(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】検査システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20221213BHJP
【FI】
B65G1/04 551D
(21)【出願番号】P 2019124590
(22)【出願日】2019-07-03
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】小川 大介
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 翼
【審査官】八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-47747(JP,A)
【文献】特開2015-86019(JP,A)
【文献】特開2010-164335(JP,A)
【文献】特開平10-337344(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0016763(US,A1)
【文献】特開2014-3312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00-1/133;1/14-1/20
H01L 21/68
G01B 11/00-11/30
B66C 13/00-15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品搬送車が昇降自在に備える昇降部の傾斜状態を検出する検出部を備えた検査システムであって、
前記昇降部は、基準面を有し、
前記検出部は、第1撮像装置と第2撮像装置とを備え、
前記昇降部が規定の設定昇降位置にある状態における前記基準面の位置を設定基準面位置として、
前記第1撮像装置の光軸である第1光軸と前記第2撮像装置の光軸である第2光軸とが交差する交点が、前記設定基準面位置に対応する位置となり、且つ、前記第1光軸及び前記第2光軸が前記基準面に沿う方向となるように、前記第1撮像装置及び前記第2撮像装置が設置され、
前記検出部は、前記第1撮像装置及び前記第2撮像装置によって撮像された前記基準面の画像に基づいて、前記昇降部の傾斜方向及び傾斜角度を検出する、検査システム。
【請求項2】
前記検出部は、前記第1撮像装置によって撮像された第1画像に含まれる前記基準面のエッジの傾きに基づいて、前記第1光軸に直交する方向である第1方向における前記昇降部の傾斜角度を検出し、前記第2撮像装置によって撮像された第2画像に含まれる前記基準面のエッジの傾きに基づいて、前記第2光軸に直交する方向である第2方向における前記昇降部の傾斜角度を検出する、請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記第1撮像装置に対向する側から前記交点に向けて投光する第1投光装置と、前記第2撮像装置に対向する側から前記交点に向けて投光する第2投光装置と、を更に備える、請求項1又は2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記基準面に対向する側から投光する第3投光装置を更に備える、請求項1又は2に記載の検査システム。
【請求項5】
前記第1撮像装置及び前記第2撮像装置は、前記第1光軸と前記第2光軸とが直交するように設置されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品搬送車が昇降自在に備える昇降部の傾斜状態を検出する検出部を備えた検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような検査システムとして、例えば、特開2017-095261号公報(特許文献1)に記載されたものが知られている。以下、背景技術の説明において、かっこ書きの符号又は名称は、先行技術文献における符号又は名称とする。