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  • 特許-燃料電池システム用の水素インジェクタ 図1
  • 特許-燃料電池システム用の水素インジェクタ 図2
  • 特許-燃料電池システム用の水素インジェクタ 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】燃料電池システム用の水素インジェクタ
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20221213BHJP
   H01M 8/04858 20160101ALI20221213BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20221213BHJP
   F16K 31/06 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
H01M8/04 N
H01M8/04858
H01M8/04537
F16K31/06 320A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019132863
(22)【出願日】2019-07-18
(65)【公開番号】P2021018888
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2021-08-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 雅憲
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-131301(JP,A)
【文献】特開2011-179647(JP,A)
【文献】特開2018-189068(JP,A)
【文献】特開2016-200242(JP,A)
【文献】特開2008-140619(JP,A)
【文献】特開平08-291877(JP,A)
【文献】特開昭61-250309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06-31/11
H01F 7/18
H01M 8/00-8/2495
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素タンクに接続されるソレノイドバルブと、
前記ソレノイドバルブのコイルに電流を供給するコントローラと、
を備えており、
前記コントローラは、
第1電流を前記コイルに供給しながら前記コイルに流れる電流をモニタし、
前記水素タンクから減圧された水素ガスが噴射されることに応じて前記コイルの温度が低下することに起因して前記電流の変化率が増加したら供給する電流を前記第1電流から第2電流へ下げる、燃料電池システム用の水素インジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、燃料電池システムに用いられる水素インジェクタに関する。特に、消費電力を低減した水素インジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムでは、水素インジェクタが用いられている(例えば特許文献1)。水素インジェクタは、水素タンク内の高圧水素ガスを減圧して燃料電池スタックへ供給する。
【0003】
水素インジェクタの本体はソレノイドバルブである。ソレノイドバルブは、流路を開閉するプランジャ(バルブコア)を動かすコイルを有している。コイルに一定の電流を供給するとソレノイドバルブが開き、電流の供給を遮断するとソレノイドバルブが閉じる。ソレノイドバルブは、開くときに高い電流が必要であるが、開いた状態を保持するにはそれほど高い電流は必要ない。それゆえ、ソレノイドバルブのコントローラは、最初の一定時間は第1電流を供給してソレノイドバルブを開き、一定時間経過後は第1電流を第2電流まで下げてソレノイドバルブを開いた状態に保持する。特許文献2に、そのようなバルブ制御のシーケンスの一例が開示されている。特許文献2は、燃料噴射用のソレノイドバルブを開示する。
【0004】
なお、特許文献2には、ソレノイドバルブをチェックする技術も開示されている。特許文献2のソレノイドバルブでは、コイルに電圧を印加しながらコイルに流れる電流をモニタする。プランジャが動くとコイルに流れる電流の時間変化率に変曲点が現われる。ソレノイドバルブのコントローラは、モニタしている電流の時間変化率に変曲点が見つからなかった場合、ソレノイドバルブが故障していると判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-140619号公報
