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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】組電池監視装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/3835 20190101AFI20221213BHJP
   G01R 31/396 20190101ALI20221213BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221213BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20221213BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20221213BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20221213BHJP
   G01R 19/00 20060101ALI20221213BHJP
   G01R 19/165 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
G01R31/3835
G01R31/396
H02J7/00 Y
H02J7/02 H
H02J7/00 302C
H01M10/48 P
H01M10/44 P
G01R19/00 B
G01R19/165 M
G01R19/165 J
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019131920
(22)【出願日】2019-07-17
(65)【公開番号】P2021018070
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2021-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】朝長 幸拓
(72)【発明者】
【氏名】中垣 直道
(72)【発明者】
【氏名】溝邉 俊一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 亮太郎
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-49138(JP,A)
【文献】特開2015-55598(JP,A)
【文献】特開2017-143662(JP,A)
【文献】特開2013-34333(JP,A)
【文献】特開2007-89373(JP,A)
【文献】国際公開第2018/225235(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/021283(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 19/00
G01R 31/36
G01R 31/00
H02J 7/00
H01M 10/44
H01M 10/48
H02H 7/12
H02M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位セル(7)を直列に接続した電池ブロック(2)に接続され、当該電池ブロックの電圧を監視する監視IC(3)と、前記電池ブロックより供給される電源より、前記監視ICに供給する電源を生成する電源IC(4)及び前記電池ブロックの電圧に関する異常を検出する冗長検出回路(10)とを有してなる複数の監視ユニット(6)と、
前記監視ICと通信を行い、前記監視ユニットを制御する制御装置(5)とを備える組電池監視装置において、
前記冗長検出回路は、前記電源ICのパッケージ内に配置され、
前記監視ユニットは、前記冗長検出回路からの出力信号を、異なる信号形態に変換してから前記制御装置に入力するための信号伝達部(12,18,19)を備える組電池監視装置。
【請求項2】
前記監視ICと前記冗長検出回路との間で通信を行うためのIC間通信回路(8A,11A)を備え、
前記制御装置が前記冗長検出回路を制御するための制御指令は、前記監視IC及び前記IC間通信回路を介して前記冗長検出回路に入力される請求項1記載の組電池監視装置。
【請求項3】
前記冗長検出回路は、前記電池ブロックの端子電圧を分圧する分圧回路(13)と、
この分圧回路により分圧された電圧を基準電圧と比較するコンパレータ(14)と、
前記基準電圧を可変設定する基準電圧回路(15)とを備え、
前記制御装置は、前記制御指令として前記基準電圧を設定する指令を与える請求項2記載の組電池監視装置。
【請求項4】
前記冗長検出回路は、前記電池ブロックの端子電圧を分圧する分圧回路(13)と、
この分圧回路により分圧された電圧をA/D変換するA/Dコンバータ(16)と、
このA/DコンバータによりA/D変換されたデータを、前記信号伝達部を介して前記制御装置に出力する出力回路(11A)とを備える請求項2記載の組電池監視装置。
【請求項5】
前記冗長検出回路は、前記電池ブロックの端子電圧を分圧する分圧回路(13)と、
この分圧回路により分圧された電圧をA/D変換するA/Dコンバータ(16)と、
このA/DコンバータによりA/D変換されたデータを、基準値と比較して判定する判定回路(17)と、
この判定回路の判定結果を、前記信号伝達部を介して前記制御装置に出力する出力回路(11A)とを備える請求項2記載の組電池監視装置。
【請求項6】
記信号伝達部はフォトカプラ(12)であり、前記複数の監視ユニットがそれぞれ備えるフォトカプラの出力側は、前記制御装置に対してデイジーチェーン接続されている請求項1から5の何れか一項に記載の組電池監視装置。
【請求項7】
前記信号伝達部はフォトカプラ(12)あり、前記複数の監視ユニットがそれぞれ備えるフォトカプラの出力側は、前記制御装置に対して個別に接続されている請求項1から5の何れか一項に記載の組電池監視装置。
【請求項8】
前記信号伝達部は無線通信回路(18,19)であり、
前記制御装置は、前記無線通信回路と無線通信を行う機能を備えている請求項1から5の何れか一項に記載の組電池監視装置。
【請求項9】
記パッケージ内に、前記電池ブロックの端子電圧を、他の電池ブロックの端子電圧と均等化するブロック均等化回路(23)を備える請求項1から8の何れか一項に記載の組電池監視装置。
【請求項10】
複数の単位セル(37)を直列に接続した電池ブロック(32)に接続され、当該電池ブロックの電圧を監視する監視IC(33)と、前記電池ブロックより供給される電源より、前記監視ICに供給する電源を生成する電源IC(34)とを有してなる複数の監視ユニット(36)と、