この特許文献1に記載の検査システムは、検査用治具(Wb)に角度センサ(8)を備え、その検査用治具(Wb)を昇降部(昇降体22)に支持させることで、角度センサ(8)によって昇降部(22)の傾斜方向及び傾斜角度を検出するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の検査システムでは、検査用治具(Wb)を昇降部(22)に支持させる構成であるため、複数の物品搬送車(1)の昇降部(22)の傾斜を検査する場合には、検査用治具(Wb)を複数の物品搬送車(1)の間で移動させる必要がある。つまり、各物品搬送車(1)においての昇降部(22)の傾斜状態を検出する場合は、昇降部(22)に検査用治具(Wb)を支持させた後に昇降部(22)の傾斜方向及び傾斜角度を検出し、その後、昇降部(22)から検査用治具(Wb)を降ろす必要がある。そのため、昇降部(22)の傾斜状態の検査を効率的に行うことが難しい場合があった。
【0005】
そこで、昇降部の傾斜状態の検査を効率的に行うことができる検査システムの実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記に鑑みた、検査システムの特徴構成は、物品搬送車が昇降自在に備える昇降部の傾斜状態を検出する検出部を備え、
前記昇降部は、基準面を有し、前記検出部は、第1撮像装置と第2撮像装置とを備え、前記昇降部が規定の設定昇降位置にある状態における前記基準面の位置を設定基準面位置として、前記第1撮像装置の光軸である第1光軸と前記第2撮像装置の光軸である第2光軸とが交差する交点が、前記設定基準面位置に対応する位置となり、且つ、前記第1光軸及び前記第2光軸が前記基準面に沿う方向となるように、前記第1撮像装置及び前記第2撮像装置が設置され、前記検出部は、前記第1撮像装置及び前記第2撮像装置によって撮像された前記基準面の画像に基づいて、前記昇降部の傾斜方向及び傾斜角度を検出する点にある。
【0007】
この特徴構成によれば、第1撮像装置及び第2撮像装置によって交差する2方向から撮像した昇降部の基準面の画像に基づいて、昇降部の傾斜状態を検出するため、昇降部の傾斜方向及び傾斜角度を適切に検出することができる。また、この特徴構成によれば、物品搬送車の昇降部を規定の設定昇降位置に移動させ、その状態で、第1撮像装置及び第2撮像装置によって昇降部を撮像することで、昇降部の傾斜状態を検出することができるため、検出用治具等を昇降部に支持させる必要がない。そのため、複数の物品搬送車の昇降部の傾斜状態を検査する場合であっても、検査用治具等を複数の物品搬送車の間で移動させる必要がなく、昇降部の傾斜状態の検査を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図6】幅方向第2側から見た設定基準面位置の基準面を示した図
【
図7】延在方向第2側から見た設定基準面位置の基準面を示した図
【
図8】幅方向第2側から見た設定基準面位置の基準面を示した図
【
図9】延在方向第2側から見た設定基準面位置の基準面を示した図
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
検査システムを備えた物品搬送設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、物品搬送設備には、天井近くを走行経路Lに沿って走行して物品としての容器Wを搬送する物品搬送車1と、容器Wに収容されている基板に対して処理を行う処理装置2と、その処理装置2に隣接する状態で床面上に設置された搬送対象箇所としての支持台3と、検査システム4と、が設けられている。尚、本実施形態では、半導体基板を収容するFOUP(Front Opening Unified Pod)を容器W(物品)としている。
【0010】
以下、
図2及び
図3に示すように、走行経路Lに沿って設置されているレール5が延在する延在方向Xの一方側を延在方向第1側X1と称し、その反対側を延在方向第2側X2と称する。また、
図3に示すように、上下方向Zに沿う上下方向視で延在方向Xに対して直交する方向を幅方向Yと称し、幅方向Yの一方側を幅方向第1側Y1と称し、その反対側を幅方向第2側Y2と称する。尚、本例では、物品搬送車1は、延在方向第2側X2から延在方向第1側X1に向けて一方向に走行する。
【0011】
図2及び
