(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-12
(45)【発行日】2022-12-20
(54)【発明の名称】物品搬送設備
(51)【国際特許分類】
B65G 21/12 20060101AFI20221213BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20221213BHJP
B65G 43/08 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B65G21/12 A
B65G1/137 A
B65G43/08 B
(21)【出願番号】P 2019159677
(22)【出願日】2019-09-02
【審査請求日】2021-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】宮本 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】小名山 学
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-021066(JP,A)
【文献】特許第6423499(JP,B1)
【文献】特許第3610868(JP,B2)
【文献】特公平02-029561(JP,B2)
【文献】特公昭60-004085(JP,B2)
【文献】特開平10-147413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 21/12
B65G 1/137
B65G 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触通信を行うための電子タグが取り付けられた対象物品を搬送する装置であって、前記対象物品が載置される搬送面を備え、前記対象物品を規定の搬送方向に沿って搬送する搬送装置と、
前記対象物品が搬送される搬送経路の一部に設定された通信エリアに設置され、前記電子タグとの無線通信を行う無線通信機を備えた通信装置と、を備え、
前記搬送装置は、前記通信エリアの内部に設けられたエリア内搬送部と、前記通信エリアの外部に設けられ、前記搬送方向に沿って前記エリア内搬送部と並んで配置されたエリア外搬送部と、を備え、
前記通信装置は、前記通信エリアを囲むように設置されていると共に前記搬送経路に対応する部分に開口部が形成された遮蔽壁と、前記開口部を開閉する遮蔽ゲートと、を備え、
前記遮蔽ゲートは、前記開口部を遮蔽した閉状態で前記搬送方向における前記エリア内搬送部と前記エリア外搬送部との間の領域である隙間領域に配置され、前記開口部を開放した開状態で前記隙間領域から外れた位置に配置される扉体を備え、
前記エリア内搬送部と前記エリア外搬送部との少なくとも一方が、前記搬送方向に沿って移動可能に構成され、
前記エリア内搬送部と前記エリア外搬送部との間に前記扉体を配置可能な前記隙間領域の長さを第2間隔とし、前記エリア内搬送部と前記エリア外搬送部との間で前記対象物品を搬送する期間を搬送期間、当該搬送を行わない期間を非搬送期間として、
前記非搬送期間の少なくとも一部の期間には、前記搬送方向における前記隙間領域の長さが前記第2間隔以上とされると共に、前記遮蔽ゲートが前記閉状態とされ、
前記搬送期間には、前記遮蔽ゲートが前記開状態とされると共に、前記搬送方向における前記隙間領域の長さが前記第2間隔より短い第1間隔とされる、物品搬送設備。
【請求項2】
前記エリア外搬送部は、前記エリア内搬送部に対して前記搬送方向の上流側に並んで配置された上流側搬送部と、前記エリア内搬送部に対して前記搬送方向の下流側に並んで配置された下流側搬送部と、を含み、
前記開口部は、前記通信エリアの上流側に設けられた上流側開口部と、前記通信エリアの下流側に設けられた下流側開口部と、を含み、
前記遮蔽ゲートは、前記上流側開口部を開閉する上流側遮蔽ゲートと、前記下流側開口部を開閉する下流側遮蔽ゲートと、を含み、
前記エリア内搬送部が、前記搬送方向に沿って上流側と下流側との双方向に移動可能に構成され、前記上流側搬送部及び前記下流側搬送部の前記搬送方向の位置が固定されている、請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記上流側遮蔽ゲートが前記開状態である場合には、前記下流側遮蔽ゲートが前記閉状態とされ、前記上流側遮蔽ゲートに対応する前記隙間領域の長さが前記第1間隔とされ、
前記
下流側遮蔽ゲートが前記
開状態である場合には、前記
上流側遮蔽ゲートが前記
閉状態とされ、前記下流側遮蔽ゲートに対応する前記隙間領域の長さが前記第1間隔とされる、請求項2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記上流側遮蔽ゲート及び前記下流側遮蔽ゲートの双方が前記閉状態で、前記通信装置が前記電子タグと無線通信を行う、請求項2又は3に記載の物品搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触通信を行うための電子タグが取り付けられた対象物品を搬送する搬送装置と、当該対象物品に取付けられた電子タグとの無線通信を行う通信装置と、を備えた物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、国際公開第2006/028086号公報(特許文献1)には、物品の搬送途中において、当該物品に添付された電子タグと無線通信を行う設備が開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に付す符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に開示された設備では、同文献の
図4A~
図4Cに示すように、コンベアライン(34)と搬送機構(33)とによってコンテナ(32)を搬送している。そして、搬送機構(33)を上側及び平面視で搬送方向に直交する方向の両側から囲むように、ICタグリーダカバー部(30)が設けられている。ICタグリーダカバー部(30)の内部は、ICタグとの無線通信が行われる通信エリアとなっている。コンテナ(32)には、ICタグが添付された部品が収容されており、ICタグリーダカバー部(30)は、搬送機構(33)によって搬送されて当該ICタグリーダカバー部(30)の内部を通過するICタグと無線通信を行って当該ICタグから情報を読み取る。
【0004】