前記監視ICと通信を行い、前記監視ユニットを制御する制御装置(35)とを備える組電池監視装置において、
前記監視ICは、各単位セルの電圧を均等化するセル均等化回路(38)を備え、
前記電源ICは、前記電池ブロックの端子電圧を、他の電池ブロックの端子電圧と均等化するブロック均等化回路(45)と、
このブロック均等化回路を制御する制御回路(46)と備える組電池監視装置。
【請求項11】
前記電源ICは、前記制御装置からの制御指令を受信して前記制御回路に入力する通信回路(48)を備え、
前記制御装置は、前記制御指令によって前記ブロック均等化回路の動作を制御する請求項10記載の組電池監視装置。
【請求項12】
前記制御装置は、前記ブロック均等化回路により対応する電池ブロックを放電させるタイミングを制御する請求項11記載の組電池監視装置。
【請求項13】
前記監視ICと、前記電源ICとの間で通信を行うためのIC間通信回路(53,54)を備え、
前記制御装置は、前記ブロック均等化回路の動作を制御する制御指令を前記監視ICに送信し、
前記監視ICは、前記制御指令を前記IC間通信回路を介して前記電源ICに送信する請求項10記載の組電池監視装置。
【請求項14】
複数の単位セル(67)を直列に接続した電池ブロック(62)に接続され、当該電池ブロックの電圧を監視する監視IC(63)と、前記電池ブロックより供給される電源より、前記監視ICに供給する電源を生成する電源IC(64)とを有してなる複数の監視ユニット(66)と、
前記監視ICと通信を行い、前記監視ユニットを制御する制御装置(65)とを備える組電池監視装置において、
前記電源ICは、複数のコンデンサ(C1~C3)と複数のスイッチ(S1~S4)とを有し、前記複数のスイッチのオンオフを切り替えることで、前記電池ブロックの両端に対して前記複数のコンデンサを直列に接続する状態と並列に接続する状態とを切替え可能に構成されるスイッチトキャパシタ電源回路(72)と、
前記電池ブロックの端子電圧に応じて、前記スイッチトキャパシタ電源回路の動作モードを低消費電流モードと高消費電流モードとに切り替え制御する制御回路(73,74)とを備え、
前記制御回路は、前記スイッチトキャパシタ電源回路の動作モードを前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、何れか1つの監視ユニットにおけるスイッチトキャパシタ電源回路の動作モードが高消費電流モードに切り替わると、その他の監視ユニットにおけるスイッチトキャパシタ電源回路の動作モードを高消費電流モードに切り替える制御指令を、前記その他の監視ユニットに送信し、
前記制御指令を受信した監視ユニットの制御回路は、対応するスイッチトキャパシタ電源回路の動作モードを高消費電流モードに切り替える組電池監視装置。
【請求項15】
前記監視ユニットは、前記監視ICと、前記電源ICとの間で通信を行うためのIC間通信回路(68,75)を備え、
前記制御回路は、前記スイッチトキャパシタ電源回路の動作モードを、前記IC間通信回路を介して前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記制御指令を、前記その他の監視ユニットの監視ICに送信する請求項14記載の組電池監視装置。
【請求項16】
前記監視ユニットは、前記電源ICと前記制御装置との間で通信を行うためのIC-装置間通信回路(76)を備え、
前記制御回路は、前記スイッチトキャパシタ電源回路の動作モードを、前記IC-装置間通信回路を介して前記制御装置に送信し、
前記制御装置は、前記制御指令を、前記その他の監視ユニットの電源ICに送信する請求項14記載の組電池監視装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単位セルを直列に接続した電池ブロックに接続され、当該電池ブロックの電圧を監視する複数の監視ユニットを備える組電池監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(1)従来、組電池の電圧を電池ブロック毎に監視する構成においては、例えば特許文献1のように各電池ブロックに対応して設けられている個別の監視ICがそれぞれ監視を行う構成とは別に、各電池ブロックの電圧をフライングキャパシタ方式の検出回路を介して共通の監視ICに入力することで、電圧の監視を冗長化している。
【0003】
(2)従来、組電池の電圧を電池ブロック毎に監視する構成では、監視ICの動作用電源を、電池ブロックの端子電圧より生成して供給するものがある。このような構成では、各監視ICの消費電流がばらつくことで、各電池ブロックの容量にもばらつきが生じする。複数の電池ブロック間の容量ばらつきを解消するには、電池ブロック間の電圧を均等化する回路が別途必要になる。
【0004】
(3)従来、組電池の電圧を電池ブロック毎に監視する構成では、監視ICの動作用電源を、電池ブロックの端子電圧より生成して供給するものがある。上記の動作用電源を生成する回路の一例として、スイッチトキャパシタ電源回路がある。電池ブロックの端子電圧の変化に応じて、スイッチトキャパシタ電源回路の動作モードを切り替えることで電源効率を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-44795号公報
【文献】特許第6107836号公報
【文献】特願2018-106880号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(1)しかしながら、特許文献1のような構成では、各電池ブロックと共通の電圧検出回路との間に高圧の配線を引き回す必要があり、例えば車両等への搭載性や、組電池の組み立て作業性が悪くなるという問題があった。
【0007】
(2)しかしながら、監視ICは、各セル間の電圧を均等化するための回路を備えているため、それに加えて電池ブロック間の電圧を均等化する回路も監視ICに搭載すると、監視ICに流れる放電電流値が増加し、発熱が増大するという問題がある。また、監視ICに故障が発生すると、セル間電圧の均等化と、電池ブロック間電圧の均等化との双方の機能が停止してしまう。
【0008】
(3)しかしながら、各電池ブロック間でスイッチトキャパシタ電源回路の動作モードが異なると消費電流が電池ブロック毎に異なるようになり、電池ブロック間に容量のばらつきが発生するおそれがある。
【0009】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、製品への搭載性や組電池の組み立て作業性を良好にできる組電池監視装置を提供することにある。