図3に示すように、物品搬送車1は、レール5上をそのレール5に沿って走行する走行部6と、容器Wを吊り下げ状態で支持する昇降部7と、昇降部7を上下方向Zに移動させる昇降装置8(
図3参照)とを備えている。このように、物品搬送車1は、昇降部7を昇降自在に備えている。
【0012】
走行部6は、第1走行ユニット6Aと、この第1走行ユニット6Aに対して延在方向第2側X2に位置する第2走行ユニット6Bと、を備えている。
図3に示すように、第1走行ユニット6Aは、レール5上を転動する一対の車輪11と、一対の車輪11を回転させる走行用モータ12と、を備えている。また、第2走行ユニット6Bは、第1走行ユニット6Aと同様に、一対の車輪11と走行用モータ12とを備えている。
【0013】
図2に示すように、昇降装置8は、巻回体14と、巻回体14に巻回されて先端部に昇降部7が連結されている巻き取りベルト15と、巻回体14を回転駆動させる昇降用モータ16と、を備えている。昇降装置8は、昇降用モータ16の駆動により、巻回体14を正方向に回転させて巻き取りベルト15を繰り出すことで昇降部7を下降させ、巻回体14を逆方向に回転させて巻き取りベルト15を巻き取ることで昇降部7を上昇させるように構成されている。
【0014】
昇降部7は、水平方向に沿って互いに接近又は離間する方向に移動自在な一対の把持爪18と、一対の把持爪18の夫々を互いに接近又は離間する方向に移動させる把持用モータ19と、把持用モータ19を収容する筐体20と、を備えている。昇降部7は、把持用モータ19の駆動により一対の把持爪18を互いに接近又は離間する方向に移動させることで、一対の把持爪18によって容器Wを把持する状態と、一対の把持爪18による容器Wに対する把持を解除する状態と、に状態移行するように構成されている。そして、
図3に示すように、昇降部7は、基準面Fを有している。本実施形態では、筐体20が、直方体形状に形成されており、この筐体20の上方側を向く面(上面)を基準面Fとしている。
【0015】
次に、検査システム4について説明する。検査システム4によって物品搬送車1の昇降部7の傾斜状態を検出する場合、検査システム4は、
図3に示すように、物品搬送車1の走行部6が規定の設定走行位置に停止し、昇降部7の昇降方向の位置が規定の設定昇降位置にある状態で、昇降部7の傾斜状態を検出する。このように、物品搬送車1が規定の設定走行位置にあり、且つ、昇降部7が規定の設定昇降位置にある状態における基準面Fの位置を設定基準面位置Vとしている。昇降部7が延在方向X及び幅方向Yの何れにも傾いていない正常な状態では、設定基準面位置Vにある基準面Fは水平な姿勢となる。
【0016】
図3及び
図4に示すように、検査システム4は、物品搬送車1が備える昇降部7の傾斜状態を検出する検出部22を備えている。本実施形態では、検出部22は、第1撮像装置23と、第2撮像装置24と、第1投光装置25と、第2投光装置26と、制御部27(
図4参照)と、を備えている。
【0017】
第1撮像装置23及び第2撮像装置24は、第1撮像装置23の光軸である第1光軸L1と第2撮像装置24の光軸である第2光軸L2とが交差する交点Pが、設定基準面位置Vに対応する位置となり、且つ、第1光軸L1及び第2光軸L2が基準面Fに沿う方向となるように設置されている。ここで、設定基準面位置Vに対応する位置は、理想的な設定基準面位置V(本実施形態では、基準面Fが予め設定された高さにあり且つ水平な姿勢となっている状態における基準面Fの位置)からずれた場合でも撮像装置の撮像範囲内に収まるように設定される。詳しくは、想定される昇降部7の傾き状態を考慮して、理想的な設定基準面位置Vにある基準面Fに対して、規定の距離範囲内(例えば、±15cm以下の範囲内)の位置に設定されている。本実施形態では、理想的な設定基準面位置Vの基準面Fに交点Pが合致するように設定されている。なお、ここでの基準面Fの位置は、基準面Fの中における基準となる位置(点)であり、例えば基準面Fの重心位置とすることができる。すなわち、本実施形態では、第1光軸L1と第2光軸L2との交点Pが、基準面Fの基準位置(例えば重心位置)と合致するように設定されている。また、基準面Fに沿う方向は、理想的な設定基準面位置Vの基準面Fに沿う方向に対して、規定の角度範囲内(例えば、±10°以下)の角度に設定されている。本実施形態では、理想的な設定基準面位置Vの基準面Fと同じ角度とするべく水平方向に設定されている。