ICタグリーダカバー部(30)には、搬送方向の上流側及び下流側に設けられてコンテナ(32)が通過可能な開口部と、当該開口部の遮蔽及び開放を行う開閉シャッタ(38)と、が設けられている。開閉シャッタ(38)が閉状態とされることで、この開閉シャッタ(38)は、搬送方向におけるコンベアライン(34)と搬送機構(33)との間に配置されて上記開口部を遮蔽し、ICタグリーダカバー部(30)の内部と外部との間で電波が漏れることを抑制している。そして、開閉シャッタ(38)によって上記開口部を遮蔽するために、搬送方向におけるコンベアライン(34)と搬送機構(33)との間には、閉状態の開閉シャッタ(38)が配置される隙間領域が形成されている。このように、特許文献1に開示された設備では、ICタグリーダカバー部(30)によって囲まれた通信エリアの内部においてコンテナ(32)を搬送する搬送機構(33)と、当該通信エリアの外部においてコンテナ(32)を搬送するコンベアライン(34)とが、前記隙間領域に相当する距離分、搬送方向に離間して配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示された設備では、底面部の形状が平面的に形成された箱状のコンテナ(32)を搬送対象としているため、上記のように、コンベアライン(34)と搬送機構(33)との間に隙間領域が形成されている場合において、当該隙間領域を跨ぐようにコンテナ(32)を搬送しても、比較的安定させた状態で当該コンテナ(32)を搬送することができる。
【0007】
しかしながら、例えば袋体に収容された物や外装が柔軟性のある素材で構成された物など、柔軟性を有する物品を搬送対象とする場合には、上記隙間領域に物品の一部が落ち込む可能性があり、当該隙間領域を跨いで物品を安定的に搬送することが難しかった。また、比較的硬い外装を有する物品を搬送対象とする場合であっても、当該物品の大きさに対して上記隙間領域が大き過ぎると、上記と同様に、物品を安定的に搬送することが難しかった。
【0008】
上記実状に鑑みて、通信エリアの内部と外部との境界において物品を安定的に搬送可能な物品搬送設備の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る物品搬送設備は、
非接触通信を行うための電子タグが取り付けられた対象物品を搬送する装置であって、前記対象物品が載置される搬送面を備え、前記対象物品を規定の搬送方向に沿って搬送する搬送装置と、
前記対象物品が搬送される搬送経路の一部に設定された通信エリアに設置され、前記電子タグとの無線通信を行う無線通信機を備えた通信装置と、を備え、
前記搬送装置は、前記通信エリアの内部に設けられたエリア内搬送部と、前記通信エリアの外部に設けられ、前記搬送方向に沿って前記エリア内搬送部と並んで配置されたエリア外搬送部と、を備え、
前記通信装置は、前記通信エリアを囲むように設置されていると共に前記搬送経路に対応する部分に開口部が形成された遮蔽壁と、前記開口部を開閉する遮蔽ゲートと、を備え、
前記遮蔽ゲートは、前記開口部を遮蔽した閉状態で前記搬送方向における前記エリア内搬送部と前記エリア外搬送部との間の領域である隙間領域に配置され、前記開口部を開放した開状態で前記隙間領域から外れた位置に配置される扉体を備え、
前記エリア内搬送部と前記エリア外搬送部との少なくとも一方が、前記搬送方向に沿って移動可能に構成され、
前記エリア内搬送部と前記エリア外搬送部との間に前記扉体を配置可能な前記隙間領域の長さを第2間隔とし、前記エリア内搬送部と前記エリア外搬送部との間で前記対象物品を搬送する期間を搬送期間、当該搬送を行わない期間を非搬送期間として、
前記非搬送期間の少なくとも一部の期間には、前記搬送方向における前記隙間領域の長さが前記第2間隔以上とされると共に、前記遮蔽ゲートが前記閉状態とされ、
前記搬送期間には、前記遮蔽ゲートが前記開状態とされると共に、前記搬送方向における前記隙間領域の長さが前記第2間隔より短い第1間隔とされる。
【0010】
本構成によれば、エリア内搬送部とエリア外搬送部との間で対象物品を搬送する搬送期間には、搬送方向におけるエリア内搬送部とエリア外搬送部との間の領域である隙間領域の長さが、扉体を配置可能な第2間隔よりも短い第1間隔とされる。そのため、柔軟性を有する物品を対象物品とする場合や、物品の大きさに対して第2間隔が長い場合であっても、当該第2間隔より短い第1間隔となった隙間領域を跨いで、エリア内搬送部とエリア外搬送部との間で対象物品を安定的に搬送することが可能となる。従って、通信エリアの内部と外部との境界において物品を安定的に搬送することができる。また、本構成によれば、非搬送期間の少なくとも一部の期間には、搬送方向における隙間領域の長さが第2間隔以上とされると共に、遮蔽ゲートが閉状態とされる。そのため、通信エリアの内部と外部との間で電波が漏れ難い状態となる期間を確保することができ、当該期間内に通信エリアの内部において通信装置と電子タグとの通信を良好に行うことができる。
【0011】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図4】通信エリアの外部から内部へ対象物品を搬送する場合の動作図
【
図5】通信エリアの内部において対象物品と通信を行う場合の動作図
【
図6】通信エリアの内部から外部へ対象物品を搬送する場合の動作図
【
図8】物品搬送設備で行われる制御の手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔物品搬送設備の概略構成〕
物品搬送設備の実施形態について図面を参照して例示的に説明する。
【0014】
図1~
図3に示すように、物品搬送設備100は、非接触通信を行うための電子タグ9aが取り付けられた対象物品9を規定の搬送方向Xに沿って搬送する搬送装置1と、電子タグ9aとの無線通信を行う無線通信機20を備えた通信装置2と、を備えている。
【0015】
通信装置2は、対象物品9が搬送される搬送経路Rの一部に設定された通信エリア2Aに設置されている。搬送装置1は、通信エリア2Aの内部に設けられたエリア内搬送部10と、通信エリア2Aの外部に設けられたエリア外搬送部11と、を備えている。エリア内搬送部10は、通信エリア2Aの内部において対象物品9を搬送し、エリア外搬送部11は、通信エリア2Aの外部において対象物品9を搬送する。物品搬送設備100では、通信エリア2Aの内部において搬送装置1によって対象物品9が搬送されている途中で、当該対象物品9に取り付けられた電子タグ9aとの間で、通信装置2により通信を行う。なお、