【0010】
また、本発明の第2の目的は、監視ICの発熱が増大することを回避し、監視ICに故障が発生した際でも、電池ブロック間電圧の均等化機能を活かすことができる組電池監視装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の第3の目的は、動作用電源の生成にスイッチトキャパシタ電源回路を用いる構成においても、電池ブロック間の容量ばらつきを抑制できる組電池監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の組電池監視装置によれば、電池ブロックの電圧を監視する監視IC,電池ブロックより供給される電源より監視ICに供給する電源を生成する電源IC及び電池ブロックの電圧に関する異常を検出する冗長検出回路を有してなる複数の監視ユニットを備える。制御装置は、監視ICと通信を行い監視ユニットを制御する。監視ユニットは、冗長検出回路を電源ICのパッケージ内に配置し、冗長検出回路からの出力信号を、異なる信号形態に変換してから制御装置に入力するための信号伝達部を備える。
【0013】
このように、冗長検出回路を監視ICと独立に構成することで、電池ブロックに対する電圧監視機能を確実に冗長化できる。そして、冗長検出回路を電源ICのパッケージ内に配置することで、コストの上昇を抑制できる。また、冗長検出回路からの出力信号は、信号伝達部を介して一旦異なる信号形態に変換されてから制御装置に入力される。これにより、冗長検出回路が制御装置に対して直接信号を入力する構成においても、両者間の電気的絶縁を確保できる。
【0014】
請求項2記載の組電池監視装置によれば、制御装置が冗長検出回路を制御するための制御指令を、監視IC及びIC間通信回路を介して冗長検出回路に入力する。これにより、冗長検出回路を監視ICと独立にした構成においても、制御装置からの制御指令を、監視IC及びIC間通信回路を介して冗長検出回路に入力することができる。
【0015】
請求項4記載の組電池監視装置によれば、冗長検出回路に、電池ブロックの端子電圧を分圧する分圧回路,分圧された電圧をA/D変換するA/Dコンバータ,A/D変換されたデータを信号伝達部を介して制御装置に出力する出力回路を備える。このように構成すれば、冗長検出回路により検出された電池ブロックの端子電圧に対する判定を、制御装置側で行うことができる。
【0016】
請求項10記載の組電池監視装置によれば、電池ブロックの電圧を監視する監視IC,電池ブロックより供給される電源より監視ICに供給する電源を生成する電源IC及び電池ブロックの電圧に関する異常を検出する冗長検出回路を有してなる複数の監視ユニットを備える。制御装置は、監視ICと通信を行い監視ユニットを制御する。
【0017】
そして、監視ICにセル均等化回路を備え、電源ICには、ブロック均等化回路と当該回路を制御する制御回路と備える。このように、2種類の均等化回路を異なるICに配置することで、電圧の均等化動作に伴い各ICに流れる放電電流の増大を抑制できる。また、ブロック均等化回路の制御を電源IC側で独立に行うことができる。
【0018】
請求項11記載の組電池監視装置によれば、電源ICに、制御装置からの制御指令を受信して制御回路に入力する通信回路を備え、制御装置は、前記制御指令によりブロック均等化回路の動作を制御する。このように構成すれば、制御装置がブロック均等化回路の動作を制御するための指令を、通信回路を介して電源ICに直接与えることができる。
【0019】
請求項12記載の組電池監視装置によれば、制御装置は、ブロック均等化回路により対応する電池ブロックを放電させるタイミングを制御するので、監視IC側のセル均等化回路が故障により動作しない場合でも、ブロック均等化回路による放電を行わせることができる。
【0020】
請求項14記載の組電池監視装置によれば、電池ブロックの電圧を監視する監視IC,電池ブロックより供給される電源より監視ICに供給する電源を生成する電源IC及び電池ブロックの電圧に関する異常を検出する冗長検出回路を有してなる複数の監視ユニットを備える。制御装置は、監視ICと通信を行い監視ユニットを制御する。
【0021】
電源ICに、スイッチトキャパシタ電源回路と、電池ブロックの端子電圧に応じてスイッチトキャパシタ電源回路の動作モードを低/高消費電流モードに切り替える制御回路を備える。制御回路は、スイッチトキャパシタ電源回路の動作モードを制御装置に送信し、制御装置は、何れか1つの監視ユニットにおけるスイッチトキャパシタ電源回路の動作モードが高消費電流モードに切り替わると、その他の監視ユニットの同動作モードを高消費電流モードに切り替える制御指令をその他の監視ユニットに送信する。前記制御指令を受信した監視ユニットの制御回路は、スイッチトキャパシタ電源回路の動作モードを高消費電流モードに切り替える。
【0022】
このように構成すれば、何れか1つ以上の監視ユニットにおけるスイッチトキャパシタ電源回路の動作モードが高消費電流モードに切り替わると、その他の監視ユニットの動作モードも全て、制御装置により強制的に高消費電流モードに切り替わる。したがって、各電池ブロック間の容量がばらつくことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態であり、組電池監視装置の構成を示す図
図2】第2実施形態であり、組電池監視装置の構成を示す図
図3】第3実施形態であり、冗長検出回路の具体構成例を示す図
図4】第4実施形態であり、冗長検出回路の具体構成例を示す図
図5】第5実施形態であり、冗長検出回路の具体構成例を示す図
図6】第6実施形態であり、組電池監視装置の構成を示す図
図7】第7実施形態であり、複数の監視ユニットが有しているフォトカプラとマイコンとの接続形態を示す図
図8】フォトカプラの状態に応じてマイコンに入力される信号の態様を示す図
図9】第8実施形態であり、複数の監視ユニットが有しているフォトカプラとマイコンとの接続形態を示す図
図10】フォトカプラの状態に応じてマイコンに入力される信号の態様を示す図
図11A】第9実施形態であり、電源回路の構成例を簡易的に示す図(その1)
図11B】電源回路の構成例を簡易的に示す図(その2)
図11C】電源回路の構成例を簡易的に示す図(その3)
図12】第10実施形態であり、組電池監視装置の構成を示す図
図13A】ブロック均等化回路の具体構成例を示す図(その1)
図13B】ブロック均等化回路の具体構成例を示す図(その2)
図14】第11実施形態であり、ブロック均等化回路の制御形態を示す図
図15】第12実施形態であり、ブロック均等化回路の制御形態を示す図
図16】第14実施形態であり、組電池監視装置の構成を示す図
図17】組電池監視装置の制御内容を示すフロー図