【0018】
本実施形態では、第1撮像装置23は、設定基準面位置Vに対して幅方向第2側Y2に配置され、幅方向第1側Y1を向いて撮像するように設置されている。また、第2撮像装置24は、設定基準面位置Vに対して延在方向第2側X2に配置され、延在方向第1側X1を向いて撮像するように設置されている。そして、第1撮像装置23の第1光軸L1は、幅方向Yに沿うように配置されている。また、第2撮像装置24の第2光軸L2は、延在方向Xに沿うように配置されている。更に本実施形態では、第1撮像装置23及び第2撮像装置24は、第1光軸L1と第2光軸L2とが直交するように設置されている。
【0019】
また、本実施形態では、第1投光装置25は、第1撮像装置23に対向する側から交点Pに向けて投光するように設置されている。本実施形態では、第1投光装置25は、設定基準面位置Vに対して幅方向第1側Y1に配置され、幅方向第2側Y2に向けて投光するように設置されている。そして、
図6及び
図8に示すように、第1投光装置25は、基準面Fが設定基準面位置Vにある状態において、第1投光装置25の投光範囲である第1投光範囲A1の上下方向Zの幅内に基準面Fが位置するように投光する。説明を加えると、
図6に示すように、基準面Fが設定基準面位置Vにあり、且つ、基準面Fが幅方向第1側Y1(
図6における紙面奥側)へ向かうに従って下方へ向かうように傾斜している状態では、基準面Fにおける幅方向第2側Y2(
図6における紙面手前側)のエッジEが、第1投光装置25から投光された光と、当該光が昇降部7により遮られてできる影との境界として、第1撮像装置23に撮像される。また、
図8に示すように、基準面Fが設定基準面位置Vにあり、且つ、基準面Fが幅方向第2側Y2(
図8における紙面手前側)へ向かうに従って下方へ向かうように傾斜している状態では、基準面Fにおける幅方向第1側Y1(
図8における紙面奥側)のエッジEが、第1投光装置25から投光された光と、当該光が昇降部7により遮られてできる影との境界として、第1撮像装置23に撮像される。
【0020】
第2投光装置26は、第2撮像装置24に対向する側から交点Pに向けて投光するように設置されている。本実施形態では、第2投光装置26は、設定基準面位置Vに対して延在方向第1側X1に配置され、延在方向第2側X2に向けて投光するように設置されている。そして、第2投光装置26は、基準面Fが設定基準面位置Vにある状態において、第2投光装置26の投光範囲である第2投光範囲A2の上下方向Zの幅内に基準面Fが位置するように投光する。説明を加えると、
図7に示すように、基準面Fが設定基準面位置Vにあり、且つ、基準面Fが延在方向第1側X1(
図7における紙面奥側)へ向かうに従って下方へ向かうように傾斜している状態では、基準面Fにおける延在方向第2側X2(
図7における紙面手前側)のエッジEが、第2投光装置26から投光された光と、当該光が昇降部7により遮られてできる影との境界として、第2撮像装置24に撮像される。また、
図9に示すように、基準面Fが設定基準面位置Vにあり、且つ、基準面Fが延在方向第2側X2(
図9における紙面手前側)へ向かうに従って下方へ向かうように傾斜している状態では、基準面Fにおける延在方向第1側X1(
図9における紙面奥側)のエッジEが、第2投光装置26から投光された光と、当該光が昇降部7により遮られてできる影との境界として、第2撮像装置24に撮像される。
【0021】
制御部27は、第1撮像制御と第2撮像制御と検出制御とを実行する。第1撮像制御では、制御部27は、第1撮像装置23によって基準面Fを撮像するように第1撮像装置23を制御する。また本実施形態では、制御部27は、更に、第1撮像制御において、第1投光装置25により基準面Fに向けて光を照射するように第1投光装置25を制御する。第2撮像制御では、制御部27は、第2撮像装置24によって基準面Fを撮像するように第2撮像装置24を制御する。また本実施形態では、制御部27は、更に、第2撮像制御において、第2投光装置26により基準面Fに向けて光を照射するように第2投光装置26を制御する。なお、本実施形態では、制御部27は、第1撮像制御と第2撮像制御とを同時に行う。これにより、検査システム4による検査の所要時間の短縮を図ることができる。検出制御では、制御部27は、第1撮像装置23及び第2撮像装置24によって撮像された基準面Fの画像に基づいて、昇降部7の傾斜方向及び傾斜角度を検出する。