図1及び
図2は、対象物品9がエリア外搬送部11によって搬送されている状態を示している。
図3は、対象物品9がエリア内搬送部10によって搬送されると共に、当該対象物品9に取り付けられた電子タグ9aと通信装置2との間で通信が行われている状態を示している。
【0016】
以下では、搬送方向Xにおける上流側を搬送方向上流側Xuとし、下流側を搬送方向下流側Xdとする。搬送装置1によって搬送される対象物品9は、搬送方向上流側Xuから搬送方向下流側Xdに向かって移動する。また、以下では、平面視で搬送方向Xに直交する方向を幅方向Yとする。
【0017】
本実施形態では、通信装置2は、近距離無線通信によって電子タグ9aとの通信を行う。具体的には、通信装置2は、RFID(Radio Frequency Identification)システムを用いて電子タグ9aとの通信を行う。本例では、電子タグ9aは、RFタグ又はICタグとして構成されており、対象物品9の商品の名称、種類、価格、製造年月日、搬送元、搬送先など、対象物品9に関する各種の属性情報を電子的に記憶する記憶媒体として機能する。そして、本実施形態では、通信装置2は、近距離無線通信によって電子タグ9aに記憶された情報の読み取りを行う。なお、通信装置2が、電子タグ9aに記憶される情報の入力(書き込み)、消去、或いは、書き換え等を行う構成であっても良い。
【0018】
対象物品9は、搬送装置1による搬送対象となっている物品である。このような物品には、例えば、部品や原材料、生産途中である仕掛品、生産が完了した完成品、或いは、これらが容器や袋体等に収容された状態のものなどが含まれる。本例では、対象物品9は、完成品としての商品が包装としての袋体に収容されてなる物品である。図示の例では、対象物品9は、商品としての衣類が透明の包装袋に収容されて構成されている。但し、上記のような例に限定されることなく、対象物品9は、箱状の容器に内容物が収容されて構成された物品であっても良い。
【0019】
本実施形態に係る物品搬送設備100では、搬送装置1によって対象物品9を搬送すると共に、対象物品9の搬送途中において当該対象物品9に取り付けられた電子タグ9aから属性情報を読み取る。そして物品搬送設備100では、例えば、複数の対象物品9のそれぞれから読み取られた属性情報に応じて、複数の対象物品9を仕分ける等の工程を行う。詳細な図示は省略するが、搬送装置1は、電子タグ9aの属性情報が読み取られた対象物品9を、規定の搬送先へ搬送する。以下、物品搬送設備100の詳細な構成について説明する。
【0020】
〔通信装置〕
図1~
図3に示すように、通信装置2は、搬送経路Rの一部に設定された通信エリア2Aに設置されている。通信装置2は、無線通信機20によって、対象物品9に取り付けられた電子タグ9aとの間で無線通信を行う。本実施形態では、無線通信機20は、電子タグ9aの読み取り装置として構成され、電子タグ9aから属性情報を読み取る。無線通信機20は、不図示のアンテナを備えており、電子タグ9aに備えられた不図示のアンテナと電波によって通信する。
【0021】
本例では、電子タグ9aは、バッテリを有しないパッシブ型のRFタグとして構成されている。そして、電子タグ9aは、無線通信機20のアンテナから電波を受信することにより起電力を発生させる。これにより、電子タグ9aは、属性情報が暗号化された信号を当該無線通信機20のアンテナに対して発信する。無線通信機20は、電子タグ9aからの信号を受信することにより属性情報を読み取る。但し、このような構成に限定されることなく、電子タグ9aは、バッテリを有するアクティブ型のRFタグとして構成されていても良い。この場合、電子タグ9aは、無線通信機20に向けて、自主的に信号を発信する。
【0022】
また、通信装置2は、通信エリア2Aを囲むように設置されていると共に搬送経路Rに対応する部分に開口部211が形成された遮蔽壁21と、開口部211を開閉する遮蔽ゲート22と、を備えている。
【0023】
遮蔽壁21は、電波を透過し難い素材、例えば金属製の素材を用いて構成される。本実施形態では、遮蔽壁21は、通信エリア2Aの上側に配置された天壁部21tと、天壁部21tの周縁から下方に向かって延びる側壁部21sと、を備えている。側壁部21sは、通信エリア2Aの幅方向Yの両側および搬送方向Xの両側に設けられている。本例では、側壁部21sは、天壁部21tから床面Fに亘って延びている。これにより、通信エリア2Aの内部と外部との間で電波が漏れ難くすることができる。
【0024】
本実施形態では、上述の開口部211は、搬送方向Xの両側に設けられた側壁部21sに形成されている。すなわち、開口部211は、通信エリア2Aの搬送方向上流側Xuに設けられた上流側開口部211Uと、通信エリア2Aの搬送方向下流側Xdに設けられた下流側開口部211Dと、を含んでいる。上流側開口部211Uは、通信エリア2Aの搬送方向上流側Xuに配置された側壁部21sに形成されており、通信エリア2Aの搬送方向上流側Xuにおいて通信エリア2Aの内部と外部とを連通している。下流側開口部211Dは、通信エリア2Aの搬送方向下流側Xdに配置された側壁部21sに形成されており、通信エリア2Aの搬送方向下流側Xdにおいて通信エリア2Aの内部と外部とを連通している。なお、以下において、上流側開口部211Uと下流側開口部211Dとを特に区別して説明する必要がない場合には、これらをまとめて開口部211と称する。
【0025】
遮蔽ゲート22は、開口部211を遮蔽した閉状態で搬送方向Xにおけるエリア内搬送部10とエリア外搬送部11との間の領域である隙間領域Gに配置され、開口部211を開放した開状態で隙間領域Gから外れた位置に配置される扉体221を備えている。
【0026】
扉体221は、遮蔽壁21と同様に、電波を透過し難い素材、例えば金属製の素材を用いて構成される。扉体221は、板状に形成されており、板の厚み方向が搬送方向Xに沿うように配置される。本実施形態では、扉体221は、幅方向Yに沿って移動するように構成されている。より詳細には、扉体221は、幅方向Yに並ぶ一対の板状部材により構成されており、一対の板状部材が幅方向Yに沿って互いに接近および離間するように移動する。本実施形態では、扉体221における一対の板状部材が幅方向Yに沿って離間することで、扉体221は隙間領域Gから外れた位置に配置される。これにより遮蔽ゲート22が開状態となる。また、扉体221における一対の板状部材が幅方向Yに沿って接近することで、扉体221は隙間領域Gに配置される。そして、扉体221における一対の板状部材が互いに当接することにより、遮蔽ゲート22が閉状態となる。