図18】第15実施形態であり、組電池監視装置の構成を示す図
図19】第16実施形態であり、組電池監視装置の構成を示す図
図20】第17実施形態であり、ブロック均等化回路の制御形態を示す図
図21】第18実施形態であり、ブロック均等化回路の制御形態を示す図
図22A】第20実施形態であり、電源回路の構成例を簡易的に示す図(その1)
図22B】電源回路の構成例を簡易的に示す図(その2)
図22C】電源回路の構成例を簡易的に示す図(その3)
図23A】第21実施形態であり、ブロック均等化回路の構成例を簡易的に示す図(その1)
図23B】ブロック均等化回路の構成例を簡易的に示す図(その2)
図24】第22実施形態であり、組電池監視装置の構成を示す図
図25A】スイッチトキャパシタ電源回路の2:1モードを示す図
図25B】スイッチトキャパシタ電源回路の1:1モードを示す図
図26】各モードにおける入力電流と出力電流との関係を示す図
図27】組電池監視装置の制御内容を示すフロー図
図28】第23実施形態であり、組電池監視装置の構成を示す図
図29A】第24実施形態であり、スイッチトキャパシタ電源回路の1:2モードを示す図
図29B】スイッチトキャパシタ電源回路の3:1モードを示す図
図29C】スイッチトキャパシタ電源回路の3:2モードを示す図
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態の組電池監視装置1は、電池ブロック2の両端に接続される監視IC3,電源IC4及びマイクロコンピュータ5を備えている。以下、マイコン5と称すが、マイコン5は制御装置の一例である。また、監視IC3及び電源IC4は、監視ユニット6を構成している。電池ブロック2は、複数の単位セル7が直列に接続されたものであり、単位セル7は、例えばリチウムイオン電池のような二次電池である。また、実際には複数の電池ブロック2が直列に接続されて組電池を構成しており、それに応じて監視ユニット6も複数存在するが、図1では1組だけ示している。すなわち、マイコン5と複数の監視IC3とはデイジーチェーン接続されている。
【0025】
監視IC3は、マイコン5と通信を行うための通信回路8を備えている。電源IC4は、電源回路9,冗長検出回路10及び通信回路11を備えている。つまり、冗長検出回路10は電源IC4のパッケージ内に配置されている。電源回路9は、電池ブロック2の端子電圧より監視IC3等の動作用電源を生成する。冗長検出回路10は、監視IC3が行う電池ブロック2の電圧監視動作を冗長的に行うために設けられている。冗長検出回路10が出力する信号は、通信回路11及び電源IC4の外部に配置される絶縁結合素子12を介してマイコン5に入力される。信号伝達部の一例である絶縁結合素子12は、例えばフォトカプラ等である。尚、監視ユニット6の構成要素は、同一の回路基板に搭載されている。
【0026】
次に、本実施形態の作用について説明する。監視IC3は、電池ブロック2の端子電圧及び各単位セル7の端子電圧を例えば数十ms程度の周期で検出し、検出結果をマイコン5に送信する。冗長検出回路10は、電池ブロック2の端子電圧を例えば数百ms程度の周期で検出し、検出結果をマイコン5に送信する。
【0027】
以上のように本実施形態によれば、監視IC3は電池ブロック2に接続されて電池ブロック2の電圧を監視する。電源回路9は、電池ブロック2から供給される電源より、監視IC3に供給する電源を生成する。冗長検出回路10は、電池ブロック2の電圧に関する異常を冗長的に検出する。そして、冗長検出回路10を電源IC4のパッケージ内に配置し、監視ユニット6は、冗長検出回路10からの出力信号を、絶縁結合素子12を介してマイコン5に入力する。
【0028】
このように、監視ユニット6に冗長検出回路10を備えることで、マイコン5との間に高圧配線を引き回すことなく電池ブロック2の電圧監視を冗長化することができる。そして、冗長検出回路10を電源IC4内に配置することで監視IC3と独立に動作させ、何れか一方が故障した場合のフェイルセーフを図ることができる。
【0029】
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と異なる部分について説明する。図2に示すように、第2実施形態の組電池監視装置1Aは、監視IC3Aが備える通信回路8Aと、電源IC4Aが備える通信回路11Aとが通信可能となっている。マイコン5Aは、通信回路8Aに対して冗長検出回路10Aに対する制御指令を出力する。前記制御指令は、通信回路8A及び11Aを介して冗長検出回路10Aに入力される。通信回路8A及び11AはIC間通信回路に相当する。
【0030】
以上のように第2実施形態によれば、冗長検出回路10Aを監視IC3Aと独立にした構成においても、マイコン5からの制御指令を、監視IC3A並びに通信回路8A及び11Aを介して冗長検出回路10Aに入力することができる。
【0031】
(第3実施形態)
図3に示す第3実施形態は、第2実施形態の冗長検出回路10Aの具体構成例である。冗長検出回路10Aは、分圧回路13,コンパレータ14及び基準電源15を備えている。分圧回路13は抵抗素子13a及び13bの直列回路であり、両者の共通接続点はコンパレータ14の非反転入力端子に接続されている。基準電源15は電圧が変更可能であり、マイコン5Aが制御指令として出力する電圧設定指令によって基準電圧が設定される。その基準電圧は、コンパレータ14の反転入力端子に与えられる。コンパレータ14の出力信号は、通信回路11A及び絶縁結合素子12を介してマイコン5Aに出力される。
【0032】
(第4実施形態)
図4に示す第4実施形態は、第3実施形態の冗長検出回路10Aに替わる冗長検出回路10Bの具体構成例である。冗長検出回路10Bは、コンパレータ14及び基準電源15に替えて、A/Dコンバータ16及び判定回路17を備えている。A/Dコンバータ16の入力端子は、抵抗素子13bの両端に接続されている。A/Dコンバータ16は、抵抗素子13bの端子電圧をA/D変換し、変換したデータを判定回路17に出力する。判定回路17は、マグニチュードコンパレータであり、判定用の基準データ値はマイコン5Aにより設定される。
【0033】
(第5実施形態)
図5に示す第5実施形態は、第1実施形態の冗長検出回路10の具体構成例である。冗長検出回路10は、分圧回路13及びA/Dコンバータ16で構成され、A/Dコンバータ16が変換したデータは、通信回路11によりマイコン5に出力される。そして、マイコン5が電圧の変換データについて判定を行う。通信回路11は出力回路の一例である。
【0034】
(第6実施形態)