【0022】
本実施形態では、検出制御において、制御部27は、第1撮像装置23によって撮像された第1画像に含まれる基準面FのエッジEの傾きに基づいて、延在方向X(第1光軸L1に直交する第1方向に相当)における、昇降部7の傾斜角度θ1及び傾斜方向を検出する。説明を加えると、検出制御では、制御部27は、第1画像に含まれるエッジEの傾きに基づいて、延在方向Xにおける水平に対する傾斜角度θ1及び傾斜方向を検出する。ここで、傾斜方向とは、延在方向Xのいずれの側に傾いて傾斜しているかのことであり、具体的には、延在方向第1側X1が延在方向第2側X2よりも上下方向Zにおける上であるか下であるかのことである。なお、傾斜角度θ1を正負の向きを有する角度情報とすることで、傾斜角度θ1の情報に傾斜方向の情報が含まれるようにしてもよい。
【0023】
また、検出制御において、制御部27は、第2撮像装置24によって撮像された第2画像に含まれる基準面FのエッジEの傾きに基づいて、幅方向Y(第2光軸L2に直交する第2方向に相当)における昇降部7の傾斜角度θ2及び傾斜方向を検出する。説明を加えると、検出制御では、制御部27は、第2画像に含まれるエッジEの傾きに基づいて、幅方向Yにおける水平に対する傾斜角度θ2及び傾斜方向を検出する。ここで、傾斜方向とは、幅方向Yのいずれの側に傾いて傾斜しているかのことであり、具体的には、幅方向第1側Y1が幅方向第2側Y2よりも上下方向Zにおける上であるか下であるかのことである。なお、傾斜角度θ2を正負の向きを有する角度情報とすることで、傾斜角度θ2の情報に傾斜方向の情報が含まれるようにしてもよい。
【0024】
そして、検出制御において、制御部27は、延在方向Xにおける水平に対する傾斜角度θ1及び傾斜方向、及び、幅方向Yにおける水平に対する傾斜角度θ2及び傾斜方向に基づいて、昇降部7の三次元的な傾斜方向及び傾斜角度を検出する。ここでは、制御部27は、延在方向Xにおける傾斜角度θ1及び傾斜方向と、幅方向Yにおける傾斜角度θ2及び傾斜方向と、延在方向X(第1方向)と幅方向Y(第2方向)との関係(相対角度、ここでは90°)とに基づいて、昇降部7の三次元的な傾斜方向及び傾斜角度を演算により求める。
【0025】
次に、
図5に示す検査制御のフローチャートに基づいて、制御部27の制御について説明する。尚、物品搬送車1、又は、物品搬送車1を制御する制御装置は、物品搬送車1の走行部6が規定の設定走行位置に停止し、物品搬送車1の昇降部7が規定の設定昇降位置に停止した状態で、検査システム4に向けて、準備完了信号を送信するように構成されている。
【0026】
制御部27は、準備完了信号を受信した場合(S1:Yes)に、第1撮像制御を実行して第1画像を取得すると共に、第2撮像制御を実行して第2画像を取得する(S2)。なお、制御部27は、準備完了信号を受信するまでは(S1:No)、そのまま待機する。そして、第1撮像制御及び第2撮像制御の実行後、検出制御を実行する(S3)。上記のとおり、検出制御では、第1画像に基づいて延在方向Xにおける基準面Fの傾斜角度θ1及び傾斜方向を検出し、第2画像に基づいて幅方向Yにおける基準面Fの傾斜角度θ2及び傾斜方向を検出し、これらに基づいて、昇降部7の傾斜方向及び傾斜角度を検出する(S3)。尚、制御部27は、第1撮像制御及び第2撮像制御が完了した後に、物品搬送車1、又は、物品搬送車1を制御する制御装置に向けて、検査完了を示す検査完了信号を送信する。これにより、昇降部7の昇降及び物品搬送車1の走行が再開可能となる。
【0027】
2.その他の実施形態
次に、この検査システム4のその他の実施形態について説明する。
【0028】