【0027】
本実施形態では、遮蔽ゲート22は、上流側開口部211Uを開閉する上流側遮蔽ゲート22Uと、下流側開口部211Dを開閉する下流側遮蔽ゲート22Dと、を含んでいる。本例では、上流側遮蔽ゲート22Uと下流側遮蔽ゲート22Dとは、互いに同じ構造となっている。なお、以下において、上流側遮蔽ゲート22Uと下流側遮蔽ゲート22Dとを特に区別して説明する必要がない場合には、これらをまとめて遮蔽ゲート22と称する。
【0028】
上述の扉体221には、上流側遮蔽ゲート22Uが備える上流側扉体221Uと、下流側遮蔽ゲート22Dが備える下流側扉体221Dと、が含まれる。上流側扉体221Uは、上流側開口部211Uが遮蔽された閉状態で通信エリア2Aの搬送方向上流側Xuの隙間領域Gに配置され、上流側開口部211Uが開放された開状態で通信エリア2Aの搬送方向上流側Xuの隙間領域Gから外れた位置に配置される。下流側扉体221Dは、下流側開口部211Dが遮蔽された閉状態で通信エリア2Aの搬送方向下流側Xdの隙間領域Gに配置され、下流側開口部211Dが開放された開状態で通信エリア2Aの搬送方向下流側Xdの隙間領域Gから外れた位置に配置される。なお、以下において、上流側扉体221Uと下流側扉体221Dとを特に区別して説明する必要がない場合には、これらをまとめて扉体221と称する。
【0029】
〔搬送装置〕
搬送装置1は、対象物品9が載置される搬送面Ftを備えており、対象物品9を規定の搬送方向Xに沿って搬送する。対象物品9は、搬送面Ftに載置された状態で、搬送装置1によって搬送される。
【0030】
上述のように、搬送装置1は、通信エリア2Aの内部に設けられたエリア内搬送部10と、通信エリア2Aの外部に設けられ、搬送方向Xに沿ってエリア内搬送部10と並んで配置されたエリア外搬送部11と、を備えている。
【0031】
エリア内搬送部10は、対象物品9を搬送可能な搬送機構を備えている。本実施形態では、エリア内搬送部10は、一対のプーリ10bと、当該一対のプーリ10bに巻回されたベルト10aとを備えており、これらが搬送機構を構成している。すなわち本例では、エリア内搬送部10は、ベルトコンベアにより構成されている。
【0032】
エリア外搬送部11は、対象物品9を搬送可能な搬送機構を備えている。本実施形態では、エリア外搬送部11は、エリア内搬送部10に対して搬送方向上流側Xuに並んで配置された上流側搬送部11Uと、エリア内搬送部10に対して搬送方向下流側Xdに並んで配置された下流側搬送部11Dと、を含んでいる。上流側搬送部11U及び下流側搬送部11Dは、それぞれ、一対のプーリ(11Ub,11Db)と、当該一対のプーリ(11Ub,11Db)に巻回されたベルト(11Ua,11Da)とを備えている。すなわち本例では、上流側搬送部11Uと下流側搬送部11Dとの双方は、ベルトコンベアにより構成されている。上流側搬送部11U及び下流側搬送部11Dのそれぞれにおいて、一対のプーリ(11Ub,11Db)とベルト(11Ua,11Da)とが、搬送機構を構成している。このように、エリア内搬送部10、上流側搬送部11U、及び下流側搬送部11Dは、互いに独立して動作可能な搬送機構をそれぞれ備えている。対象物品9は、上流側搬送部11Uからエリア内搬送部10に搬送された後、エリア内搬送部10から下流側搬送部11Dに搬送される。なお、以下において、上流側搬送部11Uと下流側搬送部11Dとを特に区別して説明する必要がない場合には、これらをまとめてエリア外搬送部11と称する。
【0033】
ここで、上述のように、エリア内搬送部10とエリア外搬送部11との搬送方向Xの間には、隙間領域Gが形成される。本例では、エリア内搬送部10と上流側搬送部11Uとの間、及び、エリア内搬送部10と下流側搬送部11Dとの間のそれぞれに、隙間領域Gが形成されている。対象物品9が、例えば、袋体に収容された収容された物や外装が柔軟性のある素材で構成された物など、柔軟性を有する物品である場合には、搬送途中で対象物品9が隙間領域Gに落ち込む可能性がある。具体的には、当該対象物品9が隙間領域Gを通過する際に、自重で下方に屈曲するように変形し、隙間領域Gに落ち込む場合が有り得る。すなわち、通信エリア2Aの内部と外部との境界において、隙間領域Gを跨いで物品を安定的に搬送することができない場合がある。しかしながら、本実施形態に係る物品搬送設備100では、このような柔軟性を有する物品を対象物品9とする場合であっても、通信エリア2Aの内部と外部との境界において対象物品9を安定的に搬送可能に構成されている。以下、詳細に説明する。
【0034】
この物品搬送設備100では、エリア内搬送部10とエリア外搬送部11との少なくとも一方が、搬送方向Xに沿って移動可能に構成されている。これにより、エリア内搬送部10とエリア外搬送部11とを搬送方向Xに相対的に接近させることができ、隙間領域Gを一時的に小さくすることができる。本実施形態では、エリア内搬送部10が、搬送方向Xに沿って搬送方向上流側Xuと搬送方向下流側Xdとの双方向に移動可能に構成されている。これにより、通信エリア2Aにおける搬送方向上流側Xuおよび搬送方向下流側Xdのそれぞれにおいて、必要に応じて隙間領域Gを小さくすることができる。
【0035】
図3に示すように、本実施形態では、エリア内搬送部10は、搬送機構(本例ではベルト10a及び一対のプーリ10b)を支持すると共に搬送方向Xに沿って移動する可動支持部10cと、可動支持部10cを搬送方向Xに沿って案内するガイド部10dと、を備えている。図示の例では、ガイド部10dは、搬送方向Xに沿う一対のレールにより構成されている(
図1も参照)。
【0036】
また本実施形態では、エリア外搬送部11の搬送方向Xの位置は固定されている。より具体的には、上流側搬送部11U及び下流側搬送部11Dの搬送方向Xの位置が固定されている。
図3に示すように、上流側搬送部11Uは、搬送機構(本例ではベルト11Ua及び一対のプーリ11Ub)を支持すると共に、床面Fに固定された上流側固定支持部11Ucを備えている。また、下流側搬送部11Dは、搬送機構(本例ではベルト11Da及び一対のプーリ11Ub)を支持すると共に、床面Fに固定された下流側固定支持部11Dcを備えている。図示の例では、上流側固定支持部11Uc、及び、下流側固定支持部11Dcは、例えば支柱により構成されている。
【0037】
