が備わっていても構わない。リハビリ施設装置63は、ネットワークNを介した通信機能を備えたものであり、例えば、パーソナルコンピュータ、又は、タブレット端末、スマートフォン等の携帯型情報端末等である。リハビリ施設装置63は、障害者端末40や求人募集企業端末61と同様に業務検索要求をネットワークNを介して検索装置50bへ送信し、ネットワークNを介して検索装置50bから、提示情報を受信し、画面等の出力装置へ出力(表示等)を行うことができる。また、障害者端末40又は求人募集企業端末61から検索装置50bに対して業務検索要求が送信された場合に、リハビリ施設装置63は、当該業務検索要求に応じた提示情報を、ネットワークNを介して検索装置50bから受信し、画面等に表示しても良い。
【0128】
但し、典型的には、後述するように、リハビリ施設装置63は、自身が提供可能なリハビリ内容を当該施設で行うことを条件に障害者10が雇用された場合に、ネットワークNを介して検索装置50bから課金(請求金額等を請求する旨)を受け付ける場合がある。
【0129】
図9は、本実施形態3にかかる検索装置50bの構成を示すブロック図である。
図9は、
図2と比べて、検索プログラム513、検索部523及び出力部525が検索プログラム513b、検索部523b及び出力部525bに置き換わり、履歴情報515、開示範囲制御情報516、課金部526及び登録部527が追加されたものである。尚、その他の構成は、実施形態1と同等であるため、共通する構成についての説明を省略する。また、検索装置50bは、実施形態2にかかる検索装置50aに対して上記改良を加えたものであっても良い。または、検索装置50bは、検索装置50及び50aを統合したものに対して上記改良を加えたものであっても良い。
【0130】
検索プログラム513bは、本実施形態3にかかる検索方法の処理が実装されたコンピュータプログラムである。
【0131】
履歴情報515は、提示情報に含まれる業務候補に対して障害者10が就業した場合、当該提示情報と取得した心身能力情報とを対応付けた情報である。さらに、履歴情報515は、各提示情報に提示日付、提示先、障害者10の識別情報等が対応付けられていてもよい。また、履歴情報515は、障害者10の就業の有無にかかわらず、過去の提示情報の履歴を蓄積した情報であってもよい。尚、履歴情報515は、検索装置50b内の記憶部51以外の記憶装置、又は、検索装置50bとネットワークNを介して接続された外部のストレージ装置等の履歴情報のデータベースに記憶されてもよい。
【0132】
開示範囲制御情報516は、提示情報の開示範囲を制御するための情報である。開示範囲制御情報516は、開示先に応じた開示範囲の定義を含む。例えば、開示範囲制御情報516は、開示先及び開示内容等を含む。開示先は、例えば、障害者側、求人募集企業側、補助装置業者側、リハビリ施設側等であり、障害者端末40、求人募集企業端末61、補助装置業者端末62及びリハビリ施設装置63の宛先情報を含む。例えば、開示先が障害者側である場合、開示内容は、業務候補に該当する業務情報、企業名(求人募集企業側が開示を許可する場合)、給与等の雇用費用(人件費ではない)、障害者10の心身能力情報の少なくとも一部(医師等が開示を許可したもの)、補完情報(補助装置やリハビリ内容)、リハビリ施設とすると良い。開示先が求人募集企業側である場合、開示内容は、業務候補に該当する業務情報、人件費の雇用費用、障害者10の心身能力情報の少なくとも一部(医師等が開示を許可したもの)補完情報(補助装置やリハビリ内容)、リハビリ施設とすると良い。開示先が補助装置業者側である場合、開示内容は、業務候補に該当する業務情報、障害者10の心身能力情報の少なくとも一部(医師等が開示を許可したもの)、補完情報(補助装置やリハビリ内容)とすると良い。開示先がリハビリ施設側である場合、開示内容は、業務候補に該当する業務情報、障害者10の心身能力情報の少なくとも一部(医師等が開示を許可したもの)、補完情報(補助装置やリハビリ内容)とすると良い。但し、開示先が求人募集企業側、補助装置業者側及びリハビリ施設側である場合、開示内容は、障害者10の個人情報を除外してもよい。
【0133】
または、開示先ごとに提示情報を開示するための利用契約が結ばれており、利用契約における利用料金に応じた開示範囲を定義してもよい。その場合、開示範囲制御情報516は、開示先、利用料金及び開示内容を含む。または、開示範囲制御情報516は、開示先及び利用料金の組であり、別途、利用料金と開示内容の対応付けを定義した利用料金開示内容テーブルを用いても良い。