【文献】特開2016-200242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に開示されたソレノイドバルブでは、予め定められた一定時間が経過したら供給電流を第1電流から第2電流へ下げる。ソレノイドバルブが確実に開くように、一定時間にはマージンが含まれている。それゆえ、ソレノイドバルブが開いてからも、しばらくは第1電流が供給される。ソレノイドバルブが開いた後に第1電流(>第2電流)を供給し続けると電力を無駄に消費する。本明細書は、水素インジェクタの消費電力を抑える技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書が開示する水素インジェクタは、高圧の水素タンクに接続されるソレノイドバルブと、ソレノイドバルブのコイルに電流を供給するコントローラを備えている。コントローラは、第1電流をコイルに供給しながらコイルに流れる電流をモニタする。コントローラは、電流の変化率(時間変化率)が増加したら供給する電流を第1電流から第2電流(<第1電流)へ下げる。
【0008】
ソレノイドバルブが開くと、減圧された水素ガスが噴射される。高圧の水素ガスが減圧されるとガス温度が下がる。減圧された水素ガスによりソレノイドバルブ(コイル)が冷やされる。温度が下がるとコイルの電気抵抗が下がる。第1電流が供給されているコイルの電気抵抗が下がると電流が増加する。すなわち、コイルを流れる電流の変化率の増加は、ソレノイドバルブが開いたことを示す。本明細書が開示する水素インジェクタは、コイルを流れる電流の変化率が増加したら供給電流を第1電流から第2電流へ下げる。供給電流をモニタすることでソレノイドバルブが開いたタイミングを検知することができ、そのタイミングで供給電流を下げる。それゆえ、本明細書が開示する水素インジェクタは無駄な電力を抑えることができる。
【0009】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施例の水素インジェクタを含む燃料電池システムのブロック図である。
図2】指令、電圧、電流、プランジャ位置のタイムチャートである。
図3図2の範囲IIIの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して実施例の水素インジェクタ10を説明する。図1に、水素インジェクタ10を含む燃料電池システム2のブロック図を示す。燃料電池システム2は、燃料電池スタック3、水素タンク4、メインコントローラ5、水素インジェクタ10を備えている。
【0012】
よく知られているように、燃料電池システム2は、酸素と水素の反応により電力を得る。燃料電池スタック3にて酸素ガスと水素ガスが反応し、電力が得られる。
【0013】
酸素は、大気から取得する。燃料電池スタック3には空気パイプ21と燃料パイプ31が接続されている。酸素(大気)は、空気コンプレッサ22により空気パイプ21に取り入れられる。空気パイプ21には第1空気バルブ23(調圧バルブ)が備えられており、第1空気バルブ23により、燃料電池スタック3に供給される空気量が調整される。空気パイプ21の燃料電池スタック3の出口側には第2空気バルブ24(調圧バルブ)が設けられている。第2空気バルブ24によって、燃料電池スタック3から排出される残酸素(残空気)の量が調整される。
【0014】
燃料パイプ31は、燃料電池スタック3と水素タンク4を接続している。水素タンク4には高圧の水素ガスが蓄えられている。燃料パイプ31には水素インジェクタ10が備えられている。水素インジェクタ10は、水素タンク4の内部の高圧の水素ガスを所定の圧力まで減圧して燃料電池スタック3へ供給する。なお、水素タンク4には主止バルブ32が備えられており、燃料電池システム2が停止している間は、主止バルブ32が閉められ、安全性が確保される。また、燃料パイプ31には圧力センサなどのデバイスが備えられているが、それらデバイスの図示と説明は省略する。
【0015】
燃料パイプ31の燃料電池スタック3の出口側には排気バルブ34(調圧バルブ)が備えられている。排気バルブ34によって、燃料電池スタック3から排出される残水素ガスの量が調整される。
【0016】
空気コンプレッサ22、第1空気バルブ23、第2空気バルブ24、主止バルブ32、水素インジェクタ10、排気バルブ34は、メインコントローラ5によって制御される。メインコントローラ5は、不図示の上位コントローラから電力目標指令を受け、その目標電力が実現するように、空気コンプレッサ22や水素インジェクタ10などを制御する。
【0017】
水素インジェクタ10について説明する。先に述べたように、水素インジェクタ10は、高圧の水素ガスを減圧して燃料電池スタック3へ供給する。水素インジェクタ10は、ソレノイドバルブ12、コイル13を含んでいる。水素インジェクタ10を制御するのに必要な電流センサ14とインジェクタコントローラ15は、メインコントローラ5に含まれている。
【0018】
ソレノイドバルブ12の構造は一般的なものであり、技術的によく知られているので、ここでは概要のみを説明する。ソレノイドバルブ12は、パイプ(燃料パイプ31)の流路を開閉するプランジャ(不図示)を備えている。なお、プランジャはバルブコアと称されることもある。あるいは、流路を開閉する部品は、バルブプレートと呼ばれることもある。本明細書では、流路を開閉する部品をプランジャと称する。プランジャは、スプリングで付勢されており、コイル13に電流が供給されていない間は、流路を閉じている。すなわち、ソレノイドバルブ12は、ノーマルクローズタイプである。
【0019】