上述のように、本実施形態では、エリア内搬送部10が搬送方向上流側Xuと搬送方向下流側Xdとの双方向に移動可能となっている。本例では、エリア内搬送部10は、搬送方向Xに沿って移動することで、基準位置Psと、基準位置Psよりも搬送方向上流側Xuに位置する上流搬送位置Puと、基準位置Psよりも搬送方向下流側Xdに位置する下流搬送位置Pdとに、位置変更可能に構成されている。
【0038】
搬送装置1は、エリア内搬送部10が上流搬送位置Pu又は下流搬送位置Pdに位置した状態で、エリア内搬送部10とエリア外搬送部11との間で対象物品9を搬送する。なお以下では、エリア内搬送部10とエリア外搬送部11との間で対象物品9を搬送する期間を搬送期間Ttとし、当該搬送を行わない期間を非搬送期間Tnとする。搬送期間Ttと非搬送期間Tnとは、互いに異なる場所で同時期に起こり得る概念である。例えば、エリア内搬送部10と上流側搬送部11Uとの間で対象物品9の搬送が行われている搬送期間Ttでは、エリア内搬送部10と下流側搬送部11Dとの間では、対象物品9の搬送が行われない非搬送期間Tnとなる。
【0039】
ここで、エリア内搬送部10とエリア外搬送部11との間に扉体221を配置可能な隙間領域Gの長さを第2間隔L2とする。そして、第2間隔L2よりも短く、エリア内搬送部10とエリア外搬送部11との間で適切に対象物品9を搬送可能な隙間領域Gの長さを第1間隔L1とする。本例では、第1間隔L1は、扉体221の厚み(搬送方向Xにおける長さ)よりも短い間隔とされる。第1間隔L1は、例えば、エリア内搬送部10の搬送機構とエリア外搬送部11の搬送機構との干渉がない最小の間隔とされていると好適である。
【0040】
図1~
図3、及び
図5に示すように、本実施形態では、エリア内搬送部10が基準位置Psに位置した状態で、エリア内搬送部10とエリア外搬送部11との間の隙間領域Gの長さが第2間隔L2とされる。本例では、エリア内搬送部10が基準位置Psに位置した状態で、エリア内搬送部10と上流側搬送部11Uとの間、及び、エリア内搬送部10と下流側搬送部11Dとの間の双方において、隙間領域Gの長さが第2間隔L2とされる。
【0041】
また、
図4に示すように、エリア内搬送部10が上流搬送位置Puに位置した状態で、エリア内搬送部10と上流側搬送部11Uとの間の隙間領域Gの長さが第1間隔L1とされる。この状態では、エリア内搬送部10と下流側搬送部11Dとの間の隙間領域Gの長さは第2間隔L2以上、ここでは、第2間隔L2よりも長い第3間隔L3とされる。
【0042】
一方、
図6に示すように、エリア内搬送部10が下流搬送位置Pdに位置した状態で、エリア内搬送部10と下流側搬送部11Dとの間の隙間領域Gの長さが第1間隔L1とされる。この状態では、エリア内搬送部10と上流側搬送部11Uとの間の隙間領域Gの長さは第2間隔L2以上、ここでは、第2間隔L2よりも長い第3間隔L3とされる。
【0043】
図4~
図6に示すように、非搬送期間Tnの少なくとも一部の期間には、搬送方向Xにおける隙間領域Gの長さが第2間隔L2以上とされると共に、遮蔽ゲート22が閉状態とされる。そして、搬送期間Ttには、遮蔽ゲート22が開状態とされると共に、搬送方向Xにおける隙間領域Gの長さが第2間隔L2より短い第1間隔L1とされる。これにより、柔軟性を有する物品が対象物品9である場合にも、隙間領域Gを跨ぐようにしてエリア内搬送部10とエリア外搬送部11との間で対象物品9を搬送することが可能となる。従って、通信エリア2Aの内部と外部との境界において対象物品9を安定的に搬送することができる。また、非搬送期間Tnの少なくとも一部の期間には、搬送方向Xにおける隙間領域Gの長さが第2間隔L2以上とされると共に、遮蔽ゲート22が閉状態とされるため、通信エリア2Aの内部と外部との間で電波が漏れ難い状態となる期間を確保することができ、当該期間内に通信エリア2Aの内部において通信装置2と電子タグ9aとの通信を良好に行うことができる。
【0044】
図4に示す状態では、エリア内搬送部10と上流側搬送部11Uとの間において搬送期間Ttとなっており、上流側遮蔽ゲート22Uが開状態とされると共に隙間領域Gの長さが第1間隔L1とされている。また、エリア内搬送部10と下流側搬送部11Dとの間において非搬送期間Tnとなっており、隙間領域Gの長さが第3間隔L3とされていると共に下流側遮蔽ゲート22Dが閉状態とされている。すなわち本例では、上流側遮蔽ゲート22Uが開状態である場合には、下流側遮蔽ゲート22Dが閉状態とされ、上流側遮蔽ゲート22Uに対応する隙間領域Gの長さが第1間隔L1とされる。これにより、エリア内搬送部10と上流側搬送部11Uとの間で対象物品9を安定的に搬送することができる。
【0045】
次に、
図5に示すように、本実施形態では、上流側遮蔽ゲート22U及び下流側遮蔽ゲート22Dの双方が閉状態で、通信装置2が電子タグ9aと無線通信を行う。
図5に示す例では、エリア内搬送部10と上流側搬送部11Uとの間、及び、エリア内搬送部10と下流側搬送部11Dとの間の双方において、非搬送期間Tnとなっており、隙間領域Gが第2間隔L2とされると共に上流側遮蔽ゲート22U及び下流側遮蔽ゲート22Dが閉状態とされている。これにより、通信エリア2Aの内部と外部との間で電波が漏れ難い状態とすることができ、通信エリア2Aの内部において通信装置2と電子タグ9aとの通信を良好に行える。
【0046】
その後、
図6に示す状態となる。この状態では、エリア内搬送部10と下流側搬送部11Dとの間において搬送期間Ttとなっており、下流側遮蔽ゲート22Dが開状態とされると共に隙間領域Gの長さが第1間隔L1とされている。また、エリア内搬送部10と上流側搬送部11Uとの間において非搬送期間Tnとなっており、隙間領域Gの長さが第3間隔L3とされていると共に上流側遮蔽ゲート22Uが閉状態とされている。すなわち本例では、上流側遮蔽ゲート22Uが閉状態である場合には、下流側遮蔽ゲート22Dが開状態とされ、下流側遮蔽ゲート22Dに対応する隙間領域Gの長さが第1間隔L1とされる。これにより、エリア内搬送部10と下流側搬送部11Dとの間で対象物品9を安定的に搬送することができる。
【0047】
〔制御構成〕
次に、物品搬送設備100の制御構成について説明する。
図7に示すように、物品搬送設備100は、制御装置3を備えている。制御装置3は、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各機能が実現される。
【0048】
制御装置3は、搬送装置1及び通信装置2のそれぞれと、有線又は無線によって相互に通信可能に構成されている。また、本実施形態では、物品搬送設備100は、設備の動作状態を検知するセンサSeを備えている。そして、制御装置3は、センサSeによって検知された情報を取得可能に構成されている。