(1)上記の実施形態では、基準面Fが筐体20の上面である構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。基準面Fは、昇降部7における筐体20の上面以外の面としてもよく、例えば、筐体20の下面や側面を基準面Fとしてもよく、また、把持爪18の下面を基準面Fとしてもよい。但し、いずれの場合でも、基準面Fとされる面は、平面或いは平面状の面であることが望ましい。
【0029】
(2)上記の実施形態では、検出部22が、基準面FのエッジEの傾きに基づいて傾斜角度を検出する構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、基準面Fに角度検出用の印や図形を設け、検出部22が、第1撮像装置23及び第2撮像装置24によって撮像された基準面F上の印や図形の位置及び角度に基づいて傾斜角度及び傾斜方向を検出する構成としてもよい。
【0030】
(3)上記の実施形態では、検査システム4に第1投光装置25と第2投光装置26とを備える構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。検査システム4に備える投光装置の数は適宜変更してもよい。例えば、基準面Fに対向する側から投光するように第3投光装置28を設けてもよい。例えば、
図10に示すように、筐体20の下面を基準面Fとして、その基準面Fに対向する下方側から投光するように第3投光装置28を設けてもよい。或いは、筐体20の1つの側面を基準面Fとして、その基準面Fに対向する側方側から投光するように第3投光装置28を設けてもよい。また、検査システム4が、これらの投光装置を備えない構成としてもよい。
【0031】
(4)上記の実施形態では、第1撮像装置23及び第2撮像装置24を、第1光軸L1と第2光軸L2とが直交するように設置する構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。例えば、第1撮像装置23及び第2撮像装置24を、第1光軸L1と第2光軸L2とが45°や120°等、90°以外の角度で交差するように設置してもよい。
【0032】
(5)上記の実施形態では、第1光軸L1と第2光軸L2とが交差する交点Pが、理想的な設定基準面位置Vにある基準面Fの基準位置に合致する構成を例として説明した。しかし、このような構成に限定されない。交点Pは、設定基準面位置Vに対応する位置にあればよく、例えば、交点Pが、第1光軸L1及び第2光軸L2に対して直交する方向(上記の実施形態では上下方向Z)において、理想的な設定基準面位置Vにある基準面Fに対して、上述した規定の距離範囲内に設定された設定距離だけ離れた位置にある構成としてもよい。また上記の実施形態では、基準面Fの基準位置を、基準面Fの重心位置としたが、これに限定されず、例えば、基準面Fの基準位置を、基準面Fの隅部等、基準面Fの中における他の位置に設定してもよい。
【0033】
(6)上記の実施形態では、第1光軸L1及び第2光軸L2の双方が水平面に沿う方向である構成を例として説明した。これは、基準面Fが正常な状態で水平面に沿う面であるからである。しかし、このような構成に限定されない。例えば、第1光軸L1及び第2光軸L2のいずれか一方が上下方向Zに沿う構成であってもよい。基準面Fが上下方向Zに沿う面である場合には、このような構成とすると好適である。或いは、第1光軸L1及び第2光軸L2の一方又は双方が、水平面に対して傾斜した構成であってもよい。第1光軸L1及び第2光軸L2の方向は、基準面Fの方向に応じて設定されると好適である。
【0034】
(7)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0035】
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した検査システムの概要について説明する。
【0036】
検査システムは、物品搬送車が昇降自在に備える昇降部の傾斜状態を検出する検出部を備え、