コイル13は電磁石の部品である。コイル13に所定の電流を加えると、コイルが発生する磁力により、プランジャが流路を開く位置へと移動する。すなわち、コイル13に所定の電流を加えるとソレノイドバルブ12が開く。ソレノイドバルブ12は、電流駆動型である。
【0020】
説明の都合上、流路を閉じるプランジャ位置を閉位置と称し、流路を開くプランジャ位置を開位置と称する。電流が供給されていない間、プランジャはスプリングによりプランジャ閉位置に保持されている。プランジャを閉位置から開位置へ動かすには、比較的に大きな電流(第1電流)をコイル13に供給する必要がある。プランジャが開位置に移動した後は、コイル13に供給する電流を第2電流(<第1電流)に下げてもプランジャを開位置に保持することができる。
【0021】
コイル13に供給する電流は、インジェクタコントローラ15が制御する。インジェクタコントローラ15は、最初に第1電流をコイル13に供給し、プランジャが開位置へ移動したら(すなわち、ソレノイドバルブ12が開いたら)、コイル13に供給する電流を第2電流まで下げる。コイル13に供給する電流を第1電流から第2電流へ下げることで、開状態を保持するのに要する消費電力を抑えることができる。
【0022】
従来は、第1電流を供給時間は予め定められていた。説明の都合上、第1電流を供給する時間をバルブ起動時間と称する。予め定められるバルブ起動時間には、安全マージンが含まれている。すなわち、プランジャが閉位置から開位置へ移動したのちもしばらくは第1電流が供給され続ける。プランジャが開位置へ移動した後(すなわち、ソレノイドバルブ12が開いた後)に供給される第1電流は無駄である。実施例の水素インジェクタ10は、コイル13に流れる電流の変化率からソレノイドバルブ12が開くタイミングを検知する。水素インジェクタ10は、ソレノイドバルブ12が開いたことを検知したら直ちにコイル13に供給する電流を下げ、消費電力を抑える。
【0023】
インジェクタコントローラ15が、ソレノイドバルブ12の開くタイミングを検知する仕組みについて説明する。先に述べたように、水素インジェクタ10は、水素タンク4に接続されており、開くと高圧の水素ガスを減圧して噴射する。高圧の水素ガスの圧力が下がると温度が急激に下がる。従って、ソレノイドバルブ12が開いて水素ガスが減圧されると、水素ガスによってソレノイドバルブ12(コイル13を含む)が冷却される。コイル13が冷却されると電気抵抗が下がる。一定の電圧が供給されているコイル13の電気抵抗が下がるとコイル13に流れる電流が増加する。すなわち、コイル13に一定の電圧が供給されている間にソレノイドバルブ12が開くとコイル13に流れる電流の変化率(時間当たりの電流変化)が増加する。メインコントローラ5は、コイル13に流れる電流を計測する電流センサ14を備えている。インジェクタコントローラ15は、第1電流を供給している間、電流センサ14によってコイル13に流れる電流をモニタする。インジェクタコントローラ15は、コイル13に流れる電流の変化率の増加を検知したら、ソレノイドバルブ12が開いたと判断する。インジェクタコントローラ15は、第1電流を供給している間、コイル13に流れる電流の変化率が増加したらコイル13に供給する電流を第1電流から第2電流へ下げる。上記のプロセスによりインジェクタコントローラ15は、ソレノイドバルブ12が開くと直ちにコイル13に供給する電流を下げることができ、消費電力を抑えることができる。
【0024】
図2に、水素インジェクタ10の各種パラメータのタイムチャートを示す。図2のグラフ(1)は、メインコントローラ5がインジェクタコントローラ15へ送る指令を示している。時刻T1までは、ソレノイドバルブ12を閉じた状態に保持する指令が送信されている。時刻T1から時刻T5の間、ソレノイドバルブ12を開く指令が送信される。時刻T5以降は、再び、ソレノイドバルブ12を閉じた状態に保持する指令が送信される。
【0025】
図2のグラフ(2)は、インジェクタコントローラ15がコイル13に供給する電圧を示している。時刻T1にソレノイドバルブ12を開く指令を受けたインジェクタコントローラ15は、電圧をコイル13に供給する。時刻T1から時刻T4の期間、プランジャが開位置へ動くまで十分長い時間、100%のデューティで電圧が供給される。別言すれば、インジェクタコントローラ15は、時刻T1から時刻T4の間、一定の電圧を連続的にコイル13に供給する。
【0026】
図2のグラフ(3)は、コイル13に流れる電流を示しており、グラフ(4)は、プランジャの位置を示している。時刻T1にコイル13に電圧が供給される。時刻T1からコイル13に電流が流れ始める。電流は徐々に大きくなっていく。時刻T1からしばらくの間、プランジャは動かない(プランジャは閉位置にとどまっている)。
【0027】