【0049】
本実施形態では、制御装置3は、エリア内搬送部10と、上流側搬送部11Uと、下流側搬送部11Dとを、個別に制御する。エリア内搬送部10と上流側搬送部11Uと下流側搬送部11Dとのそれぞれは、独自に不図示の制御部を備えており、各搬送部における細かな制御はそれぞれの制御部によって行われる。
【0050】
本実施形態では、エリア内搬送部10は、対象物品9を搬送方向Xに沿って搬送するための搬送機構(本例では、ベルト10a及び一対のプーリ10b)を駆動するエリア内搬送駆動部10mtと、当該搬送機構を搬送方向Xに沿ってスライド移動させるスライド駆動部10msと、を備えている。また、上流側搬送部11Uは、対象物品9を搬送方向Xに沿って搬送するための搬送機構(本例では、ベルト11Ua及び一対のプーリ11Ub)を駆動する上流側搬送駆動部11Umを備えている。下流側搬送部11Dは、対象物品9を搬送方向Xに沿って搬送するための搬送機構(本例では、ベルト11Da及び一対のプーリ11Db)を駆動する下流側搬送駆動部11Dmを備えている。これらの各駆動部は、例えば、モータにより構成される。
【0051】
本実施形態では、制御装置3は、上流側遮蔽ゲート22Uと下流側遮蔽ゲート22Dとを個別に制御する。上流側遮蔽ゲート22Uと下流側遮蔽ゲート22Dとのそれぞれは、独自に不図示の制御部を備えており、各ゲートにおける細かな制御はそれぞれの制御部によって行われる。本例では、上流側遮蔽ゲート22Uは、上流側扉体221Uを駆動する上流側ゲート駆動部22Umを備えている。また、下流側遮蔽ゲート22Dは、下流側扉体221Dを駆動する下流側ゲート駆動部22Dmを備えている。
【0052】
本実施形態では、センサSeには、通信エリア2Aよりも搬送方向上流側Xuにおいて対象物品9の位置を検知する上流側位置センサSe1と、通信エリア2Aよりも搬送方向下流側Xdにおいて対象物品9の位置を検知する下流側位置センサSe2と、上流側遮蔽ゲート22Uの開閉状態を検知する上流側ゲートセンサSe3と、下流側遮蔽ゲート22Dの開閉状態を検知する下流側ゲートセンサSe4と、上流側ゲート通過センサSe5と、下流側ゲート通過センサSe6と、が含まれる。
【0053】
図1~
図3に示すように、上流側位置センサSe1は、上流側搬送部11Uに対応して設けられており、上流側搬送部11Uによって搬送される対象物品9が規定の位置に到達したことを検知する。下流側位置センサSe2は、下流側搬送部11Dに対応して設けられており、下流側搬送部11Dによって搬送される対象物品9が規定の位置に到達したことを検知する。上流側位置センサSe1及び下流側位置センサSe2は、例えば、光を照射すると共に、当該照射した光が遮断されることによって対象物品9を検知する光センサにより構成されている。但し、このような構成に限定されることなく、上流側位置センサSe1及び下流側位置センサSe2は、例えばリミットスイッチを用いる等、搬送面Ft上を搬送される対象物品9を検知可能なその他の公知の手段を用いて構成されていても良い。
【0054】
図3に示すように、上流側ゲートセンサSe3は、上流側遮蔽ゲート22Uに対応して設けられており、上流側扉体221Uを検知する。本例では、上流側ゲートセンサSe3は、上流側扉体221Uが、開状態に対応する位置にあること、及び閉状態に対応する位置にあることをそれぞれ検知する。下流側ゲートセンサSe4は、下流側遮蔽ゲート22Dに対応して設けられており、下流側扉体221Dを検知する。本例では、下流側ゲートセンサSe4は、下流側扉体221Dが、開状態に対応する位置にあること、及び閉状態に対応する位置にあることをそれぞれ検知する。上流側ゲートセンサSe3及び下流側ゲートセンサSe4は、例えば、光を照射すると共に、当該照射した光が遮断されることによって扉体221及び対象物品9を検知する光センサにより構成されている。但し、このような構成に限定されることなく、上流側ゲートセンサSe3及び下流側ゲートセンサSe4は、例えばリミットスイッチを用いる等、開口部211に沿って移動する扉体221及び開口部211を通過する対象物品9を検知可能なその他の公知の手段を用いて構成されていても良い。
【0055】
上流側ゲート通過センサSe5は、上流側開口部211Uに対応して設けられており、対象物品9が上流側開口部211Uを通過したことを検知する。下流側ゲート通過センサSe6は、下流側開口部211Dに対応して設けられており、対象物品9が下流側開口部211Dを通過したことを検知する。上流側ゲート通過センサSe5及び下流側ゲート通過センサSe6は、例えば、光を照射すると共に、当該照射した光が遮断される状態となった後に遮断されなくなったことによって対象物品9が通過したことを検知する光センサにより構成されている。但し、このような構成に限定されることなく、上流側ゲート通過センサSe5及び下流側ゲート通過センサSe6は、例えばリミットスイッチを用いる等、搬送面Ft上を搬送される対象物品9を検知可能なその他の公知の手段を用いて構成されていても良い。
【0056】
本実施形態では、制御装置3は、上流側位置センサSe1によって対象物品9が検知された場合に、上流側遮蔽ゲート22Uを開状態とし、エリア内搬送部10を上流搬送位置Puに移動させる(
図4参照)。これにより、上流側搬送部11Uとエリア内搬送部10との間で対象物品9を搬送することができる状態となる。
【0057】
また、本実施形態では、制御装置3は、上流側ゲートセンサSe3によって対象物品9が上流側開口部211Uを通過したことが検知された場合に、エリア内搬送部10を基準位置Psに移動させると共に上流側遮蔽ゲート22Uを閉状態とする(
図5参照)。そして、制御装置3は、上流側ゲートセンサSe3によって上流側遮蔽ゲート22Uが閉状態であることが検知されると共に、下流側ゲートセンサSe4によって下流側遮蔽ゲート22Dが閉状態であることが検知されていることを条件として、通信装置2によって電子タグ9aと通信を行い、当該電子タグ9aから属性情報を読み取る。これにより、通信エリア2Aの内部と外部とが遮断された状態で、通信装置2と電子タグ9aとの通信を良好に行うことができる。
【0058】
また、本実施形態では、制御装置3は、通信装置2と電子タグ9aとの間で通信を行った後、下流側遮蔽ゲート22Dを開状態とすると共にエリア内搬送部10を下流搬送位置Pdに移動させる(
図6参照)。これにより、エリア内搬送部10と下流側搬送部11Dとの間で対象物品9を搬送することができる状態となる。