【0134】
検索部523bは、履歴情報515をさらに加味して、業務候補を検索する。また、検索部523bは、履歴情報515をさらに加味して、不足能力を補い得る補助装置を特定してもよい。
【0135】
出力部525bは、開示先に応じて提示情報の開示範囲を変更して出力する。具体的には、出力部525bは、開示範囲制御情報516を参照し、業務検索要求の要求元を開示先として開示内容を特定し、特定した開示内容に基づいて提示情報を生成する。そして、出力部525bは、生成した提示情報をネットワークNを介して開示先の宛先情報に対して送信する。または、出力部525bは、開示範囲制御情報516に含まれる複数の開示先の夫々に向けて、各開示内容に応じた複数の提示情報を生成し、生成した複数の提示情報をネットワークNを介して、対応する開示先の宛先情報のそれぞれに対して送信してもよい。
【0136】
さらに、出力部525bは、開示先が提示情報の開示を受けるために契約した利用料金に応じて前記提示情報の開示範囲を変更して出力してもよい。具体的には、出力部525bは、開示範囲制御情報516を参照し、業務検索要求の要求元を開示先として利用料金を特定し、上述した利用料金開示内容テーブルを参照し、特定した利用料金に対応付けられた開示内容を特定する。または、出力部525bは、開示範囲制御情報516に含まれる複数の開示先の夫々について、利用料金に応じた開示内容を特定してもよい。
【0137】
課金部526は、提示情報に含まれる業務候補に対して障害者10が就業した場合(求人募集企業に雇用された場合)、当該提示情報に含まれる情報の提供元に対して課金を行う。例えば、提示情報には、業務候補、補助装置、リハビリ施設等が含まれている。この場合、課金部526は、提示情報に含まれる業務候補を提供した(つまり、雇用を行った)求人募集企業に対して課金を行う。また、課金部526は、提示情報に含まれる補助装置(当該業務候補に対して障害者10が就業する際に用いられる補助装置)を提供した補助装置業者に対して課金を行う。また、課金部526は、提示情報に含まれるリハビリ施設(当該業務候補に対して障害者10が就業する際にリハビリを行うリハビリ施設)に対して課金を行う。
【0138】
登録部527は、提示情報に含まれる業務候補に対して障害者10が就業した場合、当該提示情報と取得した心身能力情報とを対応付けて履歴情報を生成し、記憶部51に登録する。
【0139】
図10は、本実施形態3にかかる課金処理の流れを示すフローチャートである。ここでは例えば、障害者10が提示情報の中の一つの業務候補に対して就業した、つまり、提示情報内の情報に基づいて障害者10ある求人募集企業に雇用されたものとする。その場合、障害者端末40は、障害者側のユーザの操作に応じて契約された業務候補や企業の識別情報、提示情報の出力日時、雇用費用等を、検索装置50bに対してネットワークNを介して通知するものとする。または、当該企業の人事担当者が操作する求人募集企業端末61から、当該通知を行っても良い。尚、検索装置50bは、提示情報と当該提示情報内の情報の検索に用いた心身能力情報の組合せの履歴を記憶部51等に蓄積しているものとする。
【0140】
ここで、課金部526は、上記通知を受信することにより、提示情報に含まれる業務候補に対する障害者10の就業を検知する(S181)。
【0141】
そして、課金部526は、提示情報に含まれる情報の提供元を特定する(S182)。例えば、課金部526は、上記提示情報の履歴を参照して、上記通知に含まれる業務候補や企業の識別情報、提示情報の出力日時等から、提示情報及び業務候補を特定する。そして、課金部526は、特定した業務候補と共に提示された補助装置又はリハビリ施設を、特定した提示情報の中から特定する。そして、課金部526は、特定した業務候補及び補助装置又はリハビリ施設のそれぞれの情報の提供元となる、求人募集企業及び補助装置業者又はリハビリ施設を特定する。
【0142】
その後、課金部526は、特定した提供元のそれぞれに対して課金を行う(S183)。例えば、課金部526は、上記通知に含まれる雇用費用等から任意の算出式等により各提供元への請求金額を算出する。そして、課金部526は、各提供元の識別情報と、請求金額等とを含む課金管理情報を記憶部51に保存する。これにより、別途、検索システム1000bの請求システム等(不図示)により、課金管理情報に基づき、求人募集企業端末61、補助装置業者端末62、リハビリ施設装置63の運用者に対して請求金額の請求を行うことができる。尚、課金部526は、求人募集企業端末61、補助装置業者端末62、リハビリ施設装置63に対して請求金額等を請求する旨をネットワークNを介して送信してもよい。