時刻T2に、コイル13に供給される電流が第1電流I1に達する。プランジャは時刻T2に動き始め、時刻T3に開位置に達する。プランジャが動き出すとともに水素ガスがソレノイドバルブ12(すなわち水素インジェクタ10)から噴出し始める。噴出するときに水素ガスは減圧されて急激に温度が下がる。ソレノイドバルブ12のガス噴出側を冷たい水素ガスが通ることで、ソレノイドバルブ12が冷却される。同時にコイル13も冷却される。コイル13の温度が下がるとコイル13の電気抵抗も下がる。コイル13には一定の電圧が供給されているので、コイル13の電気抵抗が下がると電流が流れ易くなる。すると、コイル13に流れる電流の時間変化率が増加する。図2のグラフ(3)の右側に、時刻T2、T3付近の電流グラフの拡大図を示してある。時刻T3以前は、電流の変化率はdI1/dTである。時刻T3から時刻T4の間、コイル13が冷やされることで電流の変化率dI2/dTは増大する。すなわち、コイル13に流れる電流の変化率が増大したら、ソレノイドバルブ12が開いたと判断することができる。
【0028】
インジェクタコントローラ15は、電流センサ14によって、コイル13に流れる電流をモニタしている。インジェクタコントローラ15は、電流センサ14の計測値から電流の変化率を算出する。第1電流を供給している間に電流の変化率が増大したら(たとえば、変化率がdI1/dTからdI2/dTに増大したら)、インジェクタコントローラ15は、ソレノイドバルブ12が開いたと判断する。インジェクタコントローラ15は、時刻T4に、電流の変化率が増大したことを検知し(すなわち、ソレノイドバルブ12が開いたことを検知し)、コイル13に供給する電流を第1電流から第2電流(図2の電流I2)へ下げる。第2電流は、プランジャを開位置に保持するのに必要な電流に設定されている。インジェクタコントローラ15は、プランジャが開位置に移動したことを検知したら(すなわち、ソレノイドバルブ12が開いたことを検知したら)、直ちにコイル13に供給する電流を第1電流から第2電流へ下げる。ソレノイドバルブ12が開いたら直ちにコイル13に供給する電流を下げることで、消費電力が抑えられる。
【0029】
なお、インジェクタコントローラ15は、第2電流を電圧パルスでコイル13に供給する。第2電流を電圧パルスで供給することも、消費電力の抑制に貢献する。
【0030】
時刻T5にメインコントローラ5の指令が開から閉に変化する。指令を受けたインジェクタコントローラ15は、時刻T5にコイル13への電圧供給を停止する。時刻T5以降、コイル13に流れる電流が減少し、時刻T6にプランジャは閉位置に戻る。すなわち、時刻T6にソレノイドバルブ12が閉じる。
【0031】
図3に、図2の範囲IIIの拡大図を示す。時刻T5に電圧供給が停止する。時刻T5以降、コイル13に流れる電流は急速に減少する。時刻T6にソレノイドバルブ12が閉じると、減圧された水素ガスの噴出が止まる。減圧された水素ガスの噴出が止まることは、ソレノイドバルブ12の冷却が止まることを意味する。そうすると、コイル13の温度が上昇し、コイル13の電気抵抗が上昇する。時刻T6にコイル13を流れる電流の変化率が変化する。インジェクタコントローラ15は、ソレノイドバルブ12が閉じるときの電流の変化率もモニタしている。インジェクタコントローラ15は、コイル13への電圧供給を停止した後、電流の変化率が変化したタイミング(時刻T6)を、ソレノイドバルブ12が閉じたタイミングとして検知する。
【0032】
インジェクタコントローラ15は、最初に電流の変化率が変化した時刻T3から、次に変化率が変化した時刻T6までの間隔を、ソレノイドバルブ12が開いていた期間として特定する。ソレノイドバルブ12が開いていた期間は、燃料電池スタック3へ供給される水素ガスの容量を推定するのに利用される。
【0033】
実施例の水素インジェクタ10の特徴を以下に述べる。水素インジェクタ10はソレノイドバルブ12と、コイル13を備えている。水素インジェクタ10を制御するメインコントローラ5は、電流センサ14と、インジェクタコントローラ15を備えている。インジェクタコントローラ15がコイル13へ所定の第1電流を供給すると、ソレノイドバルブ12が開く。コイル13への電流供給を停止するとソレノイドバルブ12が閉じる。インジェクタコントローラ15は、第1電流をコイル13に供給しながらコイル13に流れる電流をモニタする。インジェクタコントローラ15は、電流の変化率が増加したらコイル13へ供給する電流を第1電流から第2電流へ下げる。
【0034】
本明細書が開示する技術は、高圧の水素ガスが減圧されると温度が急激に下がる現象を利用している。ソレノイドバルブが開くと減圧された水素ガス(温度の低下した水素ガス)が噴出する。低温の水素ガスは、ソレノイドバルブとコイルを急激に冷やす。コイルが急激に冷却されると電気抵抗が下がる。一定の電圧が供給されているコイルの温度が下がると電流の時間変化率が増加する。本明細書が開示する技術は、上記の事象を利用し、ソレノイドバルブ(水素インジェクタ)が開くタイミングを決定することができる。決定されたタイミングでコイルに供給する電流を下げることで消費電力が抑制される。
【0035】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0036】
2:燃料電池システム 3:燃料電池スタック 4:水素タンク 5:メインコントローラ 10:水素インジェクタ 12:ソレノイドバルブ 13:コイル 14:電流センサ 15:インジェクタコントローラ 21:空気パイプ 22:空気コンプレッサ 23、24:空気バルブ 31:燃料パイプ 32:主止バルブ 34:排気バルブ
図1
図2
図3