前記昇降部は、基準面を有し、前記検出部は、第1撮像装置と第2撮像装置とを備え、前記昇降部が規定の設定昇降位置にある状態における前記基準面の位置を設定基準面位置として、前記第1撮像装置の光軸である第1光軸と前記第2撮像装置の光軸である第2光軸とが交差する交点が、前記設定基準面位置に対応する位置となり、且つ、前記第1光軸及び前記第2光軸が前記基準面に沿う方向となるように、前記第1撮像装置及び前記第2撮像装置が設置され、前記検出部は、前記第1撮像装置及び前記第2撮像装置によって撮像された前記基準面の画像に基づいて、前記昇降部の傾斜方向及び傾斜角度を検出する。
【0037】
本構成によれば、第1撮像装置及び第2撮像装置によって交差する2方向から撮像した昇降部の基準面の画像に基づいて、昇降部の傾斜状態を検出するため、昇降部の傾斜方向及び傾斜角度を適切に検出することができる。また、この特徴構成によれば、物品搬送車の昇降部を規定の設定昇降位置に移動させ、その状態で、第1撮像装置及び第2撮像装置によって昇降部を撮像することで、昇降部の傾斜状態を検出することができるため、検出用治具等を昇降部に支持させる必要がない。そのため、複数の物品搬送車の昇降部の傾斜状態を検査する場合であっても、検査用治具等を複数の物品搬送車の間で移動させる必要がなく、昇降部の傾斜状態の検査を効率的に行うことができる。
【0038】
ここで、前記検出部は、前記第1撮像装置によって撮像された第1画像に含まれる前記基準面のエッジの傾きに基づいて、前記第1光軸に直交する方向である第1方向における前記昇降部の傾斜角度を検出し、前記第2撮像装置によって撮像された第2画像に含まれる前記基準面のエッジの傾きに基づいて、前記第2光軸に直交する方向である第2方向における前記昇降部の傾斜角度を検出すると好適である。
【0039】
本構成によれば、第1撮像装置及び第2撮像装置のそれぞれにより撮像される基準面のエッジの傾きに基づいて、第1方向における昇降部の傾斜角度と、第2方向における昇降部の傾斜角度と、の双方を検出することができる。そのため、昇降体の傾斜方向及び傾斜角度をより適切に検出することができる。
【0040】
また、前記第1撮像装置に対向する側から前記交点に向けて投光する第1投光装置と、前記第2撮像装置に対向する側から前記交点に向けて投光する第2投光装置と、を更に備えると好適である。
【0041】
本構成によれば、第1撮像装置から見て、第1投光装置によって基準面の周囲が照らされるため、第1撮像装置によって基準面とそれ以外との境界を判別し易い画像を撮影することができる。また、第2撮像装置から見て、第2投光装置によって基準面の周囲が照らされるため、第2撮像装置によって基準面とそれ以外との境界を判別し易い画像を撮影することができる。そのため、昇降体の傾斜方向及び傾斜角度より適切に検出することができる。
【0042】
また、前記基準面に対向する側から投光する第3投光装置を更に備えると好適である。
【0043】
本構成によれば、第3投光装置によって基準面が当該基準面に対向する側から照らされるため、第1撮像装置及び第2撮像装置によって基準面とそれ以外との境界を判別し易い画像を撮影することができる。そのため、昇降体の傾斜方向及び傾斜角度より適切に検出することができる。
【0044】
また、前記第1撮像装置及び前記第2撮像装置は、前記第1光軸と前記第2光軸とが直交するように設置されていると好適である。
【0045】
本構成によれば、第1撮像装置が撮像した画像に基づいて昇降部の傾斜角度を検出する方向と、第2撮像装置が撮像した画像に基づいて昇降部の傾斜角度を検出する方向と、が直交するため、これらの画像に基づいて昇降部の傾斜方向及び傾斜角度を求める場合の演算処理を簡略化し易くなる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本開示に係る技術は、物品搬送車が昇降自在に備える昇降部の傾斜状態を検出する検出部を備えた検査システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0047】
1:物品搬送車
4:検査システム
7:昇降部
22:検出部
23:第1撮像装置
24:第2撮像装置
25:第1投光装置
26:第2投光装置
28:第3投光装置
E:エッジ
F:基準面
L1:第1光軸
L2:第2光軸
P:交点
V:設定基準面位置
X:延在方向(第1方向)
Y:幅方向(第2方向)