【0059】
以下、物品搬送設備100が行う制御の手順について、
図8を参照して説明する。
【0060】
物品搬送設備100では、まず、対象物品9が上流側搬送部11Uに到達したか否かを判断する(ステップ#1)。この判断は、上流側位置センサSe1による検知結果に基づいて行われる。対象物品9が上流側搬送部11Uに到達していないと判断された場合には(ステップ#1:No)、ステップ#1を繰り返し実行する。対象物品9が上流側搬送部11Uに到達したと判断された場合には(ステップ#1:Yes)、上流側遮蔽ゲート22Uを開状態とすると共に(ステップ#2)、エリア内搬送部10を上流搬送位置Puに位置させる(ステップ#3)。
【0061】
その後、対象物品9が上流側開口部211Uを通過して通信エリア2Aの内部に到達したか否かを判断する(ステップ#4)。この判断は、上流側ゲート通過センサSe5による検知結果に基づいて行われる。対象物品9が通信エリア2Aの内部に到達していないと判断された場合には(ステップ#4:No)、ステップ#4を繰り返し実行する。対象物品9が通信エリア2Aの内部に到達したと判断された場合には(ステップ#4:Yes)、エリア内搬送部10を基準位置Psに移動させると共に(ステップ#5)、上流側遮蔽ゲート22Uを閉状態とする(ステップ#6)。次に、もう一方側の遮蔽ゲート22である下流側遮蔽ゲート22Dが閉状態となっているか否かを判断する(ステップ#7)。下流側遮蔽ゲート22Dが閉状態となっていないと判断された場合、すなわち、開状態となっていると判断された場合には(ステップ#7:No)、下流側遮蔽ゲート22Dを閉状態とする(ステップ#8)。
【0062】
上流側遮蔽ゲート22U及び下流側遮蔽ゲート22Dの双方が閉状態であると判断された場合には、通信装置2によって、対象物品9に取り付けられた電子タグ9aとの通信を行う(ステップ#9)。これによって、電子タグ9aから属性情報を読み取る。通信が完了した後は、下流側遮蔽ゲート22Dを開状態とすると共に(ステップ#10)、エリア内搬送部10を下流搬送位置Pdに位置させる(ステップ#11)。
【0063】
その後、対象物品9が下流側開口部211Dを通過して下流側搬送部11Dに到達したか否かを判断する(ステップ#12)。この判断は、下流側ゲート通過センサSe6及び下流側位置センサSe2の少なくとも一方による検知結果に基づいて行われる。対象物品9が下流側搬送部11Dに到達していないと判断された場合には(ステップ#12:No)、ステップ#12を繰り返し実行する。対象物品9が下流側搬送部11Dに到達したと判断された場合には(ステップ#12:Yes)、エリア内搬送部10を基準位置Psに位置させると共に(ステップ#13)、下流側遮蔽ゲート22Dを閉状態とする(ステップ#14)。
【0064】
〔その他の実施形態〕
次に、物品搬送設備のその他の実施形態について説明する。
【0065】
(1)上記の実施形態では、エリア内搬送部10が搬送方向Xに沿って移動可能に構成され、エリア外搬送部11の搬送方向Xの位置が固定されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、エリア外搬送部11が、エリア内搬送部10に代えて、或いは、エリア内搬送部10と共に、搬送方向Xに沿って移動可能に構成されていても良い。例えば、エリア内搬送部10の搬送方向Xの位置が固定され、エリア外搬送部11が搬送方向Xに沿って移動可能に構成されている場合、搬送期間Ttには、遮蔽ゲート22が開状態とされると共に、エリア外搬送部11がエリア内搬送部10に接近する方向に移動して、エリア外搬送部11とエリア内搬送部10との搬送方向Xにおける隙間領域Gの長さが第2間隔L2より短い第1間隔L1とされる。また例えば、エリア内搬送部10とエリア外搬送部11との双方が搬送方向Xに沿って移動可能に構成されている場合、搬送期間Ttには、遮蔽ゲート22が開状態とされると共に、エリア外搬送部11とエリア内搬送部10との双方が互いに接近する方向に移動して、エリア外搬送部11とエリア内搬送部10との搬送方向Xにおける隙間領域Gの長さが第2間隔L2より短い第1間隔L1とされる。
【0066】
(2)上記の実施形態では、エリア内搬送部10及びエリア外搬送部11の双方が、ベルトコンベアにより構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、これらの搬送部は、その他の公知の搬送手段を用いて構成されていても良い。例えば、エリア内搬送部10及びエリア外搬送部11のうち少なくとも一方が、ローラコンベアにより構成されていても良い。
【0067】
(3)上記の実施形態では、扉体221が、幅方向Yに沿って移動するように構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、扉体221は、幅方向Yとは異なる方向、例えば、上下方向に沿って移動するように構成されていても良く、或いは、ヒンジを用いて揺動するように構成されていても良い。また、上記の実施形態では、扉体221が、幅方向Yに並ぶ一対の板状部材により構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、扉体221は、例えば、1つの板状部材により構成されていても良い。
【0068】
(4)上記の実施形態では、上流側遮蔽ゲート22Uと下流側遮蔽ゲート22Dとは、互いに同構造となっている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、上流側遮蔽ゲート22Uと下流側遮蔽ゲート22Dとは、互いに異なる構造となっていても良い。例えば、上流側遮蔽ゲート22Uと下流側遮蔽ゲート22Dとのいずれか一方が、幅方向Yに沿って移動する扉体221を備えて構成され、他方が、上下方向に沿って移動する扉体221を備えて構成されていても良い。
【0069】
(5)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0070】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した物品搬送設備について説明する。
【0071】
物品搬送設備は、
非接触通信を行うための電子タグが取り付けられた対象物品を搬送する装置であって、前記対象物品が載置される搬送面を備え、前記対象物品を規定の搬送方向に沿って搬送する搬送装置と、