図6に示す第6実施形態の組電池監視装置1Cは、絶縁結合素子12に替えて、監視ユニット8Cが無線通信部18を備えており、それに応じて、マイコン5C側も無線通信部19を備えている。無線通信部18及び19は信号伝達部の一例である。そして、監視IC3Cが備える通信回路8Cは、無線通信部18との間で有線通信を行い、無線通信部18及び19を介してマイコン5Cと通信する。電源IC4Cが備える通信回路11Cも同様に、無線通信部18との間で有線通信を行う。
【0035】
(第7実施形態)
図7に示す第7実施形態は、例えば第2実施形態の複数の監視ユニット6Aがそれぞれ有している絶縁結合素子をフォトカプラ12として図示し、複数のフォトカプラ12とマイコン5Aとの接続形態を具体的に示している。尚、マイコン5Aは、その他の周辺回路と共にECU20を構成している。
【0036】
フォトカプラ12の出力側であるフォトトランジスタのコレクタは、それぞれマイコン5Aの入力端子に個別に接続されている。また、前記コレクタは、ECU20側の電源にプルアップされている。そして、フォトトランジスタのエミッタは、ECU20側のグランドに共通に接続されている。
【0037】
次に、第7実施形態の作用について説明する。図8に示すように、フォトカプラ12は通常時はオフ状態にあり、対応するマイコン5Aの入力端子はハイレベルを示している。フォトカプラ12がオン状態で固着していれば、上記入力端子はローレベルを示す。冗長検出回路10Aは、監視対象である電池ブロック2の電圧が基準電圧を上回ると、フォトカプラ12に出力する信号をハイレベルにする。したがって、監視対象電圧が異常であればマイコン5Aの入力端子はローレベルを示すので、マイコン5Aは異常の発生を判定する。
【0038】
また、監視周期とは異なるタイミングで、例えばマイコン5Aが冗長検出回路10Aの基準電圧を一時的に低く設定してコンパレータ14の出力信号をハイレベルにすることで、フォトカプラ12がオフ状態で固着しているか否かを判断できる。また、これは冗長検出回路10Aの機能が正常か否かの判断にもなる。この時、マイコン5Aの入力端子がローレベルを示せば正常であり、ハイレベルのままであればフォトカプラ12のオフ固着,又は冗長検出回路10Aの機能不全が検出できる。
【0039】
以上のように第7実施形態によれば、監視ユニット6A及びマイコン5A間の配線数は多くなるが、消費電流を低減でき、異常が検出された電池ブロック2の位置を特定できる。
【0040】
(第8実施形態)
図9に示す第8実施形態は、マイコン5Aと複数のフォトカプラ12とを、監視IC3Aと同様にデイジーチェーン接続した場合を示す。すなわち、最上段に位置するフォトカプラ12のフォトトランジスタのコレクタは、マイコン5Aの出力端子に接続されており、最下段に位置するフォトカプラ12のフォトトランジスタのエミッタは、マイコン5Aの入力端子に接続されていると共に、グランドにプルダウンされている。
【0041】
次に、第8実施形態の作用について説明する。マイコン5Aは出力端子を常時ハイレベルにする。また、冗長検出回路10Aは、コンパレータ14の反転入力端子,非反転入力端子の接続を入れ替えることで通常時にハイレベルを出力し、異常検出時にローレベルを出力する。したがって、マイコン5Aの入力端子は正常時にローレベルを示し、異常検出時はハイレベルを示す。
【0042】
この場合、図10に示すように、通常時に行う電圧監視動作とフォトカプラ12のオフ固着診断,又は冗長検出回路10Aの機能不全検出は同じパターンとなる。フォトカプラ12のオン固着診断は、診断対象の冗長検出回路10Aだけにローレベルを出力させ、その際にマイコン5Aの入力端子がローレベルを示せば正常となる。
以上のように第8実施形態によれば、監視ユニット6A及びマイコン5A間の配線数を低減できる。
【0043】
(第9実施形態)
第9実施形態は、電源回路9の構成例を簡易的に示す。図11Aは、NチャネルMOSFET及びコンデンサの直列回路を備えるシリーズ電源である。FETのドレインに入力電圧Vinが印加され、FETのソースより出力電圧Voutが出力される。
【0044】
図11Bは、複数のスイッチ及びコンデンサの組合せからなるスイッチトキャパシタ電源である。スイッチS1,コンデンサCfly,スイッチS2及びコンデンサCoutの直列回路を備え、スイッチS2及びコンデンサCoutの直列回路にはスイッチS3が並列に接続され、コンデンサCfly及びスイッチS2の直列回路にはスイッチS4が並列に接続されている。スイッチS1の上端に入力電圧Vinが印加され、スイッチS2及びコンデンサCoutの共通接続点より出力電圧Voutが出力される。
【0045】
図11Cは、NチャネルMOSFETと逆方向ダイオードとの直列回路,及び良哉の共通接続点に接続されるインダクタを備えるスイッチング電源を示す。FETのドレインに入力電圧Vinが印加され、FETのソースよりインダクタを介して出力電圧Voutが出力される。
【0046】
(第10実施形態)
図12に示す第10実施形態の組電池監視装置21は、電源IC22にブロック均等化回路23を備えた構成である。一般に監視ICは、単位セル間の電圧均等化を行う回路を備えている。また、電池ブロック間の電圧も別途均等化する必要があるため、別途ブロック均等化回路を設けている。ブロック均等化回路により電池ブロックを構成する複数の単位セルをまとめて放電させることで、単位セル間の均等化を行う際に流れる電流を低減できる。
【0047】
従来、ブロック均等化回路は、監視ICの内部に配置されていたため、監視ICが故障すると、電池ブロックの電圧を均等化する機能も失われてしまう。ブロック均等化回路を監視ICと独立に設けることで上記のリスクを回避できるが、この場合、コストアップを招いてしまう。
【0048】
そこで、第10実施形態では、電源IC22にブロック均等化回路23を備えることで監視ユニット24を構成する。これにより、コストアップを招くことなく電池ブロックの電圧均等化機能を極力保持できる。ブロック均等化回路23の具体構成例として、図13Aは、NチャネルMOSFETのカレントミラー回路と可変電流源との組み合わせを示す。可変電流源はカレントミラー回路の主電流経路に接続され、ミラー電流経路に電池ブロック2の電源電圧Vinが印加される。また図13Bは、抵抗素子とNチャネルMOSFETとの直列回路を備える構成であり、抵抗素子の上端に電源電圧Vinが印加される。
【0049】
(第11実施形態)
第11実施形態は、ブロック均等化回路23の制御形態を示す。監視IC3の動作用電源は電源回路9より供給されるので、その電源供給経路に、図14に示すようにシャント抵抗25を配置する。そして、監視IC3に電流検出器回路26を備え、シャント抵抗25の端子電圧を検出することで自身の消費電流を検出し、検出結果をマイコン5に送信する。