【0143】
このように、本実施形態3にかかる課金処理により、障害者の就職先検索サービスにおける収益を確保できる。
【0144】
図11は、本実施形態3にかかる履歴登録処理の流れを示すフローチャートである。まず、登録部527は、ステップS181と同様に上記通知を受信することにより、提示情報に含まれる業務候補に対する障害者10の就業を検知する(S191)。
【0145】
次に、登録部527は、障害者10の就業にかかる業務候補の検索に用いた心身能力情報を特定する(S192)。例えば、登録部527は、記憶部51等の提示情報と心身能力情報と組合せの履歴を参照して、心身能力情報を特定する。または、記憶部51等に心身能力情報の蓄積されておらず、上記通知に障害者10の識別情報が含まれている場合、取得部522は、上記通知に含まれる障害者10における心身能力情報を上述したように取得してもよい。
【0146】
その後、登録部527は、障害者10の就業にかかる提示情報と特定した心身能力情報とを対応付けて履歴情報を生成し、記憶部51に登録する(S193)。
【0147】
図12は、本実施形態3にかかる検索方法の流れを示すフローチャートである。
図12は、
図5と比べて、ステップS15及びS17がS15b並びにS171及びS172に置き換わったものである。尚、他のステップは
図5と同様であるため、適宜説明を省略する。または、
図7のステップS151及びS17aをS15b並びにS171及びS172に置き換えてもよい。
【0148】
ステップS14の後、検索部523bは、業務定義情報511に基づいて、障害者10の心身能力情報とステップS14で特定した補助装置5121と履歴情報515を加味して、業務候補を検索する(S15b)。
【0149】
また、ステップS16の後、出力部525bは、開示先に応じて開示範囲を変更して提示情報を生成する(S171)。そして、出力部525bは、開示先に応じた提示情報を出力する(S172)。
【0150】
このように、本実施形態3にかかる履歴登録処理により蓄積された履歴情報515を、検索時に加味することで、過去に雇用された実績と同等の心身能力情報を備える障害者10に対して、より精度の高い業務候補を検索することができる。
【0151】
また、本実施形態3にかかる開示先に応じた開示範囲の制御により、開示先ごとに適切な情報を提供し、各開示先において効率的に情報を活用できる。また、利用料金に応じた開示範囲の制御によっても、障害者の就職先検索サービスにおける収益を確保できる。
【0152】
<実施形態4>
本実施形態4は、上述した実施形態1から3の他の実施例である。本実施形態4は、特定の職場内での人員配置のために、障害者の心身能力情報を加味して割り当て可能な業務を検索を行うものである。
【0153】
図13は、本実施形態4にかかる検索システム1000cの全体構成を示すブロック図である。
図13は、
図1と比べて、検索装置50が検索装置50cに置き換わり、人事部端末70が追加され、障害者端末40が削除されたものである。尚、その他の構成は、実施形態1と同等であるため、共通する構成についての説明を省略する。
【0154】
人事部端末70は、検索装置50c等とネットワークNを介して通信可能に接続されている。人事部端末70は、障害者10を雇用している企業の人事部に属する人事担当者が操作する情報処理装置である。求人募集企業端末61は、ネットワークNを介した通信機能を備えたものであり、例えば、パーソナルコンピュータ、又は、タブレット端末、スマートフォン等の携帯型情報端末等である。
【0155】
人事部端末70は、当該人事担当者の操作に応じて入力装置を介して、障害者10の心身能力に適した業務を検索するための業務検索要求を受け付け、ネットワークNを介して検索装置50cへ業務検索要求を送信する。また、人事部端末70は、ネットワークNを介して検索装置50cから、提示情報を受信し、画面等の出力装置へ出力(表示等)を行う。
【0156】
検索装置50cは、上述した実施形態1又は2にかかる検索装置50又は50aと同等であるため、図示及び詳細な説明を省略する。但し、本実施形態4にかかる業務情報5111は、特定の企業内における部署、職種、担当業務に関する情報となる。また、本実施形態4にかかる算出部524は、雇用費用ではなく、障害者10の人件費を算出する。