前記対象物品が搬送される搬送経路の一部に設定された通信エリアに設置され、前記電子タグとの無線通信を行う無線通信機を備えた通信装置と、を備え、
前記搬送装置は、前記通信エリアの内部に設けられたエリア内搬送部と、前記通信エリアの外部に設けられ、前記搬送方向に沿って前記エリア内搬送部と並んで配置されたエリア外搬送部と、を備え、
前記通信装置は、前記通信エリアを囲むように設置されていると共に前記搬送経路に対応する部分に開口部が形成された遮蔽壁と、前記開口部を開閉する遮蔽ゲートと、を備え、
前記遮蔽ゲートは、前記開口部を遮蔽した閉状態で前記搬送方向における前記エリア内搬送部と前記エリア外搬送部との間の領域である隙間領域に配置され、前記開口部を開放した開状態で前記隙間領域から外れた位置に配置される扉体を備え、
前記エリア内搬送部と前記エリア外搬送部との少なくとも一方が、前記搬送方向に沿って移動可能に構成され、
前記エリア内搬送部と前記エリア外搬送部との間に前記扉体を配置可能な前記隙間領域の長さを第2間隔とし、前記エリア内搬送部と前記エリア外搬送部との間で前記対象物品を搬送する期間を搬送期間、当該搬送を行わない期間を非搬送期間として、
前記非搬送期間の少なくとも一部の期間には、前記搬送方向における前記隙間領域の長さが前記第2間隔以上とされると共に、前記遮蔽ゲートが前記閉状態とされ、
前記搬送期間には、前記遮蔽ゲートが前記開状態とされると共に、前記搬送方向における前記隙間領域の長さが前記第2間隔より短い第1間隔とされる。
【0072】
本構成によれば、エリア内搬送部とエリア外搬送部との間で対象物品を搬送する搬送期間には、搬送方向におけるエリア内搬送部とエリア外搬送部との間の領域である隙間領域の長さが、扉体を配置可能な第2間隔よりも短い第1間隔とされる。そのため、柔軟性を有する物品を対象物品とする場合や、物品の大きさに対して第2間隔が長い場合であっても、当該第2間隔より短い第1間隔となった隙間領域を跨いで、エリア内搬送部とエリア外搬送部との間で対象物品を安定的に搬送することが可能となる。従って、通信エリアの内部と外部との境界において物品を安定的に搬送することができる。また、本構成によれば、非搬送期間の少なくとも一部の期間には、搬送方向における隙間領域の長さが第2間隔以上とされると共に、遮蔽ゲートが閉状態とされる。そのため、通信エリアの内部と外部との間で電波が漏れ難い状態となる期間を確保することができ、当該期間内に通信エリアの内部において通信装置と電子タグとの通信を良好に行うことができる。
【0073】
ここで、
前記エリア外搬送部は、前記エリア内搬送部に対して前記搬送方向の上流側に並んで配置された上流側搬送部と、前記エリア内搬送部に対して前記搬送方向の下流側に並んで配置された下流側搬送部と、を含み、
前記開口部は、前記通信エリアの上流側に設けられた上流側開口部と、前記通信エリアの下流側に設けられた下流側開口部と、を含み、
前記遮蔽ゲートは、前記上流側開口部を開閉する上流側遮蔽ゲートと、前記下流側開口部を開閉する下流側遮蔽ゲートと、を含み、
前記エリア内搬送部が、前記搬送方向に沿って上流側と下流側との双方向に移動可能に構成され、前記上流側搬送部及び前記下流側搬送部の前記搬送方向の位置が固定されていると好適である。
【0074】
本構成によれば、上流側搬送部、下流側搬送部、及びエリア内搬送部のうち、エリア内搬送部のみを搬送方向に沿って移動可能に構成することで、エリア内搬送部と上流側搬送部との隙間領域、及び、エリア内搬送部と下流側搬送部との隙間領域のそれぞれを、必要に応じて第1間隔に変化させることができる。このように、本構成によれば、移動可能に構成される搬送部の数を少なくすることができるため、比較的簡易な構成により、通信エリアに対して搬送方向の上流側および下流側の双方の隙間領域において対象物品を安定的に搬送可能な物品搬送設備を実現することができる。
【0075】
また、
前記上流側遮蔽ゲートが前記開状態である場合には、前記下流側遮蔽ゲートが前記閉状態とされ、前記上流側遮蔽ゲートに対応する前記隙間領域の長さが前記第1間隔とされ、
前記下流側遮蔽ゲートが前記開状態である場合には、前記上流側遮蔽ゲートが前記閉状態とされ、前記下流側遮蔽ゲートに対応する前記隙間領域の長さが前記第1間隔とされると好適である。
【0076】
本構成によれば、上流側遮蔽ゲートが開状態である場合に当該上流側遮蔽ゲートに対応する隙間領域の長さが第1間隔とされることで、通信エリアの外部から内部へと適切に対象物品を搬送(搬入)できると共に、上記の場合に下流側遮蔽ゲートが閉状態とされることで、上記対象物品に取り付けられた電子タグとの無線通信の準備を早期に行える。従って、サイクルタイムを向上させ易い。また、本構成によれば、下流側遮蔽ゲートが開状態である場合に上流側遮蔽ゲートが閉状態とされ、下流側遮蔽ゲートに対応する隙間領域の長さが前記第1間隔とされる。これにより、通信エリアにおける搬送方向の下流側においては、通信エリアの内部から外部へと適切に対象物品を搬送(搬出)できると共に、通信エリアにおける搬送方向の上流側においては、隙間領域の長さが少なくとも第2間隔以上となって広くなるが、上流側遮蔽ゲートが閉状態であることから、次に搬送される対象物品が隙間領域に落ち込む可能性を低減できる。
【0077】
また、
前記上流側遮蔽ゲート及び前記下流側遮蔽ゲートの双方が前記閉状態で、前記通信装置が前記電子タグと無線通信を行うと好適である。
【0078】
本構成によれば、通信エリアの内部と外部との間で電波が漏れることを効果的に抑制できるため、通信エリアの内部において通信装置と電子タグとの通信を良好に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本開示に係る技術は、物品搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
100 :物品搬送設備
1 :搬送装置
10 :エリア内搬送部
11 :エリア外搬送部
11D :下流側搬送部
11U :上流側搬送部
2 :通信装置
2A :通信エリア
20 :無線通信機
21 :遮蔽壁
22 :遮蔽ゲート
22D :下流側遮蔽ゲート
22U :上流側遮蔽ゲート
211 :開口部
211D :下流側開口部
211U :上流側開口部
221 :扉体
221D :下流側扉体
221U :上流側扉体
9 :対象物品
9a :電子タグ
Ft :搬送面
G :隙間領域
L1 :第1間隔
L2 :第2間隔
R :搬送経路
Tn :非搬送期間
Tt :搬送期間
X :搬送方向
Xd :搬送方向下流側
Xu :搬送方向上流側
Y :幅方向