【0050】
例えば、監視IC3(1)の消費電流Ioutに対し、監視IC3(2)の消費電流が10mA多い場合には、マイコン5は監視ユニット24(1)のブロック均等化回路23(1)を動作させ、10mAの均等化電流を流すように監視IC3(1)に制御指令を出力する。尚、同図では、監視IC3,電源ICモジュール22間で通信を行う回路の図示を省略している。
【0051】
(第12実施形態)
図15に示す第12実施形態は、ブロック均等化回路23の別の制御形態を示す。監視IC3は、各単位セル7の端子電圧を検出する電圧検出回路27を備えている。これにより、各単位セル7の端子電圧の合計値,又は電池ブロック2の端子電圧をマイコン5に送信する。マイコン5は、時間経過に伴う各電池ブロック2の電圧低下度合いを計算し、低下度合いがより大きい電池ブロック2の監視IC3は消費電流がより多いと判断する。そして、消費電流が少ない監視ユニット24(1)のブロック均等化回路23(1)を動作させ、均等化電流を流すように監視IC3(1)に制御指令を出力する。
【0052】
(第13実施形態)
第13実施形態も、ブロック均等化回路23の別の制御形態を示す。マイコン5は、第12実施形態と同様の構成において、各監視IC3より送信される電池ブロック2の電圧情報に基づいてそれぞれのSOC(State Of Charge)を算出する。SOCがより少ない電池ブロック2の監視IC3は消費電流がより多いと判断する。そして、SOCがより多い監視ユニット24(1)のブロック均等化回路23(1)を動作させ、均等化電流を流すように監視IC3(1)に制御指令を出力する。
【0053】
(第14実施形態)
第14実施形態は、組電池監視装置31を示す。図16に示すように、組電池監視装置31は、電池ブロック32の両端に接続される監視IC33,電源IC34及びマイクロコンピュータ35を備えている。以下、マイコン35と称すが、マイコン5は制御装置の一例である。また、監視IC33及び電源IC34は、監視ユニット36を構成している。電池ブロック32は、複数の単位セル37が直列に接続されたものであり、単位セル37は、例えばリチウムイオン電池のような二次電池である。また、実際には複数の電池ブロック32が直列に接続されて組電池を構成しており、それに応じて監視ユニット36も複数存在するが、図16では1組だけ示している。すなわち、マイコン35と複数の監視IC33とはデイジーチェーン接続されている。
【0054】
監視IC33は、セル均等化回路38,制御回路39,通信回路40及びその他の内部回路41を備えている。セル均等化回路38は、各単位セル37の両端に接続される放電用抵抗Rd+,Rd-と、これらの間に接続される放電用スイッチ42とを備えている。ある単位セル37の負側に接続される放電用抵抗Rd-は、その1段下の単位セル37の正側に接続される放電用抵抗Rd+を兼用している。放電用スイッチ42のオンオフ制御は制御回路39が行う。制御回路39は、通信回路40を介してマイコン35と通信を行うが、送信経路,受信経路には、それぞれ絶縁インターフェイス43S,43Rが介在している。
【0055】
電源IC34は、電源回路44,ブロック均等化回路45,制御回路46,ウォッチドッグタイマ47及び通信回路48を備えている。電源回路44は、電池ブロック32の端子電圧より監視IC33等の動作用電源を生成する。ブロック均等化回路45は、電池ブロック32の両端に接続される放電用スイッチ49及び定電流源50の直列回路を備えている。定電流源50は、定電流値を変更設定可能である。放電用スイッチ49のオンオフ制御及び定電流源50の定電流値設定は、制御回路46が行う。
【0056】
制御回路46は、設定値保持回路51を備えている。設定値保持回路51には、放電用スイッチ49のオン設定時間等が保持されている。ウォッチドッグタイマ47は、制御回路46の動作状態を監視する。通信回路48は、マイコン35と制御回路46とが通信を行うために使用され、マイコン35が送信した信号は、絶縁インターフェイス52を介して通信回路48に入力される。
【0057】
次に、本実施形態の作用について説明する。図17に示すように、マイコン35が電源IC34に対して、電池ブロック32の均等化を行う際の電流設定コマンドを送信すると、処理が開始される。電流設定コマンドが「OFF」であれば、放電用スイッチ49をオフ状態に保持する(S1)。同コマンドが「ON」であれば、放電用スイッチ49をオンにすると共に、定電流源50の定電流値を上記コマンドにて指定された値に設定する(S2)。そして、制御回路46は、放電用スイッチ49のオン時間をカウントするための図示しないカウンタによるカウントアップ動作を開始させると共に(S5)、ウォッチドッグタイマ47にもカウントアップ動作を開始させる(S3)。
【0058】
勿論、ウォッチドッグタイマ47に設定する監視時間は、放電用スイッチ49のオン時間よりも長くする。制御回路46のカウンタが正常に動作して、設定された時間の計時を完了すれば(S6)ウォッチドッグタイマ47の動作を停止させてステップS1に移行する。ウォッチドッグタイマ47の動作が制御回路46により停止されることなくオーバーフローすると(S4)、ウォッチドッグタイマ47によりステップS1が実行される。
【0059】
以上のように第14実施形態によれば、監視IC33は電池ブロック32に接続されて電池ブロック32の電圧を監視する。電源回路44は、電池ブロック32から供給される電源より、監視IC33に供給する電源を生成する。そして、監視IC33にセル均等化回路38を備え、電源IC34には、ブロック均等化回路45と当該回路45を制御する制御回路46と備える。このように、2種類の均等化回路38,45を異なるIC33,34に配置することで、電圧の均等化動作に伴い各IC33,34に流れる放電電流の増大を抑制できる。また、ブロック均等化回路45の制御を電源IC34側で独立に行うことができる。
【0060】
そして、電源IC34に、マイコン35からの制御指令を受信して制御回路46に入力する通信回路48を備え、マイコン35は、前記制御指令によりブロック均等化回路45の動作を制御する。このように構成すれば、マイコン35がブロック均等化回路45の動作を制御するための指令を、通信回路48を介して電源IC34に直接与えることができる。
【0061】
また、マイコン35は、ブロック均等化回路45により対応する電池ブロック32を放電させるタイミングを制御するので、監視IC33側のセル均等化回路38が故障により動作しない場合でも、ブロック均等化回路45による放電を行わせることができる。
【0062】
(第15実施形態)