【0157】
本実施形態4では、例えば、心身能力情報が取得可能な障害者10を採用した際に、障害者10の心身能力情報に応じた適切な業務を担当させることができる。または、工場内の業務分担のように、定期的又は受注状態に応じて動的に人員配置を変更する際に、他の作業者の配置と共に、障害者10の配置先の候補について妥当な選択肢を示すことができる。このように、本実施形態4は、心身能力情報が取得可能な障害者10を含めた社内の業務割り当てを決定又は変更することを、効果的に支援することができる。
【0158】
<その他の実施形態>
尚、本開示は、上述した各実施形態のような補完定義情報を必ずしも用いなくてよい。つまり、本開示にかかる検索装置は、少なくとも、取得した心身能力情報が必要能力情報を満たすような業務情報を業務候補として検索し、提示するものであればよい。または、本開示にかかる検索装置は、先に、取得した心身能力情報が必要能力情報を満たすような業務情報を検索し、検索結果がないか、所定数未満である場合に、不足能力を補い得る補完情報を特定してもよい。また、本開示にかかる検索装置は、補完情報を用いない場合の検索結果と、補完情報を用いた場合の検索結果との両方を提示してもよい。
【0159】
尚、本開示は、次のような構成を備えていても良い。すなわち、前記取得部は、前記障害者における対話ロボットとの対話履歴をさらに取得し、前記検索部は、前記対話履歴をさらに加味して前記補完情報を特定してもよい。ここで、対話ロボットは、障害者10に対して、認知機能の確認のための問いかけを行い、障害者10の応答を受け付けて、問いかけ及び応答を時刻情報と対応付けて対話履歴として蓄積するものとする。そして、検索装置は、ネットワークNを介して対話ロボットから取得した対話履歴を解析し、認知機能のレベルを判定し、心身能力情報及び当該レベルに基づいて不足能力を導出して、上述したように補完情報を特定してもよい。これにより、障害者10の認知機能に応じたより精度の高い業務候補を検索することができる。
【0160】
また、前記取得部は、障害者雇用に関する公的補助金情報をさらに取得し、前記算出部は、前記公的補助金情報をさらに加味して、前記雇用費用を算出するようにしてもよい。障害者雇用においては、雇用する障害者の障害等級に応じて給付される補助金が異なる。そのため、雇用しようとする障害者の身体能力情報に障害等級が含まれていれば、算出部は、公的補助金情報を加味することで、人件費から補助金を除外した実質的な人件費を算出できる。これにより、雇用者側は障害者の雇用をより適切に判断でき、実質的な人件費を踏まえて障害者雇用が促進され得る。
【0161】
尚、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述の実施形態では、本開示をハードウェアの構成として説明したが、本開示は、これに限定されるものではない。本開示は、任意の処理を、CPU(Central Processing Unit)にコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0162】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、DVD(Digital Versatile Disc)、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0163】
1000 検索システム
1000b 検索システム
1000c 検索システム
10 障害者
20 訓練装置
30 リハビリ施設装置
40 障害者端末
50 検索装置
50a 検索装置
50b 検索装置
50c 検索装置
51 記憶部
511 業務定義情報
5111 業務情報
5112 必要能力情報
5113 職場環境
512 補完定義情報
512a 補完定義情報
5121 補助装置
5121a リハビリ内容
5122 補完値
513 検索プログラム
513a 検索プログラム
513b 検索プログラム
514 施設情報
5141 リハビリ施設
5142 リハビリ内容
515 履歴情報
516 開示範囲制御情報
52 制御部
521 受付部
522 取得部
523 検索部
523a 検索部
523b 検索部
524 算出部
525 出力部
525a 出力部
525b 出力部
526 課金部
527 登録部
53 メモリ
54 IF部
61 求人募集企業端末
62 補助装置業者端末
63 リハビリ施設装置
70 人事部端末
50c 検索装置
N ネットワーク