以下、第14実施形態と異なる部分について説明する。図18に示す第15実施形態の組電池監視装置31Aは、監視IC33Aが通信回路40に替わる通信インターフェイス53を備える。また、電源IC34Aは、通信回路48に替わる通信インターフェイス54を備える。そして、通信インターフェイス53,54間は、直接通信可能となっており、マイコン35Aからブロック均等化回路45の制御指令は、通信インターフェイス53及び54を経由して与えられる。
【0063】
(第16実施形態)
図19に示す第16実施形態の組電池監視装置31Bは、監視ユニット36Bが無線通信部55を備えており、それに応じて、マイコン5C側も無線通信部56を備えている。無線通信部55及び56は信号伝達部の一例である。そして、監視IC33Bが備える通信回路40Bは、無線通信部55との間で有線通信を行い、無線通信部55及び56を介してマイコン35Bと通信する。電源IC34Bが備える通信回路48Bも同様に、無線通信部55との間で有線通信を行う。
【0064】
(第17実施形態)
第17実施形態は、ブロック均等化回路45の制御形態を示す。監視IC33の動作用電源は電源回路44より供給されるので、その電源供給経路に、図20に示すようにシャント抵抗57を配置する。そして、監視IC33に電流検出回路58を備え、シャント抵抗57の端子電圧を検出することで自身の消費電流を検出し、検出結果をマイコン35に送信する。
【0065】
例えば、監視IC33(1)の消費電流Ioutに対し、監視IC33(2)の消費電流が10mA多い場合には、マイコン35は監視ユニット36(1)のブロック均等化回路45(1)を動作させ、10mAの均等化電流を流すように監視IC33(1)に制御指令を出力する。尚、同図では、監視IC33,電源IC34間で通信を行う回路の図示を省略している。
【0066】
(第18実施形態)
図21に示す第18実施形態は、ブロック均等化回路45の別の制御形態を示す。監視IC33は、各単位セル7の端子電圧を検出する電圧検出回路59を備えている。これにより、各単位セル37の端子電圧の合計値,又は電池ブロック32の端子電圧をマイコン35に送信する。マイコン35は、時間経過に伴う各電池ブロック2の電圧低下度合いを計算し、低下度合いがより大きい電池ブロック32の監視IC33は消費電流がより多いと判断する。そして、消費電流が少ない監視ユニット36(1)のブロック均等化回路45(1)を動作させ、均等化電流を流すように監視IC33(1)に制御指令を出力する。
【0067】
(第19実施形態)
第19実施形態も、ブロック均等化回路45の別の制御形態を示す。マイコン35は、第18実施形態と同様の構成において、各監視IC33より送信される電池ブロック32の電圧情報に基づいてそれぞれのSOC(State Of Charge)を算出する。SOCがより少ない電池ブロック32の監視IC33は消費電流がより多いと判断する。そして、SOCがより多い監視ユニット36(1)のブロック均等化回路45(1)を動作させ、均等化電流を流すように監視IC33(1)に制御指令を出力する。
【0068】
(第20実施形態)
第20実施形態は、電源回路44の構成例を簡易的に示す。図22Aは、NチャネルMOSFET及びコンデンサの直列回路を備えるシリーズ電源である。FETのドレインに入力電圧Vinが印加され、FETのソースより出力電圧Voutが出力される。
【0069】
図22Bは、複数のスイッチ及びコンデンサの組合せからなるスイッチトキャパシタ電源を示す。スイッチS1,コンデンサCfly,スイッチS2及びコンデンサCoutの直列回路を備え、スイッチS2及びコンデンサCoutの直列回路にはスイッチS3が並列に接続され、コンデンサCfly及びスイッチS2の直列回路にはスイッチS4が並列に接続されている。スイッチS1の上端に入力電圧Vinが印加され、スイッチS2及びコンデンサCoutの共通接続点より出力電圧Voutが出力される。
【0070】
図22Cは、NチャネルMOSFETと逆方向ダイオードとの直列回路,及び良哉の共通接続点に接続されるインダクタを備えるスイッチング電源を示す。FETのドレインに入力電圧Vinが印加され、FETのソースよりインダクタを介して出力電圧Voutが出力される。
【0071】
(第21実施形態)
第21実施形態は、ブロック均等化回路45の具体構成例を簡易的に示す。図23Aは、NチャネルMOSFETのカレントミラー回路と可変電流源との組み合わせである。可変電流源はカレントミラー回路の主電流経路に接続され、ミラー電流経路に電池ブロック2の電源電圧Vinが印加される。また図23Bは、抵抗素子とNチャネルMOSFETとの直列回路を備える構成であり、抵抗素子の上端に電源電圧Vinが印加される。
【0072】
(第22実施形態)
第22実施形態は、組電池監視装置61を示す。図24に示すように、組電池監視装置61は、電池ブロック62の両端に接続される監視IC63,電源IC64及び制御装置65を備えている。また、監視IC63及び電源IC64は、監視ユニット66を構成している。電池ブロック62は、複数の単位セル67が直列に接続されたものであり、単位セル67は、例えばリチウムイオン電池のような二次電池である。また、実際には多数の電池ブロック62が直列に接続されて組電池を構成しており、それに応じて監視ユニット66も複数存在するが、図24では2組だけ示している。すなわち、制御装置65と複数の監視IC63とはデイジーチェーン接続されている。
【0073】
監視IC63は、図示しないセル均等化回路や通信インターフェイス68やその他の内部回路69を備えている。監視IC63は、通信回路インターフェイス68及び外部の通信回路70R,70S並びに制御装置65側の通信回路71R,71Sを介して制御装置65と通信を行う。
【0074】
電源IC64は、スイッチトキャパシタ電源回路72,モード判定回路73,制御回路74及び通信インターフェイス75を備えている。以下、単に電源回路72と称する。電源回路72は、電池ブロック62の端子電圧より監視IC63等の動作用電源を生成するもので、電池ブロック62の両端に接続される4つのスイッチS1~S4の直列回路と、スイッチS1及びS2並びにS3及びS4の共通接続点間に接続されるコンデンサC1,スイッチS2及びS3の共通接続点とグランドとの間に接続されるコンデンサC2とで構成される。
【0075】
モード判定回路73は、電池ブロック62の端子電圧に応じて、電源回路72の動作モードの切り換え判定を行い、判定結果を制御回路74及び通信インターフェイス75に出力する。スイッチS1~S4のオンオフ制御は、制御回路74により行われる。通信インターフェイス75は、外部の通信回路76を介して制御装置65と通信を行う。通信回路76は、IC-装置間通信回路の一例である。
【0076】
図25に示すように、電源回路72の動作モードは入力電圧VINをコンデンサC1及びC2の直列回路で受けて、電圧Voutを出力する際にはコンデンサC1及びC2を並列に接続する2:1モードと、入力電圧VinをコンデンサC1及びC2の並列回路で受ける1:1モードとがある。図26に示すように、1:1モードの場合の入力電流は出力電流に等しいが、2:1モードの場合の入力電流は出力電流の1/2となる。1:1モードは高消費電流モードに相当し、2:1モードは低消費電流モードに相当する。
【0077】
次に、本実施形態の作用について説明する。尚、以下において「独立制御」とは電源IC64自身が入力電圧Vinをモニタしてモード判定を行い、電源回路72の動作モードを切り替えることを言う。また、「強制制御」とは、制御装置65が電源回路72の動作モードを指定して強制的に切り替えることを言う。
【0078】
初期状態では、何れの電源IC64も「独立制御」であるとする。図27に示すように、電源IC64(1),64(2)のモード判定回路73(1),73(2)は、それぞれの電池ブロック62(1),62(2)の端子電圧Vin1,Vin2が、監視IC63の電源電圧Voutの2倍を超えていれば、電源回路72(1),72(2)の動作モードを何れも2:1モードと判定する(S11)。この場合、
Iin1=Iout1×0.5,Iin2=Iout2×0.5
となる。
【0079】
この状態から、例えば電池ブロック62(1)の端子電圧Vin1が電源電圧Voutの2倍を下回るようになると、モード判定回路73(1)は電源回路72(1)の動作モードを1:1モードと判定する。これにより、Iin1=Iout1となる(S12)。電源回路72(1)の動作モードが1:1モードに切り替わったことは、通信インターフェイス75(1)及び通信回路76(1)を介して制御装置65に送信される(S13)。
【0080】
すると、制御装置65は、電源回路72(2)の動作モードを1:1モードに切り替える制御指令を、通信回路71S,通信インターフェイス68(1),通信回路70R(2),通信インターフェイス68(2)及び75(1)を介して制御回路74(2)に送信する。これにより「強制制御」となり、電源回路72(2)の動作モードは1:1モードに切り替えられる(S14)。
【0081】
次にこの状態から、電池ブロック62(1)の端子電圧Vin1が電源電圧Voutの2倍を上回るようになると、モード判定回路73(1)は電源回路72(1)の動作モードを2:1モードと判定し、電源回路72(1)の動作モードは2:1モードに切り替わる(S15)。電源回路72(1)の動作モードが2:1モードに切り替わったことは、制御装置65に送信される(S16)。
【0082】
すると、制御装置65は、電源回路72(2)の「強制制御」を解除する制御指令を制御回路74(2)に送信する(S17)。これにより、電源IC64(2)は「独立制御」となり、ステップS11の状態に復帰する。
【0083】
以上のように第22実施形態によれば、監視IC63は電池ブロック62に接続されて電池ブロック62の電圧を監視する。電源IC64は、電池ブロック62から供給される電源より、監視IC63に供給する電源を生成する。制御装置65は、監視IC63と通信を行い監視ユニット66を制御する。
【0084】
電源IC64は、スイッチトキャパシタ電源回路72と、電池ブロック62の端子電圧に応じて電源回路72の動作モードを低/高消費電流モードに切り替えるモード判定回路73及び制御回路44を備える。モード判定回路73は、電源回路72の動作モードを制御装置65に送信し、制御装置65は、何れか1つの監視ユニット66における電源回路72の動作モードが2:1モードから1:1モードに切り替わると、その他の監視ユニット66の同動作モードを1:1モードに強制的に切り替える制御指令を送信する。前記制御指令を受信した監視ユニット66の制御回路74は、電源回路72の動作モードを1:1モードに切り替える。このように構成すれば、各電池ブロック62間の容量がばらつくことを抑制できる。
【0085】
また、監視ユニット66は、電源IC64と制御装置65との間で通信を行うための通信回路76を備え、モード判定回路73は、電源回路72の動作モードを通信回路76を介して制御装置65に送信する。このように構成すれば、モード判定回路73は、電源回路72の動作モードを制御装置65に直接送信できる。
【0086】
(第23実施形態)
以下、第22実施形態と異なる部分について説明する。図28に示す組電池監視装置61Aは、組電池監視装置61より通信回路76を削除した構成である。例えばモード判定回路73(1)が制御装置65に電源回路72(1)の動作モードを送信する際には、通信インターフェイス75(1)及び68(1)、通信回路70S(1),70R(2),通信インターフェイス75(2),通信回路70S(2)を介して制御装置65に送信される。通信インターフェイス75及び68は、IC間通信回路の一例である。このように構成すれば、通信回路76を不要とすることができる。
【0087】
(第24実施形態)
第24実施形態は、スイッチトキャパシタ電源回路のその他の構成例を示す。図29Aは、電源回路72と同様の構成において、入力電圧VinをコンデンサC1及びC2の並列回路で受けて、電圧Voutを出力する際にはコンデンサC1及びC2を直列に接続する1:2モードを示す。
【0088】
図29Bは、3個のコンデンサを用い、入力電圧VinをコンデンサC1~C3の直列回路で受けて、電圧Voutを出力する際にはコンデンサC1~C3を並列に接続する3:1モードを示す。図29Cは、同じく3個のコンデンサを用い、入力電圧VinをコンデンサC1~C3の直列回路で受けて、電圧Voutを出力する際にはコンデンサC2及びC3を並列に接続する3:2モードを示す。
【0089】
(その他の実施形態)
絶縁結合素子はフォトカプラに限らない。
電圧の監視周期等については、個別の設計に応じて適宜設定すれば良い。
二次電池は、リチウム電池に限らない。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0090】
図面中、1は組電池監視装置、2は電池ブロック、3は監視IC、4は電源IC、5はマイクロコンピュータ、6は監視ユニット、7は単位セル、8は通信回路、9は電源回路、10は冗長検出回路、11は通信回路、12は絶縁結合素子を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図23A
図23B
図24
図25A
図25B
図26
図27
図28
図29A
図29B